特許第6626998号(P6626998)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6626998ガスバリア性粘着シート、その製造方法、並びに電子部材及び光学部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6626998
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】ガスバリア性粘着シート、その製造方法、並びに電子部材及び光学部材
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20191216BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20191216BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20191216BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20191216BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   B32B27/00 M
   B32B9/00 A
   B32B7/022
   C09J7/38
   C09J201/00
【請求項の数】10
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2019-12183(P2019-12183)
(22)【出願日】2019年1月28日
(62)【分割の表示】特願2017-195613(P2017-195613)の分割
【原出願日】2012年7月25日
(65)【公開番号】特開2019-89344(P2019-89344A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2019年1月28日
(31)【優先権主張番号】特願2011-170061(P2011-170061)
(32)【優先日】2011年8月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108419
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 治仁
(72)【発明者】
【氏名】淵 恵美
(72)【発明者】
【氏名】剱持 卓
(72)【発明者】
【氏名】永縄 智史
(72)【発明者】
【氏名】永元 公市
【審査官】 増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−234181(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/107018(WO,A1)
【文献】 特開2001−064608(JP,A)
【文献】 特開2007−118564(JP,A)
【文献】 特開2011−099073(JP,A)
【文献】 特開2008−032852(JP,A)
【文献】 特開2003−238911(JP,A)
【文献】 特開2011−088356(JP,A)
【文献】 国際公開第97/047467(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/00
B32B 7/022
B32B 9/00
C09J 7/38
C09J 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスバリア層及び粘着剤層をそれぞれ少なくとも1層と、保護層を有するガスバリア性粘着シートであって、
粘着剤層/ガスバリア層/保護層をこの順で有し、
被着体に、前記粘着剤層を介して積層されるものであり、
前記粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率が、1.5×10〜1.0×10Paの範囲であり、
ガスバリア層が高分子化合物を含む層にイオン注入して得られるものであり、つ、
ガスバリア性粘着シートを構成する層(ただし、剥離シートを除く。)のいずれもが、厚みが10μm以上の紙またはプラスチックフィルムではない
ことを特徴とするガスバリア性粘着シート。
【請求項2】
40℃、相対湿度90%雰囲気下での水蒸気透過率が、0.1g/m/day以下である、請求項1に記載のガスバリア性粘着シート。
【請求項3】
前記粘着剤層の80℃における貯蔵弾性率が、8.0×10〜1.0×10Paの範囲である、請求項1または2に記載のガスバリア性粘着シート。
【請求項4】
実質的な厚みが0.5μm以上50μm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性粘着シート。
【請求項5】
前期粘着剤層は、シランカップリング剤又はアルコキシ金属化合物を含有する粘着剤から形成される請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性粘着シート。
【請求項6】
さらに剥離シートを有する、請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリア性粘着シート。
【請求項7】
電子部材用又は光学部材用の粘着シートである、請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリア性粘着シート。
【請求項8】
剥離シートの剥離性を有する面上に、粘着剤層又はガスバリア層を形成する工程を有する、請求項1〜7のいずれかに記載のガスバリア性粘着シートの製造方法。
【請求項9】
以下の工程1〜3を有する、請求項1〜7のいずれかに記載のガスバリア性粘着シートの製造方法。
工程1:第1の剥離シートの剥離性を有する面上に、ガスバリア層を形成して、ガスバリア層付き剥離シートを得る工程
工程2:第2の剥離シートの剥離性を有する面上に、粘着剤層を形成して、粘着剤層付き剥離シートを得る工程
工程3:前記ガスバリア層付き剥離シートと粘着剤層付き剥離シートとを、前記ガスバリア層と前記粘着剤層とが対向するように貼り合わせる工程
【請求項10】
請求項1〜7のいずれかに記載のガスバリア性粘着シートを備える電子部材又は光学部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚みが薄く、耐久性に優れるガスバリア性粘着シートとその製造方法、並びに前記ガスバリア性粘着シートを備える電子部材及び光学部材に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等のディスプレイの基板として、ディスプレイの薄型化、軽量化、フレキシブル化を図るべく、透明プラスチックフィルムを使用することが検討されている。
しかしながら、一般にプラスチックフィルムは、ガラス基板に比べて水蒸気や酸素等を透過させるため、透明プラスチックフィルムをディスプレイの基板として使用すると、ディスプレイ内部の素子が劣化し易いという問題があった。
【0003】
この問題を解決すべく、特許文献1には、透明プラスチックフィルム表面に、蒸着法やイオンプレーティング法、スパッター法等により、金属酸化物からなる透明ガスバリア層を積層したフレキシブルディスプレイ基板が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法においては、プラスチック基材に過度の熱がかかり、プラスチック基材の光学的特性に悪影響を及ぼし、透明性が低下することがあった。
【0004】
これを解決する方法として、ガスバリア層を有する転写用積層体を用いる方法が考えられる。例えば、特許文献2には、耐熱性支持体上にハードコート層を形成した後、該ハードコート層上にガスバリア層を形成して転写用積層体を得、次いで、高分子材料からなる基材と前記転写用積層体のガスバリア層とを接着剤を介して接着し、その後、前記耐熱性支持体を剥離除去することで、高分子材料からなる基材上に、ガスバリア層、ハードコート層が積層された液晶表示素子用プラスチック基板を得る方法が記載されている。
【0005】
また特許文献3には、ベースフィルムに直接又は離型層を介してハードコート層、ガスバリア層の少なくとも1層及び接着層を順次形成したプラスチック液晶パネル用の転写箔が記載されている。またこの文献には、この転写箔をプラスチック基板に熱転写方式で転写することにより、プラスチック液晶パネルを製造する方法も記載されている。
【0006】
しかしながら、特許文献2及び3に記載の転写用積層体は、転写用積層体を丸めたり折り曲げたりすると、ガスバリア層と接着剤層とが剥離したり、これらの層の間にフクレや浮きなどが生じたりすることがあった。また、転写用積層体をプラスチック基板等の被着体に貼着し、これを高温・高湿条件下に置くと、接着剤層と被着体との界面に浮きが生じ、転写用積層体が被着体から剥がれることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−338901号公報
【特許文献2】特開平8−179291号公報
【特許文献3】特開平8−234181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであって、厚みを大幅に増加させることなく、被着体にガスバリア性を容易に付与することができ、かつ、高温・高湿条件下でも、粘着剤層界面で剥がれることなく、しかも、耐折り曲げ性に優れるガスバリア性粘着シート、このガスバリア性粘着シートの製造方法、並びに前記ガスバリア性粘着シートを備える電子部材及び光学部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、ガスバリア層と粘着剤層を有するガスバリア性粘着シートについて鋭意検討した。その結果、粘着剤層の貯蔵弾性率を特定の範囲に規定することで、基材層を有しなくても(すなわち、厚みを大幅に増加させることなく)、ガスバリア性、耐折り曲げ性、耐熱性、及び耐湿性の全てに優れるガスバリア性粘着シートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
かくして本発明の第1によれば、下記(1)〜(7)のガスバリア性粘着シートが提供される。
(1)ガスバリア層及び粘着剤層をそれぞれ少なくとも1層と、保護層を有するガスバリア性粘着シートであって、
粘着剤層/ガスバリア層/保護層をこの順で有し、
被着体に、前記粘着剤層を介して積層されるものであり、
前記粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率が、1.5×10〜1.0×10Paの範囲であり、
ガスバリア層が高分子化合物を含む層にイオン注入して得られるものであり、かつ、
ガスバリア性粘着シートを構成する層(ただし、剥離シートを除く。)のいずれもが、厚みが10μm以上の紙またはプラスチックフィルムではないことを特徴とするガスバリア性粘着シート。
(2)40℃、相対湿度90%雰囲気下での水蒸気透過率が、0.1g/m/day以下である、(1)に記載のガスバリア性粘着シート。
(3)前記粘着剤層の80℃における貯蔵弾性率が、8.0×10〜1.0×10Paの範囲である、(1)または(2)に記載のガスバリア性粘着シート。
【0011】
(4)実質的な厚みが0.5μm以上50μm以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載のガスバリア性粘着シート。
(5)前記粘着剤層は、シランカップリング剤又はアルコキシ金属化合物を含有する粘着剤から形成される(1)〜(4)のいずれかに記載のガスバリア性粘着シート。
(6)さらに剥離シートを有する、(1)〜(5)のいずれかに記載のガスバリア性粘着シート。
(7)電子部材用又は光学部材用の粘着シートである、(1)〜(6)のいずれかに記載のガスバリア性粘着シート。
【0012】
本発明の第2によれば、下記(8)または(9)に記載の、(1)〜(7)のいずれかに記載のガスバリア性粘着シートの製造方法が提供される。
(8)剥離シートの剥離性を有する面上に、粘着剤層又はガスバリア層を形成する工程を有する、(1)〜(7)のいずれかに記載のガスバリア性粘着シートの製造方法。
(9)以下の工程1〜3を有する、請求項1〜7のいずれかに記載のガスバリア性粘着シートの製造方法。
工程1:第1の剥離シートの剥離性を有する面上に、ガスバリア層を形成して、ガスバリア層付き剥離シートを得る工程
工程2:第2の剥離シートの剥離性を有する面上に、粘着剤層を形成して、粘着剤層付き剥離シートを得る工程
工程3:前記ガスバリア層付き剥離シートと粘着剤層付き剥離シートとを、前記ガスバリア層と前記粘着剤層とが対向するように貼り合わせる工程
【0013】
本発明の第3によれば、下記(10)の電子部材又は光学部材が提供される。
(10)前記(1)〜(7)のいずれかに記載のガスバリア性粘着シートを備える電子部材又は光学部材。
【発明の効果】
【0014】
本発明のガスバリア性粘着シートは、ガスバリア性に優れるものであり、厚みを大幅に増加させることなく、被着体にガスバリア性を容易に付与することができる。
また、本発明のガスバリア性粘着シートは、耐久性(耐折り曲げ性、耐熱性、及び耐湿性)に優れるため、丸めたり折り曲げたりした場合や高温・高湿条件下に置かれた場合であっても、粘着剤層とその他の層との界面で剥離しにくく、また、フクレや浮きなどが生じにくい。
本発明のガスバリア性粘着シートの製造方法によれば、本発明のガスバリア性粘着シートを効率よく製造することができる。
本発明の電子部材及び光学部材は、発明のガスバリア性粘着シートを用いるものであるため、優れたガスバリア性を有し、かつ、軽量で薄型化されたものである。
また、丸めたり折り曲げたりした場合や、高温・高湿条件下で用いる場合においても、ガスバリア性が低下しにくいため、素子等が劣化しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のガスバリア性粘着シートの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を、1)ガスバリア性粘着シート、2)ガスバリア性粘着シートの製造方法、及び、3)ガスバリア性粘着シートを備える電子部材又は光学部材、に項分けして詳細に説明する。
【0017】
1)ガスバリア性粘着シート
本発明のガスバリア性粘着シートは、ガスバリア層及び粘着剤層をそれぞれ少なくとも1層有するガスバリア性粘着シートであって、前記粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率が1.5×10〜1.0×10Paの範囲であり、基材層を有しないことを特徴とする。
なお、本明細書において「シート」には、短冊状のもののみならず、長尺状(帯状)のものも含まれる。
【0018】
(ガスバリア層)
本発明のガスバリア性粘着シートのガスバリア層は、酸素や水蒸気の透過を抑制する特性(以下、「ガスバリア性」ともいう)を有する層である。
本発明のガスバリア性粘着シートのガスバリア層の水蒸気透過率は、40℃、相対湿度90%雰囲気下で、通常1.0g/m/day以下であり、好ましくは0.8g/m/day以下であり、より好ましくは0.5g/m/day以下であり、さらに好ましくは0.1g/m/day以下である。本発明においては、ガスバリア層の水蒸気透過率は、実質上、粘着性シートの水蒸気透過率の値と見なすものとする。粘着性シートの水蒸気透過率は、公知のガス透過率測定装置を使用して測定することができる。具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
【0019】
ガスバリア層の厚みは、ガスバリア性と取り扱い性の観点から、通常、10〜2000nm、好ましくは20〜1000nm、より好ましくは30〜500nm、さらに好ましくは40〜200nmの範囲である。
【0020】
ガスバリア層は、ガスバリア性を有する限り、材質等は特に制限されない。例えば、無機蒸着膜からなるガスバリア層、ガスバリア性樹脂を含むガスバリア層、高分子化合物を含む層にイオンを注入して得られるガスバリア層等が挙げられる。
これらの中でも、薄く、ガスバリア性に優れる層を効率よく形成できることから、無機蒸着膜からなるガスバリア層、及び高分子化合物を含む層にイオンを注入して得られるガスバリア層が好ましい。
【0021】
無機蒸着膜としては、無機化合物や金属の蒸着膜が挙げられる。
無機化合物の蒸着膜の原料としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ等の無機酸化物;窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン等の無機窒化物;無機炭化物;無機硫化物;酸化窒化ケイ素等の無機酸化窒化物;無機酸化炭化物;無機窒化炭化物;無機酸化窒化炭化物等が挙げられる。
金属の蒸着膜の原料としては、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、及びスズ等が挙げられる。
これらは、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
これらの中でも、ガスバリア性の点から、無機酸化物、無機窒化物又は金属を原料とする無機蒸着膜が好ましく、さらに、透明性の点から、無機酸化物又は無機窒化物を原料とする無機蒸着膜が好ましい。また、無機蒸着膜は、単層でもよく、多層でもよい。
【0023】
無機蒸着膜の厚みは、ガスバリア性と取り扱い性の観点から、好ましくは10〜2000nm、より好ましくは20〜1000nm、より好ましくは30〜500nm、さらに好ましくは40〜200nmの範囲である。
【0024】
無機蒸着膜を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法や、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等のCVD法が挙げられる。
【0025】
前記ガスバリア性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、又はその部分ケン化物、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の、酸素や水蒸気等を透過しにくい樹脂が挙げられる。
【0026】
ガスバリア性樹脂を含むガスバリア層の厚みは、ガスバリア性の観点から、好ましくは10〜2000nm、より好ましくは20〜1000nm、より好ましくは30〜500nm、さらに好ましくは40〜200nmの範囲である。
【0027】
ガスバリア性樹脂を含むガスバリア層を形成する方法としては、ガスバリア性樹脂を含む溶液を、所定の層上に塗布し、得られた塗膜を適宜乾燥する方法が挙げられる。
【0028】
樹脂溶液の塗布方法は特に限定されず、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等の公知の塗布方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等、従来公知の乾燥方法を利用することができる。
【0029】
高分子化合物を含む層にイオン注入して得られるガスバリア層において、用いる高分子化合物としては、例えば、ケイ素系高分子化合物、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系ポリマー、芳香族系重合体、及びこれらの高分子の二種以上の組合せ等が挙げられる。これらの中でも、ケイ素系高分子化合物が好ましい。
【0030】
ケイ素系高分子化合物を含む層としては、ポリシラザン化合物、ポリカルボシラン化合物、ポリシラン化合物、及びポリオルガノシロキサン化合物等を用いて得られる層が挙げられる(特開平10−245436号公報、特表2003−514822号公報、特開2005−36089号公報、特開2008−63586号公報、特開2009−235358号公報、特開2009−286891号公報、特開2010−106100号公報、特開2010-229445号公報、特開2010−232569号公報、特開2010−238736号公報等参照)。
【0031】
高分子化合物を含む層は、原料に応じて、上記の無機蒸着膜からなるガスバリア層やガスバリア性樹脂を含むガスバリア層の形成方法と同様の方法により、形成することができる。
【0032】
高分子化合物を含む層の厚みは、ガスバリア性と取り扱い性の観点から、好ましくは10〜2000nm、より好ましくは20〜1000nm、より好ましくは30〜500nm、さらに好ましくは40〜200nmの範囲である。
【0033】
高分子化合物を含む層に注入されるイオンとしては、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスのイオン;フルオロカーボン、水素、窒素、酸素、二酸化炭素、塩素、フッ素、硫黄等のイオン;金、銀、銅、白金、ニッケル、パラジウム、クロム、チタン、モリブデン、ニオブ、タンタル、タングステン、アルミニウム等の金属のイオン等が挙げられる。
【0034】
これらの中でも、より簡便に注入することができ、優れたガスバリア性と透明性を有するガスバリア層が得られることから、水素、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノン、及びクリプトンからなる群から選ばれる少なくとも一種のイオンが好ましい。
【0035】
イオンの注入量やイオンが注入される部分の厚みは、ガスバリア層の厚み、ガスバリア性粘着シートの使用目的等を考慮して適宜決定することができる。
イオンが注入される部分の厚みは、通常、イオンが注入される面から10〜1000nm、好ましくは10〜200nmである。その厚みは、イオンの種類や印加電圧、処理時間等の注入条件により制御することができる。
【0036】
イオンを注入する方法としては、電界により加速されたイオン(イオンビーム)を照射する方法、プラズマ中のイオンを注入する方法(プラズマイオン注入法)等が挙げられる。これらの中でも、簡便に優れたガスバリア性等を有するガスバリア性粘着シートが得られることから、プラズマイオン注入法が好ましい。
【0037】
プラズマイオン注入法は、例えば、プラズマ生成ガスを含む雰囲気下でプラズマを発生させ、高分子化合物を含む層に負の高電圧パルスを印加することにより、該プラズマ中のイオン(陽イオン)を、高分子化合物を含む層の表面部に注入して行うことができる。
【0038】
(粘着剤層)
本発明のガスバリア性粘着シートにおける粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率は、1.5×10〜1.0×10Paの範囲であり、5.0×10〜1.0×10Paが好ましく、6.0×10〜1.0×10Paの範囲がより好ましい。
【0039】
粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率が上記範囲の下限値未満のときは、粘着力が低く、耐折り曲げ性、耐熱性、耐湿性が低下するおそれがある。このため、ガスバリア性粘着シートや、これを備える電子部材や光学部材を、丸めたり折り曲げたりしたときに、粘着剤層と他の層との界面で剥離しやすくなる。
一方、粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率が上記範囲の上限値を越えると、粘着剤層のタックが得られにくく、粘着力が発現しないおそれがある。このため、ガスバリア性粘着シートを被着体に貼付することが困難となる。また、ガスバリア性粘着シートを、丸めたり折り曲げたりしたときに、粘着剤層にクラックが生じ、耐折り曲げ性が低下する。
【0040】
また、粘着剤層の80℃における貯蔵弾性率は、8.0×10〜1.0×10Paが好ましく、1.0×10〜8.0×10Paがより好ましく、2.0×10〜5.0×10Paの範囲がさらに好ましい。
粘着剤層の80℃における貯蔵弾性率が上記範囲内であれば、ガスバリア性粘着シートや、これを備える電子部材や光学部材を高温又は高湿条件下等においたときに、粘着剤層の界面が剥離するのを防ぐことができる。
粘着剤層の貯蔵弾性率は、JIS K7244に準拠して、動的粘弾性測定装置を用いて、ねじりせん断法により、周波数1Hzで測定した値である。
【0041】
粘着剤層の厚みは、ガスバリア性粘着シートの使用目的等を考慮して適宜選定することができる。その厚みは、通常、0.1〜1000μm、好ましくは0.5〜500μm、より好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは1〜10μmである。
0.1μm以上であれば、十分な粘着力を有するガスバリア性粘着シートが得られる。1000μm以下であれば、ガスバリア性粘着シートの折り曲げ性が良好であり、また、生産性や取り扱い性の点で有利である。
【0042】
粘着剤に含まれる高分子成分のガラス転移温度(Tg)は、−50〜+10℃の範囲が好ましく、−40〜+10℃の範囲がより好ましく、−10〜0℃の範囲がさらに好ましい。
前記高分子成分のガラス転移温度が上記範囲内であれば、常温でタックを有する粘着剤層が得られ易くなるため、ガスバリア性粘着シートを常温付近の温度で被着体に容易に貼着することができる。このため、ガスバリア性粘着シートを貼着する時に加熱する必要がなく、加熱が原因で、電子部材や光学部材の透明性が低下したり、被着体の反りが発生するという問題が解消される。
【0043】
粘着剤に含まれる高分子成分の質量平均分子量(Mw)は、通常、100,000〜3,000,000、好ましくは200,000〜2,000,000、より好ましくは500,000〜2,000,000の範囲である。
質量平均分子量(Mw)がこの範囲であれば、粘着力と凝集力とのバランスに優れ、かつ、柔軟性を保ちながら、被着体に対する十分なアンカー効果を有する粘着剤層が得られ易くなる。このため、耐久性(耐折り曲げ性、耐熱性、耐湿性)、及び被着体との密着性により優れるガスバリア性粘着シートが得られる。
【0044】
粘着剤に含まれる高分子成分の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは、1.0〜5.0、より好ましくは、2.0〜4.5の範囲である。
分子量分布が、上記範囲の上限値以下であることで、低分子量成分が少なくなり、耐折り曲げ性や耐高温湿熱性に、より優れるガスバリア性粘着シートを得ることができる。
なお、上記質量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
【0045】
粘着剤に含まれる高分子成分は、目的の粘着剤層を形成できる限り、特に制限されない。このような高分子成分を含む粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の公知の粘着剤が挙げられる。なかでも、粘着力、取り扱い性の点から、アクリル系粘着剤が好ましい。
【0046】
アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体を主成分するものが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体としては、(メタ)アクリル酸エステル単独重合体、2種以上の(メタ)アクリル酸エステル単位を含む共重合体、及び(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体との共重合体が挙げられる。
【0047】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体の共重合形態については特に制限はなく、ランダム、ブロック、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
これらの(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸又はメタクリル酸を表し、「(共)重合体」は、単独重合体又は共重合体を表す。
【0048】
(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体を合成する際に用いる(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0049】
(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体との共重合体を合成する際に用いる他の単量体としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の架橋性官能基を有する単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリド等のハロゲン化オレフィン類;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系モノマー;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類;等が挙げられる。
【0050】
前記架橋性官能基を有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のモノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸;等が挙げられる。
これらは一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体中の、他の単量体由来の繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位に対して、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜7.0質量%の範囲である。
この単量体単位の含有量が0.01質量%以上であることで、後述する架橋剤との反応により、十分に架橋させることができ、耐久性により優れる粘着剤層が得られる。一方、10質量%以下であると、架橋度が高くなりすぎないため、被着体に対する十分な貼着適性を有する粘着剤層を得ることができる。
【0052】
(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体は、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等の公知の重合方法により得ることができる。
【0053】
粘着剤成分として、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体を用いる場合は、架橋剤を併用してもよい。
【0054】
架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等、あるいは、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート等のそれらのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤;エチレングリコールグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤;ヘキサ〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕トリフオスファトリアジン等のアジリジン系架橋剤;アルミニウムキレート等のキレート系架橋剤;等が挙げられる。
これらは一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
架橋剤の使用量は、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体100質量部に対して通常0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部である。
【0055】
ゴム系粘着剤としては、天然ゴム、天然ゴムに(メタ)アクリル酸アルキルエステル、スチレン、(メタ)アクリロニトリルから選ばれる1種又は2種以上の単量体をグラフト重合させた変性天然ゴム系粘着剤;イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム、ウレタンゴム、ポリイソブチレン系樹脂、ポリブテン樹脂等からなるゴム系粘着剤;等が挙げられる。これらの中でもポリイソブチレン系樹脂が好ましい。
シリコーン系粘着剤としては、ジメチルシロキサンを主成分とするものが挙げられる。
【0056】
本発明に用いる粘着剤は、活性エネルギー線硬化型化合物を含有してもよい。活性エネルギー線硬化型化合物を含有することにより、高温(80℃)における粘着剤層の貯蔵弾性率が低下し難く、ガスバリア性粘着シートやこれを備える電子部材や光学部材を高温または高湿条件下に置いた時に、より効果的に、粘着剤層の界面が剥離するのを防ぐことができる。
活性エネルギー線硬化型化合物としては、多官能(メタ)アクリレート系モノマーや、活性エネルギー線硬化型のアクリレート系オリゴマー、(メタ)アクリロイル基を有する基が側鎖に導入されたアダクトアクリレート系ポリマー等が挙げられる。
これらは一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
多官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、ジ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレートなどの2官能型;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレートなどの3官能型;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能型;プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの5官能型;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの6官能型;等が挙げられる。
これらは一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0058】
これらの中でも、分子内に環状構造を有するものが好ましい。環状構造は、炭素環式構造でも複素環式構造でもよく、また、単環式構造でも多環式構造でもよい。
分子内に環状構造を有する多官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、ジ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレートなどのイソシアヌレート構造を有するもの;ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート;エチレンオキサイド変性ヘキサヒドロフタル酸ジアクリレート;トリシクロデカンジメタノールアクリレート;ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート;アダマンタンジアクリレート;などが挙げられる。
上記多官能(メタ)アクリレート系モノマーの分子量は、1000未満が好ましい。
【0059】
活性エネルギー線硬化型のアクリレート系オリゴマーとしては、ポリエステルアクリレート系オリゴマー、エポキシアクリレート系オリゴマー、ウレタンアクリレート系オリゴマー、ポリオールアクリレート系オリゴマー、ポリブタジエンアクリレート系オリゴマー、シリコーンアクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。
【0060】
ポリエステルアクリレート系オリゴマーとしては、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得られる化合物などが挙げられる。
エポキシアクリレート系オリゴマーとしては、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応させてエステル化することにより得られる化合物などが挙げられる。
また、このエポキシアクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシアクリレートオリゴマーも用いることができる。
【0061】
ウレタンアクリレート系オリゴマーとしては、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得られる化合物などが挙げられる。
ポリオールアクリレート系オリゴマーとしては、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得られる化合物などが挙げられる。
ポリブタジエンアクリレート系オリゴマーとしては、ポリブタジエンオリゴマーの末端または側鎖にアクリレート基をもつアクリレート系オリゴマーが挙げられる。
シリコーンアクリレート系オリゴマーとしては、主鎖にポリシロキサン結合を有するアクリレート系オリゴマーが挙げられる。
これらのアクリレート系オリゴマーは、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
上記アクリレート系オリゴマーの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは50,000以下、より好ましくは500〜50,000、さらに好ましくは3,000〜40,000の範囲である。質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
【0063】
(メタ)アクリロイル基を有する基が側鎖に導入されたアダクトアクリレート系ポリマーとしては、上述の(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体において説明した(メタ)アクリル酸エステルと、分子内に架橋性官能基を有する単量体との共重合体を用い、該共重合体の架橋性官能基の一部に、(メタ)アクリロイル基及び架橋性官能基と反応する基を有する化合物を反応させることにより得ることができる。
このようなアダクトアクリレート系ポリマーの質量平均分子量(Mw)は、100,000〜2,000,000の範囲が好ましい。質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
【0064】
樹脂成分と、活性エネルギー線硬化型化合物の含有割合は、質量比(樹脂成分:活性エネルギー線硬化型化合物)で、好ましくは100:1〜100:100、より好ましくは100:5〜100:50、さらに好ましくは100:10〜100:20の範囲である。
【0065】
また、活性エネルギー線硬化型化合物を含む粘着剤においては、所望により光重合開始剤を含有させることができる。
【0066】
光重合開始剤としては、例えば、ベンソイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
これらは、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0067】
光重合開始剤の配合量は、前記活性エネルギー線硬化型化合物100質量部に対して、通常0.2〜20質量部の範囲である。
【0068】
照射する活性エネルギー線としては、紫外線や電子線などが挙げられ、紫外線が好ましい。
紫外線を照射する場合は、高圧水銀ランプ、無電極ランプ、キセノンランプなどを用いることができる。照射量は、通常、照度50〜1000mW/cm、光量50〜3000mJ/cmの範囲ある。
照射時間は、通常、0.1〜1000秒、好ましくは1〜500秒、更に好ましくは10〜100秒である。紫外線照射工程の熱負荷を考慮して前述の光量を満たすために、複数回照射しても構わない。
【0069】
電子線を照射する場合は、電子線加速器などを用いることができる。照射量は、通常10〜1000kradの範囲である。
照射時間は、通常、0.1〜1000秒、好ましくは1〜500秒、更に好ましくは10〜100秒である。
なお、電子線を使用する場合は、光重合開始剤を添加することなく、粘着剤層を形成することができる。
【0070】
本発明に用いる粘着剤は、シランカップリング剤やアルコキシ金属化合物等を含有してもよい。
シランカップリング剤やアルコキシ金属化合物を含有させることにより、特に、ガスバリア層の材料として珪素含有化合物を用いた場合や、被着体がガラス表面である場合に、粘着剤層とガスバリア層との間、粘着剤層と被着体との間の密着性がより良好となる。
【0071】
シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物;3−クロロプロピルトリメトキシシラン;等が挙げられる。
アルコキシ金属化合物としては、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等が挙げられる。
これらは、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0072】
シランカップリング剤やアルコキシ金属化合物の添加量は、粘着剤の固形分100質量部に対し、0.001〜10質量部の範囲が好ましく、0.005〜5質量部の範囲がより好ましい。
【0073】
本発明に用いる粘着剤は、さらに各種添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、光安定剤、酸化防止剤、粘着付与剤、可塑剤、紫外線吸収剤、着色剤、樹脂安定剤、充てん剤、顔料、増量剤、帯電防止剤等が挙げられる。
【0074】
粘着剤層を形成する方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
例えば、粘着剤、及び、所望により、溶剤等を含む粘着剤層形成用溶液を公知の塗工方法により塗布し、得られた塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱や活性エネルギー線を照射して形成する方法が挙げられる。
塗布及び乾燥方法としては、ガスバリア層の形成方法の中で挙げた方法を用いることができる。
【0075】
(ガスバリア性粘着シート)
本発明のガスバリア性粘着シートは、ガスバリア層及び粘着剤層をそれぞれ少なくとも1層有し、粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率が、1.5×10〜1.0×10Paの範囲であり、かつ、基材層を有しないことを特徴とする。
【0076】
本発明において、「基材層」とは、ガスバリア層及び粘着剤層等を積層して、支持性を付与するフィルム状の材料である。具体的には、厚みが10μm以上の紙やプラスチックフィルム(要件1)や、23℃における引張弾性率が200〜5000MPaのプラスチックフィルム(要件2)等をいい、基材層が単層の状態でハンドリングができ、ガスバリア層及び粘着剤層等の支持体となる層のことである。
【0077】
ここで、「基材層を有しない」とは、ガスバリア性粘着シートを構成する層(ただし、剥離シートを除く)のいずれもが、上記の要件1および要件2を満たさないことを意味する。また、後述する「その他の層」は、「基材層」には含まれないものとする。
「基材層を有しない」とは、より具体的には、使用状態において、ガスバリア性粘着シート中に基材層が含まれないことをいう。例えば、ガスバリア性粘着シートが後述する剥離シートを有している場合、ガスバリア性粘着シートを被着体に貼着した状態(使用状態)においては、剥離シートは剥離されるため、剥離シート中にのみ基材層が含まれるガスバリア性粘着シートは、「基材層を有しないガスバリア性粘着シート」に該当する。
なお、23℃における引張弾性率は、公知の方法で測定することができる。
【0078】
また、本発明のガスバリア性粘着シートは、ガスバリア性粘着シートの取り扱い性の観点から、実質的な厚みが0.5μm以上50μm以下であることが好ましく、1〜40μmの範囲が好ましく、1〜30μmの範囲がより好ましく、1〜10μmの範囲がさらに好ましい。
なお、「実質的な厚み」とは、使用状態における厚みをいう。すなわち、本発明のガスバリア性粘着シートは、後述するように、被着体に貼着されるまでは剥離シート等を有していてもよいが、貼着前に除去される部分(剥離シート等)の厚みは、「実質的な厚み」には含まれない。
【0079】
ガスバリア性粘着シートの「実質的な厚み」は、公知の測定装置を用いて測定することができ、例えば、実施例に記載の装置を用いて測定することができる。
ガスバリア性粘着シートが剥離シートを有している場合は、剥離シート付きのガスバリア性粘着シートの厚みを測定し、その後、剥離シートを剥離して該剥離シートの厚みを測定し、剥離シート付きのガスバリア性粘着シートの厚みから該剥離シートの厚みを差し引くことで、ガスバリア性粘着シートの「実質的な厚み」を算出することができる。
【0080】
本発明のガスバリア性粘着シートは、ガスバリア層及び粘着剤層以外に、保護層、導電体層等のその他の層を有していてもよい。「その他の層」は、使用状態において、除去されずにガスバリア性粘着シート中にそのまま残存し(すなわち、ガスバリア性粘着シートに含まれ)、本発明のガスバリア性粘着シートに各種性能を付与するものである。従って、その他の層は、「基材層」には含まれない。
【0081】
(保護層)
本発明のガスバリア性粘着シートは、保護層を有していてもよい。保護層は、外部から衝撃が加わったときに、ガスバリア層を保護する役割を有する層である。
保護層が積層される位置は、特に限定されないが、ガスバリア層に隣接して積層されることが好ましい。
保護層としては、透明性がよく、耐擦傷性が良好なものが好ましい。また、電子デバイスや光学デバイスに組み込まれた際に保護層が最表面に配置される場合には、防汚性、耐指紋付着防止性、帯電防止性、撥水性、親水性などの機能を具備することが好ましい。
【0082】
保護層の厚みは、ガスバリア性粘着シートの使用目的等を考慮して適宜選択することができる。その厚みは、通常、0.05〜10μm、好ましくは0.1〜8.0μm、より好ましくは0.2〜5.0μm、さらに好ましくはm0.2〜1.0μmである。
0.05μm以上であれば、耐擦傷性が十分なものになる。10μm以下であれば、硬化時の歪みによるカールが生じにくい。
【0083】
保護層の表面粗さRa(算術平均粗さ)は、10.0nm以下が好ましく、8.0nm以下がより好ましい。また、表面粗さRt(最大断面高さ)は、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましい。
表面粗さRa及びRtが、それぞれ、10.0nm、100nmを超えると、ガスバリア層及び粘着剤層の表面粗さが大きくなり、ガスバリア性粘着シートのガスバリア性が低下するおそれがある。
なお、表面粗さRa及びRtは、100μm□のサンプルを用いて、光干渉法により得られた値である。
【0084】
保護層の材料は特に制限されず、公知のものが使用できる。例えば、ケイ素含有化合物;光重合性モノマー及び/又は光重合性プレポリマーからなる光重合性化合物、及び少なくとも可視光域の光でラジカルを発生する重合開始剤を含む重合性組成物;ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂(特にポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等とイソシアネート化合物との2液硬化型樹脂)、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等の樹脂類;アルキルチタネート;エチレンイミン;等が挙げられる。
これらは、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0085】
なかでも、保護層の材料としては、透明性や耐擦傷性に優れるという点から、光重合性モノマー及び/又は光重合性プレポリマーからなる光重合性化合物、及び少なくとも可視光域の光でラジカルを発生する重合開始剤を含む重合性組成物が好ましい。
【0086】
光重合性化合物及び重合開始剤としては、粘着剤の項で例示した活性エネルギー線硬化型化合物及び光重合開始剤等を用いることができる。
【0087】
保護層は、前記材料を適当な溶剤に溶解又は分散させてなる保護層形成用溶液を、公知の方法により塗布し、得られた塗膜を乾燥させ、所望により、加熱又は光照射することより形成することができる。
塗布及び乾燥方法としては、ガスバリア層の形成方法の中で挙げた方法を用いることができる。
【0088】
(導電体層)
本発明のガスバリア性粘着シートは、導電体層を有していてもよい。導電体層とは、導電性を有する層であって、電子部材等において、電極として利用したり、帯電防止性や放熱性を向上させるために設けられる層である。
導電体層が積層される位置は、本発明のガスバリア性粘着シートが使用される目的に応じて選択することができ、特に限定されない。
導電体層の表面抵抗率は、1000Ω/□以下が好ましく、より好ましくは200Ω/□以下である。
導電体層の厚みは、ガスバリア性粘着シートの使用目的等を考慮して適宜選択することができる。その厚みは、通常、10nmから9μm、好ましくは20nmから1.0μmである。
【0089】
導電体層の材料としては、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物等が挙げられる。具体的には、アンチモンをドープした酸化スズ(ATO);フッ素をドープした酸化スズ(FTO);酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の金属酸化物;金、銀、クロム、ニッケル等の金属;これら金属と金属酸化物との混合物;ヨウ化銅、硫化銅等の無機導電性物質;ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の有機導電性材料;等が挙げられる。
これらの中でも、透明性の点から、金属酸化物が好ましく、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の酸化インジウム系や酸化亜鉛系の金属酸化物が特に好ましい。
【0090】
導電体層の形成方法としては、例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、プラズマCVD法等が挙げられる。これらの中でも、簡便に導電体層が形成できることから、スパッタリング法が好ましい。
【0091】
形成された導電体層には、必要に応じてパターニングを行ってもよい。パターニングする方法としては、フォトリソグラフィー等による化学的エッチング、レーザ等を用いた物理的エッチング等、マスクを用いた真空蒸着法や、スパッタリング法、リフトオフ法、印刷法等が挙げられる。
【0092】
(剥離シート)
本発明のガスバリア性粘着シートは、剥離シートを有していてもよい。剥離シートは、ガスバリア性粘着シートの最外層に積層され、ガスバリア性粘着シートを保存、運搬等する際に、粘着剤層や、ガスバリア層、また上述したその他の層を保護する役割や、ガスバリア性粘着シートの使用時の直前まで、支持性を付与する役割を有し、貼着前に剥離される。
【0093】
本発明のガスバリア性粘着シートは、片面に剥離シートを有するものであってもよく、両面に、第1の剥離シートおよび第2の剥離シートの2種類の剥離シートを有するものであってもよい。後者の場合は、2種類の剥離シートを用いて、先に剥離する剥離シートをより剥離しやすいものにするのが好ましい。
また、後述するように、本発明のガスバリア性粘着シートの製造方法においては、ガスバリア層や粘着剤層を形成する際に利用される。
【0094】
剥離シートは、紙やプラスチックフィルム等の剥離基材に剥離剤を塗布し剥離剤層を設けたものである。
剥離基材としては、グラシン紙、コート紙、上質紙等の紙基材;これらの紙基材にポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙;上記基材に、セルロース、デンプン、ポリビニルアルコール、アクリル−スチレン樹脂等で目止め処理を行った紙基材;あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムやポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム等のプラスチックフィルム等が挙げられる。
【0095】
剥離剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂;イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー;長鎖アルキル系樹脂;アルキド系樹脂;フッ素系樹脂;シリコーン系樹脂;等を含むものが挙げられる。
【0096】
剥離剤層の厚みは、特に制限されないが、剥離剤を溶液状態で塗工する場合は好ましくは0.02〜2.0μm、より好ましくは0.05〜1.5μmである。
【0097】
剥離シートの表面粗さRaは、10.0nm以下が好ましく、8.0nm以下がより好ましい。また、表面粗さRtは、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましい。
表面粗さRa及びRtが、それぞれ、10.0nm、100nmを超えると、積層されるガスバリア層又は粘着剤層の表面粗さが大きくなり、ガスバリア性粘着シートのガスバリア性が低下するおそれがある。
特に、後述するガスバリア性粘着シートの製造方法において、剥離シート上にガスバリア層又は粘着剤層を形成する工程で、ガスバリア層又は粘着剤層に、剥離剤層の表面粗さが転写されやすいため、剥離シートの表面粗さRa及びRtが上記の範囲内であることが好ましい。
なお、この表面粗さの測定条件は、先に保護層の表面粗さに関して説明したものと同じである。
【0098】
本発明のガスバリア性粘着シートは、上記条件を満たす限り、積層する順序、積層数は特に制限はなく、図1(a)に示すように片面のみが粘着剤層面となっていてもよく、図1(b)に示すように両面が粘着剤層面となっていても、図1(c)に示すように保護層を有していてもよい。また、図1(d)に示すように、ガスバリア層や保護層を2層以上有していてもよい。
これらのガスバリア性粘着シートの中でも、ガスバリア性に優れることから、ガスバリア層を2層以上含むものが好ましい。
【0099】
図1(a)に示すガスバリア性粘着シート5Aは、ガスバリア層1と、ガスバリア層1に隣接する粘着剤層2と、粘着剤層2の外側表面に隣接する剥離シート3aと、ガスバリア層1の外側表面に隣接する剥離シート3bとからなる。
【0100】
図1(b)に示すガスバリア性粘着シート5Bは、粘着剤層2a、ガスバリア層1、粘着剤層2bの順に積層された積層体と、粘着剤層2aの外側表面に隣接する剥離シート3aと、粘着剤層2bの外側表面に隣接する剥離シート3bとからなる。
【0101】
図1(c)に示すガスバリア性粘着シート5Cは、粘着剤層2a、ガスバリア層1、保護層4の順に積層された積層体と、粘着剤層2aの外側表面に隣接する剥離シート3aと、保護層4の外側表面に隣接する剥離シート3bとからなる。
【0102】
図1(d)に示すガスバリア性粘着シート5Dは、粘着剤層2a、保護層4a、ガスバリア層1a、粘着剤層2b、保護層4b、ガスバリア層1b、粘着剤層2cの順に積層された積層体と、粘着剤層2aの外側表面に隣接する剥離シート3aと、粘着剤層2cの外側表面に隣接する剥離シート3bとからなる。
【0103】
導電体層や保護層を含むガスバリア性粘着シートとしては、例えば、(導電体層/ガスバリア層/粘着剤層)、(導電体層/保護層/ガスバリア層/粘着剤層)、(粘着剤層/保護層/ガスバリア層/粘着剤層)、(粘着剤層/ガスバリア層/粘着剤層/ガスバリア層/粘着剤層)、(保護層/ガスバリア層/粘着剤層/ガスバリア層/粘着剤層)、(保護層/ガスバリア層/粘着剤層/保護層/ガスバリア層/粘着剤層)等の層構成を有するものが挙げられる。
なお、上記構成は、使用時の構成(剥離シートを除いたもの)を表すものである。
【0104】
本発明のガスバリア性粘着シートが優れたガスバリア性を有していることは、本発明のガスバリア性粘着シートの水蒸気透過率が小さいことから確認することができる。
水蒸気透過率は、40℃、相対湿度90%雰囲気下で、通常1.0g/m/day以下であり、好ましくは0.8g/m/day以下であり、より好ましくは0.5g/m/day以下であり、さらに好ましくは0.1g/m/day以下である。なお、水蒸気透過率は、公知のガス透過率測定装置を使用して測定することができる。
【0105】
本発明のガスバリア性粘着シートは、折り曲げたり、高温・高湿下に長時間置かれた後であっても、粘着剤層と他の層との界面で剥離しにくく、またフクレや浮きなどが発生しにくく、耐折り曲げ性、耐熱性、耐湿性に優れる。
【0106】
本発明のガスバリア性粘着シートは、軽量で、かつガスバリア性に優れるため、粘着剤層を介して、電子部材、光学部材、飲食品や医薬品の包装材等を被着体として貼着することで、被着体の外観を損なわず、被着体にガスバリア性等の各種性能を容易に付与することができる。したがって、本発明のガスバリア性粘着シートは、電子部材用、光学部材用、飲食品や医薬品の包装材用のガスバリア性粘着シートとして用いることができる。なかでも、電子部材用、光学部材用として好ましく用いられ、特に、フレキシブルディスプレイ基板等の可撓性が求められる電子部材用、液晶表示素子用プラスチック基板等の耐熱性、耐湿性が求められる電子部材用として好ましく用いられる。
【0107】
2)ガスバリア性粘着シートの製造方法
本発明のガスバリア性粘着シートを製造する方法は特に制限されず、従来公知の方法を採用することができる。なかでも、ガスバリア性粘着シートを効率よく、容易に製造出来るという点から、剥離シートを用いる方法が好ましい。
【0108】
本発明のガスバリア性粘着シートの製造方法は、剥離シートの剥離性を有する面上に、粘着剤層又はガスバリア層を形成する工程を有することを特徴とする。
本発明のガスバリア性粘着シートの製造方法は、以下の工程1〜3を有することが好ましい。
工程1:第1の剥離シートの剥離性を有する面上に、ガスバリア層を形成して、ガスバリア層付き剥離シートを得る工程
工程2:第2の剥離シートの剥離性を有する面上に、粘着剤層を形成して、粘着剤層付き剥離シートを得る工程
工程3:前記ガスバリア層付き剥離シートと粘着剤層付き剥離シートとを、前記ガスバリア層と前記粘着剤層とが対向するように貼り合わせる工程
【0109】
例えば、図1(a)に示すガスバリア性粘着シート5Aは、以下の工程A1〜A3により得ることができる。
工程A1:第1の剥離シートの剥離層面にガスバリア層を形成して、ガスバリア層付き剥離シートを得る工程(工程1)
工程A2:第2の剥離シートの剥離層面に粘着剤層を形成して、粘着剤層付き剥離シートを得る工程(工程2)
工程A3:粘着剤層付き剥離シートの粘着剤層とガスバリア層付き剥離シートのガスバリア層とを貼り合わせる工程(工程3)
【0110】
図1(b)に示すガスバリア性粘着シート5Bは、以下の工程B1及びB2により得ることができる。
工程B1:剥離シートの剥離層面に粘着剤層を形成して、粘着剤層付き剥離シートを得る工程(工程2)
工程B2:前記工程A1〜A3により得られたガスバリア性粘着シートのガスバリア層側の剥離シートを剥離し、露出したガスバリア層と、工程B1で得られた粘着剤層付き剥離シートの粘着剤層とを貼り合わせる工程(工程1、工程3)
【0111】
図1(c)に示すガスバリア性粘着シート5Cは、以下の工程C1〜C4により得ることができる。
工程C1:第1の剥離シートの剥離層面に保護層を形成して、保護層付き剥離シートを得る工程
工程C2:工程C1により得られた保護層付き剥離シートの保護層上に、ガスバリア層を形成する工程(工程1)
工程C3:第2の剥離シートの剥離層面に粘着剤層2aを形成して、粘着剤層付き剥離シートを得る工程(工程2)
工程C4:工程C2で形成されたガスバリア層と工程C3で形成された粘着剤層とを貼り合わせる工程(工程3)
【0112】
図1(d)に示すガスバリア性粘着シート5Dは、以下の工程D1〜D3により得ることができる。
工程D1:第1の剥離シートの剥離層面に粘着剤層を形成して、粘着剤層付き剥離シートを得る工程(工程2)
工程D2:前記工程C1〜C4によりガスバリア性粘着シートを2つ作製し、第1のガスバリア性粘着シートの粘着剤層側の剥離シートと、第2のガスバリア性粘着シートの保護層側の剥離シートをそれぞれ剥離し、第1のガスバリア性粘着シートの粘着剤層と第2のガスバリア性粘着シートの保護層とを貼り合わせて、(剥離シート/保護層/ガスバリア層/粘着剤層/保護層/ガスバリア層/粘着剤層/剥離シート)の構成の積層体を作製する工程(工程1、工程3)
工程D3:工程D2により得られた積層体の保護層側の剥離シートを剥離し、露出した保護層と工程D1で得られた粘着剤層付き剥離シートの粘着剤層とを貼り合わせる工程
【0113】
本発明のガスバリア性粘着シートの製造方法を用いることにより、本発明のガスバリア性粘着シートを効率よく製造することができる。
【0114】
3)ガスバリア性粘着シートを備える電子部材又は光学部材
本発明の電子部材及び光学部材は、上記のガスバリア性粘着シートを備えることを特徴とする。
電子部材としては、例えば、液晶ディスプレイ部材、有機ELディスプレイ部材、無機ELディスプレイ部材、電子ペーパー部材、太陽電池、熱電変換部材等のフレキシブル基板等が挙げられる。
光学部材としては、例えば、光学フィルター、波長変換デバイス、調光デバイス、偏光板、位相差板の光学部材等が挙げられる。
【0115】
本発明の電子部材及び光学部材は、本発明のガスバリア性粘着シートが粘着剤層を介して積層されているため、ガスバリア性に優れ、水蒸気等のガスの浸入を防ぐことができる。
また、本発明の電子部材及び光学部材は、軽量で薄型化が図られており、かつ、耐久性が高く、丸めたり折り曲げたりした場合や、高温条件下や高湿条件下で用いる場合においても、ガスバリア性粘着シートが剥がれず、ガスバリア性が低下しにくいものである。
【実施例】
【0116】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例になんら限定されるものではない。
【0117】
〔粘着剤層形成用溶液の調製〕
以下のようにして、粘着剤層形成用溶液A〜Hを調製した。
粘着剤層形成用溶液の調製に用いた、粘着剤、架橋剤、シランカップリング剤、光重合開始剤は、次の通りである。
【0118】
(1)粘着剤
・アクリル系共重合体A
n−ブチルアクリレートとアクリル酸とを、n−ブチルアクリレート:アクリル酸(質量比)=95:5で重合させて得られたアクリル酸エステル系共重合体(質量平均分子量 約120万)
・アクリル系共重合体B
n−ブチルアクリレートとアクリル酸とを、n−ブチルアクリレート:アクリル酸(質量比)=95:5で重合させて得られたアクリル酸エステル系共重合体(質量平均分子量 約150万)
・アクリル系共重合体C
n−ブチルアクリレートとアクリル酸とを、n−ブチルアクリレート:アクリル酸(質量比)=99:1で重合して得られたアクリル酸エステル系共重合体(質量平均分子量 約5万)
・アクリル系共重合体D
n−ブチルアクリレートと2−ヒドロキシエチルアクリレートとを、n−ブチルアクリレート:2−ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=99.9:0.1で重合させて得られたアクリル酸エステル系共重合体(質量平均分子量 約20万)
・ゴム系粘着剤
商品名「TN−286」、松村石油化学社製
・シリコ−ン系粘着剤
商品名「SD−4580」、東レダウコーニング社製
【0119】
(2)架橋剤
・架橋剤A:トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート、商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン工業社製
(3)シランカップリング剤
・シランカップリング剤A:商品名「KBM403」、信越化学工業社製
(4)光重合開始剤
・光重合開始剤A:商品名「イルガキュア127」、チバ・スペシャルケミカルズ社製
・光重合開始剤B:商品名「イルガキュア500」、チバ・スペシャルケミカルズ社製
(5)エネルギー線硬化型樹脂
・エネルギー線硬化型樹脂A:商品名「M315」、東亜合成社製
・エネルギー線硬化型樹脂B:商品名「DPHA」、日本化薬社製
【0120】
(1)粘着剤層形成用溶液Aの調製
アクリル系共重合体Aの酢酸エチル溶液(固形濃度18%)100質量部に、架橋剤Aを固形分換算で0.1質量部、及び、シランカップリング剤Aを0.1質量部混合して、粘着剤層形成用溶液Aを調製した。この粘着剤層形成用溶液Aから得られる粘着剤層を「粘着剤層A」とする。
【0121】
(2)粘着剤層形成用溶液Bの調製
ゴム系粘着剤100質量部、活性エネルギー線硬化型化合物として、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート30質量部、光重合開始剤A1.5質量部、及び、シランカップリング剤A0.1質量部を混合して、粘着剤層形成用溶液Bを調製した。この粘着剤層形成用溶液Bから得られる粘着剤層を「粘着剤層B」とする。
【0122】
(3)粘着剤層形成用溶液Cの調製
シリコーン系粘着剤100質量部、及び、白金触媒(商品名「SRX−212」、東レダウコーニング社製)0.9質量部を混合して、粘着剤層形成用溶液Cを調製した。この粘着剤層形成用溶液Cから得られる粘着剤層を「粘着剤層C」とする。
【0123】
(4)粘着剤層形成用溶液Dの調製
アクリル系共重合体Bの酢酸エチル溶液(固形濃度18%)100質量部に、架橋剤Aを固形分換算で2質量部、及び、エネルギー線硬化型樹脂Aを15質量部添加し、さらに、光重合開始剤Bをエネルギー線硬化型樹脂Aの固形分100質量部に対して2質量部、シランカップリング剤Aをアクリル系粘着剤Aの固形分100質量部に対して0.1質量部添加して、粘着剤層形成用溶液Dを調製した。この粘着剤層形成用溶液Dから得られる粘着剤層を「粘着剤層D」とする。
【0124】
(5)粘着剤層形成用溶液Eの調製
アクリル系共重合体Bの酢酸エチル溶液(固形濃度18%)100質量部に、架橋剤Aを固形分換算で2質量部、及び、エネルギー線硬化型樹脂Aを35質量部添加し、さらに、光重合開始剤Bをエネルギー線硬化型樹脂Aの固形分100質量部に対して2質量部、シランカップリング剤Aをアクリル系粘着剤の固形分100質量部に対して0.1質量部添加して、粘着剤層形成用溶液Eを調製した。この粘着剤層形成用溶液Eから得られる粘着剤層を「粘着剤層E」とする。
【0125】
(6)粘着剤層形成用溶液Fの調製
アクリル系共重合体Bの酢酸エチル溶液(固形濃度18%)100質量部に、アクリル系共重合体Cを15質量部、架橋剤Aを固形分換算で0.5質量部、及び、シランカップリング剤Aを0.1質量部添加して、粘着剤層形成用溶液Fを調製した。この粘着剤層形成用溶液Fから得られる粘着剤層を「粘着剤層F」とする。
【0126】
(7)粘着剤層形成用溶液Gの調製
アクリル系共重合体Dの酢酸エチル溶液(固形濃度40%)100質量部に、架橋剤Aを固形分換算で0.01質量部混合して、粘着剤層形成用溶液Gを調製した。この粘着剤層形成用溶液Gから得られる粘着剤層を「粘着剤層G」とする。
【0127】
(8)粘着剤層形成用溶液Hの調製
アクリル系共重合体Bの酢酸エチル溶液(固形濃度18%)100質量部に、架橋剤Aを固形分換算で2質量部、エネルギー線硬化型樹脂Aを30質量部、及び、エネルギー線硬化型樹脂Bを20質量部添加し、次いで、光重合開始剤Bをエネルギー線硬化型樹脂A及びBの合計の固形分100質量部に対して2質量部、シランカップリング剤Aを、アクリル酸エステル系共重合体Bの固形分100質量部に対して0.1質量部添加し、粘着剤層形成用溶液Hを調製した。この粘着剤層形成用溶液Hから得られる粘着剤層を「粘着剤層H」とする。
【0128】
〔剥離シート〕
剥離シートとして、以下のものを使用した。
・剥離シートA:商品名「SP−PET381031」、リンテック社製(厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にシリコーン剥離層を設けてなる剥離シート)
・剥離シートB:商品名「SP−PFS50AL−5」、リンテック社製(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に剥離層を設けてなる剥離シート)
【0129】
〔貯蔵弾性率の測定〕
剥離シートAの剥離層上に、粘着剤層形成用溶液A〜Hをそれぞれ乾燥後の膜厚が25μmとなるように塗布し、これを乾燥して粘着剤層を形成して、粘着剤層付き剥離シートを得た。
なお、粘着剤層形成用溶液D、E、Hを使用した場合は、粘着剤層形成用溶液D、E、Hの乾燥塗膜に、紫外線(UV)を、高圧水銀ランプ(アイグラフィックス社製)を用いて、照度200mW/cm、光量300mJ/cmで照射することにより、粘着剤層D、E、Hをそれぞれ形成した。
次に、以上のようにして得られた粘着剤層付き剥離シートの粘着剤層上に、別の粘着剤層付き剥離シート(粘着剤層は同種のもの)の粘着剤層を積層した。
次いで、剥離シートAを除去して露出した粘着剤層上に、さらに別の粘着剤層付き剥離シート(粘着剤層は同種のもの)の粘着剤層を積層し、この操作を繰り返すことにより、粘着剤層(積層体)の全体厚みを3mmにした後、8mmφの円柱状に打ち抜くことにより、粘着剤層A〜Hの試験片を作製した。
各試験片について、JIS K 7244−6に基づき、以下の測定条件にて、ねじり剪断法により粘着剤層A〜Hの貯蔵弾性率を測定した。測定結果を第1表に示す。
【0130】
(測定条件)
粘弾性測定装置:「DYNAMIC ANALYZER RDAII、ティー・エイ・インスツルメント社製」
周波数:1Hz
温度:23℃、80℃
【0131】
【表1】
【0132】
(実施例1)
剥離シートBの剥離層面に、スパッタリング法により、厚さ60nmの窒化ケイ素からなるガスバリア層(ガスバリア層A)を形成して、ガスバリア層A付き剥離シートBを得た。
剥離シートAの剥離層面に、粘着剤層形成用溶液Aをグラビアコート法にて塗布し、110℃で1分間乾燥させて、厚さ約1μmの粘着剤層Aを形成して、粘着剤層A付き剥離シートAを得た。
次いで、粘着剤層A付き剥離シートAの粘着剤層Aとガスバリア層A付き剥離シートBのガスバリア層Aとを貼り合わせることで、(剥離シートA/粘着剤層A/ガスバリア層A/剥離シートB)の構成を有するガスバリア性粘着シートを作製した。
【0133】
(実施例2〜6、比較例1、2)
粘着剤層を形成するための粘着剤層形成用溶液として、前記粘着剤層形成用溶液B〜Hを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、(剥離シートA/粘着剤層(B〜H)/ガスバリア層A/剥離シートB)の構成を有するガスバリア性粘着シートを作製した。
なお、粘着剤層形成用溶液D、Eを用いた実施例4、5、及び粘着剤層形成用溶液Hを用いた比較例2のガスバリア性粘着シートにおいては、貼着してから30秒後に、粘着剤層に隣接する剥離シートを通して、紫外線(UV)を、高圧水銀ランプ(アイグラフィックス社製)を用いて、照度200mW/cm、300mJ/cmの光量で照射し、目的のガスバリア性粘着シートを得た。
なお、照度・光量は、UV照度・光量計(「UVPF−36」、アイグラフィックス社製)を使用して測定した。
【0134】
(実施例7)
剥離シートAの剥離層面に、粘着剤層形成用溶液Aをグラビアコート法にて塗布し、110℃で1分間乾燥させて、厚さ約1μmの粘着剤層Aを形成して、粘着剤層A付き剥離シートAを得た。
次いで、実施例1で作製したガスバリア性粘着シートのガスバリア層A側の剥離シートBを剥離し、露出したガスバリア層Aと、粘着剤層A付き剥離シートAの粘着剤層Aとを貼り合わせ、(剥離シートA/粘着剤層A/ガスバリア層A/粘着剤層A/剥離シートA)の層構成を有するガスバリア性粘着シートを得た。
【0135】
(実施例8〜12)
剥離シートA側の粘着剤層および剥離シートB側の粘着剤層の粘着剤層形成用溶液を変えたこと以外は、実施例7と同様の方法により、第2表に記載の(剥離シートA/粘着剤層/ガスバリア層A/粘着剤層/剥離シートB)の層構成を有するガスバリア性粘着シートを作製した(第2表中、剥離シートのA、Bの記載は省略する。)。
なお、粘着剤層形成用溶液D、Eを用いた場合は、剥離シートを通して、紫外線(UV)を、高圧水銀ランプ(アイグラフィックス社製)を用いて、照度200mW/cm,300mJ/cmの光量で照射し、目的のガスバリア性粘着シートを得た。
【0136】
(実施例13)
紫外線硬化型多官能アクリレート(商品名「KAYARAD DPHA」、日本化薬社製)100質量部、紫外線硬化型多官能アクリレート(商品名「KAYARAD DCPA」、日本化薬社製)100質量部、及び、2官能ウレタンアクリレート(商品名「UT−4692」、日本合成化学工業社製)80質量部からなるエネルギー線硬化型樹脂のメチルイソブチルケトン溶媒の混合液に、光重合開始剤Aを、エネルギー線硬化型樹脂に対して3質量%になるように添加し、固形分濃度15%になるようにメチルイソブチルケトンで希釈し、保護層形成用溶液を調製した。
次に、剥離シートBの剥離層面に、上記の保護層形成用溶液をグラビアコート法にて塗布し、塗膜を70℃で1分間乾燥させた後、塗布面に、UV照射装置(「ECX−401GX」、アイグラフィックス社製)にて、酸素濃度1%以下の雰囲気下、照度200mW/cm、光量300mJ/cmで照射し、厚さ1μmの保護層を形成した。
次いで、この保護層の上に、スパッタリング法により、厚さ60nmの窒化ケイ素からなるガスバリア層Aを形成した。
一方、剥離シートAの剥離層面に、粘着剤層形成用溶液Aをグラビアコート法にて塗布し、塗膜を110℃で1分間乾燥させて、厚さ約1μmの粘着剤層Aを形成した。
次いで、この粘着剤層Aと前記ガスバリア層Aとを貼り合わせることで、(剥離シートA/粘着剤層A/ガスバリア層A/保護層/剥離シートB)の層構成を有するガスバリア性粘着シートを作製した。
【0137】
(実施例14)
粘着剤層形成溶液Aに代えて粘着剤層形成用溶液Dを用い、剥離シート側から、紫外線を照度200mW/cm、光量300mJ/cmで照射し、粘着剤層Dを形成したこと以外は、実施例13と同様の方法により(剥離シートA/粘着剤層D/ガスバリア層A/保護層/剥離シートB)の層構成を有するガスバリア性粘着シートを作製した。
【0138】
(実施例15)
粘着剤層形成溶液Dに代えて粘着剤層形成用溶液Fを用いたこと以外は、実施例14と同様の方法により(剥離シートA/粘着剤層F/ガスバリア層A/保護層/剥離シートB)の層構成を有するガスバリア性粘着シートを作製した。
【0139】
(実施例16)
剥離シートAの剥離層面に、粘着剤層形成用溶液Aをグラビアコート法にて塗布し、110℃で1分間乾燥させて、厚さ約1μmの粘着剤層Aを形成して、粘着剤層A付き剥離シートAを得た。
一方、実施例13で得られたガスバリア性粘着シートの粘着剤層A側の剥離シートAと、実施例14で得られたガスバリア性粘着シートの保護層側の剥離シートBをそれぞれ剥離し、露出した粘着剤層Aと保護層とを貼り合わせて(剥離シートB/保護層/ガスバリア層A/粘着剤層A/保護層/ガスバリア層A/粘着剤層D/剥離シートA)の層構成を有する積層体を作製した。
次いで、上記積層体の保護層側の剥離シートBを剥離し、該保護層と上記粘着剤層A付き剥離シートAの粘着剤層Aとを貼り合わせ、(剥離シートA/粘着剤層A/保護層/ガスバリア層A/粘着剤層A/保護層/ガスバリア層A/粘着剤層D/剥離シートB)の層構成を有するガスバリア性粘着シートを作製した。
【0140】
(実施例17)
実施例14で得られたガスバリア性粘着シートの代わりに、実施例15で得られたガスバリア性粘着シートを用いたこと以外は、実施例16と同様の方法により(剥離シートA/粘着剤層A/保護層/ガスバリア層A/粘着剤層A/保護層/ガスバリア層A/粘着剤層F/剥離シートB)の層構成を有するガスバリア性粘着シートを作製した。
【0141】
(実施例18)
剥離シートBの剥離層面に、ポリシラザン化合物(ペルヒドロポリシラザンを主成分とするコーティング材(商品名「アクアミカNL110−20」、クラリアントジャパン社製)をスピンコート法により塗布し、120℃で1分間加熱して、ペルヒドロポリシラザンを含む、厚み60nmの層(ポリシラザン層)を形成した。
次に、プラズマイオン注入装置(RF電源:型番号「RF」56000、日本電子社製;高電圧パルス電源:「PV−3−HSHV−0835」、栗田製作所社製)を用いて、ガス流量100sccm、Duty比0.5%、印加電圧−6kV、周波数13.56MHz、印加電力1000W、チャンバー内圧0.2Pa、パルス幅5μsec、処理時間200秒の条件で、アルゴンガス(Ar)由来のイオンをポリシラザン層の表面に注入して、ガスバリア層(ガスバリア層B)を形成して、ガスバリア層B付き剥離シートB2を得た。
次いで、粘着剤層A付き剥離シートAの粘着剤層Aとガスバリア層B付き剥離シートB2のガスバリア層Bとを貼り合わせることで、(剥離シートA/粘着剤層A/ガスバリア層B/剥離シートB)の構成を有するガスバリア性粘着シートを作製した。
【0142】
(実施例19)
実施例18で得られたガスバリア層B付き剥離シートB2を用いて、粘着剤層D付き剥離シートAの粘着剤層Dとガスバリア層B付き剥離シートB2のガスバリア層Bとを貼り合わせ、(剥離シートA/粘着剤層D/ガスバリア層B/剥離シートB)の構成を有するガスバリア性粘着シートを作製した。
【0143】
実施例1〜19及び比較例1、2のガスバリア性粘着シートの実質的な厚みを第2表に示す。
ガスバリア性粘着シートの実質的な厚み(μm)は、デジタル測長機(「DIGIMICRO MH−15M」、NIKON社製)を用いて、実施例1〜17及び比較例1のガスバリア性粘着シートの剥離シートが貼着された状態の厚み(A)を測定し、その後剥離シートを剥がしてその剥離シート厚み(B)を測定し、以下の式により算出した。
【0144】
【数1】
【0145】
実施例1〜19及び比較例1、2のガスバリア性粘着シートの層構成(構成)、及び実質的な厚み〔厚み(μm)〕を下記第2表にまとめて示す。
【0146】
【表2】
【0147】
〔ガスバリア性粘着シートの評価〕
実施例1〜6、13〜15、18〜19、及び比較例1、2で作製したガスバリア性粘着シートの粘着剤層側の剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層面上に、被着体として厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」という)を貼り合わせた後、もう一方の面の剥離シートを剥離した。実施例7〜12、16、17で作製したガスバリア性粘着シートについては、いずれか一方の剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層面上に被着体として厚さ50μmのPETフィルムを貼り合わせた。次に、もう一方の剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層面上に、被着体として別の厚さ50μmのPETフィルムを貼り合わせた。
次いで、裁断装置(スーパーカッター「PN1−600」、荻野精機製作所社製)により、233mm×309mmの大きさに裁断し、サンプルを得た。
次いで、このサンプルを用いて、以下の試験を行い、性能を評価した。
【0148】
(水蒸気透過率)
40℃、相対湿度90%の条件下で水蒸気透過率測定装置(製品名「L80−5000」、LYSSY社製)を用いて上記サンプルの水蒸気透過率を測定した。結果を第3表に示す。
【0149】
(耐久性試験)
下に示す処理条件で処理した後のサンプルの粘着剤層とPETフィルムとの界面の状態に関して10倍率ルーペを用いて観察し、以下の判定基準で耐久性を評価した。
【0150】
○:粘着剤層の界面に、浮き、剥がれ等の変化が全く見られない。
△:粘着剤層の界面に、浮き、剥がれ等がやや見られ、わずかな色目変化が観察される。
×:粘着剤層の界面に、明らかに、浮き、剥がれ等が見られる。
【0151】
<処理条件>
(1)耐熱性試験:80℃、相対湿度10%以下環境下で、200時間放置した。
(2)耐湿性試験:60℃、相対湿度95%環境下で、200時間放置した。
(3)ヒートショック試験:−20℃、相対湿度10%以下で30分放置した後、60℃、相対湿度10%以下で30分放置することを200サイクル繰り返した。
【0152】
(折り曲げ試験)
サンプルを中央部分で半分に折り曲げて、ラミネーター(「LAMIPACKER LPC1502」、フジプラ社製)の2本のロール間を、ラミネート速度5m/min、温度23℃の条件で通した。次いで、デジタル顕微鏡(「DIGITAL MICROSCOPE VHX VH−450」、KEYENCE社製)を用いて、折り曲げ後のサンプルの中央部分(折り曲げた部分)の任意の場所を450倍の倍率で観察した。以下の評価判断基準によって判定を行った。
◎:マイクロクラックが全く観察されない。
○:マイクロクラックは観察されないが、わずかな色目変化が観察される。
×:幅、長さで5μm以上のマイクロクラックが観察される。
評価結果を、下記第3表にまとめて示す。
【0153】
【表3】
【0154】
第3表より、23℃における貯蔵弾性率が、1.5×10〜1.0×10Paの範囲の粘着剤層を有する実施例1〜19のガスバリア性粘着シートは、23℃及び80℃における貯蔵弾性率が所定の範囲外である粘着剤層を有するものであり、比較例1、2のガスバリア性粘着シートに比して、耐熱性、耐高温湿熱性、耐折り曲げ性、及び耐久性に優れていることがわかる。
ガスバリア層を2層有する実施例16及び17のガスバリア性粘着シート、及び高分子化合物にイオンを注入して得られるガスバリア層を有する実施例18、19のガスバリア性粘着シートは、特にガスバリア性に優れる。
【符号の説明】
【0155】
1、1a、1b:ガスバリア層
2、2a、2b、2c:粘着剤層
3a、3b:剥離シート
4、4a、4b:保護層
5A、5B、5C、5D:ガスバリア性粘着シート
図1