(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6628080
(24)【登録日】2019年12月13日
(45)【発行日】2020年1月8日
(54)【発明の名称】バケット用ツース構造及びそのバケット
(51)【国際特許分類】
E02F 9/28 20060101AFI20191223BHJP
【FI】
E02F9/28 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-180973(P2015-180973)
(22)【出願日】2015年9月14日
(65)【公開番号】特開2017-57575(P2017-57575A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】595028786
【氏名又は名称】株式会社樋口製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092691
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 勇治
(72)【発明者】
【氏名】清野 一也
(72)【発明者】
【氏名】坂田 清作
【審査官】
佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−095402(JP,A)
【文献】
特開2010−065421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショベル系掘削機のバケットの先端辺部に並列配置される複数個のツース部材を備え、上記各ツース部材は略四角板状の歯板部の基部に嵌入穴部が形成され、該歯板部の先端辺部は掘削先縁部に形成され、該バケットの先端辺部に複数個のアダプタが並列固定され、該アダプタの先端部に該歯板部の嵌入穴部に嵌入可能な嵌入杆部が形成され、該各アダプタと各ツース部材とを着脱機構により着脱自在に設け、該複数個の各ツース部材は、該バケットの先端辺部に対向して左右方向に順次配置される左端位置の左端ツース部材、少なくとも1個の中間位置の中間ツース部材及び右端位置の右端ツース部材からなり、該中間ツース部材及び右端ツース部材に左側に向いて挟持凸部が突設され、該中間ツース部材の歯板部の右側表面下部に右側に隣り合う該右端ツース部材又は該中間ツース部材の挟持凸部の下辺部に当接可能な下側抜止凸部が隆起形成され、該左端ツース部材の歯板部の右側表面下部に右側に隣り合う該中間ツース部材の挟持凸部の下辺部に当接可能な下側抜止凸部が隆起形成され、上記左端ツース部材の歯板部の右側表面上部に右側に隣り合う該中間ツース部材の挟持凸部の上辺部に当接可能な上側抜止凸部が隆起形成されていることを特徴とするバケット用ツース構造。
【請求項2】
上記挟持凸部の外面は凸面状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のバケット用ツース構造。
【請求項3】
上記着脱機構として、上記アダプタ及び上記各ツース部材にそれぞれ縦角穴を形成し、該各縦角穴に角状の弾性材を嵌入すると共に該各縦角穴に角ピンを圧入してなることを特徴とする請求項1又は2記載のバケット用ツース構造。
【請求項4】
上記請求項1〜3のいずれか1項に記載のバケット用ツース構造を備えてなることを特徴とするバケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はショベル系掘削機に用いられるバケット用ツース構造及びそのバケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のバケット用ツース構造及びそのバケットとして、例えば、鋳鉄製にして、ショベル系掘削機のバケットの先端辺部に並列配置される複数個のツース部材を備え、各ツース部材は略四角板状の歯板部の基部に嵌入穴部が形成され、歯板部の先端辺部は掘削先縁部に形成され、バケットの先端辺部に複数個のアダプタが並列固定され、アダプタの先端部に歯板部の嵌入穴部に嵌入可能な嵌入杆部が形成され、各アダプタと各ツース部材とを着脱機構により着脱自在に設け、複数個の各ツース部材は、バケットの先端辺部に対向して左右方向に順次配置される左端位置の左端ツース部材、少なくとも1個の中間位置の中間ツース部材及び右端位置の右端ツース部材からなり、中間ツース部材及び右端ツース部材に左側に向いて挟持凸部が突設され、中間ツース部材に右側に隣り合う右端ツース部材又は中間ツース部材の挟持凸部の下辺部に当接可能な下側抜止凸部が形成され、左端ツース部材に右側に隣り合う中間ツース部材の挟持凸部の下辺部に当接可能な下側抜止凸部が形成されてなり、しかして、複数個の各ツース部材の歯板部の掘削先縁部、歯板部の表面及び裏面を用いて、地盤や配管用ピット等の掘削作業、アスファルト舗装層の剥離作業、砕土作業、土均し作業等の各種の対土作業を行う構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−246735
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来構造の場合、上記各ツース部材の歯板部の掘削先縁部、歯板部の表面及び裏面を用いて掘削作業等を行うに際し、各ツース部材の歯板部の掘削先縁部の穿入時において、硬質土、岩石、砂利等に衝突して想定以上の衝撃力が加わることがあり、このような過酷な対土作業に伴い、上記各ツース部材と各アダプタとの着脱機構のピン部材の破損等が生ずることがあり、このような着脱機構の故障に備えて、上記バケットの先端辺部に対向して左右方向に順次配置される左端位置の左端ツース部材、少なくとも1個の中間位置の中間ツース部材及び右端位置の右端ツース部材のうち、上記少なくとも1個の中間位置の中間ツース部材及び右端位置の右端ツース部材については、上記各下側抜止凸部と各挟持凸部の下辺部との当接によりアダプタからの抜け落ちを防ぐことができ、中間ツース部材及び右端ツース部材の抜け落ちによる欠損を防ぐことができるものの、上記左端ツース部材とアダプタとの着脱機構の故障が生じた場合、左端ツース部材がアダプタから抜け落ちることがあり、左端ツース部材の抜け落ちによる欠損により対土作業が困難となり、それだけ、対土作業性を低下させることがあり、また、左端ツース部材の抜け落ちによる紛失により新たな左端ツース部材が必要となり、経済性を低下させることがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこれらの不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、ショベル系掘削機のバケットの先端辺部に並列配置される複数個のツース部材を備え、上記各ツース部材は略四角板状の歯板部の基部に嵌入穴部が形成され、該歯板部の先端辺部は掘削先縁部に形成され、該バケットの先端辺部に複数個のアダプタが並列固定され、該アダプタの先端部に該歯板部の嵌入穴部に嵌入可能な嵌入杆部が形成され、該各アダプタと各ツース部材とを着脱機構により着脱自在に設け、該複数個の各ツース部材は、該バケットの先端辺部に対向して左右方向に順次配置される左端位置の左端ツース部材、少なくとも1個の中間位置の中間ツース部材及び右端位置の右端ツース部材からなり、該中間ツース部材及び右端ツース部材に左側に向いて挟持凸部が突設され、該中間ツース部材
の歯板部の右側表面下部に右側に隣り合う該右端ツース部材又は該中間ツース部材の挟持凸部の下辺部に当接可能な下側抜止凸部が
隆起形成され、該左端ツース部材
の歯板部の右側表面下部に右側に隣り合う該中間ツース部材の挟持凸部の下辺部に当接可能な下側抜止凸部が
隆起形成され
、上記左端ツース部材
の歯板部の右側表面上部に右側に隣り合う該中間ツース部材の挟持凸部の上辺部に当接可能な上側抜止凸部が
隆起形成されていることを特徴とするバケット用ツース構造にある。
【0006】
又、請求項2記載の発明は、上記挟持凸部の外面は凸面状に形成されていることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記着脱機構として、上記アダプタ及び上記各ツース部材にそれぞれ縦角穴を形成し、該各縦角穴に角状の弾性材を嵌入すると共に該各縦角穴に角ピンを圧入してなることを特徴とするものである。
【0007】
又、請求項4記載の発明は、上記請求項1〜3のいずれか1項に記載のバケット用ツース構造を備えてなることを特徴とするバケットにある。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上述の如く、請求項1又は請求項4記載の発明にあっては、ショベル系掘削機のバケットの先端辺部にアダプタを介して複数個のツース部材を着脱機構によって取り付け、複数個の各ツース部材は、バケットの先端辺部に対向して左右方向に順次配置される左端位置の左端ツース部材、少なくとも1個の中間位置の中間ツース部材及び右端位置の右端ツース部材からなり、ショベル系掘削機のバケットを操作することにより各ツース部材の掘削先縁部や歯板部の表面、裏面により地盤や配管用ピット等の掘削作業、アスファルト舗装層の剥離作業、砕土作業、土均し作業等の各種の対土作業を行うことになり、この際、
中間ツース部材及び右端ツース部材に左側に向いて挟持凸部が突設され、中間ツース部材の歯板部の右側表面下部に右側に隣り合う右端ツース部材又は中間ツース部材の挟持凸部の下辺部に当接可能な下側抜止凸部が隆起形成され、左端ツース部材の歯板部の右側表面下部に右側に隣り合う中間ツース部材の挟持凸部の下辺部に当接可能な下側抜止凸部が隆起形成され、上記左端ツース部材
の歯板部の右側表面上部に右側に隣り合う中間ツース部材の挟持凸部の上辺部に当接可能な上側抜止凸部が
隆起形成されているから、上記対土作業中において、硬質土、岩石、砂利等に衝突して想定以上の衝撃力が加わり、上記左端ツース部材とアダプタとの着脱機構に故障が生じた場合、左端ツース部材がアダプタから抜け落ちようとしても、左端ツース部材の上側抜止凸部が左端ツース部材の右側に隣り合う中間ツース部材の挟持凸部の上辺部に当接し、挟持凸部の上辺部と上側抜止凸部との当接により左端ツース部材の抜け落ちを防止することができ、左端ツース部材の抜け落ちによる欠損を防いで対土作業性を向上することができ、左端ツース部材の抜け落ちによる紛失を防ぐことができ、経済性を向上することができる。
【0009】
又、請求項2記載の発明にあっては、上記挟持凸部の外面は凸面状に形成されているから、挟持凸部の機械的強度を高めることができ、挟持凸部の破損を防ぐことができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記着脱機構として、上記アダプタ及び上記各ツース部材にそれぞれ縦角穴を形成し、各縦角穴に角状の弾性材を嵌入すると共に各縦角穴に角ピンを圧入してなるから、各アダプタに各ツース部材を容易に着脱することができると共に確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の第一形態例の表面側の分離斜視図である。
【
図2】本発明の実施の第一形態例の裏面側の分離斜視図である。
【
図3】本発明の実施の第一形態例の使用状態の平面図である。
【
図4】本発明の実施の第一形態例の使用状態の側断面図である。
【
図5】本発明の実施の第一形態例の使用状態の他の側断面図である。
【
図6】本発明の実施の第一形態例の使用状態の他の側断面図である。
【
図7】本発明の実施の第一形態例の使用状態の分解斜視図である。
【
図8】本発明の実施の第一形態例の使用状態図である。
【
図9】本発明の実施の第一形態例の使用状態の拡大側断面図である。
【
図10】本発明の実施の第二形態例の使用状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至
図9の第一形態例において、
図8の如く、1はショベル系掘削機Qのバケットであって、
図3の如く、バケット1の先端辺部に複数個、この場合、計3個のアダプタ2・2・2が並列固定され、
図6、
図7の如く、各アダプタ2・2・2にそれぞれ複数個のツース部材T・T・T、この場合、左端ツース部材L、1個の中間ツース部材C及び右端ツース部材Rがバケット1の先端方向に向いて着脱機構Mにより着脱自在に並列配置されている。
【0013】
この場合、
図1、
図3の如く、上記中間ツース部材C、左端ツース部材L及び右端ツース部材Rの各ツース部材T・T・Tは、それぞれ略四角板状の歯板部Taの基部に嵌入穴部Tbが形成され、歯板部Taの先端辺部は掘削先縁部Kに形成され、又、この場合、上記着脱機構Mとして、
図1、
図6、
図7の如く、上記アダプタ2の先端部に歯板部Taの嵌入穴部Tbに嵌入可能な嵌入杆部2aが形成され、上記アダプタ2及び上記1個の中間ツース部材C、左端ツース部材L及び右端ツース部材Rにそれぞれ縦角穴2b・Tc・Tcを形成し、嵌入穴部Tbに嵌入杆部2aを挿入し、縦角穴2bに角状の弾性材3を嵌入すると共に縦角穴Tc・Tc及び縦角穴2bに角ピンTdを圧入し、この角ピンTdの挿脱により各アダプタ2・2・2と各ツース部材T・T・T、即ち左端ツース部材L、1個の中間ツース部材C及び右端ツース部材Rを着脱自在に構成している。
【0014】
又、この場合、
図3の如く、各ツース部材T・T・Tは、バケット1の先端辺部に対向して左右方向に順次配置される左端位置の左端ツース部材L、1個の中間位置の中間ツース部材C及び右端位置の右端ツース部材Rからなり、
図1、
図2の如く、上記1個の中間ツース部材C及び右端ツース部材Rの左端ツース部材L側となる左側表面に表側段凹部4を成形し、対向間隙を置いて左側に向いて外面が凸面状S
1である挟持凸部Sを突設し、中間ツース部材C及び左端ツース部材Lの右端ツース部材R側となる右側裏面に裏側段凹部5を成形しており、この場合、
図3、
図4、
図5の如く、隣り合う左端ツース部材L、中間ツース部材C及び右端ツース部材Rを表側段凹部4と裏側段凹部5とを相互に重ね合わせ可能に形成している。
【0015】
6は下側抜止凸部であって、
図1、
図4、
図5の如く、上記左端ツース部材L及び上記中間ツース部材Cの上記歯板部Taの上記右端ツース部材R側となる右側表面下部に略台形隆起形状に形成され、
図3の如く、中間ツース部材Cに右側に隣り合う右端ツース部材R又は中間ツース部材Cの挟持凸部Sの下辺部SWに当接可能に形成されている。
【0016】
7は上側抜止凸部であって、
図1、
図4の如く、上記左端ツース部材Lの上記歯板部Taの上記右端ツース部材R側となる右側表面上部に略三角山形状に形成され、
図3の如く、左端ツース部材Lに右側に隣り合う中間ツース部材Cの挟持凸部Sの上辺部SUに当接可能に形成されている。
【0017】
この実施の第一形態例は上記構成であるから、
図3、
図8の如く、ショベル系掘削機Qのバケット1の先端辺部にアダプタ2・2・2を3個並列固定し、複数個のツース部材T・T・T、この場合、予め、左端ツース部材Lの裏側段凹部5と中間ツース部材Cの表側段凹部4との重ね合わせ及び左端ツース部材Lの下側抜止凸部6及び上側抜止凸部7の間に中間ツース部材Cの挟持凸部Sを挿入して左端ツース部材Lと隣り合う中間ツース部材Cとを一体に組み付けて置き、右端ツース部材R、一体に組み付けた状態の左端ツース部材L及び中間ツース部材Cを左右方向に順次配置して上記各アダプタ2・2・2に各ツース部材T・T・Tを着脱機構Mによって取り付け、
図9の如く、ショベル系掘削機Qのバケット1を操作することにより各ツース部材T・T・Tの掘削先縁部Kや歯板部Taの表面、裏面により地盤Gや配管用ピット等の掘削作業、アスファルト舗装層の剥離作業、砕土作業、土均し作業等の各種の対土作業を行うことになる。
【0018】
この場合、上記左端ツース部材Lに右側に隣り合う中間ツース部材Cの挟持凸部Sの上辺部SUに当接可能な上側抜止凸部7を設けているから、上記対土作業中において、硬質土、岩石、砂利等に衝突して想定以上の衝撃力が加わり、上記左端ツース部材Lとアダプタ2との着脱機構Mに故障が生じた場合、左端ツース部材Lがアダプタ2から抜け落ちようとしても、左端ツース部材Lの上側抜止凸部7が左端ツース部材Lの右側に隣り合う中間ツース部材Cの挟持凸部Sの上辺部SUに当接し、挟持凸部Sの上辺部SUと上側抜止凸部7との当接により左端ツース部材Lの抜け落ちを防止することができ、左端ツース部材Lの抜け落ちによる欠損を防いで対土作業性を向上することができ、左端ツース部材Lの抜け落ちによる紛失を防ぐことができ、経済性を向上することができる。
【0019】
なお、この場合、上記中間ツース部材Cに、右側に隣り合う右端ツース部材Rの挟持凸部Sの下辺部SWに当接可能な下側抜止凸部6が形成され、左端ツース部材Lに右側に隣り合う中間ツース部材Cの挟持凸部Sの下辺部SWに当接可能な下側抜止凸部6が形成されているから、例えば、角ピンTdの破損などによる中間ツース部材C及び右端ツース部材Rの着脱機構Mが故障したとしても、上記各下側抜止凸部6と各挟持凸部Sの下辺部SWとの当接によりアダプタ2からの抜け落ちを防ぐことができる。
【0020】
この場合、上記挟持凸部Sの外面は凸面状S
1に形成されているから、挟持凸部Sの機械的強度を高めることができ、挟持凸部Sの破損を防ぐことができ、又、この場合、上記着脱機構Mとして、上記アダプタ2及び上記各ツース部材T・T・Tにそれぞれ縦角穴2b・Tc・Tcを形成し、縦角穴2bに角状の弾性材3を嵌入すると共に縦角穴Tc・Tc及び縦角穴2bに角ピンTdを圧入してなるから、各アダプタ2・2・2に各ツース部材T・T・Tを容易に着脱することができると共に確実に固定することができる。
【0021】
図10の第二形態例は別例構造を示し、上記第一形態例にあっては、1個の中間ツース部材Cを用いていたが、この第二形態例の場合にあっては、2個の中間ツース部材C・Cを用い、左端ツース部材L、中間ツース部材C、中間ツース部材C、及び右端ツース部材Rの計4個のツース部材T・T・T・Tとした構造となっている。
【0022】
この第二形態例にあっては、上記第一形態例と同様に、上記左端ツース部材Lに右側に隣り合う中間ツース部材Cの挟持凸部Sの上辺部SUに当接可能な上側抜止凸部7を設けているから、上記対土作業中において、硬質土、岩石、砂利等に衝突して想定以上の衝撃力が加わり、上記左端ツース部材Lとアダプタ2との着脱機構Mに故障が生じた場合、左端ツース部材Lがアダプタ2から抜け落ちようとしても、左端ツース部材Lの上側抜止凸部7が左端ツース部材Lの右側に隣り合う中間ツース部材Cの挟持凸部Sの上辺部SUに当接し、挟持凸部Sの上辺部SUと上側抜止凸部7との当接により左端ツース部材Lの抜け落ちを防止することができ、左端ツース部材Lの抜け落ちによる欠損を防いで対土作業性を向上することができ、左端ツース部材Lの抜け落ちによる紛失を防ぐことができ、経済性を向上することができる。
【0023】
なお、この場合にあっても、上記各中間ツース部材C・Cに、右側に隣り合う右端ツース部材R及び中間ツース部材Cの各挟持凸部S・Sの下辺部SWに当接可能な下側抜止凸部6が形成され、左端ツース部材Lに右側に隣り合う中間ツース部材Cの挟持凸部Sの下辺部SWに当接可能な下側抜止凸部6が形成されているから、各中間ツース部材C・C及び右端ツース部材Rの着脱機構Mが故障したとしても、上記各下側抜止凸部6と各挟持凸部Sの下辺部SWとの当接によりアダプタ2からの抜け落ちを防ぐことができる。
【0024】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、例えばバケット1、アダプタ2、左端ツース部材L、中間ツース部材C、右端ツース部材R、下側抜止凸部6、上側抜止凸部7、着脱機構Mの構造、形態、形成位置、材質等は適宜設計して変更されるものである。
【0025】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0026】
Q ショベル系掘削機
T ツース部材
L 左端ツース部材
C 中間ツース部材
R 右端ツース部材
M 着脱機構
Ta 歯板部
Tb 嵌入穴部
K 掘削先縁部
Tc 縦角穴
Td 角ピン
S
1 凸面状
S 挟持凸部
SW 下辺部
SU 上辺部
1 バケット
2 アダプタ
2a 嵌入杆部
2b 縦角穴
3 弾性材
6 下側抜止凸部
7 上側抜止凸部