【実施例】
【0045】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。これらの実施例は本発明を限定するものでない。なお、下記の実施例において部及び%は、特に断りのない限り質量基準である。
【0046】
[実験例1]
クロロプレン単独重合体ラテックスA−1の製造
内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、純水100部、ロジン酸ナトリウム5部、水酸化カリウム0.5部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物ナトリウム塩0.3部、亜硫酸水素ナトリウムを0.3部仕込み、溶解後、撹拌しながらクロロプレン単量体100部とn−ドデシルメルカプタン0.06部を加えた。過硫酸カリウム0.1重量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下10℃で重合し、最終重合率が65%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去した後、撹拌しながら低温安定剤のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを固形分100部に対して0.3部添加した。更に減圧下で水分を蒸発させ濃縮を行い、固形分濃度が55質量%となるよう調節しクロロプレン単独重合体ラテックスA−1を得た。クロロプレン単独重合体ラテックスA−1のゲル含有率は0%、トルエン可溶分のMnは30万、分子量分布(Mw/Mn)は2.5であった。
【0047】
[実験例2]
クロロプレン単独重合体ラテックスA−2の製造
内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、純水100部、ロジン酸ナトリウム5部、水酸化カリウム0.5部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物ナトリウム塩0.3部、亜硫酸水素ナトリウムを0.3部仕込み、溶解後、撹拌しながらクロロプレン単量体100部とn−ドデシルメルカプタン0.06部を加えた。過硫酸カリウム0.1重量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下10℃で重合し、最終重合率が70%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去した後、撹拌しながら低温安定剤のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを固形分100部に対して0.3部添加した。更に減圧下で水分を蒸発させ濃縮を行い、固形分濃度が55質量%となるよう調節しクロロプレン単独重合体ラテックスA−2を得た。クロロプレン単独重合体ラテックスA−2のゲル含有率は5%、トルエン可溶分のMnは30万、分子量分布(Mw/Mn)は2.5であった。
【0048】
[実験例3]
クロロプレン単独重合体ラテックスA−3の製造
内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、純水100部、ロジン酸ナトリウム5部、水酸化カリウム0.5部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物ナトリウム塩0.3部、亜硫酸水素ナトリウムを0.3部仕込み、溶解後、撹拌しながらクロロプレン単量体100部とn−ドデシルメルカプタン0.06部を加えた。過硫酸カリウム0.1重量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下10℃で重合し、最終重合率が85%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去した後、撹拌しながら低温安定剤のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを固形分100部に対して0.3部添加した。更に減圧下で水分を蒸発させ濃縮を行い、固形分濃度が55質量%となるよう調節しクロロプレン単独重合体ラテックスA−3を得た。クロロプレン単独重合体ラテックスA−3のゲル含有率は30%、トルエン可溶分のMnは30万、分子量分布(Mw/Mn)は2.5であった。
【0049】
[実験例4]
クロロプレン単独重合体ラテックスA−4の製造
内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、純水100部、ロジン酸ナトリウム5部、水酸化カリウム0.5部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物ナトリウム塩0.3部、亜硫酸水素ナトリウムを0.3部仕込み、溶解後、撹拌しながらクロロプレン単量体100部とn−ドデシルメルカプタン0.06部を加えた。過硫酸カリウム0.1重量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下10℃で重合し、最終重合率が90%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去した後、撹拌しながら低温安定剤のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを固形分100部に対して0.3部添加した。更に減圧下で水分を蒸発させ濃縮を行い、固形分濃度が55質量%となるよう調節しクロロプレン単独重合体ラテックスA−4を得た。クロロプレン単独重合体ラテックスA−4のゲル含有率は40%、トルエン可溶分のMnは30万、分子量分布(Mw/Mn)は2.5であった。
【0050】
[実験例5]
クロロプレン単独重合体ラテックスA−5の製造
内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、純水100部、ロジン酸ナトリウム5部、水酸化カリウム0.5部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物ナトリウム塩0.3部、亜硫酸水素ナトリウムを0.3部仕込み、溶解後、撹拌しながらクロロプレン単量体100部とn−ドデシルメルカプタン0.14部を加えた。過硫酸カリウム0.1重量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下10℃で重合し、最終重合率が80%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去した後、撹拌しながら低温安定剤のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを固形分100部に対して0.3部添加した。更に減圧下で水分を蒸発させ濃縮を行い、固形分濃度が55質量%となるよう調節しクロロプレン単独重合体ラテックスA−5を得た。クロロプレン単独重合体ラテックスA−5のゲル含有率は15%、トルエン可溶分のMnは10万、分子量分布(Mw/Mn)は2.5であった。
【0051】
[実験例6]
クロロプレン単独重合体ラテックスA−6の製造
内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、純水100部、ロジン酸ナトリウム5部、水酸化カリウム0.5部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物ナトリウム塩0.3部、亜硫酸水素ナトリウムを0.3部仕込み、溶解後、撹拌しながらクロロプレン単量体100部とn−ドデシルメルカプタン0.10部を加えた。過硫酸カリウム0.1重量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下10℃で重合し、最終重合率が80%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去した後、撹拌しながら低温安定剤のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを固形分100部に対して0.3部添加した。更に減圧下で水分を蒸発させ濃縮を行い、固形分濃度が55質量%となるよう調節しクロロプレン単独重合体ラテックスA−6を得た。クロロプレン単独重合体ラテックスA−6のゲル含有率は15%、トルエン可溶分のMnは25万、分子量分布(Mw/Mn)は2.5であった。
【0052】
[実験例7]
クロロプレン単独重合体ラテックスA−7の製造
内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、純水100部、ロジン酸ナトリウム5部、水酸化カリウム0.5部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物ナトリウム塩0.3部、亜硫酸水素ナトリウムを0.3部仕込み、溶解後、撹拌しながらクロロプレン単量体100部とn−ドデシルメルカプタン0.10部を加えた。過硫酸カリウム0.1重量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下5℃で重合し、最終重合率が80%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去した後、撹拌しながら低温安定剤のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを固形分100部に対して0.3部添加した。更に減圧下で水分を蒸発させ濃縮を行い、固形分濃度が55質量%となるよう調節しクロロプレン単独重合体ラテックスA−7を得た。クロロプレン単独重合体ラテックスA−7のゲル含有率は15%、トルエン可溶分のMnは30万、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
【0053】
[実験例8]
クロロプレン単独重合体ラテックスA−8の製造
内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、純水100部、ロジン酸ナトリウム5部、水酸化カリウム0.5部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物ナトリウム塩0.3部、亜硫酸水素ナトリウムを0.3部仕込み、溶解後、撹拌しながらクロロプレン単量体100部とn−ドデシルメルカプタン0.08部を加えた。過硫酸カリウム0.1重量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下10℃で重合し、最終重合率が80%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去した後、撹拌しながら低温安定剤のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを固形分100部に対して0.3部添加した。更に減圧下で水分を蒸発させ濃縮を行い、固形分濃度が55質量%となるよう調節しクロロプレン単独重合体ラテックスA−8を得た。クロロプレン単独重合体ラテックスA−8のゲル含有率は15%、トルエン可溶分のMnは30万、分子量分布(Mw/Mn)は4.0であった。
【0054】
[実験例9]
クロロプレン単独重合体ラテックスA−9の製造
内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、純水100部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム5部、水酸化カリウム0.5部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物ナトリウム塩0.3部、亜硫酸水素ナトリウムを0.3部仕込み、溶解後、撹拌しながらクロロプレン単量体100部とn−ドデシルメルカプタン0.10部を加えた。過硫酸カリウム0.1重量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下10℃で重合し、最終重合率が80%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去した後、撹拌しながら低温安定剤のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを固形分100部に対して0.3部添加した。更に減圧下で水分を蒸発させ濃縮を行い、固形分濃度が55質量%となるよう調節しクロロプレン単独重合体ラテックスA−9を得た。クロロプレン単独重合体ラテックスA−9のゲル含有率は15%、トルエン可溶分のMnは25万、分子量分布(Mw/Mn)は2.5であった。
【0055】
[実験例10]
クロロプレン単独重合体ラテックスA−10の製造
内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、純水100部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部、水酸化カリウム0.5部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物ナトリウム塩0.3部、亜硫酸水素ナトリウムを0.3部仕込み、溶解後、撹拌しながらクロロプレン単量体100部とn−ドデシルメルカプタン0.10部を加えた。過硫酸カリウム0.1重量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下10℃で重合し、最終重合率が80%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去した後、撹拌しながら低温安定剤のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを固形分100部に対して0.3部添加した。更に減圧下で水分を蒸発させ濃縮を行い、固形分濃度が55質量%となるよう調節しクロロプレン単独重合体ラテックスA−10を得た。クロロプレン単独重合体ラテックスA−10のゲル含有率は15%、トルエン可溶分のMnは25万、分子量分布(Mw/Mn)は2.5であった。
【0056】
[実験例11]
クロロプレン単独重合体ラテックスA−11の製造
内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、純水100部、ポリオキシエチレン硫酸ナトリウム5部、水酸化カリウム0.5部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物ナトリウム塩0.3部、亜硫酸水素ナトリウムを0.3部仕込み、溶解後、撹拌しながらクロロプレン単量体100部とn−ドデシルメルカプタン0.10部を加えた。過硫酸カリウム0.1重量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下10℃で重合し、最終重合率が80%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去した後、撹拌しながら低温安定剤のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを固形分100部に対して0.3部添加した。更に減圧下で水分を蒸発させ濃縮を行い、固形分濃度が55質量%となるよう調節しクロロプレン単独重合体ラテックスA−11を得た。クロロプレン単独重合体ラテックスA−11のゲル含有率は15%、トルエン可溶分のMnは25万、分子量分布(Mw/Mn)は2.5であった。
【0057】
これらのクロロプレン単独重合体ラテックスA−1〜A−11のゲル含有率、トルエン可溶分のMn(数平均分子量)および分子量分布(Mw/Mn)は、以下の方法によって測定した値である。
[ゲル含有率]
各試料を凍結乾燥後、その試料を精秤しXとした。これをトルエンに溶解(0.6%に調製)して、遠心分離機を使用した後、200メッシュの金網を用いてゲル分を分離した。分離したゲル分を風乾した後、110℃雰囲気で1時間乾燥し、その質量を精秤しYとした。
【0058】
ゲル含有率は、以下の式(1)により算出した。
【0059】
【数1】
【0060】
[トルエン可溶分のMnおよび分子量分布(Mw/Mn)]
以下の条件でGPC測定をおこなって、ポリスチレン換算の分子量を測定し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)を評価した。測定は、ゲル分含有率測定によって分離されたトルエン可溶分(ゾル)を0.1%テトラヒドロフラン(THF)溶液に調製しておこなった。
【0061】
測定装置:東ソー社製HLC−8120GPC
分析用カラム:東ソー社製TSK−GEL GMH
HR−H(5μm)×3本、サイズ7.8mmφ×300mm
ガードカラム:ガードカラムTSK−ガードカラムTSK−ガードカラムH
HR−H(5μm)、サイズ 6mmφ×40mm、カラム温度:40℃
溶媒:THF特級、流量:1ml/min
【0062】
[実験例12]
クロロプレン共重合体ラテックスB−1の製造
内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、純水100部、ロジン酸ナトリウム4部、水酸化カリウム1.5部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物ナトリウム塩0.5部、亜硫酸水素ナトリウムを0.5部仕込み、溶解後、撹拌しながらクロロプレン99部と2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン1部及び、n−ドデシルメルカプタン0.04部を加えた。過硫酸カリウム0.1重量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下40℃で重合し、最終重合率が90%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去した後、撹拌しながら低温安定剤のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを固形分100部に対して0.3部添加した。更に減圧下で水分を蒸発させ濃縮を行い、固形分濃度が60質量%となるよう調節しクロロプレン共重合体ラテックスB−1を得た。
【0063】
[実験例13]
クロロプレン共重合体ラテックスB−2の製造
内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、純水100部、ロジン酸ナトリウム4部、水酸化カリウム1.5部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物ナトリウム塩0.5部、亜硫酸水素ナトリウムを0.5部仕込み、溶解後、撹拌しながらクロロプレン95部と2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン5質量部及び、n−ドデシルメルカプタン0.04部を加えた。過硫酸カリウム0.1重量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下40℃で重合し、最終重合率が90%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去した後、撹拌しながら低温安定剤のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを固形分100部に対して0.3部添加した。更に減圧下で水分を蒸発させ濃縮を行い、固形分濃度が60質量%となるよう調節しクロロプレン共重合体ラテックスB−2を得た。
【0064】
[実験例14]
クロロプレン共重合体ラテックスB−3の製造
内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、純水100部、ロジン酸ナトリウム4部、水酸化カリウム1.5部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物ナトリウム塩0.5部、亜硫酸水素ナトリウムを0.5部仕込み、溶解後、撹拌しながらクロロプレン90部と2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン10質量部及び、n−ドデシルメルカプタン0.04部を加えた。過硫酸カリウム0.1重量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下40℃で重合し、最終重合率が90%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去した後、撹拌しながら低温安定剤のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを固形分100部に対して0.3部添加した。更に減圧下で水分を蒸発させ濃縮を行い、固形分濃度が60質量%となるよう調節しクロロプレン共重合体ラテックスB−3を得た。
【0065】
[実験例15]
クロロプレン共重合体ラテックスB−4の製造
内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、純水100部、ロジン酸ナトリウム4部、水酸化カリウム1.5部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物ナトリウム塩0.5部、亜硫酸水素ナトリウムを0.5部仕込み、溶解後、撹拌しながらクロロプレン50部と2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン50質量部及び、n−ドデシルメルカプタン0.04部を加えた。過硫酸カリウム0.1重量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下40℃で重合し、最終重合率が90%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去した後、撹拌しながら低温安定剤のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを固形分100部に対して0.3部添加した。更に減圧下で水分を蒸発させ濃縮を行い、固形分濃度が60質量%となるよう調節しクロロプレン共重合体ラテックスB−4を得た。
【0066】
[実験例16]
クロロプレン共重合体ラテックスB−5の製造
内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、純水100部、ロジン酸ナトリウム4部、水酸化カリウム1.5部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物ナトリウム塩0.5部、亜硫酸水素ナトリウムを0.5部仕込み、溶解後、撹拌しながらクロロプレン40部と2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン60質量部及び、n−ドデシルメルカプタン0.04部を加えた。過硫酸カリウム0.1重量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下40℃で重合し、最終重合率が90%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去した後、撹拌しながら低温安定剤のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを固形分100部に対して0.3部添加した。更に減圧下で水分を蒸発させ濃縮を行い、固形分濃度が60質量%となるよう調節しクロロプレン共重合体ラテックスB−5を得た。
【0067】
[実験例17]
クロロプレン共重合体ラテックスB−6の製造
内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、純水100部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム4部、水酸化カリウム1.5部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物ナトリウム塩0.5部、亜硫酸水素ナトリウムを0.5部仕込み、溶解後、撹拌しながらクロロプレン90部と2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン10質量部及び、n−ドデシルメルカプタン0.04部を加えた。過硫酸カリウム0.1重量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下40℃で重合し、最終重合率が90%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去した後、撹拌しながら低温安定剤のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを固形分100部に対して0.3部添加した。更に減圧下で水分を蒸発させ濃縮を行い、固形分濃度が60質量%となるよう調節しクロロプレン共重合体ラテックスB−6を得た。
【0068】
[実験例18]
クロロプレン共重合体ラテックスB−7の製造
内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、純水100部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム4部、水酸化カリウム1.5部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物ナトリウム塩0.5部、亜硫酸水素ナトリウムを0.5部仕込み、溶解後、撹拌しながらクロロプレン90部と2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン10質量部及び、n−ドデシルメルカプタン0.04部を加えた。過硫酸カリウム0.1重量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下40℃で重合し、最終重合率が90%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去した後、撹拌しながら低温安定剤のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを固形分100部に対して0.3部添加した。更に減圧下で水分を蒸発させ濃縮を行い、固形分濃度が60質量%となるよう調節しクロロプレン共重合体ラテックスB−7を得た。
【0069】
[実験例19]
クロロプレン共重合体ラテックスB−8の製造
内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、純水100部、ポリオキシエチレン硫酸ナトリウム4部、水酸化カリウム1.5部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物ナトリウム塩0.5部、亜硫酸水素ナトリウムを0.5部仕込み、溶解後、撹拌しながらクロロプレン90部と2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン10質量部及び、n−ドデシルメルカプタン0.04部を加えた。過硫酸カリウム0.1重量部を開始剤として用い、窒素雰囲気下40℃で重合し、最終重合率が90%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去した後、撹拌しながら低温安定剤のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを固形分100部に対して0.3部添加した。更に減圧下で水分を蒸発させ濃縮を行い、固形分濃度が60質量%となるよう調節しクロロプレン共重合体ラテックスB−8を得た。
【0070】
実施例及び、比較例のクロロプレン単独重合体ラテックスとクロロプレン共重合体ラテックスの製造で使用した乳化剤または分散剤は以下のものを使用した。
ロジン酸ナトリウム:荒川化学工業(株)製 3R−70N
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリム:花王(株)製 ペレックスSSH
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム:花王(株)製 ネオペレックスG−15
ポリオキシエチレン硫酸ナトリウム:花王(株)製 ラテムルE−118B
ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物ナトリウム塩:花王(株)製 デモールN
【0071】
[pH調節剤]
実施例及び比較例の水系接着剤組成物に配合したpH調製剤C−1〜C−7は、以下のものを使用した。
C−1.グリシン(等電点:5.97)
C−2.アラニン(等電点:6.00)
C−3.トレオニン(等電点:6.16)
C−4.5%ホウ酸水溶液(ホウ酸(粉末)5gを純水95gに溶解して調製した。)
C−5.プロリン(等電点:6.30)
C−6.フェニルアラニン(等電点:5.48)
C−7.ヒスチジン(等電点:7.59)
【0072】
[その他の試薬]
実施例及び比較例の水系接着剤組成物に配合したその他の試薬は以下のものを使用した。
セバシン酸ジブチル :田岡化学工業(株)製 可塑剤
Nipol LX820A:日本ゼオン(株)製 アクリル系ラテックス
【0073】
[一液系水性接着剤の調製]
クロロプレン単独重合体ラテックスA−1〜A−11とクロロプレン共重合体ラテックスB−1〜B−8を合わせて100質量部(固形分換算)に、pH調節剤C−1〜C−7を表1〜表5記載の配合量で加えて実施例1〜21及び比較例1〜34の一液系水性接着剤を調製した。
得られた一液系水性接着剤の初期接着力、接着剤層の風合い、乾燥シートのデュロメータ硬さ、貯蔵安定性を以下の方法によって測定し、測定結果を表1〜表5に示した。
【0074】
[初期接着力]
密度30kg/m
3のポリウレタンフォーム(厚さ20mm×長さ50mm×幅50mm)を被着体に用い、23℃雰囲気下で一液系水性接着剤を70g/m
2となるようにスプレー塗布した。塗布後23℃雰囲気中で10秒間または、1分間放置後、一液系水性接着剤が未乾燥の状態で2個のポリウレタンフォームの接着面同士を重ね合わせ、厚さ40mmを10mmに圧縮して5秒間保持した。その後直ちに引張試験機(島津製作所製オートグラフ:引張速度200mm/min)で接着面と垂直方向に引張試験を行ない、初期接着力(N/cm
2)を測定した。
初期接着力は、3.0N/cm
2以上の場合を合格とした。
【0075】
[接着剤層の風合い]
上記初期接着力の評価方法と同様に密度30kg/m
3のポリウレタンフォーム(厚さ20mm×長さ50mm×幅50mm)を被着体に用い、23℃雰囲気下で一液系水性接着剤を70g/m
2となるようにスプレー塗布した。塗布後23℃雰囲気中で1分間放置後、一液系水性接着剤が未乾燥の状態で2個のポリウレタンフォームの接着面同士を重ね合わせ、厚さ40mmを10mmに圧縮して5秒間保持した。その後23℃で24時間放置後、指の感触で接着剤層の風合いを評価した。ポリウレタンフォームと接着剤層の風合いが等しかったものを○、ポリウレタンフォームより接着剤の風合いがやや硬かったものを△、ポリウレタンフォームより接着剤層が硬かったものを×とした。
【0076】
[乾燥シートのデュロメータ硬さ(タイプA)]
テフロン(登録商標)製のシャーレに厚さ3.5mm程度になるように配合した接着剤を注ぎ、23℃×5日間乾燥させ、揮発分を蒸発させて、乾燥シートを得る。さらに乾燥シートを真空乾燥機(ヤマト科学製、DP−41)を用いて、23℃×2日間乾燥後、JIS K 6253−3で規定されるデュロメータ硬さ(タイプA)を測定した。
デュロメータ硬さ(タイプA)が30〜70の範囲の場合を合格とした。
【0077】
[貯蔵安定性]
一液系水性接着剤250gを40℃×7日熱処理後、その粘度の上昇の有無および状態を観察した。一液系水性接着剤の粘度が変わらなかったものを○、凝固又は凝固物が発生したものを×とした。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
【表5】
【0083】
表1〜表5の評価結果通り、本発明による規定範囲内の配合組成である実施例1〜21の一液系水性接着剤は、初期接着力、接着剤層の風合い、乾燥シートのデュロメータ硬さ(タイプA)、貯蔵安定性がいずれも良好であった。
【0084】
これに対して、乳化重合時にロジン酸塩または、そのアルカリ金属塩を使用せず、上記以外の乳化剤を使用した比較例2〜4及び13〜24は、初期接着強度が3.0 N/cm
2以下で良好ではなかった。
【0085】
本発明による規定を含むがその配合割合が規定範囲外である比較例1〜5、9、13、17及び21は、接着剤層の風合いが良好ではなかった。
【0086】
さらに、本発明によるpH調製剤の配合量が、規定範囲外の比較例25、27は、初期接着強度が、比較例26、28は、接着剤の貯蔵安定性が良好ではなかった。また、比較例29、30のように規定の種類以外のpH調製剤を使用した場合、接着剤配合する際に凝集物発生や凝固現象が発生してしまい接着の物性を評価することができなかった。
【0087】
比較例5〜12のように、クロロプレン共重合体ラテックス中の2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンの単量体ユニットの含有量が規定の範囲外である場合、接着剤層の風合い、デュロメータ硬さが良好ではなかった。
【0088】
比較例31のようにクロロプレン単独重合体ラテックスにセバシン酸ジブチル(可塑剤)を配合した場合、良好な初期接着強度が得られるが、接着剤層の風合いが良好ではなかった。
【0089】
比較例32〜34のように、クロロプレン単独重合体ラテックスにアクリル系ラテックスを表5に示した配合で接着剤を調製した場合、接着剤層の風合いは良好だが、初期接着強度が良好ではなかったり、接着剤の貯蔵安定性が良くなかった。