特許第6626443号(P6626443)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6626443分解性フィルター構成要素を含む喫煙物品フィルター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6626443
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】分解性フィルター構成要素を含む喫煙物品フィルター
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/06 20060101AFI20191216BHJP
   A24D 1/02 20060101ALI20191216BHJP
   A24D 3/10 20060101ALI20191216BHJP
   A24D 3/14 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   A24D3/06
   A24D1/02
   A24D3/10
   A24D3/14
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-534233(P2016-534233)
(86)(22)【出願日】2014年12月22日
(65)【公表番号】特表2017-500021(P2017-500021A)
(43)【公表日】2017年1月5日
(86)【国際出願番号】EP2014079052
(87)【国際公開番号】WO2015092071
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年12月13日
(31)【優先権主張番号】13199236.4
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ナッピ レオナルド
【審査官】 岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05913311(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0000480(US,A1)
【文献】 特表2012−529276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 3/06
A24D 1/02
A24D 3/10
A24D 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物品のためのフィルターであって、前記フィルターが酢酸セルロースおよび分解性ポリマーのアセトン溶液から形成されるフィルター構成要素を含み、前記分解性ポリマーがアセトンに溶解でき、水の存在下で分解し、前記分解性ポリマーが乳酸−グリコール酸共重合体である、フィルター。
【請求項2】
前記フィルター構成要素が、酢酸セルロースおよび前記分解性ポリマーを含む前記溶液で形成された複数の繊維を含む繊維質の濾過材料のセグメントである、請求項1に記載のフィルター。
【請求項3】
前記繊維を形成する前記組成物が、全乾燥質量に基づいて、10重量パーセント〜75重量パーセントの前記分解性ポリマーを含む、請求項1または2に記載のフィルター。
【請求項4】
前記繊維質フィルターセグメントが、前記複数の繊維に適用された少なくとも一つの可塑剤をさらに含む、請求項2または3に記載のフィルター。
【請求項5】
前記可塑剤が、トリアセチン、クエン酸トリエチルおよびポリエチレングリコールから成る群から選択される、請求項4に記載のフィルター。
【請求項6】
酢酸セルロースおよび前記分解性ポリマーを含む前記溶液の複数の紡糸繊維を含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載のフィルター。
【請求項7】
前記繊維がドライ溶剤紡糸によって形成される、請求項6に記載のフィルター。
【請求項8】
前記繊維質フィルターセグメントの上流にあるロッド端セグメントおよび前記繊維質フィルターセグメントの下流にある口側の端セグメントのうち少なくとも一つをさらに含む、請求項2〜7のいずれか1項に記載のフィルター。
【請求項9】
前記フィルター構成要素が、酢酸セルローストウおよび前記分解性ポリマーを含む前記溶液で形成されたラッパーであり、前記ラッパーが前記フィルターの少なくとも一部分を囲む、請求項1に記載のフィルター。
【請求項10】
前記ラッパーを形成する前記組成物が、全乾燥質量に基づいて、10重量パーセント〜50重量パーセントの前記分解性ポリマーを含む、請求項9に記載のフィルター。
【請求項11】
前記ラッパーが実質的に透明である、請求項9または10に記載のフィルター。
【請求項12】
前記実質的に透明なラッパーがプラグラップであり、前記フィルターが前記プラグラップの上にある外側ラッパーをさらに含み、前記外側ラッパーが切り抜きを含む、請求項11に記載のフィルター。
【請求項13】
喫煙物品であって、
エアロゾル形成基体と、
前記エアロゾル形成基体と軸方向に整列して固定されたマウスピースとを含み、前記マウスピースが請求項1〜12のいずれか1項に記載のフィルターを含む喫煙物品。
【請求項14】
前記フィルターに取り付けられたたばこロッドを含む、請求項13に記載の喫煙物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分解性フィルター構成要素を備えた喫煙物品およびこのようなフィルターを含む喫煙物品に関連する。本発明はさらに、分解性フィルター構成要素を含むフィルターの製造方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
フィルター紙巻たばこは通常、紙ラッパーで囲まれたたばこカットフィラーの円筒形のロッドと、包まれたたばこロッドと端と端を接して軸方向に整列された円筒形のフィルターとを備える。円筒形のフィルターは通常、普通は酢酸セルローストウの紙プラグラップによって囲まれている濾過材料を含む。従来的には、包まれたたばこロッドおよびフィルターは、フィルターの全長および包まれたたばこロッドの隣接部分を囲む、通常は、紙材料によって形成されるチッピングラッパーの帯により結合される。
【0003】
たばこが燃焼するよりはむしろ加熱される多くの喫煙物品が、当業界において提唱されてきた。加熱式喫煙物品では、エアロゾルはエアロゾル発生基体(たばこなど)を加熱することにより生成される。公知の加熱式喫煙物品には、例えば、エアロゾルが電気的加熱によるか、または可燃性燃料要素または熱源からエアロゾル形成基体への熱の移動によって生成される喫煙物品が含まれる。喫煙中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル形成基体から放出され、喫煙物品を通して引き出された空気中に混入される。放出された化合物が冷めるにつれて凝結してエアロゾルを形成し、これが消費者によって吸い込まれる。また、ニコチン含有エアロゾルがたばこ材料、たばこ抽出物、またはその他のニコチン源から、燃焼することなく、また一部の場合には加熱することなく、例えば化学反応によって生成される、喫煙物品も公知である。
【0004】
喫煙後に残る紙巻たばこの吸い殻が廃棄後により簡単に分解するように、生分解性または水溶性の材料を使用して、紙巻たばこのフィルターを製造することが以前に提案されている。例えば、生分解性熱可塑性材料の繊維を単独でまたは従来的酢酸セルロース繊維と組み合わせて、繊維性フィルターセグメントを形成することが提案されている。しかし、このようなフィルターセグメントの製造は一般的に、従来的な酢酸セルロースフィルターセグメントに使用されるものとは異なる製造装置および技術を必要とし、これは生産性および費用に悪影響を与えうる。
【0005】
フィルターの廃棄後にフィルター全体としての崩壊および分解を促進するために、容易に化学変化または分解されうる分解性フィルター構成要素を含む喫煙物品のためのフィルターを提供することが望ましい。生産性に大きく影響することなく、既存の装置および技術を使用して容易に製造できるようなフィルターを提供することが特に望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明によると、喫煙物品のためのフィルターが提供されており、フィルターは、酢酸セルロースおよび分解性ポリマーのアセトン溶液から形成されたフィルター構成要素を含み、分解性ポリマーはアセトンに溶解でき、水の存在下で分解する。
【0007】
酢酸セルロースおよび分解性ポリマーを含む溶液は、以下の明細書では「分解性組成物」とも呼ばれる。
【0008】
「分解性ポリマー」という用語は、本明細書では、液体状の水または水蒸気の形態で存在しうる水分子の存在下、加水分解によってより小さな化合物に化学的に分解する高分子化合物を指す。ポリマーの加水分解は一般的に、水蒸気の存在下では液体状の水の存在下よりも遅い。本発明のフィルターでは、水の存在下での分解性ポリマーの化学的分解は、分解性組成物の物理的構造の分解を引き起こす。これによって次に、フィルター中の濾過材料の残りが環境に暴露された表面積の増加によってより迅速に分解するように、分解性組成物で形成されたフィルター構成要素がバラバラになる。有利なことに、本発明によるフィルターは、濾過材料の残りを環境に曝すために、環境中に自然に存在する水との接触で分解する分解性フィルター構成要素を提供することによって、喫煙済み物品のフィルターの分解を促進する。
【0009】
本発明によるフィルターの構成要素を形成するために使用される組成物の分解性ポリマーはアセトンに溶解できる。これによって、以下にさらに詳細に記述されるように、プロセスを変更する必要なく、分解性ポリマーを酢酸セルロースフィルター構成要素のための標準的製造プロセスに組み込むことが有利に可能となる。従って、追加的処理費用を発生させることなく、またプロセスの生産高に悪影響を与えることなく、分解性ポリマーをフィルター構成要素に組み込むことができる。
【0010】
本発明の目的では、室温(22℃)で、アセトン1ミリリットル(ml)あたりポリマーの少なくとも33ミリグラム(mg)が溶解する場合、ポリマーはアセトンに溶解すると見なされる。
【0011】
本発明に使用するために好ましい分解性ポリマーには、乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリ(コハク酸プロピレン)、L−ラクチド/カプロラクトン共重合体、ポリカプロラクトンおよびそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。分解性ポリマーは共重合体が好ましい。
【0012】
分解性ポリマーは生分解性であることが好ましい。
【0013】
分解性ポリマーは水に実質的に溶解しないことが好ましい。有利なことに、分解性組成物で形成されるフィルター構成要素は、例えば、消費者の口からまたはフィルターを通って引き出された主流煙からなど、喫煙中にフィルターと接触する水に曝された時に溶けない。
【0014】
本発明の特に好ましい実施形態では、分解性ポリマーは乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)である。PLGAは、結合してポリエステルを形成する、グリコール酸および乳酸モノマーで形成される共重合体である。PLGA中のモノマーの比率は、このポリマーが水の存在下で最も高い分解率を持つことから約40:60および約60:40が好ましく、約50:50がより好ましい。PLGAはアセトンに溶解でき、水の存在下で容易に分解する。
【0015】
本発明によるフィルターは、酢酸セルロースおよび分解性ポリマーを含む分解性組成物で形成された単一構成要素または複数の構成要素を含みうる。一般的に、酢酸セルロースから形成されるのに適した任意のフィルター構成要素は、分解性ポリマーと組み合わせた酢酸セルロースを含む分解性組成物で形成されうる。
【0016】
本発明の第一の態様では、酢酸セルロースおよび分解性ポリマーの分解性組成物を含む複数の繊維で形成された繊維性フィルターセグメントを含むフィルターが提供されている。
【0017】
有利なことに、本発明の第一の態様によるフィルターは、従来的な酢酸セルローストウのフィルターと比べた時、類似した味を消費者に送達する。類似した味の感覚は、繊維内の酢酸セルロースの包含によるもので、これによって、トリアセチンなどの従来的可塑剤を下記のように繊維性濾過セグメント内に繊維を結合するために使用するのを可能にする。従って、繊維は、従来的な酢酸セルローストウのフィルターと比べて、フィルターを組み入れた喫煙物品の喫煙中に類似したレベルの選択的フェノール低減を示すことができる。フィルターセグメントは、酢酸セルローストウのフィルターと類似した硬さも提供できる。
【0018】
分解性ポリマーを含む繊維を含む繊維質の濾過材料の使用は、繊維質の濾過材料で形成されたフィルターセグメントの分解を改善する。これは一部分において、酢酸セルロース繊維に比べて繊維の分解性が改善されていることによる。しかし、さらに、水の存在下での分解性ポリマーの分解は、繊維の分散および濾過材料の開放を促進する。繊維の分散の増加は、環境への個別繊維の曝露を増加させ、ゆえに濾過材料が分解する速度をさらに増加させる。
【0019】
複数の繊維は、組成物の全乾燥質量に基づいて、少なくとも約10重量パーセントの分解性ポリマーを含む分解性組成物で形成されることが好ましく、少なくとも約25重量パーセントがより好ましく、少なくとも約40重量パーセントが最も好ましい。分解性組成物は、組成物の全乾燥質量に基づいて、分解性ポリマーを約75重量パーセント未満含むことが好ましく、約60重量パーセント未満含むことがより好ましい。
【0020】
好ましい実施形態では、繊維は、組成物の全乾燥質量に基づいて、約10重量パーセント〜約75重量パーセントの分解性ポリマーを含む分解性組成物で形成され、約25重量パーセント〜約75重量パーセントがより好ましく、約40重量パーセント〜約60重量パーセントが最も好ましい。特に好ましい実施形態では、繊維は、全乾燥質量に基づいて、約50重量パーセントの分解性ポリマーを含む分解性組成物で形成される。
【0021】
特に好ましい実施形態では、繊維を形成する分解性組成物中の分解性ポリマーは乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)である。
【0022】
繊維を形成する分解性組成物は、組成物の全乾燥質量に基づいて、少なくとも約25重量パーセントの酢酸セルロースを含むことが好ましく、少なくとも約40重量パーセントがより好ましい。分解性組成物は、組成物の全乾燥質量に基づいて、酢酸セルロースを約90重量パーセント未満含むことが好ましく、約75パーセント未満含むことがより好ましく、約60重量パーセント未満含むことが最も好ましい。
【0023】
好ましい実施形態では、繊維は、組成物の全乾燥質量に基づいて、約25重量パーセント〜約90重量パーセントの酢酸セルロースを含む分解性組成物で形成され、約25重量パーセント〜約75重量パーセントがより好ましく、約40重量パーセント〜約60重量パーセントが最も好ましい。特に好ましい実施形態では、繊維は、全乾燥質量に基づいて、約50重量パーセントの酢酸セルロースを含む分解性組成物で形成される。
【0024】
分解性ポリマーおよび酢酸セルロースは、繊維を形成する分解性組成物の実質的にすべてまたは大部分を構成することが好ましい。従って、繊維は本質的に、分解性ポリマーおよび酢酸セルロースから成る。しかし、特定の実施形態では、追加的な機能的または非機能的構成要素を、繊維を形成する分解性組成物に組み込みうる。例えば、特定の実施形態では、分解性組成物は可塑剤を含むことができ、可塑剤は繊維の形成前に、酢酸セルロースおよび分解性ポリマーと共に組成物に組み込まれる。別の方法としてまたは追加的に、分解性組成物は、例えば二酸化チタンなどの着色料を含みうる。着色料が含まれる場合、着色料は、分解性組成物の全固体重量に基づいて、2重量パーセントを占めることが好ましく、1重量パーセント未満がより好ましい。
【0025】
繊維質フィルターセグメントは、複数の繊維に適用された少なくとも一つの可塑剤をさらに含むことが好ましい。この可塑剤は、上述のように、繊維を形成する分解性組成物に随意に加えられうる任意の可塑剤とは別である。本発明の目的では、繊維への可塑剤の適用は、対応する装置および方法を使用して、従来的な酢酸セルローストウのフィルターへの可塑剤の適用と類似した様式で実施されうる。可塑剤は、繊維質フィルターセグメントの製造中に、分離された繊維にスプレーされることが好ましい。
【0026】
有利なことに、本発明の第一の態様によるフィルターの繊維での酢酸セルロースの使用により、酢酸セルローストウ材料への使用が知られている従来的可塑剤の使用が可能となる。上述のように、これによって、従来的酢酸セルローストウと比べて、繊維への分解性ポリマーの包含が、本発明によるフィルターを組み込んだ喫煙物品の繊維質フィルターセグメントの硬さ、または喫煙中に経験する風味に悪影響を与えないことが確実になる。
【0027】
本発明での使用に適した可塑剤は当業者にはよく知られており、酢酸セルローストウに従来的に使用される可塑剤から選択されうる。適切な可塑剤の例には、トリアセチン、クエン酸トリエチルおよびポリエチレングリコールが含まれる。
【0028】
繊維質フィルターセグメントは、繊維質の濾過材料の全重量に基づいて、可塑剤の約1重量パーセント〜約15重量パーセント含むことが好ましく、約5重量パーセント〜約10重量パーセント含むことがより好ましい。
【0029】
繊維質フィルターセグメントを形成する分解性組成物の繊維は、紡糸工程で形成された紡糸繊維であることが好ましく、下述のように溶剤としてアセトンを使用したドライ溶剤紡糸工程が最も好ましい。
【0030】
繊維質の濾過材料の繊維は、フィルターの長軸方向に実質的に整列されてもよく、繊維質の濾過材料のセグメントの実質的に全長に沿って延びうる。別の方法として、繊維質の濾過材料の繊維はランダムに配向され、繊維質の濾過材料のセグメントの長さの一部のみに沿って延びうる。
【0031】
分解性組成物の繊維を含む繊維質の濾過材料のセグメントは、約1.5〜約8.0の繊維あたりのデニール、および約15000〜約46000の総デニールを持つことが好ましい。
【0032】
分解性組成物の繊維を含む繊維質の濾過材料のセグメントは、すべての換気を閉じて、108mmのフィルター長さに対して約80mmWG〜約900mmWGの引き出し抵抗(RTD)を持つことが好ましい。本明細書に使用される場合、引き出し抵抗は、圧力「mmWG」または「水位計のmm」の単位で表され、ISO 6565:2002に従って測定される。
【0033】
繊維質の濾過材料のセグメントは、酢酸セルロースおよび分解性ポリマーを含む分解性組成物の繊維から完全に形成されうる。別の方法として、繊維質の濾過材料のセグメントは、分解性組成物の繊維と組み合わせた異なる材料の追加的繊維で形成されうる。例えば、異なる材料の追加的繊維を含めて、繊維質の濾過材料の分解性をさらに改善しうる。適切な追加的繊維には、セルロースまたはポリ乳酸(PLA)で形成された繊維が含まれるがこれらに限定されない。適切なセルロース繊維の一例はリヨセル繊維で、これは木材パルプから形成される再生セルロース繊維である。本発明によるフィルターでの使用に適したリヨセル繊維は、Tencel(登録商標)の登録商標でLenzing Aktiengesellschaftから市販されている。
【0034】
分解性組成物の繊維で形成された繊維質の濾過材料のセグメントは、フィルターを通って引き出された主流煙からの少なくとも一つの気相成分を除去できる少なくとも一つの吸収材または触媒を含みうる。少なくとも一つの吸収材は、活性炭、活性アルミナ、ゼオライト、セピオライト、分子篩、シリカゲルおよびそれらの組み合わせから成る群から選択されることが好ましい。
【0035】
別の方法としてまたは追加的に、分解性組成物の繊維で形成された繊維質の濾過材料のセグメントは、フィルターを通して引き出された主流煙中に風味を放出できる少なくとも一つの風味剤を含みうる。本発明によるフィルター中に提供されるのに適切な風味剤は、ハッカ、スペアミント、コーヒー、お茶、スパイス(シナモン、クローブおよびショウガなど)、ココア、バニラ、果実風味、チョコレート、ユーカリ、ゼラニウム、リナロオールおよび天然または合成メントールを含むがこれらに限定されない。
【0036】
繊維質の濾過材料のセグメントに組み込むために適切な形態の風味剤は、当業者には周知であろう。例えば、風味剤は、液体風味剤を被包している一つ以上の壊れやすいカプセル、液体風味剤を浸み込ませた一つ以上の糸、液体風味剤を浸み込ませた一つ以上のビーズ、または繊維に直接添加された風味剤、またはそれらの組み合わせを含みうる。
【0037】
本発明の第一の態様によるフィルターは、単一セグメントフィルターである場合があり、分解性組成物の繊維のみで形成された繊維質の濾過材料のセグメントから成る。別の方法として、本発明の第一の態様によるフィルターは、二つ以上のセグメントを含む複数構成要素を含みうる。例えば、本発明の第一の態様によるフィルターは、繊維質の濾過材料のセグメントの上流にあるロッド端セグメント、および繊維質の濾過材料のセグメントの下流にある口側の端セグメントの少なくとも一つをさらに含む複数構成要素を含みうる。
【0038】
明細書全体を通して、「上流」および「下流」という用語は、その使用中にフィルターを通して吸い込まれる主流煙の方向に関して本発明によるフィルターの構成要素の相対的な位置を描写するために使用される。
【0039】
存在する場合、口側の端セグメントまたはロッド端セグメントは、繊維質の濾過材料のセグメントに組み込まれた任意の吸収材または風味剤に加えて、またはその代わりとして、少なくとも一つの吸収材または触媒、少なくとも一つの風味剤、またはそれらの組み合わせを含みうる。適切な吸収材および風味剤には、繊維質の濾過材料のセグメントに使用するための上述のものを含む。
【0040】
本発明の第二の態様では、酢酸セルロースおよび分解性ポリマーの分解性組成物を含む分解性組成物で形成されたラッパーを含むフィルターが提供されており、ラッパーはフィルターの少なくとも一部分を囲む。
【0041】
ラッパーは、フィルターの一つ以上のセグメントを囲むプラグラップであることが好ましい。「プラグラップ」という用語は、本明細書では、フィルターまたはフィルターの一部分のみを囲むラッパーを定義するために使用される。濾過材料の単一セグメントなど、フィルターが単一セグメントで形成される場合、プラグラップは単一セグメントを囲み、一般的には、その下にあるセグメントとチッピングラッパーの間の唯一の材料となる。マウスピースが一式の複数セグメントで形成される場合、「プラグラップ」という用語は、それぞれが単一セグメントまたはセグメントのサブセットのみを囲むセグメントプラグラップを指すか、またはセグメントおよび任意のセグメントプラグラップのすべてを囲む結合用プラグラップを指す可能性がある。
【0042】
分解性ポリマーを含むフィルターラッパーの使用は、フィルターの分解速度を増加させる。水と接触すると、ラッパー内の分解性ポリマーは上述のように分解し、それによってラッパーの構造を破壊し、フィルターを開いてその下にあるフィルター材料を環境に曝す。
【0043】
酢酸セルロースと分解性ポリマーの組み合わせを含む分解性組成物は、フィルターラッパーとして使用するのに適したフィルム材料に容易に形成できる。酢酸セルロースと分解性ポリマーの包含は、組成物のフィルムへの処理を促進し、さらにフィルムに望ましい強度を提供する。
【0044】
ラッパーは、組成物の全乾燥質量に基づいて、少なくとも約10重量パーセントの分解性ポリマーを含む分解性組成物で形成されることが好ましく、少なくとも約15重量パーセントがより好ましい。分解性組成物は、分解性組成物の全乾燥質量に基づいて、分解性ポリマーを約50重量パーセント未満含むことが好ましく、約40重量パーセント未満含むことがより好ましく、約30重量パーセント未満を含むことが最も好ましい。
【0045】
好ましい実施形態では、ラッパーは、組成物の全乾燥質量に基づいて、約10重量パーセント〜約50重量パーセントの分解性ポリマーを含む分解性組成物で形成され、約15重量パーセント〜約40重量パーセントがより好ましく、約15重量パーセント〜約30重量パーセントが最も好ましい。特に好ましい実施形態では、ラッパーは、全乾燥質量に基づいて、約20重量パーセントの分解性ポリマーを含む分解性組成物で形成される。
【0046】
特に好ましい実施形態では、ラッパーを形成する分解性組成物中の分解性ポリマーは乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)である。
【0047】
ラッパーを形成する分解性組成物は、分解性組成物の全乾燥質量に基づいて、少なくとも約50重量パーセントの酢酸セルロースを含むことが好ましく、少なくとも約60重量パーセントがより好ましく、少なくとも約70重量パーセントが最も好ましい。分解性組成物は、分解性組成物の全乾燥質量に基づいて、酢酸セルロースを約90重量パーセント未満含むことが好ましく、約85重量パーセント未満含むことがより好ましい。
【0048】
好ましい実施形態では、ラッパーは、組成物の全乾燥質量に基づいて、約50重量パーセント〜約90重量パーセントの酢酸セルロースを含む分解性組成物で形成され、約60重量パーセント〜約85重量パーセントがより好ましく、約70重量パーセント〜約85重量パーセントが最も好ましい。特に好ましい実施形態では、ラッパーは、全乾燥質量に基づいて、約80重量パーセントの酢酸セルロースを含む分解性組成物で形成される。
【0049】
分解性ポリマーおよび酢酸セルロースは、ラッパーを形成する分解性組成物の実質的にすべてまたは大部分を構成することが好ましい。従って、ラッパーは本質的に、分解性ポリマーおよび酢酸セルロースから成る。しかし、特定の実施形態では、追加的な機能的または非機能的構成要素を、ラッパーを形成する分解性組成物に組み込みうる。例えば、特定の実施形態では、分解性組成物は可塑剤を含むことができ、可塑剤はラッパーの成形前に、酢酸セルロースおよび分解性ポリマーと共に組成物に組み込まれる。喫煙物品のラッパーを形成するための適切な可塑剤は当業者には周知であろう。
【0050】
分解性組成物で形成されたラッパーは実質的に透明であることが好ましい。ラッパーは実質的に透明なプラグラップであることが特に好ましい。透明ラッパーの使用によって、消費者がその下にある濾過材料を見て、例えばフィルターの有効性を観察するか、または濾過材料に提供された任意の粒子状材料を見ることができる。ラッパーを形成する分解性組成物中の酢酸セルロースと分解性ポリマーの比は、ラッパーの透明性に一般的に影響し、望ましいレベルの透明性に従って調節できる。
【0051】
本明細書では「実質的に透明」という用語は、その材料を通して見ることができるように、少なくともかなりの比率の入射光が通過できる材料を描写するのに使用される。実質的に透明なプラグラップを含む本発明の実施形態では、実質的に透明なプラグは、プラグラップを通してその下にあるフィルターセグメントが見えるように十分な光を通過させる。実質的に透明なラップは完全に透明であるか、またはラップは、マウスピースセグメントがプラグラップを通して見えるように、低レベルの透明度を持ちながらも十分な光を伝達するものとしうる。
【0052】
実質的に透明なプラグラップの実施形態では、チッピングラッパーなどの任意の下にあるまたは上にある層は、消費者がその上にある層のすべてを通してマウスピースセグメントを見ることができるように、透明な窓部を持つかまたは切り抜きを持つ。
【0053】
ラッパーのヘイズは、ASTM D1003 − 透明プラスチックのヘイズおよび光透過率の標準試験法を使用して測定した場合、約3未満であることが好ましく、約2.8未満であることがより好ましい。光透過率は、クリアな試料を積分球の入口ポートから一定の距離に配置することによって得られる。しかし、試料がかすんでいる場合、全半球光透過率は、試料を球の入り口ポートに配置して測定しなければならない。測定された全半球光透過率は、試料の光学的属性に応じて、通常の光透過率よりも大きくなる。この試験方法では、ヘイズおよび全半球光透過率を測定するために、試料は必ず球の入り口ポートに配置される。
【0054】
分解性組成物で形成されたラッパーは、約25ミクロン〜約140ミクロンの厚さを持つことが好ましい。
【0055】
ラッパーは、約50gsm(グラム/平方メートル)〜約80gsmの坪量を持つことが好ましい。
【0056】
ラッパーは、例えば、通気性が10コレスタ単位未満など、空気に対して実質的に不通気性であることが好ましい。
【0057】
本発明によるフィルターは、酢酸セルロースおよび分解性ポリマーの分解性組成物で形成される繊維質の濾過材料のセグメントと、酢酸セルロースおよび分解性ポリマーの同じまたは異なる分解性組成物で形成されるラッパーの組み合わせを含みうる。
【0058】
本発明によると、エアロゾル形成基体およびエアロゾル形成基体と軸方向に整列して固定されたマウスピースを含み、マウスピースが上述に定義された発明によるフィルターを含む喫煙物品がさらに提供されている。エアロゾル形成基体およびマウスピースは、喫煙物品を囲むチッピングラッパーによって一緒に固定されることが好ましい。
【0059】
本発明による喫煙物品は、フィルター紙巻たばこ、またはたばこ材料または別の可燃性材料が燃焼して煙を形成するその他の喫煙物品としうる。別の方法として、本発明による喫煙物品は、たばこなどのエアロゾル形成基体が燃焼されるのではなく加熱されてエアロゾルを形成する物品としうる。あるタイプの加熱式喫煙物品では、たばこ材料または別のエアロゾル形成材料は、一つ以上の電気発熱体により加熱されてエアロゾルを生成する。加熱式喫煙物品の別のタイプにおいて、エアロゾルは可燃性熱源からエアロゾル形成基体への熱伝達によって生成される。本発明はさらに、ニコチン含有エアロゾルがたばこ材料、たばこ抽出物、またはその他のニコチン源から、燃焼することなく、また一部の場合には燃焼することなく、例えば化学反応によって生成される、喫煙物品も網羅する。
【0060】
本発明の特定の好ましい実施形態では、喫煙物品のエアロゾル発生基体は、本発明によるフィルターに取り付けられたたばこロッドを含む。
【0061】
上述のような本発明の第一の態様によるフィルターの繊維は、酢酸セルロースおよび分解性ポリマーのアセトン溶液を形成する工程と、ドライ溶剤紡糸によって溶液の繊維を形成する工程とを含む方法で形成されうる。次に、従来的フィルター製造技術および装置を使用して、繊維をフィルターセグメントの形状に形成しうる。随意に、フィルターセグメントの形成中に、可塑剤を繊維に適用しうる。
【0062】
当業者であれば、アセトンに溶解した時、酢酸セルロースおよび分解性ポリマーは密接に混合するため、溶液から形成された繊維中でも酢酸セルロースおよび分解性ポリマーは概して混合されたままとなることを理解するであろう。理論に拘束されることを望むものではないが、これは、酢酸セルロースと分解性ポリマー両方の繊維内での概して均一な分布をもたらすと考えられる。これは、酢酸セルロースの繊維が分解性ポリマーで被覆されている当業界で周知の溶液とは対照的である。酢酸セルロースおよび分解性ポリマーが、フィルター構成要素のそれぞれの個別繊維内で密接に混合されているため、分解性ポリマーが分解し始めた時、個別繊維はより小さなフラグメントに崩壊し、従ってより大きな表面積を環境に曝させ、それによって繊維の分解率がさらに有利に増加すると予測される。方法の第一の工程で、酢酸セルロースの薄片および分解性ポリマーはアセトン溶液に溶解して、溶液または「ドープ」を形成する。溶液は、溶液の100グラムあたり約2グラム〜約36グラムの酢酸セルロース、および溶液の100グラム当たり約1グラム〜約30グラムの分解性ポリマーを含むことが好ましい。随意に、可塑剤または着色料など、一つ以上の添加剤を溶液に添加しうる。溶液は、任意の固体残留物を除去するために、紡糸工程前に濾過されることが好ましい。
【0063】
酢酸セルロースと共に分解性ポリマーを溶液に含めても酢酸セルロースのアセトン溶液と比べて溶液の粘性を大きく増加させないことが、わかっている。これによって有利なことに、酢酸セルロースおよび分解性ポリマーの溶液を酢酸セルロースの溶液と同じ方法で処理することが可能となり、酢酸セルローストウの形成のために従来的装置および技術を使用して複数の繊維を形成できるようになる。
【0064】
上述の方法では、ドライ溶剤紡糸工程で複数の繊維が溶液から形成される。このような工程では、酢酸セルロースおよび分解性ポリマーの溶液は予熱されて、それぞれが細長い乾燥チャンバーの上に位置付けられた紡糸口金を含む一連の紡糸セルにポンプで送り込まれる。各紡糸口金は、それを通して溶液が圧力下で押し出される数百の小さな穴を一般的に含むヘッドを持つ。押出後、溶液は一連の繊維を形成し、これらは乾燥チャンバーを通して送られてアセトン溶剤が除去される。乾燥チャンバーでは、加熱空気の向流を提供して、溶剤を繊維から蒸発させうる。
【0065】
後続工程で、一連の繊維が一緒に集められ、統合されて一群の繊維またはトウを形成するが、これは従来的フィルター製造機械に提供されてフィルターセグメントを製造しうる。トウの形成中に可塑剤を従来的方法で繊維上にスプレーしうる。繊維は随意にトウの形成中に従来的方法で捲縮される。例えば、繊維は、US 2,647,285号に記述された方法など、紡織繊維を捲縮するための周知の方法を使用して捲縮できる。
【0066】
上述のような本発明の第二の態様によるフィルターのラッパーは、酢酸セルロースおよび分解性ポリマーのアセトン溶液を形成する工程と、溶液を成形してシートを形成する工程とを含む方法で形成されうる。次に、従来的技術および装置を使用して、一つ以上のフィルターセグメントの周りをシートで包むことができる。
【0067】
当業者であれば、アセトンに溶解した時、酢酸セルロースおよび分解性ポリマーは密接に混合するため、溶液から成形されたシート中でも酢酸セルロースおよび分解性ポリマーは概して混合されたままとなることを理解するであろう。理論に拘束されることを望むものではないが、これは、酢酸セルロースと分解性ポリマー両方のシート内での概して均一な分布をもたらすと考えられる。これは、酢酸セルロースのシートが分解性ポリマーで被覆されている当業界で周知の溶液とは対照的である。酢酸セルロースおよび分解性ポリマーがラッパーのシート内で密接に混合されているため、分解性ポリマーが分解し始めた時にラッパーの構造は崩壊し、従ってより大きな表面積を環境に曝させ、それによってシートの分解率がさらに有利に増加すると予測される。
【0068】
可塑剤は、成形工程の前に溶液に添加されることが好ましい。
【0069】
溶液は上述のように形成することができ、当業者に周知の従来的技術を使用して、シートまたはフィルムに成形されうる。成形後、シートを乾燥してアセトン溶剤を除去する。次に乾燥されたシートを従来的フィルター製造装置で使用して、フィルターのための一つ以上のラッパーを提供することができる。
【0070】
ここで、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明するが、これは例証としてのみである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1図1は、フィルターが包まれていない状態での、本発明の第一の態様によるフィルターを含む喫煙物品を示す。
図2図2は、フィルターが包まれていない状態での、本発明の第二の態様によるフィルターを含む喫煙物品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0072】
図1に示すフィルター紙巻たばこ10は、プラグラップ18で包まれた単一のフィルターセグメント16を含む、本発明の第一の態様による軸方向に整列されたフィルター14に一方の端で取り付けられた、たばこカットフィラーの包まれたロッド12を備える。包まれたたばこロッド12およびフィルター14は、チッピングペーパーで形成される外側ラッパー20によって結合され、このラッパーがフィルター14の全長およびたばこロッド12の隣接部分を囲む。
【0073】
フィルターセグメント16は、50重量パーセントの酢酸セルロースおよび50重量パーセントの乳酸−グリコール酸共重合体を含む組成物で形成される複数の繊維を含む。トリアセチンを含む可塑剤が、従来的方法では繊維に適用されている。
【0074】
複数の繊維は、上述のようにドライ溶剤紡糸工程で形成され、フィルターセグメント16は従来的方法で繊維から製造されうる。フィルター紙巻たばこ10を形成するためにフィルター14が製造され、次に、従来的方法で製造される包まれたたばこロッド12に、周知のフィルター紙巻たばこ製造装置を使用してチッピングペーパー16により結合される。
【0075】
図2は、本発明の第二の態様により軸方向に整列されたフィルター34に取り付けられたたばこカットフィラーの包まれたロッド32を含むフィルター紙巻たばこ30を示すが、これは、包まれたたばこロッド32から離れた口側の端セグメント36、口側の端セグメント36の上流に位置する風味を放出するセグメント38、および包まれたたばこロッド32に隣接して境を接し、第一の風味を放出するセグメント38の上流に位置するロッド端セグメント40の、端と端を接した3つのフィルターセグメントを含む。
【0076】
口側の端セグメント36は、低い濾過効率の酢酸セルローストウのプラグを含む。風味を放出するセグメント38は、それを通して適切な風味剤(カットされたペパーミントの葉など)の粒子が分散されている酢酸セルローストウのプラグを含む。ロッド端セグメント40は、活性炭などの添加剤が付加された中〜低濾過効率の酢酸セルローストウのプラグを含む。口側の端セグメント36、風味を放出するセグメント38、およびロッド端セグメント40は、セグメントプラグラップ37、39、41でそれぞれが包まれている。風味を放出するセグメント38のプラグラップ39は、酢酸セルロースを80重量パーセントおよび乳酸−グリコール酸共重合体を20重量パーセント含む実質的に透明なシート材料で形成される。
【0077】
包まれたたばこロッド32および包まれたフィルター34は、チッピングペーパーで形成される外側ラッパー42によって結合され、このラッパーがフィルター34の全長およびたばこロッド32の隣接部分を囲む。外側ラッパー42は、風味を放出するセグメント38の上で、セグメントの長さに沿ってほぼ中間に位置付けられた、約5mmの直径を持つ円形の切り抜き部分44を含む。その下にある実質的に透明なプラグラップ39は、外側ラッパー42の切り抜き部分44を通して露出し、従って、カットされたペパーミントの葉を含む風味を放出するセグメント38が切り抜き部分44を通して見える。
【0078】
図2に示されたフィルター紙巻たばこ30の複数構成要素フィルター34を製造するために、複数構成要素フィルター34の各セグメント36、38、40の複数ユニットを含む別の連続的ロッドが周知の方法で製造される。セグメント36、40は従来的なプラグラップ材料に包まれており、セグメント38は、酢酸セルロースおよび乳酸−グリコール酸共重合体を含む組成物で形成された透明なプラグラップに包まれている。組み立てられたフィルターは、事前に形成された切り抜き部分44を持つ外側ラッパー42によって、包まれたたばこロッド32に結合される。
図1
図2