(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガイド手段が、前記座部マッサージ機構による施療部への施療が可能となるマッサージエリアと、前記座部マッサージ機構を座部の下方側に収納可能とする収納エリアとの双方に跨るように配備されている
ことを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
前記ガイド手段は、前記座部マッサージ機構を構成する基盤体の前後方向の他端側に設けられ、前記第1のガイドレールに係合しながら移動することで、前記基盤体を前後方向に案内する第1のガイド体を備えていて、
前記変曲位置より一端側の部位であって第1のガイドレールの一端側が収納エリアに対応し、前記変曲位置より他端側の部位であって第1のガイドレールの他端側が前記マッサージエリアに対応するものとされている
ことを特徴とする請求項2に記載のマッサージ機。
前記ガイド手段は、前記第2のガイドレールに係合しながら移動することで、前記基盤体を前後方向に案内する第2のガイド体を備えていることを特徴とする請求項3に記載のマッサージ機。
前記第1のガイドレールは、前記変曲位置よりも後方が、第2のガイドレールと略平行となるように形成されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のマッサージ機。
前記座部マッサージ機構は、前記第1のガイド体が第1のガイドレールの他端側に位置する場合には、姿勢の変更を伴うことなくマッサージ体を前後方向に移動させる構成とされていることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のマッサージ機。
前記座部マッサージ機構は、前記第1のガイド体が第1のガイドレールの一端側に位置する場合には、第2のガイドレールの一端側に達した第2のガイド体を中心に、前記基盤体の後部が降下するように当該基盤体を揺動させる構成とされていることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載のマッサージ機。
前記座部マッサージ機構は、回転駆動力を発生する駆動部と、前記駆動部で発生する回転駆動力により回転駆動される回転軸と、前記回転軸の回転駆動力を変換することで左右方向に揺動するマッサージ体と、前記駆動部、回転軸、及びマッサージ体を搭載する基盤体と、を有し、
前記マッサージ体と基盤体との間には、ダンパー手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のマッサージ機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のマッサージ機では、マッサージ機構を案内するラック部は、臀部を施療可能なように座面のすぐ下側に設置されている。このように座面に近い位置にラック部を設置すると、使用者が座面に着座した際に使用者の臀部が座部に沈み込んでマッサージ機構に当たり、痛みや異物感などの不快な使用感を使用者に与えてしまう可能性がある。
【0005】
特に、椅子型マッサージ機として使用される場合には、リクライニングチェアのように使用者が単に腰掛けるだけの目的で使用されることもあり、着座した際に使用者に不快感を極力感じさせないような構造を採用するのが好ましい。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、臀部から太腿までの施療部(少なくとも臀部を含む施療部)を機械式で施療可能なマッサージ機構を採用したものでありながら、座面から離れた位置にマッサージ機構を収納することで着座時に使用者が感じる不快感を可能な限り低減させることができるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のマッサージ機は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明のマッサージ機は、座部の内部に設けられると共に、前記座部に着座した使用者の少なくとも臀部を含む施療部をマッサージする座部マッサージ機構を備えたマッサージ機であって、前記座部の内部には、前後方向に沿って配設されて、前記座部マッサージ機構を前後方向に移動可能とするガイド手段が配設されていることを特徴とする。
【0007】
より好ましくは、前記ガイド手段が、前記座部マッサージ機構による施療部への施療が可能となるマッサージエリアと、前記座部マッサージ機構を座部の下方側に収納可能とする収納エリアとの双方に跨るように配備されているとよい。
より好ましくは、前記ガイド手段は、前後方向に沿って配備された第1のガイドレールと、前記座部マッサージ機構を構成する基盤体の前後方向の他端側に設けられ、前記第1のガイドレールに係合しながら移動することで、前記基盤体を前後方向に案内する第1のガイド体と、を備えていて、前記第1のガイドレールの前後方向の中途部乃至は他端側は略水平に伸びていて、前記第1のガイドレールの前後方向の一端側は下傾斜状に延設されており、前記一端側と他端側との境が上方凸形状の変曲位置とされており、
前記変曲位置より一端側の部位であって第1のガイドレールの一端側が収納エリアに対応し、前記変曲位置より他端側の部位であって第1のガイドレールの他端側が前記マッサージエリアに対応するものとされているとよい。
【0008】
より好ましくは、前記ガイド手段は、前記第1のガイドレールの上方に配置され且つ前後方向に沿って配備された第2のガイドレールと、前記第2のガイドレールに係合しながら移動することで、前記基盤体を前後方向に案内する第2のガイド体と、を備えていているとよい。
より好ましくは、前記第2のガイド体は、前記第1のガイド体より一端側に位置し、前記第1のガイド体が回転駆動するものとされ、前記第1のガイドと第2のガイド体とは、前記第2のガイド体が第2のガイドレールの一端側に達した際に、前記第1のガイド体が第1のガイドレールの変曲位置に達するような位置関係とされているとよい。
【0009】
より好ましくは、前記第1のガイドレールは、前記変曲位置よりも後方が、第2のガイドレールと略平行となるように形成されているとよい。
より好ましくは、前記座部マッサージ機構は、前記第1のガイド体が第1のガイドレールの他端側に位置する場合には、姿勢の変更を伴うことなく前記マッサージ体を前後方向に移動させる構成とされているとよい。
【0010】
より好ましくは、前記座部マッサージ機構は、前記第1のガイド体が第1のガイドレールの一端側に位置する場合には、第2のガイドレールの一端側に達した第2のガイド体を中心に、前記基盤体の後部が降下するように当該基盤体を揺動させる構成とされているとよい。
より好ましくは、前記座部マッサージ機構は、回転駆動力を発生する駆動部と、前記駆動部で発生する回転駆動力により回転駆動される回転軸と、前記回転軸の回転駆動力を変換することで左右方向に揺動するマッサージ体と、前記駆動部、回転軸、及びマッサージ体を搭載する基盤体と、を有し、前記マッサージ体と基盤体との間には、ダンパー手段が設けられているとよい。
【0011】
より好ましくは、前記マッサージ体は、前記回転軸の回転駆動力により左右方向に揺動するマッサージアームと、前記マッサージアームの先端に設けられた施療子と、を有しており、前記施療子が、前記マッサージアームの先端に並んで2個以上設けられているとよい。
より好ましくは、前記座部の前側には、使用者の脚部を狭持することでマッサージするフットマッサージ機構が設けられており、前記フットマッサージ機構により脚部を狭持して固定したまま、前記座部マッサージ機構を前後方向に移動させることで、施療部に対してストレッチマッサージを行う構成とされているとよい。
【0012】
より好ましくは、前記座部の後側には背もたれ部が設けられ、前記背もたれ部の内側には使用者の背部をマッサージする背部マッサージ機構が設けられており、前記座部マッサージ機構を後方向に移動させると共に、使用者を持ち上げた状態に維持し、前記使用者を持ち上げた状態で、前記背部マッサージ機構を動作させるとよい。
より好ましくは、使用者によるマッサージ停止指令が入力された際には、前記座部マッサージ機構を収納エリアに移動させる構成とされているとよい。
また、本発明の最も好ましい実施の形態は、座部の内部に設けられると共に、前記座部に着座した使用者の少なくとも臀部を含む施療部をマッサージする座部マッサージ機構を備えたマッサージ機であって、前記座部の内部には、前後方向に沿って配設されて、前記座部マッサージ機構を前後方向に移動可能とするガイド手段が配設されていて、前記ガイド手段は、前後方向に沿って配備された第1のガイドレールと、前記第1のガイドレールの上方に配置され且つ前後方向に沿って配備された第2のガイドレールと、を備えていて、前記第1のガイドレールの前後方向の他端側は略水平に伸びていて、前記第1のガイドレールの前後方向の一端側は下傾斜状に延設されており、前記一端側と他端側との境が上方凸の円弧形状で変曲位置を有するものとされており、前記座部マッサージ機構
に設けられた第1のガイド体が、前記上方凸の円弧形状の変曲位置を通った後、前記第2のガイドレールの一端側
に位置する第2のガイド体を中心に、前記座部マッサージ機構の他端側が降下するように揺動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のマッサージ機によれば、臀部から太腿までの施療部(少なくとも臀部を含む施療部)を機械式で施療可能なマッサージ機構を採用したものでありながら、座面から離れた位置にマッサージ機構を収納することで着座時に使用者が感じる不快感を可能な限り低減させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のマッサージ機1の実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
図1に示すように、本実施形態のマッサージ機1は、使用者の臀部を下方から支持するに十分な広さを備えた座部2と、この座部2の後側に設けられた背もたれ部3と、座部2の前側に設けられたフットレスト部4と、を有している。上述した座部2の内側には使用者の臀部から下肢までの施療部(以下、単に施療部という)に対してマッサージを行う座部マッサージ機構5が設けられている。さらに、座部2の前方のフットレスト部4には、使用者の下肢を差し込み可能な形状に形成されると共に差し込まれた使用者の下肢に対してエアーバッグによるマッサージを可能とするフットマッサージ機構6が設けられている。
【0016】
以降では、本実施形態のマッサージ機1を構成する座部2、背もたれ部3、フットレスト部4について説明する。
なお、以降でマッサージ機1を説明する際には、
図1に示すように、起立状態にある椅子型マッサージ機の背もたれ部3の高さ方向を上下方向とおき、この上下方向を基準に左右方向や前後方向を決めて説明を行う。これらの方向は、マッサージ機1に着座した使用者から見た上下方向、左右方向、前後方向と一致するものとなっている。図における方向と実際の装置における方向との関係を明らかにするために、代表的な図に、本実施形態の説明で用いる左右方向(幅方向)及び前後方向を明示した。
【0017】
図2に示すように、座部2は、角棒状の部材を組み合わせた支持フレーム7を有している。この支持フレーム7の内側には、座部マッサージ機構5を前後方向に移動可能とするガイド手段8が配設されている。このガイド手段8は、前後方向に沿って配設されたガイドレール(後述する第1のガイドレール9や第2のガイドレール10)を備えていて、ガイドレールに沿って座部マッサージ機構5を前後方向に移動可能としている。なお、図示は省略するが、上述した支持フレーム7の上部には使用者が着座時に使用するクッション部材が設けられており、また座部マッサージ機構5やガイド手段8はケーシングなどで覆われていて、外側からは異物などが進入できないようになっている。
【0018】
図1に示すように、背もたれ部3は、座部2の後方に位置した部材であり、使用者がもたれかかることができるようになっている。背もたれ部3の内側には、使用者の肩部から背部を通って腰部までの広い範囲に対して揉み、叩き、又は掴みマッサージを行う背部マッサージ機構11と、この背部マッサージ機構11を上下方向に案内可能な背部レール12(背部ガイドレール)と、が設けられている。また、背もたれ部3の前側は前方に向かって開口していて、背部マッサージ機構11から背部マッサージ用のマッサージ部材を前方に突出させることが可能となっている。さらに、背もたれ部3の左右両側には、使用者の上腕に対してエアーバッグを用いた押圧マッサージを可能とする上腕マッサージ部13が前方に向かって突出するように設けられている。
【0019】
フットレスト部4は、座部2の前方に配備されており、内部に設けられたフットマッサージ機構6で使用者の下肢をマッサージ可能とされている。具体的には、フットレスト部4は、上部フットマッサージ体14と、上部フットマッサージ体14に対して上下方向に移動可能とされた下部フットマッサージ体15と、を有している。上部フットマッサージ体14及び下部フットマッサージ体15には、使用者が下肢を差し込むことができる凹部16が左右にそれぞれ形成されており、それぞれの凹部16の内側には使用者の下肢に対して押圧マッサージを可能とするエアーバッグが配備されていて、上下のエアーバッグをそれぞれ用いて使用者の脚部を狭持してマッサージする構成となっている。つまり、本実施形態では上下のエアーバッグによりフットマッサージ機構6が構成されている。
【0020】
また、座部2の下方には、図示は省略するが、フットレスト部4の上部を中心にフットレスト部4の下部を跳ね上げ方向に揺動させるフットレスト揺動機構や、フットレスト部のエアーバッグにエアーを供給するコンプレッサなどが配備されている。
次に、本発明のマッサージ機1の特徴である座部マッサージ機構5、及びこの座部マッサージ機構5を前後方向に移動させるガイド手段8について説明する。
【0021】
図3に示すように、座部マッサージ機構5は、ガイド手段8(第1のガイドレール9及び第2のガイドレール10)により移動可能とされた基盤体17(ベース体)と、この基盤体17に取り付けられると共に座部2に着座した使用者の施療部をマッサージ可能とされたマッサージ体18と、基盤体17とマッサージ体18との間に配備されたダンパー手段19と、を有している。
【0022】
座部マッサージ機構5を構成する部材のうち、マッサージ体18は、回転駆動力を発生する駆動部20と、駆動部20で発生する回転駆動力により回転駆動される回転軸21と、回転軸21の回転駆動力を変換することで左右方向に揺動するマッサージ部材22(偏心ボス部材)と、を備えている。
具体的には、本実施形態の座部マッサージ機構5を構成する駆動部20は、後方やや上向きに駆動軸20aが向くように配備された電動モータから構成されている。この駆動部20の駆動軸20aの上側には、上述した回転軸21が交差状に配備されている。この駆動軸20aと回転軸21との間には、ウォームギヤ23及びウォームホイール24が設けられており、駆動部20(電動モータ)で発生した回転駆動力を減速しつつ回転軸21に伝達可能とされている。
【0023】
また、回転軸21には、回転軸21の回転駆動力を用いて左右方向に揺動するマッサージ部材22が設けられている。このマッサージ部材22は、回転軸21に対して同伴回転する偏心ボス部材と、偏心ボス部材の外周面に形成されると共に回転軸21の軸心に対して傾斜した軸心回りを周回する傾斜カム面に対して、基端側が摺動自在に嵌り込むマッサージアーム25と、マッサージアーム25が偏心ボス部材と同伴して回転することを規制する規制部26(基盤体17に形成された規制溝とこの規制溝に左右方向に移動自在に嵌り込む規制ピン34)と、を有している。このマッサージアーム25の先端には、施療部に接触して施療を行う施療子27が配備されている。
【0024】
上述した施療子27は、マッサージアーム25の先端に並んで2個以上設けられている。具体的には、本実施形態のマッサージ体18は、回転軸21の前側に伸びる前アーム体28と、回転軸21の後側に伸びる後アーム体29と、を備えていて、前アーム体28及び後アーム体29の先端に施療子27が左右に並んで2個づつ配備されている。このようにマッサージアーム25の先端に並んで2個以上の施療子27を設ければ、座部2における左右方向の広い範囲に対して施療子27を接触可能となり、臀部の左端から右端までを余すことなく施療することが可能となる。
【0025】
なお、本実施形態のマッサージ機1に設けられる座部マッサージ機構5は、施療部に対して揉みマッサージを行う構成となっている。しかし、本発明のマッサージ機1に設けられる座部マッサージ機構5には、揉みマッサージを行うものだけでなく、叩きマッサージを行うもの、掴みマッサージを行うもの、あるいは揉みマッサージ、叩きマッサージ、掴みマッサージなどのマッサージを組み合わせて行うものを用いることができる。
【0026】
座部マッサージ機構5を構成する部材のうち、基盤体17は、上述したガイド手段8により前後方向に移動可能とされると共に、マッサージ体18(言い換えれば、駆動部20、回転軸21、及びマッサージ部材22)を搭載可能とされている。この基盤体17の中央は下方に向かって凹んだ形状に形成されており、中央の凹んだ部分にダンパー手段19が設けられている。
【0027】
上述したダンパー手段19は、使用者が座部2に着座した際の衝撃がマッサージ体18に直に加わらないように、衝撃を減衰する目的で設けられている。具体的には、このダンパー手段19には、マッサージ体18(詳しくは、ウォームギヤ23及びウォームホイール24が格納されたケース体の下面)と基盤体17との間に配備された左右2個のコイルバネで構成されており、上方から加わった衝撃を、コイルバネを縮めることで緩和し、もってマッサージ体18やガイド手段8を衝撃から保護できるようになっている。
【0028】
図4に示すように、ガイド手段8は、上述した座部マッサージ機構5を前後方向に移動させるものであり、本実施形態では前後方向に沿って配備された2本のガイドレールと、座部マッサージ機構5に設けられると共にこれらのガイドレールに沿って案内される2つのガイド体と、を備えている。
これら2本のガイドレールのうち、下側に位置するものが第1のガイドレール9であり、上側に位置するものが第2のガイドレール10である。また、第1のガイド体30は、第1のガイドレール9に係合しながら移動することで、基盤体17(座部マッサージ機構5)を前後方向に案内する構成となっている。さらに、第2のガイド体31は、第2のガイドレール10に係合しながら移動することで、基盤体17を前後方向に案内する構成となっている。
【0029】
第1のガイドレール9は、基盤体17の第1ガイド体30を案内可能なものであり、前端部9Fと後端部9Rとで傾斜方向が異なるように形成されている。つまり、第1のガイドレール9の後端側9Rは略水平に伸びていて、第1のガイドレール9の前端側9Fは前方に向かって下傾斜状に延設されており、前端部9Fと後端部9Rとの境が上方凸形状の変曲位置とされている。
【0030】
また、第1ガイドレール9の前端は、座部2の前端よりも後側に位置しており、第1ガイドレール9は座部2より前方に飛び出すことがないようになっていて、第1ガイドレール9がフットレスト部4と位置的に干渉することを回避できるようになっている。
さらに、第1のガイドレール9は、座部2の内部であって上下方向における略中央位置に配置され、座部2の内部の左右両側にそれぞれ配備されており、左右の第1のガイドレール9は互いに同じ高さに形成されていて、基盤体17を水平に保持できるようになっている。
【0031】
左右の第1のガイドレール9は、それぞれ上方に向かって突出するラック歯32を前後方向に複数並んで有しており、これらのラック歯32に第1のガイド体30を噛み合わせることで基盤体17は前後方向に移動可能とされている。
第1のガイド体30は、座部マッサージ機構5の基盤体17の後部側に設けられた走行ギヤ33を有している。この走行ギヤ33は、左右の第1のガイドレール9に対応して左右に1つずつ設けられている。この走行ギヤ33は、上述した第1のガイド体30のラック歯32に噛み合う(係合する)ことが可能なギヤ部材であり、図示を省略するモータなどを用いて回転方向を切り換え可能に回転駆動されている。つまり、第1のガイド体30を一方向に回転駆動すれば、第1のガイド体30が第1のガイドレール9に噛み合いながら前進し、第1のガイド体30を他方向に回転駆動すれば、第1のガイド体30が第1のガイドレール9に噛み合いながら後退する。
【0032】
第2のガイドレール10は、基盤体17の第2ガイド体31を案内可能なものであり、第1のガイドレール9とは異なり後方から前方やや上側に向かって直線状に形成されている。また、第2のガイドレール10は、第2ガイド体31をスライド状態で案内可能な溝として形成されており、溝の内側にはラック歯を備えていない。
第2のガイドレール10は、座部2の内部であって上下方向における略上部位置に配置され、座部2の内部の左右両側にそれぞれ配備されている。
【0033】
第2のガイドレール10の長さは、第1のガイドレール9よりも短く形成されている。具体的には、後端から前端までの第2のガイドレール10の長さは、第1のガイドレール9における後端から変曲位置Aまでの距離にほぼ等しくなるように形成されている。また、第2のガイドレール10の先端が、第1のガイドレール9の先端より前方に突出した位置となるように、第2のガイドレール10は配設されている。
【0034】
それゆえ、第1のガイドレール9の後端から変曲位置Aまで第1のガイド体30が移動した際には、第2のガイドレール10の後端から前端まで第2のガイド体31が移動し、第2のガイド体31は第2のガイドレール10の前端に当接してそれ以上は前方に移動できなくなる。つまり、変曲位置Aよりも前側に位置する第1のガイドレール9は、第2のガイドレール10の前端を中心に円弧状の軌跡を描くように形成されており、円弧状の軌跡を描く第1のガイドレール9に沿って第1のガイド体30を案内することで、ガイド手段8は基盤体17(座部マッサージ機構5)を第2のガイドレール10の前端(第2のガイド体31)を中心に、基盤体17の後部が降下するように揺動させる構成となっている。
【0035】
第2ガイド体31は、基盤体17の前端側に設けられて、第2のガイドレール10に沿って移動可能とされている。具体的には、第2のガイド体31は、基盤体17から左右両側に向かって突出するボス部材であり、溝状に形成された第2のガイドレール10に嵌め込み可能とされている。つまり、上述したように第1のガイドレール9に比べれば第2のガイドレール10は上下方向の高さをあまり変化させない構成となっているので、基盤体17を前後方向に移動させた際には、第2のガイド体31が第2のガイドレール10に嵌り込んだまま、基盤体17は前端の高さを変えずに前後方向に移動することになる。
【0036】
図4に「A」で示すように、第1のガイドレールの変曲位置Aは、前後方向の中間に対して、中間よりやや前端よりに位置しており、上方に凸形状となるように湾曲した部分である。この第1のガイドレール9が変曲する変曲位置Aより前側が「収納エリア」に対応しており、上述した第1のガイド体30が変曲位置Aより前側に存在する場合を、「座部マッサージ機構5が収納エリアにある」という。また、変曲位置Aより後側が「マッサージエリア」に対応しており、上述した第1のガイド体30が変曲位置Aより後側に存在する場合を、「座部マッサージ機構5がマッサージエリアにある」という。つまり、上述したガイド手段8は、マッサージエリアと収納エリアとの双方に跨るように配備されたものとなっている。
【0037】
次に、「座部マッサージ機構5(基盤体17)が収納エリアにある」場合と、「座部マッサージ機構5(基盤体17)がマッサージエリアにある」場合とで、座部マッサージ機構5の姿勢がどのように変化するかを、
図5〜
図7を用いて説明する。
図5に示すように、「座部マッサージ機構5がマッサージエリアにある」場合には、第2のガイド体31が第2のガイドレール10に嵌り込み、第1のガイド体30が第1のガイドレール9の後端側に形成されたラック歯32に噛み合っている。この状態では、マッサージ体18の先端、より正確には前アーム体28の施療子27と後アーム体29の施療子27とはいずれも支持フレーム7の上面よりも上側に突出しているため、施療子27から施療部までの距離が近くなって、施療部(使用者の臀部)に対して施療子27による機械的マッサージを効果的に行うことが可能となる。
【0038】
また、第1のガイド体30を回転駆動させると、第1のガイド体30が第1のガイドレール9のラック歯32に噛み合うと共に第2のガイド体31が第2のガイドレール10に嵌り込んだまま前進する。このとき、第1のガイドレール9の後端側と、第2のガイドレール10とは、ほぼ平行に形成されているため、座部マッサージ機構5は姿勢を変更することなく前方に移動する。そのため、「座部マッサージ機構5がマッサージエリアにある」場合には、施療部に対するマッサージを効果的に行い続けることができる。
【0039】
図6に示すように、やがて第1のガイド体30が第1のガイドレール9の変曲位置Aに達する際には、第2のガイド体31も第2のガイドレール10の前端に達し、第2のガイド体31はこれ以上前方に移動できなくなる。一方、変曲位置Aよりも前側の第1のガイドレール9Fは、第2のガイドレール10の前端を中心に円弧状の軌跡を描くように形成されているため、変曲位置Aよりもさらに前方に第1のガイド体30を案内すれば、基盤体17(座部マッサージ機構5)は第2のガイドレール10の前端(第2のガイド体31)を中心に、基盤体17の後部が降下するように揺動するようになる。
【0040】
図7に示すように、「座部マッサージ機構5が収納エリアにある」場合には、第2のガイド体31の位置は
図6の位置(第2のガイドレール10の前端)から変化することない。しかし、第1のガイド体30は第2のガイドレール10の前端を中心に円弧状の軌跡を描く第1のガイドレール9の前端側9Fに案内される。その結果、基盤体17(座部マッサージ機構5)は第2のガイドレール10の前端(第2のガイド体31)を中心に、基盤体17の後部が降下するように揺動し、座部マッサージ機構5の姿勢が傾斜するようになる。
【0041】
このように座部マッサージ機構5の姿勢が傾斜した状態では、前アーム体28の施療子27と後アーム体29の施療子27との2つの施療子のうち、前側の施療子27は支持フレーム7の上面よりも上側に突出しているが、後側の施療子27は支持フレーム7の上面よりも下側に下がっているため、施療子27から施療部までの距離が遠くなる。つまり、「座部マッサージ機構5が収納エリアにある」場合には、座面から離れた位置に座部マッサージ機構5が収納されるため、着座時に施療子27からの衝撃が加わって使用者に不快な思いをさせることが抑制される。
【0042】
その結果、本実施形態のマッサージ機では、臀部から太腿までの施療部(少なくとも臀部を含む施療部)を機械式で施療可能なマッサージ機構1を採用したものでありながら、座面から離れた位置にマッサージ機構1を収納することができ、着座時に使用者が感じる不快感を可能な限り低減させることが可能となる。
ところで、上述したように、座部マッサージ機構5は、座部2に着座した使用者の臀部から太腿の裏側にかけてを効果的にマッサージすることが可能であり、座部マッサージ機構5が収納エリアに位置する収納時には、座部マッサージ機構5が沈み込むことで、使用者にその存在を感じさせることはない。
【0043】
このような著しい作用効果を奏する座部マッサージ機構5は、更なる効果的なマッサージを行うこともできる。
例えば、上述したフットマッサージ機構6により使用者の脚部(下肢)を狭持して固定する。このようにすれば、フットマッサージ機構6により使用者の脚部(下肢)が固定される。そして、フットマッサージ機構6により使用者の脚部(下肢)を固定したまま、ガイド手段8により座部マッサージ機構5を前後方向に往復移動させ、座部マッサージ機構5で施療部をマッサージする。このようにすれば、施療子27で臀部から太腿を伸ばすように引っ張ることができ、臀部から太腿に対してストレッチマッサージを行うことができる。
【0044】
また、
図5に示すように、座部マッサージ機構5を座部2の後方へ移動させる。このとき、引っ張りバネ36(基盤体17側と前アーム体28の先端とを結ぶバネ)により、前アーム体28より後アーム体29が上方に上がったようになっているため、座部2に着座する使用者を持ち上げた状態とすることができる。この状態に維持し、背部マッサージ機構37を動作させる。このようにすれば背部レール12を十分に下側まで伸ばすことができないような場合であっても、使用者の腰部に対する背部マッサージ機構5のマッサージを効果的に付与することができるようになる。
【0045】
ところで、本実施形態の場合、座部マッサージ機構5を認識するため、位置認識部材(リミットスイッチ35)を備えている。具体的には、
図5〜
図7に示すように、上述した第1のガイドレール9における第1のガイド体30の移動経路上や第2のガイドレール10における第2のガイド体31の移動経路上にリミットスイッチ35を設けておき、リミットスイッチ35で背部マッサージ機構5の位置や状態を確認している。
【0046】
例えば、本実施形態では、第2のガイドレール10の後端側と前端側とに1個ずつ、第1のガイドレール9の前端側に1個、合わせて3箇所にリミットスイッチ35を設けている。このようなリミットスイッチ35を設ければ、それぞれのリミットスイッチ35からの信号に基づいて座部マッサージ機構5が「マッサージエリア」、「収納エリア」、乃至は両エリアの中間位置のいずれに位置しているかを判断することができる。中間位置を正確に認識するため、第1のガイドレール9の変曲位置Aにリミットスイッチ35を設けてもよい。
【0047】
また、座部マッサージ機構5の位置が確認できれば、マッサージを行わないとき、言い換えれば使用者が座部2に着座する際には座部マッサージ機構5を収納エリアに保持しておき、座部2に着座した使用者がマッサージの指令を発してから座部マッサージ機構5を収納エリアからマッサージエリアに移動させるといった使用態様を採用することができる。このようにすれば、座部2に着座する際に座部マッサージ機構5に当たった衝撃で使用者が不快な思いをすることがなくなる。
【0048】
さらに、マッサージを行う際は、第2のガイドレール10の後端側と前端側とのリミットスイッチ35間を座部マッサージ機構5が往復するようにすることができ、使用者の臀部から太腿に亘る施療部を重点的にマッサージすることも可能となる。
以下に示すようなマッサージ動作は、座部マッサージ機構5、背部マッサージ機構37、フットマッサージ機構6の協働的な動きは、これらを制御する制御部や、この制御部に対してマッサージ動作を指令するコントローラなどを用いて行うことができる。
【0049】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
【0050】
上述した実施形態では、座部マッサージ機構5の収納エリアが座部2の前側に設けられ、座部マッサージ機構5のマッサージエリアが座部2の後側に設けられた例を挙げて、本発明のマッサージ機を説明した。しかし、座部マッサージ機構5の収納エリアが座部2の後側に設けられ、座部マッサージ機構5のマッサージエリアが座部2の前側に設けられていても良い。
【0051】
言い換えれば、本実施形態の説明においては、第1のガイドレール9及び第2のガイドレール10の一方端が前方を向き、他方端が後方を向く形態を例示して説明を行ったが、前後方向に沿って反対向きに、第1のガイドレール9及び第2のガイドレール10を配備してもよい。その場合、第1のガイドレール9及び第2のガイドレール10の一方端が後方を向き、他方端が前方を向く形態となる。
【0052】
また、本実施形態の説明においては、第1のガイドレール9、第2のガイドレール10の後端(他方端)は、座部2の後端部において終端するように設けられていたが、そのまま延長され、背もたれ部3内を上方へ向かって伸びるように敷設してもよい。こうすることで、座部マッサージ機構5を背もたれ部3内で移動させ、背部マッサージ機構11として使用することも可能となる。
【0053】
また、本実施形態の説明においては、座部マッサージ機構5は「揉みマッサージ」を行うものとして説明を行った。しかしながら、座部マッサージ機構5は、例えば「叩きマッサージ」のような他の種類のマッサージを付与可能なものであってもよい。マッサージを発生する機構は様々なものが採用可能である。