【実施例】
【0046】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は質量基準である。
【0047】
<油滴径の評価>
レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社掘場製作所製「LA−920」)を用いて水中油型乳化油脂組成物を測定し、体積基準での積算分布曲線の50%に相当する粒子径、即ちメジアン径を算出し、測定対象の水中油型乳化油脂組成物の油滴径とした。
【0048】
<粘度の評価>
製造例で得られた水中油型乳化油脂組成物をB型粘度計(TOKIMEC INC.製)により測定し、その測定値(単位:mPa・s)を評価値とした。
【0049】
<原液安定性の評価>
原液安定性は、製造例で得られた水中油型乳化油脂組成物を5℃で90日間保管後、クリーミングの有無を目視にて確認し、その結果を評価値とした。その際の評価基準は以下の通りである。
◎:クリーミングが全く無い。
○:クリーミングがほとんど無い。
△:クリーミングが明らかに確認される。
×:クリーミングが顕著に多い。
【0050】
<起泡性(硬さ)の評価>
製造例で得られた水中油型乳化油脂組成物を5℃に温調した後、この水中油型乳化油脂組成物1kgとグラニュー糖80gとを、ホバートミキサー(ホバート・ジャパン株式会社製「N−50型(5コート)」)に入れ、2速撹拌条件(285rpm)で最も硬くなる硬さに到達するまでホイップし、ホイップ直後のサンプルを容器に入れた後、クリープメーター(「RE2−33005S」、株式会社山電製)を用いて直径16mmの円柱状のプランジャーにて、速度5mm/sで1cm貫入時の最大荷重を測定した。該測定値が0.15N以下であれば起泡性が無いと判断する。なお、ホイップする時間の上限は20分とした。
【0051】
<ホイップ時間の評価>
ホイップ時間は、ホバートミキサー(ホバート・ジャパン株式会社製「N−50型(5コート)」)に、製造例で得られた水中油型乳化油脂組成物と生クリームとグラニュー糖とを合わせて1kgになるように表2、4、6及び表8に示す割合で混合し、2速撹拌条件(285rpm)でホイップし、トッピングするのに適度な硬さに到達するまでの時間を測定し、評価値とした。
【0052】
なお、ここでトッピングするのに適度な硬さとは、ホイップ直後のサンプルを容器に入れた後、クリープメーター(「RE2−33005S」、株式会社山電製)を用いて直径16mmの円柱状のプランジャーにて、速度5mm/sの速さで1cm貫入時の最大荷重が0.25〜0.35Nになる硬さのことである。
【0053】
<ホイップドコンパウンドクリームの耐熱保型性の評価>
実施例及び比較例で得られたホイップドコンパウンドクリームを絞り袋に詰め、出口が星型の口金(切り込みの個数8個)で透明なポリカップ容器に高さ6cm程度、底面の直径7cm程度で、できるだけ空洞ができないように渦を巻きながら円錐状に40g絞り高さを測定した後、15℃で24時間保持した時の高さを測定し、初期の高さが何%残っているかを保型性の評価値とした。70%以上は商品性があり、70%未満は商品性がないので、下記判定基準に従い評価した。なお、表2、4、6及び8中の「D+1」は15℃で一昼夜静置保管したことを意味する。
◎:90%〜100%。
○:80%以上、90%未満。
△:70%以上、80%未満。
×:70%未満。
【0054】
<ホイップドコンパウンドクリームの離水の評価>
実施例及び比較例で得られたホイップドコンパウンドクリームを絞り袋に詰め、出口が星型の口金(切り込みの個数8個)で透明なポリカップ容器に高さ6cm程度、底面の直径7cm程度で、できるだけ空洞ができないように渦を巻きながら円錐状に40g絞り、15℃で24時間保持した時の離水量(g)を測定し、初期の絞り量から何%離水したかを離水の評価値とした。3.0%未満は商品性に優れ、3.0%以上は商品性が乏しいので、下記判定基準に従い評価した。なお、表2、4、6及び8中の「D+1」は15℃で一昼夜静置保管したことを意味する。
◎:1.0%未満
○:1.0%以上、3.0%未満
△:3.0%以上、5.0%未満
×:5.0%以上
【0055】
<ホイップドコンパウンドクリームのキメの評価>
実施例及び比較例で得られたホイップドコンパウンドクリームを絞り袋に詰め、出口が星型の口金(切り込みの個数8個)で5g程度80個絞った際の表面のキメの状態を下記判定基準に従い目視で評価した。
◎:キメが非常に細かくなめらかでツヤがある。
○:キメが細かくなめらかでツヤがある。
△:ややザラツキがある。
×:かなりザラツキがある。
【0056】
<ホイップドコンパウンドクリームの造花性の評価>
実施例及び比較例で得られたホイップドコンパウンドクリームを絞り袋に詰め、出口が星型の口金(切り込みの個数8個)で5g程度80個絞った際のエッジの状態を下記判定基準に従い目視で評価した。
◎:途切れがなくトップまで綺麗に伸びている。
○:途切れがなくトップまで伸びている。
△:エッジにややギザギザした途切れがある。
×:エッジにかなりギザギザがある。
【0057】
<ホイップドコンパウンドクリームの乳のコク味の評価>
乳のコクの評価は、実施例及び比較例で得られたホイップドコンパウンドクリームを熟練したパネラー8名に食べてもらって官能評価を行い、それを平均して評価結果とした。その際の評価基準は以下の通りである。
◎:乳のコクが強く感じられる。
○:乳のコクが感じられる。
△:乳のコクがやや弱い。
×:乳のコクが弱い。
【0058】
<ホイップドコンパウンドクリームのフレッシュ感の評価>
フレッシュ感の評価は、実施例及び比較例で得られたホイップドコンパウンドクリームを熟練したパネラー8名に食べてもらって官能評価を行い、それを平均して評価結果とした。その際の評価基準は以下の通りである。
◎:生クリームのフレッシュ感が強く感じられる。
○:生クリームのフレッシュ感が感じられる。
△:生クリームのフレッシュ感がやや弱い。
×:生クリームのフレッシュ感が弱い。
【0059】
<油脂の上昇融点の測定>
実施例及び比較例で用いた油脂について、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法2.3.4.2−90 融点(上昇融点)」に記載の方法に基づき測定した。
【0060】
<総合評価>
実施例及び比較例で得られたホイップドコンパウンドクリームの耐熱保型性、離水、キメ、造花性、乳のコク、フレッシュ感の評価結果の内、最も劣る評価結果を総合評価として示した。
【0061】
(製造例A)パーム核オレイン油とパーム油のランダムエステル交換油の作製
パーム核オレイン油55質量部とパーム油45質量部とを、ナトリウムメチラートを用いた化学触媒法によりランダムエステル交換した後、精製し、上昇融点29℃の油脂を得た。
【0062】
(製造例1)
製造例Aで得られたパーム核オレイン油とパーム油とのランダムエステル交換油(上昇融点29℃)25.0質量部を65℃で溶解して油相部とした。一方、脱脂粉乳(無脂乳固形分95.2質量%、乳蛋白質34.0質量%)15.0質量部を、表1の配合と最終的に同じになるようにスチームインジェクション(蒸気加熱工程)での水分増加量を考慮した量の60℃の温水に溶解して水相部を作製した。
【0063】
前記の油相部と水相部とを20分間予備乳化後、高周速回転式乳化機(エム・テクニック(株)製「クレアミックス(登録商標)」)を用いて周速31.4m/sの回転速度で微細化した後、高圧ホモジナイザーを用いて1段目2MPa/2段目1MPaの圧力で均質化処理した後に、プレート式加熱機を用いて90℃まで予備加熱した後、UHT殺菌機(スチームインジェクション)を用いて142℃で4秒間殺菌処理し、蒸発冷却せずにその後プレート式冷却機を用いて60℃まで冷却し、再び高圧ホモジナイザーを用いて1段目15MPa/2段目5MPaの圧力で均質化処理し、その後、プレート式冷却機で10℃まで冷却したものを容器に充填し、水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の油滴径、粘度、原液安定性、起泡性について表1にまとめた。
【0064】
(製造例2)
油相部の油脂を、パーム分別硬化油及びパーム核油からなる混合油脂(上昇融点23.2℃)25.0質量部、パーム核硬化油(上昇融点36℃)5.0質量部にし、水の量を55.0質量部にした以外は、製造例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の油滴径、粘度、原液安定性、起泡性について表1にまとめた。
【0065】
(製造例3)
油相部の油脂を、パーム核硬化油(上昇融点36℃)25.0質量部にした以外は、製造例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の油滴径、粘度、原液安定性、起泡性について表1にまとめた。
【0066】
(製造例4)
油相部の油脂を、製造例Aで得られたパーム核オレイン油とパーム油とのランダムエステル交換油(上昇融点29℃)7.0質量部、パーム核硬化油(上昇融点36℃)3.0質量部、パーム核油(上昇融点27℃)15.0質量部にした以外は、製造例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の油滴径、粘度、原液安定性、起泡性について表1にまとめた。
【0069】
(製造例7)
油相部の油脂を、製造例Aで得られたパーム核オレイン油とパーム油とのランダムエステル交換油(上昇融点29℃)4.0質量部にし、水の量を81.0質量部にした以外は、製造例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の油滴径、粘度、原液安定性、起泡性について表1にまとめた。
【0070】
(製造例8)
油相部の油脂を、製造例Aで得られたパーム核オレイン油とパーム油とのランダムエステル交換油(上昇融点29℃)45.0質量部にし、水の量を40.0質量部にした以外は、製造例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の油滴径、粘度、原液安定性、起泡性について表1にまとめた。
【0071】
製造例8で得られた水中油型乳化油脂組成物は粘度が高く、経時的にクリーミングが発生して不適な品質のものであった。従って、製造例8で得られた水中油型乳化油脂組成物を用いたホイップドコンパウンドクリームの作製は行わなかった。
【0072】
【表1】
【0073】
(実施例1)
生クリーム(乳脂肪分47質量%)70.0質量部と、製造例1で得られた水中油型乳化油脂組成物30.0質量部とグラニュー糖8.0質量部を混合し、ホバートミキサー(ホバート・ジャパン株式会社製「N−50型(5コート)」)を用いて2速撹拌条件(285rpm)でトッピングするのに適度な硬さに到達するまでホイップしホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームのホイップ時間、耐熱保型性、離水、キメ、造花性、乳のコク、フレッシュ感を評価し、その結果を表2にまとめた。
【0074】
(実施例2)
水中油型乳化油脂組成物として製造例4で得られた物を用いた以外は、実施例1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームのホイップ時間、耐熱保型性、離水、キメ、造花性、乳のコク、フレッシュ感を評価し、その結果を表2にまとめた。
【0077】
(比較例1)
水中油型乳化油脂組成物として製造例2で得られた物を用いた以外は、実施例1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームのホイップ時間、耐熱保型性、離水、キメ、造花性、乳のコク、フレッシュ感を評価し、その結果を表2にまとめた。
【0078】
(比較例2)
水中油型乳化油脂組成物として製造例3で得られた物を用いた以外は、実施例1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームのホイップ時間、耐熱保型性、離水、キメ、造花性、乳のコク、フレッシュ感を評価し、その結果を表2にまとめた。
【0079】
(比較例3)
水中油型乳化油脂組成物として製造例7で得られた物を用いた以外は、実施例1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームのホイップ時間、耐熱保型性、離水、キメ、造花性、乳のコク、フレッシュ感を評価し、その結果を表2にまとめた。
【0080】
【表2】
【0081】
以上の結果より、実施例1〜
2のホイップドコンパウンドクリームは、良好な耐熱保型性、濃厚な乳のコク味及びフレッシュ感を有しており、また、実施例1〜
2のホイップドコンパウンドクリームに用いた水中油型乳化油脂組成物ではクリーミングがほとんど生じておらず原液安定性も良好であった。特に、水中油型乳化油脂組成物に用いる油脂として上昇融点27℃のラウリン系油脂を油脂中に60質量%以上使用したホイップドコンパウンドクリームでは耐熱保型性が優れていた(実施例2)。逆に水中油型乳化油脂組成物に用いた油脂の上昇融点が低いと、ホイップドコンパウンドクリームの耐熱保型性が劣り(比較例1)、上昇融点が高すぎるとホイップドコンパウンドクリームの乳のコクやフレッシュ感が劣るものとなることが分かる(比較例2)。また、水中油型乳化油脂組成物に用いる油脂の含有量が4質量%以下ではホイップドコンパウンドクリームの離水が多く発生し、キメや造花性が劣るものであった(比較例3)。水中油型乳化油脂組成物に用いる油脂の含有量が40質量%より多いと原液安定性が劣るものであった(製造例8)。
【0082】
(製造例9)
水相部を脱脂粉乳(無脂乳固形分95.2質量%、乳蛋白質34.0質量%)10.0質量部、脱脂乳(無脂乳固形分8.3質量%、乳蛋白質3.0質量%)56.5質量部にし、水の量を8.5質量部にした以外は、製造例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の油滴径、粘度、原液安定性、起泡性について表3にまとめた。
【0083】
(製造例10)
油相部を製造例Aで得られたパーム核オレイン油とパーム油とのランダムエステル交換油(上昇融点29℃)6.0質量部、パーム核硬化油(上昇融点36℃)4.0質量部、パーム核油(上昇融点27℃)12.5質量部、ヤシ油(上昇融点27℃)12.5質量部、水相部を脱脂粉乳(無脂乳固形分95.2質量%、乳蛋白質34.0質量%)11.0質量部、生乳(無脂乳固形分8.6質量%、乳蛋白質3.2質量%)45.5質量部にし、水の量を8.5質量部にした以外は、製造例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の油滴径、粘度、原液安定性、起泡性について表3にまとめた。
【0084】
(製造例11)
水相部を脱脂粉乳(無脂乳固形分95.2質量%、乳蛋白質34.0質量%)7.0質量部にし、水の量を68.0質量部にした以外は、製造例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の油滴径、粘度、原液安定性、起泡性について表3にまとめた。
【0085】
(製造例12)
水相部を脱脂粉乳(無脂乳固形分95.2質量%、乳蛋白質34.0質量%)28.0質量部にし、水の量を47.0質量部にした以外は、製造例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の油滴径、粘度、原液安定性、起泡性について表3にまとめた。得られた水中油型乳化油脂組成物はUHT殺菌時に焦げが発生し粘度が高く、経時的にクリーミングが発生して不適な品質のものであった。従って、製造例12で得られた水中油型乳化油脂組成物を用いたホイップドコンパウンドクリームの作製は行わなかった。
【0086】
【表3】
【0087】
(実施例5)
水中油型乳化油脂組成物として製造例9で得られた物を用いた以外は実施例1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームのホイップ時間、耐熱保型性、離水、キメ、造花性、乳のコク、フレッシュ感を評価し、その結果を表4にまとめた。
【0088】
(実施例6)
水中油型乳化油脂組成物として製造例10で得られた物を用いた以外は実施例1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームのホイップ時間、耐熱保型性、離水、キメ、造花性、乳のコク、フレッシュ感を評価し、その結果を表4にまとめた。
【0089】
(実施例7)
生クリーム(乳脂肪分47質量%)80.0質量部と、製造例10で得られた水中油型乳化油脂組成物20.0質量部とグラニュー糖8.0質量部を混合した以外は、実施例1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームのホイップ時間、耐熱保型性、離水、キメ、造花性、乳のコク、フレッシュ感を評価し、その結果を表4にまとめた。
【0090】
(実施例8)
生クリーム(乳脂肪分47質量%)75.0質量部と、製造例10で得られた水中油型乳化油脂組成物25.0質量部とグラニュー糖8.0質量部を混合した以外は、実施例1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームのホイップ時間、耐熱保型性、離水、キメ、造花性、乳のコク、フレッシュ感を評価し、その結果を表4にまとめた。
【0091】
(比較例4)
水中油型乳化油脂組成物として製造例11で得られた物を用いた以外は実施例1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームのホイップ時間、耐熱保型性、離水、キメ、造花性、乳のコク、フレッシュ感を評価し、その結果を表4にまとめた。
【0092】
【表4】
【0093】
以上の結果より、脱脂乳又は生乳を使用することよって、ホイップドコンパウンドクリームの乳のコクやフレッシュ感が強く優れたものになることが分かる(実施例5〜8)。乳蛋白質や無脂乳固形分が少ないと離水が多く発生し、乳のコクやフレッシュ感が弱いものであった(比較例4)。
【0094】
(製造例13)
水相部をバターミルク濃縮物(無脂乳固形分32.8質量%、乳蛋白質11.6質量%)10.0質量部、乳糖(無脂乳固形分100質量%)7.0質量部にし、水の量を58.0質量部にした以外は、製造例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の油滴径、粘度、原液安定性、起泡性について表5にまとめた。
【0095】
(製造例14)
水相部にポリグリセリンステアリン酸エステル(HLB=11.6)0.10質量部添加し、水の量を59.9質量部にした以外は、製造例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の油滴径、粘度、原液安定性、起泡性について表5にまとめた。
【0096】
(製造例15)
油相部に大豆レシチンを0.05質量部添加し、水相部にポリグリセリンステアリン酸エステル(HLB=11.6)0.05質量部添加し、水の量を59.9質量部にした以外は、製造例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の油滴径、粘度、原液安定性、起泡性について表5にまとめた。
【0097】
(製造例16)
水相部にヘキサメタリン酸ナトリウム0.10質量部添加し、水の量を59.9質量部にした以外は、製造例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の油滴径、粘度、原液安定性、起泡性について表5にまとめた。
【0098】
(製造例17)
水相部にクエン酸三ナトリウム0.1質量部添加し、水の量を59.9質量部にした以外は、製造例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の油滴径、粘度、原液安定性、起泡性について表5にまとめた。
【0099】
【表5】
【0100】
(比較例5)
水中油型乳化油脂組成物として製造例13で得られた物を用いた以外は実施例1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームのホイップ時間、耐熱保型性、離水、キメ、造花性、乳のコク、フレッシュ感を評価し、その結果を表6にまとめた。
【0101】
(比較例6)
水中油型乳化油脂組成物として製造例14で得られた物を用いた以外は実施例1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームのホイップ時間、耐熱保型性、離水、キメ、造花性、乳のコク、フレッシュ感を評価し、その結果を表6にまとめた。
【0102】
(比較例7)
水中油型乳化油脂組成物として製造例15で得られた物を用いた以外は実施例1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームのホイップ時間、耐熱保型性、離水、キメ、造花性、乳のコク、フレッシュ感を評価し、その結果を表6にまとめた。
【0103】
(比較例8)
水中油型乳化油脂組成物として製造例16で得られた物を用いた以外は実施例1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームのホイップ時間、耐熱保型性、離水、キメ、造花性、乳のコク、フレッシュ感を評価し、その結果を表6にまとめた。
【0104】
(比較例9)
水中油型乳化油脂組成物として製造例17で得られた物を用いた以外は実施例1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームのホイップ時間、耐熱保型性、離水、キメ、造花性、乳のコク、フレッシュ感を評価し、その結果を表6にまとめた。
【0105】
【表6】
【0106】
以上の結果より、合成乳化剤、天然乳化剤、塩類を水中油型乳化油脂組成物に使用すると、ホイップドコンパウンドクリームの耐熱保型性が劣り、離水も多く発生することが分かる。
【0107】
(製造例18)
油相部の乳脂肪(上昇融点32℃)量を30.0質量部にし、水の量を55.0質量部にした以外は、製造例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の油滴径、粘度、原液安定性、起泡性について表7にまとめた。
【0108】
(製造例19)
UHT殺菌機(スチームインジェクション)後の高圧ホモジナイザーの圧力を1段目4MPa/2段目2MPaにした以外は製造例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の油滴径、粘度、原液安定性、起泡性について表7にまとめた。メジアン径4.1μmの水中油型乳化油脂組成物が得られたが、経時的にクリーミングが発生して不適な品質のものであった。従って、製造例19で得られた水中油型乳化油脂組成物を用いたホイップドコンパウンドクリームの作製は行わなかった。
【0109】
【表7】
【0110】
(実施例9)
生クリーム(乳脂肪分47質量%)50.0質量部と、製造例1で得られた水中油型乳化油脂組成物50.0質量部とグラニュー糖8.0質量部を混合した以外は、実施例1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームのホイップ時間、耐熱保型性、離水、キメ、造花性、乳のコク、フレッシュ感を評価し、その結果を表8にまとめた。
【0111】
(実施例10)
生クリーム(乳脂肪分47質量%)25.5質量部と、製造例1で得られた水中油型乳化油脂組成物74.5質量部とグラニュー糖8.0質量部を混合した以外は、実施例1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームのホイップ時間、耐熱保型性、離水、キメ、造花性、乳のコク、フレッシュ感を評価し、その結果を表8にまとめた。
【0112】
(実施例11)
生クリーム(乳脂肪分35質量%)35.0質量部と、製造例1で得られた水中油型乳化油脂組成物65.0質量部とグラニュー糖8.0質量部を混合した以外は、実施例1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームのホイップ時間、耐熱保型性、離水、キメ、造花性、乳のコク、フレッシュ感を評価し、その結果を表8にまとめた。
【0113】
(比較例10)
生クリーム(乳脂肪分50質量%)91.0質量部と、製造例1で得られた水中油型乳化油脂組成物9.0質量部とグラニュー糖8.0質量部を混合した以外は、実施例1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームのホイップ時間、耐熱保型性、離水、キメ、造花性、乳のコク、フレッシュ感を評価し、その結果を表8にまとめた。
【0114】
(比較例11)
生クリーム(乳脂肪分47質量%)20.0質量部と、製造例1で得られた水中油型乳化油脂組成物80.0質量部とグラニュー糖8.0質量部を混合し、実施例1と同様の方法でホイップしたが、硬さが発現せずホイップドコンパウンドクリームは得られなかった。
【0115】
(比較例12)
生クリーム(乳脂肪分35質量%)30.0質量部と、製造例1で得られた水中油型乳化油脂組成物70.0質量部とグラニュー糖8.0質量部を混合し、実施例1と同様の方法でホイップしたが、硬さが発現せずホイップドコンパウンドクリームは得られなかった。
【0116】
(比較例13)
生クリーム(乳脂肪分47質量%)20.0質量部と、製造例18で得られた水中油型乳化油脂組成物80.0質量部とグラニュー糖8.0質量部を混合し、実施例1と同様の方法でホイップしたが、硬さが発現せずホイップドコンパウンドクリームは得られなかった。
【0117】
【表8】
【0118】
以上の結果より、本発明のホイップドコンパウンドクリームを得るためには生クリーム由来の乳脂肪量がホイップドコンパウンドクリーム全体中11質量%以上必要であることが分かる。また、生クリーム由来の乳脂肪量がホイップドコンパウンドクリーム全体中42.0質量%を超えるとキメや造花性が劣るものであった。