(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フロートバスの少なくともある量を循環させるために、該フロートバス内に磁場を誘起するステップをさらに含むことを特徴とする請求項6から9いずれか1項記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで、実施形態例を示す添付の図面を参照して、例を以下でより十分に説明する。可能な限り、図面を通じて、同じまたは同様の部分の参照に同じ参照番号を使用する。ただし、態様は多くの異なる形で具現化され得、本書に明記される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0027】
図1を参照すると、第1例のガラス製造装置101が、第1のガラスリボン105を製造するために単独でまたは組み合わせて使用され得る種々の特徴の例を備えている。図示のように第1例のガラス製造装置101は、溶解タンク107、第1の成形機器103、第1のフロートタンク110、アニール装置115、冷却領域120、およびリフトオフ領域125を備え得る。
【0028】
第1例のガラス製造装置101の一例において、溶解タンク107は、矢印121で示されているようにガラスバッチ材料が導入される炉を備えている。ガラスバッチ材料は、いくつかの例において予め混合されたものでもよく、また溶解タンク107に連続的または断続的に追加され得る。ガラスバッチ材料は、溶解タンク107内に入ると加熱および溶解されて、第1の溶融ガラス123が形成される。第1の溶融ガラス123は次いで溶解タンク107から、第1の成形機器103を越えて第1のフロートタンク110へと流れる。さらなる例では、フロートタンク110において第1のガラスリボン105を成形する前に、第1の溶融ガラス123を、不純物、気泡、または他の含有物を取り除くよう処理または調整してもよい。本開示の態様に従って第1のガラスリボン105を生成するために、種々の成形機器を使用することができる。例えば
図3に示されているように、第1の成形機器103はスパウト109を備えていてもよく、このスパウト109を越えて第1の溶融ガラス123は第1のフロートタンク110へと流れる。第1の成形機器103は、第1のガラスリボン105の第1のエッジ部分105aと第2のエッジ部分105bとの間に延在する第1の幅「W1」を含む、第1のガラスリボン105を生成する。一例において、第1の幅「W1」などの第1のガラスリボン105のサイズは、スパウト109のサイズを変化させる(例えば、幅などの寸法を増加または減少させる)ことによって制御することができる。一例において、より幅広のスパウトは、より狭い幅のガラスリボンを生成し得るより狭いスパウトに比べて、より広い幅のガラスリボンを生成することができる。
【0029】
第1のフロートタンク110から第1のガラスリボン105は、
図1に示されているように、アニール装置115を通ってさらに延伸または移送され得る。第1のフロートタンク110の特徴は以下でより十分に説明する。一例において、アニール装置115は複数のローラ(図示なし)を備え、第1のガラスリボン105はこのローラ上で移送される。別の例においてアニール装置115は、第1のガラスリボン105を冷却するアニール炉116を備えている。さらに別の例では、第1のガラスリボン105をゆっくり冷却して、応力が第1のガラスリボン105内で増大するのを防ぐようにしてもよい。一旦アニール装置115を通過すると、第1のガラスリボン105を冷却領域120に通して、さらに延伸または移送し続けてもよい。一例において、第1のガラスリボン105は冷却領域120内で冷却および硬化され続ける。一旦第1のガラスリボン105が十分に冷却されると、第1のガラスリボンはさらに処理され得る。一例では第1のガラスリボンを、(以下で、より十分に説明するように)第1の牽引ロール装置102によって損なわれ得る第1のガラスリボンのエッジを除去するよう、トリミングまたは切断してもよい。別の例では第1のガラスリボン105を、既定のサイズの第1の個々のガラスシート127a、127bへと切断してもよい。リフトオフ領域125では、ロボットアームまたは他の機器(図示なし)が第1の個々のガラスシート127a、127bを持ち上げて、個々の第1のガラスシートを異なる位置に移動させてもよい。例えば第1の個々のガラスシート127a、127bを、第1例のガラス製造装置101から離れたところに位置する場所に移送するために、車両または他の搬送機器(図示なし)に移動させてもよい。さらに他の例では、第1の個々のガラスシート127a、127bを、後に使用するために保存してもよいし、または積み重ねておいてもよい。さらに別の例では、第1のガラスリボン105を第1の個々のガラスシートに切断するのではなく、第1のガラスリボン105を一定期間に亘って実質的に連続したままとしてもよく、さらに例えばロール(図示なし)に巻き取ってもよい。
【0030】
図2を参照すると、第2例のガラス製造装置201が、第2のガラスリボン205を製造するために単独でまたは組み合わせて使用され得る種々の特徴の例を備えている。図示のように第2例のガラス製造装置201は、溶解槽207、清澄槽209、混合槽211、送出槽213、第2の成形機器203、第2のフロートタンク210、および分離機器219を備え得る。
【0031】
溶解槽207では、ガラスバッチ材料が矢印221で示されているように導入されかつ溶解されて、第2の溶融ガラス223が形成される。清澄槽209は、溶解槽207から第2の溶融ガラス223(この時点では図示なし)を受け入れる、高温の処理エリアを有している。気泡を第2の溶融ガラス223から除去することができるのは、この清澄槽209内である。さらに清澄槽209は、清澄器から攪拌チャンバへの接続管225によって、混合槽211に接続されている。混合槽211は、攪拌チャンバからボウルへの接続管227によって、送出槽213に接続されている。送出槽213は下降管229を通じて第2の溶融ガラス223を、注入口231へと、さらに第2の成形機器203内へと送出する。
【0032】
上記のように、種々の成形機器を本開示の態様に従って使用することができる。例えば
図2および
図4に示されているように、第2の成形機器203は、トラフ235内へと流れる第2の溶融ガラス223を受け入れる開口233を含み得る。
図4に最もよく示されているように、第2の溶融ガラス223はトラフ235から溢れ出て、第2の成形機器203の2つの側面237aおよび237bを流れ落ちてから、第2の成形機器203の底部239で融合する。底部239は、2つの側面237a、237bが一体になる場所であり、またこの底部239の位置で、2つの側面237a、237bの夫々を覆って流れている2つの溢れ出た第2の溶融ガラス223の壁は、第2のガラスリボン205として融合する。一例において第2のガラスリボン205の一部分は、底部239から離れるように延伸されて粘性ゾーン241内に入り、ここで第2のガラスリボン205は最終的な厚さへと薄くなり始める。他の例において、第2のガラスリボンは硬化ゾーン243および/または弾性ゾーン245を含み得る。
図2に戻って参照すると、第2の成形機器203は第2のガラスリボン205を生成し、第2のガラスリボン205は、第2のガラスリボン205の第1のエッジ部分205aと第2のエッジ部分205bとの間に延在する、第2の幅「W2」を含む。第2のガラスリボン205は、次いで第2のフロートタンク210へと流れ得、または第2のフロートタンク210内へと延伸され得る。その特徴は以下でより十分に説明する。
図5にさらに示されているように、第2のガラスリボン205が第2のフロートタンク210を離れた後、分離機器219を提供して、一定期間に亘って第2のガラスリボン205から複数の第2の個々のガラスシート247a、247bを順次分離してもよい。別の例では第2例のガラス製造装置201を、第2のガラスリボン205が一定期間に亘って実質的に連続したままになり得るよう、分離機器219を備えずに提供してもよい。例えば、いくつかの例ではガラスリボンを保管ロールに巻き付けてもよく、この場合ガラスリボンを巻き付けることにより保管ロールが満巻きとなり、さらに続いて保管ロールが解かれた後の時点で、ガラスリボンを分離するために分離機器を提供してもよい。
【0033】
図1〜3および5に示されているように、第1例のガラス製造装置101および第2例のガラス製造装置201は夫々、第1の牽引ロール装置102および第2の牽引ロール装置202をさらに備えて、第1の成形機器103および第2の成形機器203から第1のフロートタンク110および第2のフロートタンク210へと、第1のガラスリボン105および第2のガラスリボン205を延伸するのを助けてもよい。例えば
図1および3に示されているように、第1例のガラス製造装置101は、第1のガラスリボン105をスパウト109から第1のフロートタンク110へと第1の延伸経路104に沿って延伸するのを助けるように構成された、第1の牽引ロール装置102を備え得る。同様に、
図2および5に示されているように、第2例のガラス製造装置201は、第2のガラスリボン205を底部239から第2のフロートタンク210へと第2の延伸経路204に沿って延伸するのを助けるように構成された、第2の牽引ロール装置202を備え得る。
【0034】
図6は、本開示の例による一例のフロートタンク310および一例の牽引ロール装置302を含む、一例のガラス製造装置301を示している。この例のフロートタンク310および牽引ロール装置302は、単独で使用してもよいし、あるいは第1のフロートタンク110および第2のフロートタンク210、第1の牽引ロール装置102および第2の牽引ロール装置202の代わりにするなど、上で論じた第1例のガラス製造装置101および第2例のガラス製造装置201の任意の特徴と組み合わせて使用してもよい。さらに、上述した第1の成形機器103および/または第2の成形機器203、並びにガラスリボンを生成するように構成された任意の他の成形機器、のいずれかを含み得る一例の成形機器303によって一例のガラスリボン305が成形され得るという理解の下、この例のガラスリボン305を説明する。
【0035】
図6に示されているように、フロートタンク310は、フロートバス材料などの材料を保持するための容器または槽を備え得る(以下、概して「フロートバス317」と称する)。さらに図示されているように、フロートバス317は上流端部318および下流端部319を有し、上流端部318の方が下流端部319よりも成形機器303の近くに位置している。一例において、フロートバス317は溶融材料を含む。別の例においてフロートバス317は、溶融スズまたは液体スズを含む。さらに他の例においてフロートバス317は、鉛、または低溶融点を有する他の合金を含み得る。さらに別の例では、フロートタンク310にフロートバス317の浅いプールを入れてもよい。
【0036】
図6にさらに示されているように、ガラスリボン305が成形機器303を離れてフロートタンク310に入ると、ガラスリボン305はフロートバス317の表面323上に例えば流れ出ることができ、このときガラスリボン305はこの表面323上に浮かぶことができる。一例において、ガラスリボン305がフロートバス317の表面323上に浮かぶと、フロートバス317の表面張力の抵抗力「r」とは反対の方向にガラスリボン305に作用する少なくとも重力「g」に基づいて、ガラスリボン305は自然に平らになり得、あるいはフロートタンク310の回りに広がり得る。ガラスリボン305がこのように自然に平らになる、または広がることが、幅「W」および厚さ「t」を有する薄いガラスリボンの生成の助けになり得る。以下でより十分に説明するが、別の例では、機械的機器(例えば牽引ロール装置)がガラスリボン305に力を付与して、ガラスリボン305の幅、長さ、または厚さなどの種々の特性をさらに操作または制御することができる。
【0037】
一例において、ガラスリボン305は第1の主表面321および第2の主表面322を備えたものでもよく、このとき厚さ「t」は、第1の主表面321および第2の主表面322の間に画成される。別の例において、第2の主表面322の少なくとも一部分は、フロートバス317の表面323と接触した状態でもよく、また表面323上に浮かび得る。さらに別の例において、第1の主表面321は第2の主表面322の反対側であり、かつ第2の主表面322と実質的に平行なものでもよい。例えば
図6に示されているように、第1の主表面321は第2の主表面322の反対側の表面を含み得、このとき第2の主表面322の少なくとも一部分は、フロートバス317の表面323上に浮かびかつこの表面323と接触している。
【0038】
図6に示されているように、一例においてガラス製造装置301は牽引ロール装置302を備えている。一例の牽引ロール装置302が、明瞭にするためにガラス製造装置301のいくつかの特徴を除去して本開示の一例に従って
図7に示されているが、さらなる例では他の牽引ロール機器の構造および構成を提供することができる。
【0039】
牽引ロール装置302は、ガラスリボン305の幅「W」と交差する方向に延びる延伸経路304に沿って、上流端部318から下流端部319へとフロートバス317上でガラスリボン305を成形機器303(
図6に示されている)から延伸するように構成された、第1の牽引ロール機器701を備えている。別の例において第1の牽引ロール機器701は、フロートバス317の上流端部318と下流端部319との間に少なくとも部分的に配置されている。さらに別の例において、第1の牽引ロール機器701は、ガラスリボン305の第1の主表面321上に配置された(例えば、図示のように少なくとも部分的に第1の主表面321上に配置された)第1の上流ローラ711と、ガラスリボン305の第2の主表面322の下に配置された(例えば、図示のように少なくとも部分的に第2の主表面322の下に配置された)第2の上流ローラ715とを備え得る。さらに別の例では、
図7に示されているように、第1の牽引ロール機器701に加えて、あるいは第1の牽引ロール機器701の代わりに、牽引ロール装置302は別の第1の牽引ロール機器703を備えてもよく、この第1の牽引ロール機器703は、ガラスリボン305の第1の主表面321上に配置された(例えば、図示のように少なくとも部分的に第1の主表面321上に配置された)別の第1の上流ローラ713と、ガラスリボン305の第2の主表面322の下に配置された(例えば、図示のように少なくとも部分的に第2の主表面322の下に配置された)別の第2の上流ローラ717とを備え得る。
図7にさらに示されているように、第1の牽引ロール機器701を、ガラスリボン305の第1のエッジ部分305aと相互に作用するようガラスリボン305の一方の側に配置してもよく、またもう一方の第1の牽引ロール機器703を、ガラスリボン305の第2のエッジ部分305bと相互に作用するよう、ガラスリボン305の反対側などの別の側に配置してもよい。別の例において、第1の牽引ロール機器701およびもう一方の第1の牽引ロール機器703は、矢印720によって示されているように、延伸経路304に沿った方向にガラスリボンを延伸するように構成され得る。第1の牽引ロール機器701およびもう一方の第1の牽引ロール機器703は、矢印721によって示されているように、延伸経路304と実質的に交差する方向にガラスリボン305を引き伸ばすようにさらに構成され得る。
【0040】
図7にさらに示されているように、第1の牽引ロール機器701の第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715は、夫々、それらの間のガラスリボン305の第1のエッジ部分305aに係合するように構成された、夫々の耐火性ロールカバー731、735を備え得る。第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715の少なくとも一方は、夫々のモータ741、745を備え得る。例えば図示のように、第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715の両方が、夫々のモータ741、745を備えていてもよい。さらなる例では、第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715のうちの一方のみがモータを備えてもよく、このとき他方の上流ローラは、第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715のうちの一方のみが駆動されるようベアリングを備え得る。
【0041】
同様に、加えてあるいは代わりに、もう一方の第1の牽引ロール機器703のもう一方の第1の上流ローラ713およびもう一方の第2の上流ローラ717は、夫々、それらの間のガラスリボン305の第2のエッジ部分305bに係合するように構成された、夫々の耐火性ロールカバー733、737を備え得る。もう一方の第1の上流ローラ713およびもう一方の第2の上流ローラ717の少なくとも一方は、夫々のモータ743、747を備え得る。例えば図示のように、もう一方の第1の上流ローラ713およびもう一方の第2の上流ローラ717の両方が、夫々のモータ743、747を備えていてもよい。さらなる例では、もう一方の第1の上流ローラ713およびもう一方の第2の上流ローラ717のうちの一方のみがモータを備えてもよく、このとき他方のもう一方の上流ローラは、もう一方の第1の上流ローラ713およびもう一方の第2の上流ローラ717のうちの一方のみが駆動されるようベアリングを備え得る。
【0042】
図7にさらに示されているように、別の例において牽引ロール装置302は、ガラスリボン305の幅「W」と交差する方向に延びる延伸経路304に沿って、第1の牽引ロール機器701から下流端部319へとフロートバス317(
図6に示されている)上でガラスリボン305をさらに延伸するように構成された、第2の牽引ロール機器702を備えている。別の例において第2の牽引ロール機器702は、第1の牽引ロール機器701とフロートバス317の下流端部319との間に少なくとも部分的に配置されている。さらに別の例において、第2の牽引ロール機器702は、ガラスリボン305の第1の主表面321上に配置された(例えば、図示のように少なくとも部分的に第1の主表面321上に配置された)第1の下流ローラ712と、ガラスリボン305の第2の主表面322の下に配置された(例えば、図示のように少なくとも部分的に第2の主表面322の下に配置された)第2の下流ローラ716とを備え得る。さらに別の例では、第2の牽引ロール機器702に加えて、あるいは第2の牽引ロール機器702の代わりに、牽引ロール装置302は別の第2の牽引ロール機器704を備えてもよく、この第2の牽引ロール機器704は、ガラスリボン305の第1の主表面321上に配置された(例えば、図示のように少なくとも部分的に第1の主表面321上に配置された)別の第1の下流ローラ714と、ガラスリボン305の第2の主表面322の下に配置された(例えば、図示のように少なくとも部分的に第2の主表面322の下に配置された)別の第2の下流ローラ718とを備え得る。
図7に示されているように、第2の牽引ロール機器702を、ガラスリボン305の第1のエッジ部分305aと相互に作用するようガラスリボン305の一方の側に配置してもよく、またもう一方の第2の牽引ロール機器704を、ガラスリボン305の第2のエッジ部分305bと相互に作用するよう、ガラスリボン305の反対側などの別の側に配置してもよい。別の例において、第2の牽引ロール機器702およびもう一方の第2の牽引ロール機器704は、矢印722によって示されているように、延伸経路304に沿った方向にガラスリボンを延伸するように構成され得る。第2の牽引ロール機器702およびもう一方の第2の牽引ロール機器704は、矢印723によって示されているように、延伸経路304と実質的に交差する方向にガラスリボン305を引き伸ばすようにさらに構成され得る。
【0043】
図7にさらに示されているように、第2の牽引ロール機器702の第1の下流ローラ712および第2の下流ローラ716は、夫々、それらの間のガラスリボン305の第1のエッジ部分305aに係合する、夫々の耐火性ロールカバー732、736を備え得る。第1の下流ローラ712および第2の下流ローラ716の少なくとも一方は、夫々のモータ742、746を備え得る。例えば図示のように、第1の下流ローラ712および第2の下流ローラ716の両方が、夫々のモータ742、746を備えていてもよい。さらなる例では、第1の下流ローラ712および第2の下流ローラ716のうちの一方のみがモータを備えてもよく、このとき他方の下流ローラは、第1の下流ローラ712および第2の下流ローラ716のうちの一方のみが駆動されるようベアリングを備え得る。
【0044】
同様に、加えてあるいは代わりに、もう一方の第2の牽引ロール機器704の、もう一方の第1の下流ローラ714およびもう一方の第2の下流ローラ718は、夫々、それらの間のガラスリボン305の第2のエッジ部分305bに係合する、夫々の耐火性ロールカバー734、738を備え得る。もう一方の第1の下流ローラ714およびもう一方の第2の下流ローラ718の少なくとも一方は、夫々のモータ744、748を備え得る。例えば図示のように、もう一方の第1の下流ローラ714およびもう一方の第2の下流ローラ718の両方が、夫々のモータ744、748を備えていてもよい。さらなる例では、もう一方の第1の下流ローラ714およびもう一方の第2の下流ローラ718のうちの一方のみがモータを備えてもよく、このとき他方のもう一方の下流ローラは、もう一方の第1の下流ローラ714およびもう一方の第2の下流ローラ718のうちの一方のみが駆動されるようベアリングを備え得る。
【0045】
他の例において(図示なし)ガラス製造装置301は、第1の牽引ロール機器701と第2の牽引ロール機器702との間の任意の位置に配置された、第3の牽引ロール機器を備え得る。さらに他の例においてガラス製造装置301は、ガラスリボンに沿った様々な位置に配置された、任意の数のさらなる牽引ロール機器を備え得る。この第3の牽引ロール機器および任意の数のさらなる牽引ロール機器は、本書で開示される第1の牽引ロール機器および第2の牽引ロール機器の任意のまたは全ての特徴を任意の組合せで含み得る。同様に、この第3の牽引ロール機器および任意の数のさらなる牽引ロール機器は、本書で開示されるように動作し得る。
【0046】
さらに別の例において牽引ロール装置は、ガラスリボン305を種々の方向に延伸および引伸ばしすることができる。例えばガラスリボン305を成形機器303から、実質的に鉛直の方向に下向きに延伸することができる。さらに、ガラスリボン305の少なくとも一部分がフロートバス317の表面323上に浮かぶように、ガラスリボン305をフロートバス317上で実質的に水平な方向に延伸することもできる。さらに、ガラスリボン305のさらなる処理のために、ガラスリボン305をフロートバス317から離れる方向に延伸することができる。
【0047】
さらに別の例において、本出願全体を通じて論じられる第1の牽引ロール機器701および第2の牽引ロール機器702を含めた牽引ロール装置302は、単独で、あるいは本書で説明される第1の牽引ロール機器701および第2の牽引ロール機器702の任意の特徴と組み合わせて、使用され得る、さらなる特徴または構成を有し得る。例えば
図15に示されているように、第1の牽引ロール機器701およびもう一方の第1の牽引ロール機器703に関して(その特徴が、第2の牽引ロール機器702およびもう一方の第2の牽引ロール機器704の他、本書で論じられる牽引ロール装置302の任意の特徴に等しく適用し得るという理解の下)、ローラはいずれもガラスリボン305に対して鉛直下向きに傾斜したものでもよいし、あるいは水平レベルのロールでもよい。例えば図示のように、(水平レベルまたは下向き傾斜の)任意のローラを、既定の水平角θを有するように位置付けてもよく、このときロールの各面はガラスリボン305の夫々の第1の主表面321および第2の主表面322に対して、この水平角で位置付けられることになる。この水平角θは、適切なレベルの横方向延伸張力721を提供するために、および/または通常のロールが摩耗する際に生じ得るテーパ効果を受容するために、望ましいものとなり得る。
【0048】
図15は、第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715を備えている第1の牽引ロール機器701と、もう一方の第1の上流ローラ713およびもう一方の第2の上流ローラ717を備えているもう一方の第1の牽引ロール機器703とが、ガラスリボン305に対して鉛直下向きに傾斜したロールを備え得る例を示している。任意のローラの下向き傾斜角度は、プロセスの考慮事項次第で、任意の他のローラと異なっていてもよいし、あるいは同じものでもよい。第1の上流ローラ711、713および/または第2の上流ローラ715、717の下向き傾斜は、第1の牽引ロール機器701ともう一方の第1の牽引ロール機器703との間に所望のレベルの横方向延伸張力721を提供することができる。同様に、第1の下流ローラ712、714および/または第2の下流ローラ716、718(図示なし)の下向き傾斜は、第2の牽引ロール機器702ともう一方の第2の牽引ロール機器704との間に所望のレベルの横方向延伸張力723(
図7)を提供することができる。いくつかの例では、ガラスリボン305を横切る平均横方向延伸張力721、723を制御する(または調整する)ために、制御機器339を、自動ポジショナ(図示なし)を作動させるように構成してもよいし、あるいは手動の機構を使用して、鉛直下向きに傾斜したローラの下向き傾斜位置を調整してもよい。
【0049】
さらなる例において、1以上の延伸ロールの対は、ガラスリボンに対して水平レベルのロールでもよい。例えば
図16は、ガラスリボン305に対して水平レベルとすることができる第1の牽引ロール機器701および第2の牽引ロール機器702を含む、牽引ロール装置302の上面図を示しており、このとき回転軸は、ガラスリボン305の延伸経路304に実質的に垂直に延在している。
図17によりよく示されているが、第1の牽引ロール機器701の第1の上流ローラ711、713および第2の上流ローラ715、717を、水平レベルのロールとして提供することは、ローラ間のガラスリボン305の幅を横切る横方向の張力が必要ではない場合に望ましくなり得る。同様に、第2の牽引ロール機器702の第1の下流ローラ712、714および第2の下流ローラ716、718を、水平レベルのロールとして提供することは、ローラ間のガラスリボン305の幅を横切る横方向の張力が必要ではない場合に望ましくなり得る。
【0050】
図17にさらに示されているように、牽引ロール装置302は、第1の上流ローラ対711、713および第2の上流ローラ対715、717を備えた、第1の牽引ロール機器701を含み得る。第1の上流ローラ対711、713は第1の上流柄部791に接続され得、また第2の上流ローラ対715、717は第2の上流柄部793に接続され得る。同様に牽引ロール装置302は、第1の下流ローラ対712、714および第2の下流ローラ対716、718を備えた、第2の牽引ロール機器702を含み得る。第1の下流ローラ対712、714は第1の下流柄部792に接続され得、また第2の下流ローラ対716、718は第2の下流柄部794に接続され得る。第1の上流ローラ対711、713および第2の上流ローラ対715、717の少なくとも一方は、夫々のモータ795、797を備えて、第1の上流柄部791を第1の上流ローラ対711、713と共に、および/または第2の上流柄部793を第2の上流ローラ対715、717と共に回転させることができる。さらに、第1の下流ローラ対712、714および第2の下流ローラ対716、718の少なくとも一方は、夫々のモータ796、798を備えて、第1の下流柄部792を第1の下流ローラ対712、714と共に、および/または第2の下流柄部794を第2の下流ローラ対716、718と共に回転させることができる。さらなる例では、第1の上流ローラ対711、713または第2の上流ローラ対715、717のうちの一方のみがモータ795または797を備えてもよく、このとき他方のローラ対は、第1の上流ローラ対711、713または第2の上流ローラ対715、717のうちの一方のみが駆動されるようベアリングを備え得る。同様に、さらなる例では、第1の下流ローラ対712、714または第2の下流ローラ対716、718のうちの一方のみがモータ796または798を備えてもよく、このとき他方のローラ対は、第1の下流ローラ対712、714または第2の下流ローラ対716、718のうちの一方のみが駆動されるようベアリングを備え得る。
【0051】
図7に戻ると、ガラス製造装置301は、牽引ロール装置302を動作させるように構成された(例えば、「プログラムされた」、「符号化された」、「設計された」、および/または「作製された」)、制御機器779、780(例えば、プログラマブルロジックコントローラ)をさらに含み得る。制御機器は、図示のように別個の制御機器779、780を含むものでもよいし、あるいは牽引ロール装置302を動作させるように構成された、単一の制御機器を含むものでもよい。別の例においてガラス製造装置301は、牽引ロール装置302の1以上の別個の構成要素を夫々が動作させるように構成された、複数の制御機器を含み得る。図示のように上流制御機器779は、第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715を含めて第1の牽引ロール機器701と、もう一方の第1の上流ローラ713およびもう一方の第2の上流ローラ717を含めてもう一方の第1の牽引ロール機器703とを動作させるように構成され得る。さらに下流制御機器780は、第1の下流ローラ712および第2の下流ローラ716を含めて第2の牽引ロール機器702と、もう一方の第1の下流ローラ714およびもう一方の第2の下流ローラ718を含めてもう一方の第2の牽引ロール機器704とを動作させるように構成され得る。
【0052】
上述したように、牽引ロール装置302は少なくとも1つのモータを含み得る。このモータは、夫々のローラを駆動するためのギアボックスを随意的に備え得る、サーボモータを含み得る。サーボモータは、提供される場合には、トルクおよび/または角速度の測定結果を制御機器779、780に戻して提供することができ、この測定結果を次いで制御機器779、780で使用して、所望の制御スキームを実行することができる。あるいは制御機器779、780は、可変周波数ドライブなど他のタイプのモータコントローラと相互に作用して、夫々のモータの角速度および/またはトルクを制御することができる。この例では、トルクセンサおよび/または角速度センサを使用して動作条件を検知することができ、また検知された条件のフィードバックを制御機器779、780に提供してもよい。
【0053】
一例において制御機器779、780は、制御ループを実行するように構成され得る。制御ループは、第1の牽引ロール機器701および第2の牽引ロール機器702を含め牽引ロール装置302を動作させるための、種々の制御パラメータを含み得る。例えば制御機器779、780は、長期に亘るプロセスドリフトに対処するよう牽引ロール装置302を動作させるための種々の制御パラメータを含む制御ループを、実行するように構成され得る。長期に亘るプロセスドリフトは、例えば、比較的長い期間に亘って起こり得るガラスリボン305の特性における変化を含め、ガラス製造装置301の変化を含み得る。一例において長期に亘るプロセスドリフトは、数時間オーダーの比較的長い期間に亘って起こり得る。別の例において長期に亘るプロセスドリフトは、第1の牽引ロール機器701および第2の牽引ロール機器702の少なくとも一方を含め牽引ロール装置302の動作条件に、対応する変化を生じさせ得る、ガラスリボン305の特性における変化を含み得る。例えばこの動作条件は、ガラスリボン305の特性に応じたものになり得る。さらに、この動作条件における対応する変化は、例えばガラスリボン305の品質に影響を与え得る。例えば成形機器303の、例えばスパウト109または底部239などでのガラスリボン305の粘度の変化は、成形機器303から延伸されているまたは流れているガラスリボンの張力に影響を与え得る。成形機器303でのガラスリボン305の粘度は、例えばガラスリボン305の温度の変化に起因して変化し得る。ガラスリボン305の温度は、例えばガラス製造装置301の構成要素の任意の1つまたはその組合せの熱変化、および/または周囲の熱変化の結果として変化し得る。制御機器779、780に加えて、または制御機器779、780とは別のやり方で、熱変化を意図的に、ガラスリボン305を含めガラス製造装置301に付与して、ガラスリボン305を含めガラス製造装置301の温度の変化を制御してもよい。上記のように、このような熱変化は、例えばガラスリボン305の粘度および/または硬度に影響を与え得る。
【0054】
ここで種々の制御スキームを、この種々の制御スキームが本書で説明される牽引ロール装置102、202、および302の特徴の任意の1つを例えば動作させるために使用され得るなど、これらの特徴の任意の1つに適用され得るという理解の下、第1の牽引ロール機器701および第2の牽引ロール機器702に関して説明する。
【0055】
一例において制御機器779、780は、第1の牽引ロール機器701および第2の牽引ロール機器702を、マスター/スレーブ構成で動作させるように構成され得る。例えば、第2の牽引ロール機器702はマスターモータを含み得、また第1の牽引ロール機器701はスレーブモータを含み得る。制御機器779、780は、第1の下流ローラ712および第2の下流ローラ716の少なくとも一方を一定の角速度で回転させるよう、マスターモータを動作させるように構成され得る。制御機器779、780は、第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715の少なくとも一方を、第2の牽引ロール機器702のマスターモータのトルクの既定の割合に一致するトルクで回転させるように、さらに構成され得る。
【0056】
別の例において制御機器779、780は、第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715の少なくとも一方が実質的に一定のトルクで回転し、さらに第1の下流ローラ712および第2の下流ローラ716の少なくとも一方が実質的に一定の角速度で回転するように、第1の牽引ロール機器701および第2の牽引ロール機器702を独立して動作させるように構成され得る。本開示のために、第1の牽引ロール機器701および第2の牽引ロール機器702の独立した動作とは、第1の牽引ロール機器701および第2の牽引ロール機器702のうちの一方を、他方の第2の牽引ロール機器702および第1の牽引ロール機器701の動作によって影響を与えることなく、動作させることができることを意味する。従って、例えば制御機器779を用いた第1の牽引ロール機器701の独立した動作では、第2の牽引ロール機器702の動作パラメータの変化を考慮することなく、この制御機器は第1の牽引ロール機器701を動作させることができる。
【0057】
さらに別の例において制御機器779、780は、第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715の少なくとも一方が実質的に一定のトルクで回転し、かつ第1の下流ローラ712および第2の下流ローラ716の少なくとも一方が実質的に一定の角速度で回転するように、第1の牽引ロール機器701および第2の牽引ロール機器702を動作させるように構成され得る。さらに別の例において制御機器779、780は、第1の牽引ロール機器701および第2の牽引ロール機器702の少なくとも一方の動作条件に基づいて、第1の牽引ロール機器701の第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715の少なくとも一方の実質的に一定のトルクを、調整するように構成され得る。
【0058】
一例においてこの動作条件は、第1の牽引ロール機器701および第2の牽引ロール機器702の少なくとも一方の、トルク、角速度、温度、または任意の他の入力、出力、または内部状態のうちの、任意の1つまたはその組合せなど、第1の牽引ロール機器701および第2の牽引ロール機器702の少なくとも一方の動作条件、または動作条件の組合せの、任意の1つを含み得る。別の例において動作条件は、第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715を含め第1の牽引ロール機器701の動作条件の任意の1つまたは組合せなど、牽引ロール装置302の動作条件の任意の1つまたは組合せを含み得る。さらに別の例において動作条件は、第1の下流ローラ712および第2の下流ローラ716を含め第2の牽引ロール機器702の動作条件の任意の1つまたは組合せなど、牽引ロール装置302の動作条件の任意の1つまたは組合せを含み得る。さらに別の例において、この動作条件は一定期間に亘って判定され得る。例えばこの動作条件は、一度に、または増加的に、あるいは一定期間に亘って連続的に、監視され、観測され、記録され、あるいは別のやり方で判定され得る。
【0059】
図8〜13に示されている別の例において、第1の牽引ロール機器701の第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715は、ガラスリボン305を挟んで、ガラスリボン305に挟力「P」(
図10および
図13)を生成し得る。さらに別の例において、第1の牽引ロール機器701の第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715の少なくとも一方は、ガラスリボン305における挟力「P」を調整するよう調節可能である。前述したように、牽引ロール装置102、202、および302の他のローラも、他の位置でガラスリボンを挟んでガラスリボンに挟力を生成するよう、同じまたは類似したやり方で構成され得る。
【0060】
図8〜13に示されている別の例において、第1の牽引ロール機器701は前述したように、フロートバス317の上流端部318と下流端部319との間に少なくとも部分的に配置され得る。さらに別の例において牽引ロール装置302は、第1の牽引ロール機器701とフロートバス317の下流端部319との間に少なくとも部分的に配置され得る、第2の牽引ロール機器702を備えていてもよい。さらに
図8〜10に示されているように、第1の牽引ロール機器701の第2の上流ローラ715は、フロートバス317内に少なくとも部分的に浸漬していてもよい。一例において、第2の上流ローラ715はフロートバス317内に完全に浸漬している。
図11〜14に示されている別の例において、第1の牽引ロール機器701の第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715の少なくとも一方は、フロートバス317の幅800の実質的に外側に配置されている。一例において、第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715の少なくとも一方は、フロートバス317の幅800の完全に外側に配置されている。牽引ロール機器701、702、703、および704のいずれも、本書に記載されたいずれかの位置の他、本開示の範囲から逸脱することなく、図示されていない他の位置に配置され得ることを理解されたい。例えば、牽引ロール機器701、702、703、および704のいずれかまたは全ては、フロートバス317の幅800の内側に配置され得るし、フロートバス317の幅800の外側に配置され得るし、および/またはフロートバス317に少なくとも部分的に浸漬していてもよく、あるいは牽引ロール機器701、702、703、および704のいずれも、フロートバス317の幅800の内側に配置されていなくてもよく、フロートバス317の幅800の外側に配置されていなくてもよく、および/またはこのように浸漬していなくてもよい。
図14にさらに示されているように、ガラスリボン305をフロートバス317の幅800の外側に延在させて、第1の牽引ロール機器701で延伸してもよい。一例において、フロートバス317はフロートタンク310の壁から溢れ出ていてもよく、フロートバスがフロートタンク310の壁から溢れ出ると、ガラスリボン305はフロートバス317上に浮かび続けることができる。別の例において、ガラスリボン305がフロートバス317の幅800の外側へと延びる位置に、潤滑剤327が提供され得る。潤滑剤327は、ガラスリボン305が延伸および引伸ばしされるときに、フロートタンク310の壁によって引っ掻き傷をつけられたり、または影響されたりすることのないよう、ガラスリボン305とフロートタンク310の壁との間の摩擦を低減させる表面またはバリアを提供することができる。
【0061】
図6に戻ると別の例において、第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715の少なくとも一方は、冷却系900を備え得る。一例において冷却系900は、ガラスリボン305の少なくとも一部分を冷却することができる。別の例において冷却系900は、液体などの冷却流体を第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715に夫々供給するための、第1の上流冷却ライン903および第2の上流冷却ライン905を備え得る。さらに別の例において冷却流体は、(流体から熱が取り除かれ得る)冷却系900から、(流体に熱が加えられ得る)第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715へと、第1の上流冷却ライン903および第2の上流冷却ライン905内を循環し得る。さらに別の例では、ガラスリボン305からの熱を、伝導熱伝達によってガラスリボン305から第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715へと、あるいは対流または放射熱伝達によって、第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715を包囲する媒体または環境へと、伝達させることができるように、流体は第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715の少なくとも一方を通って循環して、第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715を冷却することができる。さらに別の例において冷却系900は、ガラスリボン305の第1のエッジ部分305aまたは第2のエッジ部分305bなど、ガラスリボンの少なくともエッジ部分を冷却してもよい。一例では、ガラスリボン305の第1のエッジ部分305aおよび第2のエッジ部分305bを冷却することによって、ガラスリボンは硬化されたエッジ部分(またはビード部分)を形成することができ、これが牽引ロール装置302のローラとの接触およびローラによる操作を助けるフレーム構造として作用し得る。前述したように、この接触は、後にトリミングまたは切断によって除去され得るガラスリボンのエッジ部分を、引っ掻いたり、あるいは傷つけたりする可能性がある。本書で説明される他の特徴と同様に、図示されていないが、冷却系900を牽引ロール装置302の他のローラのいずれかで、単独で、あるいは組み合わせて使用してもよい。
【0062】
図3に示されているさらに別の例において、ガラス製造装置は、非駆動ローラなどのアイドルローラ901、902をさらに備え得る。一例において、アイドルローラをヒートシンクとして作用するように構成してもよく、ガラスリボン305の少なくとも一部分から、例えば冷却するなど、熱を引き出すことができる。一例においてアイドルローラは、ガラスリボンからアイドルローラ901、902へと熱を伝導により伝達するための材料または構造を備え得る。別の例においてアイドルローラ901、902は、上述した冷却系900などの冷却系を備えて、ガラスリボンの少なくとも一部分を冷却することができる。
【0063】
ここでガラスリボン305を製造する方法を、その類似する例えば同一の方法を実行することで、
図1に示した第1例のガラス製造装置101で第1のガラスリボン105を製造でき、並びに
図2に示した第2例のガラス製造装置201で第2のガラスリボン205を製造できるという理解の下、
図6に示したガラス製造装置301に関して説明する。
【0064】
一例において、ガラスリボン305を製造する方法は、幅「W」を有するガラスリボン305を成形するステップを含む。この方法は、フロートバス317上でガラスリボン305を、フロートバス317の上流端部318からフロートバス317の下流端部319へと延伸するステップをさらに含む。この方法は、第1の牽引ロール機器701の第1の上流ローラ711と第2の上流ローラ715との間で、ガラスリボン305を挟むステップをさらに含む。第1の牽引ロール機器701は、フロートバス317の上流端部318と下流端部319との間に少なくとも部分的に配置され得る。さらに第1の上流ローラ711は、ガラスリボン305の第1の主表面321上に(例えば、図示のように少なくとも部分的に第1の主表面321上に)配置され得、また第2の上流ローラ715は、ガラスリボン305の第2の主表面322の下に(例えば、図示のように少なくとも部分的に第2の主表面322の下に)配置され得る。
【0065】
第2の態様の一例において、この方法は、第2の牽引ロール機器702の第1の下流ローラ712と第2の下流ローラ716との間で、ガラスリボン305を挟むステップをさらに含む。第2の牽引ロール機器702は、第1の牽引ロール機器701とフロートバス317の下流端部319との間に少なくとも部分的に配置され得る。さらに第1の下流ローラ712は、ガラスリボン305の第1の主表面321上に(例えば、図示のように少なくとも部分的に第1の主表面321上に)配置され得、また第2の下流ローラ716は、ガラスリボン305の第2の主表面322の下に(例えば、図示のように少なくとも部分的に第2の主表面322の下に)配置され得る。
【0066】
一例において、この方法は、第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715の少なくとも一方が実質的に一定のトルクで回転するように、第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715の少なくとも一方を動作させるステップをさらに含む。この方法は、第1の下流ローラ712および第2の下流ローラ716の少なくとも一方が実質的に一定の角速度で回転するように、第1の下流ローラ712および第2の下流ローラ716の少なくとも一方を動作させるステップをさらに含む。
【0067】
別の例において、この方法は、第1の牽引ロール機器701および第2の牽引ロール機器702の少なくとも一方の動作条件に基づいて、第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715の少なくとも一方の実質的に一定のトルクを調整するステップをさらに含む。
【0068】
第2の態様の別の例において、この方法は、ガラスリボン305の少なくとも一部分を冷却するステップをさらに含む。一例において、ガラスリボンのこの部分は、ガラスリボン305のエッジ部分305a、305bである。
【0069】
第2の態様のさらに別の例において、第2の上流ローラ715はフロートバス317内に少なくとも部分的に浸漬している。
【0070】
第2の態様のさらに別の例において、第1の上流ローラ711および第2の上流ローラ715の少なくとも一方は、フロートバス317の幅800の実質的に外側に配置されている。
【0071】
第2の態様のさらに別の例において、この方法は、フロートバス317の少なくともある量を循環させるために、フロートバス317内に磁場1001を誘起するステップをさらに含む。
図6に示されているように、ガラス製造装置301は、フロートバス317内に磁場1001を誘起するための機器1000、例えばリニアモータを含み得る。図示のように、機器1000がフロートタンク310のエッジの位置に磁場1001を誘起することにより、フロートバス317を、ガラスリボン305をさらに延伸または引伸ばしするように動かすことができる。別の例において機器1000は、フロートバス317内に電流を生じさせることによって、フロートバス317の少なくともある量を循環させることができ、このとき電流は、フロートタンク310の側面に沿って例えば自然に流れ得る、フロートバスの自然な浮力流を促進することができる。さらに別の例において機器1000は、フロートバス317の少なくともある量を、フロートバスのより低温の領域からフロートバスのより温かい領域へと、あるいはフロートバスのより温かい領域からフロートバスのより低温の領域へと、循環させるよう、フロートバス317内に磁場1001を誘起することができる。一例において機器1000は、ガラスリボン305の第1のエッジ部分305aおよび第2のエッジ部分305bの少なくとも一方の近くの、フロートバス317のある量を循環させて、ガラスリボン305の第1のエッジ部分305aおよび第2のエッジ部分305bの、少なくとも一方を冷却することができる。
【0072】
請求される主題の精神および範囲から逸脱することなく、本開示の種々の改変および変形が作製可能であることは当業者には明らかであろう。
【0073】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0074】
実施形態1
ガラス製造装置において、
幅を有するガラスリボンを生成する、成形機器、
上流端部および下流端部を備えている、フロートバス、および、
前記フロートバスの前記上流端部と前記下流端部との間に少なくとも部分的に配置された、第1の牽引ロール機器であって、前記ガラスリボンを前記成形機器から前記フロートバス上で、前記ガラスリボンの前記幅と交差する方向に延びる延伸経路に沿って前記上流端部から前記下流端部へと延伸するように構成された、第1の牽引ロール機器、
を備え、
前記第1の牽引ロール機器が、前記ガラスリボンの第1の主表面上に配置された第1の上流ローラと、前記ガラスリボンの第2の主表面の下に配置された第2の上流ローラとを備えていることを特徴とするガラス製造装置。
【0075】
実施形態2
前記第1の上流ローラおよび前記第2の上流ローラが前記ガラスリボンを挟んで、該ガラスリボンに挟力を生成することを特徴とする実施形態1記載のガラス製造装置。
【0076】
実施形態3
前記第1の上流ローラおよび前記第2の上流ローラの少なくとも一方が、前記挟力を調整するよう調節可能であることを特徴とする実施形態2記載のガラス製造装置。
【0077】
実施形態4
前記延伸経路に沿って下流に、前記第1の牽引ロール機器と前記フロートバスの前記下流端部との間に少なくとも部分的に配置された、第2の牽引ロール機器であって、前記ガラスリボンを前記フロートバス上で前記延伸経路に沿って前記第1の牽引ロール機器から前記下流端部へとさらに延伸するように構成された、第2の牽引ロール機器、
をさらに備え、
前記第2の牽引ロール機器が、前記ガラスリボンの前記第1の主表面上に配置された第1の下流ローラと、前記ガラスリボンの前記第2の主表面の下に配置された第2の下流ローラとを備えていることを特徴とする実施形態1から3いずれか1項記載のガラス製造装置。
【0078】
実施形態5
前記第1の上流ローラおよび前記第2の上流ローラの少なくとも一方が実質的に一定のトルクで回転しかつ前記第1の下流ローラおよび前記第2の下流ローラの少なくとも一方が実質的に一定の角速度で回転するように、前記第1の牽引ロール機器および前記第2の牽引ロール機器を動作させるように構成された、制御機器をさらに備えていることを特徴とする実施形態4記載のガラス製造装置。
【0079】
実施形態6
前記制御機器が、前記第1の牽引ロール機器および前記第2の牽引ロール機器の少なくとも一方の動作条件に基づいて、前記第1の上流ローラおよび前記第2の上流ローラの少なくとも一方の実質的に一定のトルクを調整するようにさらに構成されていることを特徴とする実施形態5記載のガラス製造装置。
【0080】
実施形態7
前記第1の上流ローラおよび前記第2の上流ローラの少なくとも一方が、冷却系を備えていることを特徴とする実施形態1から3いずれか1項記載のガラス製造装置。
【0081】
実施形態8
前記冷却系が、前記ガラスリボンの少なくともエッジ部分を冷却することを特徴とする実施形態7記載のガラス製造装置。
【0082】
実施形態9
アイドルローラをさらに備えていることを特徴とする実施形態1から3いずれか1項記載のガラス製造装置。
【0083】
実施形態10
前記第2の上流ローラが、前記フロートバス内に少なくとも部分的に浸漬していることを特徴とする実施形態1から3いずれか1項記載のガラス製造装置。
【0084】
実施形態11
前記第1の上流ローラおよび前記第2の上流ローラの少なくとも一方が、前記フロートバスの幅の実質的に外側に配置されていることを特徴とする実施形態1から3いずれか1項記載のガラス製造装置。
【0085】
実施形態12
ガラスリボンを製造する方法であって、
幅を有するガラスリボンを成形するステップ、
前記ガラスリボンをフロートバス上で、該フロートバスの上流端部から該フロートバスの下流端部へと延伸するステップ、および、
前記ガラスリボンを、第1の牽引ロール機器の第1の上流ローラと第2の上流ローラとの間で挟むステップ、
を含み、
前記第1の牽引ロール機器が、前記フロートバスの前記上流端部と前記下流端部との間に少なくとも部分的に配置されており、さらに、前記第1の上流ローラが前記ガラスリボンの第1の主表面上に配置され、かつ前記第2の上流ローラが前記ガラスリボンの第2の主表面の下に配置されていることを特徴とする方法。
【0086】
実施形態13
前記ガラスリボンを、第2の牽引ロール機器の第1の下流ローラと第2の下流ローラとの間で挟むステップ、
をさらに含み、
前記第2の牽引ロール機器が、前記第1の牽引ロール機器と前記フロートバスの前記下流端部との間に少なくとも部分的に配置されており、さらに、前記第1の下流ローラが前記ガラスリボンの前記第1の主表面上に配置され、かつ前記第2の下流ローラが前記ガラスリボンの前記第2の主表面の下に配置されていることを特徴とする実施形態12記載の方法。
【0087】
実施形態14
前記第1の上流ローラおよび前記第2の上流ローラの少なくとも一方が実質的に一定のトルクで回転するように、前記第1の上流ローラおよび前記第2の上流ローラの少なくとも一方を動作させるステップ、および、
前記第1の下流ローラおよび前記第2の下流ローラの少なくとも一方が実質的に一定の角速度で回転するように、前記第1の下流ローラおよび前記第2の下流ローラの少なくとも一方を動作させるステップ、
をさらに含むことを特徴とする実施形態13記載の方法。
【0088】
実施形態15
前記第1の牽引ロール機器および前記第2の牽引ロール機器の少なくとも一方の動作条件に基づいて、前記第1の上流ローラおよび前記第2の上流ローラの少なくとも一方の前記実質的に一定のトルクを調整するステップをさらに含むことを特徴とする実施形態14記載の方法。
【0089】
実施形態16
前記ガラスリボンの少なくとも一部分を冷却するステップをさらに含むことを特徴とする実施形態12から15いずれか1項記載の方法。
【0090】
実施形態17
前記ガラスリボンの前記一部分が、該ガラスリボンのエッジ部分であることを特徴とする実施形態16記載の方法。
【0091】
実施形態18
前記第2の上流ローラが、前記フロートバス内に少なくとも部分的に浸漬していることを特徴とする実施形態12から15いずれか1項記載の方法。
【0092】
実施形態19
前記第1の上流ローラおよび前記第2の上流ローラの少なくとも一方が、前記フロートバスの幅の実質的に外側に配置されていることを特徴とする実施形態12から15いずれか1項記載の方法。
【0093】
実施形態20
前記フロートバスの少なくともある量を循環させるために、該フロートバス内に磁場を誘起するステップをさらに含むことを特徴とする実施形態12から15いずれか1項記載の方法。