(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のサクション基礎と、前記複数のサクション基礎に取り付けられたジャケットと、を有してなる着床式基礎の前記ジャケットの位置を調整するジャケット位置調整機構であって、
前記複数のサクション基礎は、少なくとも上方が開口している内空部を有する連結用さや管を一体的にそれぞれ備え、
前記ジャケットは下方に延びるレグを複数有し、
前記複数のレグは、対応する前記連結用さや管にそれぞれ差し込まれており、
前記ジャケット位置調整機構は、
前記連結用さや管と該連結用さや管に差し込まれた前記レグとを仮固定する仮固定機構と、
前記複数のレグのそれぞれの高さ位置を調整する高さ位置調整機構と、
を有していることを特徴とするジャケット位置調整機構。
前記高さ位置調整機構は、前記レグの下端と前記サクション基礎の間に配置されており、かつ、前記連結用さや管の内側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のジャケット位置調整機構。
前記連結用さや管の前記仮固定用の孔は複数あって前記連結用さや管の周方向に異なる位置に設けられており、前記レグの前記仮固定用の孔は複数あって前記レグの周方向に異なる位置に設けられていることを特徴とする請求項7に記載のジャケット位置調整機構。
前記連結用さや管の前記複数の仮固定用の孔は、前記連結用さや管の高さ方向に異なる位置に設けられており、前記レグの前記複数の仮固定用の孔は、前記レグの高さ方向に異なる位置に設けられていることを特徴とする請求項8に記載のジャケット位置調整機構。
前記連結用さや管の前記複数の仮固定用の孔は、異なる2つの高さ位置に、それぞれ8つずつ、前記連結用さや管を周方向に略等分する位置に設けられており、前記レグの前記複数の仮固定用の孔は、異なる2つの高さ位置に、それぞれ8つずつ、前記レグを周方向に略等分する位置に設けられていることを特徴とする請求項9に記載のジャケット位置調整機構。
前記連結用さや管の前記仮固定用の孔の内周面にはねじ切り加工がされており、前記棒状部材の外周面にも、前記連結用さや管の前記仮固定用の孔の内周面の前記ねじ切り加工に対応するようにねじ切り加工がなされており、さらに前記棒状部材の先端は円錐状に加工されていることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載のジャケット位置調整機構。
前記連結ロッドの前記一端は、前記レグの外周面に連結されたブラケットとピン接合されており、かつ、前記連結ロッドの前記他端は、フック構造になっていることを特徴とする請求項13に記載のジャケット位置調整機構。
前記連結ロッドの前記一端は、フック構造になっており、かつ、前記連結ロッドの前記他端は、前記連結用さや管の外周面に連結されたブラケットとピン接合されていることを特徴とする請求項13に記載のジャケット位置調整機構。
前記一体化工程では、前記レグと該レグが差し込まれている前記連結用さや管との間にグラウト材を充填して一体化することを特徴とする請求項18または19に記載の着床式基礎の構築方法。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0047】
(1)第1実施形態
(1−1)第1実施形態の構成
図1は、本発明の第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10を用いて構築された風力発電用の洋上風車100の正面図であり、
図2は、洋上風車100の着床式基礎30の部位を拡大して示す正面図であり、
図3は
図2のIII−III線断面図である。
図4は、着床式基礎30のサクション基礎32の側面図である。
図5は、本第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10を適用するジャケット40の側面図である。ただし、ジャケット位置調整機構10を
図1、
図2および
図5に記載することは縮尺の関係で困難であるため、
図1、
図2および
図5へのジャケット位置調整機構10の記載は省略している。
【0048】
以下では、(1−1−1)で、主に
図1〜
図5を用いて、ジャケット位置調整機構10の適用対象である着床式基礎30(サクション基礎32およびジャケット40)について説明した後、(1−1−2)で、主に
図6〜
図15を用いて、本発明の第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10について説明する。洋上風車100は、ジャケット位置調整機構10の直接の適用対象ではないが、(1−1−1)で併せて説明する。
【0049】
(1−1−1)第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10の適用対象の構成
風力発電用の洋上風車100は、着床式基礎30と、風車本体部102とを有して構成されており、風車本体部102が着床式基礎30によって支持されて構成されている。風車本体部102は、風車タワー104と、ハブ106と、ブレード108とを有してなる。
【0050】
着床式基礎30は、水底120に設置されたサクション基礎32と、サクション基礎32に支持されたジャケット40と、を有してなる。サクション基礎32は、自身の重量およびバラストの重量に加えてサクションによる圧力によって設置位置を安定させて、上部構造である風車本体部102を安定的に支持する基礎である。
【0051】
サクション基礎32は、
図1〜
図4に示すように、全体の形状は円柱状であり、上方から見た形状は円である。
図1〜
図4に示すように、着床式基礎30は4つのサクション基礎32を有しており、上方から見ると、4つのサクション基礎32はほぼ正方形の頂点上にそれぞれ配置されている。4つのサクション基礎32は、その上面にそれぞれ1つの連結用さや管34を一体的に備えており、着床式基礎30は合計で4つの連結用さや管34を備えている。上方から見ると、4つの連結用さや管34はほぼ正方形の頂点上にそれぞれ配置されている。
【0052】
サクション基礎32の水底120への貫入は、サクションホース16(
図6参照)によってサクション基礎32内の水を排水し、サクション基礎32内を静水圧以下にすることによって生じるサクション力を利用して行う。
【0053】
サクション基礎32は、サクションホース16からサクション基礎32内に注水することにより、容易に撤去することができる。
【0054】
サクション基礎32のこの撤去の容易さは、運用終了後の全撤去を前提とする風力発電において、他の基礎形式よりも優位性がある。
【0055】
サクション基礎32の材質は特には限定されず、例えば鋼製でもコンクリート製でもよい。
【0056】
連結用さや管34は鋼製であり、少なくとも上方が開口している内空部を有する。
【0057】
連結用さや管34には、ジャケット40のレグ42を仮固定する際に用いる仮固定用の孔34A(
図6および
図7参照)が側面を貫通して設けられており、また、連結用さや管34の内周面には、スペーサ34B(
図6参照)が設けられている。スペーサ34Bは、連結用さや管34に差し込まれたレグ42の外周面と、連結用さや管34の内周面との間の間隔を所定の間隔に保ちつつ、連結用さや管34にレグ42を差し込みやすくする。
【0058】
ジャケット40は、
図5に示すように、レグ42と、ブレース44と、補強水平部材46と、接合部48と、を有してなり、ジャケット40の上方に設置される上部構造(風車本体部102)の自重や上部構造(風車本体部102)に加わる外力(風荷重や地震荷重等)をサクション基礎32に伝達して、上部構造を安定的に支持する。
【0059】
レグ42は、円柱状の鋼管であり、ジャケット40が前記した作用を発揮する上で中心的に働く部材である。ジャケット40にレグ42は4本備えられており、上方から見ると、4本のレグ42は下方にいくに従って、正方形の対角線方向に広がるように傾斜して配置されている。レグ42の鉛直方向に対する傾斜角度は、安全が確認できれば特には限定されないが、ジャケット40では20°程度にしている。
【0060】
レグ42の下端部は鉛直部42Aとなっており、鉛直部42Aは長手方向が略鉛直方向となっている。4本のレグ42の鉛直部42Aの位置に合わせて、4つの連結用さや管34がサクション基礎32の上部に配置されており、4本のレグ42の鉛直部42Aは、連結用さや管34の内空部にそれぞれ差し込まれている。レグ42が連結用さや管34に差し込まれた部位は、二重管構造となっている。また、レグ42の鉛直部42Aの下端部には、レグ42の鉛直部42Aの水平断面の外形に対応する形状のレグ底板42Bが溶接により取り付けられている。また、レグ42の鉛直部42Aの内部の下部にはグラウト材12A(
図6参照)が充填されている。グラウト材12Aが充填されている範囲(グラウト材充填部42D(
図6参照))は、レグ42の下端のレグ底板42Bからレグ42の鉛直部42Aの直径の2倍程度の高さ範囲である。また、レグ42の鉛直部42Aの側面(グラウト材充填部42Dと同じ高さ範囲の側面)には、連結用さや管34との仮固定に用いる仮固定用の長孔42C(
図6参照)が貫通して設けられている。仮固定用の長孔42Cにおいては、レグ42の鉛直部42Aの内部の下部に充填されたグラウト材12Aが表面に見えている。
【0061】
隣り合うレグ42の間には、
図5に示すように、ブレース44が斜めに交差するように配置されており、ブレース44の端部はレグ42の外周面に連結されている。ブレース44は円柱状の鋼管である。
【0062】
また、隣り合うレグ42の間には、
図5に示すように、補強水平部材46が水平方向に配置されており、補強水平部材46の端部はレグ42の外周面(鉛直部42Aよりもやや上方の地点の外周面)に連結されている。補強水平部材46は円柱状の鋼管である。
【0063】
ブレース44および補強水平部材46は、ジャケット40が安定的に形状を保つために設けられている補強部材である。
【0064】
本第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10を適用するジャケット40では、レグ42、ブレース44および補強水平部材46に円柱状の鋼管を用いているが、レグ42、ブレース44および補強水平部材46に用いることができる鋼管は円柱状の鋼管に限定されるわけではなく、断面形状が多角形の鋼管を用いることも可能である。
【0065】
接合部48は、ジャケット40の上端部に設けられた部位であり、上部構造(風車本体部102)をジャケット40に安定的に連結するための部位である。
【0066】
接合部48は、連結用鋼管48Aと、上フランジ48Bと、下フランジ48Cと、ウェブ48Dと、を有してなる。
【0067】
連結用鋼管48Aの上端部には上フランジ48Bが取り付けられており、連結用鋼管48Aの下端部には下フランジ48Cが取り付けられている。連結用鋼管48Aの上フランジ48Bは、上部構造の下端部(風車タワー104の下端部)のフランジ(図示せず)と、ボルトによるフランジ継手を形成しており、このフランジ継手によって、風車タワー104はジャケット40に連結している。
【0068】
また、上フランジ48Bおよび下フランジ48Cはレグ42とも連結されており、上部構造(風車本体部102)に加わる転倒モーメントは、上フランジ48Bおよび下フランジ48Cで偶力に変換されてジャケット40へと伝達される。
【0069】
また、ウェブ48Dは、その外周が、連結用鋼管48Aの外周面、上フランジ48Bの下面、下フランジ48Cの上面、およびレグ42の外周面に取り付けられており、上部構造(風車本体部102)の自重による鉛直力は、ウェブ48Dでせん断力に変換されてジャケット40へと伝達される。
【0070】
(1−1−2)第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10の構成
図6は、本第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10を模式的に示す鉛直断面図であり、
図7は、
図6のVII−VII線断面図である。
【0071】
本第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10は、仮固定機構12と、高さ位置調整装置14と、を有してなる。
図6の符号18は台座であり、サクション基礎32の上面32Aとレグ42のレグ底板42Bとの間に配置して、サクション基礎32の上面32Aとレグ42のレグ底板42Bとの間の当初の仮固定時(水底120に据え付けるまでの仮固定時)の距離を定める部材である。
【0072】
本第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10を適用したジャケット40は、水底120の所定の地点に据え付けて、サクション基礎32との仮固定を解除するまでは、ジャケット位置調整機構10の仮固定機構12によって、サクション基礎32と仮固定されている。ジャケット40のレグ42がサクション基礎32の連結用さや管34に差し込まれた状態で、ジャケット位置調整機構10の仮固定機構12によって、ジャケット40のレグ42がサクション基礎32の連結用さや管34に仮固定された構造物であって、水底120に据え付けて当初の仮固定を解除する前までの状態にある構造物を、本願においては、着床式基礎仮固定体36(
図5および
図6参照)と称することとする。
【0073】
仮固定機構12は、仮固定用の孔34Aが設けられた連結用さや管34と、下端部(鉛直部42A)に仮固定用の長孔42Cが設けられたレグ42と、レグ42の下端部(鉛直部42A)の内部の下部に充填されたグラウト材12Aと、連結用さや管34の仮固定用の孔34Aおよびレグ42の仮固定用の長孔42Cを挿通する棒状部材12Bと、を備える。
【0074】
グラウト材12Aは、レグ42の下端部(鉛直部42A)の内部の下部に充填されて硬化したグラウト材である。グラウト材12Aは、先端が円錐状に加工された棒状部材12Bをねじ込むことが可能な材質で、かつ、サクション基礎32の重量の支持などに必要な強度が確保できる材質であればよく、例えば、ベントナイトグラウトを用いることができる。レグ42の下端部(鉛直部42A)の内部の下部にグラウト材12Aを充填する範囲(レグ42のグラウト材充填部42D)は、レグ42の下端のレグ底板42Bからレグ42の直径の2倍程度の高さ範囲である。
【0075】
棒状部材12Bは、鋼製の鋼棒であり、先端が円錐状に加工されている。また、外周面にはねじ切りがなされている。棒状部材12Bの外周面のねじ切りは、連結用さや管34の仮固定用の孔34Aの内周面に設けられたねじ切り加工に対応するように、ねじ切り加工がなされており、棒状部材12Bは、連結用さや管34の仮固定用の孔34Aにねじ込むことができるようになっている。また、棒状部材12Bは、先端が円錐状に加工されていて、グラウト材12Aにねじ込むことができるようになっている。
【0076】
連結用さや管34には、
図6に示すように、仮固定用の孔34Aが、グラウト材充填部42Dの上部および下部に対応する高さ位置に設けられている。また、それぞれの高さ位置において、
図7に示すように、周方向に等分するように8つの仮固定用の孔34Aが設けられている。仮固定用の孔34Aの内周面にはねじ切り加工がなされていて、外周面にねじ切り加工がなされた棒状部材12Bをねじ込むことができるようになっている。
【0077】
レグ42は、下端部(鉛直部42A)の内部の下部にグラウト材12Aが充填されている。グラウト材12Aが充填されている範囲(グラウト材充填部42D)は、レグ42の下端のレグ底板42Bからレグ42の直径の2倍程度の高さ範囲である。ただし、グラウト材12Aを充填する範囲(グラウト材充填部42D)は、前記の範囲に限定されるわけではなく、設計で適宜に定めることができる。
【0078】
レグ42には、
図6に示すように、仮固定用の長孔42Cが、グラウト材充填部42Dの上部および下部に対応する高さ位置に設けられている。また、それぞれの高さ位置において、
図7に示すように、周方向に等分するように8つの仮固定用の長孔42Cが設けられている。仮固定用の長孔42Cは高さ方向に長い長孔であり、仮固定用の長孔42Cの高さ方向の長さは、着床式基礎仮固定体36製作時のジャケット40とサクション基礎32の組立精度や、着床式基礎仮固定体36の据付精度を考慮して設定する。
【0079】
鉛直部42Aの内部の下部にグラウト材12Aが充填されたレグ42を、サクション基礎32の連結用さや管34に差し込み、その状態において、
図6および
図7に示すように、連結用さや管34の仮固定用の孔34Aおよびレグ42の仮固定用の長孔42Cを挿通するように棒状部材12Bをねじ込み、さらに、棒状部材12Bをレグ42のグラウト材充填部42Dのグラウト材12Aにねじ込んでいくことで、レグ42をサクション基礎32の連結用さや管34に仮固定することができる。このようにして、レグ42をサクション基礎32の連結用さや管34に仮固定してなる構造体を、着床式基礎仮固定体36と称することとする。
【0080】
高さ位置調整装置14は、レグ42のレグ底板42Bの下方に配置されていて、連結用さや管34の内部に配置されており、略上下方向に伸縮することで、仮固定解除後のレグ42の高さ位置を調整する装置である。高さ位置調整装置14の高さ位置調整装置配管14Aは、レグ42の内部にレグ42の略長手方向に沿うように配置されていて、レグ42をその長手方向に挿通している。また、高さ位置調整装置14の高さ位置調整装置配管14Aは、レグ底板42Bの貫通孔42E(
図8および
図9参照)を略上下方向に挿通している。
【0081】
高さ位置調整装置14としては、エアージャッキやウォータージャッキ等を用いることができるが、圧力伝達媒体としては、精密な制御性等の観点から、非圧縮性流体を用いることが好ましい。ただし、本第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10を水域で使用する場合には、非圧縮性流体として水を使用することが好ましく、高さ位置調整装置14としてはウォータージャッキを用いることが好ましい。
【0082】
図8は、高さ位置調整装置14の収縮時の状態を模式的に示す鉛直断面図であり、
図9は、高さ位置調整装置14の膨張時の状態を模式的に示す鉛直断面図である。本第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10の当初の仮固定時(着床式基礎仮固定体36を水底120に据え付けるまでの仮固定時)においては、高さ位置調整装置14は、
図8に示すように収縮している。ジャケット位置調整機構10の当初の仮固定を解除して、レグ42の高さ位置を調整する段階で、
図9に示すように膨張させ、サクション基礎32の上面32Aとレグ底板42Bの間を押し広げるようにしてレグ42の高さ位置を調整する。
【0083】
(1−1−3)第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10の変形例
本第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10は、さらにサクションホース16を備えていてもよい。さらにサクションホース16を備えた態様は、第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10の変形例である。
【0084】
サクションホース16は、レグ42の外部に、レグ42の外周面に沿ってレグ42の略長手方向に配置する。サクションホース16は、サクション基礎32の内部をサクション基礎32の外部と連通させる管状体であり、サクションホース16は、サクション基礎32の上面32Aの貫通孔32B(
図10および
図11参照)を挿通して、サクション基礎32の内部を外部と連通させる。サクションホース16の内部空間は、その略長手方向に流体が移動可能である。したがって、サクションホース16を通して、サクション基礎32の内部から水を排水することができ、かつ、サクション基礎32の内部に水を注水することができる。
【0085】
サクションホース16は、伸縮しない本体部16Aと、伸縮可能な伸縮部16Bと、サクション基礎32の上面32Aを挿通してサクション基礎32に取り付けられている下端部16Cとからなっている。
【0086】
サクションホース16の本体部16Aは、ブラケット50を介してレグ42の外周面に取り付けられており、サクションホース16の下端部16Cは、サクション基礎32の上面32Aを挿通してサクション基礎32に取り付けられている。サクションホース16の伸縮部16Bの上端はフランジ16Dを介してサクションホース16の本体部16Aの下端に取り付けられており、サクション基礎32の伸縮部16Bの下端はフランジ16Eを介してサクションホース16の下端部16Cの上端に取り付けられている。
【0087】
レグ42と連結用さや管34の仮固定を解除して、高さ位置調整装置14によってレグ42の高さ位置を調整すると、それに伴って、ブラケット50とサクション基礎32の上面32Aとの間の距離が変更される。これに対応するため、サクションホース16には、最も高さ位置の低いブラケット50とサクション基礎32の上面32Aとの間に、伸縮可能な伸縮部16Bを設ける。
【0088】
サクションホース16の伸縮部16Bの具体例としては、
図10に示す伸縮部16B1や
図11に示す伸縮部16B2がある。
図10に示す伸縮部16B1は、長さに余裕を持たせた高圧ホースを伸縮部16Bに配置した例であり、
図11に示す伸縮部16B2は、伸縮可能な可撓伸縮管を伸縮部16Bに配置した例である。サクションホース16の伸縮部16Bに用いるホースはこれらの具体例に限定されるわけではなく、想定される仮固定解除後の伸縮量に追随でき、かつ、サクションホースとしての使用に耐えることができるホースであれば使用可能である。
【0089】
(1−2)第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10を用いたジャケット位置調整方法
本第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10を用いてジャケット位置の調整を行う場合、例えば次の(1a)〜(1g)の手順のようにして行うことができる。
【0090】
(1a)着床式基礎仮固定体36作製工程
高さ位置調整装置14をレグ42のレグ底板42Bの下面に取り付け、レグ42の内部にはレグ42の略長手方向に沿うように高さ位置調整装置配管14Aを配置する。高さ位置調整装置14および高さ位置調整装置配管14Aを前記のように配置した後、レグ42の下端部(鉛直部42A)の内部の下部に、予め所定の高さまで、グラウト材12A(例えばベントナイトグラウト)を充填して固化させて、グラウト材充填部42Dを形成する。
【0091】
サクション基礎32の上面32Aとレグ42のレグ底板42Bとの間の当初の仮固定時(着床式基礎仮固定体36を水底120に据え付けるまでの仮固定時)の距離を定め、その距離に応じた高さを有する台座18を、連結用さや管34の内部であって、かつ、サクション基礎32の上面32A上である位置に配置する。台座18の材質および形状は、レグ42から加わる荷重を支持することができれば特には限定されないが、サクション基礎32の上面32Aとレグ42のレグ底板42Bとの間には、高さ位置調整装置14も配置されるので、高さ位置調整装置14と干渉しない形状であることが台座18に要求され、また、高さ位置調整装置14と干渉しない位置に台座18を配置することが要求される。
【0092】
所定の形状の台座18を所定の位置に配置した後、
図12に示すように、ジャケット40のレグ42を、サクション基礎32の連結用さや管34の中に配置する。台座18は、連結用さや管34の内部の位置に配置しておかず、レグ42のレグ底板42Bの下面に取り付けておき、その状態のまま、ジャケット40のレグ42を、サクション基礎32の連結用さや管34の中に配置するようにしてもよい。
【0093】
ジャケット40のレグ42を連結用さや管34の中に配置した後、連結用さや管34の仮固定用の孔34Aおよびレグ42の仮固定用の長孔42Cを挿通するように棒状部材12Bをねじ込み、さらに、棒状部材12Bを、レグ42の下端部のグラウト材充填部42Dのグラウト材12Aにねじ込んでいくことで、
図12に示すように、レグ42をサクション基礎32の連結用さや管34に仮固定する。
【0094】
この仮固定においては、棒状部材12Bは、上側4本、下側4本の合計8本の鋼棒を用いる。
【0095】
この仮固定をジャケット40の4本のレグ42について行うことにより、ジャケット40とサクション基礎32が、ジャケット位置調整機構10の仮固定機構12によって仮固定されてなる着床式基礎仮固定体36を得ることができる。
図12は、着床式基礎仮固定体36の1本のレグ42についての鉛直断面図である。
【0096】
(1b)沈設工程
着床式基礎仮固定体36を据え付け地点まで運搬し、水底120の所定の地点に沈設する。沈設時にはサクションホース16を開放し、かつ、沈設速度もコントロールすることで、サクション基礎32のスカート内エアによる過大な浮力が仮固定部に作用しないように留意する。
【0097】
(1c)サクション工程
サクション基礎32を水底120に据え付ける際には、サクションホース16を用いてサクション基礎32の内部の水を抜き、サクション基礎32の内外の水圧差によって生じるサクション力でサクション基礎32を水底120に据え付ける。
図13は、着床式基礎仮固定体36のサクション基礎32を水底120に据え付けた後の状態を模式的に示す1本のレグ42についての鉛直断面図である。
【0098】
ジャケット40とサクション基礎32が、ジャケット位置調整機構10の仮固定機構12によって仮固定された状態で、4つのサクション基礎32が同時に水底120に据え付けられるので、型板(テンプレート)を用いずに複数(4つ)のサクション基礎32の据え付け状態(4つのサクション基礎32の据え付け位置および4つのサクション基礎32の鉛直度)を精度よく管理することができる。
【0099】
(1d)仮固定解除工程
仮固定に使用していた8本の棒状部材12Bを逆回転させて引き抜き、仮固定を解除して、レグ42を上下方向に移動可能な状態にする。
【0100】
(1e)レグ高さ調整工程
仮固定解除工程で仮固定を解除した後、高さ位置調整装置14でレグ42ごとに高さ位置を調整する。高さ位置調整装置14でレグ42ごとに高さ位置を調整することによって、サクション基礎32の貫入量で調整する場合よりも、基礎上端の接合フランジ面の水平度を精度よく管理することができる。
図14は、仮固定解除後に高さ位置の調整をし終えた状態を模式的に示す1本のレグ42についての鉛直断面図である。
【0101】
(1f)再仮固定工程
高さ位置の調整の終わったレグ42の位置状態を保持した状態で、連結用さや管34の仮固定用の孔34Aおよびレグ42の仮固定用の長孔42Cを挿通するように棒状部材12Bを再度ねじ込み、さらに、棒状部材12Bをレグ42のグラウト材充填部42Dのグラウト材12Aにねじ込んでいくことで、
図15に示すように、高さ調整の終わったレグ42をサクション基礎32の連結用さや管34に再度仮固定する。
【0102】
この再度の仮固定においては、棒状部材12Bは、上側4本、下側4本の合計8本の鋼棒を用いる。
【0103】
なお、再度の仮固定の際には、連結用さや管34の仮固定用の孔34Aおよびレグ42の仮固定用の長孔42Cは当初の仮固定で用いていないものを用いる。具体的には、当初の仮固定の際には、上下それぞれ4つの仮固定用の孔34Aおよび上下それぞれ4つの仮固定用の長孔42Cを用い、高さ位置調整後の再度の仮固定の際には、当初の仮固定では使用しなかった上下それぞれ4つの仮固定用の孔34Aおよび上下それぞれ4つの仮固定用の長孔42Cを用いるようにする。
【0104】
(1g)一体化工程
前記した再度の仮固定の状態で、
図15に示すように、連結用さや管34とレグ42との間にセメントグラウト20を充填して固化させて、連結用さや管34とレグ42との一体化を行い、本固定を行う。
図15は、再度の仮固定後に連結用さや管34とレグ42との間にセメントグラウト20を充填した後の状態を模式的に示す1本のレグ42についての鉛直断面図である。セメントグラウト20としては、セメントミルクやモルタル等を用いることができる。
【0105】
(補足事項)
再仮固定工程で再度の仮固定を行う理由は、一体化工程でセメントグラウト20が固まるまでにジャケット40に動揺が生じることを抑えるためである。セメントグラウト20が固まるまでに生じたジャケット40の動揺が大きいと、十分なセメントグラウト20の接合強度が得られない。
【0106】
また、セメントグラウト20の充填により、高さ位置調整装置14および台座18は、セメントグラウト20の中に埋め込まれることになる。したがって、高さ位置調整装置14および台座18は使用後の回収ができないので、できるだけ安価なものが好ましい。
【0107】
また、仮固定の強度は、各施工ステップ(着床式基礎仮固定体36の吊り上げ時、水底120への沈設時、水底120へのサクション貫入時、高さ調整後に充填するセメントグラウト20の強度発現までの間など)において、仮固定の部位に作用する荷重に抵抗できる強度を有するようにする。
【0108】
また、前記一体化工程での連結用さや管34とレグ42の鉛直部42Aとの一体化は、グラウト材の充填以外の方法で行ってもよく、十分に一体化できるのであれば、例えば、機械的な連結でもよい。
【0109】
(1−3)第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10の効果
ジャケット位置調整機構10の仮固定機構12を用いることにより、ジャケット40とサクション基礎32が仮固定された状態で、4つのサクション基礎32を同時に水底120に据え付けることができる。このため、型板(テンプレート)を用いなくても、複数(4つ)のサクション基礎32の据え付け状態(4つのサクション基礎32の据え付け位置および4つのサクション基礎32の鉛直度)を精度よく管理することができる。
【0110】
また、4つのサクション基礎32を水底120に据え付けて、仮固定機構12による仮固定を解除した後、レグ42ごとに目標とする高さ位置となるように、ジャケット位置調整機構10の高さ位置調整装置14でレグ42ごとに高さ位置を調整することができる。このため、ジャケット位置調整機構10を用いることにより、サクション基礎32の貫入量を調整する場合よりも、着床式基礎30の上端(ジャケット40の上端)の接合フランジ面の水平度を精度よく管理することができる。
【0111】
(2)第2実施形態
(2−1)第2実施形態に係るジャケット位置調整機構60の構成
本発明の第2実施形態に係るジャケット位置調整機構60は、高さ位置調整装置については第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10と同様であるが、仮固定機構が第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10と異なる。
【0112】
したがって、第2実施形態に係るジャケット位置調整機構60についての説明においては、仮固定機構についての説明を主に行い、第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10の説明で付した符号の対象と同様の対象には原則として同一の符号を用い、原則として説明は省略する。また、第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10と同様に、本発明の第2実施形態に係るジャケット位置調整機構60においても、サクションホース16をさらに備えさせることができるが、第2実施形態に係るジャケット位置調整機構60の説明に用いる
図16〜
図19において、サクションホース16およびその取り付け部材の図示は省略している。
【0113】
図16は、本第2実施形態に係るジャケット位置調整機構60を模式的に示す鉛直断面図である。
【0114】
本第2実施形態に係るジャケット位置調整機構60は、仮固定機構62と、高さ位置調整装置14と、を有してなる。
【0115】
本第2実施形態に係るジャケット位置調整機構60を適用したジャケット70は、水底120の所定の地点に据え付けて、サクション基礎32との仮固定を解除するまでは、ジャケット位置調整機構60の仮固定機構62によって、サクション基礎32と仮固定されている。ジャケット70のレグ72がサクション基礎32の連結用さや管35に差し込まれた状態で、ジャケット位置調整機構60の仮固定機構62によって、ジャケット70のレグ72がサクション基礎32の連結用さや管35に仮固定された構造物であって、水底120に据え付けて当初の仮固定を解除する前までの状態にある構造物を、本願においては、着床式基礎仮固定体63(
図16および
図17参照)と称することとする。
【0116】
仮固定機構62は、振れ止め用の孔35Aが設けられた連結用さや管35と、連結ロッド64と、レグ72の外周面に取り付けられたブラケット66と、連結用さや管35の外周面に取り付けられた受け金物68と、レグ72と、を備える。
【0117】
連結用さや管35には、
図16に示すように、振れ止め用の孔35Aが、連結用さや管35の上部および下部に設けられている。また、それぞれの高さ位置において、周方向に等分するように8つの振れ止め用の孔35Aが設けられている。振れ止め用の孔35Aの内周面にはねじ切り加工がなされていて、外周面にねじ切り加工がなされたボルト62Aをねじ込むことができるようになっている。ボルト62Aは振れ止め用の孔35Aにねじ込んでレグ72に押し当てするのみであり、仮固定時の振れ止めを目的としている。
【0118】
レグ72は、第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10を適用したジャケット40のレグ42とは異なり、仮固定用の長孔42Cは設けられていない。また、レグ72の下端部には、第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10を適用したジャケット40のレグ42とは異なり、グラウト材12Aは充填されていない。
【0119】
連結ロッド64は、本第2実施形態に係るジャケット位置調整機構60の仮固定機構62の中心的な役割を担う部材であり、ターンバックル機構を備えている。
【0120】
連結ロッド64は、上部ロッド64Aと、ターンバックル64Bと、下部ロッド64Cと、を有してなる。ターンバックル64Bの上端は上部ロッド64Aの下端と連結されており、ターンバックル64Bの下端は下部ロッド64Cの上端と連結されている。連結ロッド64は、ターンバックル64Bを備えているので、全長を調整することができるようになっている。
【0121】
上部ロッド64Aの上端部は、レグ72の外周面に連結固定されたブラケット66にピン接合されている。また、下部ロッド64Cの下端部は、連結用さや管35の外周面に連結固定された受け金物68に引っ掛かって係止されるようになっており、フック構造になっている。
【0122】
連結ロッド64の下部ロッド64Cの下端部を受け金物68に引っ掛け、さらにターンバックル64Bを回して連結ロッド64の全長を縮めることにより、ジャケット70のレグ72とサクション基礎32の連結用さや管35との仮固定をすることができる。連結ロッド64の全長を所定の長さに調整した後、振れ止め用のボルト62Aを振れ止め用の孔35Aにねじ込んでレグ72に押し当て、仮固定を完成させる。この仮固定がジャケット70の4本のレグ72について完成し、ジャケット70とサクション基礎32が、ジャケット位置調整機構60の仮固定機構62によって仮固定されてなる構造体が、着床式基礎仮固定体63である。
【0123】
なお、本第2実施形態に係るジャケット位置調整機構60の仮固定機構62においては、上部ロッド64Aの上端部は、レグ72の外周面に連結固定されたブラケット66にピン接合されていて、また、下部ロッド64Cの下端部は、連結用さや管35の外周面に連結固定された受け金物68に引っ掛かって係止されるようになっていてフック構造になっていたが、これらの配置を上下逆にしてもよい。すなわち、上部ロッド64Aの上端部が、レグ72の外周面に連結固定された受け金物に引っ掛かって係止されるようにして、上部ロッド64Aの上端部をフック構造にし、また、下部ロッド64Cの下端部が、連結用さや管35の外周面に連結固定されたブラケットにピン接合されているようにしてもよい。
【0124】
また、本第2実施形態に係るジャケット位置調整機構60の仮固定機構62においては、上部ロッド64Aの上端部は、レグ72の外周面に連結固定されたブラケット66にピン接合されていたが、安全が確認できれば、上部ロッド64Aの上端部も、下部ロッド64Cの下端部と同様にフック構造にして、レグ72の外周面に連結固定された受け金物に引っ掛かって係止されるようにしてもよい。すなわち、安全が確認できれば、上部ロッド64Aの上端部および下部ロッド64Cの下端部の両方をフック構造にしてもよい。
【0125】
(2−2)第2実施形態に係るジャケット位置調整機構60を用いたジャケット位置調整方法
本第2実施形態に係るジャケット位置調整機構60を用いてジャケット位置の調整を行う場合、例えば次の(2a)〜(2g)の手順のようにして行うことができる。
【0126】
(2a)着床式基礎仮固定体63作製工程
高さ位置調整装置14をレグ72のレグ底板72Bの下面に取り付け、レグ72の内部にはレグ72の略長手方向に沿うように高さ位置調整装置配管14Aを配置する。
【0127】
サクション基礎32の上面32Aとレグ72のレグ底板72Bとの間の当初の仮固定時(着床式基礎仮固定体63を水底120に据え付けるまでの仮固定時)の距離を定め、その距離に応じた高さを有する台座18を、連結用さや管35の内部であって、かつ、サクション基礎32の上面32A上である位置に配置する。台座18の材質および形状は、レグ72から加わる荷重を支持することができれば特には限定されないが、サクション基礎32の上面32Aとレグ72のレグ底板72Bとの間には、高さ位置調整装置14も配置されるので、高さ位置調整装置14と干渉しない形状であることが台座18に要求され、また、高さ位置調整装置14と干渉しない位置に台座18を配置することが要求される。
【0128】
所定の形状の台座18を所定の位置に配置した後、
図16に示すように、ジャケット70のレグ72を、サクション基礎32の連結用さや管35の中に配置する。台座18は、連結用さや管35の内部の位置に配置しておかず、レグ72のレグ底板72Bの下面に取り付けておき、その状態のまま、ジャケット70のレグ72を、サクション基礎32の連結用さや管35の中に配置するようにしてもよい。
【0129】
ジャケット70のレグ72を連結用さや管35の中に配置した後、連結ロッド64の下部ロッド64Cの下端部を受け金物68に引っ掛け、さらにターンバックル64Bを回して連結ロッド64の全長を縮めることにより、ジャケット70のレグ72とサクション基礎32の連結用さや管35との仮固定を行う。連結ロッド64の全長を所定の長さに調整した後、振れ止め用のボルト62Aを振れ止め用の孔35Aにねじ込んでレグ72に押し当て、仮固定を完成させて、着床式基礎仮固定体63を完成させる。
【0130】
(2b)沈設工程
着床式基礎仮固定体63を据え付け地点まで運搬し、水底120の所定の地点に沈設する。沈設時にはサクションホース16を開放し、かつ、沈設速度もコントロールすることで、サクション基礎32のスカート内エアによる過大な浮力が仮固定部に作用しないように留意する。
【0131】
(2c)サクション工程
サクション基礎32を水底120に据え付ける際には、サクションホース16を用いてサクション基礎32の内部の水を抜き、サクション基礎32の内外の水圧差によって生じるサクション力でサクション基礎32を水底120に据え付ける。
図17は、着床式基礎仮固定体63のサクション基礎32を水底120に据え付けた後の状態を模式的に示す1本のレグ72についての鉛直断面図である。
【0132】
ジャケット70とサクション基礎32が、ジャケット位置調整機構60の仮固定機構62によって仮固定された状態で、4つのサクション基礎32が同時に水底120に据え付けられるので、型板(テンプレート)を用いずに複数(4つ)のサクション基礎32の据え付け状態(4つのサクション基礎32の据え付け位置および4つのサクション基礎32の鉛直度)を精度よく管理することができる。
【0133】
(2d)仮固定解除工程
仮固定に使用していた連結ロッド64のターンバックル64Bを回して連結ロッド64の全長を伸ばすとともに、振れ止め用のボルト62Aを弛めることにより仮固定を解除して、レグ72を上下方向に移動可能な状態にする。
【0134】
(2e)レグ高さ調整工程
仮固定解除工程で仮固定を解除した後、高さ位置調整装置14でレグ72ごとに高さ位置を調整する。高さ位置調整装置14でレグ72ごとに高さ位置を調整することによって、サクション基礎32の貫入量で調整する場合よりも、基礎上端の接合フランジ面の水平度を精度よく管理することができる。
図18は、仮固定解除後に高さ位置の調整をし終えた状態を模式的に示す1本のレグ72についての鉛直断面図である。
【0135】
(2f)再仮固定工程
高さ位置の調整の終わったレグ72の位置状態を保持した状態で、ターンバックル64Bを回して連結ロッド64の全長を縮めることにより、
図19に示すように、ジャケット70のレグ72とサクション基礎32の連結用さや管35との再度の仮固定を行う。そして、振れ止め用のボルト62Aを振れ止め用の孔35Aにねじ込んでレグ72に押し当て、
図19に示すように、再度の仮固定を完成させる。
【0136】
なお、再度の仮固定を行わなくても、高さ位置の調整の終わったレグ72の位置状態を良好に維持でき、かつ、次の一体化工程でセメントグラウト21が固まるまで、ジャケット70にセメントグラウト21の接合強度に悪影響を与えるような動揺が生じるおそれがなければ、再仮固定工程は行わなくてもよい。
【0137】
(2g)一体化工程
前記した再度の仮固定の状態で、
図19に示すように、連結用さや管35とレグ72との間にセメントグラウト21を充填して固化させて、連結用さや管35とレグ72との一体化を行い、本固定を行う。
図19は、再度の仮固定後に連結用さや管35とレグ72との間にセメントグラウト21を充填した後の状態を模式的に示す1本のレグ72についての鉛直断面図である。セメントグラウト21としては、セメントミルクやモルタル等を用いることができる。
【0138】
(補足事項)
再仮固定工程で再度の仮固定を行う理由は、一体化工程でセメントグラウト21が固まるまでにジャケット70に動揺が生じることを抑えるためである。セメントグラウト21が固まるまでに生じたジャケット70の動揺が大きいと、十分なセメントグラウト21の接合強度が得られない。
【0139】
また、仮固定の強度は、各施工ステップ(着床式基礎仮固定体63の吊り上げ時、水底120への沈設時、水底120へのサクション貫入時、高さ調整後に充填するセメントグラウト21の強度発現までの間など)において、仮固定の部位に作用する荷重に抵抗できる強度を有するようにする。
【0140】
また、前記一体化工程での連結用さや管35とレグ72との一体化は、グラウト材の充填以外の方法で行ってもよく、十分に一体化できるのであれば、例えば、機械的な連結でもよい。
【0141】
(2−3)第2実施形態に係るジャケット位置調整機構60の効果
ジャケット位置調整機構60の仮固定機構62を用いることにより、ジャケット70とサクション基礎32が仮固定された状態で、4つのサクション基礎32を同時に水底120に据え付けることができる。このため、型板(テンプレート)を用いなくても、複数(4つ)のサクション基礎32の据え付け状態(4つのサクション基礎32の据え付け位置および4つのサクション基礎32の鉛直度)を精度よく管理することができる。
【0142】
また、4つのサクション基礎32を水底120に据え付けて、仮固定機構62による仮固定を解除した後、レグ72ごとに目標とする高さ位置となるように、ジャケット位置調整機構60の高さ位置調整装置14でレグ72ごとに高さ位置を調整することができる。このため、ジャケット位置調整機構60を用いることにより、サクション基礎32の貫入量を調整する場合よりも、着床式基礎の上端(ジャケット70の上端)の接合フランジ面の水平度を精度よく管理することができる。
【0143】
(3)第3実施形態
(3−1)第3実施形態に係るジャケット位置調整機構80の構成
本発明の第3実施形態に係るジャケット位置調整機構80は、高さ位置調整装置としてサンドジャッキ84を用いており、この点が、第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10および第2実施形態に係るジャケット位置調整機構60との大きな相違点となっている。また、仮固定機構についても、第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10および第2実施形態に係るジャケット位置調整機構60と異なっている。
【0144】
第3実施形態に係るジャケット位置調整機構80についての説明においては、第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10または第2実施形態に係るジャケット位置調整機構60の説明で付した符号の対象と同様の対象には原則として同一の符号を用い、原則として説明は省略する。また、第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10および第2実施形態に係るジャケット位置調整機構60と同様に、本第3実施形態に係るジャケット位置調整機構80においても、サクションホース16をさらに備えさせることができるが、第3実施形態に係るジャケット位置調整機構80の説明に用いる
図20〜
図23において、サクションホース16およびその取り付け部材の図示は省略している。
【0145】
図20は、本第3実施形態に係るジャケット位置調整機構80を模式的に示す鉛直断面図である。
【0146】
本第3実施形態に係るジャケット位置調整機構80は、仮固定機構82と、サンドジャッキ84と、を有してなる。
【0147】
サンドジャッキ84は、ジャケット71のレグ73のレグ底板73Aの下方に配置されており、連結用さや管88の内部に配置されていて、仮固定解除後のレグ73の高さ位置を調整する装置である。
【0148】
サンドジャッキ84の本体部は、ゴム等の透水性のない材料を用いた袋体84Aに砂を詰め込んで形成されており、サンドジャッキ84は、第1および第2実施形態における台座18の役割も兼ねている。
【0149】
サンドジャッキ84は、注入管84Bおよび排出管84Cを備えている。注入管84Bおよび排出管84Cは、連結用さや管88のサンドジャッキ用の孔88Bを挿通していて、サンドジャッキ84の袋体84Aの内部を連結用さや管88の外部と連通させている。
【0150】
注入管84Bは、サンドジャッキ84の袋体84Aの内部の砂を外部に排出することを促すために設けられている。具体的には、注入管84Bを通して高圧水等をサンドジャッキ84の袋体84Aの内部に噴出できるようになっていて、サンドジャッキ84の袋体84Aの内部の砂が外部に排出されるように促す役割を有する。なお、
図20〜
図23においては、袋体84Aの内部へ高圧水等の注入を行うために注入管84Bに接続されている配管、バルブ等については、図示を省略している。
【0151】
排出管84Cは、サンドジャッキ84の袋体84Aの内部の砂を外部に排出するために設けられており、サンドジャッキ84の袋体84Aの内部の砂は排出管84Cを通して外部に排出される。なお、
図20〜
図23においては、排出管84Cを閉止、開放させて袋体84Aの内部の砂の排出をコントロールするために排出管84Cに接続されているバルブ、プラグ等については、図示を省略している。
【0152】
サンドジャッキ84の袋体84Aの内部の砂が外部に排出されると、サンドジャッキ84の本体部の高さが低くなり、サンドジャッキ84の本体部の上部に位置しているレグ73は下方に移動する。つまり、サンドジャッキ84によるレグ73の高さ位置の調整はレグ73を下方に移動させることによってのみ可能であり、サンドジャッキ84によるレグ73の高さ位置の調整はジャッキダウンである。
【0153】
なお、本第3実施形態では、サンドジャッキ84の袋体84Aの内部の砂の外部への排出は、注入管84Bおよび排出管84Cを用いて行うようにしたが、サンドジャッキ84の袋体84Aの内部の砂を外部へ排出する方法は、この方法に限定されるわけではなく、袋体84Aの内部の砂の外部への排出量を適切に管理できる方法であれば、注入管84Bおよび排出管84Cを用いる方法に替えて用いてもよい。
【0154】
また、前述したように、サンドジャッキ84の袋体84Aの内部の砂が外部に排出されると、サンドジャッキ84の本体部の高さが低くなる。したがって、注入管84Bおよび排出管84Cは、サンドジャッキ84の本体部の高さが低くなっても機能を維持できることが必要である。
【0155】
サンドジャッキ84の本体部の高さが低くなっても、注入管84Bおよび排出管84Cの機能を維持できるようにするためには、注入管84Bおよび排出管84Cを伸縮可能な管で形成することが一案である。また、サンドジャッキ84の本体部の下端側に非変形部を設け、その非変形部に注入管84Bおよび排出管84Cを連結することも一案である。
【0156】
本第3実施形態に係るジャケット位置調整機構80を適用したジャケット71は、水底120の所定の地点に据え付けて、サクション基礎32との仮固定を解除するまでは、ジャケット位置調整機構80の仮固定機構82によって、サクション基礎32と仮固定されている。ジャケット71のレグ73がサクション基礎32の連結用さや管88に差し込まれた状態で、ジャケット位置調整機構80の仮固定機構82によって、ジャケット71のレグ73がサクション基礎32の連結用さや管88に仮固定された構造物であって、水底120に据え付けて当初の仮固定を解除する前までの状態にある構造物を、本願においては、着床式基礎仮固定体86(
図20および
図21参照)と称することとする。
【0157】
仮固定機構82は、振れ止め用の孔88Aおよびサンドジャッキ用の孔88Bが設けられた連結用さや管88と、連結ワイヤ90と、レグ73の外周面に取り付けられたブラケット92と、サクション基礎32の上面32Aに取り付けられたブラケット94と、レグ73と、を備える。
【0158】
連結用さや管88には、
図20に示すように、振れ止め用の孔88Aが、連結用さや管88の上部および下部に設けられている。また、それぞれの高さ位置において、周方向に等分するように8つの振れ止め用の孔88Aが設けられている。振れ止め用の孔88Aの内周面にはねじ切り加工がなされていて、外周面にねじ切り加工がなされたボルト82Aをねじ込むことができるようになっている。ボルト82Aは振れ止め用の孔88Aにねじ込んでレグ73に押し当てするのみであり、仮固定時の振れ止めを目的としている。
【0159】
レグ73は、第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10を適用したジャケット40のレグ42とは異なり、仮固定用の長孔42Cは設けられていない。また、レグ73の下端部には、第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10を適用したジャケット40のレグ42とは異なり、グラウト材12Aは充填されていない。
【0160】
連結ワイヤ90は、本第3実施形態に係るジャケット位置調整機構80の仮固定機構82の中心的な役割を担う部材であり、緊張機構としてターンバックル機構を備えており、上部ワイヤ90Aと、ターンバックル90Bと、を有してなる。
【0161】
上部ワイヤ90Aは、仮固定に要求される張力に耐えられる線状部材であればよく、例えばチェーンや繊維スリング等を用いることができる。
【0162】
ターンバックル90Bの上端は上部ワイヤ90Aの下端と連結されており、ターンバックル90Bの下端はサクション基礎32の上面32Aに取り付けられたブラケット94と連結されている。連結ワイヤ90は、ターンバックル90Bを備えているので、全長を調整することができるようになっている。
【0163】
上部ワイヤ90Aの上端部は、レグ73の外周面に連結固定されたブラケット92にピン接合されている。また、ターンバックル90Bの下端はサクション基礎32の上面32Aに取り付けられたブラケット94にピン接合されている。
【0164】
上端部がブラケット92にピン接合され、下端部がブラケット94にピン接合された連結ワイヤ90の全長を、ターンバックル90Bを用いて縮めることにより、ジャケット71のレグ73とサクション基礎32との仮固定をすることができる。連結ワイヤ90の全長を所定の長さに調整した後、振れ止め用のボルト82Aを振れ止め用の孔88Aにねじ込んでレグ73に押し当て、仮固定を完成させる。この仮固定がジャケット71の4本のレグ73について完成し、ジャケット71とサクション基礎32が、ジャケット位置調整機構80の仮固定機構82によって仮固定されてなる構造体が、着床式基礎仮固定体86である。
【0165】
連結ワイヤ90は、ターンバックル90Bを緊張機構として備えているが、水中での施工が可能であれば、緊張機構はターンバックル90Bでなくてもよく、ターンバックル90Bに替えて例えばレバーブロック(登録商標)を緊張機構として用いることも可能である。
【0166】
なお、本第3実施形態に係るジャケット位置調整機構80においては、仮固定機構として、仮固定機構82(連結ワイヤ90を用いた仮固定機構)以外の機構を用いることもできる。例えば、第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10の仮固定機構12を用いてもよく、あるいは、第2実施形態に係るジャケット位置調整機構60の仮固定機構62を用いてもよい。
【0167】
(3−2)第3実施形態に係るジャケット位置調整機構80を用いたジャケット位置調整方法
本第3実施形態に係るジャケット位置調整機構80を用いてジャケット位置の調整を行う場合、例えば次の(3a)〜(3g)の手順のようにして行うことができる。
【0168】
(3a)着床式基礎仮固定体86作製工程
サクション基礎32の上面32Aとレグ73のレグ底板73Aとの間の当初の仮固定時(着床式基礎仮固定体86を水底120に据え付けるまでの仮固定時)の距離を定め、その距離に応じた高さを有するサンドジャッキ84を、連結用さや管88の内部であって、かつ、サクション基礎32の上面32A上である位置に配置する。
【0169】
サンドジャッキ84を所定の位置に配置した後、
図20に示すように、ジャケット71のレグ73を、サクション基礎32の連結用さや管88の中に配置する。
【0170】
ジャケット71のレグ73を連結用さや管88の中に配置した後、両端がブラケット92、94とピン接合されるように連結ワイヤ90を取り付ける。そして、ターンバックル90Bを回して連結ワイヤ90の全長を縮めることにより、ジャケット71のレグ73とサクション基礎32との仮固定を行う。連結ワイヤ90の全長を所定の長さに調整した後、振れ止め用のボルト82Aを振れ止め用の孔88Aにねじ込んでレグ73に押し当て、仮固定を完成させて、着床式基礎仮固定体86を完成させる。
【0171】
(3b)沈設工程
着床式基礎仮固定体86を据え付け地点まで運搬し、水底120の所定の地点に沈設する。沈設時にはサクションホース16を開放し、かつ、沈設速度もコントロールすることで、サクション基礎32のスカート内エアによる過大な浮力が仮固定部に作用しないように留意する。
【0172】
(3c)サクション工程
サクション基礎32を水底120に据え付ける際には、サクションホース16を用いてサクション基礎32の内部の水を抜き、サクション基礎32の内外の水圧差によって生じるサクション力でサクション基礎32を水底120に据え付ける。
図21は、着床式基礎仮固定体86のサクション基礎32を水底120に据え付けた後の状態を模式的に示す1本のレグ73についての鉛直断面図である。
【0173】
ジャケット71とサクション基礎32が、ジャケット位置調整機構80の仮固定機構82によって仮固定された状態で、4つのサクション基礎32が同時に水底120に据え付けられるので、型板(テンプレート)を用いずに複数(4つ)のサクション基礎32の据え付け状態(4つのサクション基礎32の据え付け位置および4つのサクション基礎32の鉛直度)を精度よく管理することができる。
【0174】
(3d)仮固定解除工程
振れ止め用のボルト82Aを弛めることにより仮固定を解除する。本第3実施形態に係るジャケット位置調整機構80によるレグ73の高さ位置の調整はジャッキダウンによる調整であり、レグ73の高さ位置の調整をすると、連結ワイヤ90は自然に弛むため、第3実施形態に係るジャケット位置調整機構80を用いたジャケット位置調整方法においては、振れ止め用のボルト82Aを弛めるだけで、仮固定を解除することができる。
【0175】
(3e)レグ高さ調整工程
仮固定解除工程で仮固定を解除した後、サンドジャッキ84でレグ73ごとに高さ位置を調整する。サンドジャッキ84でレグ73ごとに高さ位置を調整することによって、サクション基礎32の貫入量で調整する場合よりも、基礎上端の接合フランジ面の水平度を精度よく管理することができる。
図22は、高さ位置の調整をし終えた状態を模式的に示す1本のレグ73についての鉛直断面図である。
【0176】
(3f)再仮固定工程
高さ位置の調整の終わったレグ73の位置状態を保持した状態で、ターンバックル90Bを回して連結ワイヤ90の全長を縮めることにより、
図23に示すように、ジャケット71のレグ73とサクション基礎32との再度の仮固定を行う。そして、振れ止め用のボルト82Aを振れ止め用の孔88Aにねじ込んでレグ73に押し当て、
図23に示すように、再度の仮固定を完成させる。
【0177】
なお、再度の仮固定を行わなくても、高さ位置の調整の終わったレグ73の位置状態を良好に維持でき、かつ、次の一体化工程でセメントグラウト21が固まるまで、ジャケット71にセメントグラウト21の接合強度に悪影響を与えるような動揺が生じるおそれがなければ、再仮固定工程は行わなくてもよい。
【0178】
(3g)一体化工程
前記した再度の仮固定の状態で、
図23に示すように、連結用さや管88とレグ73との間にセメントグラウト21を充填して固化させて、連結用さや管88とレグ73との一体化を行い、本固定を行う。
図23は、再度の仮固定後に連結用さや管88とレグ73との間にセメントグラウト21を充填した後の状態を模式的に示す1本のレグ73についての鉛直断面図である。セメントグラウト21としては、セメントミルクやモルタル等を用いることができる。
【0179】
(補足事項)
再仮固定工程で再度の仮固定を行う理由は、一体化工程でセメントグラウト21が固まるまでにジャケット71に動揺が生じることを抑えるためである。セメントグラウト21が固まるまでに生じたジャケット71の動揺が大きいと、十分なセメントグラウト21の接合強度が得られない。
【0180】
また、仮固定の強度は、各施工ステップ(着床式基礎仮固定体86の吊り上げ時、水底120への沈設時、水底120へのサクション貫入時、高さ調整後に充填するセメントグラウト21の強度発現までの間など)において、仮固定の部位に作用する荷重に抵抗できる強度を有するようにする。
【0181】
また、前記一体化工程での連結用さや管88とレグ73との一体化は、グラウト材の充填以外の方法で行ってもよく、十分に一体化できるのであれば、例えば、機械的な連結でもよい。
【0182】
(3−3)第3実施形態に係るジャケット位置調整機構80の効果
ジャケット位置調整機構80の仮固定機構82を用いることにより、ジャケット71とサクション基礎32が仮固定された状態で、4つのサクション基礎32を同時に水底120に据え付けることができる。このため、型板(テンプレート)を用いなくても、複数(4つ)のサクション基礎32の据え付け状態(4つのサクション基礎32の据え付け位置および4つのサクション基礎32の鉛直度)を精度よく管理することができる。
【0183】
また、4つのサクション基礎32を水底120に据え付けて、仮固定機構82による仮固定を解除した後、レグ73ごとに目標とする高さ位置となるように、ジャケット位置調整機構80のサンドジャッキ84でレグ73ごとに高さ位置を調整することができる。このため、ジャケット位置調整機構80を用いることにより、サクション基礎32の貫入量を調整する場合よりも、着床式基礎の上端(ジャケット71の上端)の接合フランジ面の水平度を精度よく管理することができる。
【0184】
また、第3実施形態に係るジャケット位置調整機構80を用いたジャケット位置調整方法においては、振れ止め用のボルト82Aを弛めるだけで、仮固定を解除することができ、また、再度の仮固定は、レグ高さ調整工程で弛ませた連結ワイヤ90の再緊張を行った上で振れ止め用のボルト82Aを締め込むだけであるので、水中作業となる再仮固定工程を簡略にすることができる。
【0185】
(4)サクション基礎、連結用さや管およびレグの数
第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10を適用した4つのサクション基礎32は連結用さや管34をそれぞれ備え、また、第2実施形態に係るジャケット位置調整機構60を適用した4つのサクション基礎32は連結用さや管35をそれぞれ備え、また、第3実施形態に係るジャケット位置調整機構80を適用した4つのサクション基礎32は連結用さや管88をそれぞれ備え、また、第1実施形態に係るジャケット位置調整機構10を適用したジャケット40はレグ42を4本備え、第2実施形態に係るジャケット位置調整機構60を適用したジャケット70はレグ72を4本備え、第3実施形態に係るジャケット位置調整機構80を適用したジャケット71はレグ73を4本備えていたが、本発明に係るジャケット位置調整機構の適用対象となるサクション基礎の数および連結用さや管の数ならびにジャケットのレグの数は4つに限定されるわけではなく、安全性が確保できる範囲内で任意の数を選択可能である。