【実施例】
【0090】
実施形態例1 − 2−((ジメチルアミノ)メチル)−8−フルオロ−インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオン(1a)の合成
具体的な工程は以下のとおりである:
工程(1):6−メチル−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−
2,4−ジオン(3a)の合成
化合物2a(500mg、3mmol)を、10mlの乾燥ジクロロメタン中で懸濁させ、その後、メタ−クロロペルオキシ安息香酸(1.3g、6mmol、75%)を、0℃で何回かに分けて加えた。TLCにより、反応が室温で2時間にわたる混合物の撹拌の後に完了したことが示され、その後、反応において生成された白色の固体をろ過して取り除き、10mlの酢酸エチルで3回洗浄して、化合物3a(350mg、65%)を得た。
【0091】
工程(2):8−フルオロ−2−メチル−インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオン(4a)の合成
化合物3a(1g、5.6mmol)と、5−フルオロイサチン(0.93g、5.6mmol)と、トリエチルアミン(1.5ml、11.2mmol)との混合物を、乾燥トルエン(10ml)中で懸濁させ、110℃で4時間加熱した。溶媒を減圧下で蒸留して取り除き、このように得られた黄色の固体を、2mlのジクロロメタンに溶解させ、その後、2mlの酢酸エチルを加え、黄色の固体をろ過し、2mlの酢酸エチルで3回洗浄して、黄色の固体化合物、すなわち、化合物4a(1.1g、75%)を得た。
【0092】
特性評価データ:
1H NMR(400MHz、DMSO)δ 8.50(dd,J=8.8、4.2Hz、1H)、8.14(s,1H)、7.86(d,J=8.2Hz、1H)、7.82〜7.76(m,1H)、7.76〜7.67(m,1H)、7.44〜7.37(m,1H)、2.53(s,3H)。
【0093】
工程(3):2−(ブロモメチル)8−フルオロ−インドール[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオン(5a)の合成
NBS(381mg、2.14mmol)とAIBN(29mg、0.18mmol)との混合物を、窒素ガスの保護下で、80℃の温度で化合物4a(500mg、1.78mmol)を含有するジクロロメタン溶液(3.6ml)に、3回に分けて加えた。反応溶液を、16時間にわたって80℃に加熱した。TLCにより、反応が完了したことが確認されたら、反応溶液を室温に冷まし、塩溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させたところ、
有機相が濃縮されて、黄色の生成物(5a)が得られた。
【0094】
特性評価データ:
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ 8.66(dd,J=8.8、4.0Hz、1H)、8.45(d,J=1.9Hz、1H)、8.04(d,J=8.3Hz、1H)、7.90(dd,J=8.3、2.1Hz、1H)、7.61(dd,J=6.5、2.6Hz、1H)、7.52(td,J=8.6、2.7Hz、1H)、4.65(s,2H)。
【0095】
工程(4):2−((ジメチルアミノ)メチル)−8−フルオロインドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオン(1a)の合成
化合物5a(500mg、1.39mmol)、ジメチルアミン塩酸塩(227mg、2.78mmol)、ヨウ化カリウム(10mg)およびトリエチルアミン(0.5ml)を、2時間にわたって室温でDMFの5mlの溶液中で撹拌した。TLCにより、反応が完了したことが確認されたら、50mlの水を加え、10mlの酢酸エチルを用いて3回連続抽出を行い、その後、有機相を水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥を行った。得られた濃縮された黄色の固体を、シリカゲルカラムを用いて分離させたところ、黄色の化合物(1a)が得られた。
【0096】
特性評価データ:
1HNMR(400MHz、CDCl
3)δ 8.63(dd,J=8.8、4.1Hz、1H)、8.33(d,J=1.5Hz、1H)、7.98(d,J=8.3Hz、1H)、7.87(dd,J=8.3、1.8Hz、1H)、7.58(dd,J=6.5、2.6Hz、1H)、7.48(td,J=8.7、2.7Hz、1H)、3.61(s,2H)、2.30(s,6H)。
【0097】
実施形態例2 − 4−((8−フルオロ−6,12−ジオキソ−6,12−ジヒドロキシ−インドロ[2,1−b]キノリン−2−イル)メチル)ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1b)の合成
工程(1)〜(3)は、実施形態例1に規定されるとおりである。
【0098】
工程(4):4−((8−フルオロ−6,12−ジオキソ−6,12−ジヒドロキシ−インドロ[2,1−b]キノリン−2−イル)メチル)ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1b)の合成
化合物5a(500mg、1.39mmol)、N−Bocピペラジン(546mg、2.78mmol)、ヨウ化カリウム(10mg)およびトリエチルアミン(0.5ml)を、2時間にわたって室温でDMFの5mlの溶液中で撹拌した。TLCにより、反応が完了したことが確認されたら、50mlの水を加え、10mlの酢酸エチルを用いて3回連続抽出を行い、その後、有機相を水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥を行った。得られた濃縮された黄色の固体を、シリカゲルカラムを用いて分離させたところ、黄色の化合物(1b)が得られた。
【0099】
特性評価データ:
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ 8.66(dd,J=8.8、4.0Hz、1H)、8.39(d,J=1.5Hz、1H)、8.01(d,J=8.3Hz、1H)、7.90(dd,J=8.3、1.8Hz、1H)、7.60(dd,J=6.5、2.6Hz、1H)、7.51(td,J=8.6、2.7Hz、1H)、3.71(s,2H)、3.47(m,4H)、2.46(m,4H)、1.48(s,9H)。
【0100】
実施形態例3 − 8−フルオロ−2−(ピペラジン−1−イルメチル)インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオン(1c)の合成
工程(1)〜(3)は、実施形態例1に規定されるとおりである。
【0101】
工程(4):8−フルオロ−2−(ピペラジン−1−イルメチル)インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオン(1c)の合成
化合物5a(500mg、1.39mmol)、N−Bocピペラジン(546mg、2.78mmol)、ヨウ化カリウム(10mg)およびトリエチルアミン(0.5ml)を、2時間にわたって室温でDMFの5mlの溶液中で撹拌した。TLCにより、反応が完了したことが確認されたら、50mlの水を加え、10mlの酢酸エチルを用いて3回連続抽出を行い、その後、有機相を水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥を行ったところ、
有機相が濃縮されて、黄色の固体が得られた。黄色の固体を、3mlのジクロロメタンに溶解させ、さらに1mlのトリフルオロ酢酸を室温で加えた。反応溶液を室温で1時間撹拌し、TLC(CH
2Cl
2/MeOH=10/1、Rf 0.2)により、反応が完了したことが確認されたら、溶媒を減圧下で除去し、10mlの保護NaHCO
3溶液を加え、酢酸エチル(10ml×3)を用いて抽出を行い、その後、有機相を塩溶液で洗浄し、乾燥を行ったところ、濃縮された固体が得られ、それを、シリカゲルカラムを用いて分離させたところ、黄色の固体化合物(1c)が得られた。
【0102】
特性評価データ:
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ 8.65(dd,J=8.8、4.0Hz、1H)、8.37(s,1H)、8.00(d,J=8.3Hz、1H)、7.89(dd,J=8.3、1.6Hz、1H)、7.59(dd,J=6.5、2.6Hz、1H)、7.50(td,J=8.7、2.7Hz、1H)、3.70(s,2H)、3.51〜3.44(m,4H)、2.46(s,4H)。
【0103】
実施形態例4 − 8−フルオロ−2−((4−メチル−ピペラジン−1−イル)メチル)インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオン(1d)の合成
工程(1)〜(3)は、実施形態例1に規定されるとおりである。
【0104】
工程(4):8−フルオロ−2−((4−メチル−ピペラジン−1−イル)メチル)インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオン(1d)の合成
化合物5a(220mg、0.61mmol)、N−メチルピペラジン(122mg、1.22mmol)、ヨウ化カリウム(10mg)およびトリエチルアミン(0.5ml)を、2時間にわたって室温でDMFの5mlの溶液中で撹拌した。TLCにより、反応が完了したことが確認されたら、50mlの水を加え、10mlの酢酸エチルを用いて3回連続抽出を行い、その後、有機相を水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥を行った。得られた濃縮された黄色の固体を、シリカゲルカラムを用いて分離させたところ、黄色の化合物(1d)が得られた。
【0105】
特性評価データ:
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ 8.65(dd,J=8.8、4.0Hz、1H)、8.38(d,J=1.5Hz、1H)、7.99(d,J=8.3Hz、1H)、7.87(dd,J=8.3、1.8Hz、1H)、7.59(dd,J=6.5、2.6Hz、1H)、7.50(td,J=8.7、2.7Hz、1H)、3.50(s,2H)、2.59(s,8H)、2.38(s,3H)。
【0106】
実施形態例5 − 8−フルオロ−2−((モルホリノ−1−イル)メチル)インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオン(1e)の合成
工程(1)〜(3)は、実施形態例1に規定されるとおりである。
【0107】
工程(4):8−フルオロ−2−((モルホリノ−1−イル)メチル)インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオン(1e)の合成
化合物5a(500mg、1.39mmol)、モルホリン(242mg、2.78mmol)、ヨウ化カリウム(10mg)およびトリエチルアミン(0.5ml)を、2時間にわたって室温でDMFの5mlの溶液中で撹拌した。TLC(EtOAc、Rf 0.5)により、反応が完了したことが確認されたら、50mlの水を加え、10mlの酢酸エチルを用いて3回連続抽出を行い、その後、有機相を水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥を行ったところ、濃縮された黄色の固体が得られ、それを、シリカゲルカラム(EtOAc)を用いて分離させたところ、黄色の化合物(1e)が得られた。
【0108】
特性評価データ:
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ 8.66(dd,J=8.8、4.1Hz、1H)、8.39(s,1H)、8.01(d,J=8.3Hz、1H)、7.90(dd,J=8.3、1.7Hz、1H)、7.60(dd,J=6.5、2.7Hz、1H)、7.51(td,J=8.6、2.7Hz、1H)、3.79〜3.73(m,4H)、3.70(s,2H)、2.52(s,4H)。
【0109】
実施形態例6 − 2−((4−メチル−ピペラジン−1−イル)メチル)インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオン(1f)の合成
工程(1)は、実施形態例1に規定されるとおりである。
【0110】
工程(2):2−メチル−インド
ロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオン(4b)の合成
化合物3a(1.7g、9.6mmol)と、イサチン(1.4g、9.6mmol)と、トリエチルアミン(2.7ml、19.2mmol)との混合物を、乾燥トルエン(18ml)中で懸濁させ、110℃で4時間加熱した。反応溶液を室温に冷ましてから、得られた黄色の固体をろ過し、2mlの酢酸エチルで3回洗浄して、黄色の固体化合物(4b)(0.5g、20%)を得た。
【0111】
特性評価データ:
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ 8.65(d,J=8.1Hz、1H)、8.25(s,1H)、7.94(dd,J=7.8、5.0Hz、2H)、7.85〜7.75(m,1H)、7.71〜7.64(m,1H)、7.44(t,J=7.5Hz、1H)、2.58(s,3H)。
【0112】
工程(3):2−
ブロモメチル−インド
ロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオン(5b)の合成
NBS(381mg、2.14mmol)とAIBN(29mg、0.18mmol)との混合物を、窒素ガスの保護下で、80℃の温度で化合物4b(262mg、1.0mmol)を含有するジクロロメタン溶液(5ml)に、3回に分けて加えた。反応溶液を室温に冷ましてから、塩溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥を行ったところ、
有機相が濃縮されて、黄色の生成物(5b)(245mg、91%)が得られた。
【0113】
工程(4):2−((4−メチル−ピペラジン−1−イル)メチル)インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオン(1f)の合成
化合物5b(220mg、0.61mmol)、N−メチルピペラジン(116mg、1.616mmol)、ヨウ化カリウム(10mg)およびトリエチルアミン(0.5ml)を、2時間にわたって室温でDMFの5mlの溶液中で撹拌した。TLCにより、反応が完了したことが確認されたら、50mlの水を加え、10mlの酢酸エチルを用いて3回連続抽出を行い、その後、有機相を水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥を行った。得られた濃縮された黄色の固体を、シリカゲルカラムを用いて分離させたところ、黄色の化合物(1f)(120mg、55%)が得られた。
【0114】
特性評価データ:
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 8.66(d,J=8.1Hz、1H)、8.39(s,1H)、8.01(d,J=8.3Hz、1H)、7.94(d,J=7.5Hz、1H)、7.89(dd,J=8.2、1.7Hz、1H)、7.82(t,J=7.8Hz、1H)、7.45(t,J=7.5Hz、1H)、3.71(s,2H)、2.71〜2.41(m,8H)、2.33(s,3H)。
【0115】
実施形態例7 − IDO阻害活性の検出
大腸菌(Escherichia coli)で発現される、ヒトIDO遺伝子を含有するプラスミドの構築の際、抽出および精製を、Littlejohnらによって報告される方法にしたがって行った(Takikawa O,Kuroiwa T,Yamazaki F,et al.J.Biol.Chem.1988,263,2041−2048)。各化合物についてのIDO阻害活性を、文献に記載される方法を用いて検出した。50mMのリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)、40mMのビタミンC、400μg/mlのカタラーゼ、20μMのメチレンブルーおよびIDO酵素を、96ウェルプレートにおいて一緒に混合した。次に、基質L−トリプトファンおよび試験される試料を、上記の混合物に加えた。反応を、37℃で60分間行い、その後、30%(w/v)のトリクロロ酢酸を加えることによって、反応を停止させた。96ウェルプレートを、15分間にわたって65℃に加熱して、ホルミルキヌレニンからキヌレニンへの転化を完了させ、5分間にわたって6000gで遠心分離を行った。100μlの上清を、各ウェルから除去し、新たな96ウェルプレートに移し、その後、2%(w/v)のp−(ジメチルアミノ)ベンズアルデヒドの酢酸溶液を加え、キヌレニンとの得られた反応の結果として生じた黄色が、マイクロプレートリーダーにおいて490nmで観察可能であり;実験結果が表1に示される。
【0116】
実施形態例8 − 阻害剤が可逆性であるか否かの判定
阻害剤の一定の濃度を所与として、一連の異なる酵素濃度を試験し、得られた反応速度を測定した。酵素濃度に対する反応速度のグラフ(ν−[E])をプロットし、得られた曲線の特徴に基づいて、阻害剤が可逆性であるか否かを判定することができた。
【0117】
反応条件:50mMのリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)、40mMのビタミンC、400μg/mlのカタラーゼ、20μMのメチレンブルーおよび300mMの基質L−トリプトファンまたは同時に100mMの阻害剤を、500μlの反応系に加え、その後、混合物を、5分間にわたって37℃に維持し、その後、様々な体積のIDO酵素を、上記の混合物に加え、得られた反応を、37℃で30分間進行させ、200μLの30%(w/v)のトリクロロ酢酸を加えて、反応を停止させ;反応系を、15分間にわたって65℃に加熱して、ホルミルキヌレニンからキヌレニンへの転化を完了させ、その後、12,000rpmで10分間にわたって遠心分離を行い、上清を除去し、等体積の2%(w/v)のp−ジメチルアミノベンズアルデヒド酢酸溶液と混合し、490nmの波長でプレートリーダーを用いて測定を行った。ν−[E]をプロットし、実験結果が表1に示される。
【0118】
実施形態例9 − 阻害剤タイプの決定およびKi値の測定
50mMのリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)、40mMのビタミンC、400μg/mlのカタラーゼ、20μMのメチレンブルーおよび100、250または300mMの基質L−トリプトファンを、500μlの反応系に加え、様々な濃度の化合物を、所与の単一の基質濃度で各反応系に加え、その後、混合物を、5分間にわたって37℃に維持し、その後、10μlのIDO(約20nM)を、上記の混合物に加え、得られた反応を、37℃で30分間進行させ、200μLの30%(w/v)のトリクロロ酢酸を加えて、反応を停止させ;反応系を、15分間にわたって水浴中で65℃に加熱して、ホルミルキヌレニンからキヌレニンへの転化を完了させ、その後、12,000rpmで10分間にわたって遠心分離を行い、上清を除去し、等体積の2%(w/v)のp−ジメチルアミノベンズアルデヒド酢酸溶液と混合し、490nmの波長でプレートリーダーを用いて測定を行った。ディクソンプロット(1/v−[I])を用いて、化合物によって構成される阻害剤のタイプを判定し、S/v−[I]のプロットを作成して、阻害剤のKi値を取得し;実験結果が表1に示される。
【0119】
実施形態例10 − 半数影響阻害濃度IC
50の測定
50mMのリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)、40mMのビタミンC、400μg/mlのカタラーゼ、20μMのメチレンブルー、150mMの基質L−トリプトファンおよび阻害剤を、一緒に混合した。100、200、400、600、800、1000または1200μMの阻害剤を含有する混合物を、5分間にわたって37℃に加熱し、次に、IDO酵素を、上記の混合物に加えた。反応を、30分間にわたって37℃で進行させ、その後、200μLの30%(w/v)のトリクロロ酢酸を加えて、反応を停止させ;反応系を、15分間にわたって65℃に加熱して、ホルミルキヌレニンからキヌレニンへの転化を完了させ、その後、12,000rpmで10分間にわたって遠心分離を行い、200μLの上清を除去し、等体積の2%(w/v)のp−ジメチルアミノベンズアルデヒド酢酸溶液と混合し、キヌレニンとの得られた反応の結果として生じた黄色が、マイクロプレートリーダーにおいて490nmで観察可能であり;このように得られた結果を、IC
50計算ソフトウェアに送って、阻害剤のIC
50値を取得し;実験結果が表1に示される。
【0120】
実施形態例11 − 半数影響阻害濃度IC50(細胞)の測定
リポソームLipofectamin 2000を用いて、HEK 293細胞に、pcDNA3.1−hIDOプラスミドをトランスフェクトした。細胞レベルで阻害活性を測定する場合、HEK293細胞培養培地は、50U/mLのペニシリン、50U/mLのストレプトマイシンおよび10%のFBSを含有する高グルコースDMEMに相当し、培養を、5%のCO
2下で、37℃で行った。プラスミドによる細胞のトランスフェクションの24時間後、試験薬を加え、インキュベーションを行い、その後、上清を、別の96ウェルプレートに移し、10μLの30%(w/v)のトリクロロ酢酸を加え、混合物を、15分間にわたって65℃に加熱して、ホルミルキヌレニンからキヌレニンへの転化を完了させ、その後、12,000rpmで10分間にわたって遠心分離を行い、等体積の2‰(w/v)のp−ジメチルアミノベンズアルデヒド酢酸溶液を混ぜ入れ、プレートリーダーを用いて490nmで吸光度を測定し;実験結果が表1に示される。
【0121】
実施形態例1〜6において得られた化合物のIDO阻害活性の測定を、上記の実施形態例7〜11に示される方法を用いて行い、インビボおよびインビトロ実験の両方で現在一般的に使用されるIDO阻害剤1−メチル−トリプトファン(1−MT、市販されている)を、対照として使用し;結果が表1に示される。
【0122】
実施例12 − T細胞増殖アッセイ
12.1.脾臓リンパ球の単離(リンパ球分離培地の説明書にしたがって行われる):
1.2匹のマウスを、頸椎脱臼によって殺処分し、脾臓を滅菌された台の上で取り出し、後の使用のために、RP1640培養培地を含有する6cmのプレートに置いた。
2.100μmのメッシュを、50mLの遠心分離管に入れ、各脾臓を、はさみを用いてより小さい片に切断し、ふるいの上で粉砕し、少量のRP1640を、保存のために加えた。
3.次に、得られたスラリーの体積の2倍に相当するリンパ球分離培地を加えた。
4.20分間にわたって800gで遠心分離を行い、その後、3つの分かれた層が見え、中間層が、わずかに黄色がかった色合いを示していた。
5.中間層中の細胞を取り出し、RP1640培養培地を加えて、逆洗を行った。次に、細胞を、室温で10分間にわたって250gで遠心分離し、細胞を収集した。
6.培養培地を吸い出し、細胞を、RP1640培地中で再懸濁させ、その後、細胞計数を行った。
【0123】
12.2.LLC(ルイス肺癌)細胞治療:
1.培地(高グルコースDMEM、10%のFBS)を吸い出し、PBSを用いて洗浄を1〜2回行った;
2.0.25%のトリプシンを加えて、消化を開始させた;
3.トリプシンを吸い出し、培養培地を加え、その後、細胞をピペットで取り、1.5mLの遠心分離管に移した;
4.遠心分離の後、上清の吸引を行い、細胞を1mLのDMEM培養培地中で再懸濁させた;
5.マイトマイシンC(最終濃度:25μg/mL)を加え、混合物を、均一になるまでピペットで吸引および排出し、混合物を30分間にわたって37℃の浴に入れた;
6.RP1640で3回洗浄を行い、細胞を計数し、試料を取っておいた。
【0124】
12.3.実験手順
1.処理されたLLC細胞(2×10
4個の細胞/ウェル;刺激細胞)および脾臓リンパ球(10
5個の細胞/ウェル;反応細胞)を、96ウェルプレートに加え、その後、RP1640(10%のFBSを加えて、体積を200μLにした;
2.グループ分けを行い、50μMのIDO阻害剤を投与群に加え、その後、試料を、37℃、95%の相対湿度(RH)、5%のCO
2の培養器に入れ、72時間にわたって培養した;
3.WST−1試薬キットを用いて、T細胞増殖を測定し、プレートリーダーを用いて、450nmの波長における吸光度値を測定した;
4.Tリンパ球増殖率の計算:
Tリンパ球増殖率(%)=[投与群ウェル(Tリンパ球+LLC細胞+IDO阻害剤)OD値
− 対照ウェル(Tリンパ球+LLC細胞)OD値]/対照ウェルl(Tリンパ球+LLC細胞)OD値×100%。
【0125】
12.4.実験結果
【0126】
実施形態例13 − 8−フルオロ−2−((4−メチル−ピペラジン−1−イル)メチル)インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオン(実施形態例4)の抗腫瘍効果
1.LLCルイス腫瘍モデルの形成:Shanghai Slyke Experimental Animal Centerから購入した20±1gの重量の健常な雌C57BL/6マウスを、SPFグレードの実験室で飼育した。滅菌生理食塩水を用いて、ルイス肺癌細胞を1×10
7個/mLの濃度で懸濁させた。細胞を、滅菌操作条件下で、マウスの脇の下の領域に皮下接種し、0.2mLが各動物に接種された。
【0127】
2.実験のグループ分けおよび予防的投与:マウスを、10匹の動物の5つの群に無作為に分けた。対照群に、強制経口投与によって等体積の0.5%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを与え;1−メチル−トリプトファン(1−MT)を、強制経口投与によって高用量群では150mg/kgおよび低用量群では75mg/kgの濃度で投与し;8−フルオロ−2−((4−メチル−ピペラジン−1−イル)メチル)インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオンを、強制経口投与によって高用量群では150mg/kgおよび低用量群では75mg/kgの濃度で投与した。腫瘍接種を、7日間の連続投与の後に行い、その後、投与を21日間にわたって継続し、腫瘍増殖を観察した。長軸(a)および短軸(b)に沿った腫瘍長さを、腫瘍接種の日から開始して、その後1日おきに測定した。腫瘍容積=ab
2/2である。投与を中断した翌日に、マウスを頸椎脱臼によって殺処分し、腫瘍を取り出し、秤量し、液体窒素中で保存した。
【0128】
3.予防的投与についての治療結果:1週間続く予防的投与、続いて接種後の連続投与の後、8−フルオロ−2−((4−メチル−ピペラジン−1−イル)メチル)インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオンを投与されたマウスは、著しく阻害されたインビボでのルイス肺癌腫瘍増殖を示し;投与を開始した20日後に、高用量群では、顕著な腫瘍形成が観察されなかった一方、対照群では、投与の開始のわずか11日後に腫瘍形成が認められ;1−MT群のマウスは、投与の開始の13日後に腫瘍形成を示した。腫瘍容積に基づいて、8−フルオロ−2−((4−メチル−ピペラジン−1−イル)メチル)インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオンおよび1−MT高用量群について観察された腫瘍抑制率はそれぞれ、62.15%および32.35%であった一方、低用量群では、腫瘍抑制率は、46.62%および27.00%であった。腫瘍重量に基づいて、8−フルオロ−2−((4−メチル−ピペラジン−1−イル)メチル)インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオンおよび1−MT高用量群について観察された腫瘍抑制率はそれぞれ、57.8%および28.2%であった。8−フルオロ−2−((4−メチル−ピペラジン−1−イル)メチル)インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオンを投与された動物は、正常体重、つやのある毛およびより柔軟な反応を示した。
【0129】
4.実験のグループ分けおよび接種後投与:腫瘍接種を行った48時間後に、マウスを、10匹の動物の4つの群に無作為に分けた。腫瘍直径が5mmに達したら、初期用量を投与した。対照群の動物に、強制経口投与によって等体積の0.5%のCMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)を投与し;1−MT群の動物に、強制経口投与によって200mg/kgの用量を投与し;8−フルオロ−2−((4−メチル−ピペラジン−1−イル)メチル)インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオン群の動物に、強制経口投与によって200mg/kgの用量を投与し;パクリタキセル群の動物に、1週間に1回の静脈注射によって100mg/kgの用量を投与し;8−フルオロ−2−((4−メチル−ピペラジン−1−イル)メチル)インドロ[2,1−b]キノリンオキサゾリン−6,12−ジオン+パクリタキセル群の動物に、2週間にわたって連続して200mg/kgの8−フルオロ−2−((4−メチル−ピペラジン−1−イル)メチル)インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオンおよび100mg/kgのパクリタキセル(尾静脈注射)を投与した。長軸(a)および短軸(b)に沿った腫瘍長さを、投与の日から開始して、その後1日おきに測定した。腫瘍容積=ab
2/2である。投与を中断した翌日に、マウスを頸椎脱臼によって殺処分し、腫瘍を取り出し、秤量し、液体窒素中で保存した。
【0130】
5.接種後投与の治療結果:動物に、強制経口投与による200mg/kgの8−フルオロ−2−((4−メチル−ピペラジン−1−イル)メチル)インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオンまたは1−MTの2週間の連続投与を行った後、インビボでのルイス肺癌腫瘍増殖は、対照群と比較して顕著な阻害を示し、腫瘍増殖の阻害は、1−MT群と比べて8−フルオロ−2−((4−メチル−ピペラジン−1−イル)メチル)インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオン群においてより顕著であった。腫瘍容積に基づいて、8−フルオロ−2−((4−メチル−ピペラジン−1−イル)メチル)インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオン、1−MT、パクリタキセルおよび8−フルオロ−2−((4−メチル−ピペラジン−1−イル)メチル)インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオン+パクリタキセル群について観察された腫瘍抑制率はそれぞれ、23.38%、15.68%、51.45%および72.48%であった。臨床診療に一般的に使用される化学療法薬として、パクリタキセルは、一般に、腫瘍増殖の阻害をもたらしたが、この薬剤は、より強い毒性の副作用も生じ;実験の過程で、マウスに体重減少、体毛の減少が観察され、全般的により少ない動きを示していた。一方、8−フルオロ−2−((4−メチル−ピペラジン−1−イル)メチル)インドロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオンのみの投与では、腫瘍が完全に消失しなかったが、腫瘍のより顕著な阻害が観察され、このように処理されたマウスは、正常体重、つやのある毛およびより柔軟な反応を示した。
【0131】
比較例 − 2−メチル−インド
ロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオンの調製および活性試験
工程(1)は、実施形態例1に規定されるとおりである。
【0132】
工程(2):2−メチル−インド
ロ[2,1−b]キナゾリン−6,12−ジオン(4b)の合成
化合物3a(1.7g、9.6mmol)と、イサチン(1.4g、9.6mmol)と、トリエチルアミン(2.7ml、19.2mmol)との混合物を、乾燥トルエン(18ml)中で懸濁させ、110℃で4時間加熱した。反応溶液を室温に冷ましてから、得られた黄色の固体をろ過し、2mlの酢酸エチルで3回洗浄して、黄色の固体化合物(4b)(0.5g、20%)を得た。
【0133】
特性評価データ:
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ 8.65(d,J=8.1Hz、1H)、8.25(s,1H)、7.94(dd,J=7.8、5.0Hz、2H)、7.85〜7.75(m,1H)、7.71〜7.64(m,1H)、7.44(t,J=7.5Hz、1H)、2.58(s,3H)。
【0134】
比較例において得られた化合物の活性を測定するのに、実施形態例9〜11に記載の測定方法を用いて、997.25μMのIDO阻害活性インビトロIC
50を得た一方、KiおよびインビボIC
50は測定しなかった。
【0135】
表1中の実験データが実証しているように、本出願に関する化合物は、現在利用可能な従来のIDO阻害剤、ならびに類似の構造を有する化合物と比べて極めて良好なIDO阻害活性を示す。より詳細には、既存の従来のIDO阻害剤1−MTと比較して、本出願によって構成される化合物について得られるインビトロおよび細胞内IC
50値は、1〜3桁低下し、これは、本出願によって構成される化合物が、優れたIDO阻害活性をもたらすことを示している。
【0136】
阻害活性に関して、非常に類似した構造を有する他の化合物(比較例に示される化合物など)と比べて本出願によって構成される化合物において非常に顕著な改良があることが注目に値する。阻害活性は、構造中の活性基を同様に特徴とする特定のIDO阻害剤と比較してもなお大幅に向上されている。当該技術分野において典型的に観察される化合物の構造と活性との間の関連性を考慮すると、本出願によって構成される化合物と類似の構造との間で観察される相違は、非常に例外的な現象である。これは、本出願によって構成される化合物が、極めて独特のタイプの構造を構成し、その生物学的活性が意外であることを示す。
【0137】
本発明において言及される全ての刊行物は、各個々の刊行物が参照として引用されているかのように、参照により援用される。当業者は、本発明において提供される説明を読めば、本発明に対する様々な変形形態または変更形態をなし得るはずであり、これらの均等な形態も、本出願に含まれる特許請求の範囲内に含まれることが理解されるべきである。