(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、撮像素子実装用基板に撮像素子が実装され、撮像素子実装用基板の上面に蓋体が接合された構成を撮像装置とする。撮像素子実装用基板および撮像装置は、いずれの方向が上方若しくは下方とされてもよいが、便宜的に、直交座標系xyzを定義するとともに、z方向の正側を上方とする。
【0012】
(第1の実施形態)
図1〜
図6を参照して本発明の第1の実施形態における撮像モジュール31、撮像装置21、および撮像素子実装用基板1について説明する。本実施形態における撮像装置21は、撮像素子実装用基板1と撮像素子10と、蓋体12とを備えているものである。なお配線基板2と無機基板4とを接合する接合材16は、上面図および断面図においてドットおよび点線で示している。
【0013】
撮像素子実装用基板1は、上面に撮像素子10が配置される中央領域4bと、中央領域4bを取り囲む周辺領域4aを有する無機基板4と、無機基板4の周辺領域4a上に設けられ、中央領域4bを取り囲むとともに、上面に封止材接合領域を有する配線基板2と、無機基板4と配線基板2との間に設けられ、一部に中央領域4bから周辺領域4aを介して外部とを繋ぐ空洞部16aが形成された接合部材16と、を有している。
【0014】
撮像素子実装用基板1は、上面に撮像素子10が配置される中央領域4bと、中央領域
4bを取り囲む周辺領域4aを有する無機基板4を有している。
【0015】
ここで、中央領域4bとは、無機基板4上であって、周辺領域4aに囲まれた領域のことである。中央領域4bは、無機基板4の中心部近傍に設けられていても良いし、無機基板4の中心部から偏心した位置に設けられていても良い。なお、周辺領域4aとは、無機基板4上であって、中央領域4bを取り囲む領域のことであって、無機基板4の外縁に沿った領域のことである。
【0016】
無機基板4を構成する材料は例えば、高い熱伝導率を有する材料が使用される。無機基板4を形成する材料として例えば、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体またはシリコン(Si)等が挙げられる。なお、無機基板4を形成する材料として、例えば窒化アルミニウム質結晶体または窒化ケイ素室結晶体等である場合、無機基板4は複数の絶縁層から成る積層体であっても良い。また、無機基板4は複数の絶縁層からなる積層体の表面に導電層を被着させてもよい。なお、無機基板4の上面に位置する中央領域4bに、撮像素子10が実装される。
【0017】
また、無機基板4の材料としては金属材料も使用され、金属材料として例えば、ステンレス(SUS)、Fe−Ni−Co合金、42アロイ、銅(Cu)、コバールまたは銅合金等が挙げられる。例えば、配線基板2が約5×10−6/℃〜10×10−6/℃の熱膨張率を有する酸化アルミニウム質焼結体である場合、無機基板4は約10×10−6/℃の熱膨張率を有するステンレス(SUS304)を用いることができる。この場合には、配線基板2と無機基板4との熱収縮差・熱膨張差が小さくなるので、中央領域4bの変形を低減することができる。その結果、撮像素子10とレンズとの光軸ズレを抑制することができ、画像の鮮明度を良好に維持することができる。また、無機基板4が金属材料から成るとき、その材料が非磁性体であることで無機基板4が磁化することを低減させることが可能となる。このことによって、例えばレンズ駆動等の外部機器に磁石または電磁石が使用されている場合、無機基板4の磁性によってレンズ駆動等の外部機器の働きを無機基板4が妨げることを低減させることが可能となる。また、無機基板4が金属材料から成るとき、その材料が磁性体(強磁性体)であることで、撮像装置21の外部で発生するノイズ等を無機基板4で吸収する事が可能となり、撮像素子10に動作不良が発生する可能性を低減させることが可能となる。
【0018】
撮像素子10は例えば、CCD(Charge Coupled Device)型またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型等が用いられる。なお、撮像素子10は、接着材を介して、無機基板4の上面に配置されていてもよい。この接着材は、例えば、銀エポキシまたは熱硬化性樹脂等が使用される。
【0019】
撮像素子実装用基板1は無機基板4の周辺領域4a上に設けられ、中央領域4bを取り囲むとともに、上面に封止材接合領域を有する配線基板2を有している。
【0020】
配線基板2は、絶縁層から成り、上面に撮像素子接続用パッド3が設けられていてもよい。また、図示していないが、配線基板2の下面には外部回路または無機基板4と接続される外部回路接続用電極を複数設けても良い。配線基板2を構成する絶縁層の材料は例えば、電気絶縁性セラミックスまたは樹脂(プラスティックス)等が使用される。
【0021】
配線基板2を形成する絶縁層の材料として使用される電気絶縁性セラミックスとしては例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体またはガラスセラミック焼結体等が挙げられる。
【0022】
配線基板2を形成する絶縁層の材料として使用される樹脂としては例えば、エポキシ樹
脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂またはフッ素系樹脂等が挙げられる。フッ素系樹脂としては例えば、ポリエステル樹脂または四フッ化エチレン樹脂が挙げられる。
【0023】
また、無機基板4の外縁が上面視で配線基板2の外縁よりも外側に位置していてもよい。無機基板4の外縁が上面視で配線基板2の外縁よりも外側に位置していることで、落下などの衝撃をより無機基板4で受け止めやすく、配線基板2に衝撃がかかることをより低減させることが可能となる。
【0024】
また、
図1〜
図6に示すように、無機基板4の外縁が上面視で配線基板2の外縁よりも内側または同じ位置に位置していてもよい。無機基板4の外縁が上面視で配線基板2の外縁よりも内側または同じ位置に位置していることで、撮像装置21の小型化を図ることが可能となる。また、撮像装置21を外部モジュールに接続する際、配線などを無機基板4の端部で傷つけてしまう可能性を低減させることが可能となる。
【0025】
配線基板2を形成する絶縁層は、前述した材料から成る絶縁層を複数上下に積層して形成されていてもよい。配線基板2を形成する絶縁層は、
図1〜
図3、
図5〜
図6に示すように4層の絶縁層から形成されていても良いし、単層〜3層または5層以上の絶縁層から形成されていても良い。また、
図1〜
図6に示す例のように、配線基板2を形成する絶縁層の開口部の大きさを異ならせ上面に段差部を形成し、段差部に複数の撮像素子接続用パッド3が設けられていてもよい。
【0026】
また、配線基板2の上面、側面または下面に、外部回路接続用電極が設けられていてもよい。外部回路接続用電極は、配線基板2と外部回路基板、あるいは撮像装置21と外部回路基板とを電気的に接続するものである。
【0027】
配線基板2の内部には、絶縁層間に形成される内部配線、内部配線同士を上下に接続する貫通導体が設けられる。これら内部配線または貫通導体は、配線基板2の表面に露出していても良い。この内部配線または貫通導体によって、外部回路接続用電極および撮像素子接続用パッド3が電気的に接続されていても良い。
【0028】
撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線および貫通導体は、配線基板2が電気絶縁性セラミックスから成る場合には、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)、銀(Ag)若しくは銅(Cu)またはこれらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等から成る。また、撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線および貫通導体は、配線基板2が樹脂から成る場合には、銅(Cu)、金(Au)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)若しくはチタン(Ti)またはこれらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等から成る。
【0029】
撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線および貫通導体の露出表面に、めっき層が設けられてもよい。この構成によれば、撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線および貫通導体の露出表面を保護して酸化を抑制できる。また、この構成によれば、撮像素子接続用パッド3と撮像素子10とをワイヤーボンディング等の接続部材13を介して良好に電気的接続することができる。めっき層は、例えば、厚さ0.5〜10μmのNiめっき層を被着させるか、またはこのNiめっき層および厚さ0.5〜3μmの金(Au)めっき層を順次被着させてもよい。
【0030】
また、配線基板2上面に封止材接合領域を有しており、封止の為に上面に蓋体12を設けても良い。蓋体12は、例えば、平板形状である。また、蓋体12は、ガラス材料等の
透明度の高い部材が用いられる。蓋体12は、例えば、熱硬化性樹脂または低融点ガラスまたは金属成分から成るろう材等の封止材14により、配線基板2の上面の封止材接合領域に接合される。
【0031】
撮像素子実装用基板1は、無機基板4と配線基板2との間に設けられ、一部に中央領域4bから周辺領域4aを介して外部とを繋ぐ空洞部16aが形成された接合部材16を有している。
【0032】
一般的に透明な蓋体12と配線基板2とは封止材14とで接合され封止される。なお、封止材14は加熱をする工程等を経て硬化させるが、この封止材14の硬化時に封止材14からガスが発生し、撮像装置21内部に残留する場合がある。このとき、封止材14から発生したガスが撮像装置21内に残留していると、撮像素子10の動作時の熱により蓋体12の表面を曇らせる可能性がある。近年、撮像装置21の小型化により、蓋体12と配線基板2の内壁と撮像素子10または無機基板4の上面との間の体積は減少傾向にある。このとき、このような封止材14から発生したガスが撮像装置21内に残留することにより、ガスが占める割合が大きくなり撮像素子10の動作時の熱により蓋体12の表面を曇らせる可能性増加する恐れがある。そして、それぞれの場合において撮像した画像が所望したものにならない懸念があった。これに対し、本発明の撮像素子実装用基板1は無機基板4と配線基板2とを接合する接合材16の一部に中央領域4bから周辺領域4aを介して外部と撮像装置21内部とをつなぐ空洞部16aが形成されている。このことで、蓋体12と配線基板2とを封止する封止材14を加熱等の工程を経て硬化させる際ガスが発生したとしても、接合材16の一部に空洞部16aを設けていることで、発生したガスを逃がすことが可能となる。よって、撮像装置21内部に残留するガスの量を低下させ、また割合を低くすることが可能となるため、撮像素子10の動作時の熱により、ガスが蓋体12の表面を曇らせる可能性を低減させることが可能となる。よって、画像にノイズが発生する可能性を抑制することが可能となる。
【0033】
接合部材16を構成する材料として例えば、熱硬化性樹脂またはろう材等が使用される。接合部材16を形成する材料として使用される熱硬化性樹脂として例えば、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂等が挙げられる。また、接合部材16を形成する材料として使用されるろう材として例えば、ハンダ、ガラスなどが挙げられる。なお、これらの接合部材16はスクリーンプリントまたはディスペンサー等を用いて無機基板4または配線基板2に塗布することが可能である。
【0034】
なお、接合材16が導電性を有する材料である時、接合材16と無機基板4とは接地電位に設定されていてもよい。このことで、撮像素子10を外部からのノイズから守るシールドの役割を無機基板4に持たせることが可能となる。また、本実施形態のように、接合材16が導電性を有する材料であるとき、接合材16が空洞部16aを有していることで、電磁ノイズの発生を低減させることも可能となる。
【0035】
図1に示す例では、中央領域4bは矩形状であって、空洞部16aは平面視して中央領域4bの角部近傍に設けられている。このことで空洞部16aと電子素子接続用パッド3とが上面視で重なることを低減させることが可能となる。よって、電子素子接続用パッド3の一部がワイヤーボンディング等を行う工程において陥落し実装不良を起こすことを低減させることが可能となる。また、空洞部16aが配線基板2の角部周辺に設けられていることで、空洞部16aと配線基板2とが上面視で重なり、配線基板2の上面の平衡度が悪化することを低減させることが可能となる。よって、蓋体12と封止材14とで撮像装置21を封止する際に、リーク等の発生を低減させることが可能となる。
【0036】
図2および
図3に本実施形態の空洞部16aの断面図を示す。
【0037】
図2に示す例では、空洞部16aは、無機基板4の上面から配線基板2の下面まで空いている。このことで、空洞部16aの体積を大きく設けることが可能となる。よって、封止材14から発生したガスをより撮像装置21の外部へ排出しやすくなる。その結果、撮像素子10が動作し発熱した場合においても撮像した画像にノイズの発生等を低減させることが可能となる。
【0038】
図3に断面視において空洞部16aが接合材16の一部の高さまで設けられている例を示す。
図3(a)および
図3(c)は接合材16aの上面または下面から接合材16の高さの途中まで設けられている。
図3(b)は接合材16aの高さの中ごろに設けられている。
【0039】
図3に示す例では、空洞部16aは断面視において接合材16の高さの一部までに設けられている。このことで、空洞部16aを設け封止材14から発生したガスの通り道を確保しつつ撮像装置21の外部から塵等のダストが入ることを低減させることが可能となる。よって、外部から塵等のダストが入ることでのノイズの発生も低減させることが可能となる。なお、ここで
図3(a)または
図3(c)に示す例のように撮像素子実装用基板1を作製する方法として、例えば接合材16を塗布する工程において空洞部16aに当たる部分にあらかじめスリット(溝)を設けるように塗布することで作製することができる。また、図(b)に示す例の様な撮像素子実装用基板1を作製する方法として、例えば接合材16を硬化させる熱で完全に揮発する有機シートを挟み込む方法や、接合材16を硬化させた後治具等を用いて空洞部16aを作成する方法とがある。また、無機基板4および配線基板2の両方に接合材16を塗布し、空洞部16aとなる箇所のみ溝を設けておき、それぞれを重ねることでも
図3(b)に示すような空洞部16aを作製する方法がある。
【0040】
なお、撮像装置21から外部へリークする量としては大きいことで、より封止材14から発生したガスを外部へ逃すことが可能となる。また、撮像装置21から外部へリークする量は最低でも0.005Pa・m
2/sec程度のリーク量があることで、撮像装置21内部から外部へ封止材14から発生したガスを流出させることが可能となる。また、
図1〜
図6に示す例では空洞部16aは1つのみ設けられているが、実際には複数個設けていても良い。また、空洞部16aを複数個設けたうえで上述したリーク量を0.005Pa・m
2/sec程度であってもよい。
【0041】
図4に本実施形態において、接合材16の形状が異なる上面図を示す。
図4に示す例の様に、接合材16aの端部は上面視において、弧を描いていても良い。この構造によって、空洞部16aの幅が一部分で狭くなる構造となる。このことで、空洞部16aを設け封止材14から発生したガスの通り道を確保しつつ撮像装置21の外部から塵等のダストが入ることを低減させることが可能となる。よって、外部から塵等のダストが入ることでのノイズの発生も低減させることが可能となる。
【0042】
図5、
図6に、レンズホルダー19を有する撮像モジュール31を示す。撮像モジュール31は、撮像素子実装用基板1と、撮像素子実装用基板1の無機基板4の中央領域4bに実装された撮像素子10とを備えている。
【0043】
図5に示す撮像モジュール31は、撮像素子実装用基板1と配線基板2の上面に設けられたレンズホルダー19とを有している。また、
図6に示す撮像モジュール31はレンズホルダー19で撮像装置21の側面および下面の一部を覆っている。このことで、撮像装置21が外気と接することを低減させることが可能となり、空洞部21を通して塵等のダストが撮像装置内部に混入することを低減させることが可能となる。
【0044】
次に、本実施形態の撮像素子実装用基板1および撮像装置21の製造方法の一例について説明する。なお、下記で示す製造方法の一例は、配線基板2を多数個取り配線基板を用いた製造方法である。
【0045】
(1)まず、配線基板2を構成するセラミックグリーンシートを形成する。例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)質焼結体である配線基板2を得る場合には、Al2O3の粉末に焼結助材としてシリカ(SiO2)、マグネシア(MgO)またはカルシア(CaO)等の粉末を添加し、さらに適当なバインダー、溶剤および可塑剤を添加し、次にこれらの混合物を混錬してスラリー状となす。その後、従来周知のドクターブレード法またはカレンダーロール法等の成形方法によって多数個取り用のセラミックグリーンシートを得る。
【0046】
なお、配線基板2が、例えば樹脂から成る場合は、所定の形状に成形できるような金型を用いて、トランスファーモールド法またはインジェクションモールド法等で成形することによって配線基板2を形成することができる。
【0047】
また、配線基板2は、例えばガラスエポキシ樹脂のように、ガラス繊維から成る基材に樹脂を含浸させたものであってもよい。この場合には、ガラス繊維から成る基材にエポキシ樹脂の前駆体を含浸させ、このエポキシ樹脂前駆体を所定の温度で熱硬化させることによって配線基板2を形成できる。
【0048】
(2)次に、スクリーン印刷法等によって、上記(1)の工程で得られたセラミックグリーンシートに撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線および貫通導体となる部分に、金属ペーストを塗布または充填する。
【0049】
この金属ペーストは、前述した金属材料から成る金属粉末に適当な溶剤およびバインダーを加えて混練することによって、適度な粘度に調整して作製される。なお、金属ペーストは、配線基板2との接合強度を高めるために、ガラスまたはセラミックスを含んでいても構わない。
【0050】
(3)次に、前述のグリーンシートを金型等によって加工する。配線基板2となるグリーンシートの中央部に、開口部を形成する。
【0051】
(4)次に、各絶縁層となるセラミックグリーンシートを積層して加圧することにより配線基板2となるセラミックグリーンシート積層体を作製する。また、本工程では、例えば、それぞれの層となるグリーンシートに貫通孔を設け、両者を積層して加圧することにより、配線基板2となるグリーンシート積層体を作製しても良い。
【0052】
(5)次に、このセラミックグリーンシート積層体を約1500℃〜1800℃の温度で焼成して、配線基板2が複数配列された多数個取り配線基板を得る。なお、この工程によって、前述した金属ペーストは、配線基板2となるセラミックグリーンシートと同時に焼成され、撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線および貫通導体となる。
【0053】
(6)次に、焼成して得られた多数個取り配線基板を複数の配線基板2に分断する。この分断においては、配線基板2の外縁となる箇所に沿って多数個取り配線基板に分割溝を形成しておき、この分割溝に沿って破断させて分割する方法またはスライシング法等により配線基板2の外縁となる箇所に沿って切断する方法等を用いることができる。なお、分割溝は、焼成後にスライシング装置により多数個取り配線基板の厚みより小さく切り込むことによって形成することができるが、多数個取り配線基板用のセラミックグリーンシー
ト積層体にカッター刃を押し当てたり、スライシング装置によりセラミックグリーンシート積層体の厚みより小さく切り込んだりすることによって形成してもよい。
【0054】
(7)次に、配線基板2の下面に接合される無機基板4を用意する。無機基板4は、金属材料からなる場合は、金属材料から成る板材に、従来周知のスタンピング金型を用いた打ち抜き加工またはエッチング加工等によって作製される。また、他の材料から成る場合も同様にそれぞれの材質にあった打ち抜き加工等によって作製することが可能となる。また、無機基板4が金属材料であるFe−Ni−Co合金、42アロイ、Cuまたは銅合金等の金属から成る場合には、その表面にニッケルめっき層および金めっき層を被着してもよい。これにより、無機基板4の表面の酸化腐食を有効に抑制することができる。
【0055】
また、無機基板4が電気絶縁性セラミック等からなり、表面に導体パターンをプリントしている場合も同様にその表面にニッケルめっき層および金めっき層を被着してもよい。これにより、無機基板4の表面の酸化腐食を有効に抑制することができる。
【0056】
(8)次に、接合材16を介して、配線基板2と無機基板4とを接合する。接合材16は、ペースト状の熱硬化性樹脂(接着部材)をスクリーン印刷法またはディスペンス法等で、配線基板2または無機基板4のいずれか一方または両方の接合面に塗布する。そして、熱硬化性樹脂を乾燥させた後、配線基板2と無機基板4とを重ねた状態で、トンネル式の雰囲気炉またはオーブン等に通炉させ、加圧し加熱することで接合材を熱硬化させ、配線基板2と無機基板4とを強固に接着させる。なお、このとき空洞部16aとなる位置に意図的に接合材16を設けない個所を設定し塗布することで、
図2に示すような接合材16とすることが可能となる。また、接合材16の配線基板2側の面または無機基板4側の面に溝を設けることで、
図3(a)または
図3(c)に示すような接合材16(空洞部16a)を設けることが可能となる。また、接合材16の所定の箇所に接合材16を硬化させる温度で完全に蒸発する有機シート等をあらかじめ設けておいてその上で無機基板4および配線基板2に接合材16を塗布することで
図3(b)に示すような接合材16(空洞部16a)を設けることが可能となる。また、無機基板4および配線基板2の両方に接合材16を塗布し、空洞部16aとなる箇所のみ溝を設けておき、それぞれを重ねて接合することでも
図3(b)に示すような接合材16(空洞部16a)を設ける事が可能となる。また、接合材16を硬化後に治具等を用いて切削し、空洞部16aを設けてもよい。
【0057】
接合材16は、例えばビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型液状樹脂等からなる主剤に、球状の酸化珪素等から成る充填材、テトラヒドロメチル無水フタル酸等の酸無水物などを主とする硬化剤および着色剤としてカーボン紛末等を添加し遠心攪拌機等を用いて混合または混練してペースト状とすることによって得られる。
【0058】
また、接合材16としては、この他にも例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールA変性エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、特殊ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール誘導体エポキシ樹脂、ビスフェノール骨格型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂にイミダゾール系、アミン系、リン系、ヒドラジン系、イミダゾールアダクト系、アミンアダクト系、カチオン重合系またはジシアンジアミド系等の硬化剤を添加したもの等を使用することができる。
【0059】
(9)次に、無機基板4の中央領域4bに撮像素子10を実装する。撮像素子10はワイヤーボンディング等で配線基板2と電気的に接合させる。またこのとき、撮像素子10または無機基板4に接着剤等を設け、無機基板4に固定しても構わない。また、撮像素子10を無機基板4の中央領域4bに実装した後、蓋体12を封止材14で封止しすること
で、撮像装置21を得る事が可能となる。
【0060】
(10)次に、レンズホルダー19を配線基板2の上面に実装する。このとき、配線基板2の上面に設けられた電極とレンズホルダー19とを導電性の接合材で接合し、電気的に導電させても良いし、非導電性の接合材でレンズホルダー19を接合しても良い。また、このとき、レンズホルダー19で撮像装置21を囲っていても良い。
【0061】
上記(1)〜(10)の工程によって、撮像装置21または撮像モジュール31が得られる。なお、上記(1)〜(10)の工程順番は指定されない。
【0062】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態による撮像素子実装用基板1および撮像装置21について、
図7を参照しつつ説明する。本実施形態における撮像素子実装用基板1および撮像装置21において、第1の実施形態の撮像素子実装用基板1および撮像装置21と異なる点は、空洞部16aを設ける位置と、その形状が異なる点である。
【0063】
図7(a)に示す例では、中央領域4bが偏心して設けられており、空洞部16aは周辺領域4aの幅が大きい部分に設けられている。このような構造とすることで、例えば外部から塵などのダストが混入してきた場合においても、空洞部16aが中央領域4bに向かって長く設けられているため、中央領域4b部まで到達する可能性を低減させることが可能となる。よって、空洞部16aを設け封止材14から発生したガスの通り道を確保しつつ撮像装置21の外部から塵等のダストが入ることを低減させることが可能となる。よって、外部から塵等のダストが入ることでのノイズの発生も低減させることが可能となる。
【0064】
図7(b)に示す例では、中央領域4bが矩形状であり、空洞部16aは中央領域4bに沿って設けられている。このような構造とすることで、例えば外部から塵などのダストが混入してきた場合においても、空洞部16aが中央領域4bに沿って長く設けられているため、中央領域4b部まで到達する可能性を低減させることが可能となる。よって、空洞部16aを設け封止材14から発生したガスの通り道を確保しつつ撮像装置21の外部から塵等のダストが入ることを低減させることが可能となる。よって、外部から塵等のダストが入ることでのノイズの発生も低減させることが可能となる。
【0065】
図7(b)に示す例の様な構造であると、例えば接合材16を塗布する工程をディスペンサーで行った際、ディスペンサーの先に残留した接合材16が伸びて空洞部16aを塞ぐ可能性を低減させることが可能となる。
【0066】
また、
図7に示す例の様な構造であると、配線基板2または無機基板4から接合材16にかかる応力によって、空洞部16aがつぶれてしまうことを緩和させることができる。よって、封止材14から発生したガスが外部へ流出するリーク量の低下を低減させることが可能となる。
【0067】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態による撮像素子実装用基板1および撮像装置21について、
図8を参照しつつ説明する。本実施形態における撮像素子実装用基板1および撮像装置21において、第1の実施形態の撮像素子実装用基板1および撮像装置21と異なる点は、空洞部16aの幅が端部間で異なる点である。
【0068】
図8(a)、(b)に示す例では、空洞部16aは外側の端部と中央領域側の端部とで幅が異なっている。この構造によって、例えば
図8(a)では最も外部に近い個所が、図
8(b)では最も中央領域4b側に近い個所の空洞部16aの開口部が小さくなっている。このことで、例えば外部から塵などのダストが混入してきた場合においても、中央領域4b部まで到達する可能性を低減させることが可能となる。よって、空洞部16aを設け封止材14から発生したガスの通り道を確保しつつ撮像装置21の外部から塵等のダストが入ることを低減させることが可能となる。よって、外部から塵等のダストが入ることでのノイズの発生も低減させることが可能となる。
【0069】
なお、空洞部16aは断面視において、空洞部16aの高さが端部間で異なっていても良い。例えば、空洞部16aの幅が小さい個所の空洞部16aの高さが、他端部と比較して小さくなっていることで、よりダストの混入を低減させることが可能となる。また、例えば空洞部16aの幅が小さい個所の空洞部16aの高さが、他端部と比較して大きくなっていることで、よりダストの混入を低減させつつ封止材14から発生したガスのリーク量を保つことが可能となる。
【0070】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態による撮像素子実装用基板1および撮像装置21について、
図9を参照しつつ説明する。本実施形態における撮像素子実装用基板1および撮像装置21において、第1の実施形態の撮像素子実装用基板1および撮像装置21と異なる点は、空洞部16aの形状が異なる点(空洞部16aが屈折部を有する点)である。
【0071】
図9(a)に示す例では、空洞部16aは外部から中央領域4bに至るまでに屈折部を有している。このことで、たとえば外部から塵等のダストが混入した場合であっても、混入したダストが屈折部でトラップされ、中央領域4bに到達する可能性を低減させることが可能となる。よって、空洞部16aを設け封止材14から発生したガスの通り道を確保しつつ撮像装置21の外部から塵等のダストが入ることを低減させることが可能となる。よって、外部から塵等のダストが入ることでのノイズの発生もより低減させることが可能となる。
【0072】
図9(b)に示す例では、空洞部16aは外部から中央領域4bに至るまでに屈折部を有しており、その屈折部は上面視で鋭角の角度である。このことで、たとえば外部から塵等のダストが混入した場合であっても、混入したダストが屈折部でよりトラップされやすく、中央領域4bにより到達しづらくなる。また、
図9(b)に示す例の様に屈折部が複数あることで、よりダストが中央領域4bに到達することを低減させることが可能となる。
【0073】
また、
図9に示す例のように空洞部16aが屈折部を有する場合、屈折部は他の空洞部16aと比較して、幅が大きくても良い。このことで、屈折部にダストをトラップした場合においても、ダストにより空洞部16aが完全にふさがれ、封止材14から発生するガスが外部へリークできなくなる、またはリーク量が少なくなることを低減させることが可能となる。
【0074】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態による撮像モジュール31について、
図10およびその製造方法を示した
図11〜
図12を参照しつつ説明する。本実施形態における撮像モジュール31において、第1の実施形態の撮像モジュール31と異なる点は、空洞部16aが埋め込み材16bにより埋め込まれている点である。
【0075】
図10に示す例の様に、撮像モジュール31となった撮像素子実装用基板1に設けられた空洞部16aは埋め込み材16bによって埋め込まれていても良い。このことで、撮像モジュール31が実装された実機等の仕様環境下において外部よりダストが混入すること
をより確実に低減させることが可能となる。
【0076】
埋め込み材16bを構成する材料として例えば、熱硬化性樹脂またはろう材等が使用される。埋め込み材16bを形成する材料として使用される熱硬化性樹脂として例えば、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂等が挙げられる。また、埋め込み材16bを形成する材料として使用されるろう材として例えば、ハンダ、ガラスなどが挙げられる。なお、これらの埋め込み材16bは注射器等の治具またはディスペンサー等を用いて無機基板4または配線基板2に埋め込みを行うことが可能である。なお、埋め込み材16bは接合材16と同じ材料から成っていても良い。
【0077】
図11および
図12に本実施形態における撮像素子実装用基板1、撮像装置21および撮像モジュール31の製造方法を示す。
【0078】
(1)まず、
図11(a)〜
図11(b)に示す例の様に、空洞部16aを有する撮像素子実装用基板1を作製する。
【0079】
(2)次に、
図11(c)に示す例の様に、撮像素子実装用基板1に撮像素子10を実装し、接続部材13等電気的に接続する。
【0080】
(3)次に、
図12(a)に示す例の様に、配線基板2に封止材14を用いて蓋体12を接合し、封止し撮像装置21を作製する。
【0081】
(4)次に、
図12(b)に示す例の様に、埋め込み材16bを空洞部16aに埋める。
【0082】
(5)次に、
図12(c)に示す例の様に、レンズホルダー19を撮像装置21の上面へ接合し、撮像モジュール31を作製する。
【0083】
上述したように、蓋体12を封止材14で接続・封止した後に埋め込み材16bを空洞部16aに埋めることで、封止材14から発生したガスを撮像装置21の外部へ流出させた後に、埋め込み材16bで外部から内部へのダストの混入を低減させることが可能となる。
【0084】
なお、埋め込み材16bは空洞部16aの全体に埋め込ませても良いし、
図10に示す例の様に入口側の一部を埋め込むように埋め込ませても良い。
【0085】
なお、本発明は上述の実施形態の例に限定されるものではなく、数値などの種々の変形は可能である。また、例えば、
図1〜
図12に示す例では、撮像素子接続用パッド3の形状は矩形状であるが、円形状やその他の多角形状であってもかまわない。また、本実施形態における撮像素子接続用パッド3の配置、数、形状などは指定されない。なお、本実施形態における特徴部の種々の組み合わせは上述の実施形態の例に限定されるものではい。