(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6626346
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】カード処理装置及びカード読み取り装置
(51)【国際特許分類】
G06K 13/10 20060101AFI20191216BHJP
G07D 9/00 20060101ALI20191216BHJP
G06K 7/00 20060101ALI20191216BHJP
G06K 13/12 20060101ALI20191216BHJP
G06K 7/08 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
G06K13/10
G07D9/00
G06K7/00 056
G06K13/12 A
G06K7/08 040
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-2770(P2016-2770)
(22)【出願日】2016年1月8日
(65)【公開番号】特開2017-123112(P2017-123112A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2018年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】芳井 昌浩
【審査官】
梅沢 俊
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−170294(JP,A)
【文献】
特開平06−251220(JP,A)
【文献】
特開2008−033641(JP,A)
【文献】
特開平05−266294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 13/10
G06K 7/00
G06K 7/08
G06K 13/12
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードが挿入されたり排出される挿入排出部と、前記挿入排出部から挿入されたカードを搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送されたカードに記憶済みの情報を読み取る情報読み取り部と、前記搬送部及び前記情報読み取り部を制御する一方、前記情報読み取り部によって情報の読み取りが完了したカードを前記搬送部によって搬送して前記挿入排出部から一部を露出させ、前記露出されたカードが所定時間経過後も持ち去られていないことが検出された場合、前記搬送部によって前記持ち去られなかった取り忘れカードを内部に搬送して再度取り込みを行わせる制御部と、を備えるカード読み取り装置と、
複数のカードを各々収容可能な複数のスロットを有し、前記取り忘れカードを前記複数のスロットのうちのいずれか特定のスロットに収容可能なカード回収装置と、を備え、
前記制御部は、
前記カード回収装置に前記取り忘れカードを収容する際に、
前記情報読み取り部によって前記取り忘れカードのカード情報を読み取り、
前記カード情報に基づいて保護用チェックコードを生成し、
前記取り忘れカードに関するカード情報を記憶しない一方で、前記特定のスロットに対応するスロット番号と前記保護用チェックコードとの対応関係に関する情報を対応関係管理部に記憶し、
ホストから前記カード回収装置に収容されている前記取り忘れカードの返却指示があった際に、
前記取り忘れカードが収納されている前記カード回収装置のスロット番号を前記対応関係管理部に記憶されている前記対応関係に関する情報から取得し、
取得した前記スロット番号に該当する前記特定のスロットに収容されている前記取り忘れカードを前記カード読み取り装置へ戻すように前記カード回収装置に対して指示し、
前記情報読み取り部によって、前記カード回収装置から前記カード読み取り装置へ戻された前記取り忘れカードのカード情報を読み取り、
読み取られた前記取り忘れカードのカード情報に基づいて確認用チェックコードを生成し、
前記確認用チェックコードが前記保護用チェックコードと一致するか否かをチェックし、
前記確認用チェックコードが前記保護用チェックコードと一致すると判定された場合、前記搬送部によって前記特定のスロットに収容済みの前記収容済みカードを搬送させて前記挿入排出部から排出させ、
前記対応関係管理部は、前記カード回収装置に設けられている
ことを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
前記対応関係管理部は、
前記取り忘れカードに関するカード情報を管理する代わりに、前記スロット番号と前記保護用チェックコードとの対応関係に関する情報を管理していることを特徴とする請求項1に記載のカード処理装置。
【請求項3】
前記情報読み取り部は、前記カードの磁気ストライプとの間で少なくとも情報の読み取りを行う磁気ヘッドであり、
前記制御部は、
前記カード回収装置に前記取り忘れカードを収容する際に、前記磁気ヘッドによって前記取り忘れカードの磁気ストライプからカード情報の一部としてカード番号を読み取り、前記カード番号に基づいてチェックコードを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載のカード処理装置。
【請求項4】
複数のカードを各々収容可能な複数のスロットを有し、取り忘れカードを前記複数のスロットのうちのいずれか特定のスロットに収容可能なカード回収装置との組み合わせによりカード処理装置を構成するカード読み取り装置において、
カードが挿入されたり排出される挿入排出部と、
前記挿入排出部から挿入されたカードを搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送されたカードに記憶済みの情報を読み取る情報読み取り部と、
前記搬送部及び前記情報読み取り部を制御する一方、前記情報読み取り部によって情報の読み取りが完了したカードを前記搬送部によって搬送して前記挿入排出部から一部を露出させ、前記露出されたカードが所定時間経過後も持ち去られていないことが検出された場合、前記搬送部によって前記持ち去られなかった取り忘れカードを内部に搬送して再度取り込みを行わせる制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記カード回収装置に前記取り忘れカードを収容する際に、
前記情報読み取り部によって前記取り忘れカードのカード情報を読み取り、
前記カード情報に基づいて保護用チェックコードを生成し、
前記取り忘れカードに関するカード情報を記憶しない一方で、前記特定のスロットに対応するスロット番号と前記保護用チェックコードとの対応関係に関する情報を対応関係管理部に記憶し、
ホストから前記カード回収装置に収容されている前記取り忘れカードの返却指示があった際に、
前記取り忘れカードが収納されている前記カード回収装置のスロット番号を前記対応関係管理部に記憶されている前記対応関係に関する情報から取得し、
取得した前記スロット番号に該当する前記特定のスロットに収容されている前記取り忘れカードを前記カード読み取り装置へ戻すように前記カード回収装置に対して指示し、
前記情報読み取り部によって、前記カード回収装置から前記カード読み取り装置へ戻された前記取り忘れカードのカード情報を読み取り、
読み取られた前記取り忘れカードのカード情報に基づいて確認用チェックコードを生成し、
前記確認用チェックコードが前記保護用チェックコードと一致するか否かをチェックし、
前記確認用チェックコードが前記保護用チェックコードと一致すると判定された場合、前記搬送部によって前記特定のスロットに収容済みの前記収容済みカードを搬送させて前記挿入排出部から排出させ、
前記対応関係管理部は、前記カード回収装置に設けられている
ことを特徴とするカード読み取り装置。
【請求項5】
前記対応関係管理部は、
前記取り忘れカードに関するカード情報を管理する代わりに、前記スロット番号と前記保護用チェックコードとの対応関係に関する情報を管理していることを特徴とする請求項4に記載のカード読み取り装置。
【請求項6】
前記情報読み取り部は、前記カードの磁気ストライプとの間で少なくとも情報の読み取りを行う磁気ヘッドであり、
前記制御部は、
前記カード回収装置に前記取り忘れカードを収容する際に、前記磁気ヘッドによって前記取り忘れカードの磁気ストライプからカード情報の一部としてカード番号を読み取り、前記カード番号に基づいてチェックコードを生成する
ことを特徴とする請求項4に記載のカード読み取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード処理装置及びカード読み取り装置に関し、特に、カード回収装置を備えるカード処理装置及びカード読み取り装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来のカード読み取り装置は、モータによって駆動されるローラによって磁気カードを一定速度で搬送し、磁気ヘッドの近傍を通過させることにより磁気ヘッドによって磁気カードに記録済みの情報を読み取ったり、IC接点端子を通して通信することによりICカードに記録済みの情報を読み取っている。
【0003】
カード回収機構は、カード取り引きが終了し、返却されたカードを取引者が取り忘れた場合にそのカードを回収することができる。このカード回収機構は、複数のカードスロットを備え、複数のカードを回収することができる。その後取引者がカードの取り忘れに気付いた場合、自分のカードを返却してもらうことができる(特許文献1参照)。
【0004】
返却されるカードが正しいことを確認するため、カード処理装置が、返却されるカードの読み取り結果をホストに通知し、ホストが、返却されるべきカードがその取引者に対応していることを確認している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国出願公開103544768A号公報
【特許文献2】中国出願公開103544769A号公報
【特許文献3】中国出願公開103559755A号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、カード処理装置内にはカード情報などの個人情報を残すことができなかったため、カード回収機構によって回収されたカードを取引者に返却しようとした場合、カードが誤って排出されることを防止するために、カード処理装置で返却対象のカードのカード情報を読み取り、ホストが、その返却対象のカードと取引者との対応が正しいことを確認する必要があった。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、カード処理装置内にカード情報を残さないようにしつつ、ホスト
が、その返却対象のカードと取引者との対応が正しいことを確認する必要がなく、カードが誤った相手に返却されることを防止できるカード処理装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため、本発明においては、カードが挿入されたり排出される挿入排出部と、前記挿入排出部から挿入されたカードを搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送されたカードに記憶済みの情報を読み取る情報読み取り部と、前記搬送部及び前記情報読み取り部を制御する一方、前記情報読み取り部によって情報の読み取りが完了したカードを前記搬送部によって搬送して前記挿入排出部から一部を露出させ、前記露出されたカードが所定時間経過後も持ち去られていないことが検出された場合、前記搬送部によって前記持ち去られなかった取り忘れカードを内部に搬送して再度取り込みを行わせる制御部と、を備えるカード読み取り装置と、複数のカードを各々収容可能な複数のスロットを有し、前記取り忘れカードを前記複数のスロットのうちのいずれか特定のスロットに収容可能なカード回収装置と、を備え、前記制御部は、前記カード回収装置に前記取り忘れカードを収容する際に、前記情報読み取り部によって前記取り忘れカードのカード情報を読み取り、前記カード情報に基づいて保護用チェックコードを生成するチェックコード生成部と、前記特定のスロットに対応するスロット番号と前記保護用チェックコードとの対応関係に関する情報を保管する対応関係管理部と、前記情報読み取り部によって前記カード回収装置に収容済みであって返却要請があったカードから読み取らせたカード情報から生成された確認用チェックコードが前記保護用チェックコードと一致するか否かをチェックする認証部と、を備え、前記認証部によって前記確認用チェックコードが前記保護用チェックコードと一致すると判定された場合、前記搬送部によって前記特定のスロットに収容済みの前記取り忘れカードを搬送させて前記挿入排出部から排出させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明においては、複数のカードを各々収容可能な複数のスロットを有し、取り忘れカードを前記複数のスロットのうちのいずれか特定のスロットに収容可能なカード回収装置との組み合わせによりカード処理装置を構成するカード読み取り装置において、カードが挿入されたり排出される挿入排出部と、前記挿入排出部から挿入されたカードを搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送されたカードに記憶済みの情報を読み取る情報読み取り部と、前記搬送部及び前記情報読み取り部を制御する一方、前記情報読み取り部によって情報の読み取りが完了したカードを前記搬送部によって搬送して前記挿入排出部から一部を露出させ、前記露出されたカードが所定時間経過後も持ち去られていないことが検出された場合、前記搬送部によって前記持ち去られなかった取り忘れカードを内部に搬送して再度取り込みを行わせる制御部と、を備え、前記制御部は、前記カード回収装置に前記取り忘れカードを収容する際に、前記情報読み取り部によって前記取り忘れカードのカード情報を読み取り、前記カード情報に基づいて保護用チェックコードを生成するチェックコード生成部と、前記特定のスロットに対応するスロット番号と前記保護用チェックコードとの対応関係に関する情報を保管する対応関係管理部と、前記情報読み取り部によって前記カード回収装置に収容済みであって返却要請があったカードから読み取らせたカード情報から生成された確認用チェックコードが前記保護用チェックコードと一致するか否かをチェックする認証部と、を備え、前記認証部によって前記確認用チェックコードが前記保護用チェックコードと一致すると判定された場合、前記搬送部によって前記特定のスロットに収容済みの前記取り忘れカードを搬送させて前記挿入排出部から排出させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カード処理装置内にカード情報を残さないようにしつつ、ホスト
が、その返却対象のカードと取引者との対応が正しいことを確認する必要がなく、取引後に取引者が取り忘れたカードが誤った相手に返却されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施の形態によるカード処理装置の概略構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示すカード処理装置等の電気的な構成例を示すブロック図である。
【
図3】取り忘れカード回収処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】カード返却判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】第2の実施の形態によるカード処理装置の概略構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施の形態について詳述する。
【0013】
(1)第1の実施の形態によるカード処理装置の構成
図1は、第1の実施の形態によるカード処理装置100の概略構成例を示す。このカード処理装置100は、主としてカード読み取り装置1及びカード回収装置9を備える。カード処理装置100は、例えば自動現金取引処理装置である。
【0014】
(1−1)カード読み取り装置
カード読み取り装置1は、例えば自動現金取引処理装置の一部であり、後述するホストと電気的に接続されている。カード読み取り装置1は、カード2の磁気ストライプに記録された情報を読み取り、その読み取った情報を後述するホストに送信する。
【0015】
カード読み取り装置1は、その外観上、筺体と、この筺体の端部に設けられた挿入排出部3とを有する。挿入排出部3は、取引者などのエンドユーザによってカード2が挿入されたり、後述するように排出されたカード2が取り去られる部分である。
【0016】
筐体の内部には、第1の搬送ローラ5A〜第3の搬送ローラ5Cと、第1ないし第3のカード位置センサ6A〜6Cと、カード2の磁気ストライプとの間で少なくとも情報の読み取りを行う磁気ヘッド7とが設けられている。
【0017】
第1の搬送ローラ5A及び第3の搬送ローラ5Cは、それぞれ、搬送路Pを挟んで上下一対となるように設けられており、モータの正転駆動によって回転してカード2を挿入方向(図示右向き)に搬送する一方、モータの逆転駆動によって回転してカード2を排出方向(図示左向き)に搬送する。
【0018】
第2の搬送ローラ5Bは、後述する磁気ヘッド7と上下一対となるように設けられており、モータの駆動によって回転して、磁気ヘッド7の先端近傍をカード2の表面が通過するようにカード2を上記挿入方向及び排出方向に搬送する。
【0019】
第1〜第3のカード位置センサ6A〜6Cは、例えばフォトインタラプタであり、搬送路Pに沿って搬送されるカード2の位置を検出する。
【0020】
第1のカード位置センサ6Aは、カード2のカード情報の読み取りを行う前にカード2を待機させておく位置P1に配置されている。第1のカード位置センサ6Aは、カード2が搬送されてその一端が当該位置P1に到達すると、当該カード2の図示左側の一端(以下「後端部」と呼ぶ)が到達したことを検知してOFF状態からON状態に切り替わる。
【0021】
第2カード位置センサ6Bは、磁気ヘッド7によってカード2のカード情報の読み取りを開始するための位置P2に配置されている。第2カード位置センサ6Bは、カード2が搬送されてその一端が位置P2に到達すると、当該カード2の一端を検知してOFF状態からON状態に切り替わる。
【0022】
第3カード位置センサ6Cは、IC接点部8によってカード2のカード情報の読み取りを行うため、かつ、磁気ヘッド7によるカード2のカード情報の読み取りを終了するための位置P3に配置されている。第3カード位置センサ6Cは、カード2の一端が挿入方向へ搬送されて位置P3に到達すると、当該カード2の一端を検知してOFF状態からON状態に切り替わる。
【0023】
磁気ヘッド7は、搬送されるカード2と対面する一方の位置に配置されており、カード2の磁気ストライプから磁気パターンを検出してカード情報の一部としてカード番号を取得する。より詳しくは、磁気ヘッド7は、内蔵するコアとコイルによって磁気ストライプの磁力の変化を検出してそれを電圧の変化に変え、その電圧の変化を内蔵するアンプによって増幅し出力する。
【0024】
IC接点部8は、搬送されるカード2と対面する他方の位置に配置されており、カード2に設けられた電極からカード情報を読み出す。なお、磁気ヘッド7及びIC接点部8は、上述のような位置に配置されている場合に限られず、カード2の磁気ストライプやコンタクトの形成位置に応じてその他の位置に配置されていても良い。
【0025】
これら磁気ヘッド7及びIC接点部8の位置との関係上、挿入方向へ搬送されているカード2に対してカード情報の読み取りを行う際には、位置P2は、挿入方向に搬送されているカード2のカード情報を磁気ヘッド7によって読み取りを開始する読み取り開始位置となる。一方、位置P3は、磁気ヘッド7によって時期的にカード情報の読み取りを終了する読み取り終了位置となったり、IC接点部8によって電子的にカード情報の読み取りを行う位置となる。
【0026】
その一方、排出方向へ搬送されているカード2に対してカード情報の読み取りを行う際には、位置P3は、カード2の先端(図示の右端)が通過すると、磁気ヘッド7によってカード2からカード情報の読み取りを開始するための位置となる。一方、位置P2は、カードの先端(図示の右端)が通過すると、磁気ヘッド7によるカード2のカード情報の読み取りを終了するための位置となったり、IC接点部8によるカード2のカード情報の読み取りを行うための位置となる。
【0027】
(1−2)カード回収装置
カード回収装置9は、取引後取引者によってカード2の持ち去りがなされなかった際に、その取り忘れカード2を回収して収容する各スロット10が平行に重ねて設けられたスロット部12を備えている。このスロット部12は、モータ11が駆動されることにより、スロット部12が一体となって挿入方向及び排出方向に対して垂直な方向に移動されることによって、上記取り忘れカード2の位置に合わせて各スロット10が移動して当該取り忘れカード2を収容する。
【0028】
(2)カード処理装置の電気的な構成
図2は、主としてカード処理装置100の電気的な構成例を示すブロック図である。カード処理装置100は、ホスト60との通信を行いつつ、コンピュータ40によって、後述するようにカード2のカード情報に基づき、当該カード2のエンドユーザ(取引者)に関して金銭の支払いや預け入れなどを処理する。
【0029】
即ち、カード処理装置100は、コンピュータ40によって、このように金銭の支払いや預け入れなどを処理するための金銭授受装置(図示せず)を備えている。本実施形態においては、このような金銭授受装置に大きな特徴がある訳ではないため、その説明を省略する。
【0030】
カード処理装置100においては、カード読み取り装置1は電源50によって電力が供給されている一方、カード回収装置9は電源70によって電力が供給されている。カード読み取り装置1は、ホスト60からの指示に基づくコンピュータ40の制御に従って、制御部30が動作の制御を行っている。この制御部30は、ICカード制御部23、CPU21、RAM22、磁気読取制御部24、フラッシュメモリ25、及びモータ制御部26を備えている。
【0031】
RAM22は、CPU21の作業領域となる記憶領域を提供する。ICカード制御部23は、既述のIC接点部8によるカード2との間における情報の記録及び読み出しを制御する。磁気読取制御部24は、磁気ヘッド7によるカード2の磁気ストライプとの間における磁気情報の読み取り及び書き込みを制御する。フラッシュメモリ25は、後述する取り忘れカード2の収容先スロット10に関する情報(以下「カード収容情報」と呼ぶ)が書き込まれ、このように書き込まれたカード収容情報を不揮発的に記憶している。モータ制御部26は、モータ4に起動信号を与え、第1〜第3の搬送ローラ5A,5B,5Cの駆動状態を制御する。
【0032】
カード処理装置100は以上のような構成であり、次にそのカード処理装置100の動作例について説明する。
【0033】
(3)カード処理装置の動作例
(3−1)取り忘れカード回収処理
図3は、取り忘れカード回収処理の一例を示すフローチャートである。カード読み取り装置1は、取引が完了したカード2を挿入排出口3から一部を露出させ、その取引者にそのカード2を持ち去らせようとするが、一定時間が経過しても取り去られないカード2は、CPU21の制御によってモータ4が駆動されることで第1の搬送ローラ5A〜第3の搬送ローラ5Cによってカード回収装置9にまで再度搬送され、最終的に回収される(ステップS1)。
【0034】
この際、その途中で、磁気ヘッド7は、CPU21の制御によって当該取り忘れカード2の磁気ストライプからカード情報の一部であるカード番号を読み取る(ステップS2)。このCPU21は、このように読み取ったカード番号からチェックコード(以下「保護用チェックコード」とも呼ぶ)を生成する(ステップS3)。CPU21は、上記取り忘れカード2を最終的に収容する予定のスロット10のスロット番号及び上記生成した保護用チェックコードに関する情報をホスト60に送信する。
【0035】
ホスト60は、これらスロット番号及び保護用チェックコードに関する情報を受け取ると、念のため、図示しない内蔵メモリに、これらスロット番号及び保護用チェックコードに関する情報を記憶させる(ステップS4)。
【0036】
一方、カード読み取り装置1においては、CPU21が、そのようなスロット番号及び保護用チェックコードに関する情報をフラッシュメモリ25に記憶する(ステップS5)。即ち、カード読み取り装置1は、そのようなスロット番号及び保護用チェックコードに関する情報について、ホスト60に問い合わせなくても、手元に情報を保有している一方、カード番号等のカード情報を保有しないようにすることができる。
【0037】
その後、コンピュータ40は、カード読み取り装置1のCPU21を制御してカード回収装置9のモータ11を駆動することによりカード回収装置9のスロット10を上下させ、上述した取り忘れカード2を、その予定していたスロット番号のスロット10に収容させる(ステップS6)。
【0038】
(3−2)カード返却判定処理
図4は、カード返却判定処理の一例を示しており、
図5は、カード返却指示があった場合における手順の一例を視覚的に表している。
【0039】
まず、取引者であるエンドユーザは、取引後に取り忘れてしまったカード(以下「取り忘れカード」という)の返却を受けたい場合、ホスト60に対して返却依頼を行う。ホスト60は、そのエンドユーザによる返却依頼(
図5の手順(1)に相当)を受領すると(ステップS11)、返却希望のカードのカード番号をチェックし(
図5(4)に相当)、その後、カード読み取り装置1に対して、そのカード番号に関するカード返却指示(
図5(2)に相当)を行う。なお、このカード返却指示には、そのカード番号が含められている。
【0040】
次にカード読み取り装置1は、そのカード返却指示を受領したことを契機として、内蔵するフラッシュメモリ25のカード収容情報に基づいて、このカード収容情報に含まれるカード番号に対応するスロット番号を検索する(ステップS12)。
【0041】
カード読み取り装置1は、コンピュータ40を介して、カード回収装置9に対して、そのように検索されたスロット番号に該当する特定のスロット10に収容されている返却対象カード2について返却指示を行う(ステップS13)。このカード回収装置9では、当該特定のスロット10に収容されている返却対象カード2をカード読み取り装置1に戻し、カード読み取り装置1では、磁気ヘッド7が返却対象カード2の磁気ストライプからカード情報としてカード番号を読み取る(ステップS14)。このステップS14は、
図5の手順(3)に相当している。
【0042】
次に、カード読み取り装置1では、CPU21が、そのカード情報に含まれるカード番号をチェックし(
図5の手順(4)に相当)、そのカード番号からチェックコードを生成し(ステップS15)、今回生成したチェックコードが、内蔵するフラッシュメモリ25において管理されている上記スロット番号に対する保護用チェックコードに一致するか否かを判定する(ステップS16)。
【0043】
カード読み取り装置1では、CPU21によって両チェックコードが一致していると判定された場合、コンピュータ40に対してその旨を通知し、コンピュータ40によって、カード読み取り装置1に対してその対象カード2をエンドユーザに返却するよう指示する。
【0044】
カード読み取り装置1においては、対象カード2をエンドユーザに返却するよう指示を受けたCPU21は、モータ制御部26によってモータ4を駆動することにより、第1の搬送ローラ5A〜第3の搬送ローラ5Cを回転させ、上記スロット10から戻された対象カード2を排出方向に搬送する。
【0045】
さらにCPU21は、モータ制御部26を制御し、モータ4を駆動することによって第1の搬送ローラ5A〜第3の搬送ローラ5Cを回転させることにより、その対象カード2をその一部が挿入排出部3から外部に露出する位置において停止させ、エンドユーザに対象カード2を返却する(ステップS17)。ステップS17は、
図5の手順(5)に相当している。このエンドユーザは、そのように挿入排出部3から一部が露出している対象カード2を引き抜き、持ち去ることができる。
【0046】
一方、カード読み取り装置1では、CPU21によって両チェックコードが一致していないと判定された場合、コンピュータ40に対してその旨を通知し、コンピュータ40によって、カード読み取り装置1に対してその対象カード2をカード回収装置9の上記スロット番号のスロット10に戻すよう指示する。なお、カード読み取り装置1は、CPU21によって両チェックコードが一致していないと判定された場合にも拘わらず、その対象カード2が返却されてしまっていたときには誤排出したものとみなす。
【0047】
以上のように本実施の形態によれば、上述のようにカード処理装置100内にカード情報を残さないようにしつつ、ホスト60を介することなくカード処理装置1内で、カード回収装置9から返却されたカード2について返却先エンドユーザの妥当性を確認し、カード2が誤った相手に返却されることを防止することができる。
【0048】
(4)第2実施の形態
第2の実施の形態によるカード処理装置100Aは、第1の実施の形態によるカード処理装置100とほぼ同様の構成であるため、同一の構成及び動作については同一の符号を用いて説明を省略し、以下では異なる点を中心として説明する。
【0049】
図6は、第2の実施の形態によるカード処理装置100Aの構成例を示すブロック図である。第2の実施の形態によるカード処理装置100Aは、第1の実施の形態によるカード回収装置9の代わりに、カード回収装置9Aを備えている。このカード回収装置9Aは、第1の実施の形態によるカード回収装置9の構成に加えて、フラッシュメモリ93を備えている点が異なっている。
【0050】
第1の実施の形態では、ステップS5において、カード読み取り装置1においてCPU21が、これらスロット番号及びチェックコードに関する情報をフラッシュメモリ25に記憶していたが、第2の実施の形態では、このフラッシュメモリ25の代わりに、これらの情報をカード回収装置9A側のフラッシュメモリ93に記憶させている。
【0051】
このようにすると、カード回収装置9Aと、フラッシュメモリ93(対応関係管理部)とが一体となっているため、カード読み取り装置からカード回収部を取り外した場合でも、カード回収装置9Aの各スロット10に収容済みの各取り忘れカード2と各スロット番号との対応関係をそのまま維持することができる。
【0052】
(5)その他の実施形態
上記実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。例えば、上記実施形態では、各種プログラムの処理をシーケンシャルに説明したが、特にこれにこだわるものではない。従って、処理結果に矛盾が生じない限り、処理の順序を入れ替え又は並行動作するように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、取り忘れカードを返却可能なカード処理装置及びカード読み取り装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1……カード読み取り装置、2……カード、3……挿入排出部、7……磁気ヘッド、8……IC接点部、9……カード回収装置、10……スロット、12……スロット部、100……カード処理装置。