(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0013】
〔プリプレグ〕
本実施形態のプリプレグは、
熱硬化性樹脂(A)及び無機充填材(B)を含む熱硬化性樹脂組成物(C)と、該熱硬化性樹脂組成物(C)が含浸又は塗布されたガラスクロス(D)と、を有し、
前記ガラスクロス(D)が、
該ガラスクロス(D)を構成するタテ糸の打ち込み本数をX(本/インチ)、ヨコ糸の打ち込み本数をY(本/インチ)、前記タテ糸1本当たりのフィラメント数をx(本)、前記ヨコ糸1本当たりのフィラメント数をy(本)、厚みをt(μm)とした場合に、下記式(I)〜(III)を満たすものであり、
(x+y)≦95 (I)
1.9<(X+Y)/(x+y) (II)
t<20 (III)
該熱硬化性樹脂組成物(C)における前記無機充填材(B)の含有量が、前記熱硬化性樹脂(A)100質量部に対して、110〜700質量部である。
【0014】
〔ガラスクロス(D)〕
本実施形態のプリプレグにおいて使用されるガラスクロス(D)は、該ガラスクロス(D)を構成するタテ糸の打ち込み本数をX(本/インチ)、ヨコ糸の打ち込み本数をY(本/インチ)、タテ糸1本当たりのフィラメント数をx(本)、ヨコ糸1本当たりのフィラメント数をy(本)、厚みをt(μm)とした場合に、下記式(I)〜(III)を満たすものである。
(x+y)≦95 (I)
1.9<(X+Y)/(x+y) (II)
t<20 (III)
【0015】
本実施形態においては、タテ糸とヨコ糸の構成フィラメント数(x+y)を95以下とすることにより、タテ糸とヨコ糸それぞれを細くし、薄型化を達成する。その一方で、(X+Y)/(x+y)で表される、ヤーン(タテ糸、ヨコ糸)1本あたりのフィラメントの数に対するガラスクロス1インチあたりのヤーン数を1.9より多くすることにより、ヤーン間の空隙を少なくし、ガラスクロスが薄いにもかかわらず、剛性が高くかつ、外観が良好なプリプレグを得ることができる。また、外観及び絶縁信頼性に優れる、金属箔張積層板、プリント配線板、多層プリント配線板、及び部品内蔵多層プリント配線板(以下、まとめて「金属箔張積層板等」ともいう。)を与えることのできるプリプレグとなる。
【0016】
ガラスクロス(D)におけるx+yの値は、95以下であり、好ましくは90以下であり、より好ましくは80以下である。x+yの値が95以下であることにより、プリプレグの厚さがより薄くなる。また、ガラスクロス(D)におけるx+yの値は、好ましくは50以上であり、より好ましくは60以上であり、さらに好ましくは80以上である。x+yの値が50以上であることにより、塗工後のプリプレグ外観がより向上する傾向にある。
【0017】
また、ガラスクロス(D)における(X+Y)/(x+y)の値は、1.9超過であり、好ましくは2.0以上であり、より好ましくは2.1以上である。(X+Y)/(x+y)の値が1.9超過であることにより、プリプレグの剛性及び外観がより良好となる。また、ガラスクロス(D)における(X+Y)/(x+y)の値は、好ましくは7.0以下であり、より好ましくは5.0以下であり、さらに好ましくは3.5以下である。(X+Y)/(x+y)の値が7.0以下であることにより、塗工後のプリプレグの剛性がより向上する傾向にある。
【0018】
ガラスクロス(D)を構成するタテ糸の打ち込み本数X(本/インチ)は、好ましくは70〜105であり、より好ましくは80〜105であり、さらに好ましくは85〜100である。打ち込み本数Xが上記範囲内であることにより、より薄く、かつ、剛性の高い金属箔張積層板等を与えるプリプレグが得られる傾向にある。
【0019】
ガラスクロス(D)を構成するヨコ糸の打ち込み本数Y(本/インチ)は、好ましくは70〜105であり、より好ましくは80〜105であり、さらに好ましくは90〜105である。打ち込み本数Yが上記範囲内であることにより、より薄く、かつ、剛性の高い金属箔張積層板等を与えるプリプレグが得られる傾向にある。
【0020】
ガラスクロス(D)を構成するタテ糸1本当たりのフィラメント数x(本)は、好ましくは25〜50であり、より好ましくは30〜45であり、さらに好ましくは35〜45である。フィラメント数xが上記範囲内であることにより、より薄く、かつ、剛性の高い金属箔張積層板等を与えるプリプレグが得られる傾向にある。
【0021】
ガラスクロス(D)を構成するヨコ糸1本当たりのフィラメント数y(本)は、好ましくは25〜50であり、より好ましくは30〜50であり、さらに好ましくは40〜50である。フィラメント数y(本)が上記範囲内であることにより、より薄く、かつ、剛性の高い金属箔張積層板等を与えるプリプレグが得られる傾向にある。
【0022】
また、ガラスクロス(D)におけるX+Yの値は、好ましくは140〜220であり、より好ましくは160〜200であり、さらに好ましくは170〜200である。X+Yの値が140以上であることにより、剛性がより向上する傾向にある。また、X+Yの値が220以下であることにより、より薄いプリプレグが得られ、金属箔張積層板等もより薄くなる傾向にある。
【0023】
ガラスクロス(D)における、1インチあたりに対するタテ糸とヨコ糸の本数の比であるX/Yの値は、好ましくは0.85〜1.15であり、より好ましくは0.98〜1.10である。X/Yの値が上記範囲内であることにより、加熱時の寸法挙動、熱膨張率、反り等の物理特性のタテ方向とヨコ方向の安定性がより向上する傾向にある。
【0024】
ガラスクロス(D)の厚みt(μm)は、20μm未満であり、好ましくは16μm以下であり、より好ましくは14μm以下である。厚みtが20μm未満であることにより、より薄型のプリプレグが得られ、金属箔張積層板等もより薄くなる。また、厚みtは、好ましくは8μm以上である。厚みtが8μm以上であることにより、剛性がより向上する傾向にある。
【0025】
ガラスクロス(D)のタテ糸及びヨコ糸の平均フィラメント径をr(μm)とした場合に、ガラスクロス(D)の厚みt(μm)は、好ましくは4r未満であり、より好ましくは2.0r〜3.5rであり、さらに好ましくは2.0r〜3.0rである。厚みtが4r未満であることにより、より薄いプリプレグが得られ、金属箔張積層板等もより薄くなる傾向にある。
【0026】
さらに、タテ糸及びヨコ糸における平均フィラメント径r(μm)の平均値は、好ましくは2.5〜5.0μmであり、より好ましくは3.5〜4.5μmであり、さらに好ましくは3.5〜4.2μmである。タテ糸及びヨコ糸における平均フィラメント径r(μm)の平均値が上記は範囲内であることにより、より薄いプリプレグが得られ、金属箔張積層板等もより薄くなる傾向にある。
【0027】
ガラスクロス(D)の単位面積当たりにおける質量をW(g/m
2)とした場合に、W/t(g/μm・m
2)の値は、好ましくは1.0未満であり、より好ましくは0.7〜0.95であり、さらに好ましく0.85〜0.95である。W/t(g/μm・m
2)の値が1.0未満であることにより、プリプレグ、及びそれにより得られる金属箔張積層板等の外観がより優れ、それにより歩留まりがより向上する傾向にある。
【0028】
また、W(g/m
2)の値は、好ましくは8.0〜20.0g/m
2であり、より好ましくは9.0〜13.5g/m
2であり、さらに好ましくは9.8〜12.8g/m
2である。W(g/m
2)の値が上記範囲内であることにより、より薄いプリプレグが得られ、金属箔張積層板等もより薄くなる傾向にある。
【0029】
ガラスクロス(D)を構成するガラス繊維としては、特に限定されず各種プリント配線板材料に用いられている公知のものを使用することができる。このようなガラス繊維としては、特に限定されないが、例えば、Eガラス、Dガラス、Cガラス、Sガラス、NEガラス、Tガラス、Qガラス等のガラス繊維が挙げられる。
【0030】
上記のようなガラスクロス(D)は、特に限定されないが、例えば、所定の径を有するフィラメントを所定本数まとめてタテ糸及びヨコ糸を製糸する製糸工程と、タテ糸及びヨコ糸を上記式(I)〜(III)を満たすように製織する製織工程と、を有する製造方法により製造することができる。
【0031】
製糸工程においては、フィラメントに対して集束剤を公知の方法に従って付与してもよい。集束剤の付与公知の方法としては、例えば、浸漬塗布、ローラー塗布、吹き付け塗布、流し塗布又はスプレー塗布等が挙げられる。上記集束剤は、公知の集束剤であってよく、ガラス繊維集束剤と称されるものが好ましい。
【0032】
また、製織工程は、公知の織機を用い手行うことができる。具体的には、ジェット織機(例えばエアージェット織機又はウォータージェット織機等)、スルザー織機又はレピヤー織機等を用いてガラス繊維を製織する手段等が挙げられる。ガラスクロスの製織方法(織り方)としては、例えば、平織、朱子織、ななこ織、綾織、斜文織、からみ織、三軸織または横縞織等が挙げられる。また、編物の編成方法(編み方)としては、例えば平編、ゴム編またはパール編などの横編、シングルデンビ編、シングルコード編、二目編などの縦編、レース編、浮き編、パイル編等が挙げられる。編成は、例えば台丸機、丸編機またはコットン式編機等の自体公知の横編機または縦編機を使用してよい。
【0033】
ガラスクロス(D)は、上記付着した上記集束剤を除去せずに生機のまま用いてもよく、付着した集束剤を除去するための周知技術、例えばヒートクリーニング処理、コロナイジング処理または湯洗い処理などを施した後に用いてもよい。
【0034】
ヒートクリーニング処理、コロナイジング処理または湯洗い処理されたガラスクロスは公知の表面処理剤で表面処理が施されてもよい。このような表面処理手段としては、特に限定されないが、例えば、表面処理剤を含浸、塗布又はスプレー等が挙げられる。
【0035】
〔熱硬化性樹脂組成物(C)〕
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物(C)は、熱硬化性樹脂(A)及び無機充填材(B)を含む。
【0036】
〔熱硬化性樹脂(A)〕
熱硬化性樹脂(A)としては、熱により硬化する樹脂であれば特に限定されないが、例えば、シアン酸エステル化合物、マレイミド化合物、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、非ハロゲン系エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンエーテルが挙げられる。この中でも、シアン酸エステル化合物及び/又はマレイミド化合物が好ましい。シアン酸エステル化合物及び/又はマレイミド化合物を用いることにより、耐薬品性、密着性がより向上する傾向にある。また、BT樹脂も好ましい。BT樹脂を含有することにより、耐薬品性、密着性、耐吸湿性、耐熱性がより向上する傾向にある。熱硬化性樹脂(A)は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0037】
熱硬化性樹脂(A)の含有量は、熱硬化性樹脂組成物(C)100質量部に対して、好ましくは7.0〜62質量部であり、より好ましくは10〜55質量部であり、さらに好ましくは10〜45質量部である。熱硬化性樹脂(A)の含有量が7.0質量部以上であることにより、薄型プリプレグの成形性がより向上する傾向にある。また、熱硬化性樹脂(A)の含有量が62質量部以下であることにより、剛性がより向上する傾向にある。
【0038】
(シアン酸エステル化合物)
シアン酸エステル化合物としては、特に限定されないが、例えば、下記式(1)で表されるナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、下記式(2)で表されるノボラック型シアン酸エステル化合物、ビフェニルアラルキル型シアン酸エステル化合物、ビス(3,5−ジメチル4−シアナトフェニル)メタン、ビス(4−シアナトフェニル)メタン、1,3−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナトベンゼン、1,3,5−トリシアナトベンゼン、1,3−ジシアナトナフタレン、1,4−ジシアナトナフタレン、1,6−ジシアナトナフタレン、1,8−ジシアナトナフタレン、2,6−ジシアナトナフタレン、2、7−ジシアナトナフタレン、1,3,6−トリシアナトナフタレン、4、4’−ジシアナトビフェニル、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、2、2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、等が挙げられる。この中でも下記式(1)で表されるナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、下記式(2)で表されるノボラック型シアン酸エステル、ビフェニルアラルキル型シアン酸エステルが好ましい。下記式(1)で表されるナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、下記式(2)で表されるノボラック型シアン酸エステル、ビフェニルアラルキル型シアン酸エステルを用いることにより、難燃性及び硬化性がより向上し、かつ硬化物の熱膨張係数がより低下する傾向するにある。これらのシアン酸エステル化合物は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【化1】
(上記式(1)中、R
1は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、中でも水素原子が好ましい。また、上記式(1)中、n1は1以上の整数を示す。n1の上限値は、通常は10、好ましくは6である。)
【化2】
(上記式(2)中、R
2は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、中でも水素原子が好ましい。また、上記式(2)中、n2は1以上の整数を示す。n2の上限値は、通常は10、好ましくは7である。)
【0039】
これらのシアン酸エステル化合物の製造方法としては、特に限定されず、公知のシアン酸エステル合成法が挙げられ、例えば、特許4407823号に記載のナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物の製造方法が挙げられる。また、ノボラック型シアン酸エステル化合物としては、市販品として、PT−30(ロンザジャパン(株))が例示される。
【0040】
また、熱硬化性樹脂組成物(C)が、シアン酸エステル化合物及び/又は非ハロゲン系エポキシ樹脂を含む場合には、シアン酸エステル化合物のシアネート基数と非ハロゲン系エポキシ樹脂のエポキシ基数の比(CN/Ep)は、好ましくは0.70〜2.5であり、好ましくは0.70〜1.5であり、好ましくは0.75〜1.25である。比(CN/Ep)が上記範囲内であることにより、プリプレグ及び金属箔張積層板等の耐熱性及び難燃性がより向上し、吸水率がより低下する傾向にある。
【0041】
熱硬化性樹脂(A)がシアン酸エステル化合物を含む場合には、硬化性や耐熱性の観点から、シアン酸エステル化合物の含有量は、熱硬化性樹脂(A)の総量100質量部に対して、好ましくは10〜60質量部であり、より好ましくは20〜50質量部であり、さらに好ましくは25〜45質量部である。
【0042】
(マレイミド化合物)
マレイミド化合物としては、1分子中に1個以上のマレイミド基を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。その具体例としては、N−フェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル}プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジエチル−4−マレイミドフェニル)メタン、下記式(3)で表されるマレイミド化合物、これらマレイミド化合物のプレポリマー、もしくはマレイミド化合物とアミン化合物のプレポリマーなどが挙げられる。この中でも、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル}プロパン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、下記式(3)で表されるマレイミド化合物が好ましく、とりわけ、下記式(3)で表されるマレイミド化合物が好ましい。マレイミド化合物は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【化3】
(上記式(3)中、R
3は水素原子又はメチル基を示し中でも水素原子が好ましい。上記式(3)中、n3は1以上の整数を示す。nの上限値は、通常は10、好ましくは7である。)
【0043】
熱硬化性樹脂(A)がマレイミド化合物を含む場合には、硬化性や耐熱性の観点から、マレイミド化合物の含有量は、熱硬化性樹脂(A)の総量100質量部に対して、好ましくは3.0〜50質量部であり、より好ましくは5.0〜40質量部であり、さらに好ましくは10〜40質量部である。
【0044】
(BT樹脂)
BT樹脂としては、特に限定されないが、例えば、シアン酸エステル化合物及びマレイミド化合物を、無溶剤又はメチルエチルケトン、Nメチルピロドリン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、キシレン等の有機溶剤に溶解して加熱混合し、ポリマー化したものが挙げられる。
【0045】
BT樹脂の原料として用いるシアン酸エステル化合物としては、特に限定されず、例えば、上記式(1)で表されるナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、上記式(2)で表されるノボラック型シアン酸エステル化合物、ビフェニルアラルキル型シアン酸エステル化合物、ビス(3,5−ジメチル4−シアナトフェニル)メタン、ビス(4−シアナトフェニル)メタン、1,3−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナトベンゼン、1,3,5−トリシアナトベンゼン、1,3−ジシアナトナフタレン、1,4−ジシアナトナフタレン、1,6−ジシアナトナフタレン、1,8−ジシアナトナフタレン、2,6−ジシアナトナフタレン、2、7−ジシアナトナフタレン、1,3,6−トリシアナトナフタレン、4、4’−ジシアナトビフェニル、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、2、2’−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン等が挙げられる。この中でも、上記式(1)で表されるナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、上記式(2)で表されるノボラック型シアン酸エステル化合物、又はビフェニルアラルキル型シアン酸エステル化合物が好ましい。上記式(1)で表されるナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、上記式(2)で表されるノボラック型シアン酸エステル化合物、ビフェニルアラルキル型シアン酸エステル化合物を用いることにより、プリプレグ及び金属箔張積層板等の難燃性及び硬化性がより向上し、熱膨張係数がより低下する傾向にある。
【0046】
また、BT樹脂の原料として用いるマレイミド化合物としては、特に限定されないが、例えば、N−フェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル}プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジエチル−4−マレイミドフェニル)メタン、上記式(3)で表されるマレイミド化合物、これらマレイミド化合物のプレポリマー、もしくはマレイミド化合物とアミン化合物のプレポリマーなどが挙げられる。この中でも、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル}プロパン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、上記式(3)で表されるマレイミド化合物が好ましく、とりわけ、上記式(3)で表されるマレイミド化合物が好ましい。
【0047】
BT樹脂の原料として用いるマレイミド化合物の割合は特に限定されないが、ガラス転移温度、難燃性、硬化性の観点から、BT樹脂の総量100質量%に対し、好ましくは5.0〜75質量%であり、より好ましくは10〜70質量%であり、さらに好ましくは20〜65質量%である。
【0048】
また、プレポリマーであるBT樹脂の数平均分子量は、特に限定されないが、ハンドリング性、ガラス転移温度、硬化性の観点から、好ましくは100〜100000であり、より好ましくは500〜80000であり、さらに好ましくは1000〜60000である。
【0049】
熱硬化性樹脂(A)がBT樹脂を含む場合には、硬化性や耐熱性の観点から、BT樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂(A)の総量100質量部に対して、好ましくは20〜80質量部であり、より好ましくは30〜70質量部であり、さらに好ましくは35〜65質量部である。BT樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、プリプレグ及び金属箔張積層板等の硬化度、難燃性、ガラス転移温度がより向上し、吸水率がより低下し、弾性率により優れる傾向にある。
【0050】
(非ハロゲン系エポキシ樹脂)
非ハロゲン系エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、分子骨格内にハロゲン原子を有しない化合物であれば特に限定されず、例えば、下記式(4)で表されるフェノールフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、下記式(5)で表されるフェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、下記式(6)で表されるナフトールアラルキル型エポキシ樹脂や、下記式(7)で表されるアントラキノン型エポキシ樹脂や下記式(8)又は下記式(9)で表されるポリオキシナフチレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、3官能フェノール型エポキシ樹脂、4官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエステル、ブタジエンなどの2重結合をエポキシ化した化合物、水酸基含有シリコーン樹脂類とエピクロルヒドリンとの反応により得られる化合物等が挙げられる。この中でも、特に難燃性を向上させるためや、熱膨張を低くする観点から、下記式(4)で表されるフェノールフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、下記式(5)で表されるフェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、下記式(6)で表されるナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、下記式(7)で表されるアントラキノン型エポキシ樹脂、下記式(8)又は下記式(9)で表されるポリオキシナフチレン型エポキシ樹脂が好ましい。これらの非ハロゲン系エポキシ樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【化4】
(上記式(4)中、R
4は水素原子又はメチル基を示し中でも水素原子が好ましい。上記式(4)中、n4は1以上の整数を示す。n4の上限値は、通常は10、好ましくは7である。)
【化5】
(上記式(5)中、R
5は水素原子又はメチル基を示し中でも水素原子が好ましい。上記式(5)中、n5は1以上の整数を示す。n5の上限値は、通常は10、好ましくは7である。)
【化6】
(上記式(6)中、R
6は水素原子又はメチル基を示し中でも水素原子が好ましい。上記式(6)中、n6は1以上の整数を示す。n6の上限値は、通常は10、好ましくは7である。)
【化7】
【化8】
(上記式(8)中、R
7はそれぞれ独立的に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基又はアラルキル基を表す。)
【化9】
(上記式(9)中、R
8はそれぞれ独立的に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アラルキル基を表す。)
【0051】
上記式(8)及び式(9)で表されるポリオキシナフチレン型エポキシ樹脂としては、市販品を用いることができ、製品例としてはDIC株式会社製、EXA−7311、EXA−7311―G3、EXA−7311―G4、EXA−7311―G4S、EXA−7311L,HP−6000が挙げられる。
【0052】
熱硬化性樹脂(A)が非ハロゲン系エポキシ樹脂を含む場合には、金属箔との密着強度の観点から、非ハロゲン系エポキシ樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂(A)の総量100質量部に対して、好ましくは5.0〜90質量部であり、より好ましくは20〜70質量部であり、さらに好ましくは30〜70質量部である。
【0053】
(フェノール樹脂)
フェノール樹脂としては、1分子中にフェノール性水酸基を2個以上有する樹脂であれば、公知のものを適宜用いることができ、その種類は特に限定されない。例えば、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ポリビニルフェノール類、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、ナフタレン型フェノール樹脂、アミノトリアジンノボラック型フェノール樹脂等が挙げられる。これらのフェノール樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0054】
熱硬化性樹脂(A)がフェノール樹脂を含む場合には、加熱成形性の観点から、フェノール樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂(A)の総量100質量部に対して、好ましくは10〜90質量部であり、より好ましくは15〜70量部であり、さらに好ましくは20〜65質量部である。
【0055】
(ポリフェニレンエーテル)
ポリフェニレンエーテルとしては、特に限定されないが、例えば、下記式(10)で表される構造単位を少なくとも含んでいる重合体であれば、公知のものが挙げられる。
【化10】
(上記式(10)中、R
9、R
10、R
11及びR
12は、各々独立して、炭素数6以下のアルキル基、アリール基、ハロゲン又は水素を表す。また、上記式(10)中、n7は1以上の整数を示す。)
【0056】
ポリフェニレンエーテルとしては、一部又は全部を、ビニルベンジル基等のエチレン性不飽和基、エポキシ基、アミノ基、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、及びシリル基等で官能基化された変性ポリフェニレンエーテルを用いることもできる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。末端が水酸基であるポリフェニレンエーテルとしては例えば、SABICイノベーティブプラスチックスジャパン合同会社製SA90等が挙げられる。
【0057】
ポリフェニレンエーテルは、両末端にエチレン性不飽和基を有する変性ポリフェニレンエーテルを含むものであることが好ましい。エチレン性不飽和基としては、特に限定されないが、例えば、エテニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基及びオクテニル基等のアルケニル基;シクロペンテニル基及びシクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基;ビニルベンジル基及びビニルナフチル基等のアルケニルアリール基が挙げられる。このなかでも、ビニルベンジル基が好ましい。両末端の2つのエチレン性不飽和基は、同一の官能基であってもよいし、異なる官能基であってもよい。このようなポリフェニレンエーテルとしては例えば、三菱ガス化学(株)製OPE−2St等がある。
【0058】
変性ポリフェニレンエーテルの製造方法は公知のものであれば特に限定されない。例えば、ビニルベンジル基で官能基化されたものは、2官能フェニレンエーテルオリゴマーとビニルベンジルクロライドを溶剤に溶解させ、加熱攪拌下で塩基を添加して反応させた後、樹脂を固形化することで製造できる。カルボキシル基で官能基化されたものは、例えばラジカル開始剤の存在下又は非存在下において、ポリフェニレンエーテルに不飽和カルボン酸やその官能基化された誘導体を溶融混練し、反応させることによって製造される。あるいは、ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸やその官能的誘導体とをラジカル開始剤存在下又は非存在下で有機溶剤に溶かし、溶液下で反応させることによって製造される。
【0059】
熱硬化性樹脂(A)がポリフェニレンエーテルを含む場合には、電気特性の観点から、ポリフェニレンエーテルの含有量は、熱硬化性樹脂(A)の総量100質量部に対して、好ましくは10〜90質量部であり、より好ましくは20〜85質量部であり、さらに好ましくは30〜85質量部である。
【0060】
〔無機充填材(B)〕
熱硬化性樹脂組成物(C)中の無機充填材(B)としては、例えば、天然シリカ、溶融シリカ、アモルファスシリカ、中空シリカ等のシリカ類;ベーマイト;酸化モリブデンやモリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物;アルミナ、タルク、焼成タルク、マイカ、ガラス短繊維、球状ガラス(EガラスやTガラス、Dガラスなどのガラス微粉末類)などが挙げられる。この中でも、無機充填材(B)は、シリカ、ベーマイト、及びアルミナからなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。このような無機充填材(B)を用いることにより、反りが低減し、剛性がより向上する傾向にある。これらの無機充填材(B)は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0061】
無機充填材(B)の平均粒子径(D50)は、特に限定されないが、薄型多層プリント配線板用途に使用すること及び分散性の観点から、好ましくは10nm〜8.0μmであり、より好ましくは100nm〜5.0μmであり、さらに好ましくは100nm〜3.0μmである。ここで、平均粒子径(D50)とはメジアン径を意味し、測定した粉体の粒度分布を2つに分けたときの大きい側と小さい側が等量となる径である。より具体的には、平均粒子径(D50)は、レーザ回折散乱式の粒度分布測定装置により、メチルエチルケトン中に分散させた粉体の粒度分布を測定したときの、小さい粒子から体積積算して全体積の50%に達したときの値を意味する。
【0062】
熱硬化性樹脂組成物(C)中の無機充填材(B)の含有量は、得られるプリプレグが有する熱膨張率及び外観を良好にする観点から、熱硬化性樹脂(A)100質量部に対して、110質量部〜700質量部であり、好ましくは120〜420質量部であり、より好ましくは20〜420質量部である。
【0063】
また、無機充填材(B)の含有量は、熱硬化性樹脂組成物(C)100質量部に対して、好ましくは38〜88質量部であり、より好ましくは45〜80質量部であり、さらに好ましくは55〜70質量部である。無機充填材(B)の含有量が38質量部以上であることにより、得られるプリプレグの剛性がより向上する傾向にある。また、一般的に、熱硬化性樹脂組成物(C)中の無機充填材(B)の充填量を多くすると、プリプレグの剛性は向上するが、製造性が著しく悪くなる。しかし、本発明では、上述した特性を持つガラスクロス(D)を用いることで、無機充填材(B)の充填量を(例えば、55質量部以上の)高充填にしても、プリプレグの製造性を損ねることなく、剛性の高いプリプレグを容易に製造することができる。
【0064】
〔シランカップリング剤〕
熱硬化性樹脂組成物(C)は、必要に応じてシランカップリング剤を含んでもよい。シランカップリング剤としては、一般に無機物の表面処理に使用されているシランカップリング剤であれば、特に限定されないが、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン系化合物;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのエポキシシラン系化合物;γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのビニルシラン系化合物;N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩などのカチオニックシラン系化合物;フェニルシラン系化合物などが挙げられる。シランカップリング剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0065】
〔湿潤分散剤〕
熱硬化性樹脂組成物(C)は、必要に応じて湿潤分散剤を含んでもよい。湿潤分散剤としては、特に限定されず、塗料用に使用されている分散安定剤を用いることができ、例えば、ビッグケミー・ジャパン(株)製のDisperByk−110、111、180、161、2000、2151、BYK―W996、W9010、W903等が挙げられる。
【0066】
〔硬化促進剤〕
熱硬化性樹脂組成物(C)は、熱硬化性樹脂(A)、無機充填材(B)に加えて、必要に応じて硬化促進剤を含有することができる。硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、イミダゾール化合物;過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチル−ジ−パーフタレート等で例示される有機過酸化物;アゾビスニトリル当のアゾ化合物;N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、2−N−エチルアニリノエタノール、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、キノリン、N−メチルモルホリン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルブタンジアミン、N−メチルピペリジンなどの第3級アミン類;フェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシン、カテコールなどのフェノール類;ナフテン酸鉛、ステアリン酸鉛、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、オレイン酸錫、ジブチル錫マレート、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸コバルト、アセチルアセトン鉄などの有機金属塩;これら有機金属塩をフェノール、ビスフェノールなどの水酸基含有化合物に溶解してなるもの;塩化錫、塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどの無機金属塩;ジオクチル錫オキサイド、その他のアルキル錫、アルキル錫オキサイドなどの有機錫化合物などが挙げられる。
【0067】
前記イミダゾール化合物としては、下記式(11)で表されるものであることが、硬化物のガラス転移温度を上げる観点から好ましい。
【化11】
(上記式(11)中、Arは、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラニル基又はその水酸基変性物を示し、その中でもフェニル基が好ましい。また、上記式(11)中、R
13は、水素原子、アルキル基又はその水酸基変性物、フェニル基等のアリール基を示す。以上の組み合わせの中でも、Ar、R
13ともにフェニル基であることが特に好ましい。)
【0068】
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物(C)においてイミダゾール化合物を用いる場合には、硬化性や耐熱性の観点から、イミダゾール化合物の含有量は、熱硬化性樹脂(A)の総量100質量部に対して、好ましくは0.010〜10質量部であり、より好ましくは0.10〜5.0質量部であり、さらに好ましくは0.10〜2.5質量部である。イミダゾール化合物の含有量が上記範囲内であることにより、プリプレグ粘度を適正な範囲にすることができ、良好な成形性を得られることができる傾向にある。また、得られるプリント配線板は硬化度が上がり、難燃性、ガラス転移温度、及び弾性率に優れる傾向にある。
【0069】
〔溶剤〕
さらに、熱硬化性樹脂組成物(C)は、必要に応じて溶剤を含有していてもよい。例えば、有機溶剤を用いると、熱硬化性樹脂組成物の調製時における粘度が下がり、ハンドリング性を向上されるとともにガラスクロスへの含浸性が向上する傾向にある。溶剤としては、特に限定されないが、熱硬化性樹脂(A)を溶解可能なものが好ましい。このような溶媒としては、特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセルソルブなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;プロピレングリコールメチルエーテル及びそのアセテートなどが挙げられる。溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0070】
〔添加剤〕
熱硬化性樹脂組成物(C)は、必要に応じて、熱可塑性樹脂及びそのオリゴマー、エラストマー類などの種々の高分子化合物;他の難燃性の化合物;その他の添加剤などを含有してもよい。これらは一般に熱硬化性樹脂組成物に使用されるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、難燃性の化合物としては、メラミンやベンゾグアナミンなどの窒素含有化合物;オキサジン環含有化合物などが挙げられる。その他の添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、光増感剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光沢剤、重合禁止剤等が挙げられる。これら添加剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0071】
〔プリプレグの製造方法〕
本実施形態のプリプレグの製造方法は、ガラスクロス(D)に、熱硬化性樹脂(A)、及び無機充填材(B)を含む熱硬化性樹脂組成物(C)を含浸又は塗布してプリプレグを製造する方法であれば、特に限定されない。例えば、熱硬化性樹脂組成物(C)を含む樹脂ワニスをガラスクロス(D)に含浸又は塗布させた後、100〜200℃の乾燥機中で、1〜60分加熱させる方法などにより半硬化させ、プリプレグを製造する方法などが挙げられる。
【0072】
本実施形態のプリプレグ中のガラスクロスの体積含有率は、好ましくは21体積%〜35体積%であり、より好ましくは22体積%〜31体積%であり、さらに好ましくは23体積%〜29体積%である。体積含有率が21体積%以上であることにより、熱膨張率の低減効果、及び剛性の向上効果がより向上する傾向にある。また、体積含有率が35体積%以下であることにより、成形性が向上し、吸湿耐熱性、絶縁信頼性がより向上する傾向にある。
【0073】
プリプレグ中のガラスクロスの体積含有率は、それを用いて作製した金属箔張積層板などのフルキュアされた板状硬化物(絶縁層)から算出する。金属箔張積層板の絶縁層の厚みをt1(μm)、絶縁層中のガラスクロスの質量W(g/m
2)、比重をd(g/cm
3)、積層板に含まれるガラスクロスの数をS(枚)としたときに、体積含有率は下記式により算出される。
体積含有率(%)=((t1−W/d)×S)/t1×100
【0074】
〔金属箔張積層板〕
本実施形態の金属箔張積層板は、プリプレグと、該プリプレグの片面又は両面に積層された金属箔と、を含む。このような金属箔張積層板は、上述のプリプレグを少なくとも1枚以上重ね、その片面もしくは両面に金属箔を配して積層成形することにより、得ることができる。具体的には、前述のプリプレグを1枚あるいは複数枚以上を重ね、所望によりその片面もしくは両面に銅やアルミニウムなどの金属箔を配置した構成とし、これを必要に応じて積層成形することにより、本実施形態の金属箔張積層板を作製することができる。なお、プリプレグとしては、前述のプリプレグ以外のものを併用してもよい。
【0075】
ここで使用する金属箔は、プリント配線板材料に用いられるものであれば、特に限定されないが、圧延銅箔や電解銅箔などの公知の銅箔が好ましい。また、金属箔の厚みは、特に限定されないが、好ましくは2〜70μmであり、より好ましくは2〜35μmである。また金属箔に代えて、樹脂付銅箔を用いることもできる。
【0076】
金属箔張積層板の成形方法及びその成形条件についても、特に限定されず、一般的なプリント配線板用積層板及び多層板の手法及び条件を適用することができる。例えば、金属箔張積層板の成形時には多段プレス機、多段真空プレス機、連続成形機、オートクレーブ成形機などを用いることができる。また、成形温度は100〜300℃、成形圧力は面圧2〜100kgf/cm
2、加熱時間は0.05〜5時間の範囲が一般的である。さらに、必要に応じて、150〜300℃の温度で後硬化を行うこともできる。また、本実施形態のプリプレグと、別途作製した内層用の配線板とを組み合わせて積層成形することにより、多層板とすることも可能である。
【0077】
本実施形態のプリプレグを用いて製造した金属箔張積層板は、低い熱膨張率、良好な成形性及び耐薬品性を有し、薄型で高信頼性を要求される半導体プラスチックパッケージ用材料として、殊に有効に用いることができる。
【0078】
〔プリント配線板、多層プリント配線板、及び部品内蔵多層プリント配線板〕
本実施形態のプリント配線板は、プリプレグをビルドアップ材料として用いて作製されたものである。このようなプリント配線板は、上記の金属箔張積層板に、所定の配線パターンを形成することにより得ることができる。また、本実施形態の多層プリント配線板は、金属箔張積層板を積層用材料として用いて作製されたものである。このような多層プリント配線板は、上記の本実施形態の金属箔張積層板を積層用材料として用いて多層プリント配線板を形成することにより得ることができる。さらに、本実施形態の部品内蔵多層プリント配線板は、上記プリプレグをビルドアップ材料として用いて、下地層に半導体用途部品及び金属ラインを配置し、得られるものである。
【0079】
ここで、「ビルドアップ」とは、プリプレグ又は樹脂シートを積層すると共に、1層毎に孔開け加工、配線形成などを繰り返すことによって、多層構造プリント配線板を製造することを意味する。
【0080】
本実施形態のプリント配線板は、プリプレグを絶縁層として作製されたものであってもよい。なお、何れの場合も、必要に応じてその他の各種の工程(例えば、ビアホール、スルーホール等を形成する穴加工処理等)を加えてもよい。
【0081】
プリント配線板及び多層プリント配線板は、例えば、以下の方法により製造することができる。まず、本実施形態の銅張積層板等の金属箔張積層板を用意する。金属箔張積層板の表面にエッチング処理等の各種回路形成工程を施して内層回路の形成を行い、内層基板を作製する。この内層基板の内層回路表面に、必要に応じて接着強度を高めるための表面処理を行い、次いでその内層回路表面に本実施形態のプリプレグを1枚以上含むプリプレグを所要枚数重ね、更にその外側に外層回路用の金属箔等を積層し、加熱加圧して一体成形する。このようにして、内層回路と外層回路用の金属箔との間に、基材及び熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層が形成された多層の積層板が製造される。次いで、この多層の積層板にスルーホールやバイアホール用の穴あけ加工を施した後、硬化物層に含まれている樹脂成分に由来する樹脂の残渣であるスミアを除去するためデスミア処理が行われる。その後この穴の壁面に内層回路と外層回路用の金属箔とを導通させるめっき金属皮膜を形成し、更に外層回路用の金属箔にエッチング処理等の各種回路形成工程を施して外層回路を形成し、プリント配線板が製造される。
【0082】
本実施形態のプリプレグ、金属箔張積層板の樹脂組成物層(本実施形態のプリプレグからなる層)が、絶縁層を構成することになる。
【0083】
他方、本実施形態のプリプレグ及び/又は金属箔張積層板は、部品内蔵多層プリント配線板の用途にも好適である。ここでいう「部品内蔵多層プリント配線板」とは、別途作製された積層板に凹み、又は穴を加工し、その内部に電子材料用部品を設置し、上記プリプレグを含むプリプレグを少なくとも1枚以上重ね、加熱加圧することで得ることができる。具体的には以下の方法により製造することが可能である。副資材(ステンレス鋼板やアルミニウム鋼板等が挙げられる)上に、凹み又は穴を加工した積層板(内層回路が形成されていてもよい)の凹み又は穴の中に電子材料用部品(例えばメモリー、ICチップ、コンデンサ等の部品、又はステンレス鋼板等の上に形成された金属箔回路等が挙げられる)を配置し、前述のプリプレグを少なくとも1枚以上積層し、必要とされうる場合は片面又は両面に金属箔を配置した構成とし、加熱加圧による積層形成をすることで得ることができる。加熱加温による成形時には多段プレス機、多段真空プレス機、連続成形機、オートクレーブ成形機などを用いることができ、また、温度は100〜300℃、圧力は面圧2〜100kgf/cm
2、加熱時間は0.05〜5時間の範囲が一般的である。この時に所望であれば部品が設置される部分のプリプレグを切断、穿孔することで、設置された部品とプリプレグを構成するガラスクロスを接地しないように配慮することも可能である。
【実施例】
【0084】
以下、本実施形態を実施例及び比較例により詳しく説明するが、本実施形態はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
【0085】
〔ワニス製造例1〕
特許4407823号の製造方法により得られた、上記式(1)におけるR
1がすべて水素原子であるα−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物(シアネート当量:261g/eq)35質量部、ビス(3−エチル−5−メチル−マレイミドフェニル)メタン(BMI−70、ケイアイ化成(株)製)15質量部、及びフェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000−FH、エポキシ当量:320/eq.、日本化薬(株)製)50質量部を、メチルエチルケトン中で溶解混合し、更にシランカップリング剤(Z6040、東レ・ダウコーニング(株)製)2質量部、湿潤分散剤1(disperbyk−161、ビッグケミー・ジャパン(株)製)2質量部、球状溶融シリカ(SC2050MB、アドマテックス(株)製)130質量部、シリコーンレジンで表面を被覆したシリコーンゴムパウダー(KMP−600、信越化学工業(株)製)15質量部、シリコーンレジンパウダー(トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)10質量部、オクチル酸亜鉛(日本化学産業(株)製)0.02質量部を混合してワニスを得た。
【0086】
〔ワニス製造例2〕
ワニス製造例1で使用したα−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物36質量部、上記式(3)におけるR
3がすべて水素原子であるマレイミド化合物(BMI−2300、大和化成工業(株)製)26質量部、及びポリオキシナフチレン型エポキシ樹脂(HP−6000,エポキシ当量:250g/eq.、DIC(株)製)38質量部を、メチルエチルケトン中で溶解混合し、更に湿潤分散剤1を1質量部、湿潤分散剤2(disperbyk−111、ビッグケミー・ジャパン(株)製)2質量部、シランカップリング剤(Z6040、東レ・ダウコーティング(株)製)5質量部、球状溶融シリカ(SC2050MOB)220質量部、シリコーンレジンで表面を被覆したシリコーンゴムパウダー(KMP−600)10質量部、上記式(11)におけるAr及びR
13がすべてフェニル基である2,4,5−トリフェニルイミダゾール(和光純薬工業(株)製)1質量部を混合してワニスを得た。
【0087】
〔実施例1〕
平均フィラメント径4.1μmのフィラメント40本を撚ったガラス糸をタテ糸及びヨコ糸として使用し、エアージェットルームで、タテ糸95(本/インチ)、ヨコ糸95(本/インチ)の織密度で平織りのガラスクロスを製織した。以下、同様の方法により各ガラスクロスを製織した。
【0088】
上記のようにして得られた、単位面積当たりの質量を10.5(g/m
2)、厚みを13(μm)、ガラスクロスを構成するタテ糸1本当たりのフィラメント数を40(本)、ヨコ糸1本当たりのフィラメント数を40(本)、タテ糸の打ち込み本数95(本/インチ)、ヨコ糸の打ち込み本数を95(本/インチ)、平均フィラメント径を4.1(μm)としたガラスクロスに、ワニス製造例1で得られたワニスをメチルエチルケトンで希釈して熱硬化性樹脂組成物固形分70%としたものを含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、ガラスクロス体積含有率24体積%のプリプレグを得た。
【0089】
〔実施例2〕
実施例1と同様にして、ガラスクロス体積含有率を28体積%としたプリプレグを得た。
【0090】
〔実施例3〕
単位面積当たりの質量を10.8(g/m
2)、厚みを13(μm)、ガラスクロスを構成するタテ糸1本当たりのフィラメント数を40(本)、ヨコ糸1本当たりのフィラメント数を50(本)、タテ糸の打ち込み本数95(本/インチ)、ヨコ糸の打ち込み本数を85(本/インチ)、平均フィラメント径を4.1(μm)としたガラスクロスに、ワニス製造例1で得られたワニスをメチルエチルケトンで希釈して熱硬化性樹脂組成物固形分70%としたものを含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、ガラスクロス体積含有率24体積%のプリプレグを得た。
【0091】
〔実施例4〕
実施例3と同様にして、ガラスクロス体積含有率を28体積%としたプリプレグを得た。
【0092】
〔実施例5〕
単位面積当たりの質量を11.4(g/m
2)、厚みを14(μm)、ガラスクロスを構成するタテ糸1本当たりのフィラメント数を40(本)、ヨコ糸1本当たりのフィラメント数を50(本)、タテ糸の打ち込み本数95(本/インチ)、ヨコ糸の打ち込み本数を95(本/インチ)、平均フィラメント径を4.1(μm)としたガラスクロスに、ワニス製造例1で得られたワニスをメチルエチルケトンで希釈して熱硬化性樹脂組成物固形分70%としたものを含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、ガラスクロス体積含有率25体積%のプリプレグを得た。
【0093】
〔実施例6〕
単位面積当たりの質量を9.8(g/m
2)、厚みを11(μm)、ガラスクロスを構成するタテ糸1本当たりのフィラメント数を40(本)、ヨコ糸1本当たりのフィラメント数を40(本)、タテ糸の打ち込み本数95(本/インチ)、ヨコ糸の打ち込み本数を85(本/インチ)、平均フィラメント径を4.1(μm)としたガラスクロスに、ワニス製造例1で得られたワニスをメチルエチルケトンで希釈して熱硬化性樹脂組成物固形分70%としたものを含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、ガラスクロス体積含有率23体積%のプリプレグを得た。
【0094】
〔実施例7〕
単位面積当たりの質量を10.5(g/m
2)、厚みを13(μm)、ガラスクロスを構成するタテ糸1本当たりのフィラメント数を40(本)、ヨコ糸1本当たりのフィラメント数を40(本)、タテ糸の打ち込み本数95(本/インチ)、ヨコ糸の打ち込み本数を95(本/インチ)、平均フィラメント径を4.1(μm)としたガラスクロスに、ワニス製造例2で得られたワニスをメチルエチルケトンで希釈して熱硬化性樹脂組成物固形分75%としたものを含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、ガラスクロス体積含有率24体積%のプリプレグを得た。
【0095】
〔実施例8〕
実施例7と同様にして、ガラスクロス体積含有率を28体積%としたプリプレグを得た。
【0096】
〔実施例9〕
単位面積当たりの質量を10.8(g/m
2)、厚みを13(μm)、ガラスクロスを構成するタテ糸1本当たりのフィラメント数を40(本)、ヨコ糸1本当たりのフィラメント数を50(本)、タテ糸の打ち込み本数95(本/インチ)、ヨコ糸の打ち込み本数を85(本/インチ)、平均フィラメント径を4.1(μm)としたガラスクロスに、ワニス製造例2で得られたワニスをメチルエチルケトンで希釈して熱硬化性樹脂組成物固形分75%としたものを含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、ガラスクロス体積含有率24体積%のプリプレグを得た。
【0097】
〔実施例10〕
実施例9と同様にして、ガラスクロス体積含有率を28体積%としたプリプレグを得た。
【0098】
〔実施例11〕
単位面積当たりの質量を11.4(g/m
2)、厚みを14(μm)、ガラスクロスを構成するタテ糸1本当たりのフィラメント数を40(本)、ヨコ糸1本当たりのフィラメント数を50(本)、タテ糸の打ち込み本数95(本/インチ)、ヨコ糸の打ち込み本数を95(本/インチ)、平均フィラメント径を4.1(μm)としたガラスクロスに、ワニス製造例2で得られたワニスをメチルエチルケトンで希釈して熱硬化性樹脂組成物固形分75%としたものを含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、ガラスクロス体積含有率25体積%のプリプレグを得た。
【0099】
〔実施例12〕
単位面積当たりの質量を9.8(g/m
2)、厚みを11(μm)、ガラスクロスを構成するタテ糸1本当たりのフィラメント数を40(本)、ヨコ糸1本当たりのフィラメント数を40(本)、タテ糸の打ち込み本数95(本/インチ)、ヨコ糸の打ち込み本数を85(本/インチ)、平均フィラメント径を4.1(μm)としたガラスクロスに、ワニス製造例2で得られたワニスをメチルエチルケトンで希釈して熱硬化性樹脂組成物固形分75%としたものを含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、ガラスクロス体積含有率23体積%のプリプレグを得た。
【0100】
〔比較例1〕
単位面積当たりの質量を12.5(g/m
2)、厚みを15(μm)、ガラスクロスを構成するタテ糸1本当たりのフィラメント数を50(本)、ヨコ糸1本当たりのフィラメント数を50(本)、タテ糸の打ち込み本数95(本/インチ)、ヨコ糸の打ち込み本数を95(本/インチ)、平均フィラメント径を4.1(μm)としたガラスクロスに、ワニス製造例1で得られたワニスをメチルエチルケトンで希釈して熱硬化性樹脂組成物固形分70%としたものを含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、ガラスクロス体積含有率27体積%のプリプレグを得た。
【0101】
〔比較例2〕
比較例1と同様にして、ガラスクロス体積含有率を33体積%としたプリプレグを得た。
【0102】
〔比較例3〕
単位面積当たりの質量を12.5(g/m
2)、厚みを15(μm)、ガラスクロスを構成するタテ糸1本当たりのフィラメント数を50(本)、ヨコ糸1本当たりのフィラメント数を50(本)、タテ糸の打ち込み本数95(本/インチ)、ヨコ糸の打ち込み本数を95(本/インチ)、平均フィラメント径を4.1(μm)としたガラスクロスに、ワニス製造例2で得られたワニスをメチルエチルケトンで希釈して熱硬化性樹脂組成物固形分70%としたものを含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、ガラスクロス体積含有率27体積%のプリプレグを得た。
【0103】
〔比較例4〕
比較例3と同様にして、ガラスクロス体積含有率を33体積%としたプリプレグを得た。
【0104】
〔比較例5〕
単位面積当たりの質量を11.2(g/m
2)、厚みを13(μm)、ガラスクロスを構成するタテ糸1本当たりのフィラメント数を50(本)、ヨコ糸1本当たりのフィラメント数を50(本)、タテ糸の打ち込み本数85(本/インチ)、ヨコ糸の打ち込み本数を85(本/インチ)、平均フィラメント径を4.1(μm)としたガラスクロスに、ワニス製造例1で得られたワニスをメチルエチルケトンで希釈して熱硬化性樹脂組成物固形分75%としたものを含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、ガラスクロス体積含有率25体積%のプリプレグを得た。
【0105】
〔比較例6〕
単位面積当たりの質量を11.2(g/m
2)、厚みを13(μm)、ガラスクロスを構成するタテ糸1本当たりのフィラメント数を50(本)、ヨコ糸1本当たりのフィラメント数を50(本)、タテ糸の打ち込み本数85(本/インチ)、ヨコ糸の打ち込み本数を85(本/インチ)、平均フィラメント径を4.1(μm)としたガラスクロスに、ワニス製造例2で得られたワニスをメチルエチルケトンで希釈して熱硬化性樹脂組成物固形分75%としたものを含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、ガラスクロス体積含有率25体積%のプリプレグを得た。
【0106】
〔比較例7〕
単位面積当たりの質量を10.0(g/m
2)、厚みを11(μm)、ガラスクロスを構成するタテ糸1本当たりのフィラメント数を50(本)、ヨコ糸1本当たりのフィラメント数を50(本)、タテ糸の打ち込み本数75(本/インチ)、ヨコ糸の打ち込み本数を75(本/インチ)、平均フィラメント径を4.1(μm)としたガラスクロスに、ワニス製造例1で得られたワニスをメチルエチルケトンで希釈して熱硬化性樹脂組成物固形分75%としたものを含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、ガラスクロス体積含有率23体積%のプリプレグを得た。
【0107】
〔比較例8〕
単位面積当たりの質量を10.0(g/m
2)、厚みを11(μm)、ガラスクロスを構成するタテ糸1本当たりのフィラメント数を50(本)、ヨコ糸1本当たりのフィラメント数を50(本)、タテ糸の打ち込み本数75(本/インチ)、ヨコ糸の打ち込み本数を75(本/インチ)、平均フィラメント径を4.1(μm)としたガラスクロスに、ワニス製造例2で得られたワニスをメチルエチルケトンで希釈して熱硬化性樹脂組成物固形分75%としたものを含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、ガラスクロス体積含有率23体積%のプリプレグを得た。
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】
【0110】
〔塗工試験〕
塗工試験として、ガラスクロスに対し、ワニスを含浸塗工し、160℃で4分間乾燥して、得たプリプレグの外観を検査した。尚、プリプレグに濡れ班、ピンホール等のないことを○とした。「濡れ班」とは樹脂とガラスクロスの表面張力の差、又は、ゴミの混入等の影響によって、ハジキが発生した状態をいう。「ピンホール」とはガラスクロスを構成するタテ糸とヨコ糸交点の空隙に熱硬化性樹脂組成物のない空隙が発生することをいう。
【0111】
〔プレス試験〕
プレス試験として、得られたプリプレグの上下に3μmキャリア付極薄銅箔(MT18Ex3μm,三井金属(株)製)を積層し、230℃、30kg/cm
2で120分間の加熱成形をして得た積層板を、エッチアウトした場合の外観を検査した。尚、ボイド、擦れ等のないことを○とした。「ボイド」とは積層板をエッチアウトした際に、ガラスクロス及び樹脂硬化物の存在しない、空隙が発生することをいう。「擦れ」とは積層板をエッチアウトした際にガラスクロス繊維が表面に露出した状態が発生することをいう。
【0112】
〔HAST試験〕
HAST試験(絶縁信頼性試験)として、得られたプリプレグの上下に3μmキャリア付極薄銅箔(MT18Ex3μm,三井金属(株)製)を積層し、230℃、30kg/cm
2で120分間の加熱成形をして積層板を得、この積層板の中央銅箔を一部残し、残りの銅箔をエッチングによって除去して前記残した銅箔を電極接続部として、135℃、85%の加湿熱条件下にて5Vの電圧を印加し、体積方向の抵抗値を測定した。尚、積層板上の5カ所で評価を行い、300時間経過後の抵抗値が5カ所全てで1×10^8(Ω)以上のものを○、3〜4カ所で1×10^8(Ω)以上のものを△、0〜2カ所で1×10^8(Ω)以上のもの×とした。
【0113】
本出願は、2013年9月9日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2013−186307)、及び2014年2月18日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2014−028381)に基づくものであり、それらの内容はここに参照として取り込まれる。