【実施例】
【0021】
以下、本発明を図示の実施例に基づいて具体的に説明する。なお、説明にあたっては、回転ドラム型処理機の一例である回転ドラム型乾燥機Dから説明し、その後、堰構造6について説明する。また、図示の便宜上、排出口16に対して一個所にのみ可動堰板を示す場合もあれば、複数個所に示す場合もある。
【0022】
回転ドラム型乾燥機Dは、一例として
図1(a)・(b)に示すように、円筒状を成す回転ドラム1と、この回転ドラム1内に設けられる破砕撹拌装置2とを具えて成る。また、回転ドラム1の投入側(被処理物Wの投入側)には、回転ドラム1内に熱風を送り込む熱風炉3と、回転ドラム1内に被処理物Wを供給するための投入ホッパー4が設けられる。また、回転ドラム1の排出側には、製品W1となった被処理物Wを取り出すための製品スクリュー5と、本発明に係る堰構造6が設けられる。
なお、被処理物Wとしては、汚泥、畜糞(鶏糞)、果実(ミカン)の搾り粕などが挙げられる。また、本明細書では、このような被処理物Wに適宜の処理を施して得られるものを製品W1と称しており、ここでは乾燥品が製品W1となる。
以下、回転ドラム型乾燥機Dの各構成部材について更に説明する。
【0023】
まず回転ドラム1について説明する。
回転ドラム1は、固定設置される不図示の支持機枠に対して、ドラム本体10が回転自在に支持されて成るものである。ここでドラム本体10には、被処理物Wの投入側から製品(乾燥品)W1の排出側に向かって緩やかな下り勾配を付与することが可能である。
またドラム本体10の排出側は、出口フード12で覆われており(上記
図7参照)、前記製品スクリュー5は、当該出口フード12の下方に設けられる。また出口フード12の上部には、排ガス出口13が形成され、前記熱風炉3から送り込まれた熱風が、ドラム本体10内で作用(ここでは乾燥作用)を終えた後、排ガス出口13から排出されるようになっている。因みに、図中符号31は、熱風炉3からの熱風をドラム本体10内に効率的に移送すべく、投入側に設けられた熱風案内板である。
なお、出口フード12を構成する壁自体の内部には、一例として
図2(b)に示すように、断熱材が充填されることが好ましく、これにより乾燥処理された製品W1に急激な温度変化を与えることがないようにしている。
【0024】
また回転ドラム1の内周面には、ドラム内側に突出するリフター14が設けられるものであり、以下、このリフター14について説明する。
リフター14は、ドラム本体10内に投入された被処理物Wを、ドラム内周底部からドラム内周上部まで運ぶ(持ち上げる)作用を担い、ここでは一例として
図1(b)に併せ示すように、ドラム内周面から内側(中心)に向かって立設状態に形成される。また、ドラム中心側を向くリフタ−14の先端部は、適宜屈曲状に形成され、これによりリフター14で上方まで持ち上げた被処理物Wを、ドラム内側上部からほぼ同じ位置(破砕撹拌装置2)に落下させるようにしている。
【0025】
なお、図中符号15は、被処理物Wをドラム本体10内に投入する投入口であり、符号16は、このものが適宜、乾燥され、製品(乾燥品)W1となって排出される排出口である。また、図中符号15E・16Eは、各々、ドラム本体10の投入側端部と排出側端部である。
更に、排出側端部16Eには、ドラム本体10内の被処理物Wの滞留量を調整する堰構造6が設けられるものであり、これについては後述する。
【0026】
次に、ドラム本体10内に設けられる破砕撹拌装置2について説明する。
破砕撹拌装置2は、上記リフター14から落とされる被処理物Wを撹拌・破砕する作用を担うものであり、一例として
図1(a)・(b)に示すように、回転ドラム1の軸方向(長手方向)に沿って設けられる破砕撹拌軸21と、この破砕撹拌軸21の複数個所から放射状に配設される破砕撹拌翼22とを具えて成る。ここで破砕撹拌軸21の同一個所から放射状に配設される破砕撹拌翼22は、一例として
図1(b)に示すように、120度ずつの間隔で配設されるものであり(いわゆる三等配)、個々の翼部は破砕撹拌軸21から放射状に伸びる一本の径方向バー221に対し、ドラムの長手方向に沿う比較的短寸の軸方向ロッド222を複数(ここでは四本)取り付けて成るものである。
なお、当該破砕撹拌軸21は、一例として
図1(b)に併せ示すように、回転ドラム1の中心(軸心)から偏心した位置に設定され、これはリフター14から落下させる被処理物Wをほぼ全て破砕撹拌装置2(破砕撹拌翼22)に当てるようにするためである。また破砕撹拌軸21は、稼動中、回転ドラム1よりも高速で回転するように設定される。
【0027】
更にドラム本体10の排出側端部16E(排出口16)には、上述したように、ドラム内に滞留する被処理物Wの量(滞留量)を調整する堰構造6が設けられ、ここを覆うように出口フード12が設けられる(
図2(b)参照)。つまり、堰構造6を含め、排出口16全体が出口フード12によって被覆されており、このため従来は回転ドラム1の外側から堰構造6の開閉操作を行うことができず、回転ドラム1を停止させた後、冷却や換気などを行ってから、作業者が出口フード12に設けられた不図示の扉部から出口フード12(処理機)内に入り、直接、手作業で堰高さ調整ブロックBを脱着して、堰の高さ(塞き止め高さ)を変更調整していた(
図7参照)。
なお、上記堰構造6は、回転ドラム1の排出側端部16Eに設けられ、回転ドラム1と共に回転するように構成される。以下、この堰構造6について更に説明する。
【0028】
堰構造6は、一例として
図1(c)に示すように、可動堰板7と固定堰板8とを具えて成り、固定堰板8に対して可動堰板7を移動(例えば回転ドラム1の軸方向や周方向に沿った摺動)させることにより、排出口16を開閉するように構成される。
なお、回転ドラム1の排出口16は、例えば上記
図1(c)に示すように、排出側端部16Eに複数、放射状に設けられるものの、その全ての排出口16に可動堰板7を設ける必要はなく、例えば一個所の排出口16に可動堰板7を設けるようにしても構わない。
また、固定堰板8は、例えば上記
図1(c)に併せ示すように、ドラム本体10の排出側端部16Eにおいてドラム内側に立ち上がる周状の立壁として形成される。そして、排出口16は、この立壁(固定堰板8)の塞き止め高さを部分的に低くする、もしくは塞き止め高さを部分的に0にする(立壁を部分的に切除する)ように形成されるものである。例えば
図1(c)の可動堰板7に対応する排出口16の立壁の塞き止め高さは、他の三個所の排出口16の立壁の塞き止め高さより低く設定される。因みに、ドラム本体10内に滞留する被処理物Wの全量抜き出し(製品W1の全量排出)を行う場合には、排出口16に立壁が存在せず、実質的な堰高さが0となるように形成すること(当該部分の立壁を全て切除してしまうこと)が好ましい(
図2(a)の排出口16参照)。
【0029】
次に、回転ドラム1のシール性を確保する構成について説明する。
本発明では、堰構造6及び排出口16が回転ドラム1と共に回転する。このためドラム本体10と出口フード12との間でシール性を確保する必要があり、このための部材が、例えば
図2(b)に示すドラムシール121である。すなわち、ドラムシール121は、本図に示すように一例として断面が略L字状を成し、ドラム本体10の外周側に巻回状に設けられ、略L字状断面の一端がドラム本体10と常に接触するように取り付けられ、ここで回転ドラム1のシール性を確保する。また、ドラムシール121の略L字状断面のもう一端は、シール取付座122を介して支持機枠側の出口フード12に取り付けられる。
なお、ドラム本体10の外周側には、通常、断熱材が巻回されるが、上記
図2(b)等では、この断熱材を省略した図により示している。
【0030】
次に、回転ドラム1内に投入された被処理物Wの態様について説明する。
回転ドラム1内に投入された被処理物Wは、一例として
図1(a)・(b)に示すように、ドラム本体10内に設けられたリフター14によって、ドラム内周底部からドラム内周上部へ持ち上げられ、熱風と接触しながらドラム内周底部へ落下する運動を繰り返し受ける。
なお、通常、回転ドラム1に投入される被処理物Wは、比較的、大きな塊状を呈するが、上記のようにリフター14から落下する間に、ドラム本体10内で高速回転する破砕撹拌装置2で細かく破砕され、この破砕により被処理物Wは乾燥表面が更新され、更に熱風と接触しながらドラム内周底部へ落下し、再びリフター14によって、ドラム内周上部に持ち上げられる。
被処理物Wは、このような作用を繰り返し受けることで、徐々に平均水分が低下し、また次第に小塊となり、更に破砕されて乾燥表面積も増し、微細粒化する。
そして、被処理物Wは、所望の水分値及び大きさの製品W1となって、堰構造6を具えた排出口16から排出される。
【0031】
以下、堰構造6(特に可動堰板7)について詳細に説明する。なお説明にあたっては、排出口16を開閉するにあたり、可動堰板7をドラム本体10の軸方向(長手方向)に摺動させるようにした形態を実施例1とし、可動堰板7をドラム本体10の周方向に摺動させるようにした形態を実施例2として説明する。また、回転ドラム1(排出側端部16E)の側周面に、排出口16としての開口部を形成し、これをゲート(シャッタ)で開閉する形態を実施例3として説明する。なお、実施例3のようなゲート式(シャッタ式)のタイプも、当該ゲートが実質的に可動堰板7の作用を担うことから、本明細書ではこのゲート式のタイプも堰構造6に包含する。
以下、各実施例において堰構造6を区別する場合には、実施例1の堰構造を「6A」、実施例2の堰構造を「6B」、実施例3の堰構造を「6C」とする。また、これに伴い実施例1の可動堰板を「7A」、実施例2の可動堰板を「7B」、実施例3の可動堰板を「7C」とする。
【0032】
実施例1の堰構造6Aは、上述したように可動堰板7Aを回転ドラム1の軸方向に沿って摺動させて排出口16を開閉する形態であり、当該堰構造6Aにおける可動堰板7Aは、一例として
図1(c)・
図2に示すように、閉鎖時に排出口16を実質的に覆う堰板本体71と、堰板本体71を開閉操作するための操作端72と、これらを接続する連結体73とを具えて成り、本発明では、可動堰板7を回転ドラム1に取り付けた状態で、操作端72が出口フード12の外部に具える(出現する)ように形成し、回転ドラム1の外側から可動堰板7の開閉操作が行えるようにしたことが大きな特徴である。
ここで堰板本体71は、回転ドラム1の排出側端面(固定堰板8)に沿う平板状に形成され、また連結体73は、ドラム本体10の外周面に沿う曲板状に形成される。更に、操作端72は、連結体73の端部(堰板本体71に対向する端部)から、回転ドラム1の径方向に突出するフラット片状に形成される。
【0033】
以下、可動堰板7Aの軸方向摺動を円滑に行わせるための構成や可動堰板7Aの固定手法について説明する。
まず、回転ドラム1には、一例として
図2に示すように、排出口16付近の側周面において、径方向(回転ドラム1の外周方向)に突出するオネジ(ボルト)62Bが設けられ、このものは出口フード12等に覆われず、外部(ドラム外側)に露出するように設けられる。そして、このオネジ62Bには、例えばアイナット等のメネジ62Nが螺合され、これは可動堰板7Aを適宜の位置で固定するためのものである。ここでオネジ62Bとメネジ62Nを締結手段62と総称する。もちろんメネジ62Nとしては、上記アイナットの他に、蝶ナットや通常の六角ナット等を適用することも可能である。
また、ドラム本体10の排出側端面(固定堰板8)には、回転ドラム1の軸方向に突出する軸方向ガイドピン63が立設され、このものは一例として
図2(a)に示すように、排出口16を挟むように形成される(ここでは二個所)。なお、この軸方向ガイドピン63は、堰板本体71(後述する孔711)に挿通され、可動堰板7Aを軸方向に摺動させた際に、常にこの挿通状態が維持される長さ寸法に形成されることが好ましい(安定的な摺動の実現)。
【0034】
次に、このような軸方向ガイドピン63やオネジ62Bに対応して形成される可動堰板7A側の構成について説明する。
堰板本体71には、軸方向ガイドピン63が挿通される孔(円孔)711が開口される。また連結体73には、オネジ62Bが挿通される孔(長孔)732が開口される。なお、ここでの長孔732は、長軸方向が回転ドラム1の軸方向になるように設定され、これは挿通状態を維持したまま可動堰板7Aを軸方向に摺動させるためである(安定的な摺動の実現)。
【0035】
次に、可動堰板7Aの開閉態様について説明する。なお、説明にあたっては、可動堰板7A(堰板本体71)で排出口16の開口を塞いだ状態(堰板本体71が固定堰板8に近接して接触する「閉」の状態であり、以後「全閉状態」と称することがある)を初期状態として説明する。
初期状態では、堰板本体71を回転ドラム1の固定堰板8にほぼ密着させ、排出口16を堰板本体71で閉鎖した状態とする(全閉)。この際、ドラム本体10の排出側端面(固定堰板8)に設けられた軸方向ガイドピン63は、堰板本体71に形成された円孔711に最も深く挿通した状態となる。なお、上述したように、軸方向ガイドピン63の長さ寸法(いわゆる首下長さ)は、可動堰板7Aを軸方向に摺動させる寸法以上に形成されることが好ましく、これにより可動堰板7Aを排出口16の開口から最も離反させた状態にしても(すなわち全開状態にしても)、軸方向ガイドピン63の円孔711への挿通状態が維持される。
【0036】
また初期状態では、可動堰板7Aの連結体73を回転ドラム1の外周面に沿うように当接させるものであり、この際、ドラム本体10の外周面に設けられたオネジ62Bは、連結体73に形成された長孔732に挿通した状態となる。これにより可動堰板7Aは、長孔732に規制され、軸方向ガイドピン63と円孔711の挿通状態の作用と相まって軸方向の摺動のみが許容されるようになる。
なお、オネジ62Bには、アイナット等のメネジ62Nが締め付けられるものであり、これにより可動堰板7Aが排出口16を閉鎖した状態で固定される。もちろん、アイナット等のメネジ62N(締結手段62)は、出口フード12やドラムシール121等の外部に設けられており、このために回転ドラム1の外側からメネジ62Nを緩める操作や締め付ける操作が行えるものである。
【0037】
次に、このような初期状態(全閉状態)から、可動堰板7Aを軸方向に摺動させ、排出口16を開放させる態様について説明する。
これには、まず回転ドラム1を停止させ、その後、アイナット等のメネジ62Nを緩め、可動堰板7Aを摺動可能な状態とする。
次いで、可動堰板7Aの操作端72を、回転ドラム1の外側から出口フード12側(処理機の内側)に押し込むようにする(回転ドラム1の軸方向に沿って押し込む)。これは既に述べたように回転ドラム1の排出側端部16Eが全体的に出口フード12やドラムシール121等によって覆われ、操作端72が回転ドラム1の外部に露出するためである。
そして、このような押し込み動作により、可動堰板7A全体が、排出口16を開放する方向、換言すれば堰板本体71が排出口16(固定堰板8)から離反する方向に摺動し、排出口16と堰板本体71との間に隙間が形成されるものであり(
図1(c)参照)、「開」の状態となる。なお、最も離反した状態を以後「全開」と称することがある。
このようにして可動堰板7A(堰板本体71)を適宜摺動させた後、アイナット等のメネジ62Nをオネジ62Bに締め付け、可動堰板7Aが移動しないように固定する。そして、この状態で、例えば回転ドラム1を低速回転させることで、上記隙間から回転ドラム1内の製品W1(被処理物W)が排出される。
なお、可動堰板7Aを摺動させる際、オネジ62Bは対応する長孔732内に収まった状態を維持するため、可動堰板7Aを安定して摺動させることができる。
【0038】
因みに、この実施例1では、可動堰板7A(堰板本体71)を排出口16に対し離反方向に摺動させると、排出口16と堰板本体71との間に排出用の隙間が形成されるものであり、排出口16の開口面と堰板本体71とは常に平行に位置するため(正面に位置するため)、上記隙間を閉鎖または開放のいずれか(排出口16を全閉または全開のいずれか)を単純に選択する運転の場合に適すると考えられる。もちろん、このような開閉形態(排出口16の正面に位置する堰板本体71を排出口16に対して接近・離反させる開閉形態)であっても、上記隙間が大きい程、排出量も多くなる傾向はあり、従って当該隙間の大きさによって排出量の調整を行うことも可能である。
【0039】
具体的には、例えば
図3(a)− (i)に示すように、堰板本体71にドラム内側に張り出す突出体712を設けることが可能である。なお、ここでは
図3(a)−(ii)・(iii) の平面断面図に示すように、突出体712をドラム内側に向かって窄まるようなテーパ状の立体(言わば角すい台状)に形成し、堰板本体71を軸方向に摺動させた際、突出体712が排出側端面(固定堰板8)と干渉しないように考慮している。ここで
図3(a)−(ii)は排出口16を閉鎖している状態であり、 (iii)は排出口16を開放している状態である。
このような堰構造6であれば、可動堰板7Aを徐々に開放させて行き、隙間(堰板本体71と固定堰板8との隙間)が大きくなっても、突出体712の存在により製品W1は排出口16を通過し難くなるが(排出されにくくなるが)、その分、製品W1は少量ずつ排出されることになり、このため可動堰板7Aの摺動量つまり隙間の大きさによって、製品W1の排出量をより細かく調整し得るものである。
あるいは、図示はしないが、開口面積の異なる排出口16、すなわち開口の幅方向の距離が異なる排出口16を幾つか設け、それぞれの排出口16に対してそれぞれの可動堰板7Aを設けることにより、望む排出量に適した可動堰板7Aを選択して排出に利用することで排出量の調整を行うことも可能である。特に、可動堰板7Aを操作するためにドラムを停止させる時間を極力短時間とするためには、可動堰板7Aを目視選択し、手早く全開状態にセットできる本方法が適している。
【0040】
更にまた、回転ドラム1の外周面には、一例として
図3(b)に示すように、断面L字状のスライドガイド(摺動ガイド)81を設けることが可能であり、これにより可動堰板7Aの軸方向スライドを、より確実に行わせることができる。なお、この場合、このスライドガイド81によって可動堰板7Aの摺動が規制され、軸方向の摺動のみが許容されるため、上記軸方向ガイドピン63は省略できる(固定用の締結手段62(オネジ62Bとメネジ62N)は必要)。
また、例えば上記
図3(b)に併せ示すように、可動堰板7Aの摺動量を示す目盛82を、回転ドラム1の外周面に形成しておくことが好ましい。これにより可動堰板7Aの移動量、つまり上記隙間の間隔を回転ドラム1の外側から把握することができ、排出量の調整が、ドラム外側から、より一層、行い易くなるものである。もちろん、このような目盛82を設けることは、後述する実施例2・3においても排出口16の開閉量を外側から把握する上で極めて有効である。
【0041】
また可動堰板7A(連結体73)は、回転ドラム1の外周面からは突出した状態で存在するものであり、ドラムシール121は回転ドラム1の外周面とともに連結体73にも接することになる。
このようなことから、例えば
図4に示すように、可動堰板7が存在しないドラム外周部に、連結体73の板厚分程度の湾曲板83を、予め溶接等しておくことが好ましい。もちろん、このような湾曲板83は、排出側端部16Eにおいてドラムシール121が巻回される部分のみに設ければよい。この湾曲板83と、回転ドラム1の外周面に沿う形で形成された湾曲した連結体73により、これらが成す外周面はほぼ凹凸のない状態となるので、ドラムシール121によりシール性が向上することになる。
なお、ドラム本体10には、上述したように断熱材が巻回されることがあり、その場合には、例えば可動堰板7Aとドラムシール121との間に当該断熱材が介在することになり、この断熱材も回転ドラム1と共に回転する。また、この場合、例えばアイナット等のメネジ62Nの設置位置には、この断熱材にアクセス用の孔などが開けられ、外部から当該メネジ62Nの操作が行えるように構成される。
【0042】
次に、実施例2の堰構造6Bについて説明する。
実施例2の堰構造6Bは、上述したように可動堰板7Bをドラム本体10の周方向に摺動させて排出口16を開閉する形態であり、これにより堰の作用高さ(堰板本体71による塞き止め高さ)を変更するものである。
【0043】
以下、実施例1との相違について説明する。
まず可動堰板7Bについては、堰板本体71の形状が異なるものであり、一例として
図5(a)・(b)に示すように、回転ドラム1の排出側端部16Eから視て、堰板本体71の作用高さを徐々に異ならせるように傾斜部74を形成する。これにより可動堰板7Bを周方向に動かした際、堰の作用高さ、つまり堰板本体71が排出口16を遮る広さを変更できるようにしている。
なお、上記
図5では一例として、堰板本体71の幅方向中央部に傾斜部74を設け、その両側に排出側端部16Eから視て略等脚台形状を成す円弧状部を設ける。すなわち、傾斜部74の一方側に固定堰板8の最低堰高を有する円弧状部75を設け、もう一方側に固定堰板8の最高堰高を有する円弧状部76を設けている。
また連結体73に形成される長孔732(締結手段62の挿通用)についても、その形成方向が実施例1とは異なるものであり、具体的には上記
図5(a)に示すように、回転ドラム1の周方向に沿うように長孔732を形成する。因みに、ここでは二つの長孔732を直列状に配置しており、自由に固定位置が選択できるようにしている。
【0044】
また、本実施例2では、例えば
図5(a)・(c)に示すように、可動堰板7B(連結体73)とドラム外周面との間に固定用受材85を設けて、可動堰板7Bの固定を図る。すなわち固定用受材85には、予めメネジ62Nをタッピング加工しておき、この固定用受材85を回転ドラム1の外周側に溶接などで接合しておく。そして、可動堰板7Bを適宜の位置で固定する際に、固定用受材85に可動堰板7B(連結体73)を密着させた後、可動堰板7Bの長孔732を貫通させるようにアイボルトなどのオネジ62Bで上記メネジ62Nに螺合させるものである。
因みに、固定用受材85に形成するメネジ62Nは、回転ドラム1の周方向に沿って複数形成しておくことが好ましく、これにより可動堰板7Bの固定位置をより自由に選択することができる。
なお、固定用のオネジ62B(締結手段62)としては、アイボルトに限定されるものではなく、蝶ボルトや通常の六角ボルトなどを適用することも可能である。もちろん、締結手段62としては実施例1のように回転ドラム1の外周面にボルト(オネジ62B)を立設しておき、このボルトにアイナット(メネジ62N)などを締め付けて可動堰板7Bを固定することも可能である。
【0045】
また、回転ドラム1には、可動堰板7Bを外周側から摺動自在に支持する保持部材86が取り付けられ、この保持部材86によりアイボルト(オネジ62B)を外してしまっても、可動堰板7Bが落下したり、ずり落ちてしまうことが防止できる。
また、この保持部材86は、可動堰板7Bの摺動を許容するスペースを有するため、可動堰板7Bをドラム外周上で周方向にスムーズに摺動させ得るものである。
【0046】
次に、本実施例2における可動堰板7Bの開閉態様について説明する。なお、説明にあたっては、排出口16を可動堰板7Bの傾斜部74で最大限遮蔽した状態が「閉」の状態であり、以後「全閉状態」と称することがあり、この全閉状態から排出口16を開放して行く状況、すなわち「開」の状態について説明する。
可動堰板7Bを開放するには、ここでもまず回転ドラム1を停止させるものであり、その後、可動堰板7Bを固定していたアイボルト等のオネジ62Bを緩め、回転ドラム1の外側から操作端72を操作して、可動堰板7Bを回転ドラム1の周方向に適宜摺動させる。もちろん、このような摺動は、排出口16を遮蔽していた堰板本体71(傾斜部74)を、排出口16が開放される方向に行われ、傾斜部74で排出口16の開口比率を調節した後、オネジ62Bの締め付けにより、可動堰板7Bは固定されるものである。
因みに、本実施例2では、製品W1(被処理物W)の排出時、可動堰板7Aのように常に排出口16の正面に堰板本体71を位置させるのではなく、堰板本体71の摺動によって、傾斜部74が排出口16を遮る面積(換言すれば排出開口面積)を連続的に変更する構造であるため、排出量及び滞留量の調整が実施例1よりも、より行い易いと言える。
また、このようなことから、この実施例2においても、可動堰板7Bの移動距離を示す目盛82を操作端72の近辺に形成しておくことで、回転ドラム1の外部から排出口16の開口比率が把握でき、より一層、排出量及び滞留量の調整が行い易くなるものである。
【0047】
なお、操作端72は、例えば
図5(a)に示すように、連結体73の側部における堰板本体71の反対側に設けることが好ましく、これにより可動堰板7Bを回転ドラム1の周方向に摺動させるにあたり、実施例1と同様に操作端72を押すまたは引く操作で摺動させることができる。
因みに操作端72を、堰板本体71の反対側に設けたのは(堰板本体71から最も離れた位置に設けたのは)、堰板本体71が設けられる排出側は、出口フード12に覆われ、外部から操作できないためである(堰板本体71の反対側がドラム外部に露出するためである)。
【0048】
また、本可動堰板7B及び保持部材86も回転ドラム1の外周面からは突出した状態で存在する。そのため保持部材86の湾曲した外周面と同一な高さとなる湾曲板83を同一の周上に設けることにより、これらが成す外周面はほぼ凹凸のない状態となるので、ドラムシール121によりシール性を向上させることができる。
なお、本実施例2では可動堰板7(堰板本体71(7B))に傾斜部74及び最低堰高を有する円弧状部75を設けたが、これに対して固定堰板8(排出口16)に傾斜部及び最低堰高を有する円弧状部を設ける態様(図示省略)も可能である。
【0049】
次に実施例3の堰構造6Cについて説明する。
実施例3の堰構造6Cは、一例として
図6(a)に示すように、回転ドラム1(排出側端部16E)の側周面に、排出口16としての開口部を形成し、これを可動堰板7C(堰板本体71)としてのゲート(シャッタ式のゲート)で開閉する形態である。すなわち、実施例3の堰構造6Cは、上記
図6(a)に併せ示すように、ゲート作用を担う堰板本体71にも孔(これを堰板孔714とする)を開口しておき、堰板本体71を回転ドラム1の軸方向に摺動させることで、ドラム側周面に開口された排出口16と、堰板本体71に開口された堰板孔714とを重ね合わせ、これにより製品W1の排出を行うものである。もちろん、この場合も排出口16と堰板孔714との重ね合わせ代に応じて排出量の調整が行い得るものである。なお、排出口16と堰板孔714とが重なり合っていない状態が「閉」の状態であり、これらが重なり合って製品W1が排出可能である状態が「開」の状態である。
ここで上記
図6(a)では、排出口16を開閉させるにあたり、堰板本体71を回転ドラム1の軸方向に摺動させるものであるが、堰板本体71は回転ドラム1の周方向に摺動させる構成とすることも可能である。
【0050】
また、本実施例3では、ドラム本体10の側周面に排出口16が形成されるため、当該排出口16の周囲(ドラム本体10の側周面の一部)が、実質的に固定堰板8の作用を担うものである。また、このような構成上、堰板本体71もドラム本体10の側周面に沿って形成され、実施例1・2のような排出側端面に沿う立ち上がり面(実施例1の堰板本体71)は形成されず、連結体73の排出口16側の一部が実質的に堰板本体71の作用を担うものである。なお、本実施例3では、例えば
図6(b)に示すように、横断面視で可動堰板7Cの左右に、断面L字状のスライドガイド81をドラム本体10に設けることにより、可動堰板7Cの軸方向摺動を円滑に行わせることができる。
因みに、回転ドラム1の側周面に開口される排出口16や堰板本体71に開口される堰板孔714は、平面視形状で単なる円形状に開口しても構わないが、四角孔や三角孔とすることもでき、このような形状にすることにより排出量の調整が、より行い易くなる。
また、ドラムシール121と接触する範囲に関しては、
図6(b)に示すように、湾曲板83、スライドガイド81、堰板本体71により成される外周面がほぼ同一の周面となるように、堰板本体71は、スライドガイド81に収まる部分と、そうでない部分とにおいて板厚を変えることによりドラムシール121によるシール性を向上させることができる。なお、これは上記
図3(b)においても同様である。