(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、蓄電デバイスにおける破裂や発火、劣化などの異常な状況を解析するためにセンサの測定結果をメモリに記憶しているが、その記憶した測定結果をユーザが目視で確認することはできない。さらに、特許文献2では、センサを備えておらず、電気二重層コンデンサの状態を測定することもできない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、電気化学キャパシタの状態を目視により適宜確認することができるキャパシタユニット、受電システムおよび無人搬送車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によるキャパシタユニットは、電気化学キャパシタと、前記電気化学キャパシタの状態を検知する一つ以上のセンサと、前記センサにより検知された前記電気化学キャパシタの状態のうち、少なくとも異常がないときの前記電気化学キャパシタの状態を表示する表示部と、を備える。
【0008】
前記電気化学キャパシタの残りのエネルギー量を算出する演算部を、さらに備え、前記センサの一つは、前記電気化学キャパシタの電圧値を測定する電圧センサであり、前記演算部は、前記電圧センサにより測定された電圧値を用いて、前記電気化学キャパシタの残りのエネルギー量を算出し、前記表示部は、前記電気化学キャパシタの状態として、前記演算部により算出された前記電気化学キャパシタの残りのエネルギー量を表示することとしてもよい。
【0009】
前記電気化学キャパシタの電力供給先となる機器の消費電力を記憶する記憶部を、さらに備え、前記演算部は、前記記憶部に記憶される前記消費電力に基づいて、前記機器の稼働可能時間をさらに算出し、前記表示部は、前記演算部により算出された前記機器の稼働可能時間をさらに表示することとしてもよい。
【0010】
前記外部にあるセンサで検知された測定情報を入力するための入力端子をさらに備え、前記表示部は、前記入力端子を介して入力される前記測定情報をさらに表示することとしてもよい。
【0011】
直流電圧を異なる直流電圧に変換する電圧変換部をさらに備え、前記電圧変換部は、前記電気化学キャパシタの出力電圧を変換することとしてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様による受電システムは、前記キャパシタユニットと、前記電気化学キャパシタに電力を供給する非接触電力伝送システムの受電装置と、を備える。
【0013】
また、本発明の一態様による無人搬送車は、前記受電システムを搭載する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電気化学キャパシタの状態を目視により適宜確認することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、以下に述べる各要素を均等なものに置換した実施の形態を採用することが可能であり、かかる実施の形態も本発明の範囲に含まれる。さらにまた、図面における各種の寸法比率は、その図示の比率に限定されるものではない。
【0017】
以下において、本発明に係るキャパシタユニットを、無人搬送車(Automatic Guided Vehicle、以下「AGV」ともいう。)の動力源に用いる場合について例示的に説明する。AGVは、例えば工場の生産ラインなどにおいて、床面に敷設された磁気テープや磁気棒などによる電磁誘導を利用して自動走行する無人の搬送用車両である。
図1は、本発明に係るキャパシタユニットを含む非接触(ワイヤレス)電力供給システムの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【0018】
非接触電力供給システム1は、磁界共鳴方式により送電装置(送電ユニット2および送電コイルユニット3)から受電装置(受電コイルユニット4および受電ユニット5)に数kHz〜数百MHzの高周波電力を非接触で伝送し、高周波電力を受信した受電装置からキャパシタユニット6に直流電力を供給し、直流電力を受け取ったキャパシタユニット6の電気二重層キャパシタ61でAGV7に供給するための電力を蓄電するシステムである。
【0019】
例示的に、送電装置は、生産ラインに沿った荷物の積み下ろしスペース等に設置され、受電装置およびキャパシタユニット6は、AGV7に搭載される。
【0020】
図1の構成のうち、AGV7を除いた部分が非接触電力供給システム1を構成する。また、
図1の構成のうち、送電ユニット2、送電コイルユニット3、受電コイルユニット4および受電ユニット5が、非接触電力伝送システムを構成する。さらに、
図1の構成のうち、非接触電力伝送システムの受電装置(受電コイルユニット4および受電ユニット5)およびキャパシタユニット6が受電システムを構成する。
【0021】
送電ユニット2は、高周波電源21および制御部22を備える。高周波電源21は、所定の周波数(数kHz〜数百MHzの高周波)の高周波電力を発生する。高周波電源21は、高周波信号(電圧信号)を発生する高周波信号発生回路と、高周波信号発生回路で発生した高周波信号を増幅するパワーアンプと、このパワーアンプに直流の電源電圧を供給するDC−DCコンバータと、パワーアンプから出力される高周波信号の高周波成分を除去するローパスフィルタと、パワーアンプから出力される高周波電力の電力量を制御する電力制御部と、を含む。
【0022】
パワーアンプは、例えば、D級アンプやE級アンプで構成することができ、高周波信号発生回路から入力される高周波信号によってスイッチング素子をオン・オフ駆動することにより、高周波信号と同一の周期を有し、DC−DCコンバータから入力される直流電圧に依存した振幅の高周波信号を生成する。この高周波信号はローパスフィルタで高周波成分が除去されることにより正弦波の高周波信号に整形されて出力される。
【0023】
電力制御部は、制御部22から入力される出力制御信号に基づいてDC−DCコンバータから出力される直流電圧の振幅を制御し、これによりパワーアンプから出力される高周波信号の増幅量(すなわち、高周波電力の電力量)を制御する。
【0024】
制御部22は、ROM、RAM、CPUなどを備えるマイクロコンピュータやFPGA(field-programmable gate array)などで構成される。制御部22は、高周波電源21に対してDC−DCコンバータの出力電圧を制御する出力制御信号を出力し、高周波電源21から出力される高周波電力を制御する。
【0025】
送電コイルユニット3は、送電部31を備える。送電部31は、送電ユニット2の高周波電源21から出力される高周波電力を受電コイルユニット4の受電部41に無線で伝送する。送電部31は、例えば、複数ターンのソレノイドコイルからなるインダクタ(以下、「送電用コイル」ともいう。)とそのインダクタに直列に接続されたキャパシタとの直列共振回路で構成される。送電部31における直列共振回路の直列共振周波数(=1/[2π・√(L・C)])(L:インダクタの自己インダクタンス、C:キャパシタのキャパシタンス)は、高周波電源21から出力される高周波電力の周波数(以下、「電源周波数」ともいう。)[MHz]に調整されている。
【0026】
受電コイルユニット4は、受電部41を備える。受電部41は、送電コイルユニット3の送電部31との間で磁界結合をして送電部31から高周波電力を受電する。受電部41は、送電部31と同一の構成を有し、複数ターンのソレノイドコイルからなるインダクタ(以下、「受電用コイル」ともいう。)とそのインダクタに直列に接続されたキャパシタとの直列共振回路で構成される。受電部41における直列共振回路の直列共振周波数(=1/[2π・√(L・C)])(L:インダクタの自己インダクタンス、C:キャパシタのキャパシタンス)は、電源周波数[MHz]に調整されている。
【0027】
受電ユニット5は、整流回路51を備える。整流回路51は、受電コイルユニット4の受電部41から出力される高周波信号を整流し、キャパシタユニット6に直流電力を供給する。整流回路51は、例えば、4個の整流素子をブリッジ接続したブリッジ回路で構成される。4個の整流素子として、ショットキーバリアーダイオードを用いることができる。
【0028】
キャパシタユニット6は、電気二重層キャパシタ61およびDC−DCコンバータ62を含む。電気二重層キャパシタ61は、複数の電気二重層キャパシタを直列および並列に組み合わせて構成されていてもよいし、単一の電気二重層キャパシタであってもよく、AGV7に供給する電力に応じて適宜構成することができる。
【0029】
電気二重層キャパシタ61は、受電ユニット5から印加される直流電圧により充電され、電荷を蓄える。電気二重層キャパシタ61は、蓄えた電荷に基づいて直流電力を放電し、DC−DCコンバータ62を介してAGV7に電力を供給する。DC−DCコンバータ62は、電気二重層キャパシタ61から入力された直流電圧を調整(昇降圧)し、AGV7に調整後の直流電圧を供給する。
【0030】
図2を参照して、本実施形態におけるキャパシタユニット6の構成を詳細に説明する。キャパシタユニット6は、その外形が略直方体形状の収納ケース6Cにより形成されており、収納ケース6Cの内部に、電気二重層キャパシタ61と、DC−DCコンバータ62とを備える。なお、
図2における各部の寸法比率は、図面を見やすくする比率に便宜上変更しており、図示の比率に限定するものではない。
【0031】
収納ケース6Cには、プラス/マイナスの一対の端子からなる入力側端子6Aおよび出力側端子6Bが設けられている。入力側端子6Aは、受電ユニット5の出力端子と接続し、出力側端子6Bは、AGV5の入力端子と接続する。なお、
図2における入力側端子6Aおよび出力側端子6Bの位置は、図面を見やすくする位置に便宜上配置しており、図示の位置に限定するものではない。
【0032】
キャパシタユニット6は、上述した電気二重層キャパシタ61およびDC−DCコンバータ62に加え、演算部63、記憶部64、表示部65および電気二重層キャパシタ61の状態を検知する各種センサ66A,66B,66C,66Dをさらに備える。
【0033】
電気二重層キャパシタ61には、プラス/マイナスの一対の端子からなる入力端子61Aおよび出力端子61Bが設けられ、DC−DCコンバータ62には、プラス/マイナスの一対の端子からなる入力端子62Aおよび出力端子62Bが設けられている。
【0034】
電気二重層キャパシタ61の入力端子61Aは、収納ケース6Cの入力側端子6Aと接続し、電気二重層キャパシタ61の出力端子61Bは、DC−DCコンバータ62の入力端子62Aと接続する。DC−DCコンバータ62の出力端子62Bは、収納ケース6Cの出力側端子6Bと接続する。
【0035】
電圧センサ66Aは、電気二重層キャパシタ61の電圧を測定する。
図2では、例示的に、電気二重層キャパシタ61の出力端子61Bのプラス/マイナス端子間に電圧センサ66Aを配置している。
【0036】
電流センサ66Bおよび電流センサ66Cは、電気二重層キャパシタ61の充電時の電流および放電時の電流をそれぞれ測定する。
図2では、例示的に、電気二重層キャパシタ61の入力端子61Aと収納ケース6Cの入力側端子6Aとを接続するケーブルに電流センサ66Bを配置し、電気二重層キャパシタ61の出力端子61Bと収納ケース6Cの出力側端子6Bとを接続するケーブルに電流センサ66Cを配置している。
【0037】
温度センサ66Dは、キャパシタユニット6内の温度を測定する。
図2では、例示的に、電気二重層キャパシタ61の上部側に温度センサ66Dを配置している。
【0038】
なお、
図2における電気二重層キャパシタ61の入力端子61Aおよび出力端子61B、DC−DCコンバータ62の入力端子62Aおよび出力端子62B、ならびに各種センサ66A,66B,66C,66Dの位置は、図面を見やすくする位置に便宜上配置しており、図示の位置に限定するものではない。
【0039】
演算部63は、各種センサ66A,66B,66C,66Dによる測定値を受信し、その受信した測定値を演算する等し、測定値や演算結果を電気二重層キャパシタ61の状態として表示部65に表示させる。以下、具体的に説明する。
【0040】
演算部63は、電圧センサ66Aから測定値を受信した場合には、その受信した測定値(電圧値)を用いて、電気二重層キャパシタ61の残りのエネルギー量を算出する。演算部63は、算出した残りのエネルギー量を、電気二重層キャパシタ61の状態として表示部65に表示させる。
【0041】
残りのエネルギー量は、例えば、電圧センサ66Aから受信した電圧値による電気二重層キャパシタ61のエネルギー量が、電気二重層キャパシタ61の最大エネルギー量に対してどの程度の割合[%]であるのかを算出して求めることができる。
【0042】
エネルギー量は、以下の式(1)により定めることができる。式(1)のCは電気二重層キャパシタ61の静電容量[F]であり、Vは電気二重層キャパシタ61の充電電圧値[V]である。
【0043】
エネルギー量=(C×V
2)/2 … 式(1)
【0044】
最大エネルギー量は、式(1)のVに、電気二重層キャパシタ61の最大充電電圧値V
MAXを代入することで算出することができる。受信した電圧値による電気二重層キャパシタ61のエネルギー量は、式(1)のVに、受信した電圧値V
Cを代入することで算出することができる。
【0045】
演算部63は、電圧センサ66Aから測定値を受信した場合には、その測定値を電気二重層キャパシタ61の現在の電圧値として表示部65に表示させる。
【0046】
演算部63は、電流センサ66Bから測定値を受信した場合には、その測定値を電気二重層キャパシタ61の充電時の電流値として表示部65に表示させる。
【0047】
演算部63は、電流センサ66Cから測定値を受信した場合には、その測定値を電気二重層キャパシタ61の放電時の電流値として表示部65に表示させる。
【0048】
演算部63は、温度センサ66Dから測定値を受信した場合には、その測定値をキャパシタユニット6内の現在の温度として表示部65に表示させる。
【0049】
記憶部64は、各種センサ66A,66B,66C,66Dによる測定値や、演算部63が演算する際に用いる各種データ、演算部63が演算した結果等を記憶する。
【0050】
表示部65は、演算部63による制御に従って、演算部63から出力される電気二重層キャパシタ61の状態に関する各種情報を表示する。表示部65として、例えば、7セグメントディスプレイ、LED、液晶パネル等を用いることができる。
【0051】
表示部65は、表示対象となる各種情報を予め定められた順序で繰り返し表示させることとしてもよいし、各種情報ごとに表示部を設け、各種情報をそれぞれの表示部に表示させることとしてもよい。また、表示部に表示させる内容を指示するための表示指示部を、キャパシタユニット6にさらに設け、表示指示部から指示された内容を表示部に表示させることとしてもよい。
【0052】
上述したように、実施形態におけるキャパシタユニット6によれば、電気化学キャパシタである電気二重層キャパシタ61と、電気二重層キャパシタ61の状態を検知する電圧センサ66A、電流センサ66B、電流センサ66Cおよび温度センサ66Dと、各センサにより検知された電気二重層キャパシタ61の状態を表示する表示部65と、を備えることで、異常があるときの電気二重層キャパシタ61の状態に限らず、異常がないときの電気二重層キャパシタ61の状態についても表示部65に表示させることができる。
【0053】
それゆえ、実施形態におけるキャパシタユニット6によれば、電気二重層キャパシタ61の状態を目視により適宜確認することが可能となる。
【0054】
また、実施形態におけるキャパシタユニット6によれば、電気二重層キャパシタ61の残りのエネルギー量を算出する演算部63をさらに備え、演算部63は、電圧センサ66Aにより測定された電圧値を用いて、電気二重層キャパシタ61の残りのエネルギー量を算出し、表示部65は、電気二重層キャパシタ61の状態として、演算部63により算出された電気二重層キャパシタ61の残りのエネルギー量を表示させることができる。
【0055】
これにより、実施形態におけるキャパシタユニット6によれば、異常の有無にかかわらず、残りのエネルギー量を表示部65に表示させることができるため、残りのエネルギー量を算出することが困難な鉛蓄電池を用いる他の蓄電デバイスユニットに比べ、予期しないときにエネルギー量が不足して電力供給先が駆動できなくなる事態を未然に防止することができるため、動力源としての運用効率を向上させることが可能となる。
【0056】
なお、上述したとおり、上記の実施形態は、本発明を説明するための一例であり、本発明をその実施形態に限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な変形が可能である。
【0057】
例えば、上記実施形態では、キャパシタユニット6に収納する蓄電デバイスが電気二重層キャパシタ61である場合について説明したが、キャパシタユニット6に収納する蓄電デバイスは電気二重層キャパシタ61であることに限定されない。例えば、上述した電気二重層キャパシタに加え、リチウムイオンキャパシタに代表されるハイブリッドキャパシタや、レドックスキャパシタ等であってもよく、それらを包含する電気化学キャパシタであることが好ましい。
【0058】
また、上記実施形態では、電気二重層キャパシタ61の状態を表示部65に表示させているが、表示部65に表示させる情報は、これに限定されない。例えば、電気二重層キャパシタ61の電力供給先となる機器(例えば、AGV7の駆動部)の稼働可能時間を表示部65にさらに表示させることとしてもよい。この場合、例えば、電気二重層キャパシタ61の電力供給先となる機器の消費電力を記憶部64に予め記憶させておく。演算部63は、記憶部64に記憶されている消費電力に基づいて、電気二重層キャパシタ61の電力供給先となる機器の稼働可能時間を算出し、表示部65に表示させることとすればよい。
【0059】
また、キャパシタユニット6の外部にある各種センサで検知された測定情報を表示部65にさらに表示させることとしてもよい。この場合、例えば、キャパシタユニット6の収納ケース6Cに外部入力端子をさらに設け、この外部入力端子を介して入力される各種センサの測定情報を、表示部65に表示させることとすればよい。