特許第6626394号(P6626394)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6626394
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】漏水調査方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/24 20060101AFI20191216BHJP
【FI】
   G01M3/24 D
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-75196(P2016-75196)
(22)【出願日】2016年4月4日
(65)【公開番号】特開2017-187337(P2017-187337A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2019年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】特許業務法人 クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 博昭
【審査官】 岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−201858(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/050923(WO,A1)
【文献】 再公表特許第2014/156990(JP,A1)
【文献】 米国特許第06453247(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00−3/40
F17D 1/00−5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の振動センサを用いた管路の漏水調査方法において、
前記複数個の振動センサのそれぞれにおいて管路の振動を計測する第一計測工程と、
前記第一計測工程において計測された振動波形を記憶する波形記憶工程と、
前記波形記憶工程において記憶された振動波形を読み出し、隣接する振動センサにおける振動波形の相互相関関数から漏水有無を判定する漏水有無判定工程と、
前記漏水有無判定工程において漏水有りと判定された振動センサで時刻同期をとる時刻同期工程と、
前記時刻同期工程において時刻同期をとった後に一定期間の振動波形を計測する第二計測工程と、
前記第二計測工程において計測された振動波形の相互相関関数から漏水場所を特定する発生源特定工程と、を含む、漏水調査方法。
【請求項2】
前記漏水有無判定工程において、前記第一計測工程において計測された振動波形のピーク高さから漏水の有無を判定し、
前記発生源特定工程において、前記第二計測工程において計測された振動波形のピーク位置から時間差を算定する、請求項1に記載の漏水調査方法。
【請求項3】
前記漏水有無判定工程において用いられる相互相関関数は、前記第一工程において計測する振動のうち複数区間の波形に基づいて演算されるものとし、前記複数の波形は隣接する区間の一部と重複している、請求項1または2に記載の漏水調査方法。
【請求項4】
前記複数個の振動センサは、記録部を有し、
前記記録部は、計測された前記振動および時刻を記録する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の漏水調査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路の漏水調査方法に関する。
【0002】
例えば、特許文献1(特開2013−210347号公報)には、センサの設置が簡便であり、かつ、検知の精度が高く、信頼性の高い、内部に流体が流れている配管の漏洩検知方法、漏水検知方法、漏洩検知装置および漏水検知装置について開示されている。
【0003】
特許文献1(特開2013−210347号公報)記載の内部に流体が流れている配管の漏洩検知方法は、2つの音響センサが、相互に一定の距離を置き、かつ、配管場所から一定の距離を置いて配置され、2つの音響センサを一組とし、一組の音響センサを構成する音響センサを時刻同期させ、音響センサが音響データを取得する音響データ取得工程と、各音響センサの受信した音の到来時間差を求める時間差算出工程と、到来時間差から、音の音源と各音響センサとの距離の差を算出する距離差算出工程と、各音響センサからの距離の差が一定である点の集合である、各音響センサの位置を焦点とする双曲線を求める双曲線取得工程と、配管と双曲線との交点から漏洩位置を特定する位置特定工程とを含むものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−210347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1のように、複数箇所における振動波形の相互相関関数より、漏水場所を特定する方法がある。しかしながら、全ての振動センサに対して時刻同期をとる必要があるため、振動の計測時に、同時刻における無線通信量が膨大となり、広域の漏水調査を行う際に大規模な無線ネットワークが必要となる問題がある。
また、振動センサによって音圧データを取得し、音圧閾値から漏水有無を判定する方法が存在するが、様々な発生源が存在する振動を一律で評価するため、判定精度が十分でないという課題がある。
【0006】
本発明の主な目的は、簡易に漏水位置を特定することができる漏水調査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)
一局面に従う漏水調査方法は、複数個の振動センサを用いた管路の漏水調査方法において、複数個の振動センサのそれぞれにおいて管路の振動を計測する第一計測工程と、第一計測工程において計測された振動波形を記憶する波形記憶工程と、波形記憶工程において記憶された振動波形を読み出し、隣接する振動センサにおける振動波形の相互相関関数から漏水有無を判定する漏水有無判定工程と、漏水有無判定工程において漏水有りと判定された振動センサで時刻同期をとる時刻同期工程と、時刻同期工程において時刻同期をとった後に一定期間の振動波形を計測する第二計測工程と、第二計測工程において計測された振動波形の相互相関関数から漏水場所を特定する発生源特定工程と、を含むものである。
【0008】
この場合、第1計測工程と、波形記憶工程と、漏水有無判定工程とを用いて、漏水の有無のみを判定する。その後、漏水有と判定された場合のみ、時刻同期工程と第二計測工程と、発生源特定工程とを用いて漏水場所を特定することができる。その結果、前段階で漏水の有無を判定するので、全ての箇所で時刻同期工程を行う必要がなくなる。その結果、簡易に漏水位置を特定することができる。
また、漏水有りと判定された振動センサのみ時刻同期を行うことで、漏水場所を確実に特定することができる。さらに、全ての振動センサに対して時刻同期を行う必要がなくなり、漏水調査の処理工程の簡略化を図ることができる。また、複数の振動センサについて、不要な時刻同期工程を減らすことができる。
【0009】
また、一度に多数の振動センサと通信する必要がなく、通信経路によって時刻同期に微小な誤差を生じたり、混線を防ぐために周波数帯がラップしないように措置したりすることが不要となる。
【0010】
さらに、振動波形の相互相関関数から時間差を算出し、漏水場所を特定する場合にセンサ間の管路長または管種、口径といった管路情報が必要となるが、隣接する全ての振動センサに対して管路情報と相互相関関数とをリンクする必要もなく、計算量も最低限で処理することができる。
【0011】
また、振動センサを水道管路に付随する仕切弁または消火栓に設置する場合、交通の妨げを防ぐためにハンドホールの鉄蓋を閉めておく必要が生じ、無線通信可能な距離が短いため、多数の中継器が必要となるといった課題があるが、特定された振動センサにのみ対応すればよいため、コスト低下を実現することができる。また、GPSまたは電波時計といった時刻同期手段を採用する場合においても、鉄蓋の外に設置する必要があるため、設備コストも最低限に抑制することができる。
【0012】
(2)
第2の発明にかかる漏水調査方法は、一局面にかかる漏水調査方法において、漏水有無判定工程において、第一計測工程において計測された振動波形のピーク高さから漏水の有無を判定し、発生源特定工程において、第二計測工程において計測された振動波形のピーク位置から時間差を算定してもよい。
【0013】
この場合、漏水有無判定工程ではピーク高さ、発生源特定工程ではピーク位置を活用することによって、簡易で確実な方法で漏水場所を特定する調査を行うことが可能となる。
すなわち、ピーク高さにより漏水有無を判定するので、容易に漏水の有無を判定することができる。その後、漏水有無判定により漏水有と判定された場合のみ発生源特定工程により漏水位置を特定すればよいため、処理の簡易化を実現することができる。
【0014】
(3)
第3の発明にかかる漏水調査方法は、一局面または第2の発明にかかる漏水調査方法において、漏水有無判定工程において用いられる相互相関関数は、第一工程において計測する振動のうち複数区間の波形に基づいて演算されるものとし、複数の波形は隣接する区間の一部と重複してもよい。
【0015】
この場合、相互相関関数は、隣接する区間の一部と重複することによって、精度が向上する。
例えば、振動の計測には電源が必要となる。電源を電池で賄う場合、波形の収録時間が長くなると、その分電池の消費が激しくなる。隣接する区間の一部を重複することにより、計算に必要な波形長を最低限にし、相互相関関数を多数算出することが可能となる。相互相関関数を多数算出することにより、漏水有無判定の精度が向上し、簡易で確実な方法で漏水場所を特定する調査を行うことが可能となる。
【0016】
(4)
第4の発明にかかる漏水調査方法は、一局面、第2または第3の発明にかかる漏水調査方法において、複数個の振動センサは、記録部を有し、記録部は、計測された振動および時刻を記録してもよい。
【0017】
この場合、記録部に振動および時刻が記録されるので、後に記録部に記録された時刻に合わせて振動データから相互相関関数を取ることができる。したがって、時刻同期工程を別途実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】漏水位置特定方法の状況を説明するための模式図である。
図2】振動センサを含む漏水位置検知装置の一例を示す模式図である。
図3】本実施の形態にかかる異常音発生位置の特定方法の一例を示すフローチャートである。
図4】本実施の形態にかかる異常音発生位置の特定方法の一例を示すフローチャートである。
図5】波形長の設定を説明する模式図である。
図6】波形長の抽出方法の一例を示す模式図である。
図7】波形長のオーバーラップを示した模式図である。
図8】漏水有のヒストグラムの一例を示す模式図である。
図9】漏水無しのヒストグラムの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0020】
<漏水位置特定方法の状況説明>
図1は、漏水位置特定方法の状況を説明するための模式図である。
【0021】
図1に示すように、地中に管網110が設けられている。管網110には、一定間隔で、縦孔(マンホール)120が設けられている。本実施の形態においては、ポイントAおよびポイントBの間隔で縦孔120が設けられている。この場合、図1のポイントAおよびポイントBの縦孔120に、それぞれ振動センサ200を設ける。
【0022】
<振動センサの説明>
図2は、振動センサを含む漏水位置検知装置の一例を示す模式図である。
【0023】
図2に示すように、本実施の形態にかかる異常音の発生特定装置100は、演算装置300および少なくとも一対の振動センサ200を含む。一対の振動センサ200は、共振型の振動センサ200である。
図2の振動センサ200は、台座210、支柱220、薄膜電極230,240、リード線231,241、圧電素子250、錘260、記録装置261、および内部クロック262を含む。
演算装置300は、フィルターを生成する生成部310、および演算部320からなる。
【0024】
図2に示すように、振動センサ200は、鉄製の台座210上に支柱220が固定される。支柱220の上端部に圧電素子250が設けられる。圧電素子250の一端部は、支柱220の上端部に片持ち支持されている。
【0025】
圧電素子250の両面に銀ペーストを塗布して形成された上下一対の薄膜電極230,240が設けられる。支柱220および一対の薄膜電極230,240の間は、絶縁されている。
また、圧電素子250の他端部で、かつ薄膜電極230上に錘260が載置されている。
【0026】
薄膜電極230には、リード線231が接続されており、薄膜電極240には、リード線241が接続されており、リード線231,241はそれぞれ演算装置300につながっている。
リード線231,241から出力される電位差を、演算装置等の処理装置により振動波形として出力する。
なお、本実施の形態においては、リード線231,241を用いることとしているが、これに限定されず、演算装置300との間で送受信可能な機能部を設けてもよい。
【0027】
また、圧電素子250は、高分子圧電材料であるポリフッ化ビニリデンの延伸フィルム(PVDFフィルム)によって形成されている。
【0028】
具体的なパラメータが、圧電材料の弾性Eと、断面二次モーメントJと、長さLと、幅bと、高さhとである場合、バネ定数kは、以下のように示される。
【0029】
k=3EJ/L(J=bh/12)・・・(1)
と示すことができる。
【0030】
圧電素子250と錘260とからなる系の共振周波数foは、以下のように示される。
【0031】
fo=√(k/M)/2π・・・(2)
【0032】
また、共振型の振動センサ200は、共振周波数foが、60Hz以上1000Hz未満の範囲内に少なくとも1個存在するように形成する。
本実施の形態に係る共振型の振動センサ200は、100Hzから500Hzまでの間に共振周波数foが4個存在するように形成している。その理由としては、管網110を伝わる異常音、特に漏水音は、可聴音が多く、中でも1000Hz未満が多いからである。
【0033】
なお、本実施の形態においては、共振型の振動センサ200を用いることとしているが、これに限定されず、従来の振動センサを用いてもよい。
【0034】
また、本実施の形態にかかる振動センサ200は、内部クロック262により時刻をカウントしつつ、振動波形を記録装置261に記録する。
【0035】
<漏水位置特定方法>
以下、本実施の形態にかかる異常音発生位置の特定方法の具体例について説明する。図3および図4は、本実施の形態にかかる異常音発生位置の特定方法の一例を示すフローチャートであり、図5は、波形長の設定を説明する模式図であり、図6は、波形長の抽出方法の一例を示す模式図であり、図7は、波形長のオーバーラップを説明するための模式図であり、図8は、漏水有のヒストグラムの一例を示し、図9は、漏水無しのヒストグラムの一例を示す模式図である。
【0036】
まず、図3に示すように、振動センサ200の記録装置261に100秒間記録することができるように設定する(ステップS11)。次に、複数の振動センサ200を縦孔(マンホール)120内の仕切り弁または消火栓等に設置する(ステップS12)。次に、振動センサ200を回収し、リード線231、241を取り付け、演算装置300に振動データを取り込む(ステップS13)。
【0037】
なお、本実施の形態においては、振動センサ200の記録装置261に100秒間振動波形を記録することとしているが、これに限定されず、他の所定の時間であってもよい。すなわち、合成樹脂管の振動の伝達速度が300m/秒で、振動センサ200間(図1のポイントAおよびポイントBの距離)を最大300mとした場合、1秒間の波形により相互相関関数を計算すれば、共通の振動源を探索することが可能となる。
【0038】
次に、演算装置300は、波形長の設定を行う(ステップS14)。具体的には、図5に示すように、演算装置300は、内部クロック262のずれ分を考慮して波形長の設定を行う。本実施の形態においては、隣り合う振動センサ200同士の時刻ずれを最大±1秒と仮定している。
【0039】
ここで、本実施の形態における時刻ずれは、内部クロック262の精度に依存する。例えば、内部クロックとしては水晶発振子が用いられる。水晶発振子は温度変化により時刻ずれを生じる場合があるため、温度補償回路によって補正を行うことが好ましい。クロックの時刻を合わせたタイミングと実際の波形を計測するまでの時間から最大時刻ずれを想定することができる。
本実施の形態では、内部クロックの時刻設定を行ったタイミングから24時間後に計測することとし、内部クロックの精度を鑑みると24時間後の時刻ずれが最大±1秒であることから、±1秒とずれ幅を想定した。仮に、計測のタイミングが48時間後であれば±2秒を時刻ずれと仮定することが好ましい。
【0040】
次いで、演算装置300は、時刻同期をとらず、内部クロックのずれ分を考慮した波形長を抽出する(ステップS15)。具体的に、図6に示すように、隣り合う振動センサ200同士の時刻ずれを最大±1秒と仮定した場合、波形長を3秒間とする。樹脂管の振動伝達速度を300m/秒、センサ設置間隔を最大300mとした場合、センサ間を振動が伝わる時間は最大1秒である。この1秒間に時刻ずれの±1秒を加えて3秒間とすればよい。また、計測のタイミングが48時間後であれば、±2秒を加えて5秒間としてもよい。
図6に示すように、3秒の波形長は、2秒がオーバーラップするように抽出する。この場合、100秒の振動波形から98個の波形長を抽出することができる。
【0041】
次に、抽出された波形長から相互相関関数を最大限作成する(ステップS16)。ここで、図7は、波形長のオーバーラップを示した模式図である。
【0042】
図7に示すように、それぞれの抽出波形に関して、特定の時刻における振動センサAと振動センサBとの関係を示している。
図7において、抽出波形1については、振動センサAは1秒進んでおり、振動センサBは1秒遅れている状況を示している。ここで、振動センサAと振動センサBの抽出波形とは、時刻同期をしていないため完全には一致していないのであるが、前後1秒間の幅を取っているため、振動センサAの抽出波形と振動センサBの抽出波形とで時刻一致点をもつ。
そのため、相互相関関数を演算した場合に特定の時間差で値を取ることになる。また、この状況は抽出波形2に移行した場合も同じような状況になり、特定の幅において相互相関関数が演算されるようになる。このようにして、抽出波形に関して、相互相関関数を98番目まで作成することができる。
【0043】
続いて、演算装置300は、作成した相互相関関数のピーク値を積算し(ステップS17)、積算結果が所定以上か否かを判定する(ステップS18)。
ここで、本実施の形態において、ピーク値は、最大ピーク値のみであってもよく、1番大きなピーク値から3番目に大きなピーク値までを積算してもよい。
【0044】
ここで、図8は、漏水有のヒストグラムの一例を示す模式図であり、図9は、漏水無しのヒストグラムの一例を示す模式図である。
図8および図9における横軸は時間差を示したものであり、縦軸は頻度を示したものである。
【0045】
図8に示すように、漏水漏れがあった場合に、1番大きなピーク値から3番目に大きなピーク値までを積算した場合、頻度の高さのピーク値が表れる。
このことは上述したように、振動センサAと振動センサBとの関係において、正確な時刻同期は取れていないのであるが、時刻ズレを考慮した幅で相互相関関数の演算を行っているため、本作業においては絶対値としての漏水箇所の正確な位置測定はできないのであるが、特定の幅を持って演算が行われることなるため特定の時間差で相互相関関数の演算が繰り返されることによってピーク高さは信頼性の高いものとなる。故に、これを積算し、頻度(ピーク高さ)を確認することで、漏水の有無そのものを検知することができる。
他方、図9に示すように、漏水漏れがない場合に、頻度の高さのピーク値が表れない。
このようにして、積算結果が所定以上である場合(ステップS18のYes)、漏水有と判定する(ステップS19)。また、積算結果が所定未満である場合(ステップS18のNo)、漏水無と判定する(ステップS20)。
なお、漏水有無の判定に関する閾値は、積算回数に応じて適宜決定してもよい。本実施の形態では、頻度の高さのピーク値が7回以上であれば漏水有と判定した。このようにして演算をすることによって、正確な時刻同期をとらなくても、ピーク頻度をカウントすることによって漏水の有無を適切に判断することができる。
【0046】
次いで、図4に示すように、演算装置300は、漏水有と判定された振動センサ200同士について時刻同期処理を行い、処理後から合計50秒間の波形を計測する(ステップS21)。
演算装置300は、50秒間の波形を1秒ごとに分割する(ステップS22)。続いて、演算装置300は、分割した波形から相互相関関数を計算し(ステップS23)、算出された相互相関関数を積算する(ステップS24)。
次に、相互相関関数からピーク位置を特定し、当該ピーク位置から時間差を算出する(ステップS25)。
最後に、管種に基づく振動の伝搬速度と時間差との関係から漏水位置を算出する(ステップS26)。
【0047】
以上のように、漏水有りと判定された振動センサ200のみ時刻同期を行うことで、漏水場所を確実に特定することができる。すなわち、全ての振動センサ200に対して時刻同期を行う必要がなくなり、漏水調査の処理工程の簡略化を図ることができる。また、複数の振動センサ200について、不要な時刻同期工程を減らすことができる。
【0048】
ピーク高さにより漏水有無を判定するので、容易に漏水の有無を判定することができる。その後、漏水有無判定により漏水有と判定された場合のみ発生源特定工程により漏水位置を特定すればよいため、処理の簡易化を実現することができる。
【0049】
本発明においては、管網110が「管路」に相当し、振動センサ200が「振動センサ」に相当し、ステップS11の処理からステップS26の処理が「管路の漏水調査方法」に相当し、ステップS13の処理が「第一計測工程、波形記憶工程」に相当し、ステップS18の処理が「漏水有無判定工程」に相当し、ステップS21の処理が「時刻同期をとる時刻同期工程、第二計測工程」に相当し、ステップS26の処理が「発生源特定工程」に相当し、記録装置261が「記録部」に相当する。
【0050】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0051】
110 管網
200 振動センサ
261 記録装置
262 内部クロック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9