特許第6626642号(P6626642)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立ハイテクノロジーズの特許一覧
<>
  • 特許6626642-自動分析装置 図000002
  • 特許6626642-自動分析装置 図000003
  • 特許6626642-自動分析装置 図000004
  • 特許6626642-自動分析装置 図000005
  • 特許6626642-自動分析装置 図000006
  • 特許6626642-自動分析装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6626642
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20191216BHJP
【FI】
   G01N35/10 F
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-121635(P2015-121635)
(22)【出願日】2015年6月17日
(65)【公開番号】特開2017-9299(P2017-9299A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】島田 賢史
(72)【発明者】
【氏名】山下 善寛
(72)【発明者】
【氏名】坂下 敬道
(72)【発明者】
【氏名】福垣 達也
【審査官】 松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−088812(JP,A)
【文献】 特開2013−246055(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/016506(WO,A1)
【文献】 特開平02−284658(JP,A)
【文献】 特開2011−214842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−37/00
B08B 1/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料又は試薬を分注するプローブと、
前記プローブを洗浄する洗浄液を吐出する吐出口を有する筒と、
前記吐出口の下方に設けられ前記洗浄液を排出する排出口を有する洗浄槽と、を備え、
前記プローブの洗浄対象箇所は、前記排出口の上方に配置され、
前記吐出口は、該吐出口からの洗浄液が、前記洗浄対象箇所に対して斜め上方から当たるように配置されると共に、ツバ状の構造をなし、
前記ツバ状の構造は、前記吐出口の軸に垂直な方向であって前記吐出口の側面から見た場合、当該吐出口の輪郭が、L字型、曲線状、もしくは、2段以上の階段形状となる構造である、自動分析装置。
【請求項2】
前記ツバ状の構造は、前記吐出口の軸方向から見た場合、当該吐出口の輪郭は正円である、請求項1記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記ツバ状の構造は、前記吐出口の一部を切削して形成され、又は前記吐出口と一体成型されている、請求項2記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記ツバ状の構造は、当該ツバ状の構造を有する部材を前記吐出口に取り付けることで形成される、請求項2記載の動分析装置。
【請求項5】
前記ツバ状の構造は、前記吐出口の先端外周のうち120°以上を占める構造である、請求項2記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記筒の断面積と、前記吐出口によって開口された内壁部分の表面積の比は1:3〜4.3である、請求項2記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記吐出口の内径は2mm以上〜4mm以下であって、前記吐出口からの前記洗浄液の流速が350mm/sec以上450mm/sec以下である、請求項1記載の自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料又は試薬等を分注する分注プローブを備えた自動分析装置、特にその分注プローブ洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野やバイオテクノロジー分野等においては、血液、血清、尿等の試料を試薬と反応させ、試料に含まれる特定の生体成分や化学物質等を検出する自動分析装置が用いられる。
【0003】
こうした自動分析装置では、信頼性の高い検査の実現に向けて分析精度の更なる向上が図られている。例えば、分析に係る一連の工程の中で、試料や試薬を分注する分注プローブの洗浄が不十分な場合、分注プローブに残った吸着物質が次の試料等の分注時に遊離してその試料に混入する懸念がある。これを一般的にキャリーオーバーという。キャリーオーバーは測定結果に影響を及ぼす。
【0004】
小児や高齢者が患者である場合には、少量しか試料が採取できない。また、患者の負担軽減や試薬使用量の削減のために、今後はさらに試料及び試薬の微量化が進み得る。
【0005】
試薬、試料の全容量が減少することで、上記吸着物質の混入濃度が相対的に上昇し、キャリーオーバーが測定結果に及ぼす影響はより強くなってくる。従って、今まで以上に試料及び試薬の分注工程においてキャリーオーバーの抑制が重要視される。分注プローブの洗浄方法については、洗浄液によるものが種々提唱されている。
【0006】
特許文献1に記載の装置では、試料や試薬を分注した分注プローブを洗浄槽へ移動させ、分注プローブ内の残液吐出、洗浄液吐出を行う。その後、洗浄槽に供えられた洗浄液を吐出する吐出口より出ている洗浄液へ分注プローブを当てることで、分注プローブの外壁面を洗浄している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2012/105398号パンフレット(米国特許出願公開第2014/0037503号明細書)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
分注プローブ内外壁面の洗浄効率は洗浄液の吐出圧力に依存し、吐出圧力を高くすることで、洗浄効率の向上が見込める。従って、上述したキャリーオーバーの抑制には洗浄液の吐出圧力を高くすることが有効である。
【0009】
特許文献1に記載の装置において、洗浄効率が足らず、許容される洗浄時間内で洗浄が十分に行えない場合、洗浄液吐出圧を上昇させる必要があると想定される。しかし、洗浄液吐出圧を上昇させることにより、吐出開始前後、終了前後で吐出口先端から液滴が飛散る可能性がある。そのような場合、液滴は吐出口から様々な方向へ飛散る。特に洗浄槽の外へ飛び散った液滴については、分注プローブへの付着、反応液への混入、希釈を起こす可能性がある。従って、この飛散りを回避する為に、キャリーオーバーが起きず、液滴飛散が起きない範囲を見出して調整する必要がある。また、飛散防止カバー、減圧吸引ユニットが導入される場合もある。
【0010】
本発明の目的は、液滴の飛散る可能性を上げることなく、洗浄液吐出圧を向上させることを可能とし、キャリーオーバーをより減少させることができる吐出口を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、次のように構成される。
【0012】
本発明による自動分析装置は、試料又は試薬を分注するプローブと、プローブを洗浄する洗浄液を吐出する吐出口を有する筒と、吐出口の下方に設けられ洗浄液を排出する排出口を有する洗浄槽と、を備え、プローブの洗浄対象箇所は、排出口の重力方向上側に配置され、吐出口は、該吐出口からの洗浄液が、重力方向上側から下側に、かつ、洗浄対象箇所に所定の角度をもって吐出されるように配置されると共に、重力方向下側の部位よりも重力方向上側の部位の方が長くなるように形成されたツバ状の構造を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、吐出口の形状を、洗浄液を排出する排出口側に開いた構造にすることで、吐出口から飛散する液滴の方向を排出口側へ制限でき、洗浄効率向上の為に吐出圧を上昇させても、吐出開始前後、終了前後で吐出口先端から液滴が飛散る可能性は上がらない。その結果、洗浄槽の外へ飛び散った液滴の、分注プローブへの付着、反応液への混入、希釈を起こす可能性も上がらない。別の表現をすれば、飛散防止カバー、減圧吸引ユニットを導入せずとも、簡易的な構造で液滴飛散りを抑制し、洗浄効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】自動分析装置の全体構成図
図2】試薬分注装置及びノズル洗浄装置を模式的に表した図
図3】分注ノズルの洗浄手順を表したフローチャート
図4】液滴の飛び散り原理を説明する図
図5】第一の実施例による吐出口形状の説明図
図6】第二の実施例による吐出口形状の説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
1.自動分析装置
図1は、本発明が適用される自動分析装置の一例の全体構成図である。以下、自動分析装置を例として説明するが、一般に吐出口を有する装置であれば本発明を適用可能である。前述の通り自動分析装置ではキャリーオーバーの防止が必須であり、さらに高いスループットが要求されることから、本発明に係る洗浄ノズルを自動分析装置に適用することが好ましい。
【0017】
図1において、自動分析装置100は、ラック101を搬送するラック搬送ライン117、反応容器105を設置するインキュベータディスク(反応ディスク)104、試料分注チップや反応容器105を搬送する搬送機構106、試料分注チップや反応容器105を保持する保持部材107、反応容器105内の試料を攪拌する反応容器攪拌機構108、試料を分注、吐出する試料分注装置(試料分注機構)103、試薬容器118を設置した試薬ディスク111、試薬を分注・吐出する試薬分注装置(試薬分注機構)114、インキュベータディスク104及び検出ユニット116間で反応容器105を移載する反応容器搬送機構115、反応容器105内の反応液に含まれる特定の生体成分や化学物質等を検出する検出ユニット116、試薬分注装置114の試薬分注プローブ122(図2に示す)を洗浄するための試薬分注プローブ洗浄装置119及び各装置の動作を制御する制御装置120を備えている。
【0018】
ラック搬送ライン117は、当該ラック搬送ライン117上の、所定の場所である試料分注位置までラック101を搬送する。試料分注位置とは試料分注装置103によって試料が分注可能な位置である。ラック101には、試料を保持する試料容器102を複数架設することができる。本実施例では、このように試料をライン搬送する構成を例示しているが、回転して試料を搬送するディスク状のものを設ける場合もある。
【0019】
インキュベータディスク104は、複数の反応容器105を環状に設置する容器設置部を有している。インキュベータディスク104は図示しない駆動装置によって回転駆動され、試料分注装置103による分注位置等を含む各所定位置まで任意の反応容器105を移動させることができる。
【0020】
搬送機構106は、XYZの3軸方向に移動可能であり保持部材107、反応容器攪拌機構108及びインキュベータディスク104の各所定箇所、並びに容器廃棄孔109及び試料分注チップ装着位置110の間で試料分注チップや反応容器を搬送する。
【0021】
保持部材107は、未使用の反応容器105と試料分注チップを複数設置している。上記搬送機構106は、保持部材107の上方に移動し、下降して未使用の反応容器105を把持して上昇し、インキュベータディスク104の所定位置の上方に移動し、下降してインキュベータディスク104に反応容器105を設置する。
【0022】
また、搬送機構106は、保持部材107の上方に移動し、下降して未使用の試料分注チップを把持して上昇し、試料分注チップ装着位置110の上方に移動し、下降して試料分注チップ装着位置110に試料分注チップを設置する。
【0023】
試料分注装置103は、分注プローブ(図示せず)を回動及び上下方向に移動させる。試料分注チップ装着位置110の上方に分注プローブを回動移動させて降ろし、分注プローブの先端に試料分注チップを圧入して装着する。
【0024】
試料分注チップを装着した分注プローブは、ラック101に載置された試料容器102の上方に移動して下降し、試料容器102に保持された試料を所定量吸引する。試料を吸引した分注プローブは、インキュベータディスク104の上方に移動して下降し、インキュベータディスク104に保持された未使用の反応容器105に試料を吐出する。試料吐出が終了すると、分注プローブは容器廃棄孔109の上方に移動し、使用済みの試料分注チップを容器廃棄孔109から廃棄する。
【0025】
試薬ディスク111は、複数の試薬容器118が設置される試薬容器設置部を有する。試薬ディスク111の上部には試薬ディスクカバー112(図1は左部分を一部破断した図である)が設けられていて、試薬ディスク111の内部は所定の温度に保温される。試薬ディスクカバー112には、インキュベータディスク104側の部分に試薬ディスクカバー開口部113が設けられている。
【0026】
試薬分注装置114は、試薬分注プローブ122(図2に示す)を水平方向に移動させる構成のものがあるが、本実施例では試料分注装置103と同じく試薬分注プローブ122を回転方向及び上下方向移動させる構成であってもよい。この試薬分注装置114は、試薬分注プローブ122を試薬ディスクカバー112の開口部113の上方に回転移動させて降ろし、試薬分注プローブ122の先端を所定の試薬容器118に挿入して所定量の試薬を吸引する。その際、試薬ディスク111においては、試薬分注プローブ122に吸引させる試薬を試薬ディスクカバー開口部113の下方位置に予め移動させてある。
【0027】
また、試薬分注装置114には静電容量を用いた液面検知器121(図2に示す)が備わっている。液面センサ121は液面検知器とも称する。液面センサ121は、試薬吸引の際、試薬に対する試薬分注プローブ122の浸漬部が最小限(例えば試薬が必要量だけ吸引できる浸漬量)となるように試薬分注プローブ122の下降量が制御される。
【0028】
試薬吸引後、試薬分注プローブ122は上昇してインキュベータディスク104の所定位置の上方に回転移動し、反応容器105に試薬を吐出する。その後、次回の試薬吸引工程に移行する前に、洗浄槽の上方に回転移動し、試薬分注プローブ122を洗浄する。
【0029】
試料と試薬が吐出された反応容器105は、インキュベータディスク104の回転によって所定位置に移動し、搬送機構106によって反応容器攪拌機構108のところに搬送される。反応容器攪拌機構108は、反応容器105に対して回転運動を加えることで反応容器105内の試料と試薬を攪拌して混和する。攪拌の終了した反応容器105は、搬送機構106によって、インキュベータディスク104の所定位置に戻される。
【0030】
搬送機構115は、試料分注装置103と同じく回転と上下移動が可能である。搬送機構115は試料と試薬の分注及び攪拌が終了しインキュベータディスク104に戻されて所定の反応時間が経過した反応容器105の上方に移動して下降し、反応容器105を把持して上昇し、回転移動によって検出ユニット116に反応容器105を搬送する。
【0031】
なお、本実施例においては、検出ユニット116と搬送機構115を2つずつ設け、並列分析による分析処理効率の倍増が図られている。
【0032】
以上で説明した各装置によるプロセス及び以下に説明する試薬分注プローブ洗浄動作は制御装置120によって実行される。制御装置120は、専用の回路基板によってハードウェアとして構成されていてもよいし、自動分析装置に接続されたコンピュータで実行されるソフトウェアによって構成されてもよい。ハードウェアにより構成する場合には、処理を実行する複数の演算器を配線基板上、または半導体チップまたはパッケージ内に集積することにより実現できる。ソフトウェアにより構成する場合には、コンピュータに高速な汎用CPUを搭載して、所望の演算処理を実行するプログラムを実行することで実現できる。このプログラムが記録された記録媒体により、既存の装置をアップグレードすることも可能である。また、これらの装置や回路、コンピュータ間は有線又は無線のネットワークで接続され、適宜データが送受信される。
【0033】
2.試薬分注プローブ洗浄槽の構成
図2は試薬分注装置114及び試薬分注プローブ洗浄装置119を模式的に表した図である。
【0034】
図2において、試薬分注装置114は、試薬分注プローブ122、移動装置123、分注シリンジ200、及び液面検知器121を備えている。移動装置123は、鉛直な軸に一端が連結されたアームを備えていて、駆動装置(図示せず)によってアームを回動させアームの他端に垂設した試薬分注プローブ122を軸周りに回転移動させるとともに、他の駆動装置(図示せず)によってアームを上下動させることで試薬分注プローブ122を上下に移動させる。
【0035】
分注シリンジ200は、試薬分注プローブ122に接続していて、試薬分注プローブ122に試薬を吸い込んだり試薬分注プローブ122から試薬を吐出したりする。分注シリンジ200とこの分注シリンジ200及び試薬分注プローブ122を接続する管路には予圧液が吸引されている。
【0036】
液面検知器121は、試薬分注プローブ122に接続されている。液面検知器121は静電容量によって試薬分注プローブ122を介して試薬や洗浄液の存在を検知する。例えば試薬分注プローブ122が試薬や洗浄液に触れると試薬や洗浄液の存在が液面検知器121によって検知される。なお、特に説明はしないが、試料分注装置103も試薬分注装置114と基本的に同様の構成である。したがって、以下の説明におけるノズル洗浄装置119は試薬分注プローブ、試料分注プローブのいずれを洗浄する場合にも利用することが可能である。
【0037】
図2では、図1に示した試薬分注プローブ洗浄装置119の断面を示している。図2の第一第三吐出口201を有する洗浄液吐出ノズルは、分注プローブ122が洗浄位置に移動した状態である。ノズル洗浄装置119は、洗浄槽124、第一第三吐出口201、第二洗浄液貯留槽202、第一第三洗浄液供給装置(洗浄液供給機構)125、第二洗浄液供給装置126を備えている。
【0038】
洗浄槽124は、インキュベータディスク104及び試薬ディスク111の間における試薬分注装置114の試薬分注プローブ122の軌道上に配置されている。この洗浄槽124は、試薬分注プローブ122に対して後述する第一洗浄ステップ、第二洗浄ステップ及び第三洗浄ステップをするための容器である。
【0039】
この洗浄槽124内の第一第三洗浄位置には、上記第一第三吐出口201が設けられ、第二洗浄位置には、第二洗浄液貯留槽202が設けられている。第一第三吐出口201を通して、分注プローブを洗浄する洗浄液が吐出される。ほぼ中心部(分注プローブ122の下方、つまり、第一第三吐出口201の下方)には排出口204を備えている。分注プローブ122から吐出される洗浄液は、排出口204に吐出され、排出口204を通して洗浄槽から排出される。排出口204は、図示以外の場所の複数個所にも設けても良い。
【0040】
第一第三洗浄位置、第二洗浄位置は試薬分注プローブ122の軌道上にインキュベータディスク104の試薬分注位置から試薬ディスク111の試薬吸引位置に向かってこの配置で並んでいる。図2において、試薬分注プローブ122を破線で表した位置が第二洗浄位置であり、第二洗浄位置の左側に試薬分注プローブ122を実線で表した位置が第一第三洗浄位置である。
【0041】
なお、試薬分注プローブ122の第一第三洗浄位置は、同一位置を示すが、この第一第三洗浄位置において、第一洗浄ステップと第三洗浄ステップが実行されるため、第一第三洗浄位置と定義している。
【0042】
第一第三洗浄位置は、第一第三吐出口201から吐出した第一、第三洗浄液が、第一第三洗浄位置にある試薬分注プローブ122の外壁面にかかる位置である。第一第三吐出口201は、本実施例では試薬分注プローブ122の移動を妨げない位置に設けられている。
【0043】
第二洗浄液貯留槽202には、この第二洗浄液貯留槽202に第二の洗浄液を供給する第二洗浄液供給装置126が接続されている。第二洗浄液供給装置126は、第二洗浄液を収容するタンク206、送液シリンジ207、流路切換弁208及び電磁弁205を備えている。送液シリンジ207は、タンク206と管路を介して接続している。タンク206と送液シリンジ207とを接続する管路は、分岐して第二洗浄液貯留槽202に接続している。流路切換弁208は管路の分岐部に設けられていて、電磁弁205は流路切換弁208と第二洗浄液貯留槽202とを接続する管路に設けられている。流路切換弁208は送液シリンジ207の接続相手をタンク206及び第二洗浄液貯留槽202のいずれかに切り換える。
【0044】
流路切換弁208を介してタンク206に接続した状態で送液シリンジ207が第二洗浄液を吸引し、流路切換弁208により送液シリンジ207の接続先を第二洗浄液貯留槽202に切り換えて、送液シリンジ207から第二洗浄液を吐出することによって、第二洗浄液貯留槽202に第二洗浄液が供給される。電磁弁205、流路切換弁208及び送液シリンジ207は制御装置120からの信号に従って動作する。
【0045】
また、第一第三吐出口201には、第一洗浄液及び第三洗浄液を供給する第一第三洗浄液供給装置125が接続されている。第一第三洗浄液吐出装置125は第二洗浄液供給装置126と同様な構成である。このため、簡略的に図示するとともに、その構成については説明を省略する。
【0046】
3.洗浄手順
図3は制御装置120による試薬分注プローブの洗浄手順を表したフローチャートである。
【0047】
図3に示すように、試薬分注プローブの洗浄工程は、第一洗浄ステップS1、第二洗浄ステップS2及び第三洗浄ステップS3の3つのステップを含んでいる。制御装置120は、試薬分注装置114及び試薬分注プローブ洗浄装置119を制御して第一、第二、第三洗浄ステップを実行する。以下、第一、第二、第三洗浄ステップについてそれぞれ説明する。
【0048】
(1)第一洗浄ステップ
第一洗浄ステップでは、制御装置120は、試薬分注装置114の動作を制御して、インキュベータディスク104上の反応容器105に試薬を吐出させた後、移動装置123に信号を出力して試薬分注プローブ122を第一洗浄位置(第一第三洗浄位置)に移動させ、第一第三洗浄液吐口201付近の第一洗浄位置へ移動する。そして、制御装置120は、分注シリンジ200及び第一第三洗浄液供給装置125に信号を出力し、試薬分注プローブ122から予圧液を吐出させるとともに、第一第三洗浄液吐口201から試薬分注プローブ122の外壁面に第一洗浄液をかける。つまり、試薬分注プローブ122内から予圧液を吐出することで試薬分注プローブ122の内壁面を洗浄し、試薬分注プローブ122の外壁面に第一洗浄液をかけることで試薬分注プローブ122の外壁面を洗浄する。
【0049】
この第一洗浄ステップにおける試薬分注プローブ122の内壁面の洗浄及び外壁面の洗浄はどちらが先でも良く、また同時であっても良い。第一洗浄位置で試薬分注プローブ122の外壁面にかけられた第一洗浄液は、排出口204を介して洗浄槽124から排液タンク(図示せず)に排出される。
【0050】
(2)第二洗浄ステップ
第一洗浄ステップ終了後、第二洗浄ステップに手順を移すと、制御装置120は、移動装置123に信号を出力して試薬分注プローブ122を第二洗浄位置の第二洗浄液貯留槽202に移動させ、試薬分注プローブ122の先端を第二洗浄液に浸漬させる。
【0051】
こうして試薬分注プローブ122を第二洗浄位置に移動させたら、制御装置120は、分注シリンジ200に信号を出力して試薬分注プローブ122に第二洗浄液を吸引することで、試薬分注プローブ122の内壁面を洗浄する。
【0052】
このとき、第二洗浄ステップの実行に伴う第二洗浄液貯留槽202の第二洗浄液の減少に応じて、制御装置120は、第二洗浄液供給装置126に信号を出力して第二洗浄液貯留槽202に第二洗浄液を補充する。つまり、分注プローブ122が吸引する洗浄液の量以上の量の洗浄液を第二洗浄液貯留槽202に補充する。
【0053】
(3)第三洗浄ステップ
第二洗浄ステップ終了後、第三洗浄ステップに手順を移すと、制御装置120は、移動装置123に信号を出力して試薬分注プローブ122を第三洗浄位置(第一第三洗浄位置)の第一第三吐出口201に移動させ、分注シリンジ200及び第三洗浄液供給装置125に信号を出力し、試薬分注プローブ122から第二洗浄液を吐出して試薬分注プローブ122の内壁面を洗浄するとともに、試薬分注プローブ122の外壁面に第三洗浄液をかけて試薬分注プローブ122の外壁面を洗浄する。
【0054】
第三洗浄ステップにおける第二洗浄液の吐出及び第三洗浄液の動作は、第一洗浄ステップにおける予圧液の吐出及び第一洗浄液の動作と同様である。この第三洗浄ステップにおける試薬分注プローブ122の内壁面の洗浄及び外壁面の洗浄はどちらが先でも良く、同時であっても良い。第三洗浄位置で試薬分注プローブ122の外壁面にかけられた第三洗浄液は、排出口204を介して洗浄槽124から排液タンク(図示せず)に排出される。
【0055】
具体的には、例えば、第二洗浄位置から第三洗浄位置への移動速度を遅らせる、第三洗浄位置に到達後第二洗浄液を吐出するタイミングを遅らせる、第二洗浄液を吸引後第二洗浄位置から第三洗浄位置に移動するタイミングを遅らせる等の動作の少なくとも1つにより実行することができる。
【0056】
なお、上記第一〜第三洗浄ステップの少なくとも1つにおいて、液面検知器121を用いて洗浄液を検知することで洗浄液の吐出状態又は貯留状態が正常であることを判断することができる。例えば、液面検知器121から入力される信号を基に、制御装置120によって試薬分注プローブ122に洗浄液が触れていることを確認する。そして、第一〜第三洗浄ステップの全てが正常に実行されていることが制御装置120で確認されない場合、正常に実行されなかった洗浄ステップを報知する信号が表示装置や音声装置、印刷装置等の出力装置に制御装置120から出力されるようにすることができる。また、必要であれば第一〜第三洗浄ステップが正常に実行されている旨を報知する信号が表示装置や音声装置、印刷装置等の出力装置に制御装置120から出力されるようにすることもできる。
【0057】
4.吐出口
(1)吐出口からの液滴飛散りメカニズム
図4吐出口からの液滴飛散りのメカニズムを示す。試薬吐出プローブは洗浄槽にてプローブ内流路、及び外側表面の洗浄を行う(図4(a))。水流停止時、慣性によって吐出口先端から洗浄液の一部が余分に飛び出し、代わりに空気が入り込む(図4(b))。吐出口内の洗浄液は、流路の中で暫くの間、吐出口側と洗浄液供給側に対して振動を起こす。この振動中に洗浄液の一部が吐出口の外に飛び出し、洗浄槽外へ飛散る事が有る(図4(c))。洗浄液吐出圧が高い時、洗浄液吐出停止時の洗浄液の振動速度も高くなり、振幅も大きくなる。その結果、一時的に吐出口の外に飛び出す洗浄液の体積が大きくなり、また、速度も高くなることで、吐出口からの液滴飛散り発生頻度が高くなる。液面の振動速度が速い場合、空気が吐出口内の洗浄液の液面に潜り込む事が有る。その結果、吐出口先端内部の洗浄液で満たされている領域に空気層が形成される。または、振動停止後に吐出口先端内壁に残った液膜が表面張力によって集まり、新たな洗浄液層が形成される(図4(d))。そして、次の動作サイクルで新たに洗浄液が吐出される際、新たに形成された洗浄液層が吐出口先端から押し出され、次に空気層が吐き出される。洗浄液層が吐出される際、洗浄液層の移動によって、空気層と吐出口内壁の間に新たに液膜が形成される。洗浄液層の吐出が終了し、空気層が吐出される際、この液膜が吐出口先端で気泡となることがある。この気泡が破裂することによって、液滴が周囲に飛び散る。または、空気層に残った液膜が表面張力によって小さな液滴となり、空気層と一緒に吐出される。この時、小さな液滴は吐出口内壁との表面張力と空気層の押し出される力のバランスにより、洗浄液が吐出される方向とは別の方向へ飛んでいくことがある(図4(e))。洗浄液吐出圧が高い時、空気層の吐出速度も高くなるため、気泡破裂時の飛散り、小さな液滴の飛び散りの発生頻度は高くなる。
【0058】
(2)第一の吐出口形態による飛散り防止
次に、本実施例における第一の吐出口形態について説明する。
【0059】
図5自動分析装置に備えられた吐出口の形状と効果の一例を説明した図である。
【0060】
図5の例では吐出口の開口面が排出口側に向かい合うように開放されている。具体的には、洗浄槽の側面から見た場合、吐出口先端が排出口に対して水平、あるいは洗浄槽の側壁側に傾いた形状をしている。つまり、吐出口先端が排出口または洗浄槽の側壁に向かい合うように開口している。また、吐出口先端は真正面(洗浄液吐出ノズルの軸方向)から見た場合、正円になっており、先端の開口面に対して鉛直方向から見た場合は楕円形になっている。(図5(a))。図5の例で示した吐出口を用いて洗浄液吐出を行った場合、先端構造が排出口側に開放されていることで、洗浄液吐出停止時の振動によって吐出口から飛び出す一部の洗浄液が、排出口側に向く。これにより液滴の飛び散り方向が排出口側に制限され、洗浄槽外への飛び散りが抑制される(図5(b))。また、同様に空気層吐出時の飛び散りも排出口側に制限され、洗浄槽外への飛び散りが抑制される(図5(d))。ある一例によれば、洗浄液は内径2〜4mmの吐出口から流速350〜450(mm/sec)で吐出される。特に洗浄液吐出停止後の洗浄液振動時に吐出口先端から洗浄液が飛び出し、吐出口先端の外側に付着しない範囲で水圧が調整されていた時、飛び散り防止効果が最大となる。
【0061】
(3)第二の吐出口形態による飛散り防止
次に第二の吐出口形態について説明する。
【0062】
図6は第二の実施例に係る自動分析装置に備えられた吐出口の形状と効果を説明した図である。
【0063】
図6の例が図5の例と相違する点は、吐出口の先端部分がツバ状の構造をしている点である。具体的には、真正面(洗浄液吐出ノズルの軸方向)から見た場合、吐出口の輪郭は正円となっており少なくとも有る一側面((洗浄液吐出ノズルの軸に垂直な方向)から見た場合にノズル先端の輪郭線が非直線になっている。例えば図6の例では洗浄液吐出ノズルの軸に垂直な方向から見た場合にノズル先端の輪郭線はL字型になっている。また、この輪郭線が曲線状であってもよいし2段以上の階段形状となっている形状であってもよい。図6の例では、洗浄槽外側で吐出口先端が長く、排出口側で短くなるように吐出口を配置している。言い換えれば、ノズル軸方向から見た先端外周において、吐出口の長さが排出口側より洗浄槽外側の方が長くなっている。この長くなっている部分をツバ部分と呼ぶ。ツバの長さは例えば3〜5mmである。ツバ部分は吐出口の先端外周の120°以上を占める構造であることが望ましい。また、円筒部分の断面積とツバ部分を含む先端構造内壁部分の表面積の比は1:3〜4.3であ図6(a))。尚、吐出口の先端構造は吐出口先端の一部を切削することで加工されても良いし、吐出口と一体成型されてもよい。また、上述したようなツバ状の構造を有する部材を吐出口の円筒部分に被せるように形成しても良い。
【0064】
第二の実施例で示した吐出口を用いて洗浄液吐出を行った場合、先端がツバ状の構造をしていることで、吐出停止後に吐出口から飛び出す洗浄液が出口長辺側の内壁に付着したまま、排出口側に露出する形になる。別の表現をすれば、洗浄槽外側から見て、吐出口先端は飛び出した洗浄液を隠す状態となる。その為、洗浄液吐出停止時に発生する飛び散りのうち、洗浄槽外側方向への飛び散りが起こらなくなり、排出口側に制限される。別の表現をすれば、排出口側にのみ洗浄液が飛び出すようになるため、洗浄槽外側への飛び散りは抑制される(図6(b))。
【0065】
また、前述のようにノズル先端に空気層が残る事がある(図6(c))。図6の形状の吐出口によれば、空気層吐出時の飛び散りでは、空気層吐出の際に生じる気泡が排出口側に向かって膨張、破裂するため、洗浄槽外への飛散りは抑制される。最初の洗浄液層移動に伴って生じる空気層内の液滴は、吐出口短辺側にある時、空気層の吐出と共に飛散りを起こすが、洗浄槽外側への飛散りはツバにより妨げられる。一方、液滴が吐出口長辺側に付着している時、空気層の吐出に伴いツバ部分まで押し出される。しかし反対方向である短辺側が開放されているため、ツバ部分では押し出される力が弱まり、飛散りに至らない。このような液滴は空気層吐出後に吐出される本流の洗浄液と共に吐出され、洗浄槽外側へは飛び散らない(図6(d))。
【0066】
図6の例では、図5の例と同様に、例えば洗浄液は内径2〜4mmの吐出口から流速350〜450(mm/sec)で吐出される。特に洗浄液吐出停止後の洗浄液振動時に吐出口先端から飛び出す洗浄液がツバ部分から飛び出さない範囲において、最大の飛び散り防止効果を示す。
【0067】
(4)本実施例による液滴飛散りの付着、混入の防止と洗浄効率向上
洗浄効率向上の為に洗浄液圧を上げると、第一第三吐出口201からの洗浄液飛散りも増加し、試薬分注プローブ122への洗浄液付着、または反応容器へ混入、希釈が発生する可能性がある。しかし本実施例に述べた洗浄ノズルによれば、洗浄液飛び散り発生頻度を上げることなく洗浄液圧を上げることが可能となり、試薬分注プローブ122の洗浄効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0068】
100・・・自動分析装置、101・・・ラック、102・・・試料容器、103・・・試料分注装置、104・・・インキュベータディスク(反応ディスク)、105・・・反応容器、106・・・搬送機構、107・・・保持部材、108・・・反応容器撹拌機構、109・・・容器廃棄孔、110・・・試料分注チップ装着位置、111・・・試薬ディスク、112・・・試薬ディスクカバー、113・・・試薬ディスクカバー開口部、114・・・試薬分注装置、115・・・容器搬送機構、116・・・検出ユニット(検出部)、117・・・ラック搬送ライン、118・・・試薬容器、119・・・試薬分注プローブ洗浄装置、120・・・制御装置、121・・・液面検知器、122・・・試薬分注プローブ、123・・・移動装置、124・・・洗浄槽、125・・・第一第三洗浄液供給装置、126・・・第二洗浄液供給装置、200・・・分注シリンジ、201・・・第一第三吐出口、202・・・第二洗浄液貯留槽、204・・・排出口、205、208、・・・電磁弁、206・・・タンク、207・・・送液シリンジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6