(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)半導体基板と、前記半導体基板上の絶縁層と、前記絶縁層上の半導体層と、前記半導体層上の第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜、前記半導体層および前記絶縁層を貫通して前記半導体基板に達する溝と、前記溝内に埋め込まれた素子分離領域と、を有する基板を準備する工程、
ここで、前記絶縁層と前記第1絶縁膜と前記素子分離領域とは同じ材料からなり、
(b)前記(a)工程後、前記基板の第1領域の前記第1絶縁膜を覆いかつ前記基板の前記第1領域とは異なる第2領域の前記第1絶縁膜を露出する第1マスク層を形成する工程、
(c)前記(b)工程後、前記第1マスク層をエッチングマスクとして用いて、前記第2領域の前記第1絶縁膜をドライエッチングにより除去して前記第2領域の前記半導体層を露出させる工程、
(d)前記(c)工程後、前記第1マスク層をエッチングマスクとして用いて、前記第2領域の前記半導体層をドライエッチングにより除去して前記第2領域の前記絶縁層を露出させる工程、
(e)前記(d)工程後、前記第1マスク層をエッチングマスクとして用いて、前記第2領域の前記絶縁層をドライエッチングして、前記第2領域の前記絶縁層の厚さを薄くする工程、
(f)前記(e)工程後、前記第1マスク層を除去する工程、
(g)前記(f)工程後、前記第1領域の前記半導体基板に不純物をイオン注入して第1半導体領域を形成し、前記第2領域の前記半導体基板に不純物をイオン注入して第2半導体領域を形成する工程、
(h)前記(g)工程後、前記第1領域の前記第1絶縁膜と前記第2領域の前記絶縁層とをウェットエッチングにより除去して、前記第1領域の前記半導体層と前記第2領域の前記半導体基板とを露出させる工程、
(i)前記(h)工程後、前記第1領域の前記半導体層に第1トランジスタを形成し、前記第2領域の前記半導体基板に第2トランジスタを形成する工程、
を有する、半導体装置の製造方法。
(a)半導体基板と、前記半導体基板上の絶縁層と、前記絶縁層上の半導体層と、前記半導体層上の第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜、前記半導体層および前記絶縁層を貫通して前記半導体基板に達する溝と、前記溝内に埋め込まれた素子分離領域と、を有する基板を準備する工程、
ここで、前記絶縁層と前記第1絶縁膜と前記素子分離領域とは、酸化シリコンからなり、
(b)前記(a)工程後、前記基板の第1領域の前記第1絶縁膜を覆いかつ前記基板の前記第1領域とは異なる第2領域の前記第1絶縁膜を露出する第1マスク層を形成する工程、
(c)前記(b)工程後、前記第1マスク層をエッチングマスクとして用いて、前記第1絶縁膜に比べて前記半導体層がエッチングされにくい条件で、前記第2領域の前記第1絶縁膜をドライエッチングにより除去して前記第2領域の前記半導体層を露出させる工程、
(d)前記(c)工程後、前記第1マスク層をエッチングマスクとして用いて、前記半導体層に比べて前記絶縁層がエッチングされにくい条件で、前記第2領域の前記半導体層をドライエッチングにより除去して前記第2領域の前記絶縁層を露出させる工程、
(e)前記(d)工程後、前記第1マスク層をエッチングマスクとして用いて、前記第2領域の前記絶縁層をドライエッチングして、前記第2領域の前記絶縁層の厚さを薄くする工程、
(f)前記(e)工程後、前記第1マスク層を除去する工程、
(g)前記(f)工程後、前記第1領域の前記半導体基板に不純物をイオン注入して第1半導体領域を形成し、前記第2領域の前記半導体基板に不純物をイオン注入して第2半導体領域を形成する工程、
(h)前記(g)工程後、前記第1領域の前記第1絶縁膜と前記第2領域の前記絶縁層とをウェットエッチングにより除去して、前記第1領域の前記半導体層と前記第2領域の前記半導体基板とを露出させる工程、
(i)前記(h)工程後、前記第1領域の前記半導体層に第1トランジスタを形成し、前記第2領域の前記半導体基板に第2トランジスタを形成する工程、
を有し、
前記(c)工程と前記(d)工程とでは、使用するエッチングガスが相違し、
前記(d)工程と前記(e)工程とでは、使用するエッチングガスが相違し、
前記(d)工程のエッチング条件を用いた場合の前記絶縁層のエッチング速度よりも、前記(e)工程のエッチング条件を用いた場合の前記絶縁層のエッチング速度が大きい、半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0011】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0012】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0013】
(実施の形態)
<半導体装置の製造工程について>
本実施の形態の半導体装置の製造工程を図面を参照して説明する。
図1および
図2は、本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程を示すプロセスフロー図である。
図3〜
図37は、本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図または要部平面図である。なお、
図3〜
図37のうち、
図3〜
図23および
図26〜
図37は要部断面図であり、
図24および
図25は要部平面図である。
【0014】
まず、
図3に示されるように、SOI(SOI:Silicon On Insulator)基板1を用意(準備)する(
図1のステップS1)。
【0015】
SOI基板1は、支持基板としての半導体基板(支持基板)SBと、半導体基板SBの主面上に形成された絶縁層(埋め込み絶縁膜)BXと、絶縁層BXの上面上に形成された半導体層SMと、を有している。
【0016】
半導体基板SBは、絶縁層BXと絶縁層BXよりも上の構造とを支持する支持基板であるが、半導体基板でもある。半導体基板SBは、好ましくは単結晶シリコン基板であり、例えばp型の単結晶シリコンからなる。例えば、1〜10Ωcm程度の比抵抗を有する単結晶シリコンにより、半導体基板SBを形成することができる。半導体基板SBの厚みは、例えば700〜750μm程度とすることができる。絶縁層BXは、好ましくは酸化シリコン膜であり、絶縁層BXの厚さは、例えば10〜30nm程度とすることができる。絶縁層BXが酸化シリコン膜の場合、絶縁層BXはBOX(Buried Oxide)層とみなすこともできる。半導体層SMは、単結晶シリコンなどからなる。例えば、1〜10Ωcm程度の比抵抗を有する単結晶シリコンにより、半導体層SMを形成することができる。支持基板である半導体基板SBの厚さに比べて半導体層SMの厚さは薄く、半導体層SMの厚さは、例えば15〜25nm程度とすることができる。これら半導体基板SB、絶縁層BXおよび半導体層SMにより、SOI基板1が形成されている。
【0017】
なお、SOI基板1は、半導体装置が完成するまでSOI構造が維持される領域(平面領域)であるSOI領域1Aと、後で半導体層SMおよび絶縁層BXが除去されてSOI構造ではなくなる領域(平面領域)であるバルク領域1Bとを有している。SOI領域1Aとバルク領域1Bとは、互いに異なる領域(平面領域)である。また、SOI構造という場合に、絶縁層上の半導体層には、シリコン層(単結晶シリコン層)を好適に用いることができるが、これに限定されるものではなく、シリコン単結晶以外の半導体層を用いる場合もあり得る。
【0018】
また、SOI基板1において、半導体基板SBの主面のうち、絶縁層BXに接する側の主面を半導体基板SBの上面と称し、半導体基板SBの上面とは反対側の主面を、半導体基板SBの裏面と称することとする。また、SOI基板1において、絶縁層BXの主面のうち、半導体基板SBに接する側の主面を絶縁層BXの下面と称し、半導体層SMに接する側の主面を絶縁層BXの上面と称し、絶縁層の上面と下面とは、互いに反対側の面である。また、半導体層SMの主面のうち、絶縁層BXに接する側の主面を半導体層SMの下面と称し、半導体層SMの下面とは反対側の主面を、半導体層SMの上面と称する。
【0019】
SOI基板1の製造方法に制限はないが、例えば、SIMOX(Silicon Implanted Oxide)法で製造することができる。SIMOX法では、シリコン(Si)からなる半導体基板の主面に高いエネルギーでO
2(酸素)をイオン注入し、その後の熱処理でSi(シリコン)と酸素とを結合させ、半導体基板の表面よりも少し深い位置に酸化シリコンからなる絶縁層BXを形成する。この場合、絶縁層BX上に残存するシリコン(Si)の薄膜が半導体層SMとなり、絶縁層BX下の半導体基板が半導体基板SBとなる。また、貼り合わせ法によりSOI基板1を形成してもよい。貼り合わせ法では、例えば、シリコン(Si)からなる第1半導体基板の表面を酸化して絶縁層BXを形成した後、その第1半導体基板にシリコン(Si)からなる第2半導体基板を高温下で圧着することにより貼り合わせ、その後、第2半導体基板を薄膜化する。この場合、絶縁層BX上に残存する第2半導体基板の薄膜が半導体層SMとなり、絶縁層BX下の第1半導体基板が半導体基板SBとなる。更に他の手法、例えばスマートカットプロセスなどを用いて、SOI基板1を製造することもできる。
【0020】
次に、
図4に示されるように、SOI基板1の主面上に、すなわち半導体層SMの上面上に、絶縁膜(パッド絶縁膜)ZM1を形成する(
図1のステップS2)。絶縁膜ZM1は、絶縁層BXと同じ材料からなる。絶縁層BXが酸化シリコンからなる場合は、絶縁膜ZM1も酸化シリコンからなる。絶縁膜ZM1は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法などを用いて形成することができる。絶縁膜ZM1の形成膜厚は、後述のステップS11を終了した段階のバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さとほぼ同じ値に設定しておくことが好ましく、例えば3〜15nm程度とすることができる。このため、絶縁膜ZM1の形成膜厚は、絶縁層BXの厚さよりも薄いことが好ましい。
【0021】
次に、絶縁膜ZM1上に絶縁膜ZM2を形成する(
図1のステップS3)。絶縁膜ZM2は、絶縁膜ZM1とは異なる材料からなる。絶縁層BXおよび絶縁膜ZM1が酸化シリコンからなる場合は、絶縁膜ZM2は窒化シリコンからなることが好ましい。また、絶縁膜ZM2は、後述の絶縁膜ZM3とも異なる材料からなる。絶縁膜ZM2は、例えばCVD法などを用いて形成することができる。絶縁膜ZM2の形成膜厚は、例えば80〜120nm程度とすることができる。
【0022】
ここまでの工程(ステップS1〜S3)により、半導体基板SBと、半導体基板SB上の絶縁層BXと、絶縁層BX上の半導体層SMと、半導体層SM上の絶縁膜ZM1と、絶縁膜ZM1上の絶縁膜ZM2と、を有する基板が準備される。
【0023】
次に、
図5に示されるように、溝TRを形成する(
図1のステップS4)。溝TRは、後述の素子分離領域STを形成するための溝であり、すなわち、素子分離用の溝である。
【0024】
溝TRは、次のようにして形成することができる。すなわち、まず、絶縁膜ZM2上にフォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターン(図示せず)を形成する。このフォトレジストパターンは、溝TR形成予定領域の絶縁膜ZM2を露出し、それ以外の領域の絶縁膜ZM2を覆うようなパターン(平面形状)を有している。それから、このフォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて絶縁膜ZM2をエッチング(好ましくはドライエッチング)してパターニングする。これにより、溝TR形成予定領域の絶縁膜ZM2が選択的に除去される。それから、このフォトレジストパターンを除去してから、絶縁膜ZM2をエッチングマスク(ハードマスク)として用いて、絶縁膜ZM1、半導体層SM、絶縁層BXおよび半導体基板SBをエッチング(好ましくはドライエッチング)することにより、溝TRを形成することができる。
【0025】
溝TRは、絶縁膜ZM2、絶縁膜ZM1、半導体層SMおよび絶縁層BXを貫通し、溝TRの底面(底部)が半導体基板SBに到達している。すなわち、半導体基板SBの厚みの途中に溝TRの底面が位置している。このため、溝TRの底面は、絶縁層BXの下面よりも下方に位置しており、溝TRの底面では、半導体基板SBが露出されている。溝TRの深さは、例えば250〜300nm程度とすることができる。
【0026】
次に、
図6に示されるように、絶縁膜ZM2上に、溝TR内を埋めるように、絶縁膜ZM3を形成する(
図1のステップS5)。絶縁膜ZM3は、素子分離領域ST形成用の絶縁膜であり、酸化シリコン膜であることが好ましい。このため、絶縁膜ZM3と絶縁膜ZM1と絶縁層BXとは、同じ材料からなり、好ましくは、いずれも酸化シリコンからなる。絶縁膜ZM3は、CVD法などを用いて形成することができる。絶縁膜ZM3の形成膜厚は、溝TR内を絶縁膜ZM3で埋めるのに十分な膜厚に設定することが好ましい。
【0027】
次に、
図7に示されるように、絶縁膜ZM3をCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法などを用いて研磨することにより、溝TRの外部の絶縁膜ZM3を除去し、溝TR内に絶縁膜ZM3を残存させる(
図1のステップS6)。これにより、
図7に示されるように、溝TRに埋め込まれた絶縁膜ZM3からなる素子分離領域STを形成することができる。素子分離領域STは、溝TR内に形成される。
【0028】
ステップS6の研磨処理の際、絶縁膜ZM2は研磨ストッパ膜として機能し得る。すなわち、ステップS6では、絶縁膜ZM3に比べて絶縁膜ZM2が研磨されにくい(エッチング速度が小さくなる)条件で研磨処理を行うことで、絶縁膜ZM2を研磨ストッパ膜として機能させることができる。絶縁膜ZM2を研磨ストッパ膜として機能させることができるように、絶縁膜ZM2は、絶縁膜ZM3とは異なる材料により形成する必要がある。絶縁膜ZM3が酸化シリコンからなる場合は、絶縁膜ZM2は、窒化シリコンからなることが好ましい。ステップS6の研磨処理を終了した段階では、絶縁膜ZM2の上面が露出し、溝TR内に素子分離領域STが埋め込まれた状態になっているが、
図7にも示されるように、素子分離領域STの上面は、絶縁膜ZM2の上面とほぼ同じ高さ位置にある。
【0029】
次に、
図8に示されるように、素子分離領域STの上面をウェットエッチングすることにより、素子分離領域STの上面の高さ位置を低くする(
図1のステップS7)。これにより、素子分離領域STの上面の高さは、絶縁膜ZM2の上面よりも、所定の距離(高さ方向の距離)だけ低くなる。この際のウェットエッチングには、フッ酸(フッ化水素酸)を好適に用いることができる。このウェットエッチングを終了した段階で、素子分離領域STの上面の高さ位置は、絶縁膜ZM2の上面よりも低くなっているが、絶縁膜ZM1の上面の高さ位置とほぼ同じか、あるいは絶縁膜ZM1の上面よりも高くなっており、絶縁膜ZM1の上面よりも高くなっている方が、より好ましい。なお、本願において、「フッ酸」と言うときは、希釈フッ酸(希フッ酸)も含むものとする。
【0030】
次に、
図9に示されるように、絶縁膜ZM2をエッチングして除去する(
図1のステップS8)。この際、絶縁膜ZM1は、エッチングストッパ膜として機能させることができる。ステップS8では、絶縁膜ZM2に比べて絶縁膜ZM1および素子分離領域STがエッチングされにくい条件で、絶縁膜ZM2をエッチングして除去することが好ましい。言い換えると、絶縁膜ZM2のエッチング速度に比べて絶縁膜ZM1および素子分離領域STの各エッチング速度が小さくなる条件で、絶縁膜ZM2をエッチングして除去することが好ましい。これにより、絶縁膜ZM1および素子分離領域STがエッチングされるのを抑制または防止しながら、絶縁膜ZM2を選択的にエッチングして除去することができる。
【0031】
なお、エッチング速度(エッチングレート)が小さいことは、エッチング速度が遅いことと同義であり、また、エッチング速度が低いこととも同義である。また、エッチング速度が大きいことは、エッチング速度が速いことと同義であり、また、エッチング速度が高いこととも同義である。エッチングされやすい場合は、エッチング速度が大きくなり、エッチングされにくい場合は、エッチング速度が小さくなる。
【0032】
また、ステップS8のエッチングには、ウェットエッチングを好適に用いることができる。絶縁膜ZM2が窒化シリコンからなり、絶縁膜ZM1および素子分離領域STが酸化シリコンからなる場合は、ステップS8のウェットエッチングで用いるエッチング液としては、熱リン酸(加熱したリン酸)を好適に用いることができる。ステップS8で絶縁膜ZM2をエッチングして除去すると、絶縁膜ZM1の上面が露出する。すなわち、ステップS8では、SOI領域1Aとバルク領域1Bとの両方で、絶縁膜ZM2が除去されて絶縁膜ZM1の上面が露出される。
【0033】
このようにして、STI(shallow trench isolation)法を用いてSTI構造の素子分離領域STが形成される。SOI基板1を用意した段階では、半導体基板SBの上面の全面上に絶縁層BXを介して半導体層SMが形成されていたが、素子分離領域STを形成すると、半導体層SMは、それぞれ素子分離領域STで囲まれた複数の領域(活性領域)に区画される。
【0034】
溝TRおよびそれを埋めている素子分離領域STは、絶縁膜ZM1、半導体層SMおよび絶縁層BXを貫通して、半導体基板SBに達しており、素子分離領域STの下部は、半導体基板SB内に位置している。すなわち、絶縁膜ZM1、半導体層SM、絶縁層BXおよび半導体基板SBにかけて形成された溝TRに、素子分離領域STが埋め込まれた状態となっている。このため、素子分離領域STの一部は、絶縁層BXの下面よりも下方に位置している。すなわち、素子分離領域STの底面(下面)は、絶縁層BXの下面よりも深い位置にあり、素子分離領域STの一部(下部)は、絶縁層BXの下面から、下方側に突出している。
【0035】
この段階では、SOI領域1Aとバルク領域1Bとは、同じ構造を有している。すなわち、SOI領域1Aとバルク領域1Bとは、半導体基板SB上に絶縁層BXと半導体層SMと絶縁膜ZM1とが下から順に積層された構造を有している。平面視において、SOI領域1Aとバルク領域1Bとの間には、素子分離領域STが介在している(配置されている)。言い換えると、平面視において、SOI領域1Aとバルク領域1Bとの境界には、素子分離領域STが配置されている。
【0036】
次に、
図10に示されるように、マスク層として、SOI領域1Aを覆いかつバルク領域1Bを露出するようなフォトレジストパターン(レジストパターン、マスク層)PR1を、フォトリソグラフィ技術を用いて絶縁膜ZM1上に形成する。SOI領域1Aの絶縁膜ZM1はフォトレジストパターンPR1で覆われるが、バルク領域1Bの絶縁膜ZM1は、フォトレジストパターンPR1で覆われずに露出される。フォトレジストパターンPR1の端部(側面)は、SOI領域1Aとバルク領域1Bとの間に設けられている素子分離領域ST上に位置している。このため、フォトレジストパターンPR1は素子分離領域ST上とSOI領域1Aの絶縁膜ZM1上とに形成される。
【0037】
なお、フォトリソグラフィ技術は、基板の主面全面上にフォトレジスト膜を塗布法などにより形成してから、そのフォトレジスト膜を露光、現像してパターニングすることにより、所望のフォトレジストパターンを得る技術である。
【0038】
次に、
図11に示されるように、フォトレジストパターンPR1をエッチングマスクとして用いて、バルク領域1Bの絶縁膜ZM1をエッチングして除去する(
図2のステップS9)。このステップS9のエッチングには、ドライエッチングを用いる。バルク領域1Bにおいて、絶縁膜ZM1をエッチングして除去すると、半導体層SMの上面が露出する。一方、SOI領域1Aにおいては、絶縁膜ZM1はフォトレジストパターンPR1で覆われるため、エッチングされずにそのまま残存する。また、素子分離領域STのうち、フォトレジストパターンPR1で覆われている領域は、エッチングされずに済むが、素子分離領域STのうち、フォトレジストパターンPR1で覆われずに露出していた領域は、バルク領域1Bにおける絶縁膜ZM1のエッチング厚み(エッチング量)と同程度、エッチングされ得る。
【0039】
ステップS9では、絶縁膜ZM1に比べて半導体層SMがエッチングされにくい条件で、絶縁膜ZM1をエッチングして除去することが好ましい。言い換えると、ステップS9では、絶縁膜ZM1のエッチング速度に比べて半導体層SMのエッチング速度が小さくなる条件で、絶縁膜ZM1をエッチングして除去することが好ましい。これにより、バルク領域1Bの絶縁膜ZM1をエッチングして除去するとともに、半導体層SMをエッチングストッパとして機能させることができる。
【0040】
次に、
図12に示されるように、フォトレジストパターンPR1をエッチングマスクとして用いて、バルク領域1Bの半導体層SMをエッチングして除去する(
図2のステップS10)。このステップS10のエッチングには、ドライエッチングを用いる。バルク領域1Bにおいて、半導体層SMをエッチングして除去すると、絶縁層BXの上面が露出する。一方、SOI領域1Aにおいては、絶縁膜ZM1および半導体層SMはフォトレジストパターンPR1で覆われるため、エッチングされずにそのまま残存する。
【0041】
ステップS10では、半導体層SMに比べて絶縁層BXおよび素子分離領域STがエッチングされにくい条件で、バルク領域1Bの半導体層SMをエッチングして除去することが好ましい。言い換えると、ステップS10では、半導体層SMのエッチング速度に比べて絶縁層BXおよび素子分離領域STの各エッチング速度が小さくなる条件で、バルク領域1Bの半導体層SMをエッチングして除去することが好ましい。これにより、バルク領域1Bの半導体層SMをエッチングして除去するとともに、バルク領域1Bの絶縁層BXをエッチングストッパとして機能させることができ、また、素子分離領域STがエッチングされるのを抑制または防止することができる。
【0042】
ステップS9とステップS10とでは、エッチング対象が相違しているため、ステップS10で使用するエッチングガスは、ステップS9で使用するエッチングガスとは相違している。すなわち、ステップS9は、バルク領域1Bの絶縁膜ZM1を積極的に(意図的に)エッチングする工程であり、ステップS10は、バルク領域1Bの半導体層SMを積極的に(意図的に)エッチングする工程である。半導体層SMがシリコンからなりかつ絶縁膜ZM1と絶縁層BXと素子分離領域STとが酸化シリコンからなる場合は、ステップS9で用いるエッチングガスとしては、例えば、CF
4ガスとCHF
3ガスとの混合ガスなどを好適に用いることができ、また、ステップS10で用いるエッチングガスとしては、例えば、SF
6ガスなどを好適に用いることができる。
【0043】
次に、
図13に示されるように、フォトレジストパターンPR1をエッチングマスクとして用いて、バルク領域1Bの絶縁層BXをエッチングすることにより、バルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くする(
図2のステップS11)。このステップS11のエッチングには、ドライエッチングを用いる。
【0044】
なお、
図12には、ステップS10のエッチングを終了した後で、ステップS11のエッチング工程を行う前の段階が示され、
図13には、ステップS11のエッチング工程を終了した段階が示されている。
【0045】
ステップS11のエッチング工程を行うと、バルク領域1Bにおいては、絶縁層BXは、エッチングされて厚さが薄くなる。一方、SOI領域1Aにおいては、絶縁膜ZM1、半導体層SMおよび絶縁層BXはフォトレジストパターンPR1で覆われるため、エッチングされずにそのまま残存する。
【0046】
ステップS10とステップS11とでは、エッチング対象が相違しているため、ステップS11で使用するエッチングガスは、ステップS10で使用するエッチングガスとは相違している。すなわち、ステップS10は、バルク領域1Bの半導体層SMを積極的に(意図的に)エッチングする工程であり、それに対して、ステップS11は、バルク領域1Bの絶縁層BXを積極的に(意図的に)エッチングする工程である。絶縁層BXが酸化シリコンからなる場合は、ステップS11のドライエッチングで用いるエッチングガスとしては、例えば、CF
4ガスとHBrガスとの混合ガスなどを好適に用いることができる。
【0047】
ステップS10では、半導体層SMをエッチング対象としているため、半導体層SMをエッチングしやすいエッチング条件(エッチングガスなど)、すなわち半導体層SMのエッチング速度がある程度大きくなるようなエッチング条件(エッチングガスなど)を使用する。一方、ステップS11では、絶縁層BXをエッチング対象としているため、絶縁層BXをエッチングしやすいエッチング条件(エッチングガスなど)、すなわち絶縁層BXのエッチング速度がある程度大きくなるようなエッチング条件(エッチングガスなど)を使用する。
【0048】
このため、ステップS11で使用するエッチング条件(エッチングガスなど)を用いた場合の絶縁層BXのエッチング速度は、ステップS10で使用するエッチング条件(エッチングガスなど)を用いた場合の絶縁層BXのエッチング速度よりも大きくなる。すなわち、ステップS11のエッチング工程におけるバルク領域1Bの絶縁層BXのエッチング速度は、ステップS10のエッチング工程におけるバルク領域1Bの絶縁層BXのエッチング速度よりも大きくなる。
【0049】
また、ステップS10のエッチング工程では、絶縁層BXに比べて半導体層SMがエッチングされやすいエッチング条件(エッチングガスなど)を使用するため、半導体層SMのエッチング速度に比べて、絶縁層BXのエッチング速度が小さくなる。一方、ステップS11のエッチング工程では、絶縁層BXをエッチングするのが目的であるため、半導体層SMに比べて絶縁層BXがエッチングされやすいエッチング条件(エッチングガスなど)、すなわち、半導体層SMのエッチング速度に比べて絶縁層BXのエッチング速度が大きくなるようなエッチング条件(エッチングガスなど)、を使用する。但し、バルク領域1Bの半導体層SMは、ステップS10で既に除去されているため、ステップS11では実際にはエッチングされない。
【0050】
ステップS11のエッチングは、バルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くするために行われる。このため、ステップS11では、バルク領域1Bの絶縁層BXの表層部がエッチングされて除去される。すなわち、ステップS11のエッチングは、バルク領域1Bにおいて絶縁層BXの厚みの全てが除去されて半導体基板SBが露出されてしまう前に終了する。ステップS11におけるバルク領域1Bの絶縁層BXのエッチング量(エッチング厚み)は、ステップS11を行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さTB10よりも小さい。このため、ステップS11のエッチングを行う直前も、ステップS11のエッチングを行った直後も、バルク領域1Bでは絶縁層BXが層状に残存している。従って、ステップS11のエッチングを行う直前も、ステップS11のエッチングを行った直後も、バルク領域1Bでは半導体基板SBは露出されていない。また、ステップS11では、素子分離領域STのうち、フォトレジストパターンPR1で覆われている領域は、エッチングされずに済むが、素子分離領域STのうち、フォトレジストパターンPR1で覆われずに露出していた領域は、バルク領域1Bにおける絶縁層BXのエッチング厚み(エッチング量)と同程度、エッチングされ得る。
【0051】
ステップS11のエッチングを終了した直後におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さTB11は、ステップS11のエッチングを行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さTB10よりも薄い(すなわち0<TB11<TB10)。
【0052】
また、ステップS9,S10,S11の各エッチング工程を行っても、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1はエッチングされず、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さは変わらない。このため、ステップS11のエッチングを終了した直後におけるSOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さTA11は、ステップS11のエッチングを行う直前におけるSOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さTA10と同じである(すなわちTA11=TB10)。
【0053】
ステップS11のエッチングを終了した段階において、バルク領域1Bの絶縁層BXの厚さTB11は、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さTA11とほぼ同じであることが好ましく、例えば3〜15nm程度とすることができる。
【0054】
なお、ステップS11のエッチングを行う直前の構造(すなわちステップS10のエッチングを終了した直後の構造)は、
図12に対応し、ステップS11のエッチングを終了した直後の構造は、
図13に対応している。このため、ステップS11のエッチングを行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さTB10とSOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さTA10とが、
図23に示されており、ステップS11のエッチングを終了した直後におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さTB11とSOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さTA11とが、
図13に示されている。また、ステップS11を行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さTB10は、ステップS10のエッチングを終了した直後におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さと実質的に同じである。また、ステップS11を行う直前におけるSOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さTA10は、ステップS10のエッチングを終了した直後におけるSOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さと実質的に同じである。
【0055】
ステップS9のエッチング工程と、ステップS10のエッチング工程と、ステップS11のエッチング工程とは、SOI基板1を大気中にさらすことなく、連続的に行うことができる。
【0056】
ステップS11のエッチング工程を行った後、
図14に示されるように、フォトレジストパターンPR1をアッシングなどにより除去する。
【0057】
この段階では、
図14に示されるように、SOI領域1Aでは、絶縁膜ZM1が残存して絶縁膜ZM1の上面が露出された状態になっており、一方、バルク領域1Bでは、絶縁層BXの上面が露出された状態になっている。
【0058】
次に、
図15に示されるように、マスク層として、バルク領域1Bを覆いかつSOI領域1Aを露出するようなフォトレジストパターン(レジストパターン、マスク層)PR2を、フォトリソグラフィ技術を用いてSOI基板1上に形成する。バルク領域1Bの絶縁層BXは、フォトレジストパターンPR2で覆われるが、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1は、フォトレジストパターンPR2で覆われずに露出される。フォトレジストパターンPR2の端部(側面)は、SOI領域1Aとバルク領域1Bとの境界に配置されている素子分離領域ST上に位置している。このため、フォトレジストパターンPR2は、素子分離領域ST上とバルク領域1Bの絶縁層BX上とに形成される。
【0059】
次に、フォトレジストパターンPR2をマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて、SOI領域1Aの半導体基板SBに対して、しきい値調整用のイオン注入を行なう(
図2のステップS12)。このステップS12で行うイオン注入を、
図15では矢印で模式的に示し、以降ではイオン注入P1と称することとする。また、
図15では、イオン注入P1で不純物が導入された領域を、符号GPを付して半導体領域(不純物拡散層)GPとして示してある。ステップS12のイオン注入P1により、SOI領域1Aの半導体基板SBに不純物が導入されて半導体領域GPが形成される。また、イオン注入P1では、フォトレジストパターンPR2がイオン注入阻止マスクとして機能するため、SOI基板1のバルク領域1B(バルク領域1Bの半導体基板SB)には不純物は導入されない。
【0060】
イオン注入P1は、SOI領域1Aに後で形成するMISFETのしきい値電圧を制御するためのイオン注入であり、半導体領域GPは、SOI領域1Aに形成されるMISFETのしきい値電圧を制御するために形成される。製造された半導体装置においては、SOI領域1Aの半導体基板SBに形成された半導体領域GPに所定の電圧を印加することによって、SOI領域1Aに形成されたMISFETのしきい値電圧を制御することができる。
【0061】
イオン注入P1では、SOI領域1Aにおいて、SOI基板1の半導体基板SBに不純物イオンが導入されるが、SOI基板1の半導体層SMには不純物イオンが導入されないようにすることが望ましい。これは、イオン注入P1でSOI領域1Aの半導体層SMに不純物イオンが注入されてしまうと、SOI領域1Aに後で形成されるMISFETの電気的特性のばらつきの原因となるからである。このため、不純物イオンが半導体層SMを突き抜けることができるような高い注入エネルギーで、イオン注入P1を行なうことが好ましい。イオン注入P1の注入エネルギーは、絶縁膜ZM1の厚さと半導体層SMの厚さと絶縁層BXの厚さとにより調整され、少なくとも、不純物イオンの飛程(飛距離)が半導体基板SB内に位置するように設定することが好ましい。これにより、イオン注入P1で、SOI領域1Aの半導体層SMに不純物イオンを注入することなく、SOI領域1Aの半導体基板SBに不純物イオンを注入することができる。
【0062】
また、イオン注入P1では、SOI領域1Aにおいて、絶縁層BXの下の半導体基板SBに不純物をイオン注入するが、半導体基板SBにおける絶縁層BXに近い領域(絶縁層BXに隣接する領域)にも不純物イオンが注入されるようにすることが好ましい。すなわち、半導体基板SB内に形成された半導体領域GPが絶縁層BXに接する(隣接する)ようにすることが好ましい。この半導体領域GPの不純物濃度をイオン注入P1の注入量(ドーズ量)で調整することにより、SOI領域1Aに後で形成するMISFETのしきい値を制御することができる。従って、製造された半導体装置においては、SOI領域1Aの半導体基板SBにおける絶縁層BXに隣接する領域(半導体領域GPに対応)には、不純物が導入された状態となる。イオン注入P1の後、フォトレジストパターンPR2は除去する。
【0063】
ステップS12のイオン注入P1では、SOI基板1の半導体層SMに不純物イオンができるだけ注入されないようにすることが好ましいが、そのためには、イオン注入エネルギーがかなり高くなる。また、イオン注入P1は、ドーズ量もかなり多くなり、例えば、一般的なチャネルドープイオン注入のドーズ量の10倍程度である。一例を挙げると、イオン注入P1のドーズ量は、1×10
12〜1×10
14/cm
2程度である。このため、イオン注入P1では、上記フォトレジストパターンPR2で覆われていない部分の素子分離領域STにも、不純物イオンがかなり注入されてしまう。つまり、平面視においてSOI領域1Aの半導体層SMに隣接する領域の素子分離領域STにも、イオン注入P1で不純物イオンがかなり注入されてしまう。素子分離領域STは、イオン注入で不純物イオンが注入されると、エッチングされやすくなり、後で行うステップS14のエッチング工程で、エッチング速度が大きくなりやすい。しかしながら、本実施の形態では、ステップS11のエッチング工程で、バルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くしているため、後述のステップS14において、エッチング量を抑制することができ、それによって、素子分離領域STが過剰にエッチングされるのを抑制または防止できる。従って、後述のステップS14において、素子分離領域STに後述のディボットDTが発生するのを抑制または防止することができる。
【0064】
なお、ステップS6で素子分離領域STを形成した後、ステップS11のエッチング工程を終了するまでは、SOI基板1に対してイオン注入工程は行われていないため、ステップS9,S10,S11の各エッチング工程は、素子分離領域STに不純物がイオン注入されていない状態で行われる。一方、ステップS11のエッチング工程の後、ステップS14のエッチングを行う前までに、SOI基板1に対してイオン注入工程(ステップS12,S13)が行われているため、ステップS14のエッチング工程は、素子分離領域STにも不純物がイオン注入された状態で行われる。
【0065】
また、イオン注入P1では、p型不純物(例えばホウ素など)またはn型不純物(例えばリンまたはヒ素など)をイオン注入する。イオン注入P1でp型不純物をイオン注入した場合は、半導体領域GPは、p型不純物が導入されたp型半導体領域である。また、イオン注入P1でn型不純物をイオン注入した場合は、半導体領域GPは、n型不純物が導入されたn型半導体領域である。なお、SOI領域1Aに形成されるMISFETがnチャネル型MISFETの場合は、イオン注入P1で注入する不純物がp型不純物であればより好ましい。これにより、イオン注入P1において半導体基板SBだけでなく半導体層SMにも不純物イオンが注入されてしまった場合でも、それに伴う不具合が生じにくくなる。
【0066】
また、半導体層SMの表面(シリコン面)上や、半導体基板SBの表面(シリコン面)上に、フォトレジストパターンを直接的に形成することは望ましくない。本実施の形態では、フォトレジストパターンPR1,PR2や後述のフォトレジストパターンPR3は、半導体層SMや半導体基板SBが露出していない状態で形成しているため、これらのフォトレジストパターンPR1,PR2、PR3は、半導体基板SBの表面(シリコン面)や半導体層SMの表面(シリコン面)には接しないで済む。
【0067】
ステップS12を終了した段階でも、SOI領域1Aでは、絶縁膜ZM1が層状に残存して絶縁膜ZM1の上面が露出された状態が維持されており、また、バルク領域1Bでは、絶縁層BXが層状に残存して絶縁層BXの上面が露出された状態が維持されている。SOI領域1Aでは、半導体層SMは露出されておらず、バルク領域1Bでは、半導体基板SBは露出されていない。
【0068】
次に、
図16に示されるように、マスク層として、SOI領域1Aを覆いかつバルク領域1Bを露出するようなフォトレジストパターン(レジストパターン、マスク層)PR3を、フォトリソグラフィ技術を用いてSOI基板1上に形成する。SOI領域1Aの絶縁膜ZM1は、フォトレジストパターンPR3で覆われるが、バルク領域1Bの絶縁層BXは、フォトレジストパターンPR3で覆われずに露出される。フォトレジストパターンPR3の端部(側面)は、素子分離領域ST上に位置している。このため、フォトレジストパターンPR3は素子分離領域ST上とSOI領域1Aの絶縁膜ZM1上とに形成される。
【0069】
次に、フォトレジストパターンPR3をマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて、バルク領域1Bの半導体基板SBに対してp型不純物(例えばホウ素など)をイオン注入することによって、p型ウエル(p型半導体領域)PWを形成する(
図2のステップS13)。このステップS13で行うイオン注入を、
図16では矢印で模式的に示し、以降ではイオン注入P2と称することとする。p型ウエルPWは、p型不純物が導入されたp型の半導体領域である。
【0070】
p型ウエルPWを形成するためのイオン注入P2では、フォトレジストパターンPR3がイオン注入阻止マスクとして機能するため、SOI基板1のSOI領域1Aには不純物が導入されず、従って、SOI領域1Aの半導体層SMおよび半導体基板SBには不純物が導入されない。p型ウエルPWは、バルク領域1Bの半導体基板SBに形成される。ステップS13のイオン注入P2の後、
図17に示されるように、フォトレジストパターンPR3は除去する。
【0071】
また、p型ウエルPWを形成するためのイオン注入P2の前または後に、フォトレジストパターンPR3をマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて、バルク領域1Bの半導体基板SBに対してチャネルドープイオン注入を行うこともできる。
【0072】
また、ここでは、ステップS12の後にステップS13を行う場合について説明したが、他の形態として、ステップS12とステップS13との順番を入れ替えて、ステップS13を先に行ってから、その後にステップS12を行うこともできる。
【0073】
次に、
図18に示されるように、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1とバルク領域1Bの絶縁層BXとをエッチングして除去する(
図2のステップS14)。ステップS14のエッチングには、ウェットエッチングを用いる。
【0074】
ステップS14では、絶縁膜ZM1および絶縁層BXに比べて半導体層SMおよび半導体基板SBがエッチングされにくい条件で、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1とバルク領域1Bの絶縁層BXとをエッチングして除去することが好ましい。言い換えると、ステップS14では、絶縁膜ZM1のエッチング速度および絶縁層BXのエッチング速度に比べて半導体層SMのエッチング速度および半導体基板SBのエッチング速度が小さくなる条件で、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1とバルク領域1Bの絶縁層BXとをエッチングして除去することが好ましい。これにより、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1とバルク領域1Bの絶縁層BXをエッチングして除去するとともに、SOI領域1Aの半導体層SMとバルク領域1Bの半導体基板SBとをエッチングストッパとして機能させることができ、SOI領域1Aの半導体層SMとバルク領域1Bの半導体基板SBとがエッチングされるのを抑制または防止することができる。絶縁膜ZM1および絶縁層BXが酸化シリコンからなる場合は、ステップS14においては、エッチング液としてフッ酸を好適に用いることができる。
【0075】
ステップS14のエッチングは、素子分離領域STの上面と、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1の上面と、バルク領域1Bの絶縁層BXの上面とが露出した状態で行われるため、ステップS14で、素子分離領域STの表層部と、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1と、バルク領域1Bの絶縁層BXとがエッチングされて除去される。ステップS14のエッチングは、SOI領域1Aで絶縁膜ZM1が除去されて半導体層SMの上面が露出され、かつ、バルク領域1Bで絶縁層BXが除去されて半導体基板SBの上面が露出された段階で終了する。また、ステップS14では、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1やバルク領域1Bの絶縁層BXのエッチング量(エッチング厚み)と同程度、素子分離領域STもエッチングされ得る。
【0076】
ステップS14を終了した段階では、
図18に示されるように、SOI領域1Aでは、絶縁膜ZM1が除去されて半導体層SMの上面が露出された状態になっており、バルク領域1Bでは、絶縁層BXが除去されて半導体基板SB(p型ウエルPW)の上面が露出された状態になっている。ステップS14では、ドライエッチングではなくウェットエッチングを用いているため、半導体層SMおよび半導体基板SBが露出するまでエッチングを行っても、半導体層SMおよび半導体基板SBがダメージを受けるのを防止できる。
【0077】
このようにして、SOI基板1に素子分離領域STが形成され、バルク領域1Bでは、半導体層SMと絶縁層BXとが除去されて半導体基板SBの上面が露出し(SOI構造ではなくなり)、SOI領域1Aでは、半導体層SMと絶縁層BXとが残存してSOI構造が維持される。この段階のSOI基板1を基板1Cと称することとする。以下では、基板1Cの主面と言うときは、SOI領域1Aの半導体層SMの主面およびバルク領域1Bの半導体基板SBの主面と同義である。
【0078】
基板1CはSOI領域1Aとバルク領域1Bとを有しているが、SOI領域1Aは、絶縁層BXが埋め込まれたSOI構造を有する領域とみなすことができ、バルク領域1Bは、絶縁層BXが埋め込まれておらずSOI構造を有していない領域とみなすことができる。具体的には、基板1CのSOI領域1Aは、半導体基板SBと半導体基板SB上の絶縁層BXと絶縁層BX上の半導体層SMとが積層された積層構造(SOI構造)を有した領域であり、基板1Cのバルク領域1Bは、厚み全体が半導体基板SBで構成された領域である。但し、SOI領域1Aおよびバルク領域1Bには、素子分離領域STが存在している領域も含まれ得る。バルク領域1Bでは、素子分離領域STの一部(絶縁層BXの下面よりも下方に位置していた部分)が、半導体層SMおよび絶縁層BXの除去後も、半導体基板SBに埋め込まれた状態で残存し、これがバルク領域1Bの素子分離領域STとなる。
【0079】
次に、SOI領域1Aとバルク領域1Bとに、それぞれMISFET(トランジスタ)などの半導体素子を形成する(
図2のステップS15)。
【0080】
基板1CのSOI領域1Aにおいて、半導体層SMは、平面視において素子分離領域STで囲まれた複数の領域(活性領域)に区画されており、各活性領域の半導体層SMにMISFETが形成される。基板1CのSOI領域1Aにおいて、各活性領域の半導体層SMは、平面視において周囲を素子分離領域STで囲まれ、下面が絶縁層BXに隣接している。このため、各活性領域の半導体層SMは、素子分離領域STと絶縁層BXとで囲まれた状態になっている。また、基板1Cのバルク領域1Bにおいて、半導体基板SBは、平面視において素子分離領域STで囲まれた複数の領域(活性領域)に区画されており、各活性領域の半導体基板SBにMISFETが形成される。基板1Cのバルク領域1Bにおいて、各活性領域は、平面視において周囲を素子分離領域STで囲まれている。
【0081】
ステップS15の一例について、以下に具体的に説明する。
【0082】
まず、
図19に示されるように、SOI領域1Aの半導体層SMの上面と、バルク領域1Bの半導体基板SBの上面とに、ゲート絶縁膜GF1を形成する。ゲート絶縁膜GF1は、酸化シリコン膜などからなり、熱酸化法などを用いて形成することができる。
【0083】
次に、バルク領域1Bのゲート絶縁膜GF1を覆い、かつSOI領域1Aのゲート絶縁膜GF1を露出するようなフォトレジストパターン(図示せず)を、フォトリソグラフィ技術を用いてSOI基板1上に形成する。それから、このフォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いてSOI領域1Aのゲート絶縁膜GF1をエッチングして除去する。この際、バルク領域1Bのゲート絶縁膜GF1は、フォトレジストパターンで覆われているため、エッチングされずに残存する。その後、フォトレジストパターンは除去する。
図20には、この段階が示されている。
【0084】
次に、
図21に示されるように、SOI領域1Aの半導体層SMの上面に、ゲート絶縁膜GF2を形成する。ゲート絶縁膜GF2は、酸化シリコン膜などからなり、熱酸化法などを用いて形成することができる。ゲート絶縁膜GF2を形成するための熱酸化処理時に、バルク領域1Bのゲート絶縁膜GF1の厚さが厚くなる場合もあり得る。
【0085】
このようにして、SOI領域1Aの半導体層SMの上面にゲート絶縁膜GF2が形成され、バルク領域1Bの半導体基板SBの上面にゲート絶縁膜GF1が形成された状態が得られる。この段階において、ゲート絶縁膜GF1は、ゲート絶縁膜GF2よりも厚い。
【0086】
次に、
図22に示されるように、基板1Cの主面上に、すなわち、ゲート絶縁膜GF1,GF2および素子分離領域ST上に、ゲート電極形成用の導電膜として、ドープトポリシリコン膜のようなシリコン膜PSを形成してから、シリコン膜PS上に窒化シリコン膜などの絶縁膜CPZを形成する。それから、
図23に示されるように、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いて絶縁膜CPZをパターニングしてから、パターニングされた絶縁膜CPZをエッチングマスクとして用いてシリコン膜PSをドライエッチングしてパターニングする。
【0087】
図23に示されるように、パターニングされたシリコン膜PSにより、ゲート電極GE1,GE2が形成される。ゲート電極GE1は、SOI領域1Aにおいて、半導体層SM上にゲート絶縁膜GF2を介して形成される。また、ゲート電極GE2は、バルク領域1Bにおいて、半導体基板SB(p型ウエルPW)上にゲート絶縁膜GF1を介して形成される。ゲート電極GE1上には、パターニングされた絶縁膜CPZからなるキャップ絶縁膜CP1が形成され、ゲート電極GE2上には、パターニングされた絶縁膜CPZからなるキャップ絶縁膜CP2が形成される。キャップ絶縁膜CP1は、ゲート電極GE1とほぼ同じ平面形状を有し、キャップ絶縁膜CP2は、ゲート電極GE2とほぼ同じ平面形状を有している。ゲート電極GE1,GE2で覆われない部分のゲート絶縁膜GF1,GF2は、シリコン膜PSをパターニングする際のドライエッチングまたはその後のウェットエッチングなどにより除去され得る。
【0088】
ここで、SOI領域1Aに形成された、ゲート絶縁膜GF2とゲート電極GE1とキャップ絶縁膜CP1との積層構造体を、以下では積層体LT1と称することとする。また、バルク領域1Bに形成された、ゲート絶縁膜GF1とゲート電極GE2とキャップ絶縁膜CP2との積層構造体を、以下では積層体LT2と称することとする。
【0089】
図24および
図25は、
図23と同じ工程段階の要部平面図であり、
図24には、SOI領域1Aが示され、
図25には、バルク領域1Bが示されている。
図24および
図25からも分かるように、積層体LT1,LT2のそれぞれは、ゲート幅方向の両端部が素子分離領域ST上に位置している。なお、上記
図19の工程と上記
図21の工程においてゲート絶縁膜GF1,GF2は素子分離領域ST上には形成されない。このため、素子分離領域ST上に位置する部分の積層体LT1は、ゲート絶縁膜GF2を有さずに、ゲート電極GE1とキャップ絶縁膜CP1との積層構造を有し、素子分離領域ST上に位置する部分の積層体LT2は、ゲート絶縁膜GF1を有さずに、ゲート電極GE2とキャップ絶縁膜CP2との積層構造を有している。
【0090】
次に、積層体LT1の側面上に、側壁絶縁膜としてサイドウォールスペーサSW1を形成する。サイドウォールスペーサSW1形成工程は、次のようにして行うことができる。
【0091】
まず、
図26に示されるように、基板1Cの主面全面上に、積層体LT1,LT2を覆うように、絶縁膜IL1とその上の絶縁膜IL2とからなる積層膜LMを形成する。絶縁膜IL1は例えば酸化シリコン膜からなり、絶縁膜IL2は例えば窒化シリコン膜からなる。それから、バルク領域1Bの積層膜LMを覆いかつSOI領域1Aの積層膜LMを露出するようなフォトレジストパターンPR4を積層膜LM上に形成する。それから、異方性エッチング技術により積層膜LMをエッチバックすることにより、積層体LT1の両方の側面上にサイドウォールスペーサSW1を形成する。
図27には、この段階が示されている。バルク領域1Bの積層膜LMは、フォトレジストパターンPR4で覆われていたため、エッチングされずに残存する。バルク領域1Bに残存する積層膜LMを、以下では、積層膜LM1と称することとする。その後、フォトレジストパターンPR4は除去する。サイドウォールスペーサSW1は、半導体層SM上から積層体LT1の側面上にかけてほぼ一様な厚みで連続的に延在する絶縁膜IL1と、絶縁膜IL1を介して半導体層SMおよび積層体LT1から離間する絶縁膜IL2とで形成されている。
【0092】
次に、
図28に示されるように、エピタキシャル成長により、SOI領域1Aの半導体層SM上に半導体層EPを形成する。半導体層EPは、例えば単結晶シリコンからなる。
【0093】
エピタキシャル成長により半導体層EPを形成するため、半導体層SMの露出面(Si面)上にエピタキシャル層(半導体層EP)が選択的に成長し、絶縁膜上にはエピタキシャル層は成長しない。このため、SOI領域1Aの半導体層SMの表面のうち、積層体LT1およびサイドウォールスペーサSW1で覆われていない領域(露出面)上に、半導体層EPが選択的に成長することになる。このため、半導体層EPは、SOI領域1Aにおいて、積層体LT1とサイドウォールスペーサSW1とからなる構造体の両側に形成される。また、バルク領域1Bでは、半導体基板SBは積層膜LM1で覆われているため、エピタキシャル層(半導体層EP)は形成されない。
【0094】
なお、SOI領域1Aの半導体層SMとその半導体層SM上に形成された半導体層EPとを合わせたものを、以下では、半導体層SM1と称することとする。
【0095】
次に、
図29に示されるように、SOI領域1Aを覆いかつバルク領域1Bを露出するようなフォトレジストパターンPR5を形成してから、異方性エッチング技術によりバルク領域1Bの積層膜LM1をエッチバックすることにより、積層体LT2の両方の側面上にサイドウォールスペーサSW2を形成する。SOI領域1Aの積層体LT1およびサイドウォールスペーサSW1は、フォトレジストパターンPR5で覆われていたため、エッチングされずに残存する。その後、フォトレジストパターンPR5は除去し、
図30にはこの段階が示されている。サイドウォールスペーサSW2の構成も、サイドウォールスペーサSW1の構成と基本的には同じであり、絶縁膜IL1と絶縁膜IL2との積層膜により形成されている。
【0096】
次に、
図31に示されるように、サイドウォールスペーサSW1,SW2を構成する絶縁膜IL2を、エッチングにより除去する。この際、絶縁膜IL2に比べて絶縁膜IL1がエッチングされにくい条件で絶縁膜IL2をエッチングして除去するため、サイドウォールスペーサSW1,SW2を構成していた絶縁膜IL1は、ほとんどエッチングされずに残存する。また、絶縁膜IL2は、キャップ絶縁膜CP1,CP2と同じ材料により形成されていたため、この際のエッチングにより、キャップ絶縁膜CP1,CP2も除去することができる。キャップ絶縁膜CP1,CP2を除去しておけば、ゲート電極GE1,GE2の上部に後述の金属シリサイド層SLを形成することが可能になる。
【0097】
次に、
図32に示されるように、SOI領域1Aの半導体層SM1におけるゲート電極GE1の両側の領域に、リン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、n
−型半導体領域(エクステンション領域)EX1を形成する。また、バルク領域1Bの半導体基板SB(p型ウエルPW)におけるゲート電極GE2の両側の領域に、リン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、n
−型半導体領域(エクステンション領域)EX2を形成する。
図32においては、この際のイオン注入で不純物が注入された領域を、ドットのハッチングを付して示してある。
【0098】
n
−型半導体領域EX1を形成するためのイオン注入では、ゲート電極GE1とその側面上に延在する部分の絶縁膜IL1とが、イオン注入阻止マスクとして機能することができる。また、n
−型半導体領域EX2を形成するためのイオン注入では、ゲート電極GE2とその側面上に延在する部分の絶縁膜IL1とが、イオン注入阻止マスクとして機能することができる。n
−型半導体領域EX1とn
−型半導体領域EX2とは、同じイオン注入工程で形成しても、あるいは異なるイオン注入工程で形成してもよい。
【0099】
次に、
図33に示されるように、ゲート電極GE1,GE2の側面上に、側壁絶縁膜としてサイドウォールスペーサSW3を形成する。サイドウォールスペーサSW3形成工程は、次のようにして行うことができる。
【0100】
すなわち、基板1Cの主面上に、ゲート電極GE1,GE2および絶縁膜IL1を覆うように、サイドウォールスペーサSW3形成用の絶縁膜(例えば窒化シリコン膜)を形成してから、異方性エッチング技術により、この絶縁膜をエッチバックすることにより、ゲート電極GE1,GE2の側面上にサイドウォールスペーサSW3を形成することができる。SOI領域1Aにおいて、サイドウォールスペーサSW3は、ゲート電極GE1の側面上に絶縁膜IL1を介して形成され、また、バルク領域1Bにおいて、サイドウォールスペーサSW3は、ゲート電極GE2の側面上に絶縁膜IL1を介して形成される。
【0101】
次に、
図34に示されるように、SOI領域1Aの半導体層SM1におけるゲート電極GE1およびサイドウォールスペーサSW3の両側の領域に、リン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、n
+型半導体領域(ソース・ドレイン領域)SD1を形成する。また、バルク領域1Bの半導体基板SB(p型ウエルPW)におけるゲート電極GE2およびサイドウォールスペーサSW3の両側の領域に、リン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、n
+型半導体領域(ソース・ドレイン領域)SD2を形成する。
図34においては、この際のイオン注入で不純物が注入された領域を、ドットのハッチングを付して示してある。
【0102】
n
+型半導体領域SD1を形成するためのイオン注入では、ゲート電極GE1とその両側のサイドウォールスペーサSW3とが、イオン注入阻止マスクとして機能することができる。また、n
+型半導体領域SD2を形成するためのイオン注入では、ゲート電極GE2とその両側のサイドウォールスペーサSW3とが、イオン注入阻止マスクとして機能することができる。n
+型半導体領域SD1は、n
−型半導体領域EX1よりも不純物濃度が高く、また、n
+型半導体領域SD2は、n
−型半導体領域EX2よりも不純物濃度が高い。n
+型半導体領域SD1とn
+型半導体領域SD2とは、同じイオン注入工程で形成しても、あるいは異なるイオン注入工程で形成してもよい。
【0103】
SOI領域1Aの半導体層SM1において、n
−型半導体領域EX1およびn
+型半導体領域SD1により、LDD構造のソース・ドレイン領域が形成され、バルク領域1Bの半導体基板SB(p型ウエルPW)において、n
−型半導体領域EX2およびn
+型半導体領域SD2により、LDD構造のソース・ドレイン領域が形成される。
【0104】
次に、n
+型半導体領域SD1,SD2およびn
−型半導体領域EX1,EX2などに導入された不純物を活性化するための熱処理である活性化アニールを行う。イオン注入領域がアモルファス化された場合は、この活性化アニール時に、結晶化させることができる。
【0105】
次に、
図35に示されるように、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術により、n
+型半導体領域SD1,SD2およびゲート電極GE1,GE2の各上部(表層部)に、低抵抗の金属シリサイド層SLを形成する。
【0106】
金属シリサイド層SLは、具体的には次のようにして形成することができる。すなわち、基板1Cの主面上に、ゲート電極GE1,GE2およびサイドウォールスペーサSW3を覆うように、金属シリサイド層SL形成用の金属膜を形成する。この金属膜は、例えばコバルト膜、ニッケル膜、または、ニッケル白金合金膜などからなる。それから、基板1Cに対して熱処理を施すことによって、n
+型半導体領域SD1,SD2およびゲート電極GE1,GE2の各上部を上記金属膜と反応させる。これにより、n
+型半導体領域SD1,SD2およびゲート電極GE1,GE2の各上部に、それぞれ金属シリサイド層SLが形成される。その後、未反応の金属膜を除去し、
図35には、この段階が示されている。金属シリサイド層SLを形成したことで、ゲート電極GE1,GE2やn
+型半導体領域SD1,SD2の拡散抵抗やコンタクト抵抗などを低抵抗化することができる。
【0107】
このようにして、ステップS15が行われ、SOI領域1Aとバルク領域1Bとに、それぞれMISFET(トランジスタ)などの半導体素子を形成することができる。
【0108】
次に、
図36に示されるように、基板1Cの主面上に、ゲート電極GE1,GE2およびサイドウォールスペーサSW3を覆うように、層間絶縁膜として絶縁膜SZ1を形成する。絶縁膜SZ1としては、酸化シリコン膜の単体膜、あるいは、窒化シリコン膜とその上の厚い酸化シリコン膜との積層膜などを用いることができる。絶縁膜SZ1の形成後、必要に応じて、絶縁膜SZ1の上面をCMP法で研磨することもできる。
【0109】
次に、絶縁膜SZ1上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜SZ1をドライエッチングすることにより、絶縁膜SZ1にコンタクトホール(貫通孔)を形成する。
【0110】
次に、コンタクトホール内に、タングステン(W)などからなる導電性のプラグPGを形成する。例えば、コンタクトホール内を含む絶縁膜SZ1上にバリア導体膜とタングステン膜とを順に形成してから、コンタクトホールの外部の不要な主導体膜およびバリア導体膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去することにより、プラグPGを形成することができる。
【0111】
次に、
図37に示されるように、プラグPGが埋め込まれた絶縁膜SZ1上に絶縁膜SZ2を形成してから、絶縁膜SZ2の所定の領域に配線溝を形成した後、配線溝内にシングルダマシン技術を用いて配線M1を埋め込む。配線M1は、例えば、銅を主成分とする銅配線(埋込銅配線)である。配線M1は、プラグPGを介して、n
+型半導体領域SD1、n
+型半導体領域SD2、ゲート電極GE1あるいはゲート電極GE2などと電気的に接続される。
【0112】
その後、デュアルダマシン法などにより2層目以降の配線を形成するが、ここでは図示およびその説明は省略する。また、配線M1およびそれよりも上層の配線は、ダマシン配線に限定されず、配線用の導電体膜をパターニングして形成することもでき、例えばタングステン配線またはアルミニウム配線などとすることもできる。
【0113】
以上のようにして、本実施の形態の半導体装置が製造される。
【0114】
また、本実施の形態では、MISFEとして、nチャネル型のMISFETを形成する場合について説明したが、導電型を逆にして、pチャネル型のMISFETを形成することもできる。また、SOI領域1Aにnチャネル型のMISFETとpチャネル型のMISFETのいずれか一方または両方を形成することもでき、また、バルク領域1Bにnチャネル型のMISFETとpチャネル型のMISFETのいずれか一方または両方を形成することもできる。
【0115】
<検討例について>
本発明者が検討した検討例について、
図38〜
図45を参照して説明する。
図38は検討例の半導体装置の製造工程を示すプロセスフロー図であり、上記
図2に相当するものである。
図39〜
図45は、検討例の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0116】
上記ステップS1〜S8に相当する工程を行って、上記
図9に相当する
図39の構造を得る。
図39においては、SOI領域1Aとバルク領域1Bとは、互いに同じ構造を有しており、それぞれ、半導体基板SB上に絶縁層BXと半導体層SMと絶縁膜ZM1とが下から順に積層された構造を有している。
【0117】
但し、検討例(
図39)の場合に、本実施の形態(
図9)の場合と相違しているのは、絶縁膜ZM1の厚さである。すなわち、検討例における上記ステップS2で形成する絶縁膜ZM1の厚さは、本実施の形態において上記ステップS2で形成する絶縁膜ZM1の厚さよりも厚くする必要がある。なぜなら、検討例の場合は、上記ステップS11に相当する工程が無いため、絶縁膜ZM1の形成膜厚は、後述のステップS110を終了した段階のバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さとほぼ同じ値に設定する必要があるからである。
【0118】
検討例の場合は、
図39の構造を得た後、
図40に示されるように、SOI領域1Aを覆いかつバルク領域1Bを露出するようなフォトレジストパターンPR101を形成する。SOI領域1Aの絶縁膜ZM1はフォトレジストパターンPR101で覆われるが、バルク領域1Bの絶縁膜ZM1は、フォトレジストパターンPR101で覆われずに露出される。フォトレジストパターンPR101の端部(側面)は、SOI領域1Aとバルク領域1Bとの間に設けられている素子分離領域ST上に位置している。
【0119】
次に、
図41に示されるように、フォトレジストパターンPR101をエッチングマスクとして用いて、バルク領域1Bの絶縁膜ZM1をウェットエッチングして除去する(
図38のステップS109)。この際、絶縁膜ZM1に比べて半導体層SMがエッチングされにくい条件で、絶縁膜ZM1をウェットエッチングして除去する。これにより、バルク領域1Bの絶縁膜ZM1をエッチングして除去するとともに、半導体層SMをエッチングストッパとして機能させることができる。絶縁膜ZM1が酸化シリコンからなる場合は、ステップS109では、エッチング液としてフッ酸を用いる。
【0120】
バルク領域1Bにおいて、絶縁膜ZM1をエッチングして除去すると、半導体層SMの上面が露出する。一方、SOI領域1Aにおいては、絶縁膜ZM1はフォトレジストパターンPR1で覆われるため、エッチングされずに残存する。また、素子分離領域STのうち、フォトレジストパターンPR1で覆われている領域は、エッチングされずに済むが、素子分離領域STのうち、フォトレジストパターンPR1で覆われずに露出していた領域は、バルク領域1Bにおける絶縁膜ZM1のエッチング厚み(エッチング量)と同程度、エッチングされ得る。その後、
図42に示されるように、フォトレジストパターンPR101をアッシングなどにより除去する。
【0121】
この段階では、
図42に示されるように、SOI領域1Aでは、絶縁膜ZM1が残存して絶縁膜ZM1の上面が露出された状態になっており、一方、バルク領域1Bでは、絶縁膜ZM1が除去されて半導体層SMの上面が露出された状態になっている。
【0122】
次に、
図43に示されるように、バルク領域1Bの半導体層SMをウェットエッチングして除去する(
図38のステップS110)。この際、半導体層SMに比べて絶縁層BX、絶縁膜ZM1および素子分離領域STがエッチングされにくい条件で、バルク領域1Bの半導体層SMをエッチングして除去することが好ましい。これにより、バルク領域1Bの半導体層SMをエッチングして除去するとともに、バルク領域1Bの絶縁層BXをエッチングストッパとして機能させることができる。この際のウェットエッチングでは、エッチング液としてAPM液(Ammonium Hydrogen-preoxide Mixture:アンモニア過水液)を用いることができる。APM液は、アンモニア水と過酸化水素水との混合液に対応している。バルク領域1Bにおいて、半導体層SMをウェットエッチングして除去すると、絶縁層BXの上面が露出する。一方、SOI領域1Aにおいては、半導体層SMは絶縁膜ZM1で覆われているため、エッチングされずに残存する。
【0123】
また、ステップS110のウェットエッチングは、バルク領域1Bの半導体層SMの上面と、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1の上面と、素子分離領域STの上面と、が露出した状態で行われる。このため、バルク領域1Bの半導体層SMをウェットエッチングする際に、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1の表層部分と、素子分離領域STの表層部分とが、ある程度ウェットエッチングされる。しかしながら、ウェットエッチングを終了した段階で、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1は層状に残存しており、SOI領域1Aの半導体層SMは露出されない。
【0124】
この段階では、
図43に示されるように、SOI領域1Aでは、絶縁膜ZM1が層状に残存して絶縁膜ZM1の上面が露出された状態になっており、一方、バルク領域1Bでは、絶縁膜ZM1および半導体層SMが除去されて絶縁層BXの上面が露出された状態になっている。
【0125】
次に、上記ステップS12と同様の工程(
図38のステップS112)と上記ステップS13と同様の工程(
図38のステップS113)とを行って、
図44に示されるように、半導体領域GPおよびp型ウエルPWを形成する。
【0126】
次に、
図45に示されるように、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1とバルク領域1Bの絶縁層BXとをウェットエッチングして除去する(
図38のステップS114)。この際、絶縁膜ZM1および絶縁層BXに比べて半導体層SMおよび半導体基板SBがエッチングされにくい条件で、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1とバルク領域1Bの絶縁層BXとをエッチングして除去することが好ましい。これにより、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1とバルク領域1Bの絶縁層BXをエッチングして除去するとともに、SOI領域1Aの半導体層SMとバルク領域1Bの半導体基板SBとをエッチングストッパとして機能させることができる。絶縁膜ZM1および絶縁層BXが酸化シリコンからなる場合は、ステップS114のエッチング液としてフッ酸を用いることができる。
【0127】
ステップS114の際のウェットエッチングは、素子分離領域STの上面と、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1の上面と、バルク領域1Bの絶縁層BXの上面とが露出した状態で行われるため、素子分離領域STの表層部と、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1と、バルク領域1Bの絶縁層BXとがウェットエッチングされて除去される。SOI領域1Aの絶縁膜ZM1やバルク領域1Bの絶縁層BXのエッチング量(エッチング厚み)と同程度、素子分離領域STもウェットエッチングされる。
【0128】
検討例の製造工程の場合は、上記ステップS11に相当するエッチング工程を行っていない。このため、ステップS114のエッチング工程を行う直前の段階でのバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さとSOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さとは、かなり厚くなっている。このため、ステップS114のエッチング量(エッチング厚み)は、厚い絶縁層BXおよび絶縁膜ZM1を確実に除去できるようなエッチング量に設定する必要がある。
【0129】
このようにして、バルク領域1Bでは、半導体層SMと絶縁層BXとが除去されて半導体基板SBの上面が露出し(SOI構造ではなくなり)、SOI領域1Aでは、半導体層SMと絶縁層BXとが残存してSOI構造が維持される(
図45参照)。
【0130】
その後、検討例の場合も、上記ステップS15と同様の工程(
図38のステップS115)を行って、SOI領域1Aとバルク領域1BとにそれぞれMISFETを形成するが、ここではその図示および説明は省略する。
【0131】
検討例の製造工程(
図38〜
図45)の場合は、本実施の形態とは異なり、上記ステップS9,S10に相当するステップS109,S110のエッチング工程を、ウェットエッチングにより行っている。すなわち、検討例の場合は、上記ステップS9に相当するステップS109(
図41)の工程では、ウェットエッチングによりバルク領域1Bの絶縁膜ZM1を除去している。また、検討例の場合は、上記ステップS10に相当するステップS101(
図43)の工程では、ウェットエッチングによりバルク領域1Bの半導体層SMを除去している。また、検討例の場合は、上記ステップS11に相当するエッチング工程(バルク領域1Bの絶縁層BXを薄くするためのエッチング工程)は行っていない。
【0132】
検討例の場合、上記ステップS12,13に相当するステップS112,S113を行って
図44の構造を得た後、ステップS14に相当するステップS114(
図45)のエッチング工程を行って、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1とバルク領域1Bの絶縁層BXとを除去することで、SOI領域1Aの半導体層SMの上面とバルク領域1Bの半導体基板SBの上面とを露出させる。しかしながら、このステップS114のエッチング工程を行うと、
図45に示されるように、素子分離領域STにディボット(凹部、窪み部)DTが発生する虞がある。ディボットDTは、素子分離領域STの端部(半導体層SMに隣接する端部)に発生しやすい。素子分離領域STのディボットDTは、ウェットエッチング工程で使用する薬液(エッチング液)によって素子分離領域STが過剰にエッチングされることにより発生し得る。
【0133】
図45に示されるように、SOI領域1Aの半導体層SMに隣接する位置に、素子分離領域STのディボットDTが発生してしまうと、種々の不具合が発生する虞があるが、その不具合の一例について以下に説明する。
【0134】
図45に示されるように、SOI領域1Aの半導体層SMに隣接する位置に素子分離領域STのディボットDTが発生し、そのディボットDTがSOI領域1Aの絶縁層BXに到達し、そのディボットDTから露出した絶縁層BXがサイドエッチングされた場合を仮定する。この場合、上記シリコン膜PSを形成してからそのシリコン膜PSをパターニングして上記ゲート電極GE1,GE2を形成する際に、ディボットDT内にシリコン膜PSの残存部(以下、「シリコン膜PSの残存部」と称する)が発生してしまう。ディボットDT内にシリコン膜PSの残存部が発生すると、そのシリコン膜PSの残存部は、薄い絶縁膜を介して半導体層SMに隣接してしまい、従って、薄い絶縁膜を介してn
+型半導体領域SD1(ソース・ドレイン領域)に隣接してしまうことになる。ディボットDT内におけるシリコン膜PSの残存部と半導体層SM(n
+型半導体領域SD1)との間に介在する薄い絶縁膜は、上記ゲート絶縁膜GF2と同工程で形成された同層の絶縁膜である。また、ゲート電極GE1は、ゲート幅方向の端部が素子分離領域ST上に位置しているため、ディボットDT内におけるシリコン膜PSの残存部はゲート電極GE1と一体的に繋がった状態になっており、それゆえ、ディボットDT内におけるシリコン膜PSの残存部は、ゲート電極GE1と電気的に接続されている。このため、ディボットDT内にシリコン膜PSの残存部が発生することは、ゲート電極GE1と電気的に接続されたディボットDT内のシリコン膜PSの残存部が薄い絶縁膜を介してソース・ドレイン領域(n
+型半導体領域SD1)と隣接することにつながるため、ゲート電極GE1とソース・ドレイン領域(n
+型半導体領域SD1)との間のリーク電流を招く虞がある。これは、半導体装置の信頼性を低下させてしまう。
【0135】
このように、素子分離領域STにディボットDTが発生することや、そのディボットDTの深さが深いことは、半導体装置の信頼性の低下につながるため、半導体装置の信頼性を向上させるには、素子分離領域STにディボットDTが発生するのを抑制するか、あるいは、ディボットDTが発生したとしても、その深さを浅くすることが望ましい。また、ゲート絶縁膜GF1,GF2を形成する工程よりも前に生じたディボットDTが、半導体装置の信頼性の低下につながりやすいため、ゲート絶縁膜GF1,GF2を形成する工程よりも前に素子分離領域STにディボットDTが発生するのを抑制することが望ましい。
【0136】
素子分離領域STのディボットDTは、ウェットエッチングで使用する薬液(エッチング液)によって素子分離領域STが過剰にエッチングされることにより発生する。ディボットDTの原因になり得るウェットエッチング工程としては、ステップS110のウェットエッチング工程と、ステップS114のウェットエッチング工程とがある。
【0137】
ステップS110のウェットエッチング工程で素子分離領域STがエッチングされてしまう理由について説明する。
【0138】
ウェットエッチング工程では、使用するエッチング液の種類により、フォトレジストパターンを形成した状態ではウェットエッチングを行いにくい場合がある。ステップS110では半導体層SMをウェットエッチングするが、半導体層SMをウェットエッチングするのに適したエッチング液、例えばAPM液は、フォトレジストパターンを形成した状態では使用しにくい。このため、バルク領域1Bの半導体層SMを除去するために行うステップS110のウェットエッチング工程は、フォトレジストパターンを形成していない状態で行われるため、必然的に素子分離領域STの表面が露出された状態で行われることになる。ステップS110では、半導体層SMをエッチングしやすいエッチング液、例えばAPM液を使用するが、フォトレジストパターンを形成していないことで、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1と素子分離領域STもある程度エッチングされてしまう。このため、ステップS110において、素子分離領域STがウェットエッチングされてしまい、これが、素子分離領域STにディボットDTが形成されやすくなる原因の一つとなる。
【0139】
次に、ステップS114のウェットエッチング工程について説明する。ステップS114のウェットエッチング工程においては、第1の要因および第2の要因に起因して、素子分離領域STが過剰にエッチングされてディボットDTが発生しやすい。第1の要因は、ステップS114のウェットエッチング工程の前に、イオン注入工程が行われ、そのイオン注入の際に素子分離領域STにも不純物イオンが注入されてしまっていることである。第2の要因は、ステップS114のウェットエッチング工程のエッチング量が大きいことである。
【0140】
ステップS114のウェットエッチング工程の前に、素子分離領域STに不純物イオンが注入されていると、その素子分離領域STは、エッチングされやすい状態になり、ステップS114のウェットエッチング工程を行った際にエッチング速度が大きくなりやすい。
【0141】
このため、ステップS114のウェットエッチング工程の前に、素子分離領域STに不純物イオンがイオン注入されないようにし、それによって、ステップS114のウェットエッチング工程で、素子分離領域STが過剰にエッチングされるのを防止し、ディボットDTの発生を抑制することも考えられる。しかしながら、SOI領域1Aの半導体基板SBに半導体領域GPを形成し、それによって、SOI領域1Aに形成したMISFETのしきい値電圧を制御できるようにすることが望まれる場合がある。そのような場合は、ステップS114のウェットエッチング工程を行う前に、イオン注入を行って半導体領域GPを形成することが望ましい。なぜなら、ステップS114のウェットエッチング工程の後で、ゲート絶縁膜の形成前に、イオン注入で半導体領域GPを形成しようとすると、上記フォトレジストパターンPR2に相当するフォトレジストパターンを、バルク領域1Bで露出する半導体基板SBの表面(シリコン面)上に直接的に形成することになるが、これは望ましくないからである。かといって、ゲート絶縁膜を形成した後や、あるいはシリコン膜PSを形成した後に、イオン注入で半導体領域GPを形成しようとすると、ゲート絶縁膜やシリコン膜PSがそのイオン注入による影響を受けてしまい、MISFETの特性に影響を与えてしまう虞があるため、これも望ましくない。また、ゲート電極を形成した後に、イオン注入で半導体領域GPを形成しようとすると、ゲート電極が邪魔になって、半導体領域GPを上手く形成できなくなる虞がある。このため、ステップS114のウェットエッチング工程を行う前に、イオン注入を行って半導体領域GPを形成することが望ましい。
【0142】
イオン注入を行って半導体領域GPを形成する際には、バルク領域1Bの半導体基板SBへのイオン注入を防ぐためにフォトレジストパターン(PR2)を形成した状態でイオン注入を行うが、注入する不純物イオンは、SOI領域1Aの半導体基板SBだけでなく、フォトレジストパターン(PR2)で覆われない部分の素子分離領域STにも注入されてしまう。つまり、平面視においてSOI領域1Aの半導体層SMに隣接する領域の素子分離領域STにも、不純物イオンが注入されてしまう。このため、イオン注入を行って半導体領域GPを形成した後、ステップS114のウェットエッチング工程を行う直前の段階において、SOI領域1Aの半導体層SMに平面視で隣接する位置(領域)において、素子分離領域STには不純物イオンがかなり注入された状態になっている。素子分離領域STは、イオン注入で不純物イオンが注入されると、エッチングされやすくなり、エッチング速度が大きくなりやすい。すなわち、素子分離領域STにおいて、イオン注入で注入された不純物イオンが通過した領域と存在している領域とは、エッチングされやすい(エッチング速度が大きくなりやすい)状態になっている。このため、SOI領域1Aの半導体層SMに平面視で隣接する位置(領域)において、素子分離領域STに不純物イオンがかなり注入されていると、ステップS114のウェットエッチング工程を行った際に、SOI領域1Aの半導体層SMに隣接する位置にディボットDTが発生する懸念がある。
【0143】
そこで、上記ステップS1でSOI基板1を用意した段階での絶縁層BXの厚さと、上記ステップS2で絶縁膜ZM1を形成する段階での絶縁膜ZM1の厚さとを、薄くしておくことが考えられる。そうすれば、ステップS114のウェットエッチング工程において、エッチングすべきSOI領域1Aの絶縁膜ZM1とバルク領域1Bの絶縁層BXとの各厚さが小さくなるため、ステップS114におけるエッチング量を小さくすることができ、それによって、ステップS114における素子分離領域STのエッチング量を小さくすることができる。これにより、ステップS114のウェットエッチング工程で素子分離領域STが過剰にエッチングされるのを防止し、ディボットDTの発生を抑制することができ、また、ディボットDTが形成された場合でも、その深さを浅くすることができる。
【0144】
しかしながら、上記ステップS1でSOI基板1を用意した段階での絶縁層BXの厚さを薄くすることは、容易ではない。なぜなら、上記ステップS1でSOI基板1を用意した段階での絶縁層BXの厚さを薄くすれば、必然的に、製造された半導体装置において、SOI領域1Aの絶縁層BXの厚さが薄くなってしまうが、SOI領域1Aの絶縁層BXの厚さは、半導体装置の要求特性などに応じて最適な厚さに設定されるべきものだからである。なお、製造された半導体装置におけるSOI領域1Aの絶縁層BXの厚さは、上記ステップS1でSOI基板1を用意した段階での絶縁層BXの厚さが維持されている。SOI領域1Aの絶縁層BXの厚さを薄くしてしまうと、半導体装置の特性に悪影響を及ぼす虞がある。また、検討例の場合は、上記ステップS2で絶縁膜ZM1を形成する段階での絶縁膜ZM1の厚さを薄くしたとしても、それによって、ステップS114のウェットエッチング工程におけるエッチング量を小さくできるわけではない。なぜなら、検討例の場合は、上記ステップS2で絶縁膜ZM1を形成する段階での絶縁膜ZM1の厚さを薄くしたとしても、絶縁層BXの厚さが厚ければ、ステップS114のウェットエッチング工程におけるエッチング量は、バルク領域1Bの絶縁層BXを除去するのに十分なエッチング量に設定する必要があるからである。
【0145】
また、半導体領域GPに電圧を印加してSOI領域1AのMISFETのしきい値電圧を制御する場合は、SOI領域1Aの絶縁層BXの厚さが薄すぎると、その絶縁層BXの信頼性、例えばTDDB(Time Dependence on Dielectric Breakdown)寿命、が低くなる虞があるため、SOI領域1Aの絶縁層BXの厚さをある程度確保することが望ましい。
【0146】
このように、半導体装置の要求特性などを考慮してSOI領域1Aの絶縁層BXの厚さを設定する必要があるため、上記ステップS1でSOI基板1を用意した段階での絶縁層BXの厚さを薄くすることは、容易ではない。このため、検討例の製造工程の場合は、ステップS114のウェットエッチング工程を行う直前の段階でのSOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さとバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さとは、かなり厚くなってしまい、それゆえ、ステップS114のウェットエッチング工程におけるエッチング量がかなり大きくなってしまう。そして、検討例の製造工程の場合は、ステップS114のウェットエッチング工程を行う前に、SOI領域1Aの半導体基板SBに半導体領域GPを形成するためのイオン注入を行っていることで、そのイオン注入の際に素子分離領域STにも不純物イオンがかなり注入されてしまっている。
【0147】
従って、
図38〜
図45の検討例の製造工程の場合、不純物イオンがかなり注入された素子分離領域STは、ステップS114のウェットエッチング工程を行った際にエッチング速度が大きくなりやすく、しかも、ステップS114のウェットエッチング工程におけるエッチング量がかなり大きいことから、SOI領域1Aの半導体層SMに隣接する位置にディボットDTが発生する虞がある。
【0148】
このように、
図38〜
図45の検討例の製造工程の場合は、ステップS110のウェットエッチング工程とステップS114のウェットエッチング工程とで素子分離領域STがウェットエッチングされることに起因して、SOI領域1Aの半導体層SMに隣接する位置にディボットDTが発生する虞がある。ディボットDTが発生は、製造された半導体装置の信頼性の低下につながるため、半導体装置の信頼性を向上させるには、素子分離領域STにディボットDTが発生するのを抑制するか、あるいは、ディボットDTが発生したとしても、その深さを浅くすることが望ましい。
【0149】
<本実施の形態の主要な特徴について>
本実施の形態の主要な特徴のうちの一つは、ステップS9,S10,S11の各エッチング工程を、ドライエッチングにより行うことである。本実施の形態の主要な特徴のうちの他の一つは、ステップS11のエッチング工程を行うことである。
【0150】
本実施の形態では、SOI領域1A(第1領域)の絶縁膜ZM1を覆いかつバルク領域1B(第2領域)の絶縁膜ZM1を露出するフォトレジストパターンPR1(第1マスク層)を形成してから、ステップS9で、フォトレジストパターンPR1をエッチングマスクとして用いて、バルク領域1Bの絶縁膜ZM1をドライエッチングにより除去してバルク領域1Bの半導体層SMを露出させる。それから、ステップS10で、フォトレジストパターンPR1をエッチングマスクとして用いて、バルク領域1Bの半導体層SMをドライエッチングにより除去してバルク領域1Bの絶縁層BXを露出させる。それから、ステップS11で、フォトレジストパターンPR1をエッチングマスクとして用いて、バルク領域1Bの絶縁層BXをドライエッチングしてバルク領域1B絶縁層BXの厚さを薄くする。本実施の形態では、ステップS9,S10,S11の各エッチング工程を、ドライエッチングにより行っており、これにより、上記ディボットDTの発生を抑制または防止することができる。以下、具体的に説明する。
【0151】
本実施の形態では、ステップS9,S10,S11の各エッチング工程をドライエッチングにより行っているため、フォトレジストパターンPR1を形成した状態でステップS9,S10,S11の各エッチング工程を行うことができる。すなわち、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1をフォトレジストパターンPR1で覆った状態でステップS9,S10,S11の各エッチング工程を行うことができる。SOI領域1Aの絶縁膜ZM1をフォトレジストパターンPR1で覆えば、必然的に、平面視でSOI領域1Aの半導体層SMに隣接する領域の素子分離領域STもフォトレジストパターンPR1で覆われることになる。このため、平面視でSOI領域1Aの半導体層SMに隣接する領域の素子分離領域STもフォトレジストパターンPR1で覆われた状態で、ステップS9,S10,S11の各エッチング工程が行われることになる。このため、本実施の形態では、ステップS9,S10,S11の各エッチング工程において、平面視でSOI領域1Aの半導体層SMに隣接する領域の素子分離領域STはエッチングされずに済む。
【0152】
上記検討例(
図38〜
図45)の場合は、ステップS110のウェットエッチング工程が、フォトレジストパターンを形成していない状態で行われることが、ディボットDT発生の原因の一つであった。それに対して、本実施の形態では、ステップS9,S10,S11の各エッチング工程においては、フォトレジストパターンPR1が形成された状態でドライエッチングを行うため、平面視でSOI領域1Aの半導体層SMに隣接する領域の素子分離領域STはエッチングされずに済むため、ステップS9,S10,S11の各エッチング工程は、ディボットDT発生の原因にならずに済む。このため、上記ディボットDTの発生を抑制または防止することができる。
【0153】
また、本実施の形態では、ステップS11のエッチング工程を行っており、これにより、上記ディボットDTの発生を抑制または防止することができる。以下、具体的に説明する。
【0154】
本実施の形態においては、ステップS10のエッチング工程で、バルク領域1Bの半導体層SMを除去してバルク領域1Bの絶縁層BXを露出させた後、ステップS11のエッチング工程を行うことにより、バルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くする。これにより、ステップS14のエッチング工程を行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くすることができるため、ステップS14のエッチング工程におけるエッチング量を小さくすることができ、それによって、ステップS14のエッチング工程で素子分離領域STが過剰にエッチングされるのを抑制または防止することができる。このため、ステップS14のエッチング工程で素子分離領域STにディボット(DT)が発生するのを抑制または防止することができ、また、ステップS14のエッチング工程で素子分離領域STにディボット(DT)が形成された場合でも、その深さを浅くすることができる。従って、素子分離領域STのディボット(DT)に起因する不具合を抑制または防止することができるため、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0155】
すなわち、本実施の形態とは異なり、ステップS10のエッチング工程の後にステップS11のエッチング工程を行わなかった場合を仮定する。この場合、ステップS14のエッチング工程を行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さが厚くなるため、ステップS14におけるエッチング量が大きくなってしまう。そして、ステップS14の前のステップS12のイオン注入工程で素子分離領域STにも不純物イオンがかなり注入されてしまうことから、ステップS14における素子分離領域STのエッチング速度は大きくなりやすい。この場合、不純物イオンがかなり注入された素子分離領域STはステップS14のエッチング工程でエッチング速度が大きくなりやすいことと、ステップS14のエッチング工程におけるエッチング量が大きいことから、素子分離領域STにディボット(DT)が発生する虞があるため、半導体装置の信頼性が低下してしまう。
【0156】
それに対して、本実施の形態では、ステップS10のエッチング工程の後にステップS11のエッチング工程を行っているため、ステップS14のエッチング工程を行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くすることができ、それによって、ステップS14におけるエッチング量を小さくすることができる。このため、ステップS12のイオン注入工程で素子分離領域STにも不純物イオンがかなり注入されてしまうことから、素子分離領域STのエッチング速度が大きくなりやすいとしても、ステップS14におけるエッチング量を小さくできることで、素子分離領域STにディボットが発生するのを抑制または防止することができ、ディボットが形成された場合でも、その深さを浅くすることができる。これにより、素子分離領域STのディボットに起因する不具合を抑制または防止することができるため、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0157】
上述のように、
図38〜
図45の検討例の場合に、ステップS14に相当するステップS114のエッチング工程で素子分離領域STが過剰にエッチングされてディボットDTが発生する要因として、2つの要因がある。第1の要因は、ステップS114のエッチング工程の前に、イオン注入工程(ステップS112に相当)が行われ、そのイオン注入の際に素子分離領域STにも不純物イオンが注入されてしまっていることである。第2の要因は、ステップS114のエッチング工程のエッチング量が大きいことである。この第1の要因と第2の要因とが組み合わさることで、ステップS14に相当するステップS114のエッチング工程で素子分離領域STにディボットDTが発生しやすくなる。本実施の形態では、ステップS10のエッチング工程の後でかつステップS12のイオン注入の前に、ステップS11のエッチング工程を行ってバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くしたことで上記第2の要因を改善し、それによって、ステップS14で素子分離領域STにディボット(DT)が発生するのを抑制または防止している。
【0158】
また、本実施の形態では、ステップS11を行うことで、ステップS1でSOI基板1を用意した段階での絶縁層BXの厚さを薄くしなくとも、ステップS14のエッチング工程を行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くすることができ、ステップS14におけるエッチング量を小さくすることができる。このため、本実施の形態では、半導体装置の要求特性などを考慮してSOI領域1Aの絶縁層BXの厚さを最適な厚さに設定することができるとともに、ステップS11のエッチング工程を行うことで、ステップS14のエッチング工程を行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くすることができる。このため、半導体装置の要求特性などを考慮してSOI領域1Aの絶縁層BXの厚さを最適な厚さに設定することと、ステップS14におけるエッチング量を小さくすることとを、両立させることできる。従って、SOI領域1Aの絶縁層BXの厚さを最適な厚さに設定できることによる半導体装置の性能向上と、ステップS14におけるエッチング量を小さくしたことで素子分離領域STのディボットを抑制または防止できることによる半導体装置の信頼性の向上とを、両立させることができる。
【0159】
本実施の形態の他の特徴について、更に説明する。
【0160】
ステップS9のエッチング工程とステップS10のエッチング工程とは、エッチング対象が相違しているため、使用するエッチングガスが相違し、また、ステップS10のエッチング工程とステップS11のエッチング工程とは、エッチング対象が相違しているため、使用するエッチングガスが相違している。
【0161】
ステップS9は、バルク領域1Bの絶縁膜ZM1を除去することが主目的である。このため、ステップS9では、半導体層SMに比べて絶縁膜ZM1がエッチングされやすい条件、言い換えると絶縁膜ZM1に比べて半導体層SMがエッチングされにくい条件で、バルク領域1Bの絶縁膜ZM1をドライエッチングにより除去してバルク領域1Bの半導体層SMを露出させる。すなわち、ステップS9では、絶縁膜ZM1のエッチング速度が大きくなり、それに比べて半導体層SMのエッチング速度が小さくなるようなエッチング条件(エッチングガスの種類を含む)を選択する。これにより、ステップS9のエッチング工程で、バルク領域1Bの絶縁膜ZM1を的確に除去することができる。
【0162】
また、ステップS10は、バルク領域1Bの半導体層SMを除去することが主目的である。このため、ステップS10では、絶縁層BXに比べて半導体層SMがエッチングされやすい条件、言い換えると半導体層SMに比べて絶縁層BXがエッチングされにくい条件で、バルク領域1Bの半導体層SMをドライエッチングにより除去してバルク領域1Bの絶縁層BXを露出させる。すなわち、ステップS10では、半導体層SMのエッチング速度が大きくなり、それに比べての絶縁層BXのエッチング速度が小さくなるようなエッチング条件(エッチングガスの種類を含む)を選択する。これにより、ステップS10のエッチング工程で、バルク領域1Bの半導体層SMを的確に除去することができる。
【0163】
また、ステップS11は、バルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くすることが主目的である。このため、ステップS10におけるエッチング条件(エッチングガスの種類を含む)を用いた場合の絶縁層BXのエッチング速度よりも、ステップS11におけるエッチング条件(エッチングガスの種類を含む)を用いた場合の絶縁層BXのエッチング速度が大きく(エッチングガスの種類を含む)なる。すなわち、ステップS11のエッチング工程におけるバルク領域1Bの絶縁層BXのエッチング速度が、ステップS10のエッチング工程におけるバルク領域1Bの絶縁層BXのエッチング速度よりも大きくなるように、ステップS11のエッチング条件(エッチングガスの種類を含む)を選択するのである。
【0164】
本実施の形態とは異なり、ステップS10においてドライエッチングでバルク領域1Bの半導体層SMを除去してバルク領域1Bの絶縁層BXを露出させた後、エッチングガスを変えずにそのままドライエッチングを継続して、バルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くすることも考えられる。これは、ステップS10のエッチング工程において、バルク領域1Bの半導体層SMを除去してバルク領域1Bの絶縁層BXを露出させた後のオーバーエッチングを長時間行うことで、バルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くすることに対応しており、すなわち、ステップS11を行わずに、ステップS10においてオーバーエッチングを長時間行う場合に対応している。しかしながら、この場合は、ステップS14のエッチング工程を行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを正確に制御することは難しい。
【0165】
すなわち、ステップS10で使用するエッチング条件(エッチングガスの種類を含む)は、半導体層SMをエッチングするために相応しいエッチング条件であり、このエッチング条件を用いることで半導体層SMを選択的にエッチングでき、ステップS10でバルク領域1Bの半導体層SMを的確に除去することができる。しかしながら、このステップS10で使用するエッチング条件は、半導体層SMをエッチングするために相応しいエッチング条件であるため、このエッチング条件を用いたときの半導体層SMのエッチング速度は、ある程度正確に制御することができるが、このエッチング条件を用いたときの絶縁層BXのエッチング速度は、あまり正確には制御できない。このため、ステップS11を行わずに、ステップS10においてオーバーエッチングを長時間行った場合には、そのオーバーエッチングによってバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くしようとしても、バルク領域1Bの絶縁層BXの残存膜厚は、あまり正確には制御できず、従って、ステップS14を行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを正確に制御することは困難である。
【0166】
上述のように、ステップS14のエッチング工程で素子分離領域STにディボット(DT)が発生するのを防止するためには、ステップS14におけるエッチング量を小さくすることが有効である。ステップS14におけるエッチング量を小さくするためには、ステップS14のエッチング工程を行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くすることが有効である。しかしながら、ステップS14のエッチング工程を行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くしたとしても、その厚さをある程度正確に制御できなければ、ステップS14におけるエッチング量を小さくすることは難しい。なぜなら、ステップS14のエッチング工程を行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さがばらついてしまう場合は、ステップS14後にバルク領域1Bの絶縁層BXの除去残りが生じないように、ステップS14のエッチング量は多めに設定しなければならなくなるからである。ステップS14におけるエッチング量を小さくするには、ステップS14のエッチング工程を行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くするだけではなく、ステップS14のエッチング工程を行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さをある程度正確に制御できることも重要である。
【0167】
それに対して、本実施の形態では、ステップS10において、バルク領域1Bの半導体層SMをドライエッチングにより除去してバルク領域1Bの絶縁層BXを露出させた後、ステップS11において、ステップS10で使用したエッチングガスとは異なるエッチングガスを用いてバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くする。このため、本実施の形態の場合は、ステップS14のエッチング工程を行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さをある程度正確に制御することができる。
【0168】
すなわち、ステップS11で使用するエッチングガスは、絶縁層BXをエッチングするために相応しいエッチングガスである。このため、ステップS10におけるエッチング条件(エッチングガスの種類を含む)を用いた場合の絶縁層BXのエッチング速度よりも、ステップS11におけるエッチング条件(エッチングガスの種類を含む)を用いた場合の絶縁層BXのエッチング速度が大きくなる。ステップS11では、このようなエッチング条件を用いることにより、絶縁層BXのエッチング速度を、ある程度正確に制御することができる。このため、本実施の形態の場合は、ステップS11のエッチング工程で、バルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くするとともに、バルク領域1Bの絶縁層BXの残存膜厚を、ある程度正確に制御することができる。従って、本実施の形態の場合は、ステップS14のエッチング工程を行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くするだけではなく、ステップS14のエッチング工程を行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さをある程度正確に制御することができるため、ステップS14におけるエッチング量を、より小さくすることができる。このため、ステップS14のエッチング工程で素子分離領域STにディボット(DT)が発生するのを、より的確に抑制または防止することができる。
【0169】
本実施の形態では、ステップS1でSOI基板1を用意した段階での絶縁層BXの厚さを、半導体装置の要求特性などに応じて最適な厚さに設定できるとともに、ステップS11のエッチング工程でバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くする。ステップS10では、半導体層SMをエッチングするのに相応しいエッチング条件を選択することで、バルク領域1Bの半導体層SMを的確に除去し、ステップS11では、絶縁層BXをエッチングするのに相応しいエッチング条件を選択することで、バルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くすることができるとともに、その厚さを所定の厚さに的確に制御することができる。このため、ステップS14のエッチング工程において、エッチング量を的確に小さくすることができるので、素子分離領域STにディボットが発生するのを、的確に抑制または防止することができ、また、ディボットが形成された場合でも、その深さを浅くすることができる。従って、素子分離領域STのディボットに起因する不具合を的確に抑制または防止することができ、半導体装置の信頼性を的確に向上させることができる。
【0170】
また、ステップS9,S11の各エッチング工程は、異方性のドライエッチングを行うことが好ましく、ステップS10のエッチング工程は、等方性のドライエッチングを行うことが好ましい。その理由について、以下に説明する。
【0171】
すなわち、ステップS10では、エッチング対象が半導体層SMであるため、異方性のドライエッチングを行った場合は、バルク領域1Bにおいて、素子分離領域STの側壁上に半導体層SMのエッチング残りが残存する虞があるが、そのような半導体層SMのエッチング残りはできるだけ防止することが望ましい。このため、ステップS10のエッチング工程は、等方性のドライエッチングを行うことが好ましく、それにより、バルク領域1Bにおいて、素子分離領域STの側壁上に半導体層SMのエッチング残りが残存するのを的確に防止することができる。なお、ステップS9,S11の各エッチング工程に異方性のドライエッチングを適用した場合は、バルク領域1Bにおいて、素子分離領域STの側壁上に絶縁膜ZM1のエッチング残りや絶縁層BXのエッチング残りが残存する可能性があるが、それらのエッチング残りは絶縁体からなるため、不具合にはつながらずに済む。
【0172】
また、ステップS9,S11の各エッチング工程に、等方性のドライエッチングを用いた場合は、フォトレジストパターンPR1の側面の下方において、素子分離領域STがサイドエッチングされてしまう。このため、ステップS9,S11の各エッチング工程には、異方性のドライエッチングを用いることが好ましく、それにより、フォトレジストパターンPR1の側面の下方において、素子分離領域STがサイドエッチングされてしまうのを防止できる。これにより、素子分離領域STの平面寸法が小さくなった場合にも、本実施の形態の製造工程を適用しやすくなる。このため、半導体装置の小型化に有利になる。
【0173】
また、ステップS9とステップS11とを比べると、ステップS9における絶縁膜ZM1のエッチング速度よりも、ステップS11における絶縁層BXのエッチング速度が小さいことが、より好ましい。ステップS9では、バルク領域1Bの半導体層SMをエッチングストッパとして機能させることができるため、絶縁膜ZM1のエッチング速度を大きくすることで、エッチングに要する時間を短縮することができる。一方、ステップS11では、バルク領域1Bの半導体基板SBが露出する前にエッチングを終了するため、絶縁層BXのエッチング速度をあまり大きくしすぎると、バルク領域1Bの絶縁層BXのエッチング量の制御性が低くなってしまう虞がある。このため、ステップS9における絶縁膜ZM1のエッチング速度を大きくして、ステップS9に要する時間を短縮するとともに、ステップS9における絶縁膜ZM1のエッチング速度よりもステップS11における絶縁層BXのエッチング速度を小さくすることで、ステップS11を終了した段階の絶縁層BXの厚さを所定の厚さに制御しやすくなる。
【0174】
また、ステップS11のエッチングを終了した直後におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さTB11は、3nm以上であることが好ましい(すなわちTB11≧3nm)。
【0175】
ステップS11のエッチングを終了した直後におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さTB11が薄すぎると、ステップS11を終了した段階でバルク領域1Bの半導体基板SBが部分的に露出する虞がある。ステップS11を終了した段階でバルク領域1Bの半導体基板SBが部分的に露出してしまうと、ステップS12やステップS13で形成するフォトレジスト膜が半導体層SMや半導体基板SBの露出面に接触することになるが、これは望ましくない。このため、ステップS11のエッチングを終了した直後におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さTB11は、3nm以上であることが好ましく、これにより、ステップS11を終了した段階でバルク領域1Bの半導体基板SBが部分的に露出してしまうのを的確に防止することができる。
【0176】
また、ステップS11のエッチング工程におけるバルク領域1Bの絶縁層BXのエッチング厚さは、3nm以上であることが好ましい。すなわち、ステップS11のエッチングを行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さTB10と、ステップS11のエッチングを終了した直後におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さTB11との差は、3nm以上であることが好ましい(すなわちTB10−TB11≧3nm)。これにより、ステップS14のエッチング工程におけるエッチング量を的確に減らすことができるため、ステップS14のエッチング工程で素子分離領域STにディボットが発生するのを抑制または防止する効果を、的確に得ることができるようになる。
【0177】
また、素子分離領域STにディボットが形成されてしまう課題は、素子分離領域STの材料が絶縁膜ZM1および絶縁層BXの材料と同じであることで、ステップS14のエッチング工程で絶縁膜ZM1および絶縁層BXをエッチングしたときに、素子分離領域STもエッチングされてしまうことから発生する課題である。このため、本実施の形態は、素子分離領域STと絶縁膜ZM1と絶縁層BXとが、同じ材料からなる場合に適用すれば、効果が大きい。素子分離領域STと絶縁膜ZM1と絶縁層BXとは、好ましくは酸化シリコンからなる。
【0178】
また、本実施の形態では、ステップS14のエッチング工程を行う直前におけるSOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さTA14とバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さTB14とは、同じであることが好ましい(すなわちTA14=TB14)。なお、厚さTA14,TB14は、
図17に示してある。これにより、ステップS14のエッチング工程におけるエッチング量を効率的に減らすことができるため、ステップS14のエッチング工程で素子分離領域STにディボットが発生するのを抑制または防止する効果を、的確に得ることができるようになる。
【0179】
すなわち、ステップS14のエッチング工程を行う直前において、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1がバルク領域1Bの絶縁層BXよりも厚い場合は、その厚い絶縁膜ZM1の厚さに合わせて、ステップS14におけるエッチング量を設定する必要がある。また、ステップS14のエッチング工程を行う直前において、バルク領域1Bの絶縁層BXがSOI領域1Aの絶縁膜ZM1よりも厚い場合は、その厚い絶縁層BXの厚さに合わせて、ステップS14におけるエッチング量を設定する必要がある。このため、ステップS14におけるエッチング量を効率的に減らすためには、ステップS14のエッチング工程を行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さTB14を薄くするとともに、ステップS14のエッチング工程を行う直前におけるSOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さTA14とバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さTB14とを同じにした方が、より有利である。
【0180】
ステップS14のエッチング工程を行う直前におけるSOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さTA14とバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さTB14とを同じ(TA14=TB14)にするためには、ステップS11のエッチング工程を終了した直後におけるSOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さTB11とバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さTA11とが同じ(TA11=TB11)であればよい。このため、ステップS11のエッチング工程では、バルク領域1Bの絶縁層BXの厚さがSOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さと同じになるように、バルク領域1Bの絶縁層BXをドライエッチングしてバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くすることが好ましい。これにより、ステップS14のエッチング工程におけるエッチング量を効率的に減らすことができるため、ステップS14のエッチング工程で素子分離領域STにディボットが発生するのを抑制または防止する効果をより的確に得ることができる。
【0181】
また、ステップS11のエッチング工程を終了した直後におけるSOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さTB11とバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さTA11とが同じ(TA11=TB11)になるように、ステップS11のエッチング条件を設定することが望ましい。しかしながら、そのようにエッチング条件を設定しても、エッチング工程の変動によっては、ステップS11のエッチング工程を終了した直後におけるSOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さTB11とバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さTA11とに、差が生じることもあり得る。そのような場合であっても、バルク領域1Bの絶縁層BXの厚さとSOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さとの差(差の絶対値)は、ステップS11を行う直前よりも、ステップS11のエッチング工程を終了した直後の方が小さくなることが好ましい。すなわち、ステップS11を行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さTB10とSOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さTA10との差(差の絶対値)よりも、ステップS11を終了した直後におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さTB11とSOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さTA11との差(差の絶対値)の方が、小さくなることが好ましい。ステップS11のエッチング工程によりバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さを薄くしただけでなく、バルク領域1Bの絶縁層BXの厚さとSOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さとの差(差の絶対値)を小さくしたことで、ステップS14のエッチング工程を行う直前におけるバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さとSOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さとの差(差の絶対値)を小さくすることができる。これにより、ステップS14のエッチング工程におけるエッチング量を効率的に減らすことができるため、ステップS14のエッチング工程で素子分離領域STにディボットが発生するのを抑制または防止する効果を的確に得ることができる。
【0182】
また、ステップS11におけるバルク領域1Bの絶縁層BXのエッチング厚みを考慮し、ステップS11のエッチング工程を終了した直後の段階において、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さ(TA11)とバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さ(TB11)とが同じ(TA11=TB11)になるように、上記ステップS2における絶縁膜ZM1の形成膜厚を設定することが好ましい。具体的には、上記ステップS2における絶縁膜ZM1の形成膜厚は、上記ステップS2を行う段階での絶縁層BXの厚さから、ステップS11におけるバルク領域1Bの絶縁層BXのエッチング厚み(エッチング量)を差し引いた厚さに設定しておけばよい。そうすれば、ステップS11のエッチング工程を終了した直後の段階において、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さ(TA11)とバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さ(TB11)とがほぼ同じ(TA11=TB11)になる。一方、上記ステップS1でSOI基板1を用意した段階での絶縁層BXの厚さは、半導体装置の要求特性などに応じて設定すればよい。
【0183】
このため、ステップS2で絶縁膜ZM1を形成した段階で、絶縁膜ZM1の厚さは、絶縁層BXの厚さよりも薄くなっている。そして、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さがバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さよりも薄いという関係は、ステップS2の後、ステップS11のエッチング工程を行う直前まで維持され、ステップS11のエッチング工程を行うと、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さがバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さとが、ほぼ同じになる。このため、
図4〜
図12の各段階において、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さは、バルク領域1Bの絶縁層BXの厚さよりも薄くなっており、
図13〜
図17の各段階において、SOI領域1Aの絶縁膜ZM1の厚さは、バルク領域1Bの絶縁層BXの厚さとほぼ同じになっている。なお、上記ステップS1でSOI基板1を用意した後、ステップS10でバルク領域1Bの絶縁層BXを露出させるまでは、SOI領域1Aの絶縁層BXの厚さとバルク領域1Bの絶縁層BXの厚さとは、互いに同じである。
【0184】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。