特許第6626677号(P6626677)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6626677
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】マイクロ流路デバイス
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20191216BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20191216BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   G01N35/08 A
   G01N37/00 101
   B01J19/00 321
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-193791(P2015-193791)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-67621(P2017-67621A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000136354
【氏名又は名称】株式会社フコク
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 文章
【審査官】 島田 保
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/038925(WO,A1)
【文献】 特許第4627395(JP,B2)
【文献】 特開2011−169695(JP,A)
【文献】 特開2010−085334(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0053268(US,A1)
【文献】 特許第5429774(JP,B2)
【文献】 特開2012−202925(JP,A)
【文献】 特開2005−131556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−37/00
B01J 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に連通し試験液を注入可能な導入口、および外部に連通し底部に反応物が固定される排出口が貫通して形成された第1基板と、
前記第1基板に接合される第2基板と、
前記第1基板の前記第2基板と対向する接合面に形成された凹溝からなり、一端が前記導入口に接続されると共に、他端が前記排出口に接続され、前記導入口から供給された試験液を前記排出口に流す流路と、
前記第1基板の前記第2基板と対向する接合面に形成された凹部からなり、前記排出口に接続され、前記排出口の放射方向に延在するポケット部と、を備え
前記第1基板の厚さ方向に沿った前記ポケット部の凹部深さは、前記排出口内の液体が毛細管現象によって前記ポケット部側に流動し得る深さである、マイクロ流路デバイス。
【請求項2】
請求項記載のマイクロ流路デバイスにおいて、
第1基板は、シリコーンゴムからなる、マイクロ流路デバイス。
【請求項3】
請求項1記載のマイクロ流路デバイスにおいて、
前記ポケット部と前記流路との間に設けられた隔壁部をさらに備える、マイクロ流路デバイス。
【請求項4】
請求項1記載のマイクロ流路デバイスにおいて、
前記ポケット部を複数備える、マイクロ流路デバイス。
【請求項5】
請求項1記載のマイクロ流路デバイスにおいて、
前記流路の前記他端と前記排出口との間に設けられ、前記流路の前記他端の内寸よりも大きい内寸を有する拡大接続部をさらに備える、マイクロ流路デバイス。
【請求項6】
請求項1記載のマイクロ流路デバイスにおいて、
前記流路、および前記流路の前記他端に接続された前記排出口を複数備え、
前記複数の流路は、前記導入口を通じて互いに連通されている、マイクロ流路デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流路デバイスに関し、特に、マイクロ流路デバイスの排出口側に配置される薬剤等の固定に起因する流路の閉塞を防止して良好な試験液の流動を実現するのに有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロメートル(μm)レベルの微細な流路を用いて薬剤の感受性評価試験や試薬の分析、反応度評価等を短時間で実行することができるマイクロ流路デバイスの開発が進んでいる。
【0003】
特許文献1は、一端が外部に開放された開放孔に接続され、他端が吸液体に接続された流路を備える送液構造体において、流路の溝幅を局所的に変えることによって、送液用の駆動源を必要とせずに、毛細管力のみを利用して送液を行う技術を開示している。
【0004】
特許文献2は、液体試料中の測定物質を分析するための分析チップにおいて、流路の反応部と排出部との間に堰き止め部を設けることによって、反応部から排出部に液体試料が流れるのを抑制する技術を開示している。ここで、上記堰き止め部は、その上流側および下流側に比べて流路幅が狭い狭窄構造、または流路内壁に撥水性を付与した構造とされている。
【0005】
特許文献3は、それぞれの流路を送液される少なくとも2つの液体を所望の混合比で速やかに混合する液体混合方法において、混合時間を短くするために、流路幅を狭くする技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5429774号明細書
【特許文献2】特開2012−202925号公報
【特許文献3】特開2005−131556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
マイクロ流路デバイスの使用例として、流路の一端に接続された排出口内に固形の薬剤を固定した後、細菌が含まれた試験液を流路に導入して排出口内の薬剤を試験液に溶解させることによって、薬剤に対する細菌の感受性を評価する試験がある。
【0008】
マイクロ流路デバイスの排出口は、導入口から試験液を注入したときに、試験液の導入前に流路内に存在していた空気を排出する排出口として機能すると同時に、試験液と反応させるための反応物(薬剤等)が配置、固定される。マイクロ流路デバイスは、微細な流路内で、試験液と反応物を接触させてその反応を観察するので、排出口に固定する反応物も極少量であり、また、過度に空気に接触することも避けるべきであるので、排出口の開口部の開口径は、およそ0.5ミリから大きくても数ミリ程度である。従って、固形の反応物を直接排出口内に固定することが困難である。
【0009】
そこで、あらかじめ反応物を水などの溶媒に溶かした溶液を調製し、マイクロシリンジなどを使ってこの溶液を排出口の開口部から内部に滴下した後、溶媒を蒸発させることによって、排出口内に薬剤を析出させる方法が採用される。
【0010】
ところが、排出口の開口部から排出口内に溶液を滴下すると、排出口内の溶液の一部が排出口の壁部を伝って排出口に接続された流路の開口部に集中してしまうことがある。その結果、溶液の溶媒を蒸発させて排出口内に反応物を析出させたとき、流路の開口部にも反応物が析出し、微細な流路が反応物によって閉塞され、試験液の導入前に流路内に存在していた空気の排出がスムーズにできずに試験液の導入が困難となるという問題や、流路が反応物で閉塞されてしまうことにより、排出口内に固定した反応物が試験液に十分解けることができないという問題が生じる。
【0011】
本発明の目的は、マイクロ流路デバイスの流路に接続された排出口内に固定される反応物に起因する流路の閉塞を防止することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0013】
本発明のマイクロ流路デバイスは、外部に連通し試験液を注入可能な導入口、および外部に連通し底部に反応物が固定される排出口が貫通して形成された第1基板と、前記第1基板に接合される第2基板と、前記第1基板の前記第2基板と対向する接合面に形成された凹溝からなり、一端が前記導入口に接続されると共に、他端が前記排出口に接続され、前記導入口から供給された試験液を前記排出口に流す流路と、前記第1基板の前記第2基板と対向する接合面に形成された凹部からなり、前記排出口に接続され、前記排出口の放射方向に延在するポケット部と、を備え、前記第1基板の厚さ方向に沿った前記ポケット部の凹部深さは、前記排出口内の液体が毛細管現象によって前記ポケット部側に流動し得る深さである。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下の通りである。
【0015】
マイクロ流路デバイスの流路に接続された排出口内に固定される反応物に起因する流路の閉塞を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態であるマイクロ流路デバイスの全体斜視図である。
図2図1に示すマイクロ流路デバイスに形成された流路の延在方向に沿った断面図である。
図3図1に示すマイクロ流路デバイスの第1基板の斜視図である。
図4図3に示す第1基板の排出口近傍の拡大斜視図である。
図5図1に示すマイクロ流路デバイスの使用例を説明する要部断面図である。
図6】(a)、(b)は、図1に示すマイクロ流路デバイスの使用例を説明する要部断面図である。
図7図1に示すマイクロ流路デバイスの使用例を説明する要部平面図である。
図8】排出口の外周に設けられるポケット部の別例を示す要部平面図である。
図9】排出口の外周に設けられるポケット部の別例を示す要部平面図である。
図10】マイクロ流路デバイスの別例を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態であるマイクロ流路デバイスの全体斜視図、図2は、図1に示すマイクロ流路デバイスに形成された流路の延在方向(第1および第2基板の長辺方向)に沿った断面図、図3は、図1に示すマイクロ流路デバイスの第1基板の斜視図、図4は、図3の一部(排出口近傍)の拡大斜視図である。
【0018】
本実施の形態のマイクロ流路デバイスMDは、矩形の平面形状を有する透明な材料からなる第1基板SUB1と、同じく矩形の平面形状を有する透明な材料からなる第2基板SUB2とを貼り合わせた構造を有する。ここで、第1基板SUB1は、シロキサン結合を主骨格とするシリコーンゴムからなり、第2基板SUB2は、ガラス材、あるいは第1基板SUB1と同じシリコーンゴムなどからなる。
【0019】
第1基板SUB1は、第2基板SUB2との接合面(以下、第1基板SUB1の主面という)の一部に、第1基板SUB1の長辺方向に沿ってほぼ平行に延在する4本の流路10を備えている。図3および図4に示すように、これらの流路10は、第1基板SUB1の主面に形成され、第1基板SUB1の長辺方向からみて矩形断面の凹溝によって構成されている。流路10を構成する凹溝の断面形状は、矩形に限定されず、円形や半円形等であってもよい。
【0020】
図3に示すように、上記4本の流路10のそれぞれの一端は、4本の流路10に共通する1つの導入口11に接続されている。すなわち、4本の流路10は、1つの導入口11を介して連通されている。導入口11は、第1基板SUB1の厚さ方向に沿って延在し、一端がマイクロ流路デバイスMDの外部に連通する円柱状の貫通孔からなる。
【0021】
一方、4本の流路10のそれぞれの他端は、排出口12に接続されている。これらの排出口12のそれぞれは、導入口11と同様、第1基板SUB1の厚さ方向に沿って延在し、一端がマイクロ流路デバイスMDの外部に連通する円柱状の貫通孔からなる。
【0022】
上記4つの排出口12のそれぞれの外周部には、排出口12に接続され、排出口12の放射方向(排出口12の中心から外周に向かう方向)に延在するように掘り込まれたポケット部13が設けられている。図3および図4に示すように、これらのポケット部13は、第1基板SUB1の主面に形成された凹部によって構成されている。
【0023】
図4に示すように、ポケット部13と流路10との間には、排出口12の中心方向に突出する隔壁部14が設けられている。また、流路10の端部と排出口12との間には、流路10と排出口12とを接続し、かつ流路10の端部の幅よりも広い幅を有する拡大接続部15が設けられている。拡大接続部15は、ポケット部13と同様、第1基板SUB1の主面に形成された凹部によって構成されている。なお、本実施の形態における拡大接続部15は、第1基板SUB1の主面に沿う幅方向に拡大するものであるが、これに限定されず、第1基板SUB1の厚みに沿う方向に内寸を拡大するものでもよいし、幅および厚み方向の両方に内寸を拡大するものでもよい。
【0024】
上記のような第1基板SUB1を作製するには、まず、流路10を構成する凹溝と、ポケット部13および拡大接続部15を構成する凹部とに対応した凸パターンが設けられた鋳型を用意し、第1基板SUB1の原材料となる液状の未架橋シリコーンゴムをこの鋳型に流し込んで硬化させる。これにより、一面(主面)に流路10を構成する凹溝と、ポケット部13および拡大接続部15を構成する凹部とが形成された矩形の平面形状を有するシリコーンゴムが得られる。
【0025】
続いて、このシリコーンゴムを鋳型から脱型した後、流路10の一端側のシリコーンゴムを円筒状に打ち抜くことにより導入口11を形成する。また、流路10の他端側に形成されたポケット部13の中央部分のシリコーンゴムを円筒状に打ち抜くことにより排出口12を形成する。
【0026】
一例として、第1基板SUB1の平面寸法は長辺=40mm、短辺=15mmであり、厚さは2mmである。また、流路10を構成する凹溝の深さ、ポケット部13および拡大接続部15を構成する凹部の深さ(第1基板SUB1の厚さ方向に沿った深さ)はそれぞれ50μm、導入口11および排出口12の直径は0.75mmである。図においては、説明のために、第1基板SUB1,第2基板SUB2の大きさに対して、流路等の外形を大きく表現している。
【0027】
ポケット部13を構成する凹部の深さは、流路10を構成する凹溝の深さと同一でなくてもよく、排出口12内の液体が毛細管現象によってポケット部13側に流動し得る範囲内の深さであればよい。同様に、拡大接続部15を構成する凹部の深さは、流路10を構成する凹溝の深さと同一でなくてもよい。
【0028】
また、ポケット部13は、より強い毛細管現象を生じせしめるため、排出口12から離れるにしたがって、徐々に浅くなる凹部としてもよいし、排出口12の流路10との接続部に対向する側により強い毛細管現象を生じせしめるために、排出口12の流路10との接続部に対向する側のポケット部13を第1基板SUB1の厚み方向に浅い凹部としたり、第1基板SUB1の主面に沿う方向に深い凹部としてもよい。
【0029】
その後、このようにして作製された第1基板SUB1の主面と、第2基板SUB2の一面とを重ね合わせて両者を接合することにより、本実施の形態のマイクロ流路デバイスMDが得られる。
【0030】
図1および図2に示す例では、第2基板SUB2の平面寸法を第1基板SUB1の平面寸法よりも大きくしているが、第2基板SUB2の平面寸法を第1基板SUB1の平面寸法と同じにしてもよい。
【0031】
また、第2基板SUB2がシリコーンゴムからなる場合には、例えば流路10を構成する凹溝と、ポケット部13および拡大接続部15を構成する凹部とを第2基板SUB2に形成すると共に、導入口11および排出口12を構成する貫通孔を第1基板SUB1に形成し、その後、両者を重ね合わせて接合することによりマイクロ流路デバイスMDを製造してもよい。
【0032】
次に、本実施の形態のマイクロ流路デバイスMDの一使用例について説明する。ここでは、マイクロ流路デバイスMDを使用して薬剤の感受性評価試験を行う例について説明する。
【0033】
まず、図5に示すように、マイクロ流路デバイスMDの排出口12の底部(具体的には、排出口12の底部に露出した第2基板SUB2の表面)に、感受性評価試験にて比較評価を行う反応物である薬剤20を固定する。このとき、例えばマイクロ流路デバイスMDに設けられた4つの排出口12のうち、3つの排出口12の底部には、互いに異なる量(体積)の薬剤20を固定し、残り1つの排出口12の底部には、比較基準とするため薬剤20を固定しない。
【0034】
排出口12の底部に薬剤20を配置するには、図6(a)に示すように、あらかじめ薬剤20を水などの溶媒に溶かした薬液21を調製した後、マイクロシリンジ22などを使って薬液21を排出口12の開口部から内部に滴下する。
【0035】
すると、図6(b)に示すように、排出口12の内部に滴下された薬液21の一部は、毛細管現象により、排出口12に接続されたポケット部13の内部方向および流路10の内部方向に向かって放射状に濡れ広がる。
【0036】
しかしながら、排出口12の外周部にポケット部13を設けた場合には、排出口12の内部に滴下された薬液21の一部がポケット部13の内部に向かって流動し、ポケット部13に集まる。これは、薬液21、すなわち液体が毛細管現象によりポケット部13に引き寄せられるためである。さらに、液体は、凝集する性質があるため、大部分の薬液21が、ポケット部13およびその近傍に集まる。
【0037】
また、ポケット部13と流路10との間に隔壁部14(図4参照)が設けられていることにより、ポケット部13の内部に流動した薬液21が隔壁部14に遮られるため、ポケット部13の周縁を伝って、流路10の内部方向に逆流し難くなるという効果も得られる。
【0038】
その後、排出口12の内部に貯留された薬液21の溶媒を蒸発させることにより、図5に示すように、排出口12の底部に固形の薬剤20を固定する。このとき、上述のとおり、ほとんどの薬液21がポケット部13およびその近傍に凝集しているため、固形化した薬剤20が、流路10を閉鎖することがない。特に、流路10と排出口12との間に流路10よりも幅の広い拡大接続部15を設けた場合には、排出口12との開口面積が広がるため、拡大接続部15付近に薬剤20が析出しても流路10を閉鎖することがない。
【0039】
なお、本実施の形態のように、第1基板SUB1をシリコーンゴムで作製し、第2基板SUB2をガラスで作製した場合には、第1基板SUB1よりも、第2基板SUB2の方が水溶性の液体に対する濡れ性が良いので、ポケット部13における第2基板SUB2の接触面積を大きくとることで、より強い吸引力が得られる。他方、拡大接続部15においては、第1基板SUB1との接触面積を大きくとることで、拡大接続部15近傍への薬液21の凝集を抑えられる。具体的には、ポケット部13は、第2基板SUB2に沿って浅く広い凹部とし、拡大接続部15は、第2基板SUB2との接触を抑えるため、深い凹部とすることが好ましい。
【0040】
これにより、排出口12の底部に析出する薬剤20の一部が流路10を塞いでしまう不具合を確実に防ぐことができる。
【0041】
上記した排出口12の底部に薬剤20を固定する作業は、マイクロ流路デバイスMDの製造工程の一部、例えば第1基板SUB1と第2基板SUB2とを重ね合わせて接合した後の工程で行ってもよく、あるいは薬剤20が固定されていない状態でマイクロ流路デバイスMDを購入した使用者が感受性評価試験を行う前に行ってもよい。
【0042】
次に、図7に示すように、マイクロシリンジ(不図示)などを用いてマイクロ流路デバイスMDの導入口11から4本の流路10の内部に試験液23を供給し、続いて導入口11から4本の流路10の内部に空気を圧入することによって、4本の流路10の内部に供給した試験液23を互いに分離する。
【0043】
このようにすると、排出口12の底部に固定された薬剤20が試験液23に溶解し、薬剤20に含まれる薬効成分と試験液23に含まれる細菌との反応が開始される。そして、この状態を所定時間(例えば数時間)維持した後、図7に示す観察領域A内の4本の流路10を位相差顕微鏡などで同時に観察することにより、薬剤20に対する細菌の感受性を比較評価する。
【0044】
このように、排出口12の底部外周にポケット部13を設けた本実施の形態のマイクロ流路デバイスMDによれば、排出口12の底部に薬剤20を固定する際に薬剤20の一部が流路10にも析出して流路10を塞いでしまう不具合を防ぐことができる。これにより、精度の高い試験を確実に行える使い勝手のよいマイクロ流路デバイスMDを提供することができる。
【0045】
排出口12の底部外周に設けるポケット部13の形状は、上記した形状に限定されず、種々の変更が可能であり、例えば図8に示すように、排出口12の底部外周に複数個のポケット部13を設けたり、図9に示すように、隔壁部14および/または拡大接続部15を設けないようにしてもよい。
【0046】
また、実施の形態では、4本の流路10を備えたマイクロ流路デバイスMDについて説明したが、マイクロ流路デバイスMDに設ける流路10の本数は、試験の目的などに応じて任意に変更することができる。さらに、図10に示すように、流路10、導入口11および排出口12からなる試験ユニットを一枚の第1基板SUB1に複数設けてもよい。
【0047】
マイクロ流路デバイスMDの用途も薬剤の感受性評価試験に限定されず、試薬の分析、反応度評価、化学物質の検出や化学合成など、生化学分野、医療分野の各種用途に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、μmレベルの微細な流路を使って薬剤の感受性評価試験などを行うマイクロ流路デバイスに適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
10 流路
11 導入口
12 排出口
13 ポケット部
14 隔壁部
15 拡大接続部
20 薬剤
21 薬液
22 マイクロシリンジ
23 試験液
MD マイクロ流路デバイス
SUB1 第1基板
SUB2 第2基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10