(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スペーサプレートと前記上流側位置決めプレートとの間、及び前記スペーサプレートと前記下流側位置決めプレートとの間に、それぞれ複数の豆腐が前記スペーサプレートに沿って等間隔に配列されることで、前記一対の豆腐が複数組配置され、
前記複数組配置された豆腐を前記上流側水平カッタ、及び前記下流側水平カッタにより一度に切断する、
請求項2又は3に記載の豆腐の切断装置。
前記上流側水平カッタ及び前記下流側水平カッタは、カッタ短軸方向の幅が個々の前記豆腐の側面の水平幅より狭く、カッタ長軸方向に沿って刃先を有する細長のナイフ状に形成され、
前記カッタ駆動部は、前記豆腐のいずれかの側面に前記水平カッタの前記刃先を沿わせる切断開始位置に前記上流側水平カッタ及び前記下流側水平カッタをそれぞれ移動させ、前記上流側水平カッタ及び前記下流側水平カッタの刃渡りを前記豆腐の水平断面の全てに当接させながら、前記水平カッタの前記刃先を、前記豆腐の切断開始位置から対向する側面の終端位置まで、前記水平カッタを前記刃渡りの方向に交差する方向に水平移動させて、前記豆腐を水平方向に切断する、
請求項2〜4のいずれか一項に記載の豆腐の切断装置。
前記シャッタ板の水平面上で前記水平カッタにより水平方向に切断される前記水平分割豆腐の下方に配置され、前記シャッタ板の前記非支持位置への移動により前記シャッタ板から落下する前記水平分割豆腐を通過させて、前記水平分割豆腐を垂直方向に切断し、賽の目状の豆腐にする格子状の切断刃を有する垂直カッタを備える、
請求項9に記載の豆腐のパック詰め装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の加工装置では、豆腐が搬送コンベヤ上に載置された状態のまま搬送されるため、複数の水平刃の抵抗によって水平切断時に豆腐自体が撓むことがある。豆腐が撓むと切断位置にずれが生じ、切断後の豆腐の形状が乱れる。そのため、均一な形状に安定して豆腐を切断することが難しくなる。また、豆腐を一度に賽の目状に切断すると、豆腐の切断片がバラバラになりやすく、包装パックに整然と収納することが困難になる。一方、特許文献2の加工装置では、切断刃に1本の釣糸を用いるため、釣糸が切れた場合には豆腐に異物が混入する可能性がある。異物混入を避けるため、太い糸を用いることもできるが、その場合には豆腐の切断面が粗くなる。
また、水平切断と垂直切断(格子切断)により豆腐を賽の目状に切断する場合、これらの切断を同じ位置で行うと、加工ライン上での豆腐の停止時間が長くなり、スループットを高めることが困難となる。
【0005】
そこで本発明は、豆腐の損傷を防ぎ、異物を発生させることなく、高精度に豆腐の切断ができ、包装パックに賽の目状の豆腐を高速かつ高効率で整然と収納することができる豆腐の切断装置及び豆腐のパック詰め装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は下記構成からなる。
(1) 陸上の水平面上に載置され略等間隔に配列した複数の豆腐を切断する豆腐の切断装置であって、
前記豆腐の側面に当接して前記豆腐を位置決めする位置決め部材と、
前記位置決め部材の前記豆腐と当接する領域の高さ範囲内で水平移動自在に配置された水平カッタと、
前記水平カッタを水平に駆動するカッタ駆動部と、
を備え、
前記位置決め部材は、前記複数の豆腐の配列方向にそれぞれ延設された一対の位置決めプレートを有し、一方の前記位置決めプレートは他方の前記位置決めプレートに向けて進退移動可能であり、複数の前記豆腐を前記一方の位置決めプレートと前記他方の位置決めプレートとの間で把持することで位置決めし、
前記一対の位置決めプレートの少なくともいずれかには、水平方向に沿って開口し、前記水平カッタが挿通されるスリットが形成され、
前記一方の位置決めプレートと前記他方の位置決めプレートとの間に前記豆腐を位置決めしたまま、前記スリットに、前記水平カッタを水平に挿入して複数の前記豆腐を水平に切断する、豆腐の切断装置。
(2) 陸上の水平面上に水平搬送されて載置された少なくとも一対の豆腐を切断する豆腐の切断装置であって、
前記豆腐の側面に当接して前記豆腐を位置決めする位置決め部材と、
前記位置決め部材の前記豆腐と当接する領域の高さ範囲内で水平移動自在に配置された水平カッタと、
前記水平カッタを水平に駆動するカッタ駆動部と、
を備え、
前記位置決め部材は、
一対の前記豆腐の対面し合う側面の間に配置されるスペーサプレートと、
それぞれ前記スペーサプレートに向けて進退移動可能であり、搬送方向上流側の一方の前記豆腐を前記スペーサプレートとの間で把持する上流側位置決めプレート、及び搬送方向下流側の他方の前記豆腐を前記スペーサプレートとの間で把持する下流側位置決めプレートと、
を有し、
前記水平カッタは、それぞれ前記カッタ駆動部により駆動され、前記スペーサプレートの上流側に設けた上流側水平カッタ、及び前記スペーサプレートの下流側に設けた下流側水平カッタを有し、
前記上流側位置決めプレートには、前記上流側水平カッタが挿通されるスリットが形成され、
前記下流側位置決めプレートには、前記下流側水平カッタが挿通されるスリットが形成され、
前記スペーサプレートと前記上流側位置決めプレートとの間に前記一方の豆腐を位置決めしたまま、前記上流側位置決めプレートに形成されたスリットに、前記上流側水平カッタを水平に挿入して前記一方の豆腐を水平に切断し、
前記スペーサプレートと前記下流側位置決めプレートとの間に前記他方の豆腐を位置決めしたまま、前記下流側位置決めプレートに形成されたスリットに、前記下流側水平カッタを水平に挿入して前記他方の豆腐を水平に切断する、豆腐の切断装置。
(3) 前記カッタ駆動部は、前記上流側水平カッタ、及び前記下流側水平カッタを同時に駆動して前記スペーサプレートに向けて移動させ、前記一対の豆腐を一度に切断する、(2)に記載の豆腐の切断装置。
(4) 前記スペーサプレートと前記上流側位置決めプレートとの間、及び前記スペーサプレートと前記下流側位置決めプレートとの間に、それぞれ複数の豆腐が前記スペーサプレートに沿って等間隔に配列されることで、前記一対の豆腐が複数組配置され、
前記複数組
配置された豆腐を前記上流側水平カッタ、及び前記下流側水平カッタにより一度に切断する、(2)又は(3)に記載の豆腐の切断装置。
(5) 前記上流側水平カッタ及び前記下流側水平カッタの先端は、複数の前記豆腐が前記スペーサプレートに沿って配列された配列方向の全幅よりも広い刃渡りをそれぞれ有し、
前記上流側位置決めプレート及び前記下流側水平カッタに形成される前記スリットは、前記豆腐の前記配列方向の全幅よりも広い、(4)に記載の豆腐の切断装置。
(6) 前記上流側水平カッタ及び前記下流側水平カッタの先端は、個々の前記豆腐に相応する複数の刃を有し、
前記上流側位置決めプレート及び前記下流側位置決めプレートは、個々の前記豆腐に相応するスリットを有する、(4)に記載の豆腐の切断装置。
(7) 前記上流側水平カッタ及び前記下流側水平カッタは、先端が凹凸状の櫛歯形の刃を有し、個々の凸状の刃のみが前記スリットを挿通して、前記豆腐を切断する、(4)に記載の豆腐の切断装置。
(8) 前記上流側水平カッタ及び前記下流側水平カッタは、カッタ短軸方向の幅が個々の前記豆腐の側面の水平幅より狭く、カッタ長軸方向に沿って刃先を有する細長のナイフ状に形成され、
前記カッタ駆動部は、前記豆腐のいずれかの側面に前記水平カッタの前記刃先を沿わせる切断開始位置に前記上流側水平カッタ及び前記下流側水平カッタをそれぞれ移動させ、前記上流側水平カッタ及び前記下流側水平カッタの刃渡りを前記豆腐の水平断面の全てに当接させながら、前記水平カッタの前記刃先を、前記豆腐の切断開始位置から対向する側面の終端位置まで、前記水平カッタを前記刃渡りの方向に交差する方向に水平移動させて、前記豆腐を水平方向に切断する、(2)〜(4)のいずれか一つに記載の豆腐の切断装置。
(9) (1)〜(8)のいずれか一つに記載の豆腐の切断装置と、
前記豆腐が載置される前記水平面を有し、水平移動自在なシャッタ板と、
前記シャッタ板を、前記豆腐が載置される豆腐支持位置から、前記豆腐支持位置とは離れた非支持位置までの間で進退駆動するシャッタ板駆動部と、
前記豆腐支持位置の前記シャッタ板の直下に配置され、包装パックを供給する包装パック供給部と、
少なくとも前記カッタ駆動部及び前記シャッタ板駆動部を駆動制御する駆動制御部と、
を備え、
前記駆動制御部は、前記カッタ駆動部を制御して、前記スリットに挿通させた状態の前記水平カッタを、前記位置決め部材における、前記水平カッタの切断方向の終端側に配置されたプレート表面に向けて略当接するまで水平に移動させて、前記豆腐を水平に切断した
水平分割豆腐にし、前記シャッタ板駆動部を制御して、前記シャッタ板を前記豆腐支持位置から前記非支持位置に移動させて前記水平分割豆腐を前記シャッタ板から落下させ、前記包装パックに収納する、豆腐のパック詰め装置。
(10) 前記シャッタ板の水平面上で前記水平カッタにより水平方向に切断される前記水平分割豆腐の下方に配置され、前記シャッタ板の前記非支持位置への移動により前記シャッタ板から落下する前記水平分割豆腐を通過させて、前記水平分割豆腐を垂直方向に切断し、賽の目状の豆腐にする格子状の切断刃を有する垂直カッタを備える、(9)に記載の豆腐のパック詰め装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の豆腐の切断装置によれば、豆腐の損傷を防ぎ、異物を発生させることなく、高精度に豆腐の切断が行える。また、本発明の豆腐のパック詰め装置によれば、陸上において、水平分割された豆腐や賽の目状に切断された豆腐を包装パックに高速かつ高効率で整然と収納することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態を説明するための図で、豆腐のパック詰め装置の模式的な構成図である。なお、
図1に示す豆腐のパック詰め装置は一例であって、本発明は図示構成例に限らない。
【0010】
<豆腐のパック詰め装置の構成>
豆腐のパック詰め装置100(以下、パック詰め装置と呼称する)は、陸上において、豆腐供給ライン11の水平面上に供給された豆腐T1,T2を位置決めし、図中一点鎖線Pで示す豆腐搬送方向に沿って水平搬送する。この水平搬送中に豆腐T1,T2を水平に切断する。そして、切断された水平分割豆腐を、包装パック供給部13に配置された包装パック15に向けて落下させる。これにより、水平に分割された水平分割豆腐が包装パック15に収納される。また、水平分割豆腐を包装パック15に向けて落下させる際に、水平分割豆腐を更に垂直方向に切断して賽の目状豆腐として、包装パック15に収納される形態としてもよい。
【0011】
上記のパック詰め装置100は、キャリア17と、キャリア駆動部19と、シャッタ板駆動部23と、を備えている。
【0012】
キャリア17は、豆腐T1,T2を水平に切断する水平切断装置200を搭載する。キャリア17は、豆腐T1,T2を把持する豆腐供給ライン11上の豆腐供給位置から、包装パック供給部13の上方位置までの間を、キャリア駆動部19によって搬送される。豆腐供給ライン11からシャッタ板21までの間には、板やコンベヤ等の乗り移り用搬送路22が配置されている。
【0013】
乗り移り用搬送路22は、前後の搬送路と段差なく配置されてもよいが、豆腐供給ライン11の搬送面より低く、シャッタ板21の載置面よりも高い位置に搬送面が配置されることが好ましい。また、搬送面には、水やエア等が吹き出す吹き出し孔が多数設けられていてもよい。これにより、豆腐供給ライン11の豆腐T1,T2をスムーズにシャッタ板21上へ移動させることができる。
【0014】
キャリア駆動部19は、キャリア17の上部に設けられたフック部18をコンベヤベルト20に固定して、コンベヤベルト20を駆動することによってキャリア17を水平移動させる。
【0015】
シャッタ板駆動部23は、シャッタ板21と、シャッタ板21を水平に進退駆動する水平動アクチュエータ67とを備える。シャッタ板21は、水平切断装置200の下方に配置されて豆腐T1,T2が載置される水平面を有する。
【0016】
また、シャッタ板21は、豆腐T1,T2が載置される豆腐支持位置に配置され、豆腐T1,T2をだるま落としの要領で落下させて包装パック15,15に収納するときに、豆腐支持位置とは離れた非支持位置まで水平移動される。そして、シャッタ板21は、豆腐T1,T2を包装パック15,15に収納した後に、再び豆腐支持位置に復帰される。
【0017】
このパック詰め装置100では図示を省略しているが、シャッタ板21と包装パック供給部13の包装パック15との間に、後述するような、豆腐T1,T2を垂直方向に切断する垂直カッタが近接して配置される形態であってもよい。
【0018】
この垂直カッタは、上方側に鋭利な刃先加工(いわゆる“しのぎ”を形成)をして、シャッタ板21と包装パック15との間に配置する構成に限らず、シャッタ板21の上方から豆腐T1,T2を切断する構成であってもよい。すなわち、垂直カッタは、豆腐T1,T2を水平に切断した後に垂直に切断する構成であればよく、その配置場所は任意であってよい。また、図示はしないが、垂直カッタの外周に、落下する水平分割豆腐を案内するガイドを設けてもよい。
【0019】
次に水平切断装置200について説明する。
水平切断装置200は、一対の豆腐T1,T2を把持して位置決めする豆腐位置決め部25と、豆腐T1を切断する上流側水平切断部27と、豆腐T2を切断する下流側水平切断部29とを備える。
【0020】
(豆腐位置決め部)
豆腐位置決め部25は、キャリア17にシリンダが接続された上下動アクチュエータ31と、上下動アクチュエータ31のピストンロッドが接続された中央フレーム33と、副水平動アクチュエータ37と、上流側位置決めプレート(位置決め部材)39とを有する。また、豆腐位置決め部25は、キャリア17にシリンダが接続された上下動アクチュエータ47と、上下動アクチュエータ47のピストンロッドが接続された下流側フレーム45と、副水平動アクチュエータ43と、下流側位置決めプレート(位置決め部材)41とを有する。
【0021】
豆腐位置決め部25の位置決めプレート39,41は、豆腐の把持強さを、適宜、強め〜弱めに調整できる。この把持強さは、弱め、又は殆ど把持せずに接する程度にして、豆腐を位置決めする場合もある。
【0022】
中央フレーム33は、豆腐搬送方向Pに沿って併設された一対の垂下部を有する。豆腐搬送方向Pの下流側の垂下部には、一対の豆腐T1,T2の対面し合う側面の間に挿入されるスペーサプレート35が接続されている。
【0023】
スペーサプレート35は、豆腐T1,T2の側面に当接して豆腐T1,T2を位置決めし、上流側位置決めプレート39,下流側位置決めプレート41との間で豆腐T1,T2を支持する。なお、図示しないが、スペーサプレート35に代えて、豆腐T1の下流側に位置決めプレートを設け、豆腐T2の上流側に位置決めプレートを設けた形態であってもよい。
【0024】
豆腐搬送方向Pの上流側の垂下部には、副水平動アクチュエータ37が接続されている。副水平動アクチュエータ37は、そのピストンロッドの先端に、スペーサプレート35に対面する上流側位置決めプレート39が接続されている。
【0025】
上流側位置決めプレート39は、副水平動アクチュエータ37の駆動によって、スペーサプレート35に向けて進退移動可能であり、一方の豆腐T1をスペーサプレート35との間で把持することで位置決めする。なお、豆腐を把持状態にすることは、特に豆腐を水平搬送する場合や、落下させる場合に有効であるが、逆に水平切断の場合は豆腐を歪めてしまい、切断精度が低下することがある。そのため、水平切断時は把持の強さを緩め、豆腐に軽く接する程度に位置決め状態にしておくことが好ましい。
【0026】
下流側フレーム45には、副水平動アクチュエータ43が接続され、副水平動アクチュエータ43のピストンロッドの先端に、スペーサプレート35に対面する下流側位置決めプレート41が接続されている。
【0027】
下流側位置決めプレート41は、副水平動アクチュエータ43の駆動によって、スペーサプレート35に向けて進退移可能であり、他方の豆腐T2をスペーサプレート35との間で把持することで位置決めする。
【0028】
(上流側水平切断部)
上流側水平切断部27は、上下動アクチュエータ51と、上流側フレーム53と、上流側水平動アクチュエータ55(カッタ駆動部)と、上流側水平カッタ57と、を備える。
【0029】
上下動アクチュエータ51は、シリンダがキャリア17に接続され、ピストンロッドが上流側フレーム53に接続されて、上流側フレーム53を昇降駆動する。これは上流側から豆腐供給ライン11や乗り移り用搬送路22により搬送されてくる豆腐類に、上流側の水平カッタ57を干渉させないためである。その干渉の恐れがなければ、上下動アクチュエータ51は不要であり、キャリア17に固定された支持部を上下動アクチュエータ51に代えて配置してもよい。
【0030】
上流側フレーム53の下部には、上流側水平動アクチュエータ55が設けられている。上流側水平動アクチュエータ55は、ピストンロッドに上流側水平カッタ57が接続され、上流側水平カッタ57を、切断方向の始端側から、切断方向の終端側に配置されたスペーサプレート35に向けて進退移動自在に支持している。
【0031】
上流側水平カッタ57は、アルミやステンレス鋼板等の金属板であり、豆腐T1の側面(
図1の紙面垂直方向の側面)の水平幅と等しい又は水平幅より広い刃渡りが下流端に設けられている。これにより、豆腐T1の水平断面の全てに上流側水平カッタ57の刃渡りの部分を当接させることができる。
【0032】
(下流側水平切断部)
下流側水平切断部29は、支持部61と、下流側水平動アクチュエータ(カッタ駆動部)63と、下流側水平カッタ65と、を備える。
【0033】
支持部61の上端はキャリア17に接続され、支持部61の下端には下流側水平動アクチュエータ63が設けられている。下流側水平動アクチュエータ63は、ピストンロッドに下流側水平カッタ65が接続され、下流側水平カッタ65を切断方向の終端側に配置されたスペーサプレート35に向けて進退移動自在に支持している。
【0034】
下流側水平カッタ65は、上流側水平カッタ57と同様に、アルミやステンレス鋼板等の金属板であり、豆腐T2の側面(
図1の紙面垂直方向の側面)の水平幅と等しい又は水平幅より広い刃渡りが上流端に設けられている。これにより、豆腐T2の水平断面の全てに下流側水平カッタ65の刃渡りの部分を当接させることができる。
【0035】
各水平カッタ57,65の刃先が突き当たるスペーサプレート35には、刃先の当たりを和らげる樹脂やゴムを設けてもよく、突き当たる箇所に凹状溝を設けてもよい。スペーサプレート35の代わりに、位置決めプレートを設けた場合には、貫通孔となるスリットを形成し、刃先がそのスリットを少し挿通するようにしてもよい。その場合、金属同士の接触を防ぎ、刃先の損傷を防ぐことができる。また、水平カッタ57,65は、鋭利なしのぎ加工が刃先に施されている。また、豆腐との摩擦抵抗を低くするため、水平カッタ57,65を1mm以下の薄い板材で構成し、更に、カッタ表面に各種表面加工(フッ素樹脂コーティング等)を施してもよい。
【0036】
(シャッタ板駆動部)
シャッタ板駆動部23は、シャッタ板21と、水平動アクチュエータ67と、これらを支持する吊り下げアーム71と、を有する。特に、包装パック15が異なる製品種類が複数存在する場合は、複数の包装パック供給部13を並列させて配置する。例えば、パックサイズの異なる製品種類に応じて、包装パック供給部13を並列に設ける。その場合、シャッタ板駆動部23のシャッタ板21を、各製品種類に応じた包装パック供給部13の上方の所定位置に移動させる。
【0037】
なお、図示しないが、シャッタ板駆動部23、シャッタ板21、水平動アクチュエータ67と、これらを支持する吊り下げアーム71を上流側と下流側に2組設けてもよい。その場合、豆腐T1と豆腐T2の下方に配置したシャッタ板を別々に開閉動作させることで、豆腐T1と豆腐T2を個別に落下させることができる。
【0038】
また、豆腐落下時に、包装パック15を上昇させて豆腐を収容し、収容後に下降させる、豆腐収容前の包装パック15内に水を入れる、などの落下衝撃緩和手段を適宜設けてもよい。
【0039】
また、水平動アクチュエータ67によるシャッタ駆動の代用又は併用として、回転駆動型の開閉式のシャッタ板を用いることもできる。回転駆動型の開閉式のシャッタ板は、豆腐の下方に配置され、回転動アクチュエータによるシャッタ板の回転動作によって包装パックの上方に開口部を出現させたり、閉塞させたりする。このシャッタ板は、一枚のシャッタ板であっても、複数枚のシャッタ板であってもよい。また、水平動アクチュエータ67と回転動アクチュエータとを協働させ、シャッタ板を水平動と上下動とを組み合わせて駆動してもよい。
【0040】
さらに、シャッタ板の下方で、豆腐の落下経路に沿って、落下する豆腐を包装パックに導く落下ガイド板を備えた構成としてよい。
【0041】
シャッタ板21は、スペーサプレート35と上流側位置決めプレート39及び下流側位置決めプレート41との間に把持された豆腐T1,T2の下方に、水平移動自在に配置される。
【0042】
水平動アクチュエータ67は、ピストンロッドにシャッタ板21が接続され、シャッタ板21を水平移動させる。これにより、把持された豆腐T1,T2の下方で、シャッタ板21を出没自在にできる。
【0043】
吊り下げアーム71は、下端部に水平動アクチュエータ67が接続され、上端部にはキャリア駆動部19に併設されたボールネジ式又はラック&ピニオン式の軸69に上端部が支持される。
【0044】
なお、ここでいう豆腐とは、パック1個に入る1丁分として一辺の寸法が20〜150mm、高さが10〜100mmの略立方体(略正六面体)ないしは略直方体である。この豆腐としては、好ましくは一辺が50〜120mm、高さが20〜80mmの略立方体(略正六面体)ないしは略直方体であることが好ましい。賽の目に切断した賽の目状豆腐としては、一辺の寸法が10〜50mmの略立方体(略正六面体)ないしは略直方体である。
【0045】
また豆腐の破断力は0.2〜20N/m
2(約20〜2000gf/cm
2)であり、狭持性や食感等の条件上、好ましくは、0.4〜10N/m
2(約40〜1000gf/cm
2)である。本構成によるパック詰め対象の豆腐は、一般的な木綿豆腐、ソフト木綿豆腐、焼き豆腐、堅豆腐、絹ごし豆腐、ソフト豆腐や、柔らかなプリン状豆腐、それらの冷凍用豆腐や凍結乾燥用豆腐等も対象としている。生揚げや絹生揚げや油揚げの生地など豆腐の2次加工製品の生地切断にも本構成の豆腐の切断装置が適用できる。
【0046】
本構成の各アクチュエータで示される駆動源は、例えばエアシリンダや電動シリンダのようなリニアアクチュエータ等であり、直線往復駆動させ、位置決め可能な駆動源であれば特に限定しない。また、駆動源の種類としては、リニアアクチュエータを用いたクランク式や、ロータリーエンコーダ等の角度制御機能や各種減速機やインバータ制御付きのモータやサーボモータ等の直結式や、ベルトやチェーンを用いたモータ動力伝達方式、ロータリーアクチュエータ等を利用した直線駆動機構等が挙げられる。ただし、本構成の駆動源は、これらに限定されるものではない。
【0047】
また、図示は省略するが、上記の各アクチュエータは、駆動制御部から出力される駆動信号に基づいて駆動される。駆動制御部は、CPU、メモリ、各アクチュエータの駆動ドライバ等を備え、予め作成されたプログラム、シーケンスに基づいて、又は操作盤等から入力された指示に基づいて、各アクチュエータを統括して駆動する。
【0048】
図2は、豆腐のパック詰め装置100の豆腐位置決め部25、上流側水平切断部27、下流側水平切断部29の概略的な構成を示す斜視図である。スペーサプレート35、上流側位置決めプレート39、下流側位置決めプレート41は、複数の豆腐T1,T2が1丁毎に略等間隔に配列される配列方向に沿って延設されている。
【0049】
上流側位置決めプレート39には、水平方向に沿って開口して、上流側水平カッタ57が挿通される矩形状のスリット75が形成されている。また、下流側位置決めプレート41にも同様に、水平方向に沿って開口して、下流側水平カッタ65が挿通される矩形状のスリット77が形成されている。
【0050】
スリット75,77は、上流側位置決めプレート39及び下流側位置決めプレート41の豆腐T2と当接する領域の高さ範囲内に形成される。したがって、スリット75,77に挿通される上流側水平カッタ57及び下流側水平カッタ65は、豆腐T1,T2の高さ範囲内で豆腐T1,T2側に突出し、豆腐T1,T2を水平に切断する。
【0051】
なお、図示例においては、上流側水平カッタ57、下流側水平カッタ65は、一つの豆腐T1,T2に対してそれぞれ一枚を配置しているが、これに限らない。例えば、各位置決めプレート39,41に垂直方向に並ぶ複数列のスリットを設け、複数枚の水平カッタで一斉に豆腐T1,T2を切断する構成にしてもよい。また、一枚の水平カッタを、複数のスリットへ順次に挿通して豆腐T1,T2を切断する構成にしてもよい。これらの場合、3層以上に分割された水平分割豆腐が得られる。各位置決めプレート39,41は、水平カッタ57,65の水平切断後の退避時にはストッパとなって、水平切断後の豆腐の位置ずれを防止する。
【0052】
次に、上記構成のパック詰め装置100により、一つの豆腐を水平方向に切断して包装パックに収納する機構を更に詳細に説明する。
図3は、豆腐の水平切断装置の要部を模式的に示す説明図である。図示例では、各部の構成を下流側水平切断部29について説明するが、上流側水平切断部27についても同様の構成である。
【0053】
図3に示すように、図中矢印D1方向に搬送された豆腐T2は、前述のスペーサプレート35と、下流側位置決めプレート41との間に位置決めされる。豆腐T2の下方における包装パック15との間には、シャッタ板21が配置された状態になっている。
【0054】
スペーサプレート35と位置決めプレート41との間に豆腐T2を位置決めした状態としたまま、位置決めプレート41に形成されたスリット77に、下流側水平カッタ65を水平に挿入する(図中矢印D2)。そして、下流側水平カッタ65をスペーサプレート35に突き当てた後、下流側水平カッタ65を水平に引き戻す(図中矢印D3)。この動作により、豆腐T2は水平に二分割される。
【0055】
次に、水平二分割された豆腐T2を、スペーサプレート35と下流側位置決めプレート41との間に把持したまま、シャッタ板21を水平に移動させて(図中矢印D4)、豆腐T2の下方から退避させる。すると、豆腐T2はだるま落としの要領で自重により落下して、包装パック15内に収納される。又は、シャッタ板21を退避させて下流側位置決めプレート41をスペーサプレート35から離間させることで、強制的に豆腐T2を落下させてもよい。
【0056】
豆腐T2の収納された包装パック15は、図中矢印D5に向けて搬送され、次の新たな包装パックが豆腐T2の落下位置に配置される。
【0057】
<パック詰め装置による豆腐の把持、搬送、水平切断、パック詰めの手順>
次に、上記構成のパック詰め装置100による豆腐の搬送、水平切断、パック詰め工程について説明する。
図4は豆腐の水平切断装置200によって豆腐供給ライン11から豆腐を位置決めする様子を示す工程説明図である。
【0058】
(把持・位置決め工程)
図示しない駆動制御部は、キャリア駆動部19を駆動して、
図4に示すようにキャリア17を豆腐供給ライン11側に移動させる。そして、豆腐供給ライン11上に所定間隔で載置された豆腐T1,T2の直上にスペーサプレート35が配置される位置で移動を停止する。次いで、上下動アクチュエータ31を下降させて豆腐T1とT2との間にスペーサプレート35を挿入する。
【0059】
そして、駆動制御部は、副水平動アクチュエータ37,43を駆動して、上流側位置決めプレート39及び下流側位置決めプレート41をスペーサプレート35に向けて移動させる。
【0060】
これにより、豆腐供給ライン11上の豆腐T1は、対面し合う二側面がスペーサプレート35と上流側位置決めプレート39との間に把持され、水平方向に位置決めされる。また、豆腐T2も同様に、対面し合う二側面がスペーサプレート35と下流側位置決めプレート41との間に把持され、水平方向に位置決めされる。なお、豆腐T1,T2を把持する力は、弱めに設定することで、豆腐の歪みや損傷が生じることを抑制できる。
【0061】
(搬送工程、水平切断工程)
次に、駆動制御部は、キャリア駆動部19を駆動して、キャリア17を包装パック供給部に向けて移動させる。
図5(A),(B),(C)は豆腐の水平切断装置200によって豆腐を搬送する様子を示す工程説明図である。
【0062】
図5(A)に示すように、駆動制御部は、キャリア17を水平移動させて、豆腐T1,T2を豆腐供給ライン11上から、乗り移り用搬送路22上を通過させて、シャッタ板21上に移し替える。更にキャリア17を水平移動させ、豆腐T1,T2の下方にシャッタ板21が配置された状態のまま、豆腐T1,T2を滑走させるように搬送する。
【0063】
そして、
図5(B)に示すように、駆動制御部は、キャリア17の移動中に上流側水平動アクチュエータ55と下流側水平動アクチュエータ63とを同時又は順次に駆動して、上流側水平カッタ57と下流側水平カッタ65とをスペーサプレート35に向けて移動させる。
【0064】
すなわち、駆動制御部は、上流側水平カッタ57を、上流側位置決めプレート39に形成されたスリット75に挿通させた状態で水平移動させ、スペーサプレート35に突き当てる。また、駆動制御部は、下流側水平カッタ65を、下流側位置決めプレート41に形成されたスリット77に挿通させた状態で水平移動させ、スペーサプレート35に突き当てる。これにより、各水平カッタ57,65がスリット75,77によってガイドされながら、豆腐T1,T2が水平に切断される。
【0065】
豆腐T1,T2の水平切断後、駆動制御部は、上流側水平動アクチュエータ55と下流側水平動アクチュエータ63とを同時又は順次に駆動して、上流側水平カッタ57と下流側水平カッタ65とをスペーサプレート35から離間させる。そして、上流側水平カッタ57及び下流側水平カッタ65が、スリット75、77から抜き取られ、豆腐T1,T2が水平に切断された水平分割豆腐T1a,T2aとなる。
【0066】
上記の各水平カッタ57,65をスペーサプレート(後述の位置決めプレートに突き当てる場合は位置決めプレート)35に突き当てる動作は、各水平カッタ57,65の刃先が突き当て先のスペーサプレート35の表面に略当接した状態となる。
【0067】
ここでいう水平カッタ57,65の「略当接」とは、
(1)水平カッタ57,65の刃先がスペーサプレート35の表面に接触した状態
(2)装置・部材の各寸法の製造誤差等に起因して僅かな隙間を有する状態
(3)水平カッタ57,65の先端がスペーサプレート35に突き当たる直前、又は所定の隙間を意図的に残した状態で止めて(いわゆる「寸止め」の状態)、豆腐にわずかな未切断の部分を残す状態、の各状態を含むものとする。
【0068】
以下の説明において、水平カッタ57,65(後述するナイフ状カッタ91(
図17),92A(
図18),92B(
図19)についても同様)の「当接」又は「略当接」とは、上記(1)〜(3)の意味を含むものとする。特に(3)の状態の場合、水平カッタの先端の損傷を防ぐことができる。また、その場合に豆腐に僅かな未切断の部分が生じるが、その後の豆腐の取扱いで自然に切れて目立たない程度になる。
【0069】
(パック詰め工程)
次に、駆動制御部は、水平分割豆腐T1a,T2aをそれぞれ包装パック15に収納する。
図6(A),(B)は水平分割豆腐T1a,T2aを包装パック15に収納する様子を示す工程説明図である。
【0070】
駆動制御部は、
図6(A)に示すように、水平分割豆腐T1a,T2aを包装パック供給部13の上方まで搬送する。そして駆動制御部は、
図6(B)に示すように、水平動アクチュエータ67を駆動して、シャッタ板21を水平分割豆腐T1a,T2aが載置される豆腐支持位置から、この豆腐支持位置とは離れた非支持位置まで水平移動させる。つまり、水平分割豆腐T1a,T2aの下からシャッタ板21を引き抜く。
【0071】
すると、水平分割豆腐T1a,T2aは、各位置決めプレート39,41に案内されながら、だるま落としの要領で落下して、包装パック供給部13に用意された包装パック15,15にそれぞれ収容される。位置決めプレート39,41は、落下時の水平分割豆腐T1a,T2aの側面を案内することで、包装パック15,15の位置へ正確に落下させることを可能にする。
【0072】
また、駆動制御部は、豆腐の大きさや形状等によっては、シャッタ板21の駆動と同期して副水平動アクチュエータ37,43を駆動して、各位置決めプレート39,41と、スペーサプレート35との間の水平分割豆腐T1a,T2aの把持を強制解除してもよい。
【0073】
次に、駆動制御部は、包装パック供給部13を駆動して、水平分割豆腐T1a,T2aの収容された包装パック15,15を搬送方向下流側に搬送し、新たな包装パック15,15を豆腐位置決め部25の下方に配置する。搬送方向下流側に搬送され包装パック15,15に収納された水平分割豆腐T1a,T2aは、別途設けられた垂直カッタで賽の目に切断されて、その下流工程で包装される。
【0074】
<豆腐のパック詰め装置100及び豆腐の水平切断装置200による効果>
上記構成の豆腐のパック詰め装置100、及び豆腐の水平切断装置200によれば、上流側位置決めプレート39とスペーサプレート35との間、及び下流側位置決めプレート41とスペーサプレート35との間に豆腐T1,T2がそれぞれ把持される。そして、豆腐T1,T2は、それぞれ二側面を把持された状態で、把持方向に沿って上流側水平カッタ57及び下流側水平カッタ65により水平に切断される。
【0075】
そのため、豆腐T1,T2は、各位置決めプレート39,41とスペーサプレート35との間で軽く拘束された状態で位置決めされた上で切断され、切断によって豆腐T1,T2の姿勢や位置が変化することがない。
【0076】
切断時に豆腐T1,T2の姿勢や位置が変化しないため、切断後の水平分割豆腐T1a,T2aの切断面は、豆腐T1,T2の底面及び下面と高い精度で平行になる。そのため、水平切断後の個々の水平分割豆腐T1a,T2aが、正確な直方体となり、豆腐T1,T2の形状に欠けを生じさせることがない。
【0077】
また、上流側水平カッタ57及び下流側水平カッタ65は、把持された豆腐T1,T2の二側面の水平幅より広い刃渡りを有するため、各水平カッタ57,65による一回の水平移動動作によって、豆腐T1,T2を一度に切断できる。そのため、豆腐の水平切断の処理能力が高められ、しかも、釣糸式等に比べて水平切断後の水平分割豆腐T1a,T2aの切断面が滑らかとなる。
【0078】
また、本構成においては、豆腐T1,T2を水平に切断する工程と、垂直に切断する工程とを、それぞれを異なる位置で別々の動作で実施している。また、後述の通り、シャッタ板下方に備える垂直カッタを設けた場合、豆腐T1,T2を水平に切断した後、パック詰めの直前で垂直に切断するため、賽の目状となった後の賽の目状豆腐(サイコロ状豆腐ともいう)を移動させる距離と時間を最小限にできる。そのため、切断直後に整列された状態の賽の目状豆腐を、配列を乱すことなく整然とパック詰めでき、賽の目状豆腐を連続的に高効率で量産できる。なお、豆腐を垂直に切断する具体的手法については、後に詳細に説明する。
【0079】
更に、駆動制御部は、上記した豆腐T1,T2の水平切断を、キャリア17が移動する間に実施している。このため、豆腐T1,T2を静止状態で切断する場合よりも、豆腐のパック詰め工程のスループットを高めることができる。
【0080】
<水平切断装置の他の構成例>
次に、上記構成の豆腐の水平切断装置における他の構成例を順次説明する。
(第1の変形例)
図7は、第1の変形例の豆腐の水平切断装置210の要部を模式的に示す説明図である。なお、以降の説明においては、
図3と共通する部材に対しては、共通の符号を付与することで、その部材の説明を簡単化又は省略する。また、上流側水平切断部27と下流側水平切断部29の構成は、前述したように等価な構成である。そのため、以下に記す下流側位置決めプレート41は上流側位置決めプレート39、下流側水平カッタ65は上流側水平カッタ57、スリット77はスリット75、豆腐T2は豆腐T1に読み替えることができる。
【0081】
本構成の水平切断装置210は、前述の
図3に示す水平切断装置200の構成に加えて、一対の側方規制板81,83を備える。側方規制板81,83は、スペーサプレート35と下流側位置決めプレート41との間で挟持される豆腐T2の二側面に直交する他の二側面の位置を規制する位置決め部材である。
【0082】
一対の側方規制板81,83は、スペーサプレート35と下流側位置決めプレート(以降、位置決めプレートと略称する)41と同様に豆腐T2の側面に当接して、豆腐T2の水平方向の動きを規制する。
【0083】
本構成の水平切断装置210によれば、スペーサプレート35と位置決めプレート41に加えて、一対の側方規制板81,83を設けることにより、豆腐T2の側面が四方から押し当てられる。これにより、下流側水平カッタ(以降、水平カッタと略称する)65による豆腐T2の水平切断時に、水平面内における切断方向と交差する方向の豆腐T2の変形や位置ずれを防止できる。よって、豆腐T2をより高い精度で水平に切断できる。
【0084】
(第2の変形例)
図8は、第2の変形例の豆腐の水平切断装置220の要部を模式的に示す説明図である。
【0085】
本構成の水平切断装置220は、前述の
図3に示す水平切断装置200のスペーサプレート35に、下流側水平カッタ65の先端が挿入される直線状の凹溝85が水平方向に沿って形成されている。その他の構成は、前述の水平切断装置200と同様である。
【0086】
本構成の水平切断装置220によれば、豆腐T2の水平切断時に、水平カッタ65の先端が凹溝85内に挿入される。すなわち、水平カッタ65の先端は、スペーサプレート35の下流側側面と面一となる位置より更に先の位置まで延出される。
【0087】
よって、豆腐T2は、位置決めプレート41側の側面から、スペーサプレート35側の下流側側面までを確実に切断でき、切り残しを生じることがない。なお、凹溝85は、スペーサプレート35の表裏面を貫通する貫通孔であってもよい。
【0088】
本構成における水平カッタ65の先端の刃先は、スペーサプレート35に形成された凹溝85の底面に略当接する。この略当接状態には、前述したように、僅かな隙間や所定の隙間が残る状態が含まれる。また、水平カッタ65は、スペーサプレート35の厚み内における凹溝85の内周面、貫通孔の場合はその内周面に略当接した状態となる。
【0089】
(第3の変形例)
図9は、第3の変形例の豆腐の水平切断装置230の要部を模式的に示す説明図である。
【0090】
本構成の水平切断装置230は、前述の
図3に示す水平切断装置200の豆腐T2の上面に当接する垂直位置決めプレート(垂直位置決め部材)87と、垂直位置決めプレート87を垂直方向に駆動する垂直動アクチュエータ89と、を備えている。その他の構成は、前述の水平切断装置200と同様である。
【0091】
本構成の水平切断装置230は、豆腐T2の水平切断時に、スペーサプレート35と位置決めプレート41との間に挟持された豆腐T2を、垂直位置決めプレート87により豆腐T2を垂直方向に位置決めする。
【0092】
豆腐T2の底面は、シャッタ板21に当接しており、水平カッタ65は、垂直位置決めプレート87とシャッタ板21との間に豆腐T2を歪が少ないように弱めに挟み込んだ状態で、豆腐T2を水平方向に切断する。
【0093】
本構成の水平切断装置230によれば、豆腐T2が水平カッタ65により水平に切断される際に、豆腐T2が切断面の垂直方向に位置決めされる。これにより、切断時における豆腐T2の垂直方向の変形が抑制され、豆腐T2の垂直切断位置がより正確に定まる。よって、豆腐T2は、より均等な厚みに切断される。
【0094】
(第4の変形例)
図10は、第4の変形例の豆腐の水平切断装置240の要部を模式的に示す説明図である。
【0095】
本構成の水平切断装置240は、前述の
図9に示す水平切断装置230の構成に加えて、位置決め部材である一対の側方規制板81,83を設けている。その他の構成は、前述の水平切断装置230と同様である。
【0096】
本構成の水平切断装置240によれば、スペーサプレート35、位置決めプレート41、一対の側方規制板81,83により豆腐T2の側面全周が囲まれる。また、シャッタ板21と垂直位置決めプレート87により豆腐T2の上下面が垂直方向に位置決めされる。
【0097】
その結果、豆腐T2は、側面の四面と上下面との全ての面が固定された状態で水平カッタ65により切断され、厚みの均一性が更に向上する。
【0098】
(第5の変形例)
図11は、第5の変形例の豆腐の水平切断装置250の要部を模式的に示す説明図である。本変形例は、豆腐のいずれかの一つの側面を、位置決め部材が存在しない無支持側面としている。
【0099】
本構成の水平切断装置250は、前述の
図3に示す水平切断装置200の位置決めプレート41を省略し、
図7に示す水平切断装置210と同様の、位置決め部材である一対の側方規制板81,83を備える。その他の構成は、前述の水平切断装置200と同様である。
【0100】
つまり、豆腐T2の水平カッタ65に臨む側面を除いた他の三面の側面が、スペーサプレート35、側方規制板81,83により囲まれている。
【0101】
本構成の水平切断装置250によれば、スペーサプレート35,側方規制板81,83で囲まれる領域内に豆腐T2が収容され、豆腐T2の水平面内の位置が規制される。したがって、水平カッタ65をスペーサプレート35に向けて移動して、豆腐T2を水平に切断する際に、豆腐T2の位置がずれることがない。よって、豆腐T2を高精度で切断することができる。
【0102】
(第6の変形例)
図12は、第6の変形例の豆腐の水平切断装置260の要部を模式的に示す説明図である。本変形例も、豆腐のいずれかの一つの側面を、位置決め部材が存在しない無支持側面としている。
【0103】
本構成の水平切断装置260は、前述の
図11に示す水平切断装置250に、水平カッタ65の表裏面に対面するガイド板121,123を追加している。その他の構成は、前述の水平切断装置250と同様である。
【0104】
本構成の水平切断装置260によれば、ガイド板121,123により、豆腐T2の所望の切断高さ位置に水平カッタ65を精度よく合わせることができる。また、ガイド板121,123に沿って水平カッタ65が案内されるため、水平カッタ65を高精度に水平移動させることができる。その結果、豆腐T2の水平切断面の平行度が一層高められる。また、水平カッタ65が退避状態であっても、水平カッタ65の先端は、そのガイド板121,123の範囲内に配置されるようにして、豆腐側へ挿入する際の挿入動作を補助することもできる。
【0105】
(第7の変形例)
図13は、第7の変形例の豆腐の水平切断装置270の要部を模式的に示す説明図である。
【0106】
本構成の水平切断装置270は、前述の
図12に示す水平切断装置260に、位置決めプレート41を追加し、この位置決めプレート41のスリット77の上下にガイド板121,123を配置している。その他の構成は、前述の水平切断装置260と同様である。
【0107】
本構成の水平切断装置270によれば、ガイド板121,123により、スリット77の位置に水平カッタ65を精度よく合わせることができ、ガイド板121,123に沿って水平カッタ65を高精度に水平移動させることができる。これにより、豆腐T2の水平切断面の平行度が一層高められる。更に、位置決めプレート41とスペーサプレート35,及び側方規制板81,83により豆腐T2の側面四面が位置決めされるため、豆腐T2の変形を防止しつつ高精度で水平切断が行える。
【0108】
(第8の変形例)
図14は、第8の変形例の豆腐の水平切断装置280の要部を模式的に示す説明図である。本変形例は、豆腐に位置決め部材のない無支持側面を設けた構成であって、豆腐に接触する位置決め部材の数を最少にしている。
【0109】
本構成の水平切断装置280は、前述の
図3に示す水平切断装置200の位置決めプレート41を省略している。その他の構成は、前述の水平切断装置200と同様である。
【0110】
本構成の水平切断装置280によれば、豆腐T2の切断方向の先方側にスペーサプレート35が配置され、スペーサプレート35に水平カッタ65を突き当てることで豆腐T2を水平に切断できる。これにより、必要最低限のシンプルな構成となり、洗浄箇所が減少し、清浄性の高い衛生状態を維持することが容易となる。以て、メンテナンス性が向上して、ランニングコストも低減できる。
【0111】
(第9の変形例)
図15は、第9の変形例の豆腐の水平切断装置290の要部を模式的に示す説明図である。前述した豆腐の水平切断装置の水平カッタ65は、いずれも垂直断面が矩形状の平板状カッタである。水平カッタ65は、上記した平板状に限らず、例えば、
図15に示すように、垂直断面が波形である波形水平カッタ95であってもよい。
図16は
図15に示す波形水平カッタ95におけるA部の拡大断面図である。なお、豆腐の切断面を波刃にすることによって、豆腐T2の切断面を波形にでき、昔の手作り感があり、豆腐に調味液が絡みやすく、火が通りやすい豆腐が得られる。
【0112】
水平カッタ65として波形水平カッタ95を用いる場合、位置決めプレート41のスリット78も波形水平カッタ95と同様の波形形状にするか、波の振幅より幅広いスリットにする。スリット78が波形形状である場合には、波形水平カッタ95がスリット78に沿った幅方向へずれることを防止できる。
【0113】
釣糸式では波形の水平切断は難しいが、本構成では容易に波形に切断できる。また、水平切断を波形断面にすることによって、包装パック15に落下させて収納する際に上下の水平分割豆腐が噛み合うようになり、包装パック15の中で横ずれしにくい。特に賽の目状豆腐の場合、輸送中に揺らされても、包装パックの中で踊りにくく(遊動しにくく)、整然と並び見栄えの良い商品とすることができる。
【0114】
(第10の変形例)
図17は、第10の変形例の豆腐の水平切断装置300の要部を模式的に示す説明図である。
【0115】
本構成の水平切断装置300は、前述の
図3に示す水平切断装置200の水平カッタ65の代わりに、狭幅で細長のナイフ状カッタ91を備える。その他の構成は、前述の水平切断装置200と同様である。
【0116】
ナイフ状カッタ91は、カッタ短軸方向の幅が豆腐の側面の水平幅より狭く、カッタ長軸方向に沿って刃先を有する。また、ナイフ状カッタ91は、カッタ駆動機構93に接続され、駆動制御部がカッタ駆動機構93を駆動して豆腐T2を水平に切断する。
【0117】
ナイフ状カッタ91による豆腐T2の水平切断方向の終端側に、豆腐T2の側面に当接する位置決め部材としての側方規制板81を設けてある。なお、図示例のカッタ駆動機構93は一例であって、他の周知の駆動機構を使用できる。
【0118】
駆動制御部は、ナイフ状カッタ91を、
図17に示すP1,P2,P3,P4に沿って移動させる。P1の移動工程では、ナイフ状カッタ91を原点位置からスリット77に挿通させ、豆腐T2に向けて前進させる。
【0119】
このP1の移動工程では豆腐T2に当接せず、豆腐T2の側面と、ナイフ状カッタ91の刃渡り部とが少し離れて平行となる位置(切断開始位置)につく。次に、P2の移動工程でナイフ状カッタ91の刃先が豆腐T2の側面に当接し、切断開始位置から対向する側面の終端位置までナイフ状カッタ91が一方向に移動する。このときの1回の移動動作によって、滑らかで綺麗な豆腐の切断面が得られる。また、ナイフ状カッタ91の形状を、前述の波形水平カッタ95のように刃渡りに沿った波形にすれば、豆腐の断面を波形等の凹凸断面に綺麗に形成でき、豆腐に調味料がよく絡むようになる。
【0120】
また、P1の移動工程で、ナイフ状カッタ91の先端で豆腐T2を切断しながら前進させ、P2の移動工程で、前進方向と直交する方向へナイフ状カッタ91を移動させることで豆腐T2を水平切断してもよい。その場合のP2の移動工程は、少なくとも豆腐の幅からナイフ状カッタ91の幅を引いた長さ以上の距離とする。
【0121】
P3の移動工程では、ナイフ状カッタ91を後退させる。P4の工程では、ナイフ状カッタ91を水平移動させて原点位置に戻す。
【0122】
駆動制御部は、これら各工程を、カッタ駆動機構93の駆動制御により実行させる。
【0123】
P2の水平切断する工程においては、ナイフ状カッタ91により豆腐T2を切断する際、側方規制板81が、豆腐T2に作用する切断方向の先方側に押される力を受け止める。これにより、豆腐T2が切断方向に沿って歪んだり位置ズレしたり移動することを防止できる。
【0124】
本構成によれば、水平カッタのサイズを小さくして切断抵抗を抑えることできるため、豆腐の歪みが少なく正確に切断できるとともに、カッタを清浄に維持するためのメンテナンス性を良化できる。また、カッタ駆動機構93の駆動制御により豆腐T2の切断位置に応じて切断速度を変更する等、プログラマブルに豆腐T2を切断でき、豆腐T2に応じた最適な切断が容易に行える。更に、本構成では引き切り式の切断状態に近くなり、押し切り式の刃よりも豆腐の切断面が綺麗になる。
【0125】
(第11の変形例)
図18は、第11の変形例の豆腐の水平切断装置310の要部を模式的に示す説明図である。
【0126】
本構成の水平切断装置310は、前述の
図14に示す水平切断装置280の水平カッタ65の代わりに、狭幅で細長のナイフ状カッタ92Aを備える。その他の構成は、前述の水平切断装置280と同様である。
【0127】
ナイフ状カッタ92Aは、豆腐T2を水平切断し、スペーサプレート35に当接した後、そのまま豆腐T2の切断開始側に戻る。このとき、豆腐T2の切断面を崩すことをより確実に避ける場合は、例えば、ナイフ状カッタ92Aをスペーサプレート35に当接させた後、又は当接させる直前に、スペーサプレート35を一旦上昇させ、ナイフ状カッタ92Aにより豆腐T2を一方向に切り抜く。豆腐T2の切り抜き後、前述同様にして豆腐T2を包装パック15に落下させて収納し、その後にナイフ状カッタ92Aを定位置に戻すようにする。
【0128】
本構成によれば、引き切り式の切断状態に近くなり、押し切り式の刃よりも豆腐の切断面が綺麗になる。また、切断抵抗が小さく、豆腐の歪みが少ないので、正確に切断できる。
【0129】
(第12の変形例)
図19は、第12の変形例の豆腐の水平切断装置320の要部を模式的に示す説明図である。
【0130】
本構成の水平切断装置320は、前述の
図18に示す水平切断装置310のナイフ状カッタ92Aの切断方向を変更したナイフ状カッタ92Bを配置している。これに伴い、切断方向の終端側に側方規制板81を設けている。その他の構成は、前述の水平切断装置310と同様である。
【0131】
本構成によっても、ナイフ状カッタ92Bによる切断により、引き切り式の切断状態に近くなり、押し切り式の刃よりも豆腐の切断面が綺麗で、切断抵抗が小さく豆腐の歪みが少なく正確に切断できる。
【0132】
<垂直カッタの構成例>
次に、垂直カッタの構成例を順次説明する。
(垂直カッタの第1の構成例)
図20は垂直カッタ400を含む豆腐のパック詰め装置の要部を模式的に示す説明図である。
【0133】
垂直カッタ400は、スペーサプレート35と位置決めプレート41との間に把持される豆腐T2の下方で、シャッタ板21と包装パック15との間に配置される。シャッタ板21と垂直カッタ400及び包装パック15とは、図示例では説明のために離間した状態で示しているが、実際は互いに近接して配置されている。また、図示しない駆動源が垂直カッタ400及び包装パック15をシャッタ板21に対して相対的に昇降動作させて、それぞれを近接した位置に配置する構成にしてもよい。
【0134】
図示例の垂直カッタ400は、複数の帯状平板111が平面視で格子状に配置された格子状の切断刃として構成されている。各帯状平板111の交差部は、帯状平板111が互いに直交しており、帯状平板111により囲まれた複数の矩形状空間113が画成されている。
【0135】
帯状平板111の上部には切断刃の刃先が形成され、鋭利なしのぎ加工が施されている。また、格子状の切断刃の豆腐の通過抵抗を低くするため、帯幅(高さ)の小さい刃としたり、各種表面加工(フッ素樹脂コーティング等)を施したりしてもよい。
【0136】
上記構成において、豆腐の水平切断装置200のスペーサプレート35と位置決めプレート41との間に把持された水平分割された豆腐T2は、シャッタ板21を退避させることで下方に落下する。このとき、スペーサプレート35と位置決めプレート41によって、豆腐T2の姿勢をそのまま維持しつつガイドされて落下する。また、スペーサプレート35と位置決めプレート41との把持は、豆腐T2の落下時に解除してもよい。
【0137】
落下した豆腐T2は、豆腐T2の直下に配置された垂直カッタ400によって垂直方向に分断される。賽の目状に分割された豆腐は、そのまま落下して、包装パック15に収納される。
【0138】
本構成の垂直カッタ400によれば、豆腐T2が水平方向に分断された後に、同じ位置で一連の動作として垂直カッタ400によって垂直方向に分断される。これら各工程は、一度の切断処理で行えて効率が良く、処理能力も高められる。しかも、賽の目状となった各豆腐を、その配列状態を乱さずに整然と包装パック15に収納できる。なお、垂直カッタの外周の側方(四方)に、落下する豆腐T2を包装パック15に導くための落下案内板を備えてもよい。
【0139】
(垂直カッタの第2の構成例)
図21は垂直カッタ400を含む他の豆腐のパック詰め装置の要部を模式的に示す説明図である。
【0140】
本構成は、
図20に示す豆腐のパック詰め装置の水平切断装置200の代わりに、
図9に示す豆腐の水平切断装置230を用いている。その他の構成は、
図20に示すパック詰め装置と同様である。
【0141】
本構成によれば、豆腐T2が落下する際、垂直動アクチュエータ89の駆動により、垂直位置決めプレート87を下方に押し下げることで、トコロテン突き器の要領で、豆腐T2が初速度や加速度を有して均等にかつ確実に、下方へ勢いよく落下させることができる。これにより、落下途中の豆腐T2の姿勢変化と撓みを抑制した状態で、垂直カッタ400に豆腐T2を供給できる。よって、豆腐の高精度かつ高速の切断が行え、高い寸法精度で賽の目状の豆腐が得られる。
【0142】
なお、図示しないが、垂直位置決めプレート87を厚みのある部材(例えば樹脂板)の下方に、格子状垂直刃が入り込む切り込みを設けることで、切断された賽の目状豆腐を更に確実に押し切り、パックに落下させることが可能である。
【0143】
(垂直カッタの第3の構成例)
図22は垂直カッタ410を含む他の豆腐のパック詰め装置の要部を模式的に示す説明図である。
【0144】
本構成は、
図20に示す垂直カッタ400の代わりに、帯状の波形板115を平面視で格子状に配置した構成の垂直カッタ410を用いている。その他の構成は、
図20に示すパック詰め装置と同様である。
【0145】
本構成の垂直カッタ410によれば、波形板115によって豆腐T2が平面視で波形に切断され、側面が波形の切断面を有する複数の豆腐が得られる。なお、前述の第9の変形例(
図15)の通り波形水平刃と組み合わせることで、賽の目豆腐の波面数を増やすことができる。その結果、豆腐に調味液が絡みやすくなり、調理適性を一層高めることができる。また、輸送中に揺らされても、包装パックの中で踊りにくく(遊動しにくく)、整然と並び見栄えの良い商品とすることができる。
【0146】
(垂直カッタの第3の構成例)
図23は垂直カッタ420を含む他の豆腐のパック詰め装置の要部を模式的に示す説明図である。
【0147】
本構成は、
図20に示すシャッタ板21と包装パック15との間に垂直カッタ400を配置する代わりに、複数の帯状平板を平面視で格子状に配置した垂直カッタ420を包装パック15の底面に配置している。なお、本構成においては、図示しないが、垂直カッタ420をパック内に出し入れする駆動機構を備えている。
【0148】
本構成によれば、豆腐T2を包装パック15内に落下させるだけで、豆腐T2を垂直に分割できる。つまり、豆腐T2の垂直方向の切断が包装パック15内で行えるため、包装パック15内で豆腐T2が賽の目状となり、切断後の豆腐の配列が乱れることがない。これにより、賽の目状の豆腐を整然とパック詰めすることができる。図示しない駆動機構は、最後に垂直カッタ420をパック内から取り出して所定の位置に戻り、再び次のパック内に垂直カッタ420を設置する。
【0149】
(垂直カッタの第4の構成例)
図24は垂直カッタ430を含む他の豆腐のパック詰め装置の要部を模式的に示す説明図である。
【0150】
本構成は、
図20に示す垂直カッタ400の代わりに、複数本のワイヤ117を平面上で縦横に格子状に張って形成した垂直カッタ430を用いている。その他の構成は、
図20に示すパック詰め装置と同様である。
【0151】
ワイヤ117は、格子状に組まれ、交差箇所を補強すれば比較的強度が高まり、破断のリスクは軽減する。ワイヤ117は、繰り返し行われる豆腐の切断に対して十分な強度を有し、錆や腐食が発生しにくい細線部材からなる。ワイヤ117としては、例えば、ステンレス細線、殺菌性を有する銅線等の金属線(糸)の他、ポリアミド、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン等の樹脂材料を含む樹脂線材(糸材)、等の樹脂をコーティングした金属線や、これらを組み合わせた線材等が挙げられる。
【0152】
また、ワイヤ117は、複数本数が格子状に構成され、交差部を溶接や結束する等の固定手段によって、破断しにくく、異物混入の恐れを少なくしている。可能な限り細い線材を用いれば、豆腐の切断面を綺麗にできる。反対に、螺旋状のワイヤを用いて略波形の断面を形成したり、太めのワイヤを用いたりすれば、豆腐の断面を少し粗くすることや、適度な凹凸を豆腐の断面に付けることが可能となり、豆腐に調味液等が絡みやすくなる。
【0153】
本構成によれば、落下する豆腐に接触する部位が、一平面上に配置されたワイヤ117に限られるため、豆腐が垂直カッタ430を通過する際の抵抗が少なくて済む。このため、豆腐の垂直分割数が多い場合でも確実に包装パック15内に豆腐が落下し、ワイヤ117上に豆腐が詰まることがない。
【0154】
また、垂直カッタ430のカッタとして、加工が容易なワイヤ117を用いることにより、分割様式、切断個数、切断方向等のカッタの設計変更が容易になる。その結果、豆腐の切断パターンを所望のパターンに容易に変更できる。
【0155】
<水平切断装置の他の変形例>
以上説明した豆腐の水平切断装置は、一つの水平カッタ57,65、ナイフ状カッタ91,92が、それぞれ一つの豆腐を切断する構成である。しかし、水平切断装置は上記構成に限らず、一つの水平カッタにより複数個の豆腐を一度に切断する構成であってもよい。
【0156】
図25は、水平切断装置の他の変形例における要部を模式的に示す説明図である。本構成の豆腐の水平切断装置330は、スペーサプレート35と上流側位置決めプレート39との間に、複数の豆腐(図示例では一例としてそれぞれ3つの豆腐)T1−1,T1−2,T1−3が、スペーサプレート35に沿って等間隔に配列されている。同様に、スペーサプレート35と下流側位置決めプレート41との間に、複数の豆腐T2−1,T2−2,T2−3が、スペーサプレート35に沿って等間隔に配列されている。
【0157】
これら複数の豆腐T1−1,T1−2,T1−3、及びT2−1,T2−2,T2−3は、一つの上流側水平カッタ57又は下流側水平カッタ65により一度に切断される。つまり、上流側水平カッタ57の先端は、複数の豆腐T1−1,T1−2,T1−3の配列方向の全幅よりも広い刃渡りを有し、上流側位置決めプレート39のスリット75は、上記豆腐の配列全幅(側面の水平長さの合計)よりも広い。下流側水平カッタ65の先端も同様に、複数の豆腐T2−1,T2−2,T2−3の配列方向の全幅よりも広い刃渡りを有し、スリット77は豆腐の配列全幅(側面の水平長さの合計)よりも広い。
【0158】
なお、上記の各水平カッタ57,65は、ナイフ型で刃幅の狭いもので、複数の豆腐を順次、引き切りする形態であってもよい(
図17参照)。また、各水平カッタ57,65の先端やスリット75,77は、個々の豆腐に相応する複数の刃やスリットを設けて一斉に動作するようにしてもよい。
【0159】
また、
図26に水平切断装置の更に他の変形例である水平切断装置340における要部を模式的に示すように、水平カッタ65Aは、その先端が凹凸状(櫛歯形)の1枚刃であってもよく、凸部のみスリット77を挿通して豆腐を水平切断してもよい。いずれにせよ、複数の豆腐T1−1,T1−2,T1−3や、T2−1,T2−2,T2−3の配列全幅により広い刃渡りであればよい。
【0160】
更に、
図27に水平切断装置350の更に他の変形例における要部を模式的に示すように、水平カッタ65Bを薄板材で形成し、強度確保のため端部を折り曲げて垂設し、各端部を断面L字型にした構成としてもよい。この場合には、水平カッタ65Bを薄肉にできるため、豆腐の切断面がより綺麗になる。
【0161】
上記構成の水平切断装置330,340,350によれば、一回の水平カッタ65Aの水平移動により、複数の豆腐を一度に切断できる。そのため、個々の豆腐にそれぞれ水平カッタを設ける必要がなく、水平切断装置の機構を簡単化できる。
【0162】
以上説明したように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0163】
また、上述した各水平切断装置、垂直カッタ、及びこれらを備えたパック詰め装置の構成例は、
図1に示す豆腐のパック詰め装置100を前提に説明したが、この図示例の構成に限定されることはない。また、上記した各構成例の水平カッタや垂直カッタの刃は、その表面加工や断面形状等、特に限定するものではない。