(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態に係る、連結ホースとしての消防用ホースについて、図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施の形態に係る消防用ホース10の構成を示す正面図である。
図2は、
図1に示す消防用ホース10の軸方向に沿った断面図である。
図1および
図2に示すように、消防用ホース10は、連結金具20と、ホース部30と、口巻き布40と、固定用金具50と、組込ICタグ60とを有している。
【0017】
図1および
図2において下方側に位置する雌側の連結金具20は、
図1および
図2において上方側に位置する雄側の連結金具20と連結される部分である。なお、以下の説明では、必要に応じて、雌側の連結金具20を連結金具20Aと称呼し、雄側の連結金具20を連結金具20Bと称呼する。連結金具20Aは、連結金具20Bが差し込まれる部分であり、その内面側に雌側連結部21Aを備えている。また、連結金具20Aに連結される連結金具20Bは、その外周面に雄側連結部21Bを備えている。また、連結金具20A,20Bには、後述するホース部30の内側に挿入される挿入取付部22が設けられている。なお、本実施の形態では、連結の着脱動作のための機械構造は図示を省略している。
【0018】
なお、雌側の連結金具20Aは、消防用ホース10における雄側の連結金具20Bのみならず、消防車両のポンプの吐出口や、消火栓の吐出口等にも連結可能である。
【0019】
また、ホース部30は、布製の筒状ジャケット31を備えている。筒状ジャケット31は、経糸と緯糸とを筒状に織り込むことで構成されている。筒状ジャケット31の内面側には、合成樹脂製の内張り32が形成されている。内張り32は、その内側に消火用の水を放水するために高い水圧が作用しても、水が外部に漏れないよう、気密に形成されている。
【0020】
また、口巻き布40は、ホース部30の端部に配置されると共に、筒状ジャケット31の外周側に配置される。この口巻き布40は、固定用金具50を縮径しカシメ固定する場合や消防用ホース10の踏み起こしによる連結動作時に、ホース部30を保護する部分である。
【0021】
また、固定用金具50は、カシメ金具とも称呼される。この固定用金具50は、縮径部51と、加工逃げ部52とを有している。縮径部51は、その外周側から外力が内側に向かって押しつぶすように加えられることで、カシメ固定される部分である。すなわち、固定用金具50の内側には、口巻き布40が配置され、さらに口巻き布40の内側にホース部30が配置され、そのホース部30の内側に連結金具20A,20Bの挿入取付部22A,22Bが挿入される。その状態で、固定用金具50の縮径部51に対して強力な締め付け力を及ぼす(カシメ加工する)ことで、縮径部51は塑性変形する。それにより、ホース部30に対して、連結金具20A,20Bが口巻き布40および固定用金具50を介して強固に固定される。さらにこの強固な固定により消防用ホース10の通水時の水漏れを防いでいる。
【0022】
また、加工逃げ部52は、縮径部51の端部側に設けられている。この加工逃げ部52は、外力によって、口巻き布40側に押し付けられない部分である。したがって、加工逃げ部52と口巻き布40の間、および口巻き布40とホース部30の間の押圧力は、さほど高くないか、ほとんど作用しない状態となっている。
【0023】
なお、縮径部51に対してカシメ加工を行うことで、縮径部51は縮径されている(小径となっている)。そのため、加工逃げ部52は、縮径部51から離間するにつれて、徐々に大径となるように設けられている。しかしながら、たとえば加工逃げ部52と縮径部51との間の境界が段差状に設けられる等、他の形態に形成されても良い。
【0024】
ここで、ホース部30と口巻き布40の間には、組込ICタグ60が配置されている。
図3は、組込ICタグ60の概略的な構成を示す図である。
図4は、ICタグ70(ICインレットともいう)の構成を示す斜視図である。
図3に示すように、組込ICタグ60は、ICタグ70と、配線80とを備えている。ICタグ70は、
図4に示すように、ICタグ基板71と、ICチップ72と、コイルアンテナ73とを備えている。ICタグ基板71は、略矩形状をなす平板形状に形成されている。ICタグ基板71としては、たとえばガラスエポキシ基板あるいはPETを始めとした樹脂製のフィルムを用いることができる。ICタグ基板71は、ICチップ72と、コイルアンテナ73とを有しているが、そのうちICチップ72は、各種のデータを記憶する。また、コイルアンテナ73はICチップ72を作動させるための電力を生じさせる部分である。
【0025】
なお、ICチップ72としては、たとえば株式会社日立化成のUHF帯のIM5−PK2525型(商品名)が代表例として挙げられるが、その他の物を用いても良い。ここで、IM5−PK2525型(商品名)においては、そのサイズは、2.5mm四方となっていて、その厚みは0.4mmとなっている。
【0026】
また、本実施の形態では、ICチップ72には、消防用ホース10を個体識別するためのID情報が記憶されている。このようなID(identification)情報としては、消防用ホース10のサイズ情報、適合可能な他の消防ホースに関する情報、規格に関する情報、検査に関する情報、製造年月日、購入年月日、消防用ホース10が管理されている消防署等の管理場所、交換時期情報、消防用ホース10が搭載される消防車の車体情報等がある。かかるID情報を専用のリーダ装置で読み取り、その読み取った情報を外部のサーバ等で管理することで、消防用ホース10の使用している期間、使用回数等を把握することができ、消防用ホース10の保守点検や寿命の管理を容易に行うことが可能となる。
【0027】
図5は、配線8の断面を示す断面図である。この配線80は、複数の導体80aを撚り合わせた撚線部80bを備え、その撚線部80bの外周側が絶縁体80cで覆われた構成となっている。
【0028】
この配線80は、誘導結合コイル部81と、ツイスト部82と、モノポールアンテナ部83と、アース部84(固定配線部に対応)とを有している。誘導結合コイル部81は、ICタグ70の外周側を取り巻くようにループ状に形成されている部分である。すなわち、ループ状の誘導結合コイル部81の内側には、ICタグ70が配置される。ここで、コイルアンテナ73と誘導結合コイル部81とは近接対向もしくは同一平面を共有しているため、コイルアンテナ73と誘導結合コイル部81の間には、トランス結合が生じる。いわば、コイルアンテナ73と誘導結合コイル部81の間には、相互誘導による磁界が生じる。そのため、誘導結合コイル部81を介して、ICチップ72に対して情報の読み出しおよび情報の書き込みが可能となる。
【0029】
図6は、誘導結合コイル部81における、ICタグ70の厚み寸法と、配線80の直径の関係を示す断面図である。
図6に示すように、ICタグ70の厚み寸法は、配線80の直径よりも小さく設けられている。このため、仮に組込ICタグ60に足での踏み起こしや消防用ホース10の通水時の水圧等による外力が作用しても、その外力は、配線80(誘導結合コイル部81)に作用させることができる。したがって、ICタグ70に、外力が及ぼされるのを抑える構成となっている。
【0030】
また、ツイスト部82は、配線80の行き側と戻り側を重ね合わせた状態で、1回以上捩じることで構成される部分である。かかるツイスト部82が存在する場合、外力の作用によって配線80に引っ張り力が作用しても、誘導結合コイル部81が巻き崩れない状態を維持することができる。
【0031】
また、モノポールアンテナ部83は、離れた外部のリーダ装置(不図示)と無線通信するために必要な放射アンテナに対応する部分であり、外部のリーダ装置から放射される電磁波によって高周波電流が流れる部分である。ここで、外部のリーダ装置から放射される電磁波の波長をλとすると、モノポールアンテナ部83は、λ/4程度の長さを有している。したがって、モノポールアンテナ部83では、電磁気学で知られているように、その根元に当たる誘導結合コイル部81付近で最大の高周波電流となる。それにより、外部のリーダ装置と誘導結合コイル部81とICタグ70との間で、良好な通信状態を実現可能となっている。
【0032】
なお、モノポールアンテナ部83の長さとしては、たとえばRFID通信にて用いられるUHF帯の周波数として920MHzの電磁波を用いる場合、その波長の1/4波長の長さ(真空中では約8cm)とするものがある。なお、実際のモノポールアンテナの長さは、空気中の誘電率や配線80の絶縁体80cを構成する樹脂の誘電率および誘導結合コイル81の周長などが波長短縮に働き、真空中8cmであるべきところ短い方向にシフトする。実験によれば、配線80の太さが0.8mm、絶縁体80cが0.29mmの厚みのフッ素樹脂製である場合、最良の感度となるモノポールアンテナの長さは6.5cmであった。
【0033】
また、アース部84は、上述した固定用金具50に対し、静電的に接触する部分である。たとえば、上述のカシメ加工を行うことで、絶縁体80cに破断が生じて、配線80の撚線部80bが固定用金具50と電気的に接触する場合であっても、または静電的に接触する場合のいずれであっても(すなわち物理的に接触する場合や物理的に離れた場合のいずれであっても)、モノポールアンテナ83に対するアース部84として動作する。
【0034】
図7は、消防用ホース10の部分的な断面を示す図であり、組込ICタグ60の配置部位を示す図である。
図1および
図6に示すように、組込ICタグ60は、筒状ジャケット31と口巻き布40の間に配置される。したがって、組込ICタグ60は、
図1に示すように、外部から視認することは不能となっている。かかる配置においては、組込ICタグ60のうちICタグ70は、
図6に示すように、加工逃げ部52によって外部の衝撃から保護される保護領域53(
図7において破線で示される部位)に配置される。この保護領域53は、ICタグ70のうち少なくとも一部は、正面視した場合に縮径部51によって覆われた部位か、または加工逃げ部52で完全に覆われていない部位であって加工逃げ部52の近傍の位置となっている。
【0035】
かかる保護領域53のうち、正面視した場合にICタグ70の少なくとも一部が縮径部51によって覆われた部位とは、いわば、ICタグ70の少なくとも一部が口巻き布40の裏面側(内面側)と接触する部位において、その口巻き布40の表面側(外面側)は加工逃げ部52と当接している。このとき、正面図において加工逃げ部52に対してICタグ70の少なくとも一部が完全に重なっていて、ICタグ70の径方向の外側には加工逃げ部52が存在している。
【0036】
なお、正面視した場合にICタグ70の少なくとも一部が縮径部51によって覆われている場合、ICタグ70の全体が覆われていても良く、ICタグ70の一部のみが覆われていても良い。
【0037】
また、保護領域53のうち、上述のような、ICタグ70が加工逃げ部52で完全に覆われていない部位であって加工逃げ部52の近傍の位置に存在する場合とは、たとえば踏み付け力等の外力が付与された際に、その外力からICタグ70を保護可能な位置に、ICタグ70が存在することを指す。そのような位置の代表例としては、正面図において加工逃げ部52に対してICタグ70が隣接する隣接領域がある。この隣接領域には、ICタグ70の端部が実際に隣接する位置がある。また、隣接領域には、ICタグ70の端部が実際に隣接しない場合でも、加工逃げ部52に対してICタグ70の端部が、加工逃げ部52の厚み以内または口巻き布40の厚み以内の範囲内で離れている位置も含まれる。
【0038】
また、組込ICタグ60の配線80のうち、モノポールアンテナ部83は、縮径部51によって覆われていない部位に位置している。すなわち、モノポールアンテナ部83が口巻き布40の裏面側(内面側)と接触する部位において、その口巻き布40の表面側(外面側)は加工逃げ部52とは当接していない。したがって、外部のリーダ装置からの電磁波は、加工逃げ部52では遮られずに、モノポールアンテナ部83に高周波電流を生じさせることが可能となっている。
【0039】
これに対して、アース部84は、縮径部51によって覆われた部位に位置している。すなわち、モノポールアンテナ部83が口巻き布40の裏面側(内面側)と接触する部位において、その口巻き布40の表面側(外面側)は加工逃げ部52と当接している。
【0040】
<ICタグと外部のリーダ装置との通信について>
次に、ICタグ70と外部のリーダ装置(不図示)との通信について説明する。なお、リーダ装置は、情報を読み取る機能のみならず、ICタグ70のICチップ72に情報を書き込む機能を有しても良いのは勿論である。
【0041】
本実施の形態では、モノポールアンテナ部83は、金属製の固定用金具50の加工逃げ部52には覆われておらず、布製の口巻き布40に覆われた状態となっている。したがって、外部のリーダ装置から電磁波が放射されると、その電磁波は口巻き布40では遮られずにモノポールアンテナ部83に到達する。すると、モノポールアンテナ部83では、その電磁波に基づいて高周波電流が生じ、該モノポールアンテナ部83においては、高周波電流の進行波と反射波により定在波が形成される。特に、モノポールアンテナ部83は、ICタグ70と外部のリーダ装置との通信において用いられる電磁波の波長の1/4程度の長さに設定されているので、進行波と反射波とで共振状態を形成し、通信可能な距離を伸ばすことが可能となっている。
【0042】
かかる高周波電流が誘導結合コイル部81に導通されると、
図6に示すようにその周囲に磁界φが形成され、その磁界φによって、誘導結合コイル部81と対向しているICタグ70のコイルアンテナ73にも、相互誘導(トランス結合)による電流が生じる。その電流によりICチップ72を作動させることができる。
【0043】
また、ICチップ72が作動すると、タグ情報がコイルアンテナ73の高周波電流に流れ、この高周波電流に基づく磁界φによりモノポールアンテナ部83を流れる定在波に伝播することにより、外部空間に、ICチップ72に記憶された情報を含む電波が放射される。この電波を再び外部のリーダ装置が受信することにより、ICタグ通信が成立する。それによってICチップ72の情報の読み取りおよびICチップ72への情報の書き込みを行うことが可能となっている。
【0044】
<消防用ホースの使用について>
たとえば、消火活動に際して、消防用ホース10を他の消防用ホース10に連結する場合、使用者は、固定用金具50の根元付近を足で踏み付けて、連結金具20A,20Bが斜め上向きとなるように踏み起こされる。すなわち、固定用金具50の近傍のホース部30には、足での踏み付け等による外部衝撃が加わる状態となる。このとき、ICタグ70が保護領域53に存在していない場合、その外部衝撃により、ICタグ70が破壊される虞がある。
【0045】
しかしながら、本実施の形態では、ICタグ70は、加工逃げ部52で覆われた、または加工逃げ部52の近傍の保護領域53に設けられている。そのため、足での踏み付け等による外部衝撃は、保護領域53には直接伝わらず、その保護領域53の外部側の加工逃げ部52とホース部30に伝わる。そのため、ICタグ70が外部衝撃によって破損するのを良好に防止可能となっている。
【0046】
<効果>
以上のような構成の消防用ホース10は、筒状ジャケット31の端部外周側に配置される布製の口巻き布40と、その口巻き布40の外周側に配置されると共に、縮径加工により形成された縮径部51および縮径加工が施されていない加工逃げ部52を備える固定用金具50とを備えている。また、消防用ホース10は、筒状ジャケット31と口巻き布40の間に配置されると共に、ICチップ72が取り付けられたICタグ70を備える組込ICタグ60とを備え、口巻き布40には、加工逃げ部52によって外部の衝撃から保護される保護領域53が形成されると共に、その保護領域53には、ICタグ70が配置されている。
【0047】
このように、ICタグ70が保護領域53に存在しているので、消防用ホース10に対し、足での踏み起こし等による外部衝撃が加わっても、ICタグ70の破損を防止することが可能となる。たとえば、凹凸の多い荒れた路面上で固定用金具50の根元付近の踏み起こしを行っても、ICタグ70の破損を防止可能となる。また、消防用ホース10の外部に、ICタグ70の保護のための別途のパーツ等が不要となる。また、かかるICタグ70の破損を防止することで、ICタグ70からのID情報の読み取りの信頼性を向上させることが可能となる。
【0048】
また、本実施の形態では、保護領域53は、加工逃げ部52によって口巻き布40の外周側が覆われている部位と、加工逃げ部52によって口巻き布40の外周側が覆われている部位に隣接する隣接領域とが含まれている。
【0049】
このため、ICタグ70を配置可能な領域を広げることが可能となる。特に、ICタグ70のサイズが比較的大きい場合や、加工逃げ部52が縮径部51側に向かうにつれて徐々に縮径されている場合等には、加工逃げ部52で覆われた部位にICタグ70を配置することが困難な場合がある。しかしながら、加工逃げ部52によって口巻き布40の外周側が覆われている部位に隣接する保護が有効な隣接領域に、ICタグ70を配置可能であるので、ICタグ70の取付範囲を拡大することができ、またICタグ70の取り付け位置の自由度を向上させることができる。
【0050】
また、本実施の形態では、組込ICタグ60は、導電性の導体を有する配線80を備えると共に、その配線80には、縮径部51および加工逃げ部52で覆われない部位に存在するモノポールアンテナ部83と、縮径部51に少なくとも一部が差し掛かる固定配線部(アース部84)と、ICタグ70を囲む状態で配置されている誘導結合コイル部81とを備えている。
【0051】
このため、モノポールアンテナ部83を介して、外部のリーダ装置との間での、電磁波の送受信による通信距離を増大させることが可能となる。また、固定配線部(アース部84)が縮径部51に少なくとも一部が差し掛かることで、組込ICタグ60が消防用ホース10から外れたり、容易に移動してしまうのを防止可能となる。また、誘導結合コイル部81がICタグ70を囲む状態で配置されることで、誘導結合コイル部81と対向または同一平面を共有しているICタグ70のコイルアンテナ73にも、相互誘導(トランス結合)による電流を生じさせることができ、その電流によりICチップ72を作動させることができる。それにより、ICタグ70と外部のリーダ装置との間で通信を行うことが可能となる。
【0052】
また、本実施の形態では、配線80には、その配線80が重ね合わされた状態で捩じられたツイスト部82が設けられている。このため、配線80に外力等が作用して、配線80が引っ張られても、誘導結合コイル部81が巻き崩れない状態を維持することができる。
【0053】
また、本実施の形態では、配線80は、複数の導体80aを撚り合わせた撚線部80bを備えている。ここで、巻き取りや屈曲を繰り返す消防用ホース10にあっては、モノポールアンテナ83の屈曲による断線に耐久できなければならない。しかしながら、本実施の形態では、配線80を構成する複数の導体80aのうちの1本の導体80aが屈曲によって断線しても、全ての導体80aが断線しない限り、ICタグ70を含む組込ICタグ60と外部のリーダ装置との間の通信が維持可能となる。
【0054】
また、本実施の形態では、ICタグ70の厚み寸法は、配線80の断面直径(太さ)よりも小さく設けられている。このため、仮に組込ICタグ60に足での踏み起こし等による外力が作用しても、その外力は、ICタグ70の厚みよりも大きな直径の配線80で形成される誘導結合コイル部81が受け止めるように作用する。したがって、ICタグ70が破損するのを防止可能となる。
【0055】
<変形例>
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0056】
上述の実施の形態では、組込ICタグ60における配線80は、直線状に設けられている。しかしながら、配線80は、直線状には限られない。たとえば、
図8に示すように、アース部84には、複数回折り曲げられた九十九折状の部分が存在していても良い。この場合、アース部84の長さが短くなり、それによって組込ICタグ60の全長を短くすることができる。このような九十九折状の部分の存在により、アース部84は、ICタグ70と外部のリーダ装置との通信において用いられる電磁波の波長の1/4程度より短い固定用金具50の長さ内に収納可能とする。
【0057】
また、
図9に示すように、モノポールアンテナ部83にも、複数回折り曲げられた九十九折状の部分が存在していても良い。この場合、モノポールアンテナ部83およびアース部84の長さが短くなり、それによって組込ICタグ60の全長を短くすることができる。このような九十九折状の部分の存在により、モノポールアンテナ部83は、ICタグ70と外部のリーダ装置との通信において用いられる電磁波の波長の1/4程度より短い口巻布40の長さ内に収納可能とする。
【0058】
このように、モノポールアンテナ部83やアース部84は、直線状には限られず、自在に変形させることができる。
【0059】
また、上述の実施の形態において、組込ICタグ60を取り付ける場合、テープ部材に貼り付け、そのテープ部材ごと、筒状ジャケット31と口巻き布40の隙間に配置するようにしても良い。この場合には、組込ICタグ60を取り付ける際の作業性を向上させることができる。
【0060】
また、上述の実施の形態では、縮径部51は、加圧によるカシメ加工されるものとしているが、たとえばワイヤ等の強固な巻き付け等により、少なくとも一部が縮径されるものであっても良い。
【0061】
また、上述の実施の形態では、たとえば
図1において雌側の連結金具20Aの近傍に、組込ICタグ60が配置された構成について図示されている。しかしながら、組込ICタグ60は、雄側の連結金具20Bの近傍に配置された構成を採用しても良く、雌側の連結金具20Aと雄側の連結金具20Bの両方側に組込ICタグ60が配置された構成を採用しても良い。
【0062】
また、上述の実施の形態では、たとえば
図1における固定用金具50の両端に位置する加工逃げ部52のうち、連結金具20Aから離れる側(一端側)の加工逃げ部52近傍の保護領域53に、組込ICタグ60が配置された構成について説明している。しかしながら、両端の加工逃げ部52のうち、連結金具20A,20Bの少なくとも一方に近接する側(他端側)の加工逃げ部52近傍の保護領域53に組込ICタグ60が配置される構成を採用しても良い。この場合、保護領域は、上述の実施の形態で述べたのと同様の部分としても良い。また、加工逃げ部52で覆われる部分を保護領域とすると共に、連結金具20A,20Bと加工逃げ部52の間の部分も保護領域としても良い。
【0063】
また、上述の実施の形態では、連結ホースとして消防用ホース10について説明している。しかしながら、連結ホースは消防用ホース10には限られない。たとえば、連結ホースは、浚渫や排水用のホース、コンクリート等の流動体を供給するためのホース、化学プラントで用いられる耐薬品性や耐油性を備えるホース等、各種のホースであっても良い。
【0064】
また、上述の各実施の形態においては、RFID通信にて用いられるUHF帯の周波数としては920MHzが好適である。しかしながら、RFID通信にて用いられるUHF帯の周波数としては、たとえば860MHzから960MHzの帯域であれば、どのような周波数であっても良い。また、RFID通信にて用いられる周波数としては、UHF帯の周波数には限られず、2.45GHzを中心とする周波数であっても良く、433MHzを中心とする周波数であっても良い。
樹脂製のライナ32の外周側が布製の筒状ジャケット31で覆われているホース部30の両端に連結金具20が取り付けられている連結ホース10であり、筒状ジャケット31の外周側に配置される布製の口巻き布40と、口巻き布40の外周側に配置されると共に、縮径加工により形成された縮径部51および縮径加工が施されていない加工逃げ部52を備える固定用金具50と、筒状ジャケット31と口巻き布40の間に配置されると共に、ICチップ72が取り付けられたICタグ70を備える組込ICタグ60と、を備え、口巻き布40には、加工逃げ部52によって外部の衝撃から保護される保護領域が形成されると共に、保護領域には、ICタグ70が配置されている。