(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記凸部において前記間隙部が形成された部分の少なくとも一部は、前記溶着部が形成された部分よりも、前記バルーンの周方向に沿う幅が大きく形成されている、請求項3に記載のバルーンカテーテル。
前記凸部の少なくとも一つは、隣接する前記内表面の間の幅が放射方向内方側へ向けて徐々に広がる幅広部を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバルーンカテーテル。
前記凸部の少なくとも一つは、前記バルーンを折り畳んで前記シャフトに巻き付ける際に当該バルーンに形成される翼部の端部をなす位置に形成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のバルーンカテーテル。
前記バルーン成形工程において、前記バルーンにおいて前記凸部が形成される部分に、前記バルーンの内表面同士が向かい合わせて配置される内表面対向部を形成する、請求項8に記載のバルーンの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、各図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0013】
<第1実施形態>
図1、
図2は、第1実施形態に係るバルーンカテーテルの各部の構成を示す図であり、
図3は、第1実施形態に係るバルーンカテーテルが備えるバルーンの製造工程を示す図であり、
図4は、バルーンに翼部を形成する作業工程を示す図である。
【0014】
図2(A)、
図2(B)を参照して、本実施形態に係るバルーンカテーテル100は、シャフト140を生体器官に挿通させ、シャフト140の先端側に配置されたバルーン110を狭窄部(病変部)において拡張させることにより狭窄部を押し広げて治療する医療装置として構成している。
【0015】
バルーンカテーテル100は、冠動脈の狭窄部を広げるために使用されるPTCA拡張用バルーンカテーテルとして構成しているが、例えば、他の血管、胆管、気管、食道、その他消化管、尿道、耳鼻内腔、その他の臓器等の生体器官内に形成された狭窄部の治療および改善を目的として使用されるものとして構成することも可能である。
【0016】
バルーンカテーテル100の各部の構成について説明する。
【0017】
図2(A)、
図2(B)に示すように、バルーンカテーテル100は、生体管腔内に挿入可能な可撓性を備える長尺状のシャフト140と、シャフト140の先端部に固定された拡張および収縮可能なバルーン110と、シャフト140の基端部側に配置されたハブ170と、を備えている。
【0018】
実施形態の説明においては、バルーン110が設けられた側を先端側と称し、ハブ170が設けられた側を基端側と称し、シャフト140が延伸する方向を軸方向と称する。各図に付したX軸は、バルーンカテーテル100の幅方向を示し、Y軸はバルーンカテーテルの軸方向を示す。また、Z軸は、X軸とY軸がなす平面に対して直交する方向を示す。
【0019】
バルーンカテーテル100は、シャフト140の先端部側寄りにガイドワイヤ190が導出される開口部155が設けられた、いわゆるラピッドエクスチェンジタイプと呼ばれるものである。ただし、バルーンカテーテル100は、ガイドワイヤルーメンがシャフトの先端から基端に亘って延在するように形成された、いわゆるオーバーザワイヤタイプと呼ばれるバルーンカテーテルとして構成することも可能である。
【0020】
図2(B)に示すように、シャフト140は、ガイドワイヤ190が挿通されるガイドワイヤルーメン151が形成された内管(内管シャフト)150と、内管150との間に加圧媒体が流通可能な加圧媒体ルーメン161を形成する外管(外管シャフト)160とにより構成している。
【0021】
シャフト140は、内管150が外管160に内挿されることにより、内管150および外管160が同心状に位置合わせてして配置された二重管構造を有している。
【0022】
内管150は、基端側が径方向外側へ湾曲した中空のチューブ材によって構成している。内管150の先端近傍には、溶着等の公知の方法によりバルーン110の先端部113を液密・気密に接合している。
【0023】
内管150の基端近傍は、外管160の所定の位置に形成された接続用開口部162と液密・気密に接合している。ガイドワイヤ190は、内管150の先端に設けられた先端開口部153および内管150の基端に設けられた基端開口部155のそれぞれを入口または出口として、ガイドワイヤルーメン151に挿通される。
【0024】
内管150の先端には、例えば、バルーンカテーテル100の先端が生体器官(血管の内壁等)に接触した際に、生体器官に損傷が生じるのを防止する先端チップを取り付けることが可能である。先端チップは、例えば、内管150よりも柔軟な管状部材により構成することができる。
【0025】
内管150を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、軟質ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等の各種ゴム類、ポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等の各種エラストマー、ポリアミド、結晶性ポリエチレン、結晶性ポリプロピレン等の結晶性プラスチックを使用することができる。これらの材料中に、例えば、ヘパリン、プロスタグランジン、ウロキナーゼ、アルギニン誘導体等の抗血栓性物質を配合し、抗血栓性を有する材料とすることも可能である。
【0026】
外管160は、バルーン110の基端部115付近からハブ170まで延伸する中空状のチューブ材により構成している。外管160の先端近傍にはバルーン110の基端部115を溶着等の公知の方法により液密・気密に接合している。
【0027】
外管160の構成材料には、例えば、内管150と同様の材料を用いることが可能である。また、外管160において血液と接触する部分(例えば、外管160の外表面)に抗血栓性を有する物質をコーティングすることも可能である。
【0028】
図2(A)に示すように、ハブ170は、加圧媒体を供給するためのインデフレーター等の供給装置(図示省略)と液密・気密に接続可能な接続部171を備えている。ハブ170の接続部171は、例えば、流体チューブ等が接続・分離可能に構成された公知のルアーテーパー等によって構成することができる。
【0029】
バルーン110の拡張に使用される加圧媒体(例えば、生理食塩水、造影剤等)は、ハブ170の接続部171を介してシャフト140内へ流入させることができる。加圧媒体は、加圧媒体ルーメン161を経由してバルーン110へ供給される。
【0030】
次に、バルーンカテーテル100が備えるバルーン110の構成について説明する。説明に際して参照する
図1(A)は、バルーン110を拡大して示す斜視図であり、
図1(B)は、
図1(A)に示す1B−1B線に沿う断面図であり、
図1(C)は、
図1(B)に示す1C部分を拡大して示す図である。
【0031】
図1(A)に示すように、バルーン110は、拡張した際に筒状(ストレート形状)をなす拡張有効部111と、拡張有効部111の先端側に位置する先端側テーパー部113aと、拡張有効部111の基端側に位置する基端側テーパー部115aとを備えている。
【0032】
拡張有効部111は、生体管腔内に形成された狭窄部に対して拡張力を付与する部位である。バルーン110は、拡張有効部111に形成された凸部120を備えている。凸部120は、バルーン110の軸方向(Y軸方向)に沿う所定の長さで形成している。
【0033】
図1(B)、
図1(C)に示すように、凸部120は、バルーン110の外表面118から放射方向外方(径方向外方)へ向けて突出した凸形状を有している。すなわち、凸部120は、バルーン110の一部が放射方向外方(内管150に対して離間する方向)へ向けて突出した凸形状を有している。バルーン110は、当該バルーン110の周方向の異なる位置にそれぞれ形成された3つの凸部121、122、123を有している。
【0034】
各凸部121、122、123は、説明の便宜上、第1凸部121、第2凸部122、第3凸部123と称する。凸部120は、各凸部121、122、123の総称である。各凸部121、122、123は実質的に同一の構成を有するため、第1凸部121の構成を説明し、他の凸部122、123については説明を省略する。
【0035】
図1(C)に示すように、第1凸部121は、バルーン110の内表面119a、119b同士を向い合わせた部分において隣接する内表面119a、119bの少なくとも一部が互いに溶着された溶着部133を形成することにより、バルーン110の一部を突出させて構成している。具体的には、バルーン110の一部を放射方向外方へ引き出すようにして突出させた部分を形成し、突出させた部分の凸形状が維持されるように、バルーン110の隣接する内表面119a、119bを溶着している。このようにして、第1凸部121はバルーン110の一部により構成している。
【0036】
溶着部133は、放射方向外方側に位置する第1凸部121の先端部131に形成している。溶着部133は、先端部131から放射方向(径方向)に沿う所定の長さで形成している。第1凸部121に含まれる各内表面119a、119bは、先端部131側の所定の範囲において、両者の間に隙間が形成されていない状態で互いに密着している。
【0037】
第1凸部121の放射方向内方側(径方向内方側)に位置する端部(以下、「基部」とも称する)135には、溶着部133を形成していない。このため、基部135付近では、内表面119a、119b同士が互いに離隔して配置されている。この基部135は、隣接する内表面119a、119bの間の距離が放射方向内方側へ向けて徐々に広がる幅広部を構成している。
【0038】
凸部120と、バルーン110の内部空間(加圧媒体が流入する空間)の境界付近では、内表面119a、119b同士が離隔している。この境界付近には、バルーン110の内部空間に連通する溝136が形成されている。
【0039】
溝136は、凸部120と同様にバルーン110の軸方向に沿って延在している。一旦拡張させたバルーン110を収縮させると、溝136が起点となり、凸部120がシャフト140(内管150)に向かって誘導されるように移動しながらバルーン110全体が収縮する。このため、バルーン110を複数回に亘って収縮させる場合においても、凸部120が配置される位置にばらつきが生じ難く、収縮した際のバルーン形状は再現性が高いものとなる。複数の異なる病変部に対する処置を行うに際して、バルーン110の拡張−収縮を繰り返し行う場合においても、狭窄部に対するバルーン110の再通過性は良好なものとなる。
【0040】
基部135よりも先端部131側に位置する部分は、略一定の幅を備える柱状部132を構成している。この柱状部132の最先端は、例えば、図示するような湾曲した断面形状に形成することが可能である。ただし、最先端の形状は特に限定されず、先端に向けて先細るテーパー形状に形成したり、矩形の断面形状に形成したりすることも可能である。
【0041】
図4(C)に示すように、バルーン110は、バルーンカテーテル100の製造後に折り畳まれて、シャフト140が備える内管150に巻き付けられる。バルーン110は、バルーンカテーテル100の使用に先立ち、内管150に巻き付けて縮径された状態で保護シース195内に挿入される。
【0042】
図4(B)に示すように、各凸部121、122、123は、バルーン110を折り畳んで内管150に巻き付ける際に当該バルーン110に形成される翼部137の端部137aをなす位置に形成している。翼部137は、内管150に対して周方向に巻き付けられる部分であり、バルーン110の内表面同士を密着させることで放射方向に延在する翼形状が付与された部分である。翼部137の端部137aは、内管150から離間する方向に位置する端部(先端部)を意味する。
【0043】
溶着部133を形成する方法は、バルーン110の構成材料に応じて適宜選択し得る。例えば、レーザー溶着、高周波溶着、各種の熱源を利用して行う熱溶着等の公知の溶着方法を採用することが可能である。
【0044】
溶着部133は、例えば、バルーン110の内表面119a、119bのみを溶着させて形成してもよいし、バルーン110において凸部120を構成する部分全体を溶着させて形成してもよい。本実施形態では、凸部120を形成する部分のバルーン110の厚みが減少して凸部121の耐久性が損なわれるのを防止するために、内表面119a、119bのみを溶着して溶着部133を形成している。内表面119a、119bのみを溶着する方法としては、例えば、レーザー溶着を採用することができる。レーザー溶着を行う際、レーザーの焦点位置を内表面119a、119b近傍に設定することにより、精度よく内表面119a、119bのみを溶着することが可能になる。
【0045】
溶着部133は、隣接する各内表面119a、119bに対して、バルーン110の一部を凸形状に維持する固着力を作用させるために形成する部分である。溶着部133を形成する位置や範囲(各内表面119a、119b同士を溶着する位置、溶着する範囲)は、凸部120の形状が損なわれない限りにおいて適宜変更することが可能である。
【0046】
図1(C)を参照して、凸部120の高さ寸法h1(基部135の外表面から先端部133の外表面までの距離)は、例えば、0.1mm〜2.0mmに形成することができる。また、柱状部132の幅寸法w1は、例えば、0.02mm〜0.2mmに形成することができ、基部135の幅寸法w2は、例えば、0.1mm〜2.0mmに形成することができる。
【0047】
図1(A)を参照して、凸部120の軸方向の長さL1は、例えば、5mm〜300mmに形成することが可能である。
【0048】
なお、凸部120の各寸法は、バルーン110を拡張させた際に凸部120を処置対象となる狭窄部に喰い込ませることにより、バルーン110による拡張性能を向上させ得る限りにおいて適宜変更することが可能であり、例示した各寸法に限定されることはない。
【0049】
バルーン110の構成材料は、凸部120を形成し得る限りにおいて特に限定されない。構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリスチレンエラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等を用いることができる。
【0050】
バルーン110に形成される凸部120は、バルーン110と同一の素材で形成される。このため、例えば、バルーン110の構成材料を適宜選択することにより、凸部120の柔軟性を調整することが可能である。また、バルーン110の厚みを調整することにより、凸部120の柔軟性を調整することも可能である。
【0051】
本実施形態に係るバルーンカテーテル100のように、一つのバルーン110に複数の凸部121、122、123を形成する場合、例えば、周方向に均等な間隔を設けてそれぞれの凸部121、122、123を配置することが好ましい。
図1(B)に示すように、バルーンカテーテル100では、各凸部121、122、123の中心位置の間に120°の角度差θ1を設けている。このように周方向に均等な間隔を空けて各凸部121、122、123を配置することにより、狭窄部を拡張する際に、狭窄部の周方向の均等な位置に対して各凸部121、122、123を喰い込ませることが可能になるため、狭窄部をより一層効率良く拡張させることが可能になる。
【0052】
本実施形態においては、バルーン110の拡張有効部111に3つの凸部120を形成した例を示しているが、凸部120を形成する個数は一つ以上であれば特に限定されない。また、二つ以上の凸部120を形成する場合、バルーン110の周方向の間隔は任意に設定することができ、各凸部120の間に均等な間隔を設けなくてもよい。また、複数の凸部120を形成する場合、高さ、幅、軸方向の長さ等の各寸法や形状等は凸部120ごとに異なるようにしてもよい。
【0053】
次に、
図3および
図4を参照して、バルーン110の製造方法、およびバルーン110に翼部137を形成する方法を説明する。
図3および
図4は、バルーン110の各製造工程、翼部137を形成する作業工程、および各工程に使用される装置の要部を簡略的に示す図である。
【0054】
まず、
図3(A)に示すように、管状のバルーン素材(パリソン)110aを所定形状のバルーン110に成形するバルーン成形工程を行う。バルーン素材110aは、例えば、前述したバルーンの構成材料として例示したものの中から任意のものを選択することができる。
【0055】
バルーン成形工程は、所定のバルーン成形型710を使用したブロー成形により行うことができる。バルーン成形型710としては、例えば、型閉めにより所定の成形面715を形成する3つの分離型711、712、713を備えるものを使用することができる。
【0056】
各分離型711、712、713を型閉めすると、バルーン成形型710には、バルーン110に対して拡張有効部111や各テーパー部113a、115aを成形する稜線部715bと、バルーン110において凸部120が形成される部分にバルーン110の内表面119a、119b同士が向い合わせて配置される内表面対向部119(
図3(B)を参照)を成形する凹部715bと、が形成される。
【0057】
バルーン成形型710を使用してブロー成形を行うと、管状のバルーン素材110aに所定のバルーン形状を付与することができる。また、バルーン成形型710を使用したブロー成形を行うことにより、
図3(B)に示すように、バルーン110に内表面対向部119を成形することができる。このように、管状のバルーン素材110aをバルーン110に成形する際に、バルーン110に内表面対向部119を成形することにより、バルーン110の成形と内表面対向部119の成形とを別途の工程で行う場合に比べて工程数を削減することができる。
【0058】
なお、バルーン110において内表面対向部119を成形する部分は、翼部137の端部137aをなす位置に予め設定することができる(
図4(B)を参照)。
【0059】
バルーン成形工程を終えた後、バルーン成形型710からバルーン110を取り出す。
【0060】
次に、
図3(C)に示すように、内表面対向部119において隣接する内表面119a、119b同士をバルーン110の軸方向に沿って溶着することにより、バルーン110の外表面118から突出する凸部120を形成する。溶着を行う際には、バルーン110の外表面118を挟み込んで各内表面119a、119b同士を密着させた状態に保持する治具等を使用することが可能である。
【0061】
以上の工程により、バルーン110を製造することができる。バルーン110を製造した後、バルーン110をシャフト140の先端部に溶着等により接合して、バルーンカテーテル100を組み立てる。
【0062】
バルーンカテーテル100を組み立てた後、バルーン110を折り畳んで内管150に巻き付ける。
【0063】
バルーン110を折り畳む作業を行うに際して、
図4(A)に示すように、バルーン110に翼部137を形成する翼部形成工程を行う。翼部137は、所定のラッピング装置770を使用して形成することができる。
【0064】
ラッピング装置770は、3つの押圧部材771、772、773を備えている。各押圧部材771、772、773は、互いに近接離反可能に構成している。
図4(A)に示すように、各押圧部材771、772、773は、接近して互いに組み合わさることにより、内管150が挿入される孔部775aと、孔部775aから径方向に延びる翼形状付与部775bと、を形成する。また、各押圧部材771、772、773には、バルーン110を加熱するための加熱手段(図示省略)を設置している。加熱手段としては、例えば、公知の電熱線などを使用することが可能である。
【0065】
ラッピング装置770は、その中心部付近に内管150が配置された状態で、各押圧部材771、772、773を互いに接近移動させることにより、バルーン110の外周を3方向から径方向内方に押圧して押し込む。この際、ラッピング装置770はバルーン110を加熱する。バルーン110において翼形状付与部775bにより挟み込まれた部分は、内表面同士が重なり合うように密着する。この状態のまま、外管160を通じて真空引きを行う。その後、各押圧部材771、772、773を互いに離反させて、バルーン110を取り出す。
【0066】
図4(B)に示すように、バルーン110には翼部137が形成される。翼部137の端部137aには、バルーン110の製造時に形成した凸部120が配置される。
【0067】
次に、翼部137をシャフト140の内管150の外周に巻き付ける。翼部137を巻き付ける際は、翼部137の端部137aを内管150の外周面に沿わせるように配置する。このように翼部137を巻き付けることにより、翼部137の端部137aに形成した凸部120がバルーン110の外表面側に突出するのを防止することが可能になる。これにより、バルーン110を生体管腔内において移動させる際に、凸部120が生体管腔の内面と接触するのを防止でき、生体管腔に掛かる負荷を低減することが可能になる。また、
図4(C)のように、翼部137をシャフト140の内管150の外周に巻き付ける際、翼部137の端部137aに形成した凸部120が翼部137に覆われないため、凸部120がバルーン110の外表面118を傷つけることを防止することができる。
【0068】
翼部137を巻き付ける作業を終えた後、所定の保護シース195内にバルーン110を挿入し、バルーン110に保護シース195を被せる。翼部137の端部137aに形成した凸部120は、溶着部133を備えることにより、比較的柔軟な他の部位と比べて硬質なものとなっている。このため、バルーン110を保護シース195内に挿入する際、バルーン110と保護シース195の内面との間で作用する摺動抵抗が低減する。よって、バルーン110の挿入作業を円滑に行うことが可能となる。
【0069】
次に、本実施形態に係るバルーンカテーテル100の作用を説明する。
【0070】
バルーン110に形成した凸部120は、バルーン110を使用して狭窄部を拡張させる手技を行う際に、従来のブレード付きバルーンカテーテルが備えるブレードと同様に、狭窄部に喰い込んで、狭窄部に解離(亀裂)を生じさせる機能を有する。このため、狭窄部に対するバルーン110の拡張性能を向上させることができる。
【0071】
凸部120は、バルーン110の一部によって構成している。このため、バルーン110とは別部材で構成されたブレードを取り付ける場合に生じるバルーン110の柔軟性の低下や、ブレードがバルーン110から脱落するといった問題が発生するのを防止することが可能になる。製造作業の面においては、ブレードを取り付ける場合に比べて、製造工程が簡易なものとなるうえに、部品点数の増加を抑えることができるため、製造コストを削減することが可能になる。
【0072】
バルーン110および凸部120が同一の材料で形成されているため、バルーン110を折り畳む際やバルーン110を生体管腔内で操作する際に、バルーン110の外表面118に傷が付いてしまうのを好適に防止することができる。
【0073】
また、溶着部133が、放射方向外方側に位置する凸部120の先端部131に形成されているため、凸部120の先端部131が過度に柔軟に形成されるのを防止することができる。これにより、バルーン110の拡張変形に伴わせて凸部120の先端部131を狭窄部内に容易に喰い込ませることが可能になるため、バルーン110の拡張性能がより一層向上したものとなる。
【0074】
また、凸部120が、隣接する内表面119a、119bの間の距離が放射方向内方側へ向けて徐々に広がる幅広部135を有するため、バルーン110を折り畳んでシャフト140に巻き付ける際(拡張したバルーン110を収縮させる際)、幅広部135を起点にして凸部120をバルーン110の外表面118に沿わせるようにして変形させることが可能になる。これにより、折り畳んだ際のバルーン径を小径化することができるため、狭窄部に対する通過性がより一層向上したものとなる。また、凸部120は、バルーン110を折り畳む際の起点になる幅広部135を有するため、バルーン110に対して拡張及び収縮の操作を複数回行った際でも、折り畳んだ際のバルーン径を小径化することができる。このため、狭窄部に対する通過性がより一層向上したものとなる。
【0075】
また、凸部120が、バルーン110を折り畳んでシャフト140に巻き付ける際に当該バルーン110に形成される翼部137の端部137aをなす位置に形成されているため、翼部137の端部137aに形成した凸部120がバルーン110の外表面側に突出するのを防止することができる。これにより、バルーン110を生体管腔内において移動させる際に、凸部120が生体管腔の内面と接触するのを防止でき、生体管腔に掛かる負荷を低減させることが可能になる。
【0076】
また、バルーンカテーテル100のバルーン110を製造する好適な製造方法を提供することができる。具体的には、管状のバルーン素材110aを所定形状のバルーン110に成形するバルーン成形工程と、バルーン110の内表面119a、119b同士を向かい合わせて配置した部分において、隣接する内表面119a、119bの少なくとも一部を互いに溶着することにより、バルーン110の一部を放射方向外方へ向けて突出させ、バルーン110の軸方向に沿って所定の長さを備える少なくとも一つの凸部120を形成する凸部形成工程と、を有するバルーンの製造方法を提供することができる。
【0077】
本実施形態に係る製造方法によれば、狭窄部に対する拡張性能を向上させる凸部120が形成されたバルーン110を製造することができる。また、当該方法によれば、バルーン110にブレードを取り付ける場合に比べて、簡易な製造工程による製造が可能となり、部品点数の増加を抑えることも可能になるため、バルーン110の製造コストを削減することができる。
【0078】
また、バルーン成形工程では、バルーン110において凸部120が形成される部分に、バルーン110の内表面119a、119b同士が向かい合わせて配置される内表面対向部119を成形するため、バルーン110の成形と内表面対向部119の成形とを別途の工程で行う場合に比べて工程数を削減することができ、製造作業がより一層簡易なものとなる。
【0079】
また、凸部120が形成された部分を端部137aとする翼部137をバルーン110に形成する翼部形成工程をさらに有することにより、翼部137の端部137aに形成した凸部120がバルーン110の外表面側に突出するのを防止することができる。これにより、生体管腔内において移動させる際に、生体管腔に対する負荷を軽減することが可能なバルーン110を提供することが可能になる。
【0080】
<第2実施形態>
次に、
図5を参照して、本発明の第2実施形態に係るバルーンカテーテルを説明する。
図5(A)は、バルーンを拡大して示す斜視図であり、
図5(B)は、
図5(A)に示す5B−5B線に沿う断面図であり、
図5(C)は、
図5(B)に示す5C部分を拡大して示す図である。第1実施形態に係るバルーンカテーテルの説明において既に説明した部材や各構成については、その説明を適宜省略する。
【0081】
第2実施形態に係るバルーンカテーテル200は、バルーン210に形成した凸部220の構成が前述した第1実施形態に係るバルーン110と相違する。具体的には、バルーン110に形成した凸部120は、その先端部131に溶着部133を形成していた。一方、本実施形態に係るバルーン210に形成した凸部220は、先端部231に溶着部を形成していない。
【0082】
バルーン210には、第1〜第3凸部221、222、223の3つの凸部を形成している。各凸部221、222、223は実質的に同一の構成を有するため、第1凸部221の構成を説明し、他の凸部222、223については説明を省略する。なお、凸部220は、各凸部221、222、223を総称したものである。
【0083】
図5(C)に示すように、第1凸部221は、隣接する内表面219a、219bの間に区画される間隙部238を有している。間隙部238は、溶着部233よりも放射方向外方側(先端部231側)に形成している。間隙部238は、先端部231側で隣接する内表面219a、219b同士を溶着せずに、当該部位を非溶着部とすることにより形成している。なお、間隙部238は、バルーン210を拡張用流体(加圧媒体)等で拡張した際、拡張用流体が流入しないように形成されている。これにより、バルーン210を拡張した際、拡張時の圧力により、バルーン210が損傷するのを防止することができる。
【0084】
第1凸部221に形成した間隙部238は、長軸方向が放射方向に沿って伸びる楕円形状の断面形状を有する。第1凸部221と、バルーン210の内部空間の境界付近には、バルーン210を収縮させる際に収縮変形の起点となる溝236を形成している。
【0085】
第1凸部221において間隙部238が形成された部分の少なくとも一部は、溶着部233が形成された部分よりも、バルーン210の周方向に沿う幅が大きく形成されている。本実施形態においては、間隙部238の幅が最大となる部分の寸法w3が、溶着部233が形成された部分の幅の寸法w4よりも大きく形成されている。
【0086】
凸部220は、例えば、次のような手順で形成することができる。
【0087】
まず、第1実施形態で説明したようにバルーン210に内表面対向部を形成する(
図3(B)を参照)。次に、凸部220の基部235付近に溶着部233を形成する。このような手順により、バルーン210の一部で凸部220を構成することができる。
【0088】
上述したように、第2実施形態に係るバルーンカテーテル200においては、凸部220が、隣接する内表面219a、219bの間に区画される間隙部238を有するように構成される。この間隙部238は、溶着部233よりも放射方向外方側に形成している。凸部220に間隙部238を設けることにより、凸部220の柔軟性を調整することができる。例えば、凸部220を比較的柔軟に形成することにより、生体管腔内でバルーン210を移動させる際に、生体器官に掛かる負荷を軽減することが可能になる。さらに、シャフト140にバルーンを巻き付ける際には、シャフト140の外周面に沿って凸部220が柔軟に変形するため、収縮時のバルーン径を小径化することが可能になる。
【0089】
また、凸部220において間隙部238が形成された部分の少なくとも一部は、溶着部233が形成された部分よりも、バルーン210の周方向に沿う幅の寸法が大きく形成されている。このため、間隙部238の幅の寸法、すなわち、隣接する内表面219a、219b間の距離を比較的大きく設定することができるため、凸部220に所望の柔軟性を持たせることが可能になる。
【0090】
間隙部238の断面形状は、図示した楕円形状に限定されることはなく、例えば、円形等に形成することも可能である。また、間隙部238の幅や放射方向の長さ、大きさ(容積)等も特に限定されることはない。
【0091】
<第3実施形態>
次に、
図6を参照して、本発明の第3実施形態に係るバルーンカテーテルを説明する。
図6(A)は、バルーンを拡大して示す斜視図であり、
図6(B)は、
図6(A)に示す6B−6B線に沿う断面図であり、
図6(C)は、
図6(A)に示す6C−6C線に沿う断面図である。前述した各実施形態に係るバルーンカテーテルの説明において既に説明した部材や各構成については、その説明を適宜省略する。
【0092】
第3実施形態に係るバルーンカテーテル300は、バルーン310の拡張有効部111の先端側に位置し先端側へ向けて外径が徐々に小さくなる先端側テーパー部113aにも凸部320が形成されている。このような点において、前述した第2実施形態に係るバルーンカテーテル200と相違する。
【0093】
図6(B)に示すように、バルーン310の先端側テーパー部113aには、第1〜第3凸部321、322、323の3つの凸部を形成している。各凸部321、322、323は実質的に同一の構造を有する。また、各凸部321、322、323は、第2実施形態において説明した凸部220と実質的に同一の構造を有する。なお、凸部320は、各凸部321、322、323を総称したものである。
【0094】
図6(C)に示すように、バルーン310の拡張有効部111には、第1〜第3凸部221、222、223の3つの凸部を形成している。なお、拡張有効部111に形成した凸部220は、先端側テーパー部113aに形成した凸部320よりも、放射方向に沿う高さ寸法を大きく形成している。
【0095】
本実施形態に係るバルーンカテーテル300は、バルーン310の先端側テーパー部113aにも凸部320が形成されている。先端側テーパー部113aは、凸部320が形成されることにより、部分的に剛性が高められる。このため、狭窄部にバルーン310を挿通させる際、狭窄部と先端側テーパー部113aとの間で作用する摺動抵抗が抑えられる。よって、バルーン310の通過性がより一層向上したものとなる。
【0096】
なお、第1実施形態において説明した凸部120を先端側テーパー部113aに形成することも可能である。
【0097】
先端側テーパー部の第1〜第3凸部321、322、323は、
図6(A)の形状に限定されない。例えば、先端側テーパー部113aの第1凸部321は、拡張有効部111の第1凸部221と連続的に形成されていてもよい。また、先端側テーパー部113aの第2凸部322は、拡張有効部111の第2凸部222と連続的に形成されていてもよい。また、先端側テーパー部113aの第3凸部323は、拡張有効部111の第1凸部223と連続的に形成されていてもよい。
【0098】
<第4実施形態>
次に、
図7を参照して、本発明の第4実施形態に係るバルーンカテーテルを説明する。
図7(A)は、バルーンを拡大して示す斜視図であり、
図7(B)は、
図7(A)に示す7B−7B線に沿う断面図である。前述した各実施形態に係るバルーンカテーテルの説明において既に説明した部材や各構成については、その説明を適宜省略する。
【0099】
図7に示すように、凸部220は、例えば、バルーン410の拡張有効部111に2つ形成することができる。第1凸部221と第2凸部222との間には、バルーン410の周方向に沿って180°の角度差を設けている。
【0100】
図8を参照して、バルーン410の製造方法の一例を説明する。
【0101】
まず、
図8(A)に示すバルーン成形型810を使用して、管状のバルーン素材410aを所定形状のバルーン410に成形する。バルーン成形型810としては、バルーン形状に合致した成形面815を形成する第1の型811と第2の型812を備える公知のブロー成形用の金型を使用することができる。
【0102】
管状のバルーン素材410aには、凸部220を考慮した分だけ円周長が長く形成されたものを使用する。具体的には、所望のバルーン径として必要な円周長よりも、(形成する凸部の高さ)×2×(形成する凸部の個数)分だけ長さを付加したバルーン素材410aを準備する。このような長さを付加することにより、バルーン410の内表面同士を対向させた部分で凸部220を形成する場合においても、所望のバルーン径を確保することが可能になる。
【0103】
図8(A)に示すように、バルーン成形型810を使用したブロー成形を行うことにより、バルーン410を成形する。成形を終えた後、バルーン成形型810からバルーン410を取り出す。
【0104】
次に、円形断面に成形されたバルーン410を、
図8(B)に示すように、軍配状(扁平形状)に形状付けする。バルーン410の各端部410a、410bは、内表面419a、419b同士が互いに向い合って配置された内表面対向部419を形成する。内表面対向部419において内表面419a、419b同士を溶着することにより、凸部220を形成することが可能になる。このように凸部220を形成すると、内表面対向部419を形成した部分でバルーン410の肉厚が薄くなるのを防止できるため、バルーン410の各部に肉厚のばらつきが生じるのを防止でき、バルーン410の製品品質が向上したものとなる。
【0105】
凸部220を複数形成する場合、凸部220の個数に応じた回数で溶着作業を実施する。なお、ここで説明した方法により、三つ以上の凸部220を形成する場合、各端部410a、410bに対して溶着作業を終えた後、例えば、図中の破線で示すようにバルーン410の一部を撓ませるように変形させて内表面対向部419を形成し、当該部分で溶着を行うことにより、バルーン410の所望の位置に凸部220をさらに形成することが可能となる。
【0106】
バルーン410に凸部220を形成した後、バルーン410を適宜拡張させて、バルーン410にシャフト140を接合する。その後、バルーン410に翼部を形成する。第1実施形態において説明したバルーン110と同様に、凸部220を形成する位置は、翼部の端部に設定することが可能である。
【0107】
なお、バルーン410に凸部220を形成する工程は、シャフト140にバルーン410を接合した後に実施することも可能である。
【0108】
図8(B)では、円形断面に成形されたバルーン410を軍配状(扁平形状)に形状付けをしているが、これに限定されない。例えば、バルーンを三角柱又はプロペラ形状等に形状付けを行ってもよい。この場合、内表面対向部は、バルーンの内表面同士が互いに向かい合って配置される三角柱の頂点やプロペラ形状が有する羽根の端部に形成することができる。
【0109】
<変形例>
次に、
図9および
図10を参照して、変形例に係るバルーン510および他の変形例に係るバルーン610を説明する。
【0110】
図9に示すように、例えば、一つのバルーン510に、第1〜第4の4つの凸部221、222、223、224を形成することも可能である。4つの凸部221、222、223、224を形成する場合、各凸部221、222、223、224の間には、バルーン510の周方向に沿って90°の角度差を設定することが好ましい。このような角度差を設定することにより、各凸部221、222、223、224の間に均等な間隔を設けることが可能になる。狭窄部を拡張する際に、狭窄部の周方向の均等な位置に対して各凸部221、222、223、224を喰い込ませることが可能になるため、狭窄部を効率良く拡張させることが可能になる。
【0111】
また、
図10に示すように、例えば、一つのバルーン610に、第1〜第6の6つの凸部221、222、223、224、225、226を形成することも可能である。6つの凸部221、222、223、224、225、226を形成する場合、各凸部221、222、223、224、225、226の間には、バルーン610の周方向に沿って60°の角度差を設定することが好ましい。このような角度差を設定することにより、各凸部221、222、223、224、225、226の間に均等な間隔を設けることが可能になる。狭窄部を拡張する際に、狭窄部の周方向の均等な位置に対して各凸部221、222、223、224、225,226を喰い込ませることが可能になるため、狭窄部を効率良く拡張させることが可能になる。
【0112】
以上、複数の実施形態および変形例を通じて本発明に係るバルーンカテーテルおよびバルーンの製造方法を説明したが、本発明は各実施形態および変形例において説明した構成のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【0113】
例えば、二つ以上の凸部をバルーンの周方向に沿って隣接させるように形成し、各凸部を相互に溶着して一つの凸部を構成させることもできる。溶着する凸部の個数に応じて、凸部の柔軟性を調整したり、凸部の幅を調整したりすることが可能になる。
【0114】
また、例えば、凸部は、その先端部側を放射方向内方側へ折り曲げて、折り曲げた部分の外表面を溶着等して固定するようにしてもよい。折り曲げて重ねた部分は、他の部分よりも硬質なものとなるため、凸部の柔軟性を部分的に調整することが可能になる。折り曲げることにより、凸部の高さを調整することも可能になる。
【0115】
また、凸部は、バルーンの拡張有効部に少なくとも一つ形成されていることによりバルーンの拡張性能を高めるものであればよく、個数や形状、形成する位置等は、各実施形態において説明したものに限定されることはない。例えば、バルーンの軸方向に沿って断続的に並ぶ複数の凸部を形成したり、バルーンの周方向に沿って螺旋等の所定のパターンを形成するように凸部を配置したりすることも可能である。また、例えば、凸部をバルーンの基端側テーパー部に形成することも可能である。また、例えば、一つの凸部に間隙部と溶着部を放射方向に沿って交互に複数形成することも可能であるし、一つの凸部の軸方向に沿って間隙部と溶着部を併存させるように形成することも可能である。
【0116】
また、第1実施形態において示した凸部(先端部の内表面が溶着された凸部)120と、第2実施形態において示した凸部(先端部の内表面が溶着されていない凸部)220とを一つのバルーンに形成することも可能である。例えば、柔軟性が比較的高い凸部220を先端側テーパー部に形成し、比較的硬質な凸部120を拡張有効部に形成することができる。先端側テーパー部に形成した凸部220は、狭窄部に対する挿通性を向上させるとともに、バルーンの先端部が生体器官に対して負荷を与えるのを好適に防止する。一方、拡張有効部に形成した凸部120は、狭窄部に対する拡張性能を向上させる。このように、各凸部120、220は、選択的に組み合わせて一つのバルーンに設けることが可能である。なお、拡張有効部に両方の凸部120、220を形成したり、各テーパー部113a、115aに両方の凸部120、220を形成したりすることも可能である。
【0117】
また、各実施形態で説明したバルーンは、第1実施形態において説明した製造方法(バルーンの成形と、内表面対向部の成形とをバルーン成形型を使用して一つの工程で同時に行う方法)により製造してもよいし、第4実施形態で説明したバルーンの製造方法(バルーンの成形と、内表面対向部の形成とを別工程で行う方法)により製造してもよい。また、各実施形態において説明した製造方法、バルーン成形型、ラッピング装置等の構成は、バルーンの製造に好適に適用される一例を示したものに過ぎない。よって、これら以外の方法や装置を適用してバルーンの製造を行うことも可能である。