(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
明細票発行装置に使用されるロール紙の巻き付けの径は、明細票発行装置が規定している仕様の範囲内であえば問題が無い。そのため、ATMを運用する金融機関の事情により、様々な径のロール紙がセットされたり、巻き付けの弱いロール紙がセットされることがある。例えば、ロール紙の径が小さい明細票では、補充庫内でロール紙の転がる量が多くなる。補充庫の内でロール紙が転がると、ロール紙9の外周から、巻きたるみ9´が発生する(
図7参照)。また、巻き付けの弱いロール紙9ではロール紙先端から巻きがほどけやすく、巻きたるみ9´が発生しやすい。
【0006】
補充庫に待機しているロール紙の巻きたるみ量が多くなった状態で、使用中のロール紙の用紙切れになると、補充庫にある予備のロール紙が印刷装置にセットされる。しかし、ロール紙に巻きたるみがあると、印刷装置へのロール紙のセット時に、巻きたるみの部分が搬送機構で引っ掛かり、ロール紙の搬送異常が発生する恐れがある。
【0007】
本発明の目的は、補充庫内のロール紙の巻きたるみを防止したロール紙取扱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るロール紙取扱装置は、好ましくは、
装填されるロール紙を収納する第1の場所と、
該第1の場所から搬送される該ロール紙を、使用に供するために収納する第2の場所と、
該第1の場所と該第2の場所との間に設置された開閉可能な仕切り板と、
該仕切り板を開閉する駆動機構と、
該駆動機構に連動して、該第1の場所にある該ロール紙の側部を両側から押えて保持する保持機構と、を有し、
該第2の場所にある該ロール紙の使用が終了したときに、該保持機構による該ロール紙の保持を解除して、該第1の場所から該第2の場所へ該ロール紙を搬送するロール紙取扱装置、として構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、補充庫内のロール紙を保持する機構を備えることにより、補充庫内でロール紙が転がるのを防止し、ロール紙のたるみの発生を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。
図1は、ロール紙取扱装置をATM用の明細票発行装置に適用した例を示す。
まず、明細票発行装置について概略説明する。明細票発行装置は主に、明細票用の予備のロール紙を保管する補充庫10と、補充庫10から送り出されるロール紙92をセットして、明細票発行機構30で作成される明細票用のロール紙の用紙先端を提供する給紙機構部20と、明細票93に取引内容を印字してその明細票を排出する明細票発行機構部30と、から構成される。補充庫10と給紙機構部20との間には、開閉可能に駆動される仕切り板11が配置される。また、明細票発行機構部30にはロール紙が無くなったことを検知する光学センサ31が設けられる。
【0012】
係員が補充庫10に1巻目のロール紙をセットして、自動補充により用紙セット動作を行うと、ロール紙92が給紙機構部20まで搬送された後、搬送されたロール紙2の用紙先端は印字位置まで搬送されて、取引印字待ちの状態で待機する。1巻目のロール紙92が給紙機構部20まで搬送されたことで、補充庫10には2巻目のロール紙91が装填可能となる。仕切り板11が閉じられていることで、2巻目のロール紙91は、補充庫10内で待機する。
【0013】
ATMでユーザが現金の取引を行うと、明細票発行機構部30に搬送されたロール紙92に取引内容が印字され、ロール紙92の先端が所定長の箇所でカッタ(不図示)により切断されて明細票93が作成される。明細票93は放出口から排出されて、ユーザに取得される。
【0014】
次に、補充庫10及び給紙機構部20におけるロール紙の取扱いの構成について説明する。補充庫10は、その入口に扉18が設置され、またその底部にはベルト駆動による移動機構19が設けられている。補充庫10と給紙機構部20の間には仕切り板11が設置され、この仕切り板11は駆動機構によって開閉可能となっている。
【0015】
補充庫10における移動機構19は、
図3Bに示すように、モータ191が正方向又は負方向に回転することによりプーリ192が駆動されて、ベルトがE方向又はG方向(
図3D)移動する。E方向へ駆動するときにはロール紙91がF方向に回転され、ロール紙91の巻たるみが締る。一方、ロール紙91を補充庫10から給紙機構部20へ送られるときには、ベルトがG方向に駆動することで、ロール紙91が補充庫10から給紙機構部20へ搬送される。また、仕切り版11側には、もう1つのモータ193が配置され、そのモータ193の回転によって偏心カム194が駆動される。偏心カム194の駆動に伴って、ベルトの先端(仕切り版11側)が上下動する。すなわち、ロール紙91を給紙機構部20へ搬送するときには、モータ191によりベルトが矢印G方向へ駆動され、モータ193により偏心カム194が回転して、ベルトの先端がN方向へ下がる(
図3D参照)。これにより、ロール紙91はベルト上を転がって、給紙機構部20へ移動できる。
【0016】
給紙機構部20内にある運用中のロール紙92が無くなると、仕切り板11が開状態となり、移動機構19が駆動されて、補充庫10にある予備のロール紙91が給紙機構部20へ送り込まれるが、給紙機構部20に運用中のロール紙92が在る限り、仕切り板11は閉状態であり、補充庫10にある予備のロール紙91は補充庫10内に保持されて待機状態である。
【0017】
次に、補充庫10内におけるロール紙91の保持機構及び給紙機構部への搬送の構成について説明する。主に
図2及び
図3A〜
図3D、
図4を参照する。ここで、
図3A〜
図3Dは補充庫10及びロール紙91を示し、(a)はその平面図、(b)は側断面図を示す。
図4はロール紙91の保持機構の平面図を示す。
【0018】
補充庫10において、ロール紙91が容易に転がって巻きたるみが発生しない様に、ロール紙の巻きたるみ防止機構が設けられる。この防止機構は、
図2に示すように、ロール紙91の側部(即ちロール紙の用紙の給紙方向と直角側)の両側から押える押え部13と、この押え部13を固定するアーム17とを有する。両側のアーム17の駆動には工夫が成されている。それは、仕切り板11の開閉動作を行う駆動機構と、アーム17の駆動が連動する機構である。即ち、仕切り板11の駆動機構は、モータ14と、このモータ14の回転軸の回転によって連動する一対のクランク15と、クランク15の軸の回転角に伴って往復移動する開閉板16と、先端が二等辺三角形の開閉板16の先端部分が係合する、仕切り版11に固定された一対の係止部材12を備えて構成される。このように、1つの駆動源であるモータ14を用いて、仕切り板11の開閉動作と、ロール紙の巻たるみ防止機構のアーム17の開閉動作を連動させることで、機構を複雑にすることなく、巻きたるみ防止を実現させている。なお、この巻きたるみ防止機構は、以下の説明から理解されるように、構造的には、ロール紙91をその両側から挟んで保持するので、補充庫におけるロール紙保持機構を言ってもよい。
【0019】
補充庫10にあるロール紙91の給紙機構部20への搬送について言えば、モータ14の回転に伴って、クランク15を介して開閉板16が往復移動(
図4の上下方向の移動)すると、係止部材12が、ロール紙91の巻き芯方向に移動する。即ち、仕切り板11が、
図4における左右方向(
図3AのJ方向と直角方向)へ移動することで、仕切り板11によるロール紙91の支持が解除されて、ロール紙91が給紙機構部20へ搬送される。なお、このとき、モータ191によりベルトが駆動し、更にモータ193により偏心カム194が駆動してベルトの先端が下がって、ロール紙91が容易に給紙機構部20側へ転がり易くなる。このように、開閉板16の移動に応じて、仕切り板11に固定された係止部材12の開き量を可変とすることで、ロール紙91を補充庫10内に装填し、或いはロール紙91を補充庫10から給紙機構部20へ搬送する動作が実現できる。即ち、
図4(1)乃至(3)に示すように、モータ14の回転に応じて、開閉板16を3段階に可変制御することで、一対の仕切り板11の間隔、及び一対のアーム17の間隔を3段階に可変させて、ロール紙91の補充庫10への装填(
図4(1))、補充庫10内でのロール紙91の保持(
図4(3))、及び給紙機構部20への搬送(
図4(2))、が実現できる。
【0020】
次に、
図3A乃至
図3D、及び
図4を参照して、補充庫10におけるロール紙91の巻きたるみの防止について詳細に説明する。
【0021】
図3Aは、補充庫10にロール紙91が装填される様子を示す。ロール紙91は、扉18が開いた状態で、人手によって装填される。この場合、補充庫10に装填されるロール紙91が、給紙機構部20へ搬送されないように、仕切り板11は閉じた状態である。このとき、アーム17に固定された一対の押え部13の間隔は、ロール紙91の装填を可能とするために、ロール紙91の幅よりも広く開いた状態である。かつ、仕切り板11の先端部は、ロール紙91の幅よりも狭い状態であり、ロール紙91の外周部に接触して、ロール紙91を補充庫10内に係止させる。
【0022】
図3B及び
図4(1)は、補充庫10にロール紙91が待機中の様子を示す。
補充庫10にロール紙91が装填されると、扉8が閉じる。補充庫10に装填されたロール紙91には巻きたるみ91´が発生していることがあるので、ロール紙91の巻取り動作を行うのが好ましい。そこで、ロール紙91が給紙機構部20へ搬送されないように仕切り板11が閉じた状態で、かつ押え部13がロール紙91の両側を保持しない状態で、移動機構19を逆転移動させる。即ち、モータ191を逆転駆動して、ベルトがE方向へ移動し、ロール紙91が矢印F方向へ回転される。この動作により、ロール紙91に発生した巻たるみ91´が巻き取られる。
【0023】
巻きたるみ91´が巻き取られると、モータ191が停止して、モータ14が駆動する。モータ14の駆動により、
図3C或いは
図4(3)に示すように、開閉板16に連動して、一対のアーム17が最も近距離の位置に移動して、押え部13がロール紙91の両側を押さえる。この動作により、巻たるみ91´が巻き取られたロール紙91は、その両側から保持された状態となるので、その後に巻たるみが発生することが防止される。
【0024】
ロール紙91が保持された状態で、明細票発行機構部30にある光学センサ(不図示)がロール紙の無くなったことを検知すると、モータ14の駆動により仕切り板11が移動して(
図3D及び
図4(2)参照)、押え部13によるロール紙91の保持が解除される。そして、モータ191及びモータ193が駆動すると、移動機構19がG方向及びN方向へ移動して、補充庫10内のロール紙91は巻たるみが防止された状態で、給紙機構部20へ搬送される。
【0025】
以上説明したように、本実施例によれば、補充庫10内において、比較的簡単な機構によりロール紙91の両側を押さえて保持するので、ロール紙91の径の大小に関係なく、また補充庫10内でのロール紙91の滞留位置に関係なく、ロール紙91の巻きたるみの発生を防止して、ロール紙を保持することができる。また、ロール紙91の紙面ではなく、ロール紙91の側部(ロール紙の芯側)を押えて保持するので、明細票の印字面を汚したり、傷付けたり、ロール紙91を変形させることがない、という利点もある。
【0026】
<他の実施例>
図5及び
図6を参照して、他の実施例について説明する。
この実施例では、モータ14、クランク15、開閉板16の構成及び動作は、上記した実施例と同様であるが、開閉板16の移動によって動作されるアーム17、及びその支持機構、アーム17に搭載される押え部13の支持機構、等が異なる。
【0027】
即ち、一対の仕切り板11を固定した一対のアーム17の他端は、軸132に回転可能に支持される。また、押え部13は板バネスプリング131を介して、アーム17に搭載される。開閉板16の移動によって、それに係合する係止部材12が移動すると、アーム17は軸132を中心にして回転する。この回転作用によって、アームは、
図6(1)〜(3)に示すように、3段階の位置に移動、停止する。この3段階は、上記したロール紙91の補充庫10への装填、補充庫10内でのロール紙91の保持、及び給紙機構部20への搬送、に対応する。
【0028】
このように、
図5及び
図6に示すような、ロール紙の保持機構によっても、同様にして、補充庫10内にあるロール紙91の転がりを防止して、巻きたるみ91´の発生を防止できる。
【0029】
以上、本発明の実施例について説明したが、上記した実施例に限定されることなく、種々変形して実施し得る。
【0030】
例えば、ロール紙91の巻きたるみ防止機構ないし保持機構は、仕切り板11の移動機構と、ロール紙の巻きたるみ防止機構が連動する機構であればよく、その構造や機構は上記した実施例に限定されない。
【0031】
更に他の変形例では、
図3Bの駆動は必ずしも必要としない例である。元々、巻きたるみ91´が生じた状態のロール紙91が補充庫10に装填されると、巻きたるみ91´のある状態のロール紙91を押え部13で押さえることになるので、
図3Bに示したように、移動機構19を逆転させることで、巻たるみ91´を解消して、その後に押え部13でロール紙91の側部を保持するように構成した。しかし、補充庫10の装填されるロール紙91が全て巻たるみ91´のあるものとは限らない。そこで、変形例では、
図3Bに示したような、移動機構19を逆転させる動作を省略して、補充庫10に装填されたロール紙91の側部を押え部13で押さえる構成とした。