【課題を解決するための手段】
【0010】
以下に、本発明の種々の態様について説明する。
[1]第1の管と、
前記第1の管の側面に形成された開孔部と、
前記第1の管内に配置され、露光光を伝送する光導波路と、
前記第1の管内に配置され、前記光導波路によって伝送された前記露光光を集光するレンズと、
前記レンズによって集光された露光光を反射させる反射ミラーと、
を具備し、
前記反射ミラーによって反射された前記露光光は、前記開孔部を通って前記第1の管の外側に照射されることを特徴とする露光光照射装置。
【0011】
[1−1]上記[1]において、
前記レンズは、ボールレンズ、シリンドリカルレンズ、ドラムレンズ、フレネルレンズ、半球レンズ、凸レンズ、凹レンズ、屈折率分布レンズ及びそれらを組み合わせたレンズのいずれかであることを特徴とする露光光照射装置。
【0012】
[1−2]第1の管と、
前記第1の管の側面に形成された開孔部と、
前記第1の管内に配置され、露光光を伝送する光導波路と、
前記第1の管内に配置され、前記光導波路によって伝送された前記露光光を集光させて反射する集光ミラーと、
を具備し、
前記集光ミラーによって集光して反射された前記露光光は、前記開孔部を通って前記第1の管の外側に照射されることを特徴とする露光光照射装置。
【0013】
なお、本明細書において「光導波路」とは、光学的な特性をもつ物質を用いて作製された光の伝送路を意味し、例えば光ファイバーまたはフォトニック結晶を用いることができる。
【0014】
[1−3]上記[1]、[1−1]及び[1−2]のいずれか一項において、
前記光導波路を前記第1の管の長手方向に移動させる移動機構を有することを特徴とする露光光照射装置。
【0015】
[2]上記[1]、[1−1]、[1−2]及び[1−3]のいずれか一項において、
前記ミラーによって反射され前記開孔部を通った前記露光光は、前記第1の管の外側に配置された第2の管の内面に塗布されたフォトレジスト膜に照射され、前記フォトレジスト膜が露光されることを特徴とする露光光照射装置。
【0016】
[31]上記[1]または[2]において、
第1の管の内部に先端に吐出部材を備えた第2の管を挿入し、
前記第2の管にレジスト液を供給し、前記吐出部材から前記レジスト液を吐出させながら、前記第2の管を前記第1の管から引き出しつつ前記第1の管を回転させることで、前記第1の管の内面に前記レジスト液を塗布することを特徴とする露光光照射装置。
[32]上記[1]、[2]及び[31]のいずれか一項において、
前記吐出部材は、前記第1の管の内部に前記第2の管を挿入した際に前記第1の管の内面側に位置する前記レジスト液を溜める液溜まり部を有することを特徴とする露光光照射装置。
[33]上記[1]、[2]、[31]及び[32]のいずれか一項において、
前記光導波路を前記第2の管の長手方向に移動させる移動機構を有することを特徴とする露光光照射装置。
[3]第1の管(例えば金属管または犠牲管)の内部に先端に吐出部材を備えた第2の管を挿入し、
前記第2の管にレジスト液を供給し、前記吐出部材から前記レジスト液を吐出させながら、前記第2の管を前記第1の管から引き出しつつ前記第1の管を回転させることで、前記第1の管の内面に前記レジスト液を塗布することを特徴とするレジスト塗布方法。
【0017】
[4]上記[3]において、
前記吐出部材は、前記第1の管の内部に前記第2の管を挿入した際に前記第1の管の内面側に位置する前記レジスト液を溜める液溜まり部を有することを特徴とするレジスト塗布方法。
【0018】
[5]内面にフォトレジスト膜を塗布した第1の管の内部に、側面に開孔部を有する第2の管を挿入し、前記開孔部を前記フォトレジスト膜の表面と対向するように配置する工程と、
前記開孔部を通った露光光を前記フォトレジスト膜に照射する工程と、
前記フォトレジスト膜を現像し、レジストパターンを形成する工程と、
電解メッキ法により前記第1の管の内部よりメッキ膜を形成する工程と、
前記レジストパターンを除去する工程と、
を具備することを特徴とする管状物の製造方法。
【0019】
なお、本明細書において「管状物」には管状の医療器具全般を含む。
【0020】
[5−1]内面にフォトレジスト膜を塗布した第1の管の内部に、側面に開孔部を有する第2の管を挿入し、前記開孔部を前記フォトレジスト膜の表面と対向するように配置する工程と、
前記開孔部を通った露光光を前記フォトレジスト膜に照射する工程と、
前記フォトレジスト膜を現像し、レジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクとして前記第1の管をエッチングする工程と、
前記レジストパターンを除去する工程と、
を具備することを特徴とする管状物の製造方法。
【0021】
[5−2]第1の管の内面にフォトレジスト膜を形成する工程と、
側面に開孔部を有する第2の管を前記第1の管内に挿入し、前記開孔部を前記フォトレジスト膜の表面と対向するように配置する工程と、
前記開孔部を通った露光光を前記フォトレジスト膜に照射する工程と、
前記フォトレジスト膜を現像することで、前記第1の管の内面にレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンから露出する前記第1の管の内面上に電解メッキ法によりメッキ膜を形成する工程と、
前記レジストパターンを除去し、前記第1の管を除去する工程と、
を具備することを特徴とする管状物の製造方法。
【0022】
[5−3]第1の管の内面にフォトレジスト膜を形成する工程と、
側面に開孔部を有する第2の管を前記第1の管内に挿入し、前記開孔部を前記フォトレジスト膜の表面と対向するように配置する工程と、
前記開孔部を通った露光光を前記フォトレジスト膜に照射する工程と、
前記フォトレジスト膜を現像することで、前記第1の管の内面にレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクとして前記第1の管をエッチングすることで管状物を形成する工程と、
前記レジストパターンを除去する工程と、
を具備することを特徴とする管状物の製造方法。
【0023】
[6]第1の管の内面に導電膜を形成する工程と、
前記導電膜上にフォトレジスト膜を形成する工程と、
側面に開孔部を有する第2の管を前記第1の管内に挿入し、前記開孔部を前記フォトレジスト膜の表面と対向するように配置する工程と、
前記開孔部を通った露光光を前記フォトレジスト膜に照射する工程と、
前記フォトレジスト膜を現像することで、前記導電膜上にレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンから露出する前記導電膜上に電解メッキ法によりメッキ膜を形成する工程と、
前記レジストパターンを除去し、前記導電膜を除去することで、前記第1の管から前記メッキ膜を離す工程と、
を具備することを特徴とする管状物の製造方法。
【0024】
[6−1]上記[5]、[5−2]及び[6]のいずれか一項において、
前記レジストパターンを除去する工程で得られた前記メッキ膜からなる管状物は医療器具であることを特徴とする管状物の製造方法。
【0025】
[7]第1の管の内面にメッキ膜を形成する工程と、
前記メッキ膜上にフォトレジスト膜を形成する工程と、
側面に開孔部を有する第2の管を前記第1の管内に挿入し、前記開孔部を前記フォトレジスト膜の表面と対向するように配置する工程と、
前記開孔部を通った露光光を前記フォトレジスト膜に照射する工程と、
前記フォトレジスト膜を現像することで、前記第1の管の内面の前記メッキ膜上にレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクとして前記メッキ膜をエッチングすることで、前記第1の管の内面に前記メッキ膜からなるメタルマスクを形成する工程と、
前記メタルマスクをマスクとして前記第1の管をエッチングすることで管状物を形成する工程と、
前記メタルマスクから前記管状物を離す工程と、
を具備することを特徴とする管状物の製造方法。
【0026】
[8]上記[5]、[5−1]乃至[5−3]、[6]、[6−1]及び[7]のいずれか一項において、
前記露光光を前記フォトレジスト膜に照射する際は、前記第1の管または前記第2の管の回転動作と前記第1の管または前記第2の管の長手方向の移動動作と前記露光光の照射のオンとオフを組み合わせて動作させることを特徴とする管状物の製造方法。
【0027】
[9]上記[5]、[5−1]乃至[5−3]、[6]、[6−1]、[7]及[8]のいずれか一項において、
前記露光光を照射する工程は、前記露光光を前記フォトレジスト膜に照射することで、前記フォトレジスト膜に露光パターンを点画で描画する工程であることを特徴とする管状物の製造方法。
【0028】
[10]上記[5]、[5−1]乃至[5−3]、[6]、[6−1]、[7]乃至[9]のいずれか一項において、
前記第2の管内に光導波路、レンズ及び反射ミラーが配置されており、
前記露光光を照射する工程では、前記光導波路によって伝送され、前記光導波路から出射された前記露光光は、前記レンズによって集光され、前記反射ミラーによって反射され、前記開孔部を通って前記フォトレジスト膜に照射されることを特徴とする管状物の製造方法。
【0029】
[10−1]上記[10]において、
前記レンズは、ボールレンズ、シリンドリカルレンズ、ドラムレンズ、フレネルレンズ、半球レンズ、凸レンズ、凹レンズ、屈折率分布レンズ及びそれらを組み合わせたレンズのいずれかであることを特徴とする管状物の製造方法。
【0030】
[11]上記[5]、[5−1]乃至[5−3]、[6]、[6−1]、[7]乃至[9]のいずれか一項において、
前記第2の管内に光導波路及び集光ミラーが配置されており、
前記露光光を照射する工程では、前記光導波路によって伝送され、前記光導波路から出射された前記露光光は、前記集光ミラーによって集光されて反射され、前記開孔部を通って前記フォトレジスト膜に照射されることを特徴とする管状物の製造方法。
【0031】
[12]上記[10]、[10−1]及び[11]のいずれか一項において、
前記光導波路を前記第2の管の長手方向に移動させる移動機構を有することを特徴とする管状物の製造方法。
上記の管状物の製造方法によれば、前記第1の管内面で焦点を結ぶ露光光のフォーカスを可変とすることができる。
【0032】
[12−1]上記[12]において、
前記移動機構により前記光導波路を移動させながら前記露光光を前記フォトレジスト膜に照射することを特徴とする管状物の製造方法。
上記の管状物の製造方法によれば、線状パターンを露光する際に露光光の焦点位置を連続的に変化させることで太さが連続的に異なる線状パターンを描画することができる。
【0033】
[12−2]上記[11]、[12]及び[12−1]のいずれか一項において、
前記光導波路は、光ファイバーまたはフォトニック結晶を用いた光導波路であることを特徴とする管状物の製造方法。
【0034】
[12−3]上記[5]、[5−1]乃至[5−3]、[6]、[6−1]、[7]乃至[10]、[10−1]、[11]、[12]、[12−1]及び[12−2]のいずれか一項
前記露光光は、レーザー光またはLED光であることを特徴とする管状物の製造方法。
【0035】
[13]上記[5]、[5−1]乃至[5−3]、[6]、[6−1]、[7]乃至[10]、[10−1]、[11]、[12]、[12−1]乃至[12−3]のいずれか一項において、
前記第1の管は、枝状に分岐した管形状または端部の径が異なる管形状を有することを特徴とする管状物の製造方法。
【0036】
[14]上記[5]、[5−1]乃至[5−3]、[6]、[6−1]、[7]乃至[10]、[10−1]、[11]、[12]、[12−1]乃至[12−3]、[13]のいずれか一項において、
前記フォトレジスト膜を形成する工程は、
前記第1の管の内部に先端に吐出部材を備えた第3の管を挿入し、
前記第3の管にレジスト液を供給し、前記吐出部材から前記レジスト液を吐出させながら、前記第3の管を前記第1の管から引き出しつつ前記第1の管を回転させることで、前記第1の管の内面に前記レジスト液からなるレジスト膜を塗布し、
前記レジスト膜をベークすることで前記第1の管の内面上に前記フォトレジスト膜を形成する工程であることを特徴とする管状物の製造方法。
【0037】
[15]上記[14]において、
前記吐出部材は、前記第1の管の内部に前記第3の管を挿入した際に前記第1の管の内面側に位置する前記レジスト液を溜める液溜まり部を有することを特徴とする管状物の製造方法。
【0038】
[16]上記[5]、[5−1]乃至[5−3]、[6]、[6−1]、[7]乃至[10]、[10−1]、[11]、[12]、[12−1]乃至[12−3]、[13]乃至[15]のいずれか一項において、
前記管状物はステントであることを特徴とする管状物の製造方法。
【0039】
[17]上記[5]、[5−1]乃至[5−3]、[6]、[6−1]、[7]乃至[10]、[10−1]、[11]、[12]、[12−1]乃至[12−3]、[13]乃至[16]のいずれか一項において、
前記露光光は、レーザー光またはLED光であることを特徴とする管状物の製造方法。
【0040】
[18]人体の管状の部分を管腔内部から広げるためのステントであって、
前記ステントは、電解メッキ法により形成されたメッキ膜からなることを特徴とするステント。
【0041】
[19]上記[18]において、
前記ステントは、
内面にフォトレジスト膜を塗布した第1の管の内部に、側面に開孔部を有する第2の管を挿入し、前記開孔部を前記フォトレジスト膜の表面と対向するように配置する工程と、
前記開孔部を通った露光光を前記フォトレジスト膜に照射する工程と、
前記フォトレジスト膜を現像し、レジストパターンを形成する工程と、
電解メッキ法により前記第1の管の内部よりメッキ膜を形成する工程と、
前記レジストパターンを除去する工程を経て得られた当該メッキ膜からなる管状物であることを特徴とするステント。
【0042】
[20]上記[18]において、
前記ステントは、
側面に開孔部を有する第2の管を前記第1の管内に挿入し、前記開孔部を前記フォトレジスト膜の表面と対向するように配置する工程と、
前記開孔部を通った露光光を前記フォトレジスト膜に照射する工程と、
前記フォトレジスト膜を現像することで、前記第1の管の内面にレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンから露出する前記第1の管の内面上に電解メッキ法によりメッキ膜を形成する工程と、
前記レジストパターンを除去し、前記第1の管を除去する工程を経て得られた当該メッキ膜からなる管状物であることを特徴とするステント。
【0043】
[21]上記[18]において、
前記ステントは、
第1の管の内面に導電膜を形成する工程と、
前記導電膜上にフォトレジスト膜を形成する工程と、
側面に開孔部を有する第2の管を前記第1の管内に挿入し、前記開孔部を前記フォトレジスト膜の表面と対向するように配置する工程と、
前記開孔部を通った露光光を前記フォトレジスト膜に照射する工程と、
前記フォトレジスト膜を現像することで、前記導電膜上にレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンから露出する前記導電膜上に電解メッキ法によりメッキ膜を形成する工程と、
前記レジストパターンを除去し、前記導電膜を除去することで、前記第1の管から前記メッキ膜を離す工程を経て得られた当該メッキ膜からなる管状物であることを特徴とするステント。
【0044】
[22]人体の管状の部分を管腔内部から広げるためのステントであって、
前記ステントは、第1の管を内面側からウェットエッチングにより加工したものであり、
前記ウェットエッチングによる加工面がテーパー形状を有することを特徴とするステント。
【0045】
[23]上記[22]において、
前記ステントは、
内面にフォトレジスト膜を塗布した第1の管の内部に、側面に開孔部を有する第2の管を挿入し、前記開孔部を前記フォトレジスト膜の表面と対向するように配置する工程と、
前記開孔部を通った露光光を前記フォトレジスト膜に照射する工程と、
前記フォトレジスト膜を現像し、レジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクとして前記第1の管をウェットエッチングすることで管状物を形成する工程と、
前記レジストパターンを除去する工程を経て得られた前記管状物であることを特徴とするステント。
【0046】
[24]上記[22]において、
前記ステントは、
第1の管の内面にフォトレジスト膜を形成する工程と、
側面に開孔部を有する第2の管を前記第1の管内に挿入し、前記開孔部を前記フォトレジスト膜の表面と対向するように配置する工程と、
前記開孔部を通った露光光を前記フォトレジスト膜に照射する工程と、
前記フォトレジスト膜を現像することで、前記第1の管の内面にレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクとして前記第1の管をウェットエッチングすることで管状物を形成する工程と、
前記レジストパターンを除去する工程を経て得られた前記管状物であることを特徴とするステント。
【0047】
[25]上記[22]において、
前記ステントは、
第1の管の内面にメッキ膜を形成する工程と、
前記メッキ膜上にフォトレジスト膜を形成する工程と、
側面に開孔部を有する第2の管を前記第1の管内に挿入し、前記開孔部を前記フォトレジスト膜の表面と対向するように配置する工程と、
前記開孔部を通った露光光を前記フォトレジスト膜に照射する工程と、
前記フォトレジスト膜を現像することで、前記第1の管の内面の前記メッキ膜上にレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクとして前記メッキ膜をエッチングすることで、前記第1の管の内面に前記メッキ膜からなるメタルマスクを形成する工程と、
前記メタルマスクをマスクとして前記第1の管をウェットエッチングすることで管状物を形成する工程と、
前記メタルマスクから前記管状物を離す工程を経て得られた前記管状物であることを特徴とするステント。