(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
医学的な研究や治療上の必要から、男性の精子を採取するための射精促進装置(精子採取装置)が種々提案されている。例えば、夫婦間の不妊の原因を究明するために採取した精子から夫の性機能を検査したり、性機能障害を治療したり、人工授精のために精子を確保、保管する等の医学的な必要性のために射精促進装置が使用される。更に、個人的な性的欲求を解消させることによる性犯罪の予防、売春防止、性病感染者数の減少等の種々の社会的なニーズを満たすためにも、従来から低廉に入手することができ、しかも使い捨てタイプ、或いは洗浄可能なタイプであるために衛生上、健康上の問題も惹起しない簡易な射精促進装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1(特開2006−334176号公報)には、長手方向一端が開口した比較的硬質なプラスチック製の筒状の容器と、容器内に収容され、長手方向一端の挿入口から内部に延びる挿入空所を備えたゲル状樹脂製のコア部材とから成る射精促進装置が開示されている。
しかし、この射精促進装置にあっては、コア部材の挿入空所内にペニスを挿入してコア部材を膨張させた時に、コア部材と容器との間に形成される空間の内圧を所定値以下に減圧させることができないために、ペニスに対する締め付け力の増大に限界があった。
即ち、射精を促進するのに適した刺激の強弱には個人差があり、弱い刺激で充分な人もいれば、強い刺激でないと効果が得られない人もいるが、強い刺激を得させるためにはペニス先端部(亀頭部)に対するコア部材の密着力(吸着力)を高めることが有効である。
挿入空所にペニスを挿入した状態でペニスを摺擦させたときにペニス先端部に加わる刺激を高めるためには、コア部材と容器との間に形成される空間の内圧を減圧させてペニス先端部とコア本体の密着力(吸着力)を高めることが有効である。しかし、特許文献1の構成ではこのような減圧(圧力調整)には限界がある。
【0004】
特許文献2(特開2015−112317号公報)には、男性器挿入部を有する筒状内装体を内部に収容する外装体に長手方向へ延びるスリット状透孔を複数本形成して内外径方向へ伸縮可能に構成すると共に、手動操作により外装体の外面に沿って長手方向へ移動可能な締付リング体を配置し、リング体の長手方向位置によって外装体の直径を可変させることにより筒状内装体の嵌挿圧力を変化させるようにした射精促進器具が開示されている。
この射精促進器具では、外装体と筒状内装体との間の空気圧力を調整する方法によらずに、リング体からの圧力により機械的に筒状内装体に対する圧力を調整するようにしている。
しかし、リング体を外装体の長手方向に移動させる操作が煩雑であるばかりでなく、このような構成では筒状内装体を介してペニスに加わる圧力を微調整することが困難である。特に、リング体を、ペニス先端部が位置する筒状内装体の内壁先端部に相当する外装体の長手方向位置に移動させたとしてもリング体から筒状内装体を介してペニス先端部に加わる圧力は一定であり、この圧力を任意に増減変化させることはできない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
(基本的な構成)
以下、本発明を図面に示した実施形態により詳細に説明する。
【0011】
図1(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る射精促進装置(精子採取装置)の外観構成を示す正面図、及び縦断面図であり、
図2(a)及び(b)はこの射精促進装置の外観構成を示す後面側斜視図、及び先面側斜視図であり、
図3はこの射精促進装置の各構成要素を示す分解正面図であり、
図4はこの射精促進装置の各構成要素を示す分解斜視図である。また、
図5(a)乃至(d)は容器本体の一部断面正面図、A-A断面図、B-B断面図、及びE-E断面図であり、
図6(a)乃至(d)はコア部材の正面図、縦断面図、上面図、及び外観斜視図であり、
図7(a)及び(b)はインナーカバー(加圧部材作動部材)の外観斜視図、及び側面図であり、
図8(a)乃至(e)は一つの実施形態に係る加圧部材の正面図、上面図、底面図、上側斜視図、及び下側斜視図であり、
図9(a)乃至(d)は操作部の正面図、平面図、縦断面図、及び開口側斜視図である。また、
図10(a)(b)及び(c)は容器本体内に収容したインナーカバーが加圧部材を保持した状態を示す一部断面図、X-X断面図、及び操作部と加圧部材の可動部との関係を示す一部断面図であり、
図11(a)及び(b)は加圧部材の変形前と変形後の状態を示す斜視図である。
【0012】
なお、本明細書では説明の便宜上、
図1の下側を先端側(先方)と称し、上側を後端側(後方)と称する。
【0013】
本発明に係る射精促進装置1は、少なくとも一部に開口部11aを有した容器(容器本体11、キャップ20)10と、容器10を構成する容器本体11内に装着されて容器本体に対して回転不能に構成されたインナーカバー40と、容器本体に対して回転自在に構成された操作部60と、容器本体内に収容され開口部11a側に位置する挿入口82から内部に延びる挿入空所84を有したコア部材80と、操作部60を回転操作することにより作動(弾性変形)してコア部材80に加わる圧力を変化させる(弾性)加圧部材(弾性変形部材)100と、を備えている。
【0014】
容器10は、ブロー成形により製造される樹脂製であり、且つ中空で略筒状(鼓形状)の容器本体11と、容器本体の一端(後端)に設けられた開口部11aに着脱されて開口部を開閉するキャップ20と、を備えている。容器本体11は軸方向に貫通した中空筒状体であり、軸方向両端部に開口部11a、11bを有している。
【0015】
インナーカバー40は、インジェクション成形により製造される樹脂製で、軸方向に貫通した中空の略円筒体であり、その内部に加圧部材100を収容する。インナーカバー40は容器本体11内に収容され得るようにその直径、軸方向長を含めた形状が設定されている。本例のインナーカバー40は、角穴としての係止凹所46と係止突起114との嵌合によって軸方向、周方向共に移動不能に係止される。その内側に位置する加圧部材100を介して容器本体内に位置決め固定される。つまり、インナーカバー40はその一端部(後端部)を加圧部材100の一端部外面に対して回転不能、且つ軸方向移動不能に係止されるため、加圧部材100の一端部を容器本体の一端部により回転不能、且つ軸方向移動不能に係止することにより、インナーカバー40は容器本体に対して係止される。なお、これは一実施形態に過ぎず、インナーカバーを直接容器本体に対して係止するようにしてもよい。
インナーカバー40と加圧部材100とを併せてインナーユニットと称する。
インナーユニットは容器本体に対して着脱可能となっており、インナーカバー40の一端に設けた舌状の係止片42と容器本体の一部とが嵌合することで収容され、使用時には外れない程度に固定でき、ある程度の荷重をかけると引き抜くことができる。これにより、インナーユニットを単体で取り出して洗浄することができる。
【0016】
インナーカバー40の他端(先端)寄りには周方向に所定のピッチで貫通形成した四角い複数の係止穴43と、係止穴列と平行に配置されて周方向へ延びる2個の長尺なガイド長穴45と、を備えている。短尺な各係止穴43は内側に配置した加圧部材100を所定の回転角度で係止する位置決め手段であり、ガイド長穴45は加圧部材を所定の軌道に沿って安定して回動させるガイド手段であり、加圧部材100が少し遊びを持ちながら軸方向に収縮することを防止するストッパーとしての機能も備えている。ガイド長穴45は、インナーカバーの他端寄りにおいてインナーカバーの中心軸に対して線対称となる位置関係で2個配置されている。
【0017】
操作部60は、容器本体の他端開口部(先端開口部)11bを閉じるように装着され、且つ容器本体の軸線を中心として回転自在に支持されて手動操作されるキャップ(椀)形状の操作部材61を備えている。操作部材61は、その開口部寄りの内周面に周方向に沿って設けた溝部62内に、容器本体の対応する外周面に設けた凸部12を摺動自在に係合させることにより、容器本体から脱落しないように組み付けられる(
図10(a)(c))。また、容器本体の他端部外周面に突設した複数の突起13aを操作部材61の対応する内周面に設けた複数の突起63と係合可能に構成することにより、容器本体に対する操作部材の回動範囲を規制している(
図10(b))。
本例では、操作部60は容器本体によって回転自在に支持されているが、これは一例に過ぎず操作部は容器本体に対して回転自在であればよい。
【0018】
図9に示すように操作部材61の内底面中央には抜気孔64が貫通形成されると共に、操作部材の内壁には複数の薄板状のリブ65a、65bが複数組、所定の周方向ピッチで突設されている。一方のリブ65aは他方のリブ65bよりも内径側に長尺であり(内径側への突出長が大きい)、各長尺のリブ65aの内径側端部が加圧部材100の先端側の可動部120に設けた谷部122b内に嵌合して位置決めされるように構成されている。つまり、長尺のリブ65aは可動部120の周方向位置を確定して可動部が操作部材に対して相対回転しないように固定する手段である。各短尺のリブ65bは可動部120の外周面(山部122aの外周面)に接して可動部120の径方向位置を確定する手段である。つまり、各短尺のリブ65bは可動部の内外径位置(外周面の位置)が周方向へばらつきを起こさないようにする手段である。言い換えれば、各短尺のリブ65bは、操作部材61内における可動部120の形状を略円筒状に保持する手段である。
【0019】
コア部材80は、エラストマー等のゲル状樹脂から構成されており、挿入口82と挿入空所84を備えたコア本体81と、コア本体81の挿入口82側の外周に突設されたフランジ86とを概略備える。コア本体81の外周には外周端縁に所要の間隔を隔てて突設されて互いに略同方向へ(ほぼ並行して)螺旋状に延びる複数の第1のリブ81aと、コア本体の外周面に所要の間隔を隔てて突設されて第1のリブ81aと交差する複数の第2のリブ81bと、を備える。
なお、コア本体81の外周縁の螺旋状に延びるリブ81a、81bの形状は一例に過ぎず、この形状、構造に限定されるものではない。
【0020】
加圧部材100は、インナーカバー40の内面とコア部材80の外面との隙間に配置されて、一端外周を容器本体11の対応する一端内周により係止されると共に、他端縁(可動部120)に設けた被係止部122(山部122a、谷部122b)を操作部材61の内面に設けたリブ(係止部)65a、65bによって係止、保持されることにより、他端を操作部材に固定される。加圧部材100は内外径方向へ弾性変形することにより内側に位置するコア部材の外周面に対する加圧力を変化させる弾性変形部101を備える。本例では弾性変形部101は弾性を有した帯状の樹脂板(薄板状弾性部材)101aを螺旋円筒状に成形した構成(スパイラル部材)を備えており、捻り方向への外力が加わらない場合には原形を維持しているが、収縮する方向へ捻りを加えることにより縮径する。弾性変形部101の軸方向一端にはインナーカバー40によって係止(固定)される環状の被固定部110が一体化され、軸方向他端には被係止部122を備えた可動部120が一体化されている。
【0021】
可動部120に設けた被係止部122は、所定の周方向ピッチで交互に設けられた山部122aと谷部(スリット)122bとから構成され、前述のように各谷部122b内にリブ65aを嵌合させることにより、可動部120は操作部材61と一体回転可能な状態となる。
【0022】
被固定部110の外周面には複数の係止突条111が周方向に所定のギャップを隔てて突設されており、容器本体の対応する一端内周面に突設した複数個の被係止部15を夫々各ギャップ間に嵌合(弾性的に嵌着)させることによって、被固定部110は容器本体に対して回転方向に変位不能に支持される。係止突条111は周方向に所定の間隔を隔てて複数本配置されており、係止突条の端部間のギャップの間隔は被係止部15がギャップ内に嵌合することを許容するように設定されている。つまり、容器本体11の一端開口部11a内にインナーカバーを組み付けた加圧部材100の先端部を差し込んで組み付ける際に、容器本体側の被係止部15を係止突条111間のギャップ内に嵌合させることにより、係止突条の端部間(ギャップ内)に被係止部を嵌合させて容器本体に対してインナーカバーを回転不能な状態に移行させることができる。
【0023】
図1(a),
図9等に示すように、操作部材61の外周面には所定の周方向ピッチで複数の目盛り67が形成されており、容器本体11の他端縁に沿った位置には、操作部材61を容器本体に対して回転させた時に操作部材の回転角度を確認できるようにマーク17が付されている。各目盛り67間のピッチは、インナーカバー40の他端(先端)寄りに形成した各係止穴43のピッチと一致しており、加圧部材100に設けた後述する係止突起123が何れかの係止穴43に嵌合している時に、マーク17が当該係止穴43と対応する一つの目盛り67と一対一で対向するように位置関係が設定されている。つまり、マーク17と対応する位置関係にある目盛り67の位置を確認することにより、容器本体11に対する操作部材61の相対的な回動角度(容器本体に対する加圧部材の可動部120の相対的な回動角度=加圧部材の弾性変形部101の捻れ量=コア部材に対する加圧量)を目視確認することができる。
【0024】
加圧部材100は、被固定部110をインナーカバー40に固定された状態で、可動部120を操作部材61によって回転させることにより弾性変形部101の少なくとも一部を内外径方向へ弾性変形させてコア部材に加わる圧力を変化させる。弾性変形部101は軸方向に伸縮できない代わりに内外径方向へ変形することによりコア部材に対する加圧力を調整する。
【0025】
図1(b)、
図3,
図4中に示したOリング140は、容器本体他端寄りの凹所内に嵌合され、その外側に配置される操作部材61の開口側端部との間で気密性を維持する。
【0026】
次に、インナーカバー40に対する加圧部材100の組み付け構造について説明する。
加圧部材100は、インナーカバー40の一端(後端)開口部から内部に装着され、装着を完了した状態では
図1、
図10に示すように大径の被固定部110がインナーカバーの一端縁よりも後方に位置(突出)している。この状態でインナーカバー40の一端に設けた係止凹所46(
図7(a))と係止突起114(
図8(a))とが嵌合することで、加圧部材110の周方向、軸方向への相対移動が規制される。また、加圧部材の被固定部110の外周面とインナーカバーの一端開口部内周面との間は摩擦抵抗により軸方向への相対移動も規制されている。
【0027】
インナーカバー40の他端(先端)に貫通形成されたガイド長穴45内には、加圧部材の可動部120の外面に突設したスライド突起121が周方向へスライド自在に嵌合している。スライド突起121がガイド長穴45内に嵌合することにより、インナーカバーに対して可動部120が安定した軌道で回転移動することが可能となる。また、各係止穴43の配列方向と対応する可動部120の外面には何れか一つの係止穴43に択一的に嵌合する係止突起123が突設されている。
【0028】
図11に示すように、スライド突起121,及び係止突起123は、樹脂板材からなる環状の可動部120の適所に二本の平行な切り込みを形成して、切り込み間の長方形部分を内外径方向へ弾性変形可能とした弾性変形部に設けた突起である。係止突起123は一定の嵌合力によって何れかの係止穴43内に嵌合した状態にある時に、所定以上の力で操作部材61(可動部120)を回転させる方向への力が加わった時に内径方向へ弾性変形(没入)して当該係止穴43から離脱し、隣接する他の係止穴43へ移動して嵌合することができる。
【0029】
係止突起123は、係止穴43内に嵌合した状態では嵌合状態を維持できるような突出長を有する一方で、所定以上の力が回転方向へ加わった場合には内径方向へ退避してそれまで嵌合していた係止穴43を抜け出して隣接する係止穴内に移動できるようにその形状、摩擦抵抗等を選定されている。
【0030】
このように本発明によれば、操作部材61を手動操作により回転させて加圧部材100からコア部材80の外面に加える圧力を増減調整することによって、コア部材内部に位置するペニス(先端部のみならずペニス全体)に対して適正圧による変化に富んだ刺激、締め付け力を付与することができる。
つまり、簡易な手動操作によりコア部材への加圧力を調整することによりペニスに対する締め付け力を使用者の好みに合わせて調整することができる。
【0031】
<第2の実施形態>
(基本的な構成)
図12(a)及び(b)は本発明の第2の実施形態に係る射精促進装置(精子採取装置)の外観構成を示す正面図、及び縦断面図であり、
図13(a)及び(b)はこの射精促進装置の外観構成を示す後面側斜視図、及び先面側斜視図であり、
図14はこの射精促進装置の各構成要素を示す分解正面図であり、
図15はこの射精促進装置の各構成要素を示す分解斜視図である。また、
図16(a)及び(b)は加圧部材の一例の構成を示す正面図、及びA-A断面図であり、
図17(a)(b)及び(c)は容器本体が加圧部材を保持した状態を示す一部断面図、X-X断面図、及び操作部と加圧部材との関係を示す一部断面図である。
【0032】
なお、本明細書では説明の便宜上、
図12の下側を先端側(先方)と称し、上側を後端側(後方)と称する。
【0033】
本発明に係る射精促進装置1は、少なくとも一部に開口部11aを有した容器(容器本体11、キャップ20)10と、容器本体に対して回転自在に構成された操作部60と、容器本体内に収容され開口部11a側に位置する挿入口82から内部に延びる挿入空所84を有したコア部材80と、操作部60を回転操作することにより作動(弾性変形)してコア部材80に加わる圧力を変化させる(弾性)加圧部材(弾性変形部材)100と、を備えている。
【0034】
容器10、コア部材80の構成は第1の実施形態とほぼ同等であるため、同一箇所には同一符号を付して重複した構成の説明は省略する。
【0035】
操作部60は、容器本体の他端開口部(先端開口部)11bを閉じるように装着され、且つ容器本体の軸線を中心として回転自在に支持されて手動操作されるキャップ(椀)形状の操作部材61を備えている。操作部材61は、その開口部寄りの内周面に周方向に沿って設けた溝部62内に、容器本体の対応する外周面に設けた凸部12を摺動自在に係合させることにより、容器本体に対して脱落不能、且つ回転自在に組み付けられる(
図12(b))。つまり、操作部材61は、容器本体の先端側に対して軸方向位置を変化させずに回転自在に支持されている。
【0036】
図12(b)に示すように操作部材61の内底面中央には抜気孔64が貫通形成されると共に、操作部材の内壁から突設されたスリーブ70の内壁には雌ネジ部(ネジ部)71が形成されている。
【0037】
加圧部材100は、容器本体11の内面とコア部材80の外面との隙間に配置されて、一端外周を容器本体11の対応する一端内周により係止されると共に、他端縁(可動部120)に設けた雄ネジ部(ネジ部)125を操作部材61の内面に設けた雌ネジ部71と螺合させる。即ち、加圧部材100は、後端寄りに設けられて容器本体11により回転不能に係止される被固定部110と、先端寄りに設けられて操作部材61の雌ネジ部71と螺合する雄ネジ部125を有した可動部120と、被固定部110と可動部120に両端部を夫々一体化された弾性変形部101と、を備えている。回転しても軸方向位置に変化が生じない操作部材61を正逆回転させると、雌ネジ部71と螺合した雄ネジ部125を介して可動部120が軸方向へ進退するため、弾性変形部101が内外径方向へ伸縮変形する。
【0038】
即ち、加圧部材100は内外径方向へ弾性変形することにより内側に位置するコア部材の外周面に対する加圧力を変化させる弾性変形部101を備える。本例では弾性変形部101は弾性を有した帯状の樹脂板(薄板状弾性部材)101aを螺旋円筒状に成形した構成(スパイラル部材)を備えており、捻り方向への外力が加わらない場合には原形を維持しているが、収縮する方向へ捻りを加えることにより縮径(加圧方向に変形)する。弾性変形部101の軸方向一端には容器本体によって係止(固定)される環状の被固定部110が一体化され、軸方向他端には雄ネジ部125を備えた可動部120が一体化されている。
なお、雌ネジ部71と雄ネジ部125の各ネジ部の傾斜をなだらかにしてピッチを狭くすることで、操作部材61を周方向に回転させたときにネジ山間で発生する摩擦抵抗を大きくすることができる。このため、格別のロック機構を設けることなく任意の周方向位置(容器本体に対する回転方向角度)に操作部材を保持することができるので、操作部材の周方向位置に応じて得られる加圧部材からの締め付け力を無段階で調整することが可能となる。
なお、操作部側のネジ部を雄ネジ部とし、可動部側のネジ部を雌ネジ部としてもよい。
【0039】
被固定部110の外周面には複数の係止突条111が周方向に所定のギャップを隔てて突設されており、容器本体の対応する一端内周面に突設した複数個の被係止部15を夫々各ギャップ間に嵌合させることによって、被固定部110は容器本体に対して回転方向に変位不能に支持される。係止突条111は周方向に所定の間隔を隔てて複数本配置されており、係止突条の端部間のギャップの間隔は被係止部15がギャップ内に嵌合することを許容するように設定されている。つまり、容器本体11の一端開口部11a内に加圧部材100の先端部を差し込んで組み付ける際に、容器本体側の被係止部15を係止突条111間のギャップ内に嵌合させることにより、係止突条の端部間(ギャップ内)に被係止部を嵌合させて容器本体に対して回転方向へ変位不能な状態に移行させることができる。
【0040】
以上の構成において、
図17(c)に示すように操作部材61を一方向R1へ回転させるとこの回転力が雌ネジ部71から雄ネジ部125に伝達されて可動部120が軸方向AD1(伸長方向)へ移動するため、弾性変形部101が伸長しつつ縮径してコア部材81の外周面を内側へ向けて圧迫する。一方、操作部材61を一方向R2へ回転させるとこの回転力が雌ネジ部71から雄ネジ部125に伝達されて可動部120が軸方向AD2(短縮方向)へ移動するため、弾性変形部101が短縮しつつ拡径してコア部材81の外周面への加圧力を弱めてゆく。
【0041】
このように本発明によれば、操作部材61を手動操作により回転させて加圧部材100からコア部材80の外面に加える圧力を増減調整することによって、コア部材内部に位置するペニス(先端部のみならずペニス全体)に対して適正圧による変化に富んだ刺激、締め付け力を付与することができる。
つまり、簡易な手動操作によりコア部材への加圧力を調整することによりペニスに対する締め付け力を使用者の好みに合わせて調整することができる。
【0042】
<第3の実施形態>
(基本的な構成)
図18(a)及び(b)は本発明の第3の実施形態に係る射精促進装置(精子採取装置)の外観構成を示す正面図、及び縦断面図であり、
図19はこの射精促進装置の各構成要素を示す分解斜視図であり、
図20はこの射精促進装置の各構成要素を示す分解正面図であり、
図21(a)(b)及び(c)はこの射精促進装置の操作に伴う加圧部材の作動手順を示す縦断面図である。
【0043】
なお、本明細書では説明の便宜上、
図18の下側を先端側(先方)と称し、上側を後端側(後方)と称する。
【0044】
本発明に係る射精促進装置1は、少なくとも一部に開口部30aを有した容器(容器本体30、キャップ35)10と、容器本体30に対して回転自在に構成された操作部150と、容器本体内に収容され開口部30a側に位置する挿入口82から内部に延びる挿入空所84を有したコア部材80と、操作部150を回転操作することにより作動(弾性変形)してコア部材80に加わる圧力を変化させる(弾性)加圧部材(弾性変形部材)200と、を備えている。
【0045】
容器10は、内部にコア部材80と加圧部材200を収容する容器本体30と、容器本体30の開口部30aを(操作部150を介して)閉止するキャップ35と、を備えている。
【0046】
なお、容器本体の開口部30a側にキャップ35を固定した状態で、容器本体及びキャップに対して操作部150のみを回転自在としてもよいし、キャップ35に対して操作部150を係止させた状態でキャップと共に操作部を容器本体に対して回転自在としてもよい。
【0047】
コア部材80の構成は第1、及び第2の実施形態とほぼ同等であるため、同一箇所には同一符号を付して重複した構成の説明は省略する。
【0048】
操作部150は環状体からなる操作部材151を備え、容器本体の一端開口部(後端開口部)11bの外周に対して回転自在に配置され、且つ容器本体の軸線を中心として回転自在に支持されて手動操作されるダイヤルである。操作部材151を回転させる際に容器本体に対する軸方向位置が大きく変化しないように、操作部材151を容器本体によって支持する。
【0049】
操作部材151は、その内側に環状のカム部155(
図21)を同心円状、且つ一体に備えており、このカム部155が加圧部材200の後端縁から突設したカムフォロワ205と係合(摺動)するように構成されている。操作部材151を容器本体に対して回動させることによりカム部155がカムフォロワを軸方向へ押圧する距離を変化させることにより、加圧部材の弾性変形部215を内外径方向へ変形(変位)させる。
【0050】
カム部155は、所定の周方向長を有した複数の傾斜面155aを段差部155bを介して円周状に連設した構成を備えており、操作部材151を正逆回転させた時に加圧部材のカムフォロワ205の先端部が各傾斜面に沿って相対的に進退移動することにより、カムフォロワの軸方向位置を変化させることができる。
【0051】
加圧部材200は、容器本体30の内面とコア部材80の外面との隙間に回転しないように配置されて、一端に設けた複数のカムフォロワ205を操作部材151のカム部155の傾斜面155aと摺動自在に接触(或いは、近接)させると共に、他端部(先端部210)を容器本体の先端内部に接触させている。本例に係る加圧部材200は後端が開口し、先端部210が閉じた略袋状体である。カムフォロワ205は加圧部材の後端に設けた環状部202から突設した先端が円弧状の突起であり、本例では90度間隔で4個突設されている。
加圧部材は、所定以上の硬度(保形性)と弾性を有した樹脂板、或いはゴム板から構成される。
【0052】
環状部202と、加圧部材の先端部210との間には、弾性変形部215が一体化されている。即ち、加圧部材200は内外径方向へ弾性変形することにより内側に位置するコア部材の外周面に対する加圧力を変化させる弾性変形部215を備える。本例に係る弾性変形部215は、軸方向へ延びる複数本の弾性を有した略帯状の樹脂板である薄板状弾性部材(弾性変形部材)216を周方向間隔(長穴217)を隔てて配置した構成を備えている。そして、操作部材151を一方向へ回転させた時には薄板状弾性部材(弾性変形部材)を内径側(加圧方向)に変位(変形)させ、操作部材を他方向へ回転させた時には薄板状弾性部材を外径側(非加圧方向)に変位させるように構成されている。
【0053】
本例に係る薄板状弾性部材216は、外力が加わらない場合にその軸方向両端部よりも軸方向中間部216aが内径側に引っ込んだ構成を備えており、加圧部材を軸方向へ圧縮する力が加わった際には中間部216aは更に内径方向へ変形し易くなっている。
【0054】
以上の構成において、
図21(a)に示すように操作部材151(カム部155)を一方向R1へ回転させると、各傾斜面155aに対して各カムフォロワ205を相対的に矢印D1方向へ移動させようとする力が加わるため、可動部としての環状部202が全体として軸方向内側へ移動し、薄板状弾性部材216を圧縮させて内径側へ変形させる。このため、各薄板状弾性部材216がコア部材80の外周面を内側へ向けて徐々に圧迫する。一方、操作部材151(カム部155)を他方向R2へ回転させると、各傾斜面155aに対して各カムフォロワ205を相対的に矢印D1とは逆方向へ移動させようとする力が加わるため、環状部202が全体として軸方向外側へ移動し、薄板状弾性部材216を外径側へ変形させる。このため、各薄板状弾性部材216がコア部材81の外周面を内側へ向けて圧迫する力が徐々に弱められてゆく。
【0055】
このように第3の実施形態に係る射精促進装置では、弾性変形部215は軸方向へ延びる複数本の薄板状弾性部材216を周方向間隔を隔てて配置(離隔配置)した構成を備えており、操作部を一方向へ回転させた時には少なくともその一部を内径方向に変位させ、該操作部を他方向へ回転させた時には少なくともその一部を外径方向へ変位させることを特徴とする。
【0056】
このため、操作部150を手動操作により回転させて加圧部材200からコア部材80の外面に加える圧力を増減調整することによって、コア部材内部に位置するペニス(先端部のみならずペニス全体)に対して適正圧による変化に富んだ刺激、締め付け力を付与することができる。
つまり、簡易な手動操作によりコア部材への加圧力を調整することによりペニスに対する締め付け力を使用者の好みに合わせて調整することができる。
【0057】
<本発明の構成、作用、効果のまとめ>
第1の本発明に係る射精促進装置は、少なくとも一部に開口部11a、30aを有した容器(容器本体11、30、キャップ20、35)10と、容器に対して回転自在に構成された操作部60、150と、容器内に収容され開口部側に位置する挿入口から内部に延びる挿入空所を有した
ゲル状樹脂製のコア部材80と、
容器10とコア部材80との間に配置された弾性変形部101、215によってコア部材外面に加える圧力を変化させる加圧部材100、200と、を備え
、弾性変形部101、215は操作部を回転操作した時に少なくともその一部の内外径位置を弾性的に変化させることを特徴とする。
【0058】
操作部60、150は、容器本体に対して回転自在(回動自在)に構成されていると共に、操作部の回転力、回転角度の変化が加圧部材100、200を変形させる力に変換されて加圧部材の一部がコア部材を締め付ける力を変化させる。このため、加圧部材からコア部材80の外面に加える圧力を増減微調整することが可能となり、コア部材内部に位置するペニスの先端部、或いはペニス全体に対して適正圧による変化に富んだ刺激、締め付け力を付与することができる。
つまり、簡易な手動操作によりコア部材への加圧力を微調整することによりペニスに対する締め付け力を使用者の好みに合わせて微調整することができる。
容器本体に対して回転自在(回動自在)に構成されているとは、容器本体によって直接回転自在に支持されている場合は勿論、容器本体によって間接的に回転自在に支持されている場合、その他、他の部材によって容器本体に対して回転自在な構成を広く含むものである。
【0059】
また、第
1の本発明に係る射精促進装置では、
操作部60、150を回転操作した時に少なくともその一部の内外径位置を弾性的に変化させる弾性変形部101、215を備えている
ため、操作部を回転させることにより加圧部材を構成する弾性変形部101、215の少なくとも一部が変形してコア部材を圧縮させたり、圧縮する力を弱めることが可能となる。
【0060】
第
2の本発明に係る射精促進装置では、弾性変形部101は薄板状弾性部材101aを螺旋状に構成したものであり、操作部を一方向へ回転させた時には
内径を収縮させ
、該操作部を他方向へ回転させた時には
内径を拡大させる
ことを特徴とする。
薄板状弾性部材を螺旋状(スパイラル状)に構成したコイルバネ状の弾性変形部101は、軸方向一端を固定した状態で他端を正逆二方向に回転させることにより内径
を収縮したり、
内径を拡大することができる。
【0061】
第
3の本発明に係る射精促進装置では、弾性変形部215は軸方向へ延びる複数本の薄板状弾性部材216を周方向間隔を隔てて配置(離隔配置)した構成を備えており、操作部を一方向へ回転させた時には
薄板状弾性部材216の少なくとも
一部を内径方向に変位させ、該操作部を他方向へ回転させた時には
薄板状弾性部材216の少なくとも
一部を外径方向へ変位させることを特徴とする。
第3の実施形態に係る弾性変形部215のように軸方向へ延びる構成としてもよい。この場合には、少なくとも弾性変形部の一部が内外径方向へ変形し易い構成としておくのが好ましい。
【0062】
<本出願人が関与している医学的な研究例>
本出願人が大学や病院等の医学的な研究機関との提携で実施している医学的な研究例として以下の実例を挙げる。
【0063】
1.2014年10月に、獨協医科大学越谷病院泌尿器科にて、本出願人の製品である射精促進装置を用いて精子採取実験を行った。
これは、射精促進装置を用いた場合と、手による射精行為によった場合とで、何れの方がより良好な精子(活きた精子数の割合)を採取できるかの実験、研究である。
本出願人の製品である射精促進装置、TENGA(登録商標、Deep Throat Cup)を使って採取した精子と、普通に手を使って射精した精子を比較研究した。被験者は、20名。
精子の質、量を見るのみならず、マウスの卵に人の精子を受精させ、初期分裂の具合をも比較した。
【0064】
2.スペイン性機能クリニックのロドリゲス氏(臨床心理士、性科学者)による早漏リハビリ研究 http://www.isemu.es/index.html
早漏患者に対し本出願人の製品である射精促進装置(登録商標、EGG)を使用して射精させたところ改善が見られたので、より本格的な射精促進装置である、FLIP HOLE(登録商標)で被験者20名に対して6週間に渡り実験を実施した。
結果は、国際性科学会雑誌に論文として投稿予定。
【0065】
3.シンガポールのGleneagles病院 Lim教授の早漏リハビリ研究(現在進行中)
http://gleneagles.com.sg/DoctorsCV/Urology/Dr-Lim-Huat-Chye-Peter?speciality=UROLOGY
早漏スコア最高点の人を対象に、射精促進装置(登録商標、TENGA)でリハビリ治療した場合と、治療薬を使った場合との効果を比較研究する。