特許第6626494号(P6626494)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6626494電気モジュール及び電気モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6626494
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】電気モジュール及び電気モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/20 20060101AFI20191216BHJP
   H01G 9/20 20060101ALI20191216BHJP
   C09J 9/02 20060101ALI20191216BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20191216BHJP
   C09J 11/00 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   H01B1/20 A
   H01G9/20 203B
   H01G9/20 205
   C09J9/02
   C09J201/00
   C09J11/00
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-503648(P2017-503648)
(86)(22)【出願日】2016年2月29日
(86)【国際出願番号】JP2016056094
(87)【国際公開番号】WO2016140196
(87)【国際公開日】20160909
【審査請求日】2018年8月8日
(31)【優先権主張番号】特願2015-42662(P2015-42662)
(32)【優先日】2015年3月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 壮一郎
(72)【発明者】
【氏名】時田 大輔
【審査官】 土谷 慎吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−259253(JP,A)
【文献】 特開2002−173702(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0323501(US,A1)
【文献】 特開2001−357897(JP,A)
【文献】 特開2006−032110(JP,A)
【文献】 特開2011−100573(JP,A)
【文献】 特開2010−165544(JP,A)
【文献】 特開2008−210748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/00−1/24
H01G 9/20
H01M 12/00−16/00
C09J 9/02
C09J 11/00
C09J 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一電極と、第二電極とが、導通ペーストにより形成される導通材によって複数のセルに区画された状態で接着されているとともに、隣接する前記複数のセルが電気的に接続され、
前記導通ペーストは、接着剤と、電極間を導通可能とする導電粒子と、を含み、
前記導電粒子の径寸法の変動係数は25%以下であり、
前記導電粒子のうち、前記第一電極及び前記第二電極の両方に接している導電粒子の個数割合が50%以上である、
電気モジュール
【請求項2】
前記導電粒子の平均粒子径は3μm以上500μm以下である、
請求項1に記載の電気モジュール
【請求項3】
前記第一電極又は前記第二電極の単面積あたりの、前記第一電極及び前記第二電極の両方に接している導電粒子の個数が、20個/1mm以上である、
請求項1又は2に記載の電気モジュール。
【請求項4】
前記導通材は前記第一電極と前記第二電極との間の厚み方向の間隔よりも小さい径寸法の補助導電物質をさらに含む、
請求項から3の何れか一項に記載の電気モジュール。
【請求項5】
前記補助導電物質が、粒子状または繊維状である、
請求項に記載の電気モジュール。
【請求項6】
前記第一電極又は前記第二電極が光増感色素を含む、
請求項からの何れか一項に記載の電気モジュール。
【請求項7】
請求項からの何れか一項に記載の電気モジュールの製造方法であって、
前記第一電極と前記第二電極とを任意の距離を空けて対向させ、前記第一電極と前記第二電極との間に、少なくとも前記導通ペーストを配する第一工程と、
前記第一電極と前記第二電極とを互いの距離が前記導電粒子の平均粒子径の70%以上90%以下になるまで互いに近づけるように押圧し、前記第一電極と前記第二電極とを貼り合わせる第二工程と、を備える電気モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モジュール及び電気モジュールの製造方法に関する。本願は、2015年3月4日に日本に出願された特願2015−042662号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、クリーンエネルギーの発電装置として太陽電池が注目され、シリコン系太陽電池及び色素増感太陽電池の開発が進められている。色素増感太陽電池は、高い光電変換効率を有するとともに安価で量産しやすいため、その構造及び製造方法が広く研究されている。
【0003】
上述の色素増感太陽電池をはじめとして封止を必要とする電気モジュールにおいては、複数のセルを同一平面内に並べて作製する際に、例えば、隣接するセル間において、第一のセルの上側電極と、第二のセルの下側電極とを電気的に接続し、かつ電極間に電解質等の要素を封止するために、「封止材/導通材(例えば導線、導通ペースト等)/封止材」の構造を備えている。
【0004】
例えば、特許文献1には、透明電極と、対向電極と、これらの電極を封止して絶縁する封止絶縁部と、を備えた光電変換素子が同一平面内に並んで設けられた光電変換モジュールが開示されている。この光電変換モジュールにおいては、隣り合う光電変換素子同士を電気的に接続するために、第一の光電変換素子の透明電極部材の一部と、第二の光電変換素子の対向電極部材の一部とを、互いに向き合わせ、その間に導通材を配する。これにより、複数のセル間での直列構造が形成される。
ところが、特許文献1に記載の光電変換モジュールには、導通材として金属製のワイヤー等が用いられていたため、レーザや超音波融着等でセルを切断する際に、導通材を切断し難く、セルを切断するのに手間がかかるという問題があった。この問題を解決する方法として、接着剤に導電性フィラーを備えた導通ペーストを用いて電気的な接続を図る方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−357897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の光電変換モジュールでは、導通ペーストが光電変換素子同士の電気的な接続を確保するのに十分な導電性能を有していないため、導通ペーストを用いた電気モジュールの品質が安定し難いという問題があった。
【0007】
本発明は、上述の事情を鑑みてなされたものであり、切断の容易性及び品質の安定性を確保できる導通ペーストにより形成される導通材を備えた電気モジュール及び電気モジュールの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気モジュールは、第一電極と、第二電極とが、請求項1又は2に記載の導通ペーストにより形成される導通材によって複数のセルに区画された状態で接着されているとともに、隣接する前記複数のセルが電気的に接続され、前記導通ペーストは、接着剤と、電極間を導通可能とする複数個の導電粒子と、を含み、前記導電粒子の径寸法の変動係数が25%以下であり、前記導電粒子のうち、前記第一電極及び前記第二電極の両方に接している導電粒子の個数割合が50%以上であることを特徴とする。
ここで、上記の変動係数は以下の(1)式のように表される。
【0009】
【数1】
【0010】
なお、導電粒子の径寸法の変動係数の算出に用いる平均粒子径の測定方法としては、例えば導電粒子を顕微鏡で観察し、ノギス等で測定した結果を換算する方法、画像解析法、コールター法、遠心沈降法、レーザ解析散乱法等が挙げられるが、特に限定されない。
導電粒子の径寸法の変動係数が25%以下であることで、導電粒子の径寸法は略均一となっている。例えば、電気モジュールを構成する電極間に本発明の導通ペーストを配した際に、電極の延在方向に導電粒子が分散される。そして、これらの電極を備える基材を加圧等して均すことによって、導電粒子が同一面(即ち、電極の一面)上に単層で配されやすくなる。従って、電極同士の間に導通ペーストを固化させた導通材を配したときに、これらの電極同士の厚み方向の隙間に導電粒子が単数(即ち単層で)介在した状態となる。これにより、電極の延在方向の導電粒子の間の接着剤のみの部分は比較的柔らかく、切断し易くなる。切断された際には、電極間の厚み方向では電極間の接点が容易に得られ、電極同士が導通し易くなる。また、電極間の厚み寸法が略一定に保たれる。
また、上述の構成によれば、電気モジュールの電極間のより良好な導通が図られるとともに、電気モジュールの電極間の距離が一定に保たれ易くなる。
また、上述の構成によれば、電極と導電粒子との接触点の個数が良好な導通を図れる程度に確保され、電極間の厚み方向における電極間の接点が容易に得られる。その結果、電気モジュールの電極同士が導通し易くなる。
【0011】
本発明の導通ペーストにおいて、前記導電粒子の平均粒子径は、10μm以上500μm以下であることが好ましい。
【0012】
上述の構成によれば、電気モジュールの電極同士の間に導通ペーストを配した際に、電極間の厚み寸法が適切に設定される。
【0017】
本発明の電気モジュールにおいて、前記第一電極又は前記第二電極の単面積あたりの、前記第一電極及び前記第二電極の両方に接している導電粒子の個数が、20個/1mm以上であることが好ましい。
【0018】
上述の構成によれば、単位面積あたりの電極と導電粒子との接触点の個数が良好な導通を図れる程度に確保され、電極間の厚み方向における電極間の接点が容易に得られる。その結果、電気モジュールの電極同士が導通し易くなる。
【0019】
本発明の電気モジュールにおいて、前記導通材が前記第一電極と前記第二電極との間の厚み方向の間隔よりも小さい径寸法の補助導電物質をさらに含んでもよい。
【0020】
上述の構成によれば、電極間の導電粒子同士の隙間に補助導電物質が配置され、電極間の接点がさらに容易に得られる。これにより、電極間の導通がさらに図られる。
【0021】
本発明の電気モジュールにおいて、前記補助導電物質は粒子状または繊維状であることが好ましい。
【0022】
上述の構成によれば、粒子状または繊維状であることによって、補助導電物質が電極間の導電粒子同士の隙間に効果的に配置される。
【0023】
本発明の電気モジュールにおいて、前記第一電極又は前記第二電極は光増感色素を含んでいてもよい。
【0024】
上述の構成によれば、光を照射される等の刺激を受けた光増感色素から第一電極又は第二電極に電子が渡されるので、例えば色素増感型の電気モジュールが容易に実現される。
【0025】
本発明の電気モジュールの製造方法は、上述の本発明の電気モジュールの製造方法であって、前記第一電極と前記第二電極とを任意の距離を空けて対向させ、前記第一電極と前記第二電極との間に、少なくとも前記導通ペーストを配する第一工程と、前記第一電極と前記第二電極とを互いの距離が前記導電粒子の平均粒子径の70%以上90%以下になるまで互いに近づけるように押圧し、前記第一電極と前記第二電極とを貼り合わせる第二工程と、を備えることを特徴とする。
【0026】
上述の構成によれば、第二工程において、第一電極と第二電極との距離を導電粒子の平均粒子径より小さく抑えて押圧することで第一電極及び第二電極と導電粒子とがより接触し易くなり、これらの電極と導電粒子との間の接点が容易且つ確実に得られる。これにより、電気モジュールの電極間の導通がさらに図られる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る導電ペーストによれば、電気的に切断し易く、電極間を安定的に導通させることができるという効果が得られる。また、本発明に係る電気モジュールによれば、第一電極と第二電極との間の導通ペーストを容易に切断することができるとともに、電極間の導通が安定的となるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態である電気モジュールを示す平面図である。
図2】本発明の一実施形態である電気モジュールを示す図であり、図1に示すB−B線で矢視した断面の一部を示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態である電気モジュールを示す図であり、図1に示すA−A線で矢視した断面図である。
図4】本発明の一実施形態である電気モジュールの変形例を示す図であり、図1に示すB−B線に対応する変形例の色素増感太陽電池の位置で矢視した断面の一部を示す断面図である。
図5】本発明の一実施形態である色素増感太陽電池の製造方法を説明するための図であり、一方の貼り合わせ基材の断面図である。
図6】本発明の一実施形態である色素増感太陽電池の製造方法を説明するための図であり、他方の貼り合わせ基材の断面図である。
図7】本発明の一実施形態である色素増感太陽電池の製造方法を説明するための図であり、貼り合わせ基材同士を貼り合わせる様子を示す断面図である。
図8】第一実施例から第三実施例の電気モジュールを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を適用した一実施形態である導通ペースト、電気モジュール及び電気モジュールの製造方法について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は模式的なものであり、長さ、幅、及び厚みの比率等は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。また、以下の説明において例示される材料等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0030】
<導通ペースト>
本実施形態の導通ペーストは、少なくとも接着剤と、導電粒子と、を含んでいる。導通ペーストは、流動性を抑えたもの、又は流動性の低いものであってもよい。
【0031】
接着剤は、図示略の電気モジュールの電極間を所定の間隔をあけて対向配置させた状態を保持する機能を有する物質である。接着剤の前記の機能は、焼成、加熱や光照射等の刺激によって発現するものであってもよい。このような接着剤としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂の樹脂を少なくとも一種含んだ樹脂材料が挙げられるが、特にこれらに限定されない。前記樹脂材料としては、例えば酢酸ビニル樹脂系エマルション形接着剤、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、EVA(エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルの三元共重合体)系エマルション形接着剤、α−オレフィン(イソブテン−無水マレイン酸樹脂)系接着剤、アクリル樹脂系エマルジョン形接着剤、スチレン・ブタジエンゴム系ラテックス形接着剤、酢酸ビニル樹脂系溶剤形接着剤、アクリル樹脂系溶剤形接着剤、塩化ビニル樹脂系溶剤形接着剤、クロロプレンゴム系溶剤形接着剤、クロロプレンゴム系溶剤形マスチックタイプ接着剤、ニトリルゴム系溶剤形接着剤、再生ゴム系溶剤形スチレンブタジエンラバー(styrene−butadiene rubber:SBR)系溶剤形接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤、変成シリコーン樹脂系接着剤、エポキシ・変成シリコーン樹脂系接着剤、アクリル樹脂系(second generation of acrylic adhesives:SGA)接着剤、でん粉系接着剤、ポリマーセメントモルタル、エポキシ樹脂モルタル、シリル化ウレタン樹脂系接着剤、ホットメルト形接着剤等が挙げられる。
【0032】
また、接着剤としては、電気モジュールの電極間を所定の間隔をあけて対向配置させた状態を保持する機能を有していれば、高い粘性を有する粘着材を用いることができる。このような粘着材としては、例えばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系のものが挙げられるが、特にこれらに限定されない。具体的には、天然ゴム、アクリル酸エステル共重合体、シリコーンゴム、ウレタン樹脂等が挙げられる。
【0033】
導電粒子は、接着剤中に分散され、図示略の電気モジュールの電極同士を導通可能とする物質である。導電粒子は、金属粒子のように導電粒子自体が導電性を有していてもよく、例えば少なくとも表面が導電性を有する金属層により形成された粒子であってもよい。
導電粒子の形状は、電極間に配置した際にスペーサーの役割を果たせば、特に制限されない。最大の内包体積を持つと同時に、抵抗が少ない観点から、導電粒子は球状であることが好ましい。導電粒子の球状以外の形状としては、例えば楕円形状、立方形状、多角体形状等が挙げられる。
【0034】
導電粒子の径寸法は、略均一に形成されている。即ち、前記(1)式で定義される導電粒子の径寸法の変動係数は25%以下であり、好ましくは15%以下、より好ましくは8%以下である。また、導電粒子の平均粒子径は、3μm以上500μm以下であることが好ましく、10μm以上250μm以下であることがより好ましく、50μm以上100μm以下であることがさらに好ましい。
なお、上記の導電粒子の他に導電性物質が含まれる場合、上記範囲内の平均粒子径を有する導電粒子は、導通ペーストに含まれる複数の導電性物質のうち1質量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上含まれている。これにより、導通材を配する電極間の距離が一定に保持され易くなる。
【0035】
導電粒子としては、例えば金、銀、銅、クロム、チタン、白金、ニッケル、錫、亜鉛、鉛、タングステン、鉄、アルミニウム等の金属粒子が挙げられる。また、これらの金属を含む化合物からなる粒子、導電性樹脂からなる粒子、又はカーボンブラック等の炭素系粒子が挙げられる。さらに、樹脂製の粒子に無電解ニッケル等の導電性を有する金属を被覆したもの等が挙げられる。
特に、導電粒子は、柔軟性を有する樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面を被覆している導電金属層とを有する導電粒子(以下、「樹脂コア導電粒子」と称す)であることが好ましい。樹脂コア導電粒子を使用した場合、特に後述する本発明の製造方法によって電気モジュールを製造することにより、電極間の導通を極めて安定に確保することが可能になる。
樹脂コア導電粒子の樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン及びポリエーテルスルホン等が挙げられる。樹脂粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。また、導電金属層としてはニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層であることが好ましく、ニッケル層又は金層であることがより好ましく、銅層であることが更に好ましい。
また、導電金属層の厚さは、10nm以上200μm以下であることが好ましく、200nm以上100μm以下であることがより好ましく、1μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
前記樹脂コア導電粒子の詳細な構成や調製方法に関しては、国際公開公報第2011/132658号を参照することができる。
【0036】
本実施形態の導通ペーストでは、導電粒子が導通ペーストにおいて適度に分散される観点から、0.1質量%から70質量%の導電粒子に対して99.9質量%から30質量%の接着剤が含まれていることが好ましい。このような質量比により、前述のように導電粒子が導通ペーストに適度に分散され、導通ペーストの硬度が電極に配するのに便宜的な程度になる。また、導通ペーストにおいて、電極間の安定的な導通を図るのに適した導電粒子を保持させることができるとともに、導通ペーストを超音波等で絶縁又は切断しやすい程度に、導電粒子が含まれる。このように接着剤は、上述の機能等に加え、導電粒子の分散状態を保持する機能も有する。
【0037】
本実施形態の導通ペーストは、接着剤と、導電粒子との他に、補助導電物質を含んでいることが好ましい。例えば補助導電物質が粒子状であれば、電極間に導通材として配置された際に、電極間の厚み方向の間隔よりも小さい径寸法を有する。
導通材における導電粒子の隙間に介在させる目的から、補助導電物質の平均粒子径は、例えば導電粒子の平均粒子径に対し、80%以下であり、より好ましくは50%以下であり、さらに好ましくは30%以下であることが望ましい。これにより、前記目的が果たされ、導通材の導電性がより高められることで、電極間が電気的に安定して導通する。
【0038】
補助導電物質としては、導電性を有し、導電粒子の導通性を阻害しないものであればよく、前記導電粒子よりも更に小さな径の粒子状や繊維の補助導電物質が挙げられる。
補助導電物質の材料としては、金、銀、銅、クロム、チタン、白金、ニッケル、錫、亜鉛、鉛、タングステン、鉄、アルミニウム等の金属、これらの金属を含む化合物、導電性樹脂、又はカーボンブラック等の炭素材料からなるものが挙げられる。前記導電粒子と同等の物質であってもよい。
補助導電物質が繊維状の場合は、導電粒子の粒子径に対し、繊維径が45%以下であることが例示できる。より好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは15%以下である。前記導電性繊維の繊維長としては、アスペクト比2〜500を例示することができる。繊維径とアスペクト比は、導電粒子の導通性を阻害しないように、適宜調整することができる。
上述の補助導電物質は、形状や大きさが均一でも不均一でもよく、特に限定されない。
【0039】
さらに、本実施形態の導通ペーストには、有機溶媒が添加されていてもよい。この有機溶媒は、導電粒子やバインダー樹脂の分散状態を保持するための補助媒体である。このような有機溶媒としては、例えば水、酢酸エチル、エステル系、アルコール系及びケトン系の溶媒、テトラヒドロフラン、ヘキサン、芳香族の溶媒等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0040】
以上説明した導通ペーストは、略均一に形成されている導電粒子を接着剤中に適量含んでいるため、電極間に配置された際に、加圧等して均すことにより導電粒子が同一面上に単層で配され易い。従って、導通ペーストを電気モジュールの電極同士の間に導通材として配したときに、これらの電極同士の間に導電粒子が厚さ方向に単数(即ち、単層)で介在した状態となり、導電粒子同士の間で導通材が切断し易くなる。また、電極同士が導通し易くなる。そのため、電極間の接点を取り易くなり、電極間の距離を一定に保ち易くなる。
【0041】
なお、本実施形態では、導電粒子が直接的に接着剤中に分散されている導通ペーストや導通材を例示して説明したが、導電粒子は適当な補助材(図示略)や封止材を介して間接的に接着剤に保持され、これらが一体化されていてもよい。このような補助材を構成し得る非導電性材料として、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の樹脂を少なくとも一種含んだ樹脂材料、又は公知の繊維を構成する繊維材料、セルロース、ポリビニルアルコール等の材料が挙げられる。また、前記補助材として、上述で例示したもの以外で、太陽電池等の電気モジュールに使われている公知の封止材を用いてもよい。
【0042】
<電気モジュール>
次いで、本実施形態の電気モジュール1の一例として色素増感太陽電池(電気モジュール)1Aについて説明する。
なお、以下では色素増感太陽電池1Aについて説明するが、本実施形態の導通材6は第一基材2及び第二基材4の間に形成された複数のセルCの封止と、各セルC,C.…,C同士の電気的な直列接続又は並列接続とを要する種々の電気モジュールに適用可能である。図1又は図2に示すように、色素増感太陽電池1Aは、第一基材2上に設けられた透明導電膜3と、第二基材4上に設けられた対向導電膜5とが、導通材6を介して対向配置された電気モジュールである。
【0043】
図1に示すように、色素増感太陽電池1Aは、第一基材2と、半導体電極(第一電極)7と、第二基材4と、対向電極(第二電極)8と、電解質9と、導通材6と、を備えている。
半導体電極7は、第一基材2上に積層された透明導電膜3と、透明導電膜3上に積層された多孔質の半導体層10と、を備えている。
電解質9が接触する半導体層10において多孔質内部を含む表面には、公知の図示しない光増感色素が吸着している。
対向電極8は、第二基材4上に積層された対向導電膜5と、対向導電膜5上に積層された触媒層11とを備えている。
【0044】
導通材6は、互いに平行に一方向に延びる複数の半導体層10の間に配されている。
導通材6は、前述したとおり、導通材6に含まれた導電粒子20が略均一な大きさに形成されており、導通材6の塗工又は配設において均したり加圧したりすることで、導電粒子20が厚さ方向に重なることなく単層で配されやすくなっている。即ち、導通材6の導電粒子20は、図3に示すように、透明導電膜3と対向導電膜5との間に、加圧等の均す作業によって厚さ方向に単層で配され易くなっている。
【0045】
上述の配置において、導通材6の導電粒子20のうち、半導体電極7の透明導電膜3と対向電極8の対向導電膜5との両方に接している導電粒子20の個数割合は50%以上であって、60%以上であることが好ましく、68%以上であることがより好ましい。
【0046】
また、色素増感太陽電池1Aにおける良好な導通を図るために半導体電極7及び対向電極8の両方に接触している導電粒子20が重要であるという観点から、半導体電極7及び対向電極8の両方に接している導電粒子20の個数は20個/1mm以上であって、30個/1mm以上であることが好ましく、50個/1mm以上であることがより好ましい。
【0047】
図1又は図2に示すように、導通材6の両側方には封止材12,12が配されている。
導通材6と封止材12とにより、電極間(即ち、透明導電膜3と対向導電膜5との間)を接着している。一方、前述の一方向(導通材6の延在方向)に交叉する方向には、超音波融着等の手段により絶縁及び接着されている(以下、絶縁された部分を「絶縁部13」とする)。このようにして、それぞれに半導体層10を有するセルCが液密に封止されている。そして、導通材6に含まれた導電粒子20によって、半導体電極7と対向電極8の間には厚み方向に間隙が形成され、その間隙内に電解質9が封止されている。
【0048】
色素増感太陽電池1Aにおいて、導通材6は、半導体電極7及び対向電極8を構成する透明導電膜3に直接接触している。透明導電膜3及び対向導電膜5の所定の箇所には、レーザ照射等によって絶縁された複数のパターニング部25が設けられている。
【0049】
隣接するセルC,C同士の透明導電膜3及び対向導電膜5は、パターニング部25により複数に区画され、複数の透明導電膜3及び対向導電膜5のパターンが形成される。区画された各セルCにおいて、第一のセルC1の対向電極8を構成する対向導電膜5と、第一のセルC1に隣接する第二のセルC2の半導体電極7を構成する透明導電膜3とが導通材6によって電気的に接続されている。この結果、第一のセルC1と第二のセルC2が直列に接続されている。
【0050】
半導体電極7及び対向電極8を構成する第一基材2及び第二基材4の材料は特に限定されず、例えば、ガラス、樹脂等の絶縁体、半導体、金属等が挙げられる。前記樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド等が挙げられる。薄くて軽いフレキシブルな色素増感太陽電池1Aを製造する観点からは、基材は透明樹脂製であることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム又はポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムであることがより好ましい。
【0051】
透明導電膜3、対向導電膜5の種類は特に限定されず、公知の色素増感太陽電池に使用される導電膜が適用可能であり、例えば、金属酸化物で構成される薄膜が挙げられる。前記金属酸化物としては、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アルミドープ酸化亜鉛(ATO)、酸化インジウム/酸化亜鉛(IZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)等が挙げられる。
【0052】
半導体層10は、吸着した光増感色素から電子を受け取ることが可能な材料によって構成され、通常は多孔質であることが好ましい。半導体層10を構成する材料は特に限定されず、公知の半導体層10の材料が適用可能であり、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ等の金属酸化物半導体が挙げられる。
【0053】
半導体層10に担持される光増感色素は特に限定されず、例えば有機色素、金属錯体色素等の公知の色素が挙げられる。前記有機色素としては、例えば、クマリン系、ポリエン系、シアニン系、ヘミシアニン系、チオフェン系等が挙げられる。前記金属錯体色素としては、例えば、ルテニウム錯体等が好適に用いられる。
【0054】
触媒層11を構成する材料は特に限定されず、公知の材料が適用可能であり、例えば、白金、カーボンナノチューブ等のカーボン類、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の導電性ポリマー等が挙げられる。
【0055】
電解質9の種類は特に限定されず、公知の色素増感太陽電池で使用されている電解質を適用できる。酸化還元対(即ち、電解質9)としては、例えばヨウ素とヨウ化ナトリウムが有機溶媒に溶解された電解液が挙げられる。
【0056】
以上説明した色素増感太陽電池1Aは、導通材6が多数の導電粒子20を備えて導通を図る構成を備えているため、超音波を用いてセルCの形成又はセルCを再区画する際に、導通材6を容易に絶縁することが可能となるという効果を有する。
また、色素増感太陽電池1Aは、導通材6に含まれた導電粒子20が略均一な大きさに形成されているため、透明導電膜3と対向導電膜5との間に、厚さ方向に単一の導電粒子20を配することが容易となる。従って、色素増感太陽電池1Aは、透明導電膜3と対向導電膜5との間の寸法を略一定にし易いという効果を有する。
【0057】
また、色素増感太陽電池1Aは、透明導電膜3と対向導電膜5との間の寸法を略一定にし易く、透明導電膜3と対向導電膜5との間が厚さ方向に単一(単層)の導電粒子20により導通が容易に図られるため、各々の導電粒子20で確実に導通を取り易いという効果を有する。
【0058】
また、色素増感太陽電池1Aは、導通材6により透明導電膜3と対向導電膜5とのギャップを形成することができるため、ギャップの形成は導通材6の両側に配する封止材12,12に依存しない。したがって、色素増感太陽電池1Aは、導通材6の両側に配する封止材12,12の幅寸法を可及的に小さくして、セルC内の半導体層10の面積を可及的に大きくすることができるという効果を有する。
【0059】
また、色素増感太陽電池1Aでは、導電粒子20のうち、半導体電極7及び対向電極8の両方に接している導電粒子の個数割合が50%以上であるため、半導体電極7及び対向電極8と導電粒子20との接触点の個数が色素増感太陽電池1Aにおける良好な導通を図れる程度に確保される。
また、色素増感太陽電池1Aでは、半導体電極7及び対向電極8の単面積あたりの、半導体電極7及び対向電極8の両方に接している導電粒子20の個数が、20個/1mm以上であるため、単位面積あたりの半導体電極7及び対向電極8と導電粒子との接触点の個数が色素増感太陽電池1Aにおける良好な導通を図れる程度に確保される。
従って、色素増感太陽電池1Aによれば、電極間の厚み方向における電極間の接点が容易に得られるので、色素増感太陽電池1Aの電極同士が導通し易くなる。
【0060】
図4は、色素増感太陽電池1Aの変形例である色素増感太陽電池(電気モジュール)1Bを示す図であり、図1に示すB−B線に対応する色素増感太陽電池1Bの位置で矢視した断面の一部を示す断面図である。なお、図4に示す色素増感太陽電池1Bの構成要素において、図2に示す色素増感太陽電池1Aの構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0061】
色素増感太陽電池1Bの導通材6は、接着剤21と、導電粒子20に加えて、補助導電粒子(補助導電物質)28を含んでいる。図4に示すように、補助導電粒子28は、導電性を有し、半導体電極7と対向電極8との間の厚み方向の間隔よりも小さい径寸法を有する。即ち、補助導電粒子28は、スペーサーの機能を有していない導電粒子である。この構成により、半導体電極7と対向電極8との間の導通材6において、導電粒子20同士の隙間に補助導電粒子28が配置され、半導体電極7と対向電極8との間の接点がさらに容易に得られる。従って、半導体電極7と対向電極8との間のより確実な導通が図られる。
【0062】
<電気モジュールの製造方法>
次いで、本発明に係る電気モジュール1の製造方法の一実施形態について、色素増感太陽電池1Aの製造方法(以下、単に「製造方法」ともいう。)を例に挙げて説明する。
【0063】
本実施形態の製造方法は、色素増感太陽電池1Aの製造方法(電気モジュールの製造方法)であって、半導体電極7と対向電極8とを任意の距離を空けて対向させ、半導体電極7と対向電極8との間に、少なくとも導通ペーストを配する第一工程と、半導体電極7と対向電極8とを互いの距離が導電粒子20の平均粒子径の70%以上90%以下になるまで互いに近づけるように押圧し、半導体電極7と対向電極8とを貼り合わせる第二工程と、を備えている。以下、各工程について具体的に説明する。
【0064】
[第一工程]
先ず、ロール・ツー・ロール方式を用いた公知の色素増感太陽電池の製造方法を用いて、所定の方向Pに連続搬送される第一基材2上のセルを形成するための所定の位置に透明導電膜3を形成し、その後、所定の位置に半導体層10を形成し、半導体層10の両側(即ち、周囲)に封止材12を形成した後、電解質9を積層する。これにより、図5に示すように、半導体電極7及び封止材12を備えると共に、適所に隙間Sが形成された貼り合わせ基材31を得る。なお、所定の方向Pは製造上の都合等を勘案して自由に設定すればよく、例えば導通材6の延在方向に平行な方向としてもよい。
【0065】
次に、公知の色素増感太陽電池の製造方法を用いて、所定の方向Pに連続搬送される第二基材4上のセルを形成するための所定の位置に対向導電膜5を形成し、その後、所定の位置に触媒層11を形成する。これにより、図6に示すように、対向電極8を備えた貼り合わせ基材32を得る。
【0066】
次に、図7に示すように、貼り合わせ基材31の隙間(第一電極と第二電極との間)Sに、導通ペースト供給部40から少なくとも接着剤と、導電粒子20とを含有する導通ペーストを充填し、導通材6とする。実際には、封止材12や配線材料等が後述する第二工程において押し潰され、拡がることを勘案して、導電性ペーストを所定の厚みよりもやや厚く充填してもよい。
【0067】
[第二工程]
続いて図8に示すように、貼り合わせ基材31の半導体層10と貼り合わせ基材32の触媒層11とを対向させ、貼り合わせ基材31と貼り合わせ基材32とを互いに近づける。貼り合わせ基材31,32の厚み方向に所定の間隔をあけた状態で該厚み方向に沿って配置され一対のローラー41,42を用いて、貼り合わせ基材31と貼り合わせ基材32とを互いにより近づけるように押圧する。このとき、半導体電極7の透明導電膜3と対向電極8の対向導電膜5との距離Tを導電粒子20の平均粒子径の70%以上90%以下とし、好ましくは75%以上85%以下とする。また、半導体電極7と対向電極8との距離Tが上述の条件となるように一対のローラー41,42同士の上下方向の間隔及び押圧力等を適切に調整することが好ましい。このように一対のローラー41,42によって距離Tが導電粒子20の平均粒子径よりも短くなるように押圧することで、導電粒子20の材質及び弾性に応じて一部の導電粒子20(即ち、径寸法が距離Tより大きい導電粒子20)は押し潰される。
【0068】
一対のローラー41,42によって押圧された押圧空間wに対して適当に配置された紫外線照射部46から紫外線UVを照射し、紫外線硬化樹脂からなる封止材12を硬化させることで貼り合わせ基材31と貼り合わせ基材32とを貼り合わせる。この際、上述したように一対のローラー41,42によって押圧空間wで押し潰された導電粒子20の形状が復帰する場合もあるが、それによって、半導体電極7及び対向電極8と導電粒子20との接触面積が拡がり、半導体電極7及び対向電極8と導電粒子20との接点がより確実に形成される。また、導通材6における導電粒子20の分散等が安定する。なお、封止材12の硬化を促進するために、押圧空間Wより搬送方向Pの前方で紫外線を二次的に照射しても構わない。
なお、押し潰されることによる導電粒子20の弾性変形及び弾性復帰による導電粒子20の形状復帰を用いることができる点から、導電粒子20は樹脂製のボール(微粒子)から構成されていることが好ましい。
【0069】
上述の第一工程及び第二工程により、図1及び図2に示す色素増感太陽電池1Aが得られる。なお、図4に示す色素増感太陽電池1Bの製造方法は、導通ペーストに補助導電物質21が含有されること以外は、上述した色素増感太陽電池1Aの製造方法と同様である。
【0070】
以上説明した電気モジュール1の製造方法では、電気モジュール1を構成する半導体電極7及び対向電極8との間に、少なくとも接着剤と、導電粒子20とを含有する導通ペーストを配した際に、半導体電極7及び対向電極8の延在方向に導電粒子20が分散される。そして、半導体電極7を有する貼り合わせ基材31と対向電極8を有する貼り合わせ基材32とを互いに近づけるように押圧等して均し、貼り合わせることによって、導電粒子20が同一面(即ち、電極の一面)上に単層で配され易い。従って、電極同士の間に導通ペーストの流動性を低下させた導通材6を配したときに、これらの電極同士の厚み方向の隙間Sに導電粒子20が単数(即ち単層で)介在した状態となる。これにより、電気モジュール1の製造方法によれば、電極の延在方向の導電粒子20の間の接着剤やバインダー等のみの部分は比較的柔らかく、切断し易い電気モジュール1を得ることができる。
【0071】
また、電気モジュール1の製造方法では、押圧空間wの半導体電極7及び対向電極8の間の厚み方向において、透明導電膜3と対向導電膜5との距離Tを導電粒子20の平均粒子径の70%以上90%以下とすることによって、透明導電膜3と対向導電膜5が導電粒子20に押し当てられる。これにより、半導体電極7及び対向電極8と導電粒子20との間の接点が容易且つ確実に得られ、且つ半導体電極7及び対向電極8と導電粒子20との接触面積が程度に確保されるので、電極同士が良好に導通される。従って、電気モジュール1の製造方法によれば、電気モジュール1の導電性能を確実に保持し、電気モジュール1の品質が良好に安定させることができる。即ち、電気的に切断し易く、半導体電極7と対向電極8との間の導通材6を容易に切断することができるとともに、電極間を高安定的に導通可能な電気モジュール1を得ることができる。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、導通材6自体が封止材12の役割を担い、封止材12を兼ねていてもよい。
【実施例】
【0073】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0074】
(第一実施例)
ITOが成膜されたPETフィルムからなる導電性フィルムを用意した。導電性フィルムの大きさは縦寸法10cm、横寸法15cmとし、導電性フィルムの厚み寸法は100μmとした。また、端部から8.3cm内方の箇所に絶縁加工を行った(図8参照)。
続いて、図8に示すように、絶縁加工を行った箇所及び当該箇所近傍に、間隔をあけて平面視線状で幅寸法1.5mmの封止材を配置した。
【0075】
次に、接着剤として4.5gのエポキシ樹脂及び4.5gのフェノール樹脂に、表面に金めっきを施したミクロパール(登録商標)AU−250を導電粒子として混合し、導通ペーストとした。この導電粒子の平均粒子径は50μmであり、導電粒子の径寸法の変動係数は6%であった。また、導電粒子は導通ペーストに10質量%含まれる状態になるように、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂に混合した。
続いて、図8に示すように、2本の封止材間に上記導通ペーストを塗布した。その後、この導電性フィルムと同じ大きさの対向電極を用意し、導電性フィルムに貼りあわせ、140℃で導通ペーストを熱硬化によって固化させ、導通ペーストを導通材とし、電気モジュールを作製した。
【0076】
熱硬化後に、導電性フィルムと対向電極との間の電気抵抗値をテスターで測定したところ、銅線及び銀ペーストと略同等の抵抗値が得られた。即ち、上述のように本実施例の電気モジュールにおいては、銅線と同等の導電性が確保されていることを確認した。
【0077】
続いて、図8に示すように、導通材を横断する方向に、第一実施例の電気モジュールを超音波融着機で区切る(切断)作業を行った。その後、対角線(図10に示すX線)上に隣り合うセルの導通性をテスターで確認したところ、導通性は確認されず、切断されていることを確認した。この作業を行った際、導通材を切断するのに余計な時間はかからなかった。
【0078】
(第二実施例)
導電粒子として、金めっきを施したミクロパール(登録商標)AU−250に替えて銀粒子を用いること以外は、第一実施例と同様にして電気モジュールを形成した。なお、この銀粒子の平均粒子径及び径寸法の変動係数も第一実施例と同様とした。
導通ペーストの熱硬化後に、導電性フィルムと対向電極との間の電気抵抗値をテスターで測定したところ、第一実施例と同様に、銅線及び銀ペーストと略同等の抵抗値が得られた。
【0079】
また、第一実施例と同様にして、接着剤及び導通材を横断する方向に、第二実施例の電気モジュールを超音波融着機で区切った後、対角線(図10に示すX線)上に隣り合うセルの導通性をテスターで確認したところ、導通性は確認されず、切断されていることを確認した。この作業を行った際、導通材を切断するのに余計な時間はかからなかった。
【0080】
(第三実施例)
導電粒子として、第一実施例で用いたミクロパール(登録商標)AU−250の表面に無電解ニッケルメッキを施した。その結果、平均粒子径63μm、径寸法の変動係数23%の導電粒子を得た。それ以外は、第一実施例と同様にして電気モジュールを形成した。
導通ペーストの熱硬化後に、導電性フィルムと対向電極との間の電気抵抗値をテスターで測定したところ、第一実施例と同様に、銅線及び銀ペーストと略同等の抵抗値が得られた。
【0081】
また、第一実施例と同様にして、接着剤及び導通材を横断する方向に、第三実施例の電気モジュールを超音波融着機で区切った後、対角線(図10に示すX線)上に隣り合うセルの導通性をテスターで確認したところ、導通性は確認されず、切断されていることを確認した。この作業を行った際、導通材を切断するのに余計な時間はかからなかった。
【0082】
(比較例)
導通材として幅寸法1.5mm、厚さ寸法60μmの導電性粘着テープ(製造元:株式会社寺岡製作所)を用い、封止剤の延在方向に沿って設けること以外は、第一実施例と同様にして電気モジュールを形成した。
【0083】
また、第一実施例と同様にして、導通材を横断する方向に、比較例の電気モジュールを超音波融着機で区切った後、対角線(図8に示すX線)上に隣り合うセルの導通性をテスターで確認したところ、導通性が確認され、切断されていなかった。この作業を行った際、導通材を切断するのに、第一実施例から第三実施例の所要時間の約3倍の時間を要した。なお、最終的にこの導通材を切断するためには、別工程を行わざるを得なかった。
【0084】
以上説明した第一実施例から第三実施例までの各実施例及び比較例によって、本実施形態の導通ペースト及び導通材によれば、導通材の剛性が従前に比べて低くなると共に、導通材が従前に比べて柔らかくなり、導通材及びこの導通材を用いた電気モジュールをレーザや超音波融着等で容易に切断できることを確認した。
【符号の説明】
【0085】
1…電気モジュール
1A,1B…色素増感太陽電池(電気モジュール)
2…第一基材
6…導通材
7…半導体電極(第一電極)
8…対向電極(第二電極)
20…導電粒子
21…接着剤
28…補助導電粒子(補助導電物質)
C…セル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8