特許第6628502号(P6628502)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6628502
(24)【登録日】2019年12月13日
(45)【発行日】2020年1月8日
(54)【発明の名称】天板付家具
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/00 20060101AFI20191223BHJP
   A47B 7/00 20060101ALI20191223BHJP
   A47B 13/02 20060101ALI20191223BHJP
【FI】
   A47B13/00 B
   A47B7/00 Z
   A47B13/02
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-118527(P2015-118527)
(22)【出願日】2015年6月11日
(65)【公開番号】特開2017-489(P2017-489A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】早乙女 弘志
【審査官】 河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−125576(JP,A)
【文献】 特開2000−166657(JP,A)
【文献】 実公平05−022096(JP,Y2)
【文献】 実公平06−031945(JP,Y2)
【文献】 実公昭47−013073(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 13/00−13/02
A47B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上に起立する複数の脚と、
複数の前記脚の上部に支持される天板と、
前記床面に沿って設けられ、複数の前記脚の下部同士を連結する下部連結部材と、を備え、
前記下部連結部材には、前記脚の下部同士を連結する方向に沿って連続する配線収容部が形成され、
前記下部連結部材は、前記脚の下部同士を連結する方向に延びる連結部と、前記連結部から下方に突出し、前記連結部の幅方向両側に間隔を空けて形成された延出壁部と、を備え、
前記連結部および前記延出壁部で囲まれた空間が、配線収容部とされ、
前記延出壁部は、前記連結部の幅方向両端部に対して内方にオフセットして形成されていることを特徴とする天板付家具。
【請求項2】
前記延出壁部は、前記連結部が連続する方向に沿って延びるリブであることを特徴とする請求項に記載の天板付家具。
【請求項3】
前記連結部の幅方向両側に設けられた前記延出壁部の間に、前記脚と前記下部連結部材とを連結する連結具、および前記床面に接地して前記脚の高さ調整を行うアジャスタの少なくとも一方が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の天板付家具。
【請求項4】
床面上に起立する複数の脚と、
複数の前記脚の上部に支持される天板と、
前記床面に沿って設けられ、複数の前記脚の下部同士を連結する下部連結部材と、を備え、
前記下部連結部材には、前記脚の下部同士を連結する方向に沿って連続する配線収容部が形成され、
前記脚に、上下方向に連続する配線挿通空間が形成され、前記脚の下面又は側面に、前記配線収容部と前記配線挿通空間とを連通する連通部が形成され、
前記下部連結部材は、前記脚の下端部に下方から突き当たるよう設けられ、
前記下部連結部材には、前記脚の下端部に突き当たる部位に、下方の前記配線収容部と前記脚の配線挿通空間とを連通する開口部が形成されていることを特徴とする天板付家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブル等の天板付家具に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の会議、作業、飲食等を行うテーブル、デスク等の天板付家具は、天板と、天板を支持する支持脚と、を備えている。
【0003】
このような天板付家具において、天板の大きさや、天板上に載置される荷重の大きさ等に応じ、支持脚を強固なものとする必要がある。
例えば、特許文献1には、左右の脚同士を連結する横架材を備えた構成が開示されている。このような横架材により、支持脚をサポートすることで、支持脚を強固なものとしている。
また、特許文献2には、天板の下面に枠材を設け、この枠材によって互いに対向する支持脚同士を連結する構成が開示されている。このような構成により、支持脚の上部同士が一体に連結され、天板に対する支持脚の接合強度が高まる。
【0004】
ところで、天板付家具において、天板上で使用する電子機器等において給電、通信等を行う場合、配線を床面から天板まで導く必要がある。そこで、特許文献1、2には、このような天板付家具において、天板上で使用する電子機器等において給電、通信等を行うための配線を、支持脚の内部に形成した配線挿通空間に挿通させることによって、床面上から天板まで導く構成が開示されている。このような構成によれば、配線が外部に露出するのを抑え、外観の体裁を向上させたり、使用者の足に絡まって配線を損傷することが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平5−22096号公報
【特許文献2】特開2000−166657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された構成においては、脚同士を連結する横架材が天板の下方に設けられているため、使用者の下肢が横架材に干渉し、下肢収容空間が十分に確保できない。
また、特許文献2に開示された構成においては、天板が一方向に長く、支持脚同士の間隔が長いと、天板に作用する荷重により、天板および枠材が下方に撓み、支持脚の下端部同士の間隔が長くなる方向に変形することがある。このような現象を防ぐには、天板や枠材を上下方向に厚くしてその強度を高めることが考えられる。しかし、このような手法では、天板の下方の空間が狭くなり、やはり下肢収容空間が十分に確保できないことがある。
【0007】
また、特許文献1、2に開示されたように支持脚の内部に配線を挿通させるには、床面上に設けられた電源等から支持脚の下端部までは、配線が床面上に露出して沿うこととなる。このため、外観が損なわれたり、天板の下方で床面を沿う配線を使用者が踏んでしまい好ましくない。
【0008】
そこでなされた本発明の目的は、強度を高めつつ、使用者の下肢との干渉を抑えるとともに、配線の露出を抑えて、外観を向上することができる天板付家具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
また、この発明に係る天板付家具は、床面上に起立する複数の脚と、複数の前記脚の上部に支持される天板と、前記床面に沿って設けられ、複数の前記脚の下部同士を連結する下部連結部材と、を備え、前記下部連結部材には、前記脚の下部同士を連結する方向に沿って連続する配線収容部が形成され、前記下部連結部材は、前記脚の下部同士を連結する方向に延びる連結部と、前記連結部から下方に突出し、前記連結部の幅方向両側に間隔を空けて形成された延出壁部と、を備え、前記連結部および前記延出壁部で囲まれた空間が、配線収容部とされ、前記延出壁部は、前記連結部の幅方向両端部に対して内方にオフセットして形成されているようにしてもよい。
これにより、連結部が床面から上方に浮いたように見え、連結部が薄く見えて外観が向上する。
【0013】
また、この発明に係る天板付家具は、上記天板付家具において、前記延出壁部が、前記連結部が連続する方向に沿って延びるリブであるようにしてもよい。
このように構成することで、延出壁部は、連結部の補強要素としても機能し、下部連結部材の強度を高めることができる。
【0014】
また、この発明に係る天板付家具は、上記天板付家具において、前記連結部の幅方向両側に設けられた前記延出壁部の間に、前記脚と前記下部連結部材とを連結する連結具、および前記床面に接地して前記脚の高さ調整を行うアジャスタの少なくとも一方が設けられているようにしてもよい。
これにより、ボルト等の連結具やアジャスタが外部に露呈するのを防ぎ、外観を向上させることができる。
【0016】
また、この発明に係る天板付家具は、床面上に起立する複数の脚と、複数の前記脚の上部に支持される天板と、前記床面に沿って設けられ、複数の前記脚の下部同士を連結する下部連結部材と、を備え、前記下部連結部材には、前記脚の下部同士を連結する方向に沿って連続する配線収容部が形成され、前記脚に、上下方向に連続する配線挿通空間が形成され、前記脚の下面又は側面に、前記配線収容部と前記配線挿通空間とを連通する連通部が形成され、前記下部連結部材が、前記脚の下端部に下方から突き当たるよう設けられ、前記下部連結部材には、前記脚の下端部に突き当たる部位に、下方の前記配線収容部と前記脚の配線挿通空間とを連通する開口部が形成されているようにしてもよい。
このように構成することで、下部連結部材の下方の配線収容部に収容されて床面に沿う配線は、下部連結部材に形成された開口部、および脚に形成された連通部を通して脚内の配線挿通空間に導かれる。これにより、配線が露出するのを抑えることができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る天板付家具によれば、強度を高めつつ、使用者の下肢との干渉を抑えるとともに、配線の露出を抑えて、外観を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の一実施形態に係るテーブルの全体構成を示す斜視図である。
図2】上記テーブルの脚の構成を示す斜視図である。
図3】上記テーブルを第一の方向から見た断面図である。
図4】上部連結部材と天板との連結構造を示す断面図である。
図5】上部連結部材と連結ビームとの連結構造を示す平断面図である。
図6】下部連結部材を下方から見た図である。
図7】下部連結部材と脚の下端部との連結構造を示す断面図である。
図8図7におけるD−D矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明による天板付家具を実施するための形態を説明する。しかし、本発明はこの実施形態のみに限定されるものではない。
【0020】
図1は、この発明の一実施形態に係るテーブルの全体構成を示す斜視図である。図2は、上記テーブルの脚の構成を示す斜視図である。
図1図2に示すように、テーブル(天板付家具)10は、床面F上に起立する複数の脚20と、上部連結部材40(図2参照)と、下部連結部材50と、これら複数の脚20上に支持される天板30と、を備えている。
【0021】
この実施形態のテーブル10において、天板30は、例えば平面視楕円形状で、その上面30fに沿った第一の方向Xに短く、上面30fに沿った面内で第一の方向Xに直交する第二の方向Yに長く形成されている。天板30は、平面視楕円形状に限らず、長円形、長方形等の平面視形状としてもよい。
【0022】
図2に示すように、脚20は、天板30において第二の方向Yの一方の側と他方の側とに、それぞれ2本ずつ設けられている。各脚20は、平面視略長方形状で、第一の方向Xおよび第二の方向Yに対して傾斜し、その長手方向が、天板30の第一の方向Xにおける中心部から離間するにしたがって、第二の方向Yの外方に向かって延びるよう配置されている。
【0023】
上部連結部材40は、複数の脚20の上端部20t同士を連結する。上部連結部材40は、上部ビーム42と、第一ビーム43と、第二ビーム44と、を備える。
【0024】
上部ビーム42は、各脚20の上端部20tに固定され、各脚20よりも第二の方向Yに沿って天板30の内方に向かうにしたがって、第一の方向Xの中心部に向かって斜めに延出して設けられている。
【0025】
第一ビーム43は、天板30の第二の方向Yにおける一方の側と他方の側のそれぞれにおいて、第一の方向Xに沿って延びるように設けられている。第一ビーム43は、第一の方向Xにおいて互いに隣接する上部ビーム42、42同士を連結する。
【0026】
これら上部ビーム42および第一ビーム43により、天板30の上面に沿った第一の方向Xにおいて互いに隣接する脚20の上端部20t同士を連結する端部連結部41が形成されている。
【0027】
第二ビーム44は、第一の方向Xに互いに間隔を空けて二本一対で設けられている。それぞれの第二ビーム44は、第二の方向Yに沿って延び、第二の方向Yにおいて互いに隣接する上部ビーム42、42同士を連結する。
【0028】
図3は、テーブルを第一の方向から見た断面図である。図4は、上部連結部材と天板との連結構造を示す断面図である。
また、図2図3に示すように、第二ビーム44、44間には、第二の方向Yに沿って間隔を空けて複数の連結ビーム49が設けられている。各連結ビーム49は、第一の方向Xに沿って延び、その両端部が、後述する連結金具72を介して第二ビーム44、44に連結されている。これにより、これら二本の第二ビーム44、44と、複数の連結ビーム49とが、平面視梯子状に連結されている。
【0029】
第一ビーム43、第二ビーム44、連結ビーム49は、それぞれ以下に示すようなビーム材60によって形成されている。
図4に示すように、各ビーム材60は、その軸方向に直交する断面が、上下方向に長い略長方形状で、その一つの側面60aに、上下に間隔を空けて2本の溝62が形成されている。
【0030】
各溝62は、ビーム材60の軸方向に沿って、ビーム材60の全長にわたって連続して形成されている。各溝62は、ビーム材60の側面60aにおいて上下方向における開口幅s1に対し、溝底部62b側の上下方向における開口幅s2が広い、いわゆるアリ溝状に形成されている。
【0031】
第一ビーム43、第二ビーム44を構成するビーム材60は、溝62が形成された側面60aを、テーブル10の内方に向けて配置されている。このビーム材60は、その上面60tを天板30の下面30bに突き当てた状態で、取付金具71を介して天板30に固定されている。
【0032】
取付金具71は、天板30の下面30bに突き当たる第一平面部71aと、第一平面部71aに直交してビーム材60の側面60aに突き当たる第二平面部71bと、を有している。取付金具71は、第二の方向Yを向く面が略直角三角形状をなしている。取付金具71には、第一平面部71aに直交して貫通する挿通孔71hと、第二平面部71bに直交して貫通する挿通孔71jとが形成されている。
【0033】
このような取付金具71に対し、ボルト80を、挿通孔71hを通して天板30の下面30bに予め形成されたネジ穴30hにねじ込むことで、取付金具71と天板30とが連結される。また、第一ビーム43、第二ビーム44を構成するビーム材60の上方の溝62内に、雌ネジ孔82nが形成された座部材82を挿入するとともに、ボルト81を、挿通孔71jを通して溝62内の座部材82にねじ込むことで、取付金具71と、ビーム材60からなる第一ビーム43、第二ビーム44とが連結される。
このようにして、第一ビーム43、第二ビーム44が複数の取付金具71を介して天板30の下面30bに固定されることで、上部連結部材40が天板30の下面30bに連結されている。
【0034】
天板30は、例えば、パネル状の芯材31と、その上下の表面31f、31gを覆う表皮材32,33と、から構成されている。芯材31は、アルミニウム合金製、またはボール紙、段ボール紙等の厚紙製等で、上下方向に貫通する断面六角形状の孔31hが、表面31f、31gに沿った面内で多数配列されたハニカム構造を有している。表皮材32、33は、樹脂系材料、木質材料等からなり、芯材31の上下の表面31f、31gにそれぞれ接着されている。
【0035】
図5は、上部連結部材と連結ビームとの連結構造を示す平断面図である。
図2図5に示すように、連結ビーム49は、その両端部が、連結金具72を介して、第二ビーム44、44を構成するビーム材60、60に連結されている。
図5に示すように、連結金具72は、第二ビーム44のビーム材60の側面60aに突き当たる第一平面部72aと、第一平面部72aに直交して連結ビーム49のビーム材60の側面60aに突き当たる第二平面部72bと、を有し、平面視略直角三角形状をなしている。連結金具72には、第一平面部72aに直交して貫通する挿通孔72hと、第二平面部72bに直交して貫通する挿通孔72jとが形成されている。このような連結金具72は、上記取付金具71と同じものを向きを変えて流用することもできる。
【0036】
このような連結金具72に対し、ボルト83を挿通孔72hに挿通させ、その先端部を、第二ビーム44を構成するビーム材60の上方の溝62内に挿入した座部材82にねじ込むことで、連結金具72と第二ビーム44(ビーム材60)とが連結される。また、連結ビーム49を構成するビーム材60の上方の溝62内に座部材82を挿入するとともに、ボルト84を、挿通孔72jを通して溝62内の座部材82にねじ込むことで、連結金具72と連結ビーム49(ビーム材60)とが連結される。
【0037】
図2図3に示すように、下部連結部材50は、床面Fに沿って設けられ、複数の脚20の下端部(下部)20b同士を連結する。
【0038】
図6は、下部連結部材を下方から見た図である。
図2図6に示すように、下部連結部材50は、天板30において第二の方向Yの一方の側と他方の側のそれぞれに設けられた端部プレート51、51と、これら端部プレート51、51同士を連結する連結ビーム52と、を備える。
【0039】
各端部プレート51は、天板30の第一の方向Xにおける中心部に位置する基部51aと、基部51aから第二の方向Yに沿って天板30の外方に向かうにしたがって第一の方向Xの両側方に延びるように形成された延出部51b,51bと、を有している。基部51aおよび延出部51b,51bは、V字状をなしている。
【0040】
連結ビーム52は、天板30の第一の方向Xにおける中心部において第二の方向Yに沿って延びて形成されている。図6に示すように、連結ビーム52は、その両端部52a,52aが、第二の方向Yの一方の側の端部プレート51の基部51aと、他方の側の端部プレート51の基部51aとにそれぞれ、ボルト・ナット53を介して連結されている。
【0041】
図2に示すように、このような上部連結部材40および下部連結部材50は、第二ビーム44、44、および連結ビーム52が、第一の方向Xにおいて天板30の外周端部30sよりも内方に配置されている。また、上部連結部材40および下部連結部材50は、第一ビーム43、43、および端部プレート51の延出部51b、51bが、第二の方向Yにおいて天板30の外周端部30sよりも平面視において内方に配置されている。これにより、上部連結部材40を平面視すると、互いに隣接する脚20同士の間に、天板30の内方に向かって凹となる部分(凹部)100Aが形成されている。また、下部連結部材50を平面視すると、互いに隣接する脚20同士の間に、天板30の内方に向かって凹となる部分(凹部)100Bが形成されている。
【0042】
図7は、下部連結部材と脚の下端部との連結構造を示す断面図である。図8は、図7におけるD−D矢視断面図である。
図6図7図8に示すように、下部連結部材50を構成する端部プレート51の基部51a(図6参照)および延出部51b、51b、連結ビーム52(図6参照)は、それぞれ、上下方向に薄い板状のプレート部(連結部)55と、プレート部55の下面55bに一体に形成され、下面55bから下方に向かって延出する延出壁部56と、を備えている。延出壁部56は、プレート部55の幅方向(プレート部55が連続する方向に直交する水平方向)の両側に、それぞれ、プレート部55の長手方向に沿って連続して形成されている。図6図8に示すように、それぞれの延出壁部56は、プレート部55の幅方向端部55sに対し、幅方向の内方に所定寸法オフセットして形成されている。延出壁部56は、プレート部55の剛性を高めるリブとして機能している。
【0043】
このようにして、下部連結部材50の下側には、プレート部55の下面55bと、幅方向両側の延出壁部56、56に囲まれた下向きコ字状の配線収容部Csが形成されている。
【0044】
図7図8に示すように、下部連結部材50の端部プレート51の各延出部51b上には、脚20が設けられている。下部連結部材50の端部プレート51は、脚20の下端部20bに下方から突き当たっている。延出部51bにおいて、脚20の下端部20bの下方に位置する脚支持部51cは、プレート部55の上下方向の厚さT1が、それ以外の部分(脚20が設置されていない部分)におけるプレート部55の厚さT2よりも大きく設定されている。
【0045】
また、図6図8に示すように、脚支持部51cには、プレート部55を上下に貫通する配線挿通孔(開口部)57、57が形成されている。
さらに、脚支持部51cには、配線挿通孔57、57に対して延出部51bの長手方向両側に、ボルト挿通孔58、58がプレート部55を上下に貫通して形成されている。加えて、脚支持部51cには、配線挿通孔57、57の間に、雌ネジ孔59がプレート部55を上下に貫通して形成されている。
これらの配線挿通孔57、ボルト挿通孔58,58、雌ネジ孔59は、プレート部55の幅方向両側の延出壁部56,56の間に形成されている。
【0046】
図7に示すように、脚20は、平面視略長方形状をなして脚20の外殻をなす中空の筒体21と、筒体21の内部に設けられた区画壁22および固定プレート部23と、を備える。区画壁22は、筒体21内において、脚20の平面視形状の長手方向Qに沿って間隔を空けて、2枚が設けられている。それぞれの区画壁22は、筒体21の長手方向Qの両端部に位置する側壁部21a,21aのそれぞれに対し、長手方向Qに間隔を空けて対向するよう設けられている。これにより、脚20の筒体21の内方において、区画壁22,22の間には、上下方向に連続する配線挿通空間Shが形成されている。脚20は、その下端部20bに、下方に向かって開口し、配線挿通空間Shに連通する連通部29が形成されている。また、脚20の上端部20t(図2参照)も、上方に向かって開口し、配線挿通空間Shに連通している。
【0047】
固定プレート部23は、筒体21の長手方向Qの両端部のそれぞれにおいて、側壁部21aと区画壁22とを結ぶように設けられている。この固定プレート部23は、下部連結部材50の端部プレート51の脚支持部51cに対し、上方に間隔を空けて対向し、脚20の最下端20sよりも所定寸法上方に設けられている。また、固定プレート部23には、上下に貫通するボルト挿通孔23hが形成されている。
【0048】
このような脚20は、下部連結部材50の端部プレート51の脚支持部51c上に載置された状態で、プレート部55の下方から、ボルト挿通孔58、58のそれぞれにボルト(連結具)90を挿通させ、その先端部90sを、固定プレート部23のボルト挿通孔23hを通して上方に突出させる。ボルト90の先端部90sにナット91を螺着させることで、脚20が下部連結部材50の端部プレート51の脚支持部51cに連結される。ここで、ボルト90の頭部90bは、プレート部55の下面55bに突き当たった状態で、床面Fに接触しないよう、延出壁部56,56の下方に向けての突出高さよりも低く形成されている。
【0049】
このようにして脚20の下端部20bが接合された端部プレート51の脚支持部51cにおいて、配線挿通孔57、57は、脚20の区画壁22、22の間の配線挿通空間Shに連通する。
【0050】
また、下部連結部材50の端部プレート51の脚支持部51cには、プレート部55の下方から、配線挿通孔57、57間の雌ネジ孔59にアジャスタ92のネジ軸部92nがねじ込まれている。アジャスタ92は、ネジ軸部92nの軸回りに回転させることで、下方に向かって出没し、アジャスタ92の下端に形成された円盤状の接地部92aを床面Fに接地させることができる。これにより、床面Fの不陸を吸収してテーブル10のレベル調整を行うことができる。
【0051】
このような構成のテーブル10においては、床面Fに沿う配線200を、下部連結部材50の下側で、プレート部55の下面55bと、幅方向両側の延出壁部56、56に囲まれて形成された配線収容部Cs内に収容し、下部連結部材50の連結ビーム52、端部プレート51に沿って脚20の下方まで導くことができる。配線200は、脚20の下方において、端部プレート51の脚支持部51cに形成された配線挿通孔57を通し、脚20内に形成された配線挿通空間Shに挿通される。配線200は、配線挿通空間Shを通して脚20の上部まで導かれ、脚20の上端部に形成された図示しない開口を通し、天板30へと案内される。
【0052】
上述したような構成のテーブル10においては、床面F上に起立する複数の脚20と、複数の脚20上に支持される天板30と、床面Fに沿って設けられ、複数の脚20の下端部20b同士を連結する下部連結部材50と、を備え、下部連結部材50の下面に、脚20の下端部20b同士を連結する方向に沿って連続する配線収容部Csが形成されている。
このように、複数の脚20で隣り合う脚20の下端部20b同士を下部連結部材50で連結することで、それぞれの脚20が強固に固定される。これにより、脚20を太くするのを抑えつつ、複数の脚20と下部連結部材50とからなる構造体としての強度を高めることができる。
また、下部連結部材50は、床面Fに沿って設けられるので、下部連結部材50が使用者の下肢に干渉するのを抑えることができる。また、下部連結部材50の下面に形成された配線収容部Csに、床面Fに沿う配線200を収容することができるので、天板30の下方において配線200が露出することを抑え、使用者の下肢と配線との干渉を抑えることができる。これにより、天板30の下方において下肢収容空間を確保することができる。
したがって、このようなテーブル10によれば、脚20の強度を高めつつ、使用者の下肢との干渉を抑えるとともに、配線200の露出を抑えて、外観の体裁、使用感の向上を図ることが可能となる。
【0053】
また、下部連結部材50が、脚20の下端部20b同士を連結する方向に連続するプレート部55と、プレート部55の下面から下方に突出し、プレート部55の幅方向両側に間隔を空けて形成された延出壁部56と、を備え、プレート部55および延出壁部56で囲まれた空間が、配線収容部Csとされている。このように構成することで、プレート部55と両側の延出壁部56とにより、下向きコ字状の配線収容部Csを容易に形成することができる。
また、下部連結部材50はプレート部55と両側の延出壁部56とにより下向きコ字状をなすため、プレート部55が両側の延出壁部56により補強され、強固なものとなる。このような下部連結部材50により、複数の脚20の下端部20b同士を強固に連結することができる。
さらに、下部連結部材50の上面がプレート部55とされることで、床面Fから上方への突出寸法を抑えることができる。
【0054】
また、延出壁部56、56は、プレート部55の幅方向両端部55s、55sに対して幅方向内方にオフセットして形成されている。これにより、プレート部55が床面Fから上方に浮いたように見え、プレート部55が薄く見えて外観が向上する。
【0055】
また、延出壁部56が、プレート部55が連続する方向に沿って延びるリブであるので、延出壁部56は、プレート部55の補強要素としても機能し、下部連結部材50の強度を高めることができる。
【0056】
また、プレート部55の幅方向両側に設けられた延出壁部56の間に、脚20と下部連結部材50とを連結するボルト90、および床面Fに接地して脚20の高さ調整を行うアジャスタ92が設けられている。これにより、ボルト等のボルト90やアジャスタ92が外部に露呈するのを防ぎ、外観を向上させることができる。
【0057】
また、脚20に、上下方向に連続する配線挿通空間Shが形成され、脚20の下面に、配線収容部Csと配線挿通空間Shとを連通する連通部29が形成されている。このように構成することで、下部連結部材50の下方の配線収容部Csに収容されて床面Fに沿う配線200は、連通部29を通して脚20内の配線挿通空間Shに導かれる。これにより、配線200が露出するのをさらに抑えることができる。
【0058】
また、下部連結部材50が、脚20の下端部20bに下方から突き当たるよう設けられ、下部連結部材50には、脚20の下端部20bに突き当たる部位に、下方の配線収容部Csと脚20の配線挿通空間Shとを連通する配線挿通孔57が形成されている。このように構成することで、下部連結部材50の下方の配線収容部Csに収容されて床面Fに沿う配線200は、下部連結部材50に形成された配線挿通孔57を通して脚20内の配線挿通空間Shに導かれる。これにより、配線200が露出するのを抑えることができる。
【0059】
また、上記テーブル10においては、複数の脚20で隣り合う脚20同士を、下部連結部材50と上部連結部材40とで連結することで、それぞれの脚20が上端部20tと下端部20bで強固に固定される。これにより、脚20を太くするのを抑えて、複数の脚20と、下部連結部材50と、上部連結部材40とからなる、天板30の支持構造体の強度を高めることができる。
また、下部連結部材50および上部連結部材40は、互いに隣接する脚20同士の間に、天板30の内方に向かって凹となる部分100A、100Bを有しているので、この凹となる部分100A、100Bに、使用者の下肢を収容することができる。
その結果、脚20の強度を高めつつ、天板30の下方において使用者の下肢と干渉するのを抑え、下肢収容空間を広く確保することが可能となる。
【0060】
また、下部連結部材50および上部連結部材40は、端部連結部41、端部プレート51により、第一の方向Xにおいて互いに隣接する脚20同士を連結する。さらに、下部連結部材50および上部連結部材40は、第二ビーム44、連結ビーム52により、第二の方向Yにおいて互いに対向する端部連結部41、端部プレート51同士を連結する。このように構成することで、天板30において第二の方向Yに沿った一方の側と他方の側に大きな間隔を空けて、それぞれ複数の脚20が設けられていても、複数の脚20の上端部20t同士、下端部20b同士を強固に一体に連結することができる。
【0061】
(その他の実施形態)
なお、本発明の天板付家具は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態においては、上部連結部材40を備えているが、上部連結部材40は必須の構成ではない。また、上部連結部材40を備える場合、その構成は他のいかなるものとしてもよい。
また、下部連結部材50を平面視したときの形状も、脚の本数や配置等に応じて適宜変更しても構わない。
さらに、下部連結部材50に形成される配線収容部Csは、下向きコ字状に限らず、下向きに開口した半円状、半楕円状等としても良い。
【0062】
また、下部連結部材50は、4本の脚20を一体的に連結しているが、連結する脚20の本数、方向等は適宜選択可能である。例えば、下部連結部材が、第一の方向Xに隣り合う脚20同士を連結する構成であってもよいし、第二の方向Yに隣り合う脚20同士を連結する構成であってもよい。また、下部連結部材が、第一の方向X及び第二の方向Yに交差する斜め方向に対向する脚20同士を連結する構成であってもよい。
【0063】
加えて、下部連結部材50が、脚20の下端部20bに下方から突き当たるよう設けられるようにしたが、下部連結部材50と脚20の下端部20bとの連結強度を確保することができるのであれば、下部連結部材50は、脚20の下端部20bの側面に突き当たるように設けてもよい。この場合、下部連結部材50の配線収容部Csに収容された配線200を脚20の配線挿通空間Sh内に導入するため、脚20の下端部20bの側面に、配線収容部Csと配線挿通空間Shとを連通する連通部を形成すればよい。
【0064】
また、下部連結部材50において、延出壁部56を、プレート部55の長手方向に沿って連続するリブ状に形成したが、これに限らない。延出壁部56は、プレート部55の長手方向に沿って、不連続に形成するようにしてもよい。この場合には、延出壁部56、56間の空間が、プレート部55の長手方向に沿って断続的に形成され、これら延出壁部56、56間の空間を結ぶように長手方向に沿って連続する配線収容部が形成される。また、プレート部55の長手方向において互いに前後する延出壁部56、56の隙間を通して、床面F上を沿う配線200を配線収容部Cs内に導入することもできる。
さらに、下部連結部材50を、プレート部55と、延出壁部56とからなる下向きコ字状としたが、これに限らない。例えば、下部連結部材50を、床面Fに沿って連続する角管状とし、その内部を完全に閉塞された配線収容部Csとすることもできる。
【0065】
さらに、上記実施形態で示したテーブル10を構成する脚20、天板30、上部連結部材40、下部連結部材50等の部材の材質については、何ら問うものではなく、木系材料、金属系材料、樹脂系材料、あるいはこれらを組み合わせて形成した構成としてもよい。
加えて、テーブル10に限らず、デスク、カウンター等、他の天板付家具においても、本発明は同様に適用することができる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 テーブル(天板付家具)
20 脚
20b 下端部(下部)
29 連通部
30 天板
30b 下面
50 下部連結部材
55 プレート部(連結部)
55b 下面
56 延出壁部
57 配線挿通孔(開口部)
90 ボルト(連結具)
92 アジャスタ
200 配線
Cs 配線収容部
F 床面
Sh 配線挿通空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8