【文献】
遠藤 義仁,クラウドファンディングで「欲しいものを作る」開発を,日経エレクトロニクス,日経BP社,2014年 3月17日,第1130号,p.59-64
【文献】
中村 稔,ニュース&トレンド,日経パソコン No.656,日経BP社,2012年 8月27日,第656号,p.16
【文献】
原 武雄,新商品はネットから生まれる 最新マーケティング手法,日経netbrain 第1巻 第6号,日経BP社,2000年 9月 8日,第1巻,p.64-71
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記配当判定部は、前記事業主により入力された、前記フィードバック情報に含まれる前記アドバイスまたは意見の内容が製品化やサービス化に貢献した程度に応じた評価点と、前記配分と前記利益とに基づいて、前記投資家に配分する金額を算出する、
ことを特徴とする請求項2に記載のクラウドファンディングシステム。
前記配当判定部は、前記投資家からのフィードバックを反映した製品またはサービスを前記投資家に提供すると判定した場合、前記投資家の属性情報に定められた送付先に配送するための配送リストを出力する、
ことを特徴とする請求項2に記載のクラウドファンディングシステム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照し、本発明にかかるクラウドファンディングシステムの実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明にかかるクラウドファンディングシステムを適用したクラウドファンディングシステム1000の構成例を示す図である。
図1に示すように、クラウドファンディングシステム1000は、事業主Cにより操作される事業主端末100と、投資家Iにより操作される投資家端末200と、クラウドファンディングシステム1000における主な各種処理を実行するファンディングシステム300と、事業主および投資家による資金決済を行う銀行システム400とを有している。事業主端末100と、投資家端末200と、ファンディングシステム300とは、WAN(Wide Area Network)等の公衆回線網であるネットワークN1により互いに接続されている。また、ファンディングシステム300と、銀行システム400とは、VPN(Virtual Private Network)等のプライベートネットワークN2により接続されている。なお、本例では、事業主端末100および投資家端末200が、それぞれ1台ずつネットワークN1に接続されている場合を示しているが、実際には、1または複数の端末が接続される。
【0011】
事業主端末100および投資家端末200は、
図16に示すようなコンピュータであり、例えば、キーボード等の入力部、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示部、入力された情報や表示部に出力する情報に対する各種処理を実行し、事業主端末100の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)等の制御部を有している。また、事業主端末100および投資家端末200が行う具体的な処理については、シーケンス図やフローチャートを用いて後述する。続いて、ファンディングシステム300について説明する。
【0012】
ファンディングシステム300は、投資家Iから提供された資金を事業主Cに提供するシステムである。
図1に示すように、ファンディングシステム300は、事業主端末100や投資家端末200との間でWEBブラウザを介して各種データを送受信するWEBサーバ301と、事業主が行うプロジェクトの内容や実績を管理する事業管理サーバ302と、上記プロジェクトやプロジェクトを構成するイベントの進捗を管理する進捗管理サーバ303と、試作品や試行サービスに対する投資家Iからの提案や助言といったアドバイスや、改善点や要望といった意見を含むフィードバック情報のフィードバックの状況を管理するフィードバック管理サーバ304と、上記フィードバックに基づいて有望な顧客にアプローチしたり、製品またはサービス等の事業の成果物のライフサイクルに基づいて新たな事業を行うと予測される事業主にアプローチするマーケティングサーバ305と、ファンディングシステム300を管理する管理者Mにより操作される管理者端末306と、ファンディングシステム300とネットワークN2との接続を中継するゲートウェイサーバ307とを有して構成されている。
【0013】
これらの各サーバは、
図16に示すようなサーバであり、それぞれのサーバは、例えば、各端末やサーバとの間で受け渡しする情報に対する各種処理を実行し、サーバの動作を制御するCPU等の制御部を有している。なお、管理者端末306は、上記事業主端末100および投資家端末200と同様、
図16に示すようなコンピュータから構成される。事業主端末100、投資家端末200、管理者端末306は、後述する
図16に示すハードウェア構成を有している。
【0014】
WEBサーバ301は、本システムで使用されるブラウザ画面やブラウザ画面を介した処理を実行するためのプログラムを記憶する外部メモリ3011を有している。WEBサーバ301は、後述する
図16に示すハードウェア構成を有している。事業管理サーバ302は、本システムで使用される機能(事業審査部、投資管理部、事業成立確認部、配当判定部で行われる各機能)を実現するためのプログラムを記憶する外部メモリ312を有している。また、外部メモリ312には、上記プログラムのほか、事業主が行う事業の内容や実績を記憶する事業管理データベース3121、投資者管理データベース3122、投資額管理データベース3123が記憶されている。これらの機能は、CPUが外部メモリ312からこれらのプログラムを読み出して不図示の主記憶装置上にロードして実行することにより、実現される。事業管理サーバ302は、後述する
図16に示すハードウェア構成を有している。
【0015】
進捗管理サーバ303は、本システムで使用される機能(進捗管理部で行われる機能)を実現するためのプログラムを記憶する外部メモリ313を有している。また、外部メモリ313には、上記プログラムのほか、上記事業や事業を構成するイベントの進捗を管理する事業進捗管理データベース3131が記憶されている。進捗管理サーバ303は、後述する
図16に示すハードウェア構成を有している。
【0016】
フィードバック管理サーバ304は、本システムで使用される機能(配送先判定部、フィードバック状況管理部、フィードバック情報整理部で行われる各機能)を実現するためのプログラムを記憶する外部メモリ314を有している。また、外部メモリ314には、上記プログラムのほか、上記アドバイスや意見を含むフィードバック情報のフィードバックの状況を管理するフィードバック状況管理データベース3141、投資家Iがフィードバックした内容を示すプレーンフィードバック情報データベース3142、フィードバック情報整理機能による分析結果を示すフィードバック情報整理結果データベース3143が記憶されている。これらの機能は、CPUが外部メモリ314からこれらのプログラムを読み出して不図示の主記憶装置上にロードして実行することにより、実現される。フィードバック管理サーバ304は、後述する
図16に示すハードウェア構成を有している。
【0017】
マーケティングサーバ305は、本システムで使用される機能(有望顧客発掘部で行われる機能、新事業主発掘部で行われる機能)を実現するためのプログラムを記憶する外部メモリ315を有している。上記各サーバが保持するデータや各サーバが行う具体的な処理については、シーケンス図やフローチャートを用いて後述する。これらの機能は、CPUが外部メモリ315からこれらのプログラムを読み出して不図示の主記憶装置上にロードして実行することにより、実現される。マーケティングサーバ305は、後述する
図16に示すハードウェア構成を有している。
【0018】
上記端末、サーバは、例えば、
図16に示すように、CPU11と、メインメモリ12と、ユーザI/F13と、通信I/F14と、外部メモリ3011、312、313、314、315とを含み、これらの各構成要素がバス17を介して互いに電気的に接続されたハードウェアとして構成される。
【0019】
CPU11は、外部メモリ3011、312、313、314、315からオペレーティングシステム等の様々なプログラムをメインメモリ12にロードし、ロードしたプログラムに含まれる命令を実行する。メインメモリ12は、CPU11が実行するプログラムを格納するために用いられ、例えば、DRAMによって構成される。
【0020】
ユーザI/F13は、例えば、オペレータの入力を受け付けるキーボードやマウス等の情報入力装置と、CPU11の演算結果を出力する液晶ディスプレイ等の情報出力装置とを含む。通信I/F14は、ハードウェア、ファームウェア、又はTCP/IPドライバやPPPドライバ等の通信用ソフトウェア又はこれらの組み合わせとして実装され、ネットワークを介して通信可能に構成される。
【0021】
外部メモリ3011、312、313、314、315は、例えば、磁気ディスクドライブで構成され、オペレーティングシステム等の様々なプログラム等の各種ファイルを格納している。続いて、銀行システム400について説明する。
【0022】
銀行システム400は、投資家となる顧客や事業の主体となる事業主を管理したり、その顧客や事業主の預金残高の管理や配当金を決済するシステムである。
図1に示すように、銀行システム400は、上記顧客を管理する顧客管理システム401と、上記決済を行う決済システム402とを有して構成されている。これらのシステムについては、従来から知られている顧客管理システムや決済システムと同様の構成を有しているため、ここではその説明を省略する。本例ではこれらをシステムとして記載しているが、上記のようなサーバとして構成されていてもよい。
【0023】
顧客管理システム401は、上記顧客や事業主を管理するためのプログラムを記憶する記憶部411を有している。また、記憶部411には、上記プログラムのほか、上記事業主に関する属性情報を記憶する法人データベース4111と、上記顧客に関する属性情報を記憶する顧客データベース4112が記憶されている。
【0024】
決済システム402は、上記顧客や事業主の預金残高の管理や配当金を決済するためのプログラムを記憶する記憶部412を有している。また、記憶部412には、上記プログラムのほか、事業主の預金残高を記憶した事業主預金残高データベース、投資家の預金残高を記憶した投資家預金残高データベースおよび事業成立までの間投資家から提供された資金をプールする投資家預金残高プールデータベースが記憶されている。なお、以下では、これらの3つのデータベースが分かれて記憶されている場合について説明しているが、実際には、決済システム402内で預金残高データベースとして1つのデータベースが存在し、その中のレコードとして、事業主の預金残高を示すレコード、投資家の預金残高を示すレコード、投資家の預金残高をプールするためのレコードが記憶される。各システムが保持するデータや具体的な処理については、シーケンス図やフローチャートを用いて後述する。続いて、各サーバが記憶するデータについて説明する。まず、事業管理サーバ302が記憶するデータについて説明する。
【0025】
図2は、事業管理サーバ302が記憶する事業管理データベース3121の例を示す図である。
図2に示すように、事業管理データベース3121は、事業主を識別するための法人IDと、その事業主が行う事業を識別するための事業IDと、その事業の進捗を示すプロジェクト進捗と、事業が遅延した回数を示すプロジェクト進捗遅延回数と、事業の結果を示すプロジェクト結果と、事業の形態と、事業の内容を示すアイディアと、投資家に対する投資を募集する期限を示す募集期限と、その募集金額(総額)と、1口あたりの募集金額を示す1口募集金額と、事業の成果をあげる期限を示すプロジェクト期間と、事業において提供する試作品や試行サービスの提供方法を示す提供方法と、その提供日と、投資家に対してどのような配当をするのかを定めた配当の内容とが対応付けて記憶されている。以下、事業主が行う事業のことをプロジェクトと呼ぶ場合もある。
【0026】
図2では、例えば、法人IDがHI0001で識別される事業主は、事業IDがJI0001のプロジェクトは2016年3月31日に完成し、成功したことを示している。また、このプロジェクトはトースターの開発に関するプロジェクトであり、目玉焼きが一緒にできるトースターを開発することがその内容であることを示している。また、このプロジェクトは、1口20,000円として、2015年5月9日までに総額1,000,000円の資金の投資を受けたことを示している。さらに、2015年6月30日にそのトースターの試作品を発送し、実際に製品の販売やサービスの提供により、プロジェクト期間に事業主が得た利益の30%を配当金として投資家に山分けして分配したことを示している。さらに、上記事業主は、事業IDがJI0002で識別される事業のバイク開発のプロジェクトに対する投資を募集中であることがわかる。このように、事業管理データベース3121には、事業主が行うプロジェクトやその内容や実績が記憶されている。
【0027】
図2では、法人IDから配当の内容までの項目が示されているが、これら以外の項目として、
図5に示す事業進捗管理DBが有するイベント内容、イベント開始日、イベント終了日、配当予定額や配当結果等の情報が対応付けて記憶されている。
図2では、そのうちの最初のレコードの各項目の内容を示しているが実際には、すべてのレコードについて各項目の内容が記憶されている。これらの項目については
図5を用いて説明する。
【0028】
図3は、事業管理サーバ302が記憶する投資者管理データベース3122の例を示す図である。
図3に示すように、投資者管理データベース3122は、上記事業IDと、投資家である顧客を識別するための個人IDと、その顧客がその事業に投資した口数を示す募集口数とが対応付けて記憶されている。
図3では、例えば、事業IDがJI0002のプロジェクトには、個人IDがKI0001で識別される投資家である顧客が1口の投資を行ったことを示している。このように、投資者管理データベース3122には、事業ごとに顧客が応募した口数が記憶されている。
【0029】
図4は、事業管理サーバ302が記憶する投資額管理データベース3123の例を示す図である。
図4に示すように、投資額管理データベース3123は、上記事業IDと、上記募集金額の残額を示す残募集金額とが対応付けて記憶されている。
図4では、例えば、事業IDがJI0002のプロジェクトの募集金額100,000,000円に対して10,000,000円が不足していることを示している。続いて進捗管理サーバ303が記憶するデータについて説明する。このように、投資額管理データベース3123には、事業ごとに募集金額の残分が記憶されている。続いて、進捗管理サーバ303が記憶するデータについて説明する。
【0030】
図5は、進捗管理サーバ303が記憶する事業進捗管理データベース3131の例を示す図である。
図5に示すように、事業進捗管理データベース3131は、上記事業IDと、そのプロジェクトにおいて発生するイベントを示すイベント内容と、そのイベントの開始日及び終了日と、そのイベントの状況を示すイベントステータスとが対応付けて記憶されている。
図5では、例えば、事業IDがJI0002のプロジェクトでは、事業主による試作品作成、投資家への試作品提供、投資家からの試作品に対するフィードバック、フィードバックを踏まえた製品製造、投資家への配当といった各イベントが工程として記憶されていることがわかる。また、それぞれのイベントについて開始日および終了日(例えば、試作品作成イベントについては、2016年8月1日から2016年9月30日)が記憶され、試作品作成イベントは現時点でイベントが開始され未終了であることを示している。イベントステータスには、例えば、初期値を示す「−」、イベント開始日には到達しているもののイベントが完了していないことを示す「未」、試作品作成から試作品提供までの間の準備をしていることを示す「準備中」、イベントが開始され終了したことを示す「済」等、イベントの進捗状況に応じて設定される。本例では、試作品移行の工程についてイベントが登録されているが、さらにこれ以前の工程について設定してもよい。このように、事業進捗管理データベース3131には、プロジェクトを構成するイベントとその予定日とが記憶されている。続いて、フィードバック管理サーバ304が記憶するデータについて説明する。
【0031】
図6は、フィードバック管理サーバ304が記憶するフィードバック状況管理データベース3141の例を示す図である。
図6に示すように、フィードバック状況管理データベース3141は、上記事業IDと、上記個人IDと、投資家からのフィードバックの状況を示すフィードバックステータスとが対応付けて記憶されている。
図6では、例えば、JI0002で識別されるプロジェクトについては、個人IDがKI0003の顧客からはフィードバックを受けているものの、個人IDがKI0001、KI0002の顧客からは未だフィードバックを受けていないことがわかる。このように、フィードバック状況管理データベース3141は、試作品や試行サービスに対する投資家からのフィードバックの有無が記憶されている。
【0032】
図7は、フィードバック管理サーバ304が記憶するプレーンフィードバック情報データベース3142の例を示す図である。
図7に示すように、プレーンフィードバック情報データベース3142は、上記事業IDと、上記個人IDと、その顧客が繰り返しフィードバックした際の履歴を識別するための履歴IDと、フィードバックを受けた日付を示す登録日と、フィードバックの内容を示す満足度、お買い得度、自由記載とが対応付けて記憶されている。
図7では、例えば、事業IDがJI0002のプロジェクトにおいて提供された試作品について、個人IDがKI0003の顧客は、過去1回、2016年10月2日に、満足でお買い得度が高い一方、8人乗りがよいといった要望をフィードバックしていることがわかる。このように、プレーンフィードバック情報データベース3142には、投資家である顧客が試作品や試行サービスに対して投資家端末100から入力された実際のフィードバック内容が履歴形式で記憶されている。
【0033】
図8は、フィードバック管理サーバ304が記憶するフィードバック情報整理結果データベース3143の例を示す図である。
図8に示すように、フィードバック情報整理結果データベース3143は、上記事業IDと、フィードバックの内容に含まれる評価観点と、その評価観点で試作品または試行サービスを評価した個人の属性情報の項目(例えば、生年月日から得られた年齢)であり、フィードバックの結果を集計し、集約するための判断軸となる属性区分と、その属性区分による分類された属性値と、その属性値を有する個人の支持率を示すポイントとが対応付けて記憶されている。
図8では、例えば、事業IDがJI0002のプロジェクトに対するフィードバックの内容に含まれる満足度について、年齢が20代の投資家についてみた場合、その70%が支持していることを示している。このように、フィードバック情報整理結果データベース3143には、上記評価観点についてみた場合における属性値の支持率の集計、集約結果が記憶されている。続いて、顧客管理システム401が記憶するデータについて説明する。
【0034】
図9は、顧客管理システム401が記憶する法人データベース4111の例を示す図である。
図9に示すように、法人データベース4111は、事業主を識別するための法人IDと、その事業主の法人名と、その法人の事業の業種と、その法人の従業員数と、その法人の設立年と、その法人の資本金とが対応付けて記憶されている。
図9では、例えば、法人IDがHI0001の事業主である小川屋は、従業員が1000人、資本金が10億円の企業であることを示している。また、この企業は、2000年から製造業を営んでいることがわかる。このように、法人データベース4111には、企業や法人、団体等の事業主に関する属性情報が記憶されている。
図9では特に示していないが、実際には、CIF(Customers' Information Files)といった、法人に関する現在までの取引状況の履歴が、上記情報とともに記憶されている。
【0035】
図10は、顧客管理システム401が記憶する顧客データベース4112の例を示す図である。
図10に示すように、顧客データベース4112は、上記個人IDと、その個人の個人名と、性別、生年月日、住所、居住非居住の別とが対応付けて記憶されている。
図10では、例えば、個人IDがKI0001である山田氏は、1980年10月10日生まれの男性であり、東京都港区六本木に居住していることを示している。このように、顧客データベース4112には、投資家に関する属性情報が記憶されている。続いて、本システムで行われる処理について説明する。
【0036】
図11A〜11Eは、本システムで行われる処理(ファンディング処理)の処理手順を示すシーケンス図である。以下に示すように、ファンディング処理には、大きくわけて、案件立上工程P1で行われる処理、募集工程P2で行われる処理、事業開始工程P3で行われる処理、試作品提供工程P4で行われる処理、試用・フィードバック工程P5で行われる処理、拡販支援工程P6で行われる処理、クロージング工程P7で行われる処理、次案件のフォロー工程P8で行われる処理がある。まず、案件立上工程P1で行われる処理について説明する。以下に示す各処理は、各端末や各サーバが有するCPU11がプログラムをメインメモリ12にロードして実行することにより実現される。
【0037】
案件立上工程P1は、事業主Cが、クラウドファンディングにより立ち上げる事業を登録するフェーズである。
図11Aに示すように、まず、事業主端末100は、事業主Cから、新規事業、新規ビジネスのアイディア、募集金額、プロジェクト期間、報酬の条件といった事業管理データベース3121への登録情報の入力を受け付ける(ステップS1101)。事業主端末100の制御部は、上記登録情報を、図示しない通信部を介してWEBサーバ301に送信する。上記登録情報の入力は、実際には、WEBサーバ301に記憶されている事業登録画面から入力される。WEBサーバ301の制御部は、事業主端末100から受信した登録情報を事業管理サーバ302に出力する。
【0038】
事業管理サーバ302の事業審査部は、WEBサーバ301から受け取った上記登録情報を事業管理データベース3121に登録する(ステップS1102)。このとき、事業審査部は、例えば、入力された法人IDをキーとして顧客システム401の法人データベース401にアクセスし、当該事業主が適切な事業主であるか否かを判定する。適切であるか否かは、例えば、CIFを参照して、過去の取引において遅延がない場合、適切であると判定すればよい。事業審査部は、当該事業主が適切であると判定した場合、上記登録情報を、
図2に示したように、事業管理データベース3121に登録する。事業審査部は、事業管理データベース3121に登録された事業を、投資端末200からアクセス可能な状態に設定する。ステップS1102の処理が終了すると、案件立上工程P1のフェーズが終了し、募集工程P2のフェーズに移る。
【0039】
募集工程P2は、クラウドファンディングにより立ち上げられた事業について、投資家Iに対して投資を募集するフェーズである。
図11Aに示すように、投資家端末200は、投資家Iから、現在募集中の新事業や過去の事業の実績の閲覧要求、希望の事業へ投資の申し込みの入力情報を受け付ける(ステップS1103)。投資家端末200の制御部は、上記入力情報を、図示しない通信部を介してWEBサーバ301に送信する。上記入力情報の入力は、実際には、WEBサーバ301に記憶されている新規事業照会・申し込み画面から入力される。WEBサーバ301の制御部は、投資家端末200から受信した入力情報を事業管理サーバ302に出力する。
【0040】
事業管理サーバ302の投資管理部は、WEBサーバ301から受け取った上記入力情報を投資者管理データベース3122、投資額管理データベース3123に登録する(ステップS1104)。このとき、投資管理部は、例えば、入力された個人IDをキーとして顧客システム401の顧客データベース401にアクセスし、当該投資家が投資資格を有した個人であるか否かを判定する。投資資格を有しているか否かは、例えば、年齢が20歳以上であり、国内居住である場合、投資資格を有していると判定すればよい。投資管理部は、当該個人が投資資格を有していると判定した場合、上記入力情報を、
図3に示したように、投資者管理データベース3122に登録する。さらに、投資管理部は、登録された事業IDをキーとして投資額管理データベース3123にアクセスし、事業者管理データベース3121の1口募集金額×上記入力情報として入力された募集口数分の募集金額の空きの有無を確認する。投資管理部は、上記空きがあると判定した場合、投資額管理データベース3123の残募集金額を更新するとともに、上記事業IDのほか、当該個人の個人IDおよび上記募集金額を決済システム402に通知する。決済システム402は、通知された個人IDで識別される個人の投資家預金残高データベースから上記募集金額を差し引くとともに、差し引いた金額を、投資家預金残高プールデータベースに移動させる。決済システム402は、投資家預金残高プールデータベースに移動した上記差し引いた金額を事業IDごとに集計、集約する。ステップS1104の処理が終了すると、募集工程P2のフェーズが終了し、事業開始工程P3のフェーズに移る。
【0041】
事業開始工程P3は、クラウドファンディングにより立ち上げられた事業の募集期限や残募集額から、事業の成立/不成立/募集中の判定を行うフェーズである。事業の成立(事業開始)となったプロジェクトについては、事業進捗管理データベース3131にレコードが登録される。
【0042】
図11Aに示すように、事業管理サーバ302の事業成立確認部は、事業管理データベース3121を常時監視し、登録された事業IDをキーとして、募集期限が到来したか否かをチェックしている。事業成立確認部は、募集期限が到来したと判定した場合、その事業IDに対応するイベント内容、イベント開始日、イベント終了日を読み取り、
図5に示した事業進捗管理データベース3131に登録する。このとき、事業成立確認部は、イベントごとにイベントの状況を示すイベントステータスを項目として追加し、初期値を設定する。さらに、事業成立確認部は、事業IDをキーにして決済システム402にプールされているその事業の募集金額が事業管理データベース3121に記憶されている募集金額に達したか否か、投資額管理DB3123に記憶されている残募集金額がゼロとなっているか否かを判定する。事業成立確認部は、両者の条件を満たしていると判定した場合、当該事業IDの事業が成立したと判断し、その旨と事業IDと法人IDとを決済システム402に通知する(ステップS1105)。決済システム402は、事業管理サーバ302から通知された事業IDをキーにして投資家預金残高プールデータベースに集計された募集金額分の資金を、投資家預金残高プールデータベースから法人IDで識別される事業主の事業主預金残高データベースに移動させる。実際には、決済システム402が、銀行システム400を管理する金融機関が定めた手数料を差し引いた形で上記資金が移動される。ステップS1105の処理が終了すると、事業開始工程P3のフェーズが終了し、試作品提供工程P4のフェーズに移る。
【0043】
試作品提供工程P4は、投資された資金を用いて試作品や試行サービスを投資家に提供するフェーズである。
図11Bに示すように、決済システム402が上記資金を事業主預金残高データベースに移動させると、その旨事業主端末100に通知する(ステップS1106)。この時点で、事業主Cは、当該事業が成立したことを把握し、集められた資金を元手に、試作品を提供したり、試行サービスを実行するための準備に着手する。以下、具体的な説明は省略するが、例えば、事業IDがJI0001の事業の場合、法人ID0001の事業主は、一緒に目玉焼きができるトースターの試作品を製造する(ステップS1107)。
【0044】
管理者端末306は、管理者Mから事業IDをキーに事業進捗管理データベース3131へのアクセス要求を受け付け、その要求を進捗管理サーバ303に送信する。進捗管理サーバ303の進捗管理部は、管理者端末306から上記要求を受信すると、事業IDをキーにして事業進捗管理データベース3131に登録されているその事業についてのイベント内容、イベント開始日、イベント終了日、イベントステータスを含む進捗管理画面を生成し、管理者端末306に送信する(ステップS1108)。管理者Mは、上記進捗管理画面を確認してイベントに遅延がある場合には事業主Cに進捗のフォローを入れる。本例では管理者Mが進捗のフォローを入れているが、管理者端末306がメール転送等の機能により自動的に事業主端末100に送信することにより、進捗のフォローを入れてもよい。また、管理者端末306は、イベントが成立した場合、管理者Mから、そのイベントのイベントステータスの更新を受け付け、上記同様に進捗管理部がそのイベントのイベントステータスを更新する。
【0045】
事業主Cが提供する試作品や実行する試行サービスができると(ステップS1109)、管理者Mにそれらが提供される(ステップS1110)。管理者端末306は、上記進捗管理画面を介して、管理者Mが事業主Cから受け取った試作品や試行サービスの事業IDおよび試作品が提供された旨の入力を受け付け、これらの情報を進捗管理サーバ303に送信する(ステップS1111)。
【0046】
フィードバック管理サーバ304の配送先判定部は、上記事業IDおよび試作品が提供された旨を管理者端末306から受信すると、その事業IDをキーに事業進捗管理データベース3131にアクセスし、その事業IDを含むイベントステータスの中から試作品提供を検索し、そのイベントステータスを更新する。また、配送先判定部は、事業進捗管理データベース3131の中から試作品作成のイベントステータスが完了に更新され、試作品提供のイベントステータスが未完了の事業IDを抽出する。さらに、配送先判定部は、その事業IDをキーとして投資者管理データベース3122にアクセスし、対応する個人IDを読み取り、読み取った個人IDをキーにして顧客データベース4113にアクセスし、当該投資家の属性情報を読み出し、試作品や試行サービスの送付先リストを生成する。さらに、配送先判定部は、試作品や試行サービスに対するフィードバックの実績を管理するため、
図6に示したフィードバック状況管理データベース3141にレコードを登録し、事業進捗管理データベース3131のイベントステータスを更新する(ステップS1112)。ステップS1112の処理が終了すると、試作品提供工程P4のフェーズが終了し、試用・フィードバック工程P5のフェーズに移る。
【0047】
試用・フィードバック工程P5は、投資家Iが試作品や試行サービスを試用して事業主Cにその結果をフィードバックするフェーズである。
図11Cに示すように、管理者Mにより、ステップS1112で生成された送付先リストを元に試作品や試行サービスを配送し、投資家Iがそれらを受け取ると(ステップS1113、S1114)、投資家Iはそれらの試用を開始する(ステップS1115)。このとき、管理者端末306は、管理者Mから、事業IDおよびその事業IDの事業で提供された試作品や試行サービスのフィードバック状況の確認要求の入力を受け付け、これらの情報をフィードバック管理サーバ304に送信する。フィードバック管理サーバ304のフィードバック状況管理部は、フィードバック状況管理データベース3141の中から管理者端末306から受信した上記事業IDを含むレコードを読み取り、対応する個人IDおよびフィードバックステータスを抽出し、管理者端末306に送信する(ステップS1116)。管理者Mは、試作品や試行サービスに対するフィードバック実績を確認し、フィードバック遅れている投資家がいれば管理者からフィードバックの催促を行う。なお、本例では、管理者Mがフィードバック実績を確認し、催促する場合について説明しているが、ステップS1108と同様、メール転送の機能により自動的に投資家端末200に催促してもよい。
【0048】
その後、投資家端末200は、投資家Iから、試用した試作品や試行サービスに対する満足度や改善点等、
図7に示したプレーンフィードバック情報データベース3142が記憶するフィードバック情報の入力を受け付ける(ステップS1117)。上記フィードバック情報の入力は、実際には、WEBサーバ301に記憶されているフィードバック登録画面から入力される。WEBサーバ301の制御部は、投資家端末200から受信したフィードバック情報を事業管理サーバ302に出力する。事業管理サーバ302のフィードバック情報整理部は、WEBサーバ301から受け取った上記フィードバック情報をフィードバック状況管理データベース3141、プレーンフィードバック情報管理データベース3142に登録する(ステップS1118、S1119)。具体的には、フィードバック情報整理部は、例えば、フィードバック情報に含まれる事業IDおよび個人IDをキーにして
図7に示したプレーンフィードバック情報管理データベース3142のレコードを登録するとともに、上記事業IDおよび個人IDをキーにして
図6に示したフィードバック状況管理データベース3141にアクセスし、フィードバックステータスを更新する。
【0049】
フィードバック情報整理部は、上記フィードバック情報をフィードバック状況管理データベース3141、プレーンフィードバック情報管理データベース3142へのフィードバック情報を登録すると、フィードバック情報整理処理を実行する(ステップS1120)。
【0050】
図12は、フィードバック情報整理処理の処理手順を示すフローチャートである。フィードバック情報整理処理とは、投資家Iから得られたフィードバック情報を、プレーンフィードバック情報管理データベース3142に記憶されている評価観点で、属性区分および属性値ごとにその内容を集計し、集約する処理である。以下に示す各処理は、サーバが有するCPU11がフィードバック情報整理部を実現するプログラムをメインメモリ12にロードして実行することにより実現される。この処理は、フィードバック情報整理部が、事業IDをキーにして事業進捗管理データベース3131DBにアクセスし、その事業のイベント内容のフィードバックがイベント終了日を迎え、かつその事業IDをキーにしてフィードバック状況管理データベース3141にアクセスし、全ての個人IDについて、フィードバックステータスが済みになっている場合に実行される。
【0051】
フィードバック情報整理部は、まず、フィードバック状況管理データベース3141から、フィードバック済みの事業ID、個人IDを抽出する(ステップS1201)。フィードバック情報整理部は、抽出した個人IDと同じIDの属性情報を顧客データベース4112から抽出する(ステップS1202)。
【0052】
フィードバック情報整理部は、上記属性情報を参照して、投資家である個人を、
図8に示したフィードバック情報整理結果データベース3143の属性区分、属性値ごとに分類する(ステップS1203)。例えば、フィードバック情報整理部は、ステップS1201で抽出した事業IDをキーにしてフィードバック情報整理結果データベース3143の評価観点、属性区分、属性値を読み取るとともに、ステップS1201で抽出した個人IDをキーにして顧客データベース4112の属性情報を読み取る。フィードバック情報整理部は、上記属性区分で示されている属性(例えば、年齢)の属性値(例えば、20代)ごとに、フィードバック情報を分類する。
【0053】
フィードバック情報整理部は、分類した属性区分、属性値ごとに、プレーンフィードバック情報データベース3142が記憶するフィードバック情報の内容を分析する(ステップS1204)。例えば、フィードバック情報整理部は、属性区分が年齢であり、属性値が20代である個人のフィードバック情報の中から、評価観点となる満足度が「満足」、「不満」、「やや満足」のいずれであるかを判断し、これらの値に応じて予め定められたポイントを設定する。上記判断については、例えば、AI(Artificial Intelligence)技術を用いて意味的に類似するものは同じ値であると判断することにより、入力値のゆらぎにより生じる集計誤差を低減させることができる。上記判断については、お買い得度や自由記載等、他のフィードバック情報の項目についても同様に考えることができる。この結果、フィードバック情報と、個人IDから紐付けた個人の属性情報を用いて、フィードバック内容の傾向を分析することができる。例えば、あり試作品については男性の満足が高い、女性は40代がお買い得と思っていない等の分析結果を得ることができる。また、自由記載欄については単語の分解、キーワードの抽出などを行い、内容を整理し、その結果を得ることができる。
【0054】
フィードバック情報整理部は、すべての属性区分、属性値ごとにステップS1204の処理を実行すると、その分析結果を集計、集約し、フィードバック情報整理結果データベース3143に記録する(ステップS1205)。例えば、フィードバック情報整理部は、事業ID、上記評価観点、上記属性区分、上記属性値ごとに、設定したポイントを集計し、
図8に示すフィードバック情報整理結果データベース3143のポイントに書き込む。全ての事業ID、評価観点、属性区分、属性値についてポイントの書き込みが終了すると、
図12に示したフィードバック情報整理処理の処理が終了する。フィードバック情報整理処理が終了すると、フィードバック情報整理部は、事業進捗管理データベース3131のイベント内容のうち、フィードバックのイベントステータスを更新する。続いて、
図11Cに戻って、ステップS1121以降の処理について説明する。
【0055】
事業主端末100は、事業主Cから、事業IDを含むフィードバック情報の照会操作を受け付け、その結果を出力する(ステップS1121)。上記フィードバック情報の照会操作は、実際には、WEBサーバ301に記憶されているフィードバック照会画面から入力される。WEBサーバ301の制御部は、上記照会操作を受けて、事業IDで識別される事業のフィードバック情報やその集計結果(
図7に示したプレーンフィードバック情報管理データベース3142、
図8に示したフィードバック状況管理データベース3141の内容)を取得し、事業主端末100に送信する。事業主端末100は、受信したこれらの情報を表示部に表示し、事業主Cはその内容を確認することができる(ステップS1122)。その後、事業主Cは、フィードバックの内容を踏まえて試作品や試行サービスを改良し、改良した製品やサービスを市場で販売することとなる。ステップS1121の処理が終了すると、試用・フィードバック工程P5のフェーズが終了し、拡販支援工程P6のフェーズに移る。
【0056】
拡販支援工程P6は、投資者管理データベース3122やプレーンフィードバック情報データベース3142で好意的な反応を返した個人と似た属性情報を有する顧客を顧客データベース4112から抽出し、有望顧客として発掘するフェーズである。
図11Dに示すように、マーケティングサーバ305の有望顧客発掘部は、プレーンフィードバック情報管理データベース3142に記憶されているフィードバック情報の中から、評価観点に対するポイントが高い個人の個人IDを特定し、その個人IDをキーにして顧客データベース4112からその個人の属性情報を取得する。有望顧客発掘部は、取得した属性情報に類似する属性を有する個人を顧客データベース4112の中から特定し、上記類似する属性を有する個人の属性情報を抽出し、それらの個人に対するダイレクトメールやE−mail、インターネットバンキング等の拡販を促す書類を出力する(ステップS1123)。上記ポイントが高い個人とは、例えば、満足度が高い個人である。また、上記類似する属性を有する個人とは、例えば、同年代の個人である。管理者Mが上記書類を受け取ると、その書類を、属性情報として示されている住所に配送する。ステップS1123の処理が終了すると、拡販支援工程P6のフェーズが終了し、クロージング工程P7のフェーズに移る。
【0057】
クロージング工程P7は、クラウドファンディングが成立した事業をクローズさせるフェーズである。
図11Dに示すように、事業主Cは、試用・フィードバック工程P5を経て製品やサービスを販売等した事業の結果を報告し(ステップS1124)、管理者Mがその結果を受け取ると、その事業結果を事業進捗管理データベース3131、事業管理データベース3121に登録する(ステップS1125)。具体的には、管理者端末306は、事業結果登録画面から、管理者Mによる事業の成否、配当に関わる情報(配当期間の利益や、売れた個数など)等の情報の入力を受け付け、事業管理サーバ302および進捗管理サーバ303に送信する。事業管理サーバ302の制御部は、管理者端末306から上記情報を受信すると、事業管理データベース3121を更新する。例えば、プロジェクト進捗を完成に更新したり、プロジェクト結果を成功に更新するとともに、上記配当に関わる情報を登録する。また、進捗管理サーバ303は、事業進捗管理データベース3131のイベント内容のうち、配当日のイベントステータスを更新する。
【0058】
なお、事業者Cは、製品化に結びついたフィードバック情報やそのフィードバック情報を提供した個人の属性情報、およびその評価点を管理者Mに報告してもよい。例えば、製品化に結びついたフィードバック情報の提供者には、評価点として5ポイントを付与し、全く製品化には結びつかなかったフィードバック情報の提供者に対しては1ポイントを付与する等、製品化やサービス化に貢献した程度を示す貢献度に応じて評価点を定めてもよい。管理者Mは、このような評価点を事業者から受け取ると、上記事業結果登録画面からこれらの情報を入力してもよい。この場合、フィードバック管理サーバ304は、管理者端末から、事業ID、個人ID、評価点を受信し、事業IDおよび個人IDをキーにして
図7に示したプレーンフィードバック情報管理データベース3142にアクセスし、対応する評価点に書き込む。上記評価点の報告は、管理者端末306から入力されてもよいし、事業主端末100から入力されてもよい。
【0059】
事業管理サーバ302の配当判定部は、上記事業の結果が事業管理データベース3121に登録されると配当判定処理を実行する(ステップS1126)。
【0060】
図13は、配当判定処理の処理手順を示すフローチャートである。配当判定処理とは、販売した製品やサービスに対する配当を投資家Iに還元する処理である。この処理は、配当判定部が、事業IDをキーにして事業管理データベース3121にアクセスし、配当計算終了日(例えば、プロジェクト期間終了後3ヶ月)を迎えた事業に対して実行され、事業管理データベース3121に記憶されている配当の内容から、配当金の金額、あるいは新商品提供の条件を満たしたか否かの判定を行う。以下に示す各処理は、サーバが有するCPU11が配当判定部を実現するプログラムをメインメモリ12にロードして実行することにより実現される。
【0061】
配当判定部は、まず、事業管理データベース3121から、プロジェクト進捗が完成となっている事業IDを抽出する(ステップS1301)。配当判定部は、投資者管理データベース3122を参照し、抽出した事業IDを含む個人IDおよび募集口数を抽出する(ステップS1302)。配当判定部は、事業IDをキーにして事業管理データベース3121にアクセスしその事業の配当の内容を確認する(ステップS1303)。
【0062】
配当判定部は、配当の内容が新製品または新サービス(すなわち、フィードバック情報を反映した製品またはサービス)の提供であるか否かを判定し(ステップS1304)、配当の内容が新製品または新サービスの提供であると判定した場合(ステップS1304;Yes)、ステップS1302で抽出した個人IDをキーに顧客データベース4112にアクセスし、その個人の属性情報を抽出し、それらの個人に対する新製品または新サービスの送付先リストを出力する(ステップS1305)。
【0063】
一方、配当判定部は、配当の内容が新製品または新サービスの提供でないと判定した場合(ステップS1304;No)、投資家に配当金を提供して還元すると判断し、配当の内容として予め定められた配分の金額(例えば、得た利益の30%を投資家に均等に山分けして配分した金額)を算出し(ステップS1306)、その金額、事業IDおよび個人IDを決済システム402に出力する(ステップS1307)。配当判定部は、ステップS1305またはS1307の処理が終了すると、
図13に示した配当判定処理が終了する。配当判定部は、事業進捗管理データベース3131のステータスを更新するとともに、事業管理データベース3121のプロジェクト結果(成否)を登録する。
【0064】
図11Dに戻り、決済システム402は、事業管理サーバ302から通知された事業IDをキーにして投資家預金残高データベースに記憶されている残高から、銀行システム400を管理する金融機関が定めた手数料を差し引いて、ステップS1306で算出された金額を、投資家預金残高データベースに振り込む処理を実行する。さらに、配当判定部は、ステップS1305で出力した送付先リストを管理者端末306に送信する。送付先リストを受け取った管理者Mは、フィードバック情報を反映した完成品である新製品を事業主Cから受け取り、上記送付先リストに記載されている住所に配送する(ステップS1127)。
【0065】
なお、上記配当金を算出する場合、プレーンフィードバック情報データベース3142に記憶されている評価点に応じてその額を定めてもよい。評価点が高い場合、新製品や新サービスへの貢献度がより高いと考えられるため、そのような投資家である個人に対しては、より多くの配当金を支払うことにより、投資家に対して高いインセンティブを与えることができる。ステップS1127の処理が終了すると、クロージング工程P7のフェーズが終了し、次案件のフォロー工程P8のフェーズに移る。
【0066】
次案件のフォロー工程P8は、直近のプロジェクト終了から一定期間経過したプロジェクトの中からプロジェクトの成否が好結果な事業主に対して新たな製品の開発や新たなサービスの提供を促すフェーズである。
図11Eに示すように、マーケティングサーバ305の新規事業発掘部は、事業管理データベース3121の中から、現時点で直近のプロジェクト終了より一定期間経過し、プロジェクトの成否が好結果(例えば、プロジェクト結果が成功として記憶されている事業の法人IDを抽出する。新規事業発掘部は、その法人IDをキーとして法人データベース4111にアクセスし、その法人の属性情報を取得し、それらの法人に対するダイレクトメールやE−mailにより、新事業、新サービス開始を促すDMあるいはPUSH型通知を行うための書類を出力する(ステップS1128)。なお、上記書類を出力するタイミングは、新製品や新サービスのライフサイクルに応じて定めればよい。新製品や新サービスのライフサイクルは、業種に応じて異なるため、AI学習させ開始を促す適切なタイミングを判断すればよい。
【0067】
このように、本システムでは、投資家から試作品や試行サービスに対するアドバイスや改善点や要望といった意見を含むフィードバック情報のフィードバックを受けて事業主が製品やサービスを改良して販売する。したがって、事業主にとっては、投資家などに代表される顧客のニーズを把握した製品を開発、販売することができる。また、投資家にとっては、試作品や試行サービスの提供を受けることで、自身の意見を反映した製品を世の中に流通させる可能性を得ることができる。
【0068】
投資家の集客策と投資側のメリットをあげると、例えば、
図14に示すように、事業主C側に新規事業や新サービスのアイディアを発案した場合、事業主Cは、投資家Iの銀行口座から資金の提供を受けて試作品の製造を開始し、その試作品を投資家Iに提供する。投資家Iにとっては、試作品の提供を受けることにより、事業主Cから特別のもてなしや製品の試作品を先行して入手できたことによる優越感を得ることができる。さらに、投資家Iは、事業主Cに対して、その試作品に対するアドバイスや要望等を伝えると、事業主Cはその内容を元に試作品を改良して市場販売し、より顧客の意見を反映した製品を世の中に送り出すことができる。そして、投資家Iは、その製品の売れ行きに応じて配当は完成品の提供を受けることができる。事業者Cは、投資家と似た顧客に対してダイレクトメール等で宣伝することにより、製品やサービスのユーザ数を増やすことができる。
【0069】
また、例えば、
図15に示すように、事業主C側に新規事業や新サービスのアイディアがない場合であっても、事業主Cは、例えば、投資家Iに対して新規事業や新サービスのテーマを募集するなどしてシステムに登録させるとともに、
図14の場合と同様に投資家Iの銀行口座から資金の提供を受けて試作品の製造を開始し、その試作品を投資家Iに提供する。以降、
図14と同様、投資家Iが試作品等に対するアドバイスや要望等を事業者Cに伝え、事業主Cはその内容を元に試作品を改良して市場販売し、より顧客の意見を反映した製品を世の中に送り出すことができる。そして、投資家Iは、その製品の売れ行きに応じて配当は完成品の提供を受けることができる。事業者Cは、投資家と似た顧客に対してダイレクトメール等で宣伝することにより、製品やサービスのユーザ数を増やすことができる。