特許第6628862号(P6628862)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニュー・エイチ・3・シィ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6628862-端末測位 図000002
  • 特許6628862-端末測位 図000003
  • 特許6628862-端末測位 図000004
  • 特許6628862-端末測位 図000005
  • 特許6628862-端末測位 図000006
  • 特許6628862-端末測位 図000007
  • 特許6628862-端末測位 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6628862
(24)【登録日】2019年12月13日
(45)【発行日】2020年1月15日
(54)【発明の名称】端末測位
(51)【国際特許分類】
   H04W 64/00 20090101AFI20200106BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20200106BHJP
   H04W 8/00 20090101ALI20200106BHJP
【FI】
   H04W64/00 140
   H04W64/00 173
   H04W84/12
   H04W8/00
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-502703(P2018-502703)
(86)(22)【出願日】2016年7月20日
(65)【公表番号】特表2018-527796(P2018-527796A)
(43)【公表日】2018年9月20日
(86)【国際出願番号】CN2016090626
(87)【国際公開番号】WO2017012541
(87)【国際公開日】20170126
【審査請求日】2018年1月19日
(31)【優先権主張番号】201510430795.4
(32)【優先日】2015年7月21日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517385553
【氏名又は名称】ニュー・エイチ・3・シィ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NEW H3C TECHNOLOGIES CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 華
【審査官】 松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−216677(JP,A)
【文献】 特開2014−216678(JP,A)
【文献】 特開2015−070534(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0170374(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0355523(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0308618(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末から送信されたプローブ要求メッセージを受信すると、アクセスポイント(AP)にローカルに記憶された非関連端末リストから取得された端末状態情報に基づいて前記端末が非関連端末であるか否かを前記アクセスポイント(AP)が判定することと、
前記APは、前記端末が非関連端末であると判定したときに、前記端末に対してラウンドトリップ時間(RTT)の測定を迅速になうことと
サーバが測定結果に基づいて前記端末を測位するように、前記APが、前記測定結果を前記サーバへ送信することと、
前記APが、前記端末の端末状態情報をアクセスコントローラ(AC)に要求して、前記非関連端末リストを更新することとを含むことを特徴とする端末測位方法。
【請求項2】
前記APが前記端末に対してRTTの測定を行う前に、さらに、
前記APは、受信された前記プローブ要求メッセージの信号強度が予め設定された強度閾値に達したか否かを判定し、前記プローブ要求メッセージの信号強度が前記予め設定された強度閾値に達したと判定したときに、引き続き前記端末に対して前記RTTの測定を行うことをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の端末測位方法。
【請求項3】
前記端末の端末状態情報を前記ACに要求して、前記非関連端末リストを更新することは、
前記APが前記プローブ要求メッセージから前記端末の媒体アクセス制御(MAC)アドレスを取得することと、
アクセスコントローラ(AC)が前記MACアドレスに基づいて前記端末が関連端末と非関連端末のどちらであるかを自身に記憶された端末状態情報から照会して照会結果を前記APへフィードバックするように、前記APが前記MACアドレスを含む端末状態照会要求を前記ACへ送信することと、
前記ACからフィードバックされた照会結果に基づいて前記端末が非関連端末であるか否かを前記APが判定して、前記非関連端末リストを更新することと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の端末測位方法。
【請求項4】
前記ACにローカルに記憶された非関連端末リストから取得された端末状態情報に基づいて前記端末が非関連端末であるか否かを前記APが判定することは、
前記APが前記プローブ要求メッセージから前記端末のMACアドレスを取得することと、
前記AP、前記非関連端末リストに前記端末のMACアドレスがある場合に、前記端末が非関連端末であると判定することとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の端末測位方法。
【請求項5】
前記非関連端末リストについて設置された更新タイマが満了したときに、前記APが前記非関連端末リストにおける各MACアドレスを含む端末状態更新要求を前記ACへ送信することと、
前記ACが前記端末状態更新要求に応答して前記非関連端末リストにおける注目MACアドレスに対応する端末を関連端末に変更するようフィードバックした場合に、前記APが前記注目MACアドレスを前記非関連端末リストから削除することとをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の端末測位方法。
【請求項6】
前記端末測位方法は、前記非関連端末リストにおける注目MACアドレスについて設置されたエージングタイマが満了したときに、前記APが前記注目MACアドレスを前記非関連端末リストから削除することをさらに含み、
前記エージングタイマは、前記注目MACアドレスを前記非関連端末リストに書き込んだ時に設置されたことを特徴とする請求項4に記載の端末測位方法。
【請求項7】
前記端末に対してRTTの測定を行っているとき、前記端末の測位応答を受信していない場合に、前記APが前記プローブ要求メッセージの信号強度を前記測定結果としてサーバへ送信することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の端末測位方法。
【請求項8】
アクセスポイント(AP)であって、
プロセッサと、端末測位の制御論理に対応する機器の実行可能な命令を記憶する非一時的記憶媒体とを備え、
前記プロセッサは、前記機器の実行可能な命令を実行することにより、
端末から送信されたプローブ要求メッセージを受信すると、前記APにローカルに記憶された非関連端末リストから取得された端末状態情報に基づいて前記端末が非関連端末であるか否かを判定し、
記端末が非関連端末であると判定したときに、前記端末に対してラウンドトリップ時間(RTT)の測定を迅速に行い、
サーバが測定結果に基づいて前記端末を測位するように前記測定結果を前記サーバへ送信し、
アクセスコントローラ(AC)に前記端末の端末状態情報を要求して、前記非関連端末リストを更新することを特徴とするアクセスポイント。
【請求項9】
前記機器の実行可能な命令を実行することにより、前記端末に対してRTTの測定を行う前に、前記プロセッサは、さらに、
受信された前記プローブ要求メッセージの信号強度が予め設定された強度閾値に達したか否かを判定し、前記プローブ要求メッセージの信号強度が前記予め設定された強度閾値に達したと判定したときに、引き続き前記端末に対して前記RTTの測定を行うことを特徴とする請求項8に記載のアクセスポイント。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記機器の実行可能な命令を実行することにより、さらに、
前記プローブ要求メッセージから前記端末の媒体アクセス制御(MAC)アドレスを取得し、
アクセスコントローラ(AC)が前記MACアドレスに基づいて前記端末が関連端末と非関連端末のどちらであるかを自身に記憶された端末状態情報から照会して照会結果を前記APへフィードバックするように、前記MACアドレスを含む端末状態照会要求を前記ACへ送信し、
前記ACからフィードバックされた照会結果に基づいて前記端末が非関連端末であるか否かを判定し、前記非関連端末リストを更新することを特徴とする請求項8に記載のアクセスポイント。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記機器の実行可能な命令を実行することにより、さらに、
前記プローブ要求メッセージから前記端末のMACアドレスを取得し
前記非関連端末リストに前記端末のMACアドレスがある場合に、前記端末が非関連端末であると判定することを特徴とする請求項8に記載のアクセスポイント。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記機器の実行可能な命令を実行することにより、さらに、
前記非関連端末リストについて設置された更新タイマが満了したときに、前記非関連端末リストにおける各MACアドレスを含む端末状態更新要求を前記ACへ送信し、
前記ACが前記端末状態更新要求に応答して前記非関連端末リストにおける注目MACアドレスに対応する端末を関連端末に変更するようフィードバックした場合に、前記注目MACアドレスを前記非関連端末リストから削除することを特徴とする請求項11に記載のアクセスポイント。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記機器の実行可能な命令を実行することにより、さらに、
前記非関連端末リストにおける注目MACアドレスについて設置されたエージングタイマが満了したときに、前記注目MACアドレスを前記非関連端末リストから削除し、
前記エージングタイマは、前記注目MACアドレスを前記非関連端末リストに書き込んだ時に設置されたことを特徴とする請求項11に記載のアクセスポイント。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記機器の実行可能な命令を実行することにより、さらに、
前記端末に対してRTTの測定を行っているとき、前記端末の測位応答を受信していない場合に、前記プローブ要求メッセージの信号強度を前記測定結果としてサーバへ送信することを特徴とする請求項8に記載のアクセスポイント。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
モバイルインターネットおよびビッグデータの応用につれて、無線ローカルエリアネットワーク(Wireless Local Area Networks、WLAN)に基づく測位技術は、多数の業界に幅広い応用の見通しがある。WLANに基づく測位技術には、RTT(Round Trip Time、ラウンドトリップ時間)を測定する測位方法が含まれる。現在のRTT測位は、自主測定方式を採用する。即ち、ネットワークにおけるアクセスポイント(Access Point、AP)は、自ら測定要求メッセージを測位される端末へ送信し、端末からフィードバックされた測定応答を受信し、測定要求メッセージの送信から当該メッセージに対する応答の受信までのラウンドトリップ時間を算出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
しかし、このような自主測定方式は、ネットワークに関連付けられた端末(以下、「関連端末」と略称する)のみの測位をサポートする。ネットワークに関連付けられていない端末(以下、「非関連端末」と略称する)に関しては、非関連端末の作業チャネルが一定ではないとともに測定応答をフィードバックできない可能性があるため、RTT方式により非関連端末の測位を実施することが非常に困難となる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】本発明の一例に示す端末測位場面の模式図である。
図2】本発明の一例に示す端末測位方法を示すフローチャートである。
図3】本発明の一例に示すAPが端末の関連状態を無線コントローラ(Access Controller、AC)へ照会するフローチャートである。
図4】本発明の一例に示すAPがローカルリストを照会して端末状態を判定するフローチャートである。
図5】本発明の一例に示すAPのハードウェア構成の模式図である。
図6】本発明の一例に示す端末測位制御論理の機能モジュールのブロック図である。
図7】本発明の別の例に示す端末測位制御論理の機能モジュールのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
ここで、以下の例について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の記述が図面に係っている場合、別途示されていない限り、異なる図面における同じ符号が同一または類似する要素を示す。下記の例に記述された実施形態が本発明に合致するあらゆる実施形態を代表するとは限らない。それらは、添付する特許請求の範囲に記載された本発明の幾つかの側面に合致する装置および方法の例に過ぎない。
【0005】
背景技術の記述を結合し、関連技術では、RTT方式においてサーバスケジューリング測定法を用いて非関連端末の測位を行うものがある。ネットワークでのあるAPは、非関連端末から送信されたプローブ要求メッセージ(Probe Request)を受信すると、当該端末の情報(例えば、端末のMACアドレスおよび所在するチャネル)を測位サーバへ報告してもよい。こうして、測位サーバは、端末付近の複数のAPに対して端末に対するRTTの測定を行うよう指示し、APから報告された測定結果に基づいて端末測位を行う。しかし、非関連端末のチャネルが一定せず、非関連端末があるチャネルに駐在する時間が短い一方、上記サーバスケジューリング手順が相当時間かかる(例えば、サーバがタイムリーに応答できないので、サーバの指示がAPに到達するまでに端末が既にAPから離れた恐れがある)ため、APによる測位は、不可能となる。
【0006】
本発明は、端末測位方法を提供し、RTTの測定に基づく測位方式を用いて非関連端末に対して測位を行う。図1に端末測位の場面が示され、RTT測位ネットワークでは、無線アクセス機器とするAP(Access Point)が複数含まれてもよい。例えば、図1は、その中の一部のAP(例えば、AP11、AP12及びAP13)を示す。測位される端末14は、その中の1つのAPに関連付けられて無線ネットワークへアクセスしてもよい。
【0007】
ネットワークには、AC(Access Controller、無線コントローラ)15およびサーバ16がさらに含まれてもよい。AC15は、AP管理のために用いられてもよい。例えば、端末14がAP11に関連付けられたとき、AP11は、端末の関連情報をAC15へ報告するこうして、AC15は、端末14が既にAP11に関連付けられたことを記録する。換言すれば、AC15は、端末状態情報(例えば、ある端末がAPに関連付けられたか否か)を記憶する。サーバ16は、端末の測位算出に用いられてもよい。例えば、AP11は、端末に対してRTTの測定を行って端末とAPの間の信号の往復時間を取得し、測定結果をサーバ16へ報告する。こうして、サーバ16は、測定結果に基づいて端末の位置を算出する。
【0008】
この例において、図1における端末14がいずれのAPにも関連づけられておらず、「非関連端末」に属すると仮定する。その際、端末は、異なるチャネルで周辺の利用可能なネットワークをスキャンし、プローブ要求メッセージ(Probe Request)を定期的に送信する。図1に示す3つのAPは、端末のメッセージを定期的に受信可能である。例えば、AP11は、ある時点において端末から送信されたプローブ要求メッセージを受信したが、特定の時間が経過した後、当該端末からのプローブ要求メッセージを受信できなくなる。その原因としては、端末が既にAP12のチャネルに遷移したため、その際、当該端末のプローブ要求メッセージを受信できるのがAP11ではなく、AP12である。本発明の端末測位方法では、如何にして非関連端末を測位するかが記述される。
【0009】
図2は、APによる端末測位方法のフローを示す。当該フローは、以下のステップ201-202を含んでもよい。
【0010】
ステップ(block)201において、端末から送信されたプローブ要求メッセージを受信すると、取得された端末状態情報に基づいて端末が非関連端末であるか否かを判定する。
【0011】
例えば、ネットワークにおけるいずれのAPも自身の作業チャネルでモニタリングし、受信されたメッセージがプローブ要求メッセージであるか否かを判定する。受信されたメッセージがプローブ要求メッセージである場合、APは、当該メッセージを送信した端末が非関連端末であるか否かをさらに判定し、当該端末が非関連端末であると判定したときにステップ202の処理を実行する。
【0012】
このステップにおいて、APは、ACから取得された端末状態情報に基づいて端末が非関連端末であるか否かを判定してもよい。例えば、上記ACは、端末状態情報を記憶する当該端末状態情報は、少なくともある端末がAPに関連付けられているか否かを含む。これにより、APは、ACに記憶された当該端末状態情報を照会することで、プローブ要求メッセージを送信した端末が非関連端末であるか否かを判定可能である。
【0013】
ステップ202では、端末が非関連端末であると判定したときに、端末に対してラウンドトリップ時間RTTの測定を行い、測定結果をサーバへ送信する。こうして、サーバは、当該測定結果に基づいて端末を測位可能である。
【0014】
上記フローから分かるように、この例におけるAPは、端末から送信されたプローブ要求メッセージ(Probe Request)を受信した後、当該端末が非関連端末であるか否かを検出し、Probe Requestが非関連端末から送信されたものとして特定された場合において端末に対してRTTの測定を行う。これは、当該端末に対する測位に寄与する。
【0015】
このような方式では、APは、端末が非関連端末であるか否かを自分で判定し、端末が非関連端末であることを特定したときに端末に対してRTTの測定を行うことにより、当該端末に対する測位に寄与する。これは、APがサーバからのスケジューリング指示を待機する方式に比べて、APが自分で非関連端末を特定することが迅速であり、非関連端末の当該APのチャネルに駐在する短い時間内で図2に示す処理を実行できるため、端末に対する高速な測位に寄与する。
【0016】
1つの例において、APが端末が非関連端末であるか否かを検出する方式では、端末が非関連端末であるか否かをAPがACへ照会する。それは、ACに端末の関連状態等を含む端末状態情報が記憶できるからである。例えば、ACは、端末があるAPに関連付けられていることを記録できる。端末がいずれのAPにも関連付けられていない場合、当該端末が非関連端末である見なされてもよい。
【0017】
図3は、APが端末関連状態をACへ照会する方法の模式的なフローを示す。図3に示すように、当該方法は、ステップ301-305を含んでもよい。
【0018】
ステップ301において、APは、ある端末から送信されたプローブ要求メッセージを受信する。ステップ302において、APは、プローブ要求メッセージから当該端末のMACアドレスを取得する。ステップ303において、APは、ステップ302で取得された当該端末のMACアドレスを含む端末状態照会要求をACへ送信する。こうして、ACは、当該MACアドレスに基づいて当該端末の関連状態を自身に記憶された端末状態情報から照会可能である。
【0019】
ステップ304において、APは、ACのフィードバック結果に基づいて当該端末が非関連端末であるか否かを判定する。APは、当該端末が非関連端末であると判定した場合に、引き続きステップ305を実行する。ステップ305において、サーバが測定結果に基づいて端末を測位するように、APは、端末に対してRTTの測定を行って測定結果をサーバへ送信する。ステップ304において当該端末が関連端末であるとAPによって判定された場合に、今回のフローを終了する。
【0020】
APが端末から送信されたプローブ要求メッセージを受信する度にACへ端末状態を照会すると、照会速度が遅くなる可能性がある。例えば、ネットワークの状況が悪い場合、ACによるフィードバックの速度がネットワークの影響を受ける可能性がある。そこで、APが端末関連状態を特定する効率を向上させるために、端末状態情報は、ローカルに取得される。別の例において、APは、非関連端末リストをローカルに記憶してもよい。当該非関連端末リストに、1つまたは複数の非関連端末の情報(例えば、各非関連端末のMACアドレス)が記憶される。例えば、{mac_1、mac_2、mac_3、…}のようなリストには、複数の非関連端末のMACアドレスが記憶されている。例えば、当該非関連端末リストは、APのローカルのCACHEに記憶される。APは、当該リストに基づいて端末の関連状態を照会してもよい。ACへ照会するよりも、ローカルでの照会は、照会効率を向上させる。
【0021】
例えば、APは、図4に示す方式を採用し、ローカルの非関連端末リストを先に照会する。ローカルの非関連端末リストに当該端末のMACアドレスがないとき、当該端末の関連状態をACへ照会する。図4に示すこのような方式は、図3に示す方式よりも、非関連端末リストをローカルに照会することと、端末関連状態をACへ照会することとが組合わせられたため、端末関連状態の照会がより迅速で正確になる。
【0022】
また、APにローカルで記憶された非関連端末リストは、APがACへ照会してそのフィードバック結果記録に基づいて生成されたものであってもよい。それは、APがACに記憶された端末状態情報に基づいて非関連端末を特定することにも相当する。例えば、APは、ACへ照会し、且つプローブ要求メッセージを送信した端末が非関連端末であることを特定したとき、当該非関連端末のMACアドレスをローカルの非関連端末リストに記憶し、後でプローブ要求メッセージを再度受信したとき、当該ローカルの非関連端末リストを利用して当該端末が非関連端末であるか否かを判定する。
【0023】
例えば、図4の例を参照すると、ステップ401において、端末は、APへプローブ要求メッセージを送信する。そして、ステップ402においてAPがプローブ要求メッセージに含まれる当該端末のMACアドレスを取得し、ステップ403において当該端末のMACアドレスがローカルの非関連端末リストにあるか否かを判定する。当該MACアドレスが当該非関連端末リストに記録されている場合、ステップ404において当該端末が非関連端末であると判定される。APは、引き続きステップ405と406における処理を実行する。ステップ405において端末に対してRTTの測定を行い、ステップ406においてサーバへ測定結果を送信する。こうして、サーバは、当該測定結果に基づいて端末を測位可能である。
【0024】
非関連端末リストに当該端末のMACアドレスが含まれていない場合、APは、ステップ407を実行し。APは、ステップ407において当該MACアドレスに対応する端末の関連状態をACへ照会するように、当該MACアドレスを含む端末状態照会要求をACへ送信してする。その後、APは、ACのフィードバック結果に基づいて当該端末が関連端末であるか否かを判定する。端末が関連端末であると判定した場合に、APは、フローを終了する。当該端末が非関連端末であると判定した場合に、APは、ステップ408において当該端末のMACアドレスをローカルの非関連端末リストに追加して次回で使用する。例えば、当該端末のプローブ要求メッセージが次回再度受信されると、当該非関連端末リストを照会するだけで、ACへ照会せずに当該端末が非関連端末であると判定できる。これにより、効率が向上する。そして、APは、ステップ408において当該端末が非関連端末であると判定した直後に、当該端末に対してRTTの測定を行う。つまり、ステップ405と406の処理を実行する。
【0025】
上記フローからも分かるように、APによるローカルの非関連端末リストの生成は、図4の例の方式に従い、ACへ照会した結果に応じてローカルの非関連端末リストに特定の非関連端末のMACアドレスを追加することであってもよい。例えば、初期時に、APローカルに記憶された非関連端末リストがヌルであり、なんの端末のMACアドレスも記録されていない。APが端末から送信されたプローブ要求メッセージを初回受信したとき、非関連端末リストがヌルであるため、APは、当該端末が非関連端末であるか否かをACへ照会する。ACのフィードバック結果に基づいて当該端末が非関連端末であることを特定した場合に、APは、当該端末のMACアドレスを非関連端末リストに追加する。こうして、次回APが当該MACアドレスに対応する端末から送信されたプローブ要求メッセージを再度受信したとき、当該ローカルの非関連端末リストに基づいて当該端末が非関連端末であることを直接特定可能であるため、照会効率が向上する。
【0026】
上記非関連端末リストは、例えば、APの測位機能がオンにされたときに作成され、測位機能がオフにされたときに削除される。AP測位機能が次回オンにされるときになると、改めて上記リスト生成方法により非関連端末リストを生成してもよい。
【0027】
また、非関連端末が快速に異なるチャネル間でスキャンする可能性を考慮すると、既に別のチャネルに遷移した(即ち、もはやAPの作業チャネルにいない)端末のMACアドレスがまだ当該APのローカルのCACHEにおける非関連端末リストのエントリリソースを占用することにより、エントリの累計が膨張して行って照会効率の低下を引き起こす問題がある。当該問題が回避されるように、この例では、エージングしたエントリを削除する方法が採用される。つまり、ある時間以上アクセスしていない端末のMACアドレスをCACHEにおける非関連端末リストから削除する。
【0028】
例えば、CACHEの非関連端末リストにおける各エントリ(即ち、非関連端末リストにおける各MACアドレス)について、周期T0のエージングタイマを起動する。APが非関連端末リストにおけるあるMACアドレスを照会する際に、当該MACアドレスに対するエージングタイマを更新する。例えば、当該MACアドレスが照会されると、エージングタイマがゼロにクリアされる。非関連端末リストにおけるあるエントリのエージングタイマが満了することは、周期T0内でAPが当該エントリのMACアドレスを照会していないことを意味する。つまり、APは、非関連端末リストにおける当該エントリ(具体的に、MACアドレスであってもよい)を削除できる。
【0029】
上記エントリをエージングする措置のほかに、この例では、非関連端末リストに対する周期的な更新が行われてもよい。端末の状態が動的に変化可能である。例えば、端末は、現時点で非関連端末であるが、次の時点でAPに関連付けられることによりネットワークへアクセス可能である。逆に、端末は、関連状態から非関連状態へと変化する。したがって、端末状態を定期的に更新して端末関連状態の照会の正確性を向上させることが可能となる。しかし、端末の関連状態が一般的に頻繁に変動しないことを考慮すると、実際の状況に応じて適切な更新周期を与える。
【0030】
例えば、非関連端末リストの全体について、周期T1の周期的な更新タイマを起動する。更新タイマが設定時間T1になると、APは、ACへ端末状態更新要求を送信する。その要求には、非関連端末リストにおける各MACアドレスが含まれることにより、非関連端末リストにおける各MACアドレスに対応する端末の関連状態が変化したか否かをACへ照会する。即ち、各MACアドレスに対応する端末が関連端末に変更されたか否かを判断する。ある端末があるAPに関連付けられると、ACは、当該端末の関連情報を記録する。
【0031】
ACからフィードバックされた結果に基づいて非関連端末リストにおけるあるエントリに対応する端末の関連状態が変化しないと確認されると、非関連端末リストにおける当該エントリも変化しない。しかし、ACフィードバックの結果に基づいて非関連端末リストにおけるあるエントリ(具体的に、MACアドレスであってもよい)に対応する端末が既に関連端末に変更された場合(つまり、当該MACアドレスに対応する端末の関連状態が変化した場合)、APは、当該MACアドレスを非関連端末リストから削除する。
【0032】
さらに別の例では、WLAN測位応用に対するAP配置の密度が一般的に大きいため、同一の時点において同一のチャネルに所在する複数のAPがネットワークに存在する可能性があり、同一のチャネルに所在する複数のAPが何れも非関連端末から送信されたプローブ要求メッセージを受信する可能性もある。このような場合に、非関連端末の位置から遠く離れたAPがRTTの測定に関与する必要がない。したがって、この例では、APは、端末から送信されたプローブ要求メッセージを受信した後、端末に対してRTTの測定を行なう前に、まずプローブ要求メッセージの信号強度が予め設定された強度閾値に達したか否かを判定する。当該プローブ要求メッセージのRSSI(Received Signal Strength Indication、受信信号強度指示)が予め設定された強度閾値に達した(例えば、当該閾値以上)と判定した場合、APは、後続のフロー(当該端末が非関連端末であるか否かをさらに判定することや、RTTの測定を行うこと等を含む)を実行する。ネットワークに配置されたAPの密度を利用して当該閾値を設定してもよい。この方式により、測位される非関連端末から遠く離れたAPを排除可能である。
【0033】
さらに別の例にでは、APが非関連端末であると判定された端末に対してRTTの測定を行う際に、当該端末がAPへ応答をフィードバックしない可能性があるため、APは、測定により当該端末に対応するRTTを取得できない可能性がある。その際、APは、当該端末から送信されたプローブ要求メッセージのRSSI情報を測定結果としてサーバへ報告する。こうして、サーバは、APから報告されたRSSI情報に基づいて端末測位を行なう。無論、APからサーバへ報告された測定結果には、RSSI情報のほかに、例えば、端末のMACアドレス等の他の情報も含まれてもよい。
【0034】
本発明の端末測位方法によれば、APは、関連端末に対する測位をサポートするという既存の形態に加えて、非関連端末に対する測位もサポートするため、RTTの測定に基づく測位方式の競争力が向上し、市場の需要が満足できる。さらに、サーバが非関連端末と関連端末とに対する測位を行なう際、それらの方式に相違が多少存在するため、APは、RTTの測定結果をサーバへ報告する際に端末の関連状態(例えば、端末のタイプが非関連端末であること)も報告することにより、サーバは、非関連端末について、測位算出、データ分析、グラフィック表示のときに特別な処理を行なう。例えば、サーバは、端末の非関連状態、異なるAPから送信された測位用データの時間差等の情報に基づいて、測位算出において適切な微調整や補償を与える。
【0035】
本発明の例は、さらにAPのハードウェア構成の模式図を示す。図5に示すように、当該APは、プロセッサ51、機器読み取り可能記憶媒体52、通信インターフェース53および通信バス54を備える。プロセッサ51、機器読み取り可能記憶媒体52と通信インターフェース53は、通信バス54を介して相互間での通信を実施可能である。上述したRTTの測定に基づく端末測位方法は、プロセッサ51が機器読み取り可能記憶媒体52に記憶された端末測位の制御論理に対応する機器の実行可能な命令を実行することで実現可能である。
【0036】
機器読み取り可能な記憶媒体は、如何なる電子、磁気、光学または他の物理的記憶装置であってもよく、情報(例えば、実行可能な命令、データ等)を格納や記憶してもよい。例えば、機器読み取り可能な記憶媒体は、RAM(Random Access Memory、ランダムアクセスメモリ)、発揮性メモリ、非発揮性メモリ、フラッシュメモリ、記憶ドライバ(例えば、ハードディスクドライバ)、ソリッドHDD、如何なる種類の記憶ディスク(例えば、光ディスク、dvd等)、または類似する記憶媒体、またはそれらの組合わせである。また、本文で記述されたいずれの機器読み取り可能な記憶媒体も非一時的なものであってもよい。
【0037】
さらに、機器読み取り可能記憶媒体52に端末測位の制御論理60が記憶されている。前記制御論理60は、機能上に、端末状態認識モジュール61および端末測位測定モジュール62を備える。
【0038】
端末状態認識モジュール61は、端末から送信されたプローブ要求メッセージを受信すると、取得された端末状態情報に基づいて前記端末が非関連端末であるか否かを判定する。
【0039】
端末測位測定モジュール62は、前記端末が非関連端末であると前記端末状態認識モジュールによって特定されたとき、前記端末に対してRTTの測定を行い、測定結果をサーバへ送信する。こうして、前記サーバは、前記測定結果に基づいて前記端末を測位可能である。
【0040】
図6に示すように、当該制御論理60は、信号判定モジュール63をさらに備える。信号判定モジュール63は、受信されたプローブ要求メッセージの信号強度が予め設定された強度閾値に達したか否かを判定し、前記プローブ要求メッセージの信号強度が前記予め設定された強度閾値に達したと判定した場合に、前記端末測位測定モジュール62により引き続き前記端末に対してRTTの測定を行う。
【0041】
1つの例において、端末状態認識モジュール61は、前記プローブ要求メッセージから前記端末のMACアドレスを取得し、前記MACアドレスを含む端末状態照会要求をACへ送信する。こうして、前記ACは、前記MACアドレスに基づいて前記端末が関連端末と非関連端末のどちらであるかを自身に記憶された端末状態情報から照会し、照会結果を前記端末状態認識モジュール61へフィードバックする。端末状態認識モジュール61は、前記ACからフィードバックされた照会結果に基づいて前記端末が非関連端末であるか否かを判定する。
【0042】
別の例において、当該制御論理60は、端末状態更新モジュール64をさらに含む。
端末状態認識モジュール61は、端末から送信されたプローブ要求メッセージを受信すると、前記プローブ要求メッセージから前記端末のMACアドレスを取得し、前記端末のMACアドレスに基づいて、前記MACアドレスがローカルの非関連端末リストにあるか否かを照会する。前記非関連端末リストに前記端末のMACアドレスが含まれる場合、端末状態認識モジュール61は、前記端末が非関連端末であることを特定する。前記非関連端末リストに前記端末のMACアドレスが含まれていない場合、端末状態認識モジュール61は、ACからフィードバックされた照会結果に基づいて前記端末が非関連端末であるか否かを判定するように、前記MACアドレスを含む端末状態照会要求を前記ACへ送信する。前記ACは、前記MACアドレスに基づいて自身に記憶された端末状態情報を照会し、前記端末が関連端末と非関連端末のどちらであるかを判定し、照会結果を端末状態認識モジュール61へフィードバックする。端末状態更新モジュール64は、前記ACから端末状態認識モジュール61にフィードバックされた照会結果に基づいて前記非関連端末リストを更新する。
【0043】
さらに、端末状態更新モジュール64は、前記非関連端末リストについて設置された更新タイマが満了したときに、前記非関連端末リストにおける各MACアドレスを含む端末状態更新要求をアクセスコントローラ(AC)へ送信し、前記ACが前記端末状態更新要求に応答して前記非関連端末リストにおける注目MACアドレスに対応する端末を関連端末に変更するようフィードバックした場合に、前記注目MACアドレスを前記非関連端末リストから削除する。
【0044】
さらに、端末測位測定モジュール62は、前記端末に対するRTTの測定中に前記端末の測位応答を受信していない場合に、前記プローブ要求メッセージの信号強度を測定結果としてサーバへ送信する。
【0045】
この例におけるAPは、RTTの測定に基づく測位方式により関連端末および非関連端末を測位することをサポート可能である。
【0046】
上述したのは、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を制限するためのものではない。本発明の要旨および原則内でなされた如何なる変更、均等物による置換、改良等も、本発明の保護範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7