特許第6626595号(P6626595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6626595
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】熱風発生機構による焼き栗製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23N 12/08 20060101AFI20191216BHJP
   A23L 19/00 20160101ALI20191216BHJP
   A23B 7/005 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   A23N12/08 C
   A23L19/00 A
   A23B7/005
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-69534(P2019-69534)
(22)【出願日】2019年3月31日
【審査請求日】2019年4月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519115819
【氏名又は名称】兵藤 勲
(73)【特許権者】
【識別番号】519115820
【氏名又は名称】林 拓磨
(74)【代理人】
【識別番号】100166671
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 恵子
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 勲
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−142185(JP,U)
【文献】 実開平01−134492(JP,U)
【文献】 特開2002−119269(JP,A)
【文献】 特開2015−025617(JP,A)
【文献】 特開2015−53(JP,A)
【文献】 特開昭61−177968(JP,A)
【文献】 Yokchina,イタリア風焼き栗,クックパッド,日本,2017年11月10日,URL,https://cookpad.com/recipe/3443679
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23N 12/08
A23L 19/00
A23B 7/005
A47J 9/00−47/20
F24C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱風発生機構において発生した熱風を利用して栗収容器に収容されたニホングリの生栗を加熱して焼き栗を製造する焼き栗製造方法であって、
前記栗収容器が、概して有底円筒状を成し、底部と、前記底部に対向する開口とを含み、
当該焼き栗製造方法が、
前記ニホングリの生栗に切込みを入れる工程と
前記栗収容器の内部に前記切込みを入れた前記ニホングリの生栗を入れて、収容する生栗収容工程と、
前記栗収容器を回転させることなく、前記熱風発生機構に熱風を発生させて、前記栗収容器の前記開口から内部に供給して、前記底部に向かって流れさせるとともに内部を循環させ、前記開口から流出させることにより、前記ニホングリの生栗を加熱する加熱工程と
を含み、
前記加熱工程において、前記ニホングリの生栗2kgに対して、前記栗収容器の内部の温度を、170℃より高く230℃より低い温度とし、前記ニホングリの生栗を加熱する時間を、20分以上40分以下の時間とする焼き栗製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱風発生機構を利用して焼き栗を製造する焼き栗製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、栗収容器の内部に設けられた金網の棚の上に生栗を一層に並べる生栗収容工程と、金網の上に一層に並べられた栗に側方から熱風を当てることにより栗を加熱する加熱工程とを含む焼き栗製造方法が記載されている。特許文献1に記載の栗収容器は、概して直方体状を成し、互いに対向する一対の側部のうちの一方に熱風供給用の開口が形成され、他方の側部が網状部とされている。熱風発生機構において発生させられた熱風が、開口から栗収容器の内部に供給され、金網の上に並べられた生栗を通って網状部から流れ出る。また、特許文献1に記載の焼き栗製造方法においては、生栗1kgが、120℃〜150℃の温度で、30分〜120分の時間の間加熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−177968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、良好に焼き栗を製造する方法を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る焼き栗製造方法は、栗収容器に生栗を収容する生栗収容工程と、熱風発生機構において発生させられた熱風を栗収容器の内部に供給し、栗収容器に収容された生栗を、150℃より高く250℃より低い温度で10分以上60分以下の時間加熱する加熱工程とを含む。また、栗収容器は、互いに対向する熱風供給部と閉塞部とを含むものである。
【発明の作用および効果】
【0006】
熱風発生機構において発生させられた熱風は、熱風供給部から栗収容器の内部に流入して、閉塞部に向かって流れる。栗収容器の内部に供給された熱風は、栗収容器の内部において循環する。そのため、栗収容器の内部に収容された生栗を良好に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例1に係る熱風発生機構による焼き栗製造方法の実施に用いられる焼き栗製造装置の内部を概念的に示す図である。
図2】上記焼き栗製造装置の構成要素である栗収容器の斜視図である。
図3】上記焼き栗製造方法によって加熱される対象の生栗を示す図である。(a)生栗の頂部に切り込みが加えられた状態に示す図であり、(b)生栗の底部に切り込みが加えられた状態を示す図である。
図4】上記焼き栗製造装置における熱風の流れる状態を概念的に示す図である。
図5】上記焼き栗製造方法を実施した場合の生栗の加熱温度、加熱時間を表す図である。
図6】本発明の実施例2に係る熱風発生機構による焼き栗製造方法の実施に用いられる焼き栗製造装置の内部を概念的に示す図である。
図7】上記焼き栗製造装置の制御回路を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0009】
まず、本発明に係る熱風による焼き栗製造方法の実施に使用する焼き栗製造装置について説明する。
本焼き栗製造装置6は、図1に示すように、本体8と、本体8の下部に設けられた収容箱10と、本体8の上部の収容箱10の上方に設けられた熱風発生機構としての熱風発生部12とを含む。
収容箱10は、底部と側部とを有し、底部の底面に対向する部分が開口10aとされた概して箱形を成す。収容箱10の前面には図示しない取っ手が設けられ、本体8に対する出し入れが容易とされている。収容箱10が本体8の内部に取り付けられた状態で、収容箱10の内部は本体8の外部から遮断される。収容箱10は、栗収容器としての鍋状容器14が収容可能とされている。
【0010】
鍋状容器14は、図2に示すように、概して有底円筒状を成し、底部16と円筒状の側壁18とを有する。鍋状容器14は、例えば、金属板にプレス加工を施すことにより製造されたものとすることができ、底部16も側壁18も板状を成し、熱風を通過し得る貫通穴は形成されていない。また、鍋状容器14の底部16の底面16fに対向する部分は開口20とされている。さらに、鍋状容器14の開口20の近傍には、柄14Hが取り付けられている。柄14Hは、鍋状容器14の開口20付近に収容される収容位置と、上方に持ち上げられる把持位置とに回動可能とされている。柄14Hの把持位置において、柄14Hを把持することにより、鍋状容器14の収容箱10に対する出し入れを容易にすることができる。
本実施例において、開口20が熱風供給部に対応し、底部16、または、底部16および側壁18が閉塞部に対応する。
【0011】
熱風発生部12は、下方に向かって流れる熱風を発生させるものであり、ヒータ24と、ファン26と、ファン26を駆動する電動モータであるファンモータ28と、制御装置30とを含む。ヒータ24は電熱線が巻かれて形成されたものである。電熱線は、収容箱10の開口10aの近傍に位置し、鍋状容器14の開口20のほぼ全体を覆う大きさ、形状を成す。ファン26およびファンモータ28は、ヒータ24の上方に設けられる。ファンモータ28によりファン26が回転させられ、それによって風が発生させられる。その風は、ヒータ24によって熱せられて、熱風となって、下方へ流れる。また、本体10のファンモータ28の上部付近には図示しない吸気口が設けられる。
なお、熱風発生部12は、最大消費電力が1.2kwのものである。また、熱風の風速は小さく(例えば、風量1.8m/sec以下)、生栗に熱風を当てても、栗の果実から渋皮や鬼皮が遊離することはない。
【0012】
制御装置30は、例えば、マイクロコンピュータを主体とするものであり、制御装置30には、作業者によって操作可能な加熱温度入力部32および加熱時間入力部34、温度センサ36等が接続されるとともに、ヒータ24、ファンモータ28等が接続される。温度センサ36は本体10の内部に設けられるが、温度センサ36によって検出される温度は、鍋状容器14の内部の温度とほぼ同じである。加熱温度入力部32は、栗の加熱温度を入力するものであり、本実施例においては、60℃以上250℃以下の温度が入力可能とされている。加熱時間入力部34は、栗の加熱時間、すなわち、熱風の発生時間を入力するものであり、本実施例においては、10分以上70分以下の時間が入力可能とされている。加熱時間は、ヒータ24の加熱時間およびファンモータ28の駆動時間に対応する。制御装置30は、温度センサ36によって検出された温度が加熱温度入力部32を介して入力された温度に近づくように、ヒータ24を制御し、加熱時間入力部34を介して入力された時間に基づいて、ヒータ24とファンモータ28とを制御する。
なお、ファンモータ28の駆動時間は、ヒータ24の加熱時間より長くてもよい。ヒータ24がOFFにされた後にファン26が作動させられることにより、ヒータ24を速やかに冷却することができる。
【0013】
以上のように構成された焼き栗製造装置における焼き栗の製造方法について説明する。
本実施例に係る焼き栗製造方法の実施においては、ニホングリのうちの例えば、登録品種の名称「ぽろたん」、「ぽろすけ」、「えな宝来」等、チュウゴクグリ、ヨーロッパグリ等の渋皮離れのよい種類の栗を用いる。
【0014】
これら渋皮離れのよい品種の生栗M(以下、生栗、焼き栗、加熱されている栗を区別することなく、栗Mと称する場合がある)を鍋状容器14に2kg入れる(生栗収容工程)。生栗Mは、鍋状容器14の底面16fに一層に並べて入れる必要はなく、無雑作に放り込めばよい。無造作に放り込まれた場合には、鍋状容器14の内部において、生栗Mはランダムに収容される。また、生栗Mには予め切り込みを入れておくことが望ましい。切り込みCは、図3(a)に示すように、生栗Mの頂部Ma付近に入れても、図3(b)に示すように、生栗Mの底部Mbに入れてもよい。なお、図示は省略するが、切り込みCは、生栗Mの胴部Mdに入れることもできる。
【0015】
生栗Mを鍋状容器14に入れた後、鍋状容器14を収容箱10に入れて、収容箱10を本体8の内部に入れる。鍋状容器14は、本体8の内部に収容されるのであり、外部から遮断される。本体8の内部は密閉状態とされるとは限らないが、外部の温度の影響を受け難い状態とされる。
【0016】
加熱温度入力部32により60℃以上250℃以下の温度が入力され、加熱時間入力部34により15分以上70分以下の時間が入力される。熱風発生部12の駆動により熱風が発生し、鍋状容器14の内部に流れ、生栗Mが加熱される(加熱工程)。
【0017】
栗の加熱温度、すなわち、本体10の内部の温度は250℃以下とすることが望ましい。ヒータ24の温度を250℃より高くすると、栗が焦げ易くなり、栗本来が有する甘味が失われ易くなる。栗には糖質(例えば、スクロース)が含まれるが、糖質の分解温度は180℃〜190℃程度(スクロースの分解温度は186℃)であることが知られている。また、栗Mの内部の温度は、加熱開始直後、鍋状容器14の内部の温度よりかなり低く、加熱時間の経過に伴って、鍋状容器14の内部の温度に近づくが、加熱時間が短い場合には、栗Mの内部の温度は鍋状容器14の内部の温度と同じ高さまで上がらない場合もある。
以上の事情から、栗本来が有する甘味が保持された焼き栗を製造するためには、栗Mの内部の温度を、糖質の分解温度より低い(例えば、190℃より低い)温度に保持することが望ましく、本実施例に係る焼き栗製造装置においては、本体10の内部の温度を250℃以下とすることが望ましい。
一方、栗Mの内部の温度は本体10の内部の温度より高くなることはない。そのため、本体10の内部の温度が170℃に設定され、栗Mの内部が170℃まで高くなっても、栗Mに含まれる糖質は分解し難い。その意味において、本体10の内部の温度を170℃以上に設定することが効果的である。
【0018】
また、本体10の内部の温度を150℃より低くすると、栗Mが内部まで加熱されるまでに長時間を要する。そのため、本体10の内部の温度は150℃より高くすることが望ましい。
【0019】
加熱時間は、加熱温度、栗の種類や大きさ等によって決まる。例えば、加熱時間は、加熱温度が高い場合は低い場合より短くなり、栗が硬い種類のものである場合には柔らかい種類のものである場合より長くなり、栗が大きい場合は小さい場合より長くなる。
【0020】
例えば、栗2kgに対して、加熱温度を160℃以上、170℃以上、180℃以上、190℃以上とすることができ、240℃以下、230℃以下、220℃以下等とすることができる。また、加熱時間は、15分以上、20分以上とすることができ、50分以下、40分以下とすることができる。
【0021】
本実施例においては、標準的な大きさ(例えば、頭部Maから底部Mbまでの長さが3〜5cm程度の大きさ)の生栗2kgに対して、(a)加熱温度を200℃、加熱時間を30分に設定した場合、(b)加熱温度を220℃、加熱時間を20分に設定した場合、(c)標準的な栗より小さい生栗2kgに対して加熱温度を170℃、加熱時間を40分に設定した場合、(d)標準的な栗より大きい生栗2kgに対して加熱温度を230℃、加熱時間を20分に設定した場合の各々において、熱風発生部12を駆動した。
【0022】
熱風発生部12において発生させられた熱風FAは、図4に示すように、鍋状容器14の開口20の上方から鍋状容器14の底部16に向かって流れ、鍋状容器14の内部において循環する。その結果、鍋状容器14の内部に収容された生栗Mを良好に加熱することができる。
また、鍋状容器14の底部16および側壁18には孔が設けられていない(厳密に言えば、柄14Hの取付部に孔が形成されているが、柄14Hの取付用の孔に起因して熱風の流れが変わることはないと考えられる)ため、熱風FAは鍋状容器14の外部へ逃げ難く、内部に閉じ込められ易い。そのため、より一層、生栗M を良好に加熱することができるのである。
【0023】
加熱時間の経過後、収容箱10を本体8の外部に出し、鍋状容器14を収容箱10から取り出し、鍋状容器14の内部から焼き栗を取り出す。(a)〜(d)のいずれの場合においても、焼き栗において、切り込みCにおいて口開きが生じるが、焦げることがない。そのため、焦げ目がない見栄えよい焼き栗を製造することができる。また、栗の果実から渋皮、鬼皮は遊離していない。
【0024】
以上のように、本実施例に係る焼き栗製造方法によれば、生栗Mの加熱温度が、糖質が分解され難い温度とされる。その結果、栗本来が有する甘味が失われ難くなり、栗本来の甘味を有する焼き栗を製造することができる。
【0025】
また、本実施例に係る焼き栗製造方法によれば、生栗収容工程において、特許文献1に記載の焼き栗製造方法におけるように生栗を一層に並べる必要がなく、生栗Mを鍋状容器14に無造作に入れればよい。このように、「生栗を一層に並べる」という面倒な作業を省くことができ、生栗収容工程の実施に要する時間を短くすることができる。その結果、効率よく、焼き栗を製造することが可能となる。
【0026】
さらに、製造された焼き栗は、栗の果実から渋皮を容易に剥がすことができる。
また、特許文献1に記載の焼き栗製造方法と比較して、焼き栗を製造する時間を短くすることができる。
【0027】
そして、製造された焼き栗は、熱いうちに、気密性の高い容器または袋に入れて密閉することが望ましい。例えば、気密性の高いフィルムで製造された袋に入れて、熱によりシールすることにより、焼き栗を気密性が高い状態で保持することができる。その結果、焼き栗を長期間保存することが可能となり、しかも、甘味、柔らかさを長期間保持することが可能となる。
【実施例2】
【0028】
本実施例において使用される焼き栗製造装置は、例えば、特開2015−025617号公報に記載されたものを用いることができる。焼き栗製造装置は、例えば、図6に示すように、本体100と、本体100の内部に設けられた調理庫102と、調理庫102の内部に設けられた熱風発生機構としての熱風発生部104と、本体100の内部に設けられた蒸気発生部106とを含む。調理庫102は概して直方体状を成すものであり、例えば、金属製の板状部材で製造されたものとすることができる。調理庫102の内部は、網状部110によって仕切られ、網状部110の一方の側が栗収容室112とされ、他方の側に熱風発生部104の構成要素であるヒータ120とファン122とが設けられる。調理庫102の栗収容室112に対応する部分の正面には扉113が設けられ、開閉可能とされている。
【0029】
調理庫102の栗収容室112側の網状部110に対向する側部は側壁114とされる。側壁114は、熱風が通過する貫通孔を有しないものである。また、調理庫102の栗収容室112に対応する背面部115、上面部116、下面部117はそれぞれ壁状を成し、同様に熱風が通過する貫通孔を有しない。扉113についても同様に、熱風が通過する貫通孔を有しない。本実施例において、調理庫102の栗収容室112に対応する部分と網状部110、扉113等により栗収容器118が構成される。
【0030】
熱風発生部104は、上述のヒータ120およびファン122と、ファン122を駆動するファンモータ124とを含む。ヒータ120は、電熱線が円環状に巻かれて成る。ファン122は、ヒータ120の内周部に設けられたシロッコファン等の遠心ファンとすることができる。ファンモータ124は、調理庫102の外部に設けられる。ファン122は、図示を省略するが、背面部に裏羽を有する。裏羽は、ファン122と調理庫102の側壁114に対向する側壁126との間の隙間を負圧にする機能を有する。本実施例において、熱風発生部102の最大消費電力は5.1kwである。
【0031】
本焼き栗製造装置には、図7に示すように、マイクロコンピュータを主体とする制御装置130が設けられる。制御装置130には、加熱温度入力部132、加熱時間入力部134、温度センサ136が接続されるとともに、ヒータ120、ファンモータ124、蒸気発生部106等が接続される。温度センサ136は、調理庫102の内部に設けられる。加熱温度入力部132は、30℃以上300℃以下の温度を入力可能なものであり、加熱時間入力部134は、120分以下の時間を入力可能なものである。制御装置130は、温度センサ136によって検出された温度が加熱温度入力部132を介して入力された温度に近づくようにヒータ120を制御するとともに、加熱時間入力部134を介して入力された時間に応じてヒータ120およびファンモータ124を制御する。なお、本焼き栗製造装置においては、蒸気発生部106の制御により、調理庫112の内部の蒸気量も制御可能とされている。
【0032】
以上のように構成された焼き栗製造装置における焼き栗製造方法について説明する。
本焼き栗製造装置において、扉113を開けて、渋皮離れのよい種類の生栗Mを図示しない金網製のトレー等に入れて、栗収容器118の中に2kg入れて、扉113を閉じる。それにより、栗収容室112は外部から遮断される。生栗Mは金網製のトレーに無造作に入れることができる。加熱温度、加熱時間を、加熱温度入力部132、加熱時間入力部134を介してそれぞれ入力して、熱風発生部104を駆動する。加熱温度を200℃とし、加熱時間を30分とした。また、蒸気は発生させていない。
【0033】
ファンモータ124の駆動によりファン122が回転させられ、それにより、風がヒータ120に向かって流れ、ヒータ120によって熱せられて熱風が発生させられる。熱風は、ヒータ120の外周側へ吹き出され、調理庫102の壁面に沿って流れ、網状部110を通って、栗収容器118の内部に流入する。熱風は、側壁114に向かって流れ、側壁114に当たり、調理庫102の内部において循環させられる。それにより、栗収容室112に収容された生栗Mを良好に加熱することができる。熱風は、その後、負圧により網状部110の中央部付近から流出させられる。
【0034】
加熱時間の終了後、栗収容器118から焼き栗を取り出す。本実施例においても、上記実施例における場合と同様に、見栄えよく、栗本来の甘味を損なわない焼き栗を製造することができる。また、焼き栗は、果実から渋皮、鬼皮が遊離していない状態にあるが、渋皮は剥がれ易い。
【0035】
本実施例においては、網状部110により熱風供給部が構成され、側壁114、または、側壁114、扉113、背面115、上面部116および下面部117により閉塞部が構成される。
【0036】
なお、以上の焼き栗製造方法はあくまで一例であり、熱風発生機構を利用して種々の方法で焼き栗を製造し得ることはいうまでもない。
また、本発明の焼き栗製造方法の実施に用いる焼き栗製造装置の構造は問わない。例えば、図6に示す焼き栗製造装置において、調理庫102は本体100と一体的に設けることができる等、本発明は、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0037】
12,104:熱風発生機構(熱風発生部) 14:鍋状容器 16:底部 18:側壁 20:開口 24,120:ヒータ 26,122:ファン 28,124:ファンモータ 30,130:制御装置 32,132:加熱温度入力部 34,134:加熱時間入力部 102:調理庫 110:網状部 112:栗収容室 114:側壁 118:栗収容器
【要約】
【課題】良好に焼き栗を製造する方法を得ることである。
【解決手段】本焼き栗製造方法によれば、熱風発生機構において発生させられた熱風が栗収容器の内部に供給され、栗収容器に収容された生栗が、150℃より高く250℃より低い温度で10分以上60分以下の時間加熱される。また、栗収容器は、互いに対向する熱風供給部と閉塞部とを備えたものである。熱風発生機構において発生させられた熱風は、熱風供給部から栗収容器の内部に流入して、閉塞部に向かって流れる。熱風は、栗収容器の内部において循環する。そのため、栗収容器の内部に収容された生栗を良好に加熱することができる。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7