特許第6626382号(P6626382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6626382
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20191216BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20191216BHJP
【FI】
   H02M3/00 E
   B60L3/00 J
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-55550(P2016-55550)
(22)【出願日】2016年3月18日
(65)【公開番号】特開2017-175675(P2017-175675A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122770
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】濱田 和
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−59810(JP,A)
【文献】 特開2016−10264(JP,A)
【文献】 特開2015−214188(JP,A)
【文献】 特開2010−259142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00
H02M 3/155
H02M 3/28
H02M 7/00
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池と、変圧回路と、前記二次電池と前記変圧回路との正極側を接続状態と遮断状態とに切り替える第1リレーと、前記二次電池と前記変圧回路との負極側を接続状態と遮断状態とに切り替える第2リレーと、を備える電源装置であって、
前記第1リレー及び前記第2リレーは、コイルへの通電/非通電に応じて可動接点が移動することで、前記接続状態のときには前記可動接点が固定接点に接触すると共に前記遮断状態のときには前記可動接点が前記固定接点から離れように構成され、
前記第1リレーと前記第2リレーとは、前記変圧回路で発生するリップル電流が前記可動接点に流れたときに発生する振動音の半波長の奇数倍の間隔をあけて配置されることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記振動音の半波長は、前記変圧回路のスイッチング素子のスイッチング周波数と音速を用いて算出されることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記第1リレーと前記第2リレーとは、前記第1リレーの前記可動接点と前記固定接点との接触面と前記第2リレーの前記可動接点と前記固定接点との接触面とが対向するように配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記第1リレーと前記第2リレーとは、前記第1リレーの前記接触面と前記第2リレーの前記接触面との間隔が前記振動音の半波長の奇数倍になるように配置されることを特徴とする請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
電動モータを動力源として備える車両に搭載され、
前記変圧回路は、前記二次電池の放電時に前記二次電池の電圧を昇圧することを特徴とすることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池と変圧回路との間にリレーを備える電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の動力源として電動モータを備えた電気自動車、ハイブリッド車などが知られている。これらの車両には、電動モータに交流電力を供給する電源装置が搭載されている。この電源装置は、例えば、バッテリ(二次電池)と、バッテリの電圧を昇圧するDC−DCコンバータ(変圧回路)と、昇圧後の直流電力を交流電力に変換するインバータと、バッテリとDC−DCコンバータとの間を接続状態/遮断状態に切り替えるリレーと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−169380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したリレーのオン(接続状態)/オフ(遮断状態)の切り替え時に異音が発生することが知られているが、リレーのオン(接続状態)中にも異音が発生する。特に、このリレーのオン/オフの切り替えはイグニッションスイッチのオン/オフ時に限られるが、リレーのオンはイグニッションスイッチのオンの間維持される。そのため、このリレーのオン中に発生する異音により、車両の運転者などは不快感を受ける虞がある。
【0005】
リレーの音の対策としては、リレーの周りに吸音材(例えば、綿)などを設ける方法がある。例えば、特許文献1には、リレーの防音性を向上させるために、リレーカバーと外カバーとの間の全域に絶縁材を充填する方法が開示されている。
【0006】
しかしながら、リレーの音対策として吸音材などの部材を別途に設けると、コストや重量が増加する。ところで、音対策用の部材をリレーを覆うように設けると、熱などでリレーが故障し易くなる。そこで、音対策用の部材をリレーからある程度離れた周囲全域に設けると、大量の音対策用の部材が必要になり、その量に応じてコストや重量が増加してしまう。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、音対策用の部材を別途に設けずに、接続状態のときにリレーに起因する異音を抑制することが可能な電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電源装置は、二次電池と、変圧回路と、二次電池と変圧回路との正極側を接続状態と遮断状態とに切り替える第1リレーと、二次電池と変圧回路との負極側を接続状態と遮断状態とに切り替える第2リレーと、を備える電源装置であって、第1リレー及び第2リレーは、コイルへの通電/非通電に応じて可動接点が移動することで、接続状態のときには可動接点が固定接点に接触すると共に遮断状態のときには可動接点が固定接点から離れように構成され、第1リレーと第2リレーとは、変圧回路で発生するリップル電流が可動接点に流れたときに発生する振動音の半波長の奇数倍の間隔をあけて配置されることを特徴とする。
【0009】
本願の発明者は、上述した問題点について鋭意検討した結果、接続状態のときには変圧回路で生じるリップル電流によって固定接点に接触している可動接点が振動することで、リレーに起因する振動音(異音)が発生するとの知見を得た。
【0010】
そこで、本発明に係る電源装置では、正極側の第1リレーと負極側の第2リレーとをリップル電流によって発生する振動音の半波長の奇数倍の間隔をあけて配置しているので、第1リレーで発生した振動音の音波と第2リレーで発生した振動音の音波とが逆位相となる。これにより、第1リレーで発生した振動音と第2リレーで発生した振動音とが互いに打ち消し合い、振動音の大きさが小さくなる。このように、本発明に係る電源装置によれば、音対策用部材を別途に設けずに、接続状態のときにリップル電流によってリレーで発生する振動音(異音)を抑制することが可能となる。
【0011】
本発明に係る電源装置では、振動音の半波長は、変圧回路のスイッチング素子のスイッチング周波数と音速を用いて算出されることが好ましい。このようにすることで、振動音の半波長を正確に得ることができる。
【0012】
本発明に係る電源装置では、第1リレーと第2リレーとは、第1リレーの可動接点と固定接点との接触面と第2リレーの可動接点と固定接点との接触面とが対向するように配置されることが好ましい。このようにすることで、第1リレーで発生した振動音が第2リレーの接触面の方向に伝わり易くなると共に第2リレーで発生した振動音が第1リレーの接触面の方向に伝わり易くなり、振動音の抑制効果を高めることが可能となる。
【0013】
本発明に係る電源装置では、第1リレーと第2リレーとは、第1リレーの接触面と第2リレーの接触面との間隔が振動音の半波長の奇数倍になるように配置されることが好ましい。このようにすることで、第1リレーで発生した振動音の音波と第2リレーで発生した振動音の音波とが正確に逆位相となり、振動音の抑制効果を高めることが可能となる。
【0014】
本発明に係る電源装置は、電動モータを動力源として備える車両に搭載され、変圧回路は二次電池の放電時に二次電池の電圧を昇圧する構成としてもよい。この構成の場合、リレーの可動接点に流れる電流が大きい(特に、二次電池の放電時に電動モータを駆動するために充電時よりも流れる電流(最大値)が大きい)ので、リップル電流も大きくなる。本発明に係る電源装置によれば、二次電池の放電時などに可動接点に大きな電流が流れた場合でも、リップル電流によってリレーで発生する振動音を抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、音対策用部材を別途に設けずに、接続状態のときにリレーに起因する異音を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る電源装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る電源装置のリレー(OFF状態)の一例を示す断面図である。
図3】実施形態に係る電源装置のリレー(ON状態)の一例を示す断面図である。
図4】実施形態に係る電源装置における第1リレーと第2リレーとの配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を用いることとする。また、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0018】
図1を参照して、実施形態に係る電源装置1について説明する。図1は、実施形態に係る電源装置1の構成を示すブロック図である。本実施形態では、電動モータを駆動源として備える車両に搭載される電源装置1に適用する。この車両としては、駆動源として電動モータのみを備える電気自動車(EV[Electric Vehicle])でもよいし、駆動源として電動モータとエンジンを備えるハイブリッド車(HEV[Hybrid Electric Vehicle])でもよい。
【0019】
電源装置1は、車両の加速時などに、バッテリ10の直流電力を交流電力に変換して電動モータ2に供給する。また、電源装置1は、車両の減速時に、回生ブレーキによって電動モータ2で発生した交流電力を直流電力に変換してバッテリ10を充電する。電動モータ2は、電動機として機能し、例えば、三相交流タイプの交流同期モータである。また、電動モータ2は、発電機としても機能するモータジェネレータである。
【0020】
電源装置1は、バッテリ10(特許請求の範囲に記載の二次電池に相当)と、DC−DCコンバータ11(特許請求の範囲に記載の変圧回路に相当)と、インバータ12と、第1リレー13と、第2リレー14と、を備えている。電源装置1は、ECU[Electronic Control Unit]15によって制御される。
【0021】
バッテリ10は、充放電可能な二次電池であり、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池からなる。バッテリ10は、高電圧バッテリであり、例えば、数100Vのバッテリである。バッテリ10は、例えば、複数個の二次電池が直列に接続されることで所定の電圧になるように構成され、直列に接続された複数個の二次電池がバッテリボックスに格納されている。バッテリ10は、電動モータ2への通電時に放電し、電動モータ2での回生時に充電される。
【0022】
DC−DCコンバータ11は、バッテリ10の直流の電圧を所望の電圧まで昇圧する。また、DC−DCコンバータ11は、インバータ12で変換した高圧の直流電流をバッテリ10に充電可能な電圧まで降圧する。DC−DCコンバータ11は、例えば、リアクトル(パワーインダクタ)、スイッチング素子(例えば、IGBT)などを備えており、スイッチング素子のオン/オフに応じてリアクトルで電気エネルギの蓄積と放出を繰り返すことで電圧を変える。
【0023】
DC−DCコンバータ11では、スイッチング素子によるスイッチングに伴ってリップル電流が生じる。リップル電流の周波数は、スイッチング素子のスイッチング周波数と同じ周波数である。スイッチング周波数は、例えば、数kHz〜10数kHzである。
【0024】
インバータ12は、DC−DCコンバータ11で昇圧された高圧の直流電流を三相の交流電流に変換し、その交流電流を電動モータ2に供給する。また、インバータ12は、電動モータ2で発電した三相の交流電流を直流電流に変換する。インバータ12は、例えば、電動モータ2の各相に対応して2個のスイッチング素子と2個のダイオードをそれぞれ備えており、各相のスイッチング素子がオン/オフされる。このインバータ12とDC−DCコンバータ11により、例えば、パワーコントロールユニット(PCU)が構成される。
【0025】
第1リレー13は、正極側のリレーであり、バッテリ10とDC−DCコンバータ11とを接続するための正極側の通電ライン16に設けられている。第2リレー14は、負極側のリレーであり、バッテリ10とDC−DCコンバータ11とを接続するための負極側の通電ライン17に設けられている。第1リレー13と第2リレー14は、例えば、上述したバッテリボックスに格納され、バッテリボックスの同じ側面に取り付けられている。
【0026】
リレー13,14は、バッテリ10とDC−DCコンバータ11とを接続状態と遮断状態とに切り替える。接続状態のときは、リレー13,14を介してバッテリ10とDC−DCコンバータ11とが電気的に接続される。遮断状態のときは、バッテリ10とDC−DCコンバータ11とが電気的に遮断される。リレー13,14は、イグニッションスイッチ(図示せず)がオンされた後にオン時の所定条件が満たされると接続状態に切り換えられ、イグニッションスイッチがオフされた後にオフ時の所定条件が満たされると遮断状態に切り換えられる。
【0027】
リレー13,14は、電磁式のリレーである。図2及び図3も参照して、この電磁式のリレー13,14の構成の一例を説明する。図2は、実施形態に係る電源装置1のリレー13,14(OFF状態)の一例を示す断面図である。図3は、実施形態に係る電源装置1のリレー13,14(ON状態)の一例を示す断面図である。第1リレー13と第2リレー14は、同様の構成である。なお、図2及び図3は、固定接点21の中心と固定接点22の中心とを結ぶ線に沿った断面図である。
【0028】
リレー13,14は、コイル20と、一対の固定接点21,22と、可動接点23と、固定鉄心24と、可動鉄心25と、復帰ばね26と、ロッド27と、接圧ばね28と、一対の永久磁石29,29と、を備えている。
【0029】
第1リレー13の一方の固定接点21には、通電ライン16aの一端が接続されている。通電ライン16aの他端は、バッテリ10の正極端子(プラス端子)に接続されている。第1リレー13の他方の固定接点22には、通電ライン16bの一端が接続されている。通電ライン16bの他端は、DC−DCコンバータ11に接続されている。通電ライン16は、この通電ライン16aと通電ライン16bからなる。
【0030】
第2リレー14の一方の固定接点21には、通電ライン17bの一端が接続されている。通電ライン17bの他端は、DC−DCコンバータ11に接続されている。第2リレー14の他方の固定接点22には、通電ライン17aの一端が接続されている。通電ライン17aの他端は、バッテリ10の負極端子(マイナス端子)に接続されている。通電ライン17は、この通電ライン17aと通電ライン17bからなる。
【0031】
固定接点21と固定接点22とは、所定の間隔をあけて平行に配置されている。固定接点21,22の可動接点23側の一方の端面は、平端面であり、例えば、円形の平端面である。この固定接点21の一方の端面と固定接点22の一方の端面とは、同じ高さ位置に配置されている。
【0032】
可動接点23は、固定接点21,22の一方の端面側に、この一方の端面に対向して配置されている。可動接点23は、固定接点21,22から所定距離離れた位置から固定接点21,22の各端面に接触する位置まで移動可能である。可動接点23は、例えば、平板状である。
【0033】
固定鉄心24と可動鉄心25は、円筒状のコイル20の中心部に配置されている。可動鉄心25は、固定鉄心24の一方の端面側に、この一方の端面に対向して配置されている。復帰ばね26は、固定鉄心24と可動鉄心25との間に配置されている。ロッド27の一端側は、可動鉄心25の中心部に固定されている。ロッド27の他端側は、固定鉄心24の中心部を貫通している。接圧ばね28は、ロッド27のフランジ状の他端部と可動接点23との間に配置されている。
【0034】
一対の永久磁石29,29は、アーク放電の消弧用の永久磁石である。一対の永久磁石29,29は、固定接点21,22と可動接点23(特に、固定接点21,22と可動接点23との接触箇所)を挟んで、対向して配置されている。特に、一方の永久磁石29のN極と他方の永久磁石29のS極とが、対向している。永久磁石29,29は、例えば、平板状である。
【0035】
コイル20が通電されて励磁すると、磁束が発生し、磁界が生成される。この磁界により、固定鉄心24と可動鉄心25が磁化され、互いに引き合う。これにより、可動鉄心25が固定鉄心24側に移動し、この可動鉄心25の移動に伴ってロッド27が移動する。このロッド27の移動に伴って、可動接点23が固定接点21,22側に移動し、図3に示すように可動接点23が固定接点21の一方の端面及び固定接点22の一方の端面に接触する。これにより、リレー13,14は、接続状態(オン)になり、可動接点23を介して固定接点21と固定接点22とが電気的に接続される。
【0036】
コイル20への通電が停止されると、コイル20が消磁する。この消磁により、固定鉄心24と可動鉄心25の磁化が解消される。これにより、復帰ばね26によって可動鉄心25が固定鉄心24と逆側(固定鉄心24から離れる側)に移動し、この可動鉄心25の移動に伴ってロッド27が移動する。このロッド27の移動に伴って、可動接点23が固定接点21,22と逆側(固定接点21,22から離れる側)に移動し、図2に示すように可動接点23が固定接点21,22から離れる。これにより、リレー13,14は、遮断状態(オフ)になる。
【0037】
このリレー13,14などを制御するECU15について説明する。ECU15は、演算を行うマイクロプロセッサ、このマイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラムなどを記憶するROM、演算結果などの各種データを記憶するRAM、その記憶内容が保持されるバックアップRAM及び入出力I/Fなどを有して構成されている。ECU15は、リレー13,14(コイル20)への通電/通電停止、DC−DCコンバータ11のスイッチング素子に対するスイッチング制御、インバータ12のスイッチング素子に対するスイッチング制御などを行う。なお、ECU15は、例えば、モータ制御用のECUでもよいし、ハイブリッド制御用のECUでもよいし、あるいは、複数のECUで構成されてもよい。複数のECUで構成される場合、例えば、バッテリ用のECUでリレー13,14への通電/通電停止を行い、モータ制御用のECUでDC−DCコンバータ11とインバータ12のスイッチング制御を行う。
【0038】
なお、一対の永久磁石29,29間では、一方の永久磁石29のN極から他方の永久磁石29のS極に向かう磁束が発生して、磁界が生成される。この磁界内で、可動接点23に電流が流れると、電磁力が発生する。したがって、リレー13,14では、接続状態のときに、可動接点23に電磁力が作用する。この電磁力が作用する方向は、フレミングの左手の法則により、可動接点23を流れる電流の方向と、可動接点23に対する一対の永久磁石29,29の配置(永久磁石29,29間で発生する磁界の方向)とで決まる。
【0039】
上述したように、DC−DCコンバータ11では、リップル電流が生じる。このリップル電流が、直流電流に重畳されて、リレー13,14(可動接点23)に流れる。リップル電流の大きさは周期的に変化するので、可動接点23に流れる電流が周期的に変化し、可動接点23に作用する電磁力が変化(増減)する。この電磁力の変化により、固定接点21,22に接触している可動接点23が振動することで、振動音が発生する。特に、電動モータ2を駆動するために高電圧のバッテリ10を用いた電源装置1ではリレー13,14の可動接点23に流れる直流電流が大きい(特に、放電時に電動モータ2を駆動するために充電時よりも流れる電流(最大値)が大きい)ので、リップル電流も大きくなり、振動音が大きくなってしまう。電源装置1は、この振動音を抑制するための構成を有している。
【0040】
この振動音を抑制するための第1リレー13と第2リレー14との配置方法を図4を参照して説明する。図4は、実施形態に係る電源装置1における第1リレー13と第2リレー14との配置を示す図である。図4では、リレー13,14の内部の一部(固定接点21,22,可動接点23)も示しており、可動接点23が固定接点21,22に接触している状態である。
【0041】
第1リレー13と第2リレー14とは、例えば、バッテリボックスの同じ側面40に取り付けられている。第1リレー13と第2リレー14とは、第1リレー13の可動接点23と固定接点21,22との接触面C1と第2リレー14の可動接点23と固定接点21,22との接触面C2とが対向するように平行に配置されている。また、第1リレー13と第2リレー14とは、振動音の半波長の奇数倍(波長の整数倍+半波長)の間隔をあけて配置されている。特に、第1リレー13と第2リレー14とは、対向する第1リレー13の接触面C1と第2リレー14の接触面C2との間隔が振動音の半波長の奇数倍になるように配置されている。
【0042】
なお、第1リレー13で発生する振動音と第2リレー14で発生する振動音は、リップル電流の周期的な変化によって発生する。したがって、第1リレー13で発生する振動音と第2リレー14で発生する振動音は、リップル電流の周波数と同じ周波数である。リップル電流の周波数は、上述したようにDC−DCコンバータ11のスイッチング素子のスイッチン周波数と同じ周波数である。振動音の波長は、音速を振動音の周波数で除算した値である。したがって、振動音の波長や半波長は、DC−DCコンバータ11のスイッチング素子のスイッチン周波数と音速を用いて算出できる。例えば、スイッチング周波数(振動音の周波数)を10kHz、音速を340m/sと仮定した場合、振動音の波長は34mmであり、半波長は17mmである。
【0043】
第1リレー13と第2リレー14とが振動音の半波長の奇数倍の間隔をあけて配置されているので、第1リレー13から第2リレー14の方向に伝わる振動音の音波と第2リレー14から第1リレー13の方向に伝わる振動音の音波とが逆位相となる。特に、第1リレー13での接触面C1(第1リレー13での振動音の発生箇所)と第2リレー14での接触面C2(第2リレー14での振動音の発生箇所)とが対向するように配置されているので、第1リレー13からの振動音が第2リレー14の接触面C2の方向に向かって伝わり易く、第2リレー14からの振動音が第1リレー13の接触面C1の方向に向かって伝わり易い。また、対向する第1リレー13での接触面C1と第2リレー14での接触面C2との間隔が振動音の半波長の奇数倍になるように配置されているので、第1リレー13からの振動音の音波と第2リレー14からの振動音の音波とが正確に逆位相となる。これにより、第1リレー13からの振動音と第2リレー14からの振動音とが互いに打ち消し合い、振動音の大きさ(音圧)が小さくなる。なお、この第1リレー13からの振動音と第2リレー14からの振動音との打ち消し合いには、大気中を直接伝わる振動音の音波の打ち消し合い以外にも、側面40の板を伝わる波の打ち消し合いもある。
【0044】
図4では、符号W1で示す実線で第1リレー13からの振動音の音波を示しており、符号W2で示す破線で第2リレー14からの振動音の音波を示している。この図4に示す例の場合、第1リレー13での接触面C1と第2リレー14での接触面C2との間隔が、振動音の半波長の5倍の距離である。音波W1は、2×波長+半波長で、第1リレー13の接触面C1から第2リレー14の接触面C2にちょうど到達している。音波W2は、2×波長+半波長で、第2リレー14の接触面C2から第1リレー13の接触面C1にちょうど到達している。この音波W1と音波W2とは、腹同士が正確に逆位相となっており、互いに打ち消し合う。
【0045】
実施形態に係る電源装置1によれば、第1リレー13と第2リレー14とを振動音の半波長の奇数倍の間隔をあけて配置することで、音対策用の部材を別途に設けずに、接続状態のときにリップル電流によってリレー13,14で発生する振動音(異音)を抑制できる。振動音を抑制するために音対策用部材を設ける必要がないので、コストや重量が増加しない。
【0046】
実施形態に係る電源装置1によれば、DC−DCコンバータ11のスイッチング素子のスイッチング周波数と音速を用いることで、振動音の波長や半波長を正確に得ることができる。例えば、設計時にDC−DCコンバータ11のスイッチング周波数を決めると、このスイッチング周波数を用いて振動音の半波長を算出して、第1リレー13と第2リレー14の間隔を決めることができる。
【0047】
実施形態に係る電源装置1によれば、第1リレー13での接触面C1と第2リレーでの接触面C2とが対向するように配置することで、第1リレー13で発生した振動音が第2リレー14の接触面C2の方向に伝わり易くなると共に第2リレー14で発生した振動音が第1リレー13の接触面C1の方向に伝わり易くなり、振動音の抑制効果を高くできる。さらに、実施形態に係る電源装置1によれば、対向する第1リレー13での接触面C1と第2リレー14での接触面C2との間隔が振動音の半波長の奇数倍になるように配置することで、第1リレー13で発生した振動音の音波と第2リレー14で発生した振動音の音波とが正確に逆位相となり、振動音の抑制効果を更に高くできる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では電動モータ2を駆動源として備える車両に適用したが、二次電池と変圧回路との間の正極側と負極側にリレーを備える電源装置であれば、車両以外にも適用可能である。
【0049】
上記実施形態では第1リレー13での接触面C1と第2リレー14での接触面C2とを対向させ、接触面C1と接触面C2との間隔が振動音の半波長の奇数倍の距離になるように配置する構成としたが、このように配置できない場合でも、第1リレー13と第2リレー14との間隔を振動音の半波長の奇数倍とすることで、第1リレー13の振動音の音波と第2リレー14の振動音の音波とが略逆位相になるので、振動音を抑制できる。また、第1リレー13での接触面C1と第2リレー14での接触面C2とが対向していない場合でも、振動音を抑制でき、例えば、図4に示す接触面C1と接触面C2とが互いに逆方向を向いて配置されている場合でもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 電源装置
2 電動モータ
10 バッテリ(二次電池)
11 DC−DCコンバータ(変圧回路)
12 インバータ
13 第1リレー
14 第2リレー
20 コイル
21,22 固定接点
23 可動接点
29 永久磁石
図1
図2
図3
図4