(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態に係る電動モータ、電動モータの組立方法について、図面を参照して説明をする。
【0022】
(減速機付モータ)
図1は、減速機付モータ1の外観を示す斜視図である。
図2は、減速機付モータ1の部品構成を示す斜視展開図である。
図3は、減速機付モータ1を構成するケーシング10を示す斜視図である。
図4は、ケーシング10の平面図である。
図1、
図2に示すように、減速機付モータ(電動モータ)1は、例えば、車両のパワーウィンドウ装置等に用いられるものであって、ケーシング10と、ケーシング10の一端側に設けられたモータ部30と、モータ部30に連結され、ケーシング10内に収容された減速機部60と、を備えている。
【0023】
(ケーシング)
図2、
図3、
図4に示すように、ケーシング10は、その一面側に、減速機部60を収容する収容凹部11が形成されている。収容凹部11は、ケーシング10の天面部10tから天面部10tに対向する背面部10bに向かって窪んでいる。収容凹部11は、その底面11bに、後述する回転軸61を収容する軸収容溝12と、ウォームホイール63(
図2参照)等を支持する第1軸13と、ドライブギア66(
図2参照)等を支持する第2軸14と、を備えている。
【0024】
ここで、
図3、
図4に示すように、軸収容溝12は、収容凹部11の底面11bに沿って一方向に延びるよう形成されている。軸収容溝12は、その一方の端部12aと他方の端部12bとが、それぞれ収容凹部11の外側にまで延びるよう形成されている。軸収容溝12には、収容凹部11よりも外側の位置に、ベアリング収容凹部15A,15Bが形成されている。
【0025】
第1軸13及び第2軸14は、底面11bに直交し、収容凹部11の開口方向(天面部10t側)に向かって延びるよう設けられている。第1軸13と、第2軸14とは、軸収容溝12を挟んで一方の側と他方の側とに設けられている。
【0026】
ケーシング10の外周部には、モータ部30の一部を収容するモータ収容部(ホルダ収容部)16が形成されている。モータ収容部16は、収容凹部11の底面11bと同じ側に形成された底板部16aと、底板部16aの両側から収容凹部11の開口方向(ケーシング10の天面部10t側)に向かって立ち上がる側壁部(壁面)16b,16bと、を有した断面略U字状をなしている。
【0027】
また、ケーシング10において、収容凹部11とモータ収容部16との間には、ケーシング10の天面部10tから背面部10b側に窪み、回転軸61をケーシング10の内外に挿通させる挿通凹部17が形成されている。この挿通凹部17は、軸収容溝12の一方の端部12aに連続するよう形成されている。
【0028】
ケーシング10の外周部には、外周側に向かって突出する複数の凸部18が形成されている。各凸部18には、ケーシング10を車体に固定するボルト(図示無し)を挿通させるボルト挿通孔18hが形成されている。
ここで、各凸部18は、軸収容溝12の他方の端部12bの近傍位置と、軸収容溝12の一方の端部12a側において軸収容溝12を挟んだ一方の側と他方の側との、合計3個所に形成されている。
【0029】
また、ケーシング10の天面部10tには、収容凹部11の周縁部に、天面部10tよりも背面部10b側に窪んだ段部19が形成されている。
図1に示すように、この段部19には、略板状のカバー8が嵌め込まれる。カバー8の外周部には、カバー8の一方の側に延びる複数のフック部8fが形成されている。そして、各フック部8fを、ケーシング10の外周面の複数個所に形成された係合突起10aに係合させることで、カバー8がケーシング10に固定される。
【0030】
(モータ部)
図5は、減速機付モータ1のカバーを取り外した状態を示す斜視図である。
図6は、ケーシング10に、アーマチュア32、コンミテータ35、軸受67A,67Bが設けられた回転軸61を組み込んだ状態を示す平面図である。
図2、
図5、
図6に示すように、モータ部30としては、例えば、ブラシ付直流モータなどが用いられ、ヨーク31と、アーマチュア32と、コンミテータ35と、一対のブラシ43,43を保持したブラシホルダ40と、コネクタ部材50(
図1参照)と、を備えている。
【0031】
図1に示すように、ヨーク31は、ケーシング10の外周面に設けられたモータ収容部16の端部に、図示しないビス等で固定されている。ヨーク31は、略有底円筒状で、その内周面に、永久磁石(図示無し)が嵌め込まれている。
【0032】
図5、
図6に示すように、アーマチュア32は、アーマチュアコア33と、アーマチュアコイル34と、を有している。
アーマチュアコア33は、回転軸61の一端61aに外嵌固定されている。アーマチュアコア33は、略リング状の金属板33mを軸方向に複数枚積層したもので、巻線を巻装するための複数のスロット33sが形成されている。
これらスロット間に挿通させたエナメル被覆の巻線が巻装されることで、アーマチュアコア33の外周に複数のアーマチュアコイル34が形成される。
【0033】
コンミテータ35は、略円柱状をなし、回転軸61に外嵌固定されている。コンミテータ35は、回転軸61の一端61aに設けられたアーマチュア32から回転軸61の他端61b側に所定長離間した位置に配置されている。
図6に示すように、コンミテータ35の外周面には、導電材で形成されたセグメント35sが周方向に複数毎取り付けられている。
【0034】
図7は、モータ部30を構成するブラシホルダ40を示す斜視図である。
図8は、ブラシホルダ40を、
図7とは異なる方向から見た斜視図である。
図9は、ブラシホルダ40の一部を示す拡大斜視図である。
図7、
図8に示すように、ブラシホルダ40は、略板状のサポートプレート41と、サーミスタ42と、コンミテータ35のセグメント35sに摺接する一対のブラシ43,43と、を備えている。
【0035】
サポートプレート41は、互いに平行に延びるアーム部41a,41aと、これらアーム部41a,41aを一端側で連結する連結部41bとからなり、門形をなしている。
サーミスタ42は、サポートプレート41の連結部41bに固定されている。
【0036】
ブラシ43,43は、アーム部41a,41aに形成された略角筒状のブラシ保持部41c,41cに、アーム部41a,41a同士が対向する方向に沿ってスライド移動可能に保持されている。
【0037】
図7、
図9に示すように、各ブラシ43は、スプリング44により、コンミテータ35側に向かって付勢されている。
スプリング44は、鋼線(線材)が螺旋状に巻き回されたコイル部44aと、コイル部44aを形成する鋼線の両端部がコイル部44aから接線方向に延びる延設部44b,44cとを有している。スプリング44は、コイル部44aを、各アーム部41aの表面に直交して延びるよう設けられた支持ポスト45に挿通させて設けられている。
【0038】
また、アーム部41aには、支持ポスト45の径方向外側に離間した位置に、支持ポスト45の中心軸方向と平行に立ち上がる壁部46が形成されている。壁部46には、平面視略V字状に屈曲した屈曲部46aが形成されている。スプリング44の一方の延設部44bは、この屈曲部46aに突き当たっている。また、壁部46の側端部46bには、スプリング44の他方の延設部44cが挿入される凹部47が形成されている。側端部46bには、アーム部41aから離間した側から凹部47に近づくにつれて側方に突出する傾斜面46dが形成されている。
【0039】
スプリング44の延設部44cは、凹部47の内側に挿入され、ブラシ保持部41cに保持されたブラシ43の後端部43bを、ブラシ保持部41cから内方に突出する方向に付勢する。これにより、ブラシ43がコンミテータ35の外周面に形成されたセグメント35sに摺接する。
【0040】
サポートプレート41には、配線48,48を介してブラシ43,43に接続される接続端子(ブラシ側端子)49,49が設けられている。ここで、一方の接続端子49は、サーミスタ42に接続され、このサーミスタ42と一方のブラシ43とが、配線48を介して接続されている。
【0041】
図10は、ブラシホルダ40をケーシング10のモータ収容部16に組み込んだ状態を示す斜視図である。
同図に示すように、ブラシホルダ40は、ケーシング10の外周面に設けられたモータ収容部16内に設けられている。
【0042】
図7、
図9に示すように、ブラシホルダ40のサポートプレート41には、連結部41bの幅方向両端部に、幅方向外方に向かって突出する凸部41t,41tが形成されている。また、
図10に示すように、ブラシホルダ40は、サポートプレート41をモータ収容部16内のケーシング10の外側面10sに沿わせた状態で、各凸部41tを、モータ収容部16の側壁部16bにおいてケーシング10の天面部10t側に形成された段部16dに係合させる。
【0043】
さらに、
図3、
図4に示すように、モータ収容部16の底板部16aには、側壁部16b,16bに沿う位置に、ケーシング10の天面部10t側に向かって突出する略直方体状の係止ブロック16k,16kが形成されている。
図10に示すように、ブラシホルダ40は、各アーム部41aの先端が、係止ブロック16kとケーシング10の外側面10sとの間に挿入される。
この状態で、接続端子49,49は、軸収容溝12(
図3参照)の中心軸と平行な方向に延びるよう設けられている。
【0044】
ここで、
図7に示すように、ブラシホルダ40のサポートプレート41には、モータ収容部16の側壁部16b,16b、段部16d,16d、係止ブロック16k,16k等に突き当たる位置にそれぞれ突起41xを形成しておき、これらの突起41xによってサポートプレート41はモータ収容部16に圧入保持される。
【0045】
図11は、ケーシング10に装着されたコネクタ部材50を示す斜視図である。
図12は、コネクタ部材50の構成を示す図である。
図13は、コネクタ部材50をブラシホルダ40に接続する状態を示す斜視図である。
図11、
図12に示すように、コネクタ部材50は、フレーム部51と、コネクタ受け部52と、を一体に備えている。
【0046】
フレーム部51は、内方に開口部51aを有した略矩形状で、モータ収容部16の端部に形成された段部16dに嵌め込まれている。フレーム部51には、一方の側壁部16b側に向かって延びる延設部53が一体に形成され、この延設部53の先端にコネクタ受け部52が設けられている。
コネクタ部材50のフレーム部51の開口部51aは、ヨーク31(
図1参照)が装着されることで覆われる。
【0047】
コネクタ受け部52は、車体側に接続されるハーネスの先端に設けられたコネクタ(図示無し)が挿入される略有底筒状のフード52aを有している。
図1に示したように、フード52a内には、コネクタに設けられたハーネス側端子(図示無し)に電気的に接続される端子部材54の一端部が保持されている。
【0048】
コネクタ部材50は、モータ収容部16の端部に設けられ、ブラシホルダ40に近接して配置されている。
図13に示すように、端子部材54の他端部54bは、フレーム部51の背面側に導出されている。また、フレーム部51が位置する面に直交する方向に延びている。そして、モータ収容部16内に保持されたブラシホルダ40の接続端子49に接続される。
このようなコネクタ部材50のコネクタ受け部52に不図示の外部電源に接続されたハーネスのコネクタ(図示無し)を接続することにより、外部電源の電力をモータ部30に供給できる。
【0049】
また、
図11、
図12に示すように、コネクタ部材50は、フレーム部51の内側に、突起(押圧部)55、55を一体に備えている。各突起55は、モータ収容部16の側壁部16bに沿い、ケーシング10の外側面10s側に向かって突出するよう形成されている。コネクタ部材50をモータ収容部16に装着した状態で、突起55の先端は係止ブロック16kと対向して配置される。
また、各突起55には、ブラシホルダ40の支持ポスト45に対向する部分に凹溝55mが形成されている。この凹溝55mは、支持ポスト45の外周面に対し、スプリング44のコイル部44aを形成する線材の線径よりも小さい間隔を隔てて対向するよう形成されている。
【0050】
(減速機部)
図2、
図5に示すように、減速機部60は、回転軸61と、ウォームギア62と、ウォームホイール63と、ピニオンギア64と、スパーギア65と、ドライブギア66と、を備えている。
【0051】
図6に示すように、回転軸61は、一端61a側に設けられた上記モータ部30のアーマチュア32及びコンミテータ35よりも他端61b側が、ケーシング10の軸収容溝12に収容されている。回転軸61には、その中心軸方向に間隔をあけた2個所に、略円環状の軸受67A,67Bが外嵌されている。
【0052】
軸受67A,67Bは、いわゆる転がり軸受からなり、ケーシング10に形成されたベアリング収容凹部15A,15Bに嵌合されている。
図4に示すように、ベアリング収容凹部15A,15Bには、軸収容溝12の中心軸に対して直交する径方向の両側に、ケーシング10の天面部10t側からベアリング収容凹部15A,15Bの底面15cに向かって延びる弾性変形可能な二本一対のリブ15rがそれぞれ突設されている。軸受67A,67Bは、ベアリング収容凹部15A,15Aの底面15cに突き当たるとともに、これらのリブ15r,15rに径方向両側を挟持されることで、径方向への移動が後続されている。
【0053】
図14は、回転軸61の一方の側に設けられた軸受67Aがベアリング収容凹部15Aに嵌合した状態を示す平面図である。
図4、
図14に示すように、モータ収容部16側のベアリング収容凹部15Aには、収容凹部11に近い側に、軸収容溝12の中心軸方向に直交する位置決め面15kが形成されている。また、ベアリング収容凹部15Aにおいて、位置決め面15kに対向する面には、位置決め面15kに対向する面から位置決め面15kに向けて突出して形成された位置決めリブ15sが、ケーシング10の天面部10t側からベアリング収容凹部15A,15Bの底面15cの間で形成されている。
【0054】
図14に示すように、回転軸61の一方の側に設けられた軸受67Aは、位置決め面15kに突き当たるとともに、その反対側に設けられた位置決めリブ15sによって位置決め面15k側に押圧される。これにより、軸受67Aは、回転軸61の中心軸方向における位置決めがなされている。
【0055】
図6に示すように、モータ収容部16から離間した側のベアリング収容凹部15Bは、軸受67Bの軸方向の厚さよりも大きな開口寸法を有している。このベアリング収容凹部15Bには、回転軸61の他端61bと軸受67Bとが収容される。軸受67Bは、底面15cと、径方向両側のリブ15r,15rとによって、径方向への移動のみが規制されている。
【0056】
ウォームギア62は、軸受67A,67Bの中間部において、回転軸61と一体に形成されている。ウォームギア62が設けられた回転軸61は、軸収容溝12内に配置されている。
ここで、軸収容溝12における回転軸61に直交する方向の幅寸法W1は、ベアリング収容凹部15A,15Bにおける幅寸法W2よりも小さく設定されている。
【0057】
図2、
図5に示すように、ピニオンギア64は、略板状の係合プレート部64aと、係合プレート部64aの一面側から軸方向に突出するように形成された歯車状のギア部64bと、を一体に備えている。
係合プレート部64aの外周部には、径方向外側に突出する略扇形状の係合凸部64kが、周方向に間隔をあけて例えば3個所に形成されている。
このピニオンギア64には、ケーシング10に形成された第1軸13が挿入される軸挿入孔64hが形成されている。ピニオンギア64は、第1軸13を軸挿入孔64hに挿入することで、第1軸13回りに回転自在に支持される。
【0058】
ウォームホイール63は、略円板状に形成されたものであって、外周面にウォームギア62に噛合うギア歯63gが形成されている。
ウォームホイール63の径方向中央には、その中心軸方向に貫通する挿通孔63hが形成されている。さらに、挿通孔63hの周囲には、径方向外側に向かって窪み、ピニオンギア64の係合凸部64kが係合する略扇形状の係合凹部63kが、周方向に間隔をあけて例えば3個所に形成されている。
ウォームホイール63は、ピニオンギア64が挿通孔63hに挿入されることで、ピニオンギア64と一体に第1軸13回りに回転自在に支持されている。
【0059】
ウォームホイール63及びピニオンギア64は、モータ部30により回転軸61がその中心軸回りに回転駆動されると、第1軸13回りに回転する。
【0060】
スパーギア65は、略円板状に形成され、その外周面にピニオンギア64のギア部64bに噛み合うギア歯65gが形成されている。
スパーギア65の径方向中央には、ウォームホイール63と同様、その中心軸方向に貫通する挿通孔(図示無し)が形成され、挿通孔の周囲に、略扇形状の係合凹部(図示無し)が、周方向に間隔をあけて例えば3個所に形成されている。
【0061】
ドライブギア66は、略円板状のプレート部66aと、プレート部66aの一面側に形成された歯車状のギア部66gと、を一体に備えている。
プレート部66aにおいて、ギア部66gと反対側には、スパーギア65の係合凹部(図示無し)に係合する係合突起(図示無し)が突設されている。
また、ドライブギア66には、ケーシング10に形成された第2軸14が挿入される軸挿入孔66hが形成されている。これにより、スパーギア65及びドライブギア66は、第2軸14回りに回転自在に設けられている。
【0062】
ここで、
図3に示すように、ケーシング10の収容凹部11の第2軸14の底面11b1は、第1軸13の底面11b2よりもケーシング10の天面部10tに近い位置に形成されている。これにより、
図15に示すように、スパーギア65は、その外周部が、回転軸61の上方を跨がるように配置され、ウォームギア62に噛み合うウォームホイール63よりも上方に配置される。
【0063】
このような減速機部60は収容凹部11内に収容されている。そして、
図1に示すように、ドライブギア66の一部を除き、ケーシング10に装着されるカバー8によって覆われる。ドライブギア66のプレート部66a及びギア部66gは、カバー8に形成された円形の開口部8hからカバー8の外部に露出している。また、ギア部66gに、車両の窓を開閉するウィンドウレギュレータ等が係合される。
【0064】
(減速機モータの動作)
減速機付モータ1のモータ部30を駆動させると、回転軸61、およびウォームギア62を介してウォームホイール63が回転する。すると、ウォームホイール63とともに、ドライブギア66が回転し、ドライブギア66のギア部66gから、車両用窓を昇降動作させる駆動力を出力することができる。
ここで、減速機部60は、ウォームギア62とウォームホイール63との噛み合い、ピニオンギア64とスパーギア65との噛み合いによって、2段階に減速される。
【0065】
(減速機付モータの組立方法)
次に、上記したような構成の減速機付モータ1の組み立て方法について説明する。
図16は、ケーシング10に回転軸61を組み付ける前の状態を示す斜視図である。
図17は、回転軸61をケーシング10に組み込んだ状態を示す斜視図である。
図18は、ブラシホルダ40をケーシング10に組み付ける前の状態を示す斜視図である。
図19は、ブラシホルダ40をカバー8と一体に設けた場合の構成を示す斜視図である。
上記したような構成の減速機付モータ1を組み立てるには、まず、
図16に示すように、回転軸61に、アーマチュア32及びコンミテータ35と、軸受67A,67Bとを組み付けておく。
【0066】
次いで、
図17に示すように、ケーシング10の軸収容溝12に対し、回転軸61を、収容凹部11の開口側から、第1軸13,第2軸14の中心軸方向に沿って組み込む。このとき、軸受67A,67Bを、ケーシング10に形成されたベアリング収容凹部15A,15Bに圧入する。
図6に示すように、ベアリング収容凹部15A,15Bには、リブ15r,15rが形成されているので、回転軸61の径方向位置が容易かつ確実に位置決めされる。また、
図14に示すように、ベアリング収容凹部15Aには、位置決め面15k及び位置決めリブ15sが形成されている。このため、回転軸61の軸方向位置が、軸受67Aと位置決め面15kとを基準として、容易かつ確実に位置決めされる。
【0067】
このように、
図17に示すように、回転軸61を組み込むことによって、回転軸61に設けられたコンミテータ35は、モータ収容部16内に収容される。
【0068】
次に、
図5に示すように、ケーシング10の収容凹部11内に、ウォームホイール63、ピニオンギア64、スパーギア65、ドライブギア66を、収容凹部11の開口側から、第1軸13、第2軸14の中心軸方向に沿って順次組み込む。
【0069】
次に、
図18に示すように、ブラシホルダ40を、収容凹部11の開口側から、第1軸13,第2軸14の中心軸方向に沿って組み込む。
このとき、
図10に示すように、ブラシホルダ40は、サポートプレート41をモータ収容部16内のケーシング10の外側面10sに沿わせながら挿入し、凸部41t,41tを、モータ収容部16の側壁部16b,16bに形成された段部16d,16dに係合させる。そして、アーム部41a,41aの先端を、係止ブロック16k,16kとケーシング10の外側面10sとの間に挿入する。
【0070】
この後、
図1に示すように、カバー8をケーシング10の天面部10tを覆うように取り付ける。ここで、カバー8には、モータ収容部16を覆うモータカバー部8mが一体に形成されており、モータ収容部16を同時に覆うことができる。
ここで、
図19に示すように、ブラシホルダ40を、カバー8と一体に取り付けておき、カバー8とブラシホルダ40とを同時に組み付けることもできる。
【0071】
次に、
図13に示すように、コネクタ部材50を、モータ収容部16に対し、回転軸61の中心軸方向に沿って組み付ける。このとき、コネクタ部材50の端子部材54と、ブラシホルダ40の接続端子49は、それぞれ回転軸61の中心軸方向に延びている。このため、コネクタ部材50の組付けと同時に、コネクタ部材50の端子部材54とブラシホルダ40の接続端子49とを接続することができる。
この後、モータ収容部16の端部にヨーク31を装着する。
【0072】
図20は、コネクタ部材50を組み付ける前の状態における、ブラシホルダ40のスプリング44の位置を示す図である。
図21は、コネクタ部材50を組み付けた後の状態におけるブラシホルダ40のスプリング44の位置を示す図である。
ところで、上記コネクタ部材50の組み付け時には、ブラシホルダ40のスプリング44の組付けを同時に行うことができる。これには、
図20に示すように、ブラシホルダ40をモータ収容部16に組み付けるに先立ち、各支持ポスト45に、スプリング44のコイル部44aを挿通させておく。このとき、スプリング44は、コイル部44aを支持ポスト45の先端部45sにのみ挿入した第一位置P1に配置しておけばよい。また、スプリング44の一方の延設部44bは、壁部46に沿わせ、他方の延設部44cは壁部46の側端部46bに沿わせておく。
【0073】
このようにしてスプリング44,44を支持ポスト45,45に仮組みした状態で、ブラシホルダ40を、モータ収容部16に組み込む。この状態で、ブラシ43は、スプリング44から離間してコンミテータ35側に付勢されていない。このため、ブラシ43をブラシ保持部41c内で径方向外側に退避させておけば、ブラシホルダ40を組み付ける際に、ブラシ43がコンミテータ35と干渉するのを抑え、容易に組付けを行うことができる。
【0074】
この後、
図21に示すように、コネクタ部材50を、モータ収容部16に対し、回転軸61の中心軸方向に沿って組み付ける。このときには、
図11、
図20に示すように、フレーム部51の突起55,55を、モータ収容部16の側壁部16b,16bに沿わせることで、コネクタ部材50を円滑に組み込むことができる。
また、コネクタ部材50を組み付けるに際しては、各突起55が、支持ポスト45の先端部45sに仮組みされたスプリング44のコイル部44aに当たるようになっている。
【0075】
したがって、
図21に示すように、コネクタ部材50を、回転軸61の中心軸方向に沿って押し込んでいくと、突起55によって、スプリング44のコイル部44aが、支持ポスト45の基端側(サポートプレート41側)に押し込まれていく。すると、他方の延設部44cは、コイル部44aが押し込まれるにしたがって側端部46bに沿って移動する。そして、最終的に、
図9に示すように、傾斜面46dを乗り越えて凹部47の内側に挿入され、スプリング44が第二位置P2に位置する。すると、スプリング44によって、ブラシ43が径方向内側のコンミテータ35側に付勢され、コンミテータ35の外周面に接した状態となる。
このようにして、スプリング44,44のセットを容易かつ確実に行うことができる。
【0076】
このように、上記の減速機付モータ1は、回転軸61に設けられたコンミテータ35と、コンミテータ35に給電を行うためのブラシ43を保持するブラシホルダ40と、ブラシ43に電気的に接続される端子部材54を備えたコネクタ部材50と、回転軸61、ブラシホルダ40、及びコネクタ部材50が組み込まれたケーシング10と、を備えている。また、ブラシホルダ40は、ブラシ43をコンミテータ35に向けて付勢するスプリング44と、スプリング44がブラシ43から離間した第一位置P1とスプリング44がブラシ43を付勢する第二位置P2との間で、スプリング44を移動可能に支持する柱状の支持ポスト45と、を備えている。コネクタ部材50は、支持ポスト45に支持されたスプリング44を第一位置P1から第二位置P2に向けて押圧する突起55を備えている。
【0077】
そして、ブラシホルダ40の支持ポスト45は、スプリング44を、スプリング44がブラシ43から離間した第一位置P1とスプリング44がブラシ43を付勢する第二位置P2との間で移動可能に支持している。これにより、ブラシホルダ40をケーシング10に組み込むに際しては、スプリング44を第一位置P1に位置させ、ブラシ43から離間させておくようにすれば、ブラシ43はコンミテータ35側に付勢されず、ブラシ43とコンミテータ35とが干渉するのを抑えることができる。
【0078】
また、ブラシホルダ40をケーシング10に組み込んだ後には、コネクタ部材50の突起55で、スプリング44を第一位置P1から第二位置P2に向けて押圧するようにすれば、スプリング44を、このスプリング44でブラシ43を付勢する第二位置P2に移動させることができ、ブラシ43をコンミテータ35に接触させることができる。
このようにして、スプリング44の組み込みを、コネクタ部材50の突起55によって容易に行うことができる。したがって、減速機付モータ1の組付け性を向上することが可能となる。
【0079】
また、ケーシング10に、ブラシホルダ40を収容するモータ収容部16が形成されている。また、コネクタ部材50には、モータ収容部16に収容されたブラシホルダ40に対して接離可能に設けられている。さらに、ブラシホルダ40の支持ポスト45は、コネクタ部材50のブラシホルダ40に対する接離方向に沿って延びている。
このため、コネクタ部材50をケーシング10に組み込むときに、コネクタ部材50を、モータ収容部16に収容されたブラシホルダ40に接近する方向に組み込めば、コネクタ部材50の突起55で、支持ポスト45に支持されたスプリング44を第一位置P1から第二位置P2に向けて押圧することができる。このようにして、コネクタ部材50のケーシング10への組付時に、スプリング44の組み込みを同時に行うことが可能となる。
【0080】
また、コネクタ部材50をケーシング10に組み込むときに、突起55をモータ収容部16の側壁部16bに沿わせることで、コネクタ部材50の位置決め、及びケーシング10に対する組み込み動作のガイドを行うことができる。
【0081】
また、スプリング44は、スプリング44を形成する線材がコイル状に巻き回されたコイル部44aを有するとともに、コイル部44aに支持ポスト45が挿通されている。突起55は、支持ポスト45の外周面に対し、線材の線径より小さい隙間で対向配置されている。
このため、コネクタ部材50をケーシング10に組み込むときに、突起55は、支持ポスト45の外周面に対して線材の線径より小さい隙間を保ったまま、コネクタ部材50の組付方向に移動する。これにより、支持ポスト45に支持されたスプリング44のコイル部44aを突起55で押圧して、スプリング44を第一位置P1から第二位置P2に移動させることができる。
【0082】
また、ブラシホルダ40は、一端がブラシ43に接続され、他端が支持ポスト45と平行に延びる接続端子49をさらに備えている。コネクタ部材50の端子部材54は、接続端子49と平行に延びている。
このため、コネクタ部材50をケーシング10に組み込むときに、接続端子49と、コネクタ部材50側の端子部材54とを係合することができる。
【0083】
また、上記したような減速機付モータ1の組立方法は、支持ポスト45の第一位置P1でスプリング44を保持した状態で、ケーシング10にブラシホルダ40を組み込んだ後、突起55でスプリング44を第一位置P1から第二位置P2に向けて押圧してコネクタ部材50をケーシング10に組み込む。
このような方法とすることにより、コネクタ部材50をケーシング10に組み込むときに、ブラシホルダ40の支持ポスト45に支持されたスプリング44を第一位置P1から第二位置P2に向けて押圧することができる。このように、コネクタ部材50の組み込みと同時にスプリング44のセットを行うことができる。
【0084】
また、上記減速機付モータ1は、軸収容溝12、ベアリング収容凹部15A,15B、収容凹部11が、いずれもケーシング10の天面部10t側に開口しているため、回転軸61、軸受67A,67B、及び減速機部60を構成するウォームホイール63、ピニオンギア64、スパーギア65、ドライブギア66を、ケーシング10に対して天面部10t側の同じ方向から組み込むことが可能となる。したがって、減速機付モータ1の組み立ての際に、組み込む部品に応じてケーシング10の向きを変える必要性を抑え、組付け性を向上させることができる。
【0085】
(その他の実施形態)
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、前記実施形態では本発明の減速機付モータの組立方法について説明したが、例えば、ウォームホイール63やドライブギア66等と、ブラシホルダ40やコネクタ部材50等との組み付け順序は適宜変更してもよい。
【0086】
また、減速機付モータの各部の構成については、適宜変更することが可能である。例えば、ブラシホルダ40は、ブラシ43をスプリング44によってコンミテータ35側に付勢するようにしたが、スプリング44に代えて板バネ等で付勢するようにしても良い。
【0087】
また、減速機付モータ1の減速機部60は、第1軸13と第2軸14とを備えるようにしたが、1本、あるいは3本以上の軸で減速機部を構成するギアを支持するようにしてもよい。
さらに、減速機60を備える構成は必須ではなく、減速機を備えない電動モータであってもよい。
また、電動モータを、車両のウィンドウレギュレータの駆動源に適用した場合について説明したが、本発明は、ワイパーモータやサンルーフ、電動シートなどの駆動源、さらには、車両以外の電装品など、さまざまな装置にも適用可能である。