特許第6626750号(P6626750)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6626750-搬送装置 図000002
  • 特許6626750-搬送装置 図000003
  • 特許6626750-搬送装置 図000004
  • 特許6626750-搬送装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6626750
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/02 20060101AFI20191216BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20191216BHJP
   B65G 43/08 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   B65G43/02 Z
   H05K13/02 Z
   B65G43/08 F
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-52670(P2016-52670)
(22)【出願日】2016年3月16日
(65)【公開番号】特開2017-165548(P2017-165548A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2019年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 崇
【審査官】 松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−128540(JP,A)
【文献】 実開昭59−050918(JP,U)
【文献】 実開平02−078056(JP,U)
【文献】 特開2015−177097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/00−43/10
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に載置される被搬送物を搬送するベルトの異常を検出可能な搬送装置であって、
前記ベルトを駆動するモータと、
前記ベルトの前進端及び後退端のそれぞれに配置され、前記被搬送物の移動を規制する2つのストッパと、
前記モータの駆動を制御すると共に、前記モータの駆動量から前記被搬送物が前記前進端又は前記後退端に位置するか否かを検出する制御装置と、を備えており、
前記制御装置は、
前記被搬送物を前記前進端と前記後退端の間に設定された目標位置に移動させる場合に、まず、前記被搬送物が前記前進端又は前記後退端まで移動するのに要する時間より長い第1の時間の間、前記モータを駆動することにより、前記ベルトを前進端方向又は後退端方向に移動させる第1駆動処理と、
前記第1駆動処理の間に、前記モータの駆動が停止したときに、前記被搬送物が前記ストッパに当接することにより、前記前進端又は前記後退端に停止していると判定する一方、前記第1駆動処理の間に、前記モータの駆動が停止しないときに、前記ベルトに異常が生じたと判定するベルト異常検出処理と、
前記ベルト異常検出処理において前記被搬送物が前記前進端又は前記後退端に位置していると判定したときに、その位置を原点位置として前記目標位置まで前記被搬送物を移動させるのに要する第2の時間の間、前記ベルトを前記第1駆動処理の動作方向とは逆方向に移動させるように前記モータを駆動する第2駆動処理と、を実行する、搬送装置。
【請求項2】
前記第1の時間は、前記被搬送物がその現在位置から前記前進端又は前記後退端まで移動するのに要する第1の駆動時間と、予め設定された第2の駆動時間を足し合わせた時間である、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記モータの駆動量から前記被搬送物が前記前進端に位置するか否かと、前記被搬送物が前記後退端に位置するか否かの両者を検出可能となっており、
前記第1駆動処理においては、前記前進端と前記後退端のうち、前記被搬送物の現在位置からの距離が近い方向へ向かって前記ベルトが移動するように前記モータを駆動する、請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送装置は、電子部品を収容するカセットを実装機に供給するカセット供給装置であり、
前記被搬送物は、前記カセットが載置されるテーブルであり、
前記実装機は、
前記電子部品を吸着する吸着ノズルと、
前記カセットを着脱可能であり、前記吸着ノズルに吸着した前記電子部品を回路基板に実装する実装ヘッドと、を備えており、
前記搬送装置は、
前記カセットに前記電子部品を供給する電子部品供給装置、をさらに備えており、
前記実装ヘッドは、前記前進端において、前記カセットを着脱可能であり、
前記電子部品供給装置は、前記目標位置において、前記カセットに前記電子部品を供給可能である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、ベルトを駆動することで被搬送物を搬送する装置に関する。特に、被搬送物の搬送に用いられるベルトの異常を検出するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置では、ベルトを駆動するためにモータが用いられる。モータでベルトを駆動することで、ベルトの上面に載置された被搬送物が搬送される。ベルトによって搬送される被搬送物の位置を制御するためには、モータの駆動を制御しなければならない。特許文献1には、ステッピングモータによってベルトの駆動を制御する装置が開示されている。この装置では、キャリアがホームポジション(本明細書では、前進端または後退端と称する)に位置するか否かは、キャリアに取付けられた検知体が被検知体(センサ)に当接したか否かで検知する。検知体が被検知体に当接すると、カウンターがゼロクリアされる。ベルト上に載置される被搬送物であるキャリアの位置は、エンコーダの出力をカウンターでカウントすることで検出される。この装置では、キャリアをホームポジションに向かって移動させたときに、被検知体(センサ)が検知体を検知できなかった場合、ベルトに破損等の異常が生じたことを検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−296397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、特許文献1に記載の装置では、ベルトの異常を検出可能としているものの、被搬送物がホームポジションに位置するか否かをセンサによって検知している。しかしながら、このようなセンサを用いると、ホームポジション近傍にセンサを配置するための作業が必要となり、また、センサと制御装置等とを接続するための配線を引き回す作業も必要となる。本明細書では、被搬送物が所定の位置に位置するか否かを検知するためのセンサを設けることなく、ベルトの異常を検出可能とする技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する搬送装置は、上面に載置される被搬送物を搬送するベルトの異常を検出可能である。搬送装置は、ベルトを駆動するモータと、ベルトの前進端及び後退端のそれぞれに配置され、被搬送物の移動を規制する2つのストッパと、モータの駆動を制御すると共に、ベルトの移動距離から被搬送物が前進端又は後退端に位置するか否かを検出する制御装置とを備えている。制御装置は、被搬送物を前進端と後退端の間に設定された目標位置に移動させる場合に、第1駆動処理と、ベルト異常検出処理と、第2駆動処理とを実行する。第1駆動処理では、制御装置は、被搬送物が前進端又は後退端まで移動するのに要する時間より長い第1の時間の間、モータを駆動することにより、ベルトを前進端方向又は後退端方向に移動させる。ベルト異常検出処理では、制御装置は、第1駆動処理の間に、モータの駆動が停止したときに、被搬送物がストッパに当接することにより、前進端又は後退端に停止していると判定する一方、第1駆動処理の間に、モータの駆動が停止しないときに、ベルトに異常が生じたと判定する。第2駆動処理では、制御装置は、ベルト異常検出処理おいて被搬送物が前進端又は後退端に位置していると判定したときに、その位置を原点位置として目標位置まで被搬送物を移動させるのに要する第2の時間の間、ベルトを第1駆動処理の動作方向とは逆方向に移動させるようにモータを駆動する。
【0006】
上記の搬送装置では、被搬送物を目標位置まで移動させるときは、まず、被搬送物が現在の位置からその移動範囲の端部(前進端又は後退端)まで移動するより長い時間である第1の時間を設定し、被搬送物を移動範囲の端部(前進端又は後退端)に向かって移動させる。そして、第1の時間の経過後に、モータの駆動状態を検知することにより、ベルトに異常が生じているか否かを検出する。具体的には、第1の時間の経過後にモータの駆動が停止している場合は、被搬送物の移動(モータの駆動)がストッパにより規制されていると判定できるため、ベルトに異常が生じていないと判定する。ベルトに異常が生じていない場合は、被搬送物を目標位置に移動させる処理が行われる。一方、第1の時間の経過後もモータの駆動が停止しない場合は、被搬送物の移動(モータの駆動)がストッパにより規制されていないと判定できるため、ベルトに異常が生じたと判定する。上記の搬送装置では、被搬送物が前進端又は後退端に位置するか否かを検知するセンサを要することなく、ベルトに異常が生じたことを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例の部品実装機の構成を模式的に示す側面図。
図2】実施例の部品実装機に装備される、カセット供給装置の構成を模式的に示す側面図。
図3】実施例の部品実装機において、カセットが載置されるテーブルを目標位置に移動させる処理のフローチャートを示す図。
図4】実施例の部品実装機において、テーブルを目標位置に移動させる処理を実行したときのテーブルの位置の経時的変化を示すタイミング図の一例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0009】
(特徴1) 本明細書に開示する搬送装置では、第1の時間は、被搬送物がその現在位置から前進端又は後退端まで移動するのに要する第1の駆動時間と、予め設定された第2の駆動時間を足し合わせた時間であってもよい。このような構成によると、被搬送物が前進端又は後退端まで移動するのに要する時間よりも適切に長い時間だけモータが駆動され、第1駆動処理のタイムアウトまでの時間を適切に制御することができる。
【0010】
(特徴2) 本明細書に開示する搬送装置では、制御装置は、モータの駆動量から被搬送物が前進端に位置するか否かと、被搬送物が後退端に位置するか否かの両者を検出可能となっていてもよい。また、第1駆動処理においては、前進端と後退端のうち、被搬送物の現在位置からの距離が近い方向へ向かってベルトが移動するようにモータを駆動してもよい。このような構成によると、第1駆動処理に要する時間を短縮でき、被搬送物を目標位置に短時間で移動させることができる。
【0011】
(特徴3) 本明細書が開示する搬送装置は、電子部品を収容するカセットを実装機に供給するカセット供給装置であってもよい。被搬送物は、カセットが載置されるテーブルであってもよい。実装機は、電子部品を吸着する吸着ノズルと、カセットを着脱可能であり、吸着ノズルに吸着した電子部品を回路基板に実装する実装ヘッドとを備えていてもよい。搬送装置は、カセットに電子部品を供給する電子部品供給装置をさらに備えていてもよい。実装ヘッドは、前進端において、カセットを着脱可能であり、電子部品供給装置は、目標位置において、カセットに電子部品を供給可能であってもよい。
【実施例1】
【0012】
以下、実施例1の部品実装機10について説明する。部品実装機10は、回路基板2に電子部品4を実装する装置である。部品実装機10は、表面実装機やチップマウンタとも称される。通常、部品実装機10は、はんだ印刷機、他の部品実装機及び基板検査機とともに併設され、一連の実装ラインを構成する。
【0013】
図1に示す部品実装機10は、複数の部品フィーダ12と、フィーダ保持部14と、実装ヘッド16と、撮像ユニット20と、実装ヘッド16及び撮像ユニット20を移動させる移動装置18と、基板コンベア26と、操作パネル28と、コントローラ30と、カセット供給装置32(図2に図示)を備えている。
【0014】
複数の部品フィーダ12のそれぞれは、複数の電子部品4を収容している。部品フィーダ12は、フィーダ保持部14に着脱可能に取付けられ、実装ヘッド16へ電子部品4を供給する。部品フィーダ12の具体的な構成は特に限定されない。各々の部品フィーダ12は、例えば、巻テープ状に複数の電子部品4を収容するテープ式フィーダ、トレイ上に複数の電子部品4を収容するトレイ式フィーダ、または、容器内に複数の電子部品4をランダムに収容するバルク式フィーダのいずれであってもよい。
【0015】
移動装置18は、部品フィーダ12と回路基板2との間で実装ヘッド16及び撮像ユニット20を移動させる。本実施例の移動装置18は、移動ベース18aをX方向及びY方向に移動させるXYロボットである。移動装置18は、移動ベース18aを案内するガイドレールや、移動ベース18aをガイドレールに沿って移動させる移動機構や、その移動機構を駆動するモータ等によって構成されている。移動装置18は、部品フィーダ12及び回路基板2の上方に配置されている。移動ベース18aに対して実装ヘッド16及び撮像ユニット20が取付けられている。実装ヘッド16及び撮像ユニット20は、移動装置18によって部品フィーダ12の上方、回路基板2の上方及び後述するカセット供給装置32の上方を移動する。
【0016】
実装ヘッド16は、電子部品4を吸着する吸着ノズル6を備えている。吸着ノズル6は、実装ヘッド16に対して着脱可能である。吸着ノズル6は、上下方向(図面Z方向)に移動可能に実装ヘッド16に取付けられている。吸着ノズル6は、実装ヘッド16に収容されたアクチュエータ(不図示)によって上下方向に昇降すると共に、電子部品4を吸着可能に構成されている。実装ヘッド16により電子部品4を回路基板2に実装するには、まず、移動装置18により実装ヘッド16を部品吸着位置に移動させる。次に、吸着ノズル6の下面(吸着面)が部品フィーダ12に収容された電子部品4に当接するまで、吸着ノズル6を下方に移動させる。次いで、吸着ノズル6に電子部品4を吸着し、吸着ノズル6を上方に移動させる。次いで、移動装置18により実装ヘッド16を部品実装位置に移動させ、回路基板2に対して位置決めする。そして、吸着ノズル6を回路基板2に向かって下降させることで、回路基板2に電子部品4を実装する。後述するが、実装ヘッド16はまた、電子部品4を収容するカセット40(図2に図示)を着脱可能に構成されている。実装ヘッド16は、カセット40を装着し、カセット40に収容される電子部品4を吸着ノズル6に吸着させ、その電子部品4を回路基板2に実装することもできる。
【0017】
撮像ユニット20は、移動ベース18aに取付けられている。このため、実装ヘッド16が移動すると、撮像ユニット20も一体となって移動する。撮像ユニット20は、カメラ支持部22とカメラ24を備えている。カメラ支持部22は、移動ベース18aに取付けられている。カメラ支持部22には、カメラ24が取付けられている。カメラ24は、吸着ノズル6の側方(図面Y方向)に配置されている。カメラ24は、その動作を制御するカメラ制御装置(不図示)を備えている。カメラ24の動作は、カメラ制御装置によって制御される。
【0018】
基板コンベア26は、回路基板2の部品実装機10への搬入、部品実装位置への搬送及び位置決め、部品実装機10からの搬出を行う装置である。本実施例の基板コンベア26は、例えば、一対のベルトコンベアと、ベルトコンベアに取付けられると共に回路基板2を下方から支持する支持装置(不図示)と、ベルトコンベアを駆動する駆動装置により構成することができる。回路基板2は、X方向に搬送される。操作パネル28は、作業者の指示を受け付ける入力装置であると共に、作業者に部品実装機10の異常を報知する表示装置としても機能する。
【0019】
コントローラ30は、CPU,ROM,RAMを備えたコンピュータを備えている。図示はしていないが、コントローラ30には、部品フィーダ12と、実装ヘッド16と、移動装置18と、操作パネル28が通信可能に接続されている。コントローラ30は、これら各部(12,16,18,28等)を制御することで、電子部品4の回路基板2への実装を行う。
【0020】
図2に示すように、カセット供給装置32は、ベルト34と、モータ36と、テーブル38と、カセット40と、2つのストッパ42f、42rと、制御装置44と、電子部品供給装置46を備えている。以下では、図2のx正方向を前進端方向、x負方向を後退端方向といい、テーブル38の搬送範囲(移動範囲)のうちx正方向の端部を前進端F、テーブル38の移動範囲のうちx負方向の端部を後退端Rという。カセット供給装置32が配置される位置は特に限定されず、前進端Fと後退端Rの間に設けられている。なお、前進端Fにおいては、実装ヘッド16に対してカセット40が着脱可能となるため、前進端Fにおけるカセット40の実装ヘッド16への着脱を妨げない位置にカセット供給装置32が配置される。
【0021】
ベルト34は、輪状に形成されており、駆動軸35aと従動軸35bとの間に架け渡されている。駆動軸35aは後退端R側に配置されており、従動軸35bは前進端F側に配置されている。ベルト34が駆動軸35a及び従動軸35bに架け渡された状態では、図面y方向に沿って見ると、ベルト34は角丸長方形状を呈している。
【0022】
モータ36は、駆動軸35aに連結されている。モータ36が回転すると、駆動軸35aが回転し、ベルト34が回転する。すなわち、ベルト34は、モータ36によって回転駆動され、ベルトコンベアのように動作する。モータ36には、例えば、ステッピングモータが用いられる。モータ36の回転量は、図示しないエンコーダで検出され、エンコーダの出力は制御装置44に入力される。制御装置44は、エンコーダの出力からモータ36の駆動量や、テーブル38の位置等を特定することができる。
【0023】
テーブル38(被搬送物の一例)は、ベルト34によって前進端Fと後退端Rの間を搬送される。すなわち、テーブル38は、ベルト34の上面に載置され、ベルト34に固定されている。このため、ベルト34が時計回りに回転すると、それに伴ってテーブル38が前進方向に搬送される。ベルト34が反時計回りに回転すると、それに伴ってテーブル38が後退方向に搬送される。テーブル38の上面には、カセット40が載置可能となっている。
【0024】
カセット40は、複数の電子部品4を収容することができる。カセット40は、前進端Fにおいて、実装ヘッド16に着脱可能に構成されている。電子部品4を収容するカセット40が実装ヘッド16に装着されると、実装ヘッド16は、カセット40から電子部品4を一つずつ取り出し、吸着ノズル6に吸着させ、吸着した電子部品4を回路基板2に実装することができる。
【0025】
テーブル38の搬送範囲は、2つのストッパ42f、42rによって規制されている。すなわち、前進端Fに配置されるストッパ42fは、テーブル38が前進端Fまで搬送されたとき、テーブル38と当接することにより、テーブル38がそれ以上前進しないようにその移動を規制する。また、後退端Rに配置されるストッパ42rは、テーブル38が後退端Rまで搬送されたとき、テーブル38と当接することにより、テーブル38がそれ以上後退しないようにその移動を規制する。
【0026】
電子部品供給装置46は、後述する目標位置Mにおいて、カセット40に電子部品4を供給する。上述したように、電子部品4を収容したカセット40は、実装ヘッド16に装着され、実装ヘッド16によって収容する電子部品4が回路基板2に実装される。カセット40内の電子部品4がなくなると、前進端Fにおいて、カセット40は実装ヘッド16から離脱され、テーブル38上に載置される。その後、カセット40は、ベルト34の回転に伴って目標位置Mまで搬送(移動)され、目標位置Mにおいて電子部品供給装置46により電子部品4が補充される。カセット40は、電子部品4の種類ごとに用意されており、後退端Rにおいて、作業者によって取り換えることができる。なお、電子部品供給装置46には従来公知のものを用いることができ、また、電子部品供給装置46がカセット40に電子部品4を供給する態様は、上記の構成に特に限られない。
【0027】
次に、図3、4を参照して、カセット供給装置32の制御装置44が、テーブル38(カセット40)を搬送する処理及びベルト34の異常を検出する処理について説明する。制御装置44は、モータ36の駆動を制御する。制御装置44は、モータ36の駆動量からテーブル38が前進端Fに位置するか否かと、後退端Rに位置するか否かを検出する。
【0028】
制御装置44は、第1駆動処理と、ベルト異常検知処理と、第2駆動処理を実行する。制御装置44は、第1駆動処理ではベルト34を前進端方向と後退端方向のいずれかに移動させるが、説明の便宜のため、第1駆動処理においては、制御装置44は、ベルト34を前進端方向に移動させるものとする。また、テーブル38の初期位置(カセット供給装置32によってテーブル38を目標位置Mに移動させる前の位置)は、前進端Fと目標位置Mとの間であるとする。なお、第1駆動処理においては、前進端Fと後退端Rのうち、テーブル38からの距離が近い方向へ向かってベルト34が移動するようにモータ36を駆動するように制御装置44を構成してもよい。
【0029】
部品実装機10のコントローラ30からカセット供給装置32に目標位置Mが入力される(t0)と、制御装置44は、第1駆動処理を開始する。第1駆動処理では、制御装置44は、テーブル38が前進端Fまで移動するのに要する時間より長い第1の時間T1の間、モータ36を前進端方向に駆動することにより、ベルト34を回転させ、テーブル38を前進端方向へ移動させる(S10)。なお、第1の時間T1は、テーブル38がその現在位置から前進端Fまで移動するのに要する第1の駆動時間t1と、予め設定された第2の駆動時間t2を足し合わせた時間である。制御装置44は、テーブル38の現在位置(前回の処理における目標位置)を記憶しているため、テーブル38の現在位置に基づいて第1の駆動時間t1を算出する。
【0030】
次に、制御装置44は、ベルト異常検出処理を行う。制御装置44は、第1駆動処理の間(すなわち、第1の時間T1の間)に、モータ36の駆動が停止した場合(S12:YES)、テーブル38がストッパ42fに当接することにより、前進端Fに停止していると判定し、ステップS14の処理へ進む。すなわち、ベルト34が正常な場合、第1の時間T1だけモータ36を駆動すると、テーブル38はストッパ42fに当接していることになる。テーブル38がストッパ42fに当接すると、ベルト34はそれ以上前進端方向へ回転できないため、負荷が増大してモータ36の回転も停止する。したがって、モータ36の回転駆動が停止している場合は、ベルト34に異常が生じておらず、また、テーブル38は、前進端Fに位置すると特定することができる。一方、第1駆動処理の間に、モータ36の駆動が停止しない場合(S12:NO)、制御装置44は、ベルト34に異常が生じたと判定する(S20)。すなわち、ベルト34に異常が生じている場合、ベルト34と駆動軸35aの間にすべりが生じ、ベルト34が回転しない状態となっている。このため、テーブル38が搬送されることはなく、ストッパ42fに当接することもない。そして、第1の時間T1だけ経過した後もモータ36は回転を続ける。したがって、第1駆動処理の間にモータ36が停止しない場合は、ベルト34に異常が生じたと判定することができる。なお、ベルト34に生じる異常とは、例えば、ベルト34の切断等である。制御装置44は、ステップS20でベルト34に異常が生じていると判定すると、コントローラ30に異常が生じた旨を送信して処理を終了する。コントローラ30は、操作パネル28に異常が生じた旨を表示する等して、作業者に適切な処置を行うよう指示することができる。ステップS12でYESの場合、制御装置44は、テーブル38の位置(本実施例では、前進端F)を原点位置として絶対座標を設定し(S14)、続く第2駆動処理へと移行する。
【0031】
第2駆動処理では、制御装置44は、ステップS14において設定した絶対座標に基づいて、第2の時間T2の間、ベルト34を後退端方向へ移動させるようにモータ36を駆動する(S16)。ステップS16の処理は、ステップS14の処理の後、所定の期間を空けて行われる。すなわち、第1の時間T1の終了時間と、第2の時間T2の開始時間との間には所定の期間が存在する。所定の期間とは、例えば、テーブル38上に載置されたカセット40を実装ヘッド16に装着するまでの期間や、実装ヘッド16からカセット40を離脱させ、テーブル38上に載置するまでの期間である。なお、ステップS16の処理は、ステップS14の処理の直後に行われてもよい。なお、第2の時間T2は、原点位置から目標位置Mまでテーブル38を移動させるのに要する時間である。制御装置44は、ステップS16の処理を行うと、処理を終了する。
【0032】
上記の部品実装機10では、ベルト34が正常である場合、モータ36を駆動すると、これに連動してベルト34が回転する。このため、テーブル38は、前進端方向に移動し、第1の時間T1の間に、ストッパ42に当接する。このとき、テーブル38の移動が規制されることでモータ36に対する負荷が増大するため、モータ36の回転が停止する。制御装置44は、モータ36の駆動状態(すなわち、モータ36の駆動が停止していること)を検知することで、テーブル38が前進端Fに位置していることを検出することができる。
【0033】
一方、ベルト34に異常が生じている場合、例えば、ベルト34が切断している場合、モータ36が回転してもベルト34が連動せず、テーブル38は移動しない。このため、第1の時間T1が経過しても、テーブル38は前進端方向に移動しない(前進端Fに位置することがない)ため、モータ36も駆動し続けることとなり、モータ36の回転は停止しない。したがって、制御装置44により、第1の時間T1の経過時のモータ36の駆動状態(すなわち、モータ36が駆動し続けていること)を検知することで、ベルト34に異常が生じたことを検知することができる。
【0034】
また、テーブル38が前進端Fまたは後退端Rに位置すると、制御装置44は、その位置を原点位置として絶対座標を設定する。テーブル38を目標位置Mに移動させる毎に、テーブル38の原点復帰を行って絶対座標を設定することになるため、テーブル38を目標位置Mに位置決めする精度を向上させることができる。さらに、従来のように、被搬送物が前進端F又は後退端Rに位置することを検知するためのセンサを要することがない。したがって、センサを配置する作業や、配線を引き回す作業を行う必要はなく、また、センサや配線のためのスペースが不要になるため、コストを低減することができる。
【0035】
以上、本明細書が開示する技術の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0036】
例えば、本実施例では、ベルトの異常を検出可能な装置として、部品実装機を例に説明したが、部品実装機以外の装置に用いてもよい。
【0037】
また、本実施例においては、テーブル38が現在位置(前進端Fと後退端Rの間の位置)から目標位置Mまで移動する処理について説明したが、テーブル38の現在位置が前進端F又は後退端Rに位置している場合であっても、制御装置44によって上記の処理が実行されるように構成してもよい。このように構成すると、制御装置44は、テーブル38の現在位置が前進端Fまたは後退端Rであっても、目標位置Mが入力される毎に、第1駆動処理を行うことで、テーブル38の位置を確実に原点に復帰させることができる。したがって、テーブル38の目標位置Mに対する位置決め精度をより向上させることができる。なお、繰り返し行われる第1駆動処理では、ベルトを前進端方向に移動させるようにモータを駆動してもよいし、ベルトを後退端方向に移動させるようにモータを駆動してもよい。
【0038】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0039】
2:回路基板
4:電子部品
6:吸着ノズル
10:部品実装機
12:部品フィーダ
14:フィーダ保持部
16:実装ヘッド
18:移動装置
18a:移動ベース
20:撮像ユニット
22:カメラ支持部
24:カメラ
26:基板コンベア
28:操作パネル
30:コントローラ
32:カセット供給装置
34:ベルト
36:モータ
38:テーブル
40:カセット
42:ストッパ
44:制御装置
46:電子部品供給装置
図1
図2
図3
図4