(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記組成物が、前記組成物の総重量に対して、(a)65〜95重量%の量の前記ハードセグメント、および(b)5〜35重量%の量の前記ソフトセグメントを含む、請求項1に記載の組成物。
前記ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位が、ポリエチレングリコール(PEG)繰り返し単位、ポリ(1,2−プロピレングリコール)繰り返し単位、ポリ(1,3−プロパンジオール)繰り返し単位、ポリテトラメチレングリコール繰り返し単位、ポリブチレングリコール繰り返し単位、プロピレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合によって形成されたポリオールの繰り返し単位、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合によって形成されたポリオールの繰り返し単位、およびエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合によって形成されたポリオールの繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の組成物。
前記ウレタン結合が、前記ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位中の末端ヒドロキシル基とジイソシアネート化合物との間の反応によって形成される、請求項1に記載の組成物。
前記ジイソシアネート化合物が、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ビスフェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、および水素化ジフェニルメタンジイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項4に記載の組成物。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、チオ系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、タルク、マイカ、および炭酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0019】
本発明による3D印刷用のポリ乳酸樹脂組成物は、(a)式1によって表されるポリ乳酸繰り返し単位を含むハードセグメントと、(b)式2によって表されるポリエーテル系ポリオール繰り返し単位がウレタン結合を介して直鎖状に連結したポリウレタンポリオール繰り返し単位を含むソフトセグメントとを含み、
170℃以下の融解温度、55℃以下のガラス転移温度、50,000以上の数平均分子量、ならびに200℃の温度および100s
-1のせん断速度で測定したときに1,000Pa・s以下の粘度を有する:
【0020】
【化2】
【0021】
(式1中、nは、700〜5,000の範囲内の整数であり、式2中、Aは、2〜5個の炭素原子を有する直鎖状または分枝のアルキレン基であり、mは、10〜100の範囲内の整数である)。
【0022】
本発明によるポリ乳酸樹脂組成物において、ハードセグメントに含まれる式1によって表されるポリ乳酸繰り返し単位は、当技術分野で周知の、ポリ乳酸の単独重合体を調製する従来の方法によって得られてもよい。例えば、上記の繰り返し単位は、L−ラクチドもしくはD−ラクチド、すなわち、それぞれL−乳酸もしくはD−乳酸からの環状二量体、を調製し、次いでL−ラクチドもしくはD−ラクチドの開環重合を行うか、またはL−乳酸もしくはD−乳酸を直接重縮合させることによって得られてもよい。これらのうち、ポリ乳酸繰り返し単位の重合度を高くするために、開環重合の方が好ましい。さらに、ポリ乳酸繰り返し単位は、共重合体が非晶質となるような特定の比率でL−ラクチドとD−ラクチドとを共重合させることによって形成されてもよい。しかし、ポリ乳酸樹脂組成物の耐熱性をさらに強化するために、ポリ乳酸繰り返し単位は、好ましくは、L−ラクチドまたはD−ラクチドのいずれかの単独重合によって調製される。
【0023】
ソフトセグメントに含まれるポリウレタンポリオール繰り返し単位は、式2によって表されるポリエーテル系ポリオール繰り返し単位がウレタン結合(−C(=O)−NH−)を介して直鎖状に連結した構造を含む。具体的には、ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位とは、単量体、例えば酸化アルキレンの開環(共)重合によって形成される重合体、またはかかる重合体を構成する繰り返し単位を指す。ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位は、ヒドロキシル基をその末端に有していてもよい。ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位のこの末端ヒドロキシル基は、ジイソシアネート化合物と反応してウレタン結合を形成してもよく、ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位はこれらのウレタン結合を介して直鎖状に連結され、それによってポリウレタンポリオール繰り返し単位を形成してもよい。
【0024】
本発明によるポリ乳酸樹脂組成物は、ソフトセグメントとしてポリウレタンポリオール繰り返し単位を含むので、従来のポリ乳酸樹脂より低い融解温度(Tm)および低いガラス転移温度(Tg)を有することができ、それとともに高い可撓性および速い結晶化速度を有することができる。
【0025】
ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位は、1種以上の酸化アルキレン単量体などの開環(共)重合によって調製されたポリエーテルポリオール(共)重合体、またはこの重合体を構成する繰り返し単位であってもよい。酸化アルキレンの例として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフランなどが挙げられる。酸化アルキレンから調製される代表的なポリエーテル系ポリオール繰り返し単位は、ポリエチレングリコール(PEG)繰り返し単位、ポリ(1,2−プロピレングリコール)繰り返し単位、ポリ(1,3−プロパンジオール)繰り返し単位、ポリテトラメチレングリコール繰り返し単位、ポリブチレングリコール繰り返し単位、プロピレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合によって形成されたポリオールの繰り返し単位、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合によって形成されたポリオールの繰り返し単位、およびエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合によって形成されたポリオールの繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも1種である。ポリ乳酸樹脂に可撓性を与えるために、またポリ乳酸繰り返し単位に対するそれらの親和性および含水能に照らして、ポリ(1,3−プロパンジオール)またはポリテトラメチレングリコールの繰り返し単位がポリエーテル系ポリオール繰り返し単位として好ましい。さらに、ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位は、数平均分子量が400〜9,000、好ましくは1,000〜3,000であってもよい。
【0026】
ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位の末端ヒドロキシル基と反応してウレタン結合を形成するジイソシアネート化合物は、その分子内に2個のイソシアネート基を有する任意の化合物であってもよい。例えば、ジイソシアネート化合物は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ビスフェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、および水素化ジフェニルメタンジイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種である。加えて、当技術分野で周知の他の様々なジイソシアネート化合物が、特段の制約なく使用されてもよい。ポリ乳酸樹脂に可撓性を与えるために、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
【0027】
一方、本発明の一態様によるポリ乳酸樹脂組成物は、ハードセグメントとソフトセグメントとの共重合によって調製されるブロック共重合体を含んでもよい。具体的には、ブロック共重合体は、ハードセグメント中のポリ乳酸繰り返し単位がソフトセグメント中のポリウレタンポリオール繰り返し単位と結合した構造を有していてもよい。より具体的には、ポリ乳酸繰り返し単位の末端カルボキシル基が、ポリウレタンポリオール繰り返し単位の末端ヒドロキシル基とエステル結合を通して連結されていてもよい。例えば、ブロック共重合体の化学構造は、以下の一般式1
[一般式1]
ポリ乳酸繰り返し単位(L)−エステル−ポリウレタンポリオール繰り返し単位(E−U−E−U−E)−エステル−ポリ乳酸繰り返し単位(L)
(式中、Eは、ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位を表し、
Uは、ウレタン結合を表し、
エステルは、エステル結合を表す)
によって表されてもよい。
【0028】
ポリ乳酸樹脂組成物に含まれるポリ乳酸繰り返し単位のすべてが必ずしもポリウレタンポリオール繰り返し単位と結合してブロック共重合体を形成するとは限らず、その代わりに、ポリ乳酸繰り返し単位の少なくとも一部がポリウレタンポリオール繰り返し単位と結合されずにポリ乳酸単独重合体のままであってもよい。この場合、ポリ乳酸樹脂組成物は、ブロック共重合体と、ポリウレタンポリオール繰り返し単位と結合されていないポリ乳酸繰り返し単位、すなわちポリ乳酸単独重合体としてのポリ乳酸繰り返し単位とを含む混合物の形態となってもよい。
【0029】
さらに、本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、総重量(すなわち、ブロック共重合体の重量、または、ポリ乳酸単独重合体が任意に存在するならば、ブロック共重合体だけでなくこの単独重合体の重量との合計)に対して、約65〜95重量%(「wt.%」)のハードセグメントおよび約5〜35重量%のソフトセグメントを含んでもよい。好ましくは、ポリ乳酸樹脂組成物は、(i)約80〜95重量%のハードセグメントおよび約5〜20重量%のソフトセグメント;(ii)約82重量%〜92重量%のハードセグメントおよび約8〜18重量%のソフトセグメント;または(iii)約85〜90重量%のハードセグメントおよび約10〜15重量%のソフトセグメントを含んでもよい。
【0030】
ソフトセグメントの含有率が35重量%以下であれば、高分子量を有するポリ乳酸樹脂を得ることができ、それによって良好な機械的性質、例えば強度を有する製品を生成させることができる。さらに、ソフトセグメントの含有率が5重量%以上であれば、ポリ乳酸樹脂およびそれから調製される製品の可撓性を好ましく向上させることができる。とりわけ、この場合、ポリ乳酸樹脂は望ましいガラス転移温度を有することによって、それから調製される製品の可撓性が強化される。さらに、ソフトセグメント中のポリウレタンポリオール繰り返し単位は開始剤としての役割を適正に果たすので、重合転化率を向上させることができ、ポリ乳酸樹脂は高分子量を有することができる。
【0031】
一方、本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、酸化防止剤、補強剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される様々な添加剤のいずれかをさらに含んでもよい。
【0032】
例えば、ポリ乳酸樹脂組成物は、製造プロセスでのソフトセグメントの酸化または熱分解を防止するために、酸化防止剤(または安定剤)をさらに含んでもよい。酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、チオ系酸化防止剤、およびホスファイト系(phosphate)酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。これらの酸化防止剤は、当技術分野で周知である。本発明で使用される酸化防止剤は、ポリ乳酸樹脂組成物の繰り返し単位を形成するために使用される単量体の総重量に対して100〜3,000ppmwの量で存在してもよい。
【0033】
ポリ乳酸樹脂組成物は、その不粘着性などを向上させるための補強剤をさらに含んでもよい。補強剤の例として、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、タルク、マイカ、および炭酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。補強剤の特定の種類または購入経路は、当業者には周知である。
【0034】
それに加えて、ポリ乳酸樹脂組成物は、組成物が悪影響を受けない限り、3D印刷に使用される任意の他の添加剤、例えば、可塑剤、UV安定剤、着色防止剤、艶消し仕上げ剤(mat finishing agent)、脱臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、離型剤、酸化防止剤、イオン交換体、着色顔料、無機または有機粒子などをさらに含んでもよい。これらの添加剤の特定の種類または購入経路は、当業者には周知である。
【0035】
可塑剤の例として、フタル酸エステル系可塑剤、例えば、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジシクロヘキシルなど:脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、例えば、アジピン酸ジ−1−ブチル、アジピン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−n−ブチル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルなど;リン酸エステル系可塑剤、例えば、リン酸ジフェニル2−エチルヘキシル、リン酸ジフェニルオクチルなど;ポリヒドロキシカルボン酸(polyhydroxy carbonic acid)エステル系可塑剤、例えば、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、クエン酸トリブチルなど;脂肪酸エステル系可塑剤、例えば、アセチルリシノレイン酸メチル、ステアリン酸アミルなど;多価アルコールエステル系可塑剤、例えば、グリセリントリアセテートなど;およびエポキシ系可塑剤、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化された亜麻仁油脂肪酸のブチルエステル、エポキシステアリン酸オクチルなどが挙げられる。
【0036】
着色顔料の例として、無機顔料、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄など;ならびに有機顔料、例えば、シアニン類、リン、キノン類、ペリノン類、イソインドリノン類、およびチオインジゴ類が挙げられてもよい。
【0037】
無機または有機粒子の例として、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、シリコンなどが挙げられてもよい。
【0038】
本発明によるポリ乳酸樹脂組成物は、例えば、その中に含まれるブロック共重合体の数平均分子量(Mn)が、50,000以上、好ましくは約50,000〜200,000、より好ましくは約50,000〜150,000であってもよい。
【0039】
さらに、ポリ乳酸樹脂組成物の重量平均分子量は、約100,000〜500,000、好ましくは約100,000〜320,000であってもよい。かかる分子量は、ポリ乳酸樹脂組成物の加工性または機械的性質に影響を及ぼすことがある。
【0040】
分子量が小さ過ぎると(例えば、100,000未満のMw)、組成物の融解粘度は、溶融プロセス、例えば3D印刷の押出には低過ぎて、組成物の加工性だけでなく、組成物の機械的性質、例えば強度も悪化させることがある。対照的に、分子量が大き過ぎると(例えば、500,000超のMw)、溶融プロセスにおける組成物の融解粘度が高過ぎることによって、プロセスの生産性が相当に低下することがある。
【0041】
本発明によるポリ乳酸樹脂組成物は、例えば、それに含まれるブロック共重合体の、重量平均分子量(Mw)に対する数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)として定義される分子量分布が、約1.60〜2.30、好ましくは約1.80〜2.20の範囲内であってもよい。
【0042】
ポリ乳酸樹脂組成物は上記の範囲内の分子量分布を有するので、それは溶融プロセス、例えば押出において適正な融解温度および融解性を有することができ、それによって3D印刷製品に優れた押出性および加工性がもたらされる。さらに、ポリ乳酸樹脂組成物から調製される製品は、優れた機械的性質、例えば、高い強度を有することができる。これに対して、分子量分布が狭過ぎると、押出などの場合の加工温度における組成物の融解粘度が高くなり過ぎることによって、3D印刷製品を形成するプロセスで問題が生じる。対照的に、分子量分布が広過ぎると、機械的性質が損なわれるか、または融解特性が悪化することがあり、例えば、粘度が極めて低くなりかねない。その結果、製品を3D印刷することが難しくなるか、または3D印刷製品の品質が不十分になることがある。
【0043】
さらに、本発明によるポリ乳酸樹脂組成物は、170℃以下、好ましくは約145〜170℃、より好ましくは約150〜170℃の融解温度(Tm)を有することができる。
【0044】
融解温度が上記の範囲内であれば、ポリ乳酸樹脂組成物は、従来のポリ乳酸樹脂と比較して、低温で溶融プロセス、例えば押出を適正な融解粘度で行うことができ、それによって製品を形成するその加工性が強化される。
【0045】
さらに、本発明によるポリ乳酸樹脂組成物は、55℃以下、好ましくは約25〜55℃、より好ましくは約35〜55℃のガラス転移温度(Tg)を有することができる。
【0046】
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、上記の範囲内の融解温度およびガラス転移温度を有するので、従来のポリ乳酸樹脂と比較して低温で3D印刷の溶融プロセスを行うことができる。加えて、それは、高速に加工することができる。さらに、樹脂の可撓性が最適化されたことによって、その結晶化速度が強化され、結晶化温度(Tc)は約85〜110℃の範囲内となるが、それは従来のポリ乳酸樹脂の熱分析では観察されたことはなかった。その結果、樹脂組成物は速やかに凝固することができ、それによって、3D印刷の速度を大幅に向上させることができる。これに関して、従来のポリ乳酸樹脂は、重合鎖の運動性の問題のために速やかに結晶化しないことが留意される。対照的に、本発明のポリ乳酸樹脂組成物では、共重合体に含まれるソフトセグメントが重合鎖の運動性を確保し、それによって、樹脂組成物の結晶化が容易になる。
【0047】
上記のガラス転移温度要件を満たすポリ乳酸樹脂組成物の調製において、ソフトセグメントに関与する、ポリエーテル系ポリオール重合体の分子量またはポリウレタンポリオール繰り返し単位を有する重合体の量を適正に制御することも重要である。さらに、L−ラクチドまたはD−ラクチド、すなわちラクチドの2つの光学異性体、の光学純度を、例えば、約98%以上、好ましくは約99%以上、最も好ましくは約99.5%以上に調整することによって、上記のガラス転移温度および融解温度要件を満たすポリ乳酸樹脂組成物を調製することが可能である。
【0048】
本発明によるポリ乳酸樹脂組成物は、200℃の温度および100s
-1のせん断速度で測定したときに、1,000Pa・s以下、好ましくは50〜900Pa・s、より好ましくは80〜850Pa・sの粘度を有することができる。粘度特性が従来のポリ乳酸樹脂と比較してこのように低いので、加工性および生産性を向上させながら、低温で高速に3D印刷の加工を行うことが可能である。
【0049】
一方、本発明によるポリ乳酸樹脂組成物は親環境性であり、その理由は、等式1によって表されるそのバイオマス系有機炭素含有率(%C
bio)が、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、または約95%以上であり得るからである。
【0050】
[等式1]
%C
bio=[ポリ乳酸樹脂中の炭素原子の
14C同位体対
12C同位体の重量比]/[バイオマス系標準材料中の炭素原子の
14C同位体対
12C同位体の重量比]×100
等式1によるバイオマス系有機炭素含有率は、ASTM D6866規格に従う手順によって測定されてもよい。
【0051】
以下、本発明による3D印刷用のポリ乳酸樹脂組成物を調製するための方法を、より詳細に説明する。
【0052】
最初に、ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位を有する(共)重合体を、少なくとも1種の単量体、例えば酸化アルキレンの開環(共)重合によって形成する。これは、ポリエーテル系ポリオール(共)重合体を調製するための従来の任意のプロセスによって行ってもよい。
【0053】
次いで、ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位を有する(共)重合体、ジイソシアネート化合物、およびウレタン反応触媒を反応器に装入し、続いて混合物を加熱および撹拌して、ウレタン反応を実行する。この反応において、ジイソシアネート化合物中の2個のイソシアネート基のそれぞれが、(共)重合体中の末端ヒドロキシル基と結合して、ウレタン結合を形成する。その結果、ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位がウレタン結合を介して直鎖状に連結した、ポリウレタンポリオール繰り返し単位を有する(共)重合体を形成することができ、ポリ乳酸樹脂組成物中でソフトセグメントとしての役割を果たすことができる。この場合、ポリウレタンポリオール(共)重合体は、E−U−E−U−Eの形態であってもよく、その形態において、ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位(E)はウレタン結合(U)を介して直鎖状に連結し、ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位が両方の末端に存在する。
【0054】
酸化アルキレンおよびそれから調製されるポリエーテル系ポリオール繰り返し単位は、バイオマス材料、例えば、植物資源に由来してもよい。したがって、ポリウレタンポリオール(共)重合体は、約60%以上、好ましくは約70%以上のバイオマス系有機炭素含有率(%C
bio)を有していてもよい。
【0055】
ウレタン反応は、典型的なスズ触媒、例えば、2−エチルヘキサン酸スズ(またはオクタン酸第一スズ)、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレートなどの存在下で実行されてもよい。さらに、ウレタン反応は、ポリウレタン樹脂を調製するための典型的な反応条件の下で行われてもよい。例えば、ジイソシアネート化合物およびポリエーテル系ポリオール(共)重合体を窒素雰囲気中で混合し、次いでウレタン反応触媒を混合物中に投入して、70〜80℃の反応温度で1〜5時間反応を行い、それによってポリウレタンポリオール繰り返し単位を有する(共)重合体を調製する。
【0056】
一方、ラクチドの開環重合は、金属触媒、例えば、アルカリ土類金属、希土類金属、遷移金属、アルミニウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモンなど、の存在下で行われてもよい。具体的には、かかる金属触媒は、上記の金属の、カルボン酸塩、アルコキシレート、ハロゲン化物、酸化物、または炭酸塩の形態であってもよい。好ましい金属触媒は、2−エチルヘキサン酸スズ、チタンテトライソプロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシドなどであってもよい。さらに、黄変が低減した、外観の優れたポリ乳酸樹脂組成物を生成させるために、酸化防止剤をこの触媒と共に使用してもよい。
【0057】
さらに、ラクチドの開環重合を通したポリ乳酸繰り返し単位の形成は、ウレタン反応を行った同じ反応器内で続けて実行してもよい。すなわち、ポリエーテルポリオール重合体とジイソシアネート化合物とをウレタン反応させてポリウレタンポリオール繰り返し単位を有する重合体を得て、単量体、例えばラクチドおよび触媒を同じ反応器に続けて添加してポリ乳酸繰り返し単位を生成してもよい。その結果、ポリウレタンポリオール繰り返し単位を有する重合体は開始剤として機能することができ、それによってポリ乳酸繰り返し単位およびそれを含むポリ乳酸樹脂を高い収率および生産性で連続的に生産することが可能となる。
【0058】
上記のように調製されたポリ乳酸樹脂組成物は、特定のハードセグメントとソフトセグメントとが組み合わされたブロック共重合体を含む。そのために、それは、ポリ乳酸樹脂に起因する生分解性であると同時に、強化された可撓性を有することができる。また、樹脂組成物は、可撓性に関与するソフトセグメントのブリードアウトの低減を示す。樹脂組成物に含まれるソフトセグメントによって、従来のポリ乳酸樹脂と比較して、組成物を高効率で低温加工することを可能にすることができる。また、組成物は、高結晶化速度に起因するその向上した凝固速度によって、高速に加工することができ、3D印刷の加工性を向上させることができる。
【0059】
本発明によれば、ポリ乳酸樹脂組成物を使用して3D印刷する方法であって、ポリ乳酸樹脂組成物が、(a)式1によって表されるポリ乳酸繰り返し単位を含むハードセグメントと、(b)式2によって表されるポリエーテル系ポリオール繰り返し単位がウレタン結合を介して直鎖状に連結したポリウレタンポリオール繰り返し単位を含むソフトセグメントとを含み、組成物が170℃以下の融解温度、55℃以下のガラス転移温度、50,000以上の数平均分子量、ならびに200℃の温度および100s
-1のせん断速度で測定したときに1,000Pa・s以下の粘度を有する、方法が提供される:
【0060】
【化3】
【0061】
(式1中、nは、700〜5,000の範囲内の整数であり;式2中、Aは、2〜5個の炭素原子を有する直鎖状または分枝のアルキレン基であり、mは、10〜100の範囲内の整数である)。
【0062】
さらに、本発明によれば、ポリ乳酸樹脂組成物を含む、3D印刷用のPLAフィラメントが提供される。
【0063】
3D印刷用のPLAフィラメントは、該ポリ乳酸樹脂組成物を減圧下で乾燥させ、次いでフィラメントを調製するための従来の方法によってそれを押出することによって作製されてもよい。
【0064】
一態様によれば、本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、減圧下で乾燥され、無機賦形剤および添加剤、例えば酸化防止剤と混合され、次いで190〜220℃の温度でストランド状に溶融押出される。ここで使用される押出機は、様々な配合装置、例えば、ロールミル、混練機、バンバリーミキサーなどのいずれかを備えた、一軸スクリュー押出機または二軸スクリュー押出機であってもよい。その後、押出されたストランドは水浴を通して冷却され、3D印刷用のPLAフィラメントとして、ある特定の重量でボビンの周りに巻き付けられる。フィラメントの直径は、3D印刷機のタイプに応じて異なっていてもよいが、一般に、1.75mm〜3mmの範囲内であってもよい。
【0065】
本発明のポリ乳酸樹脂組成物およびそれを含むフィラメントは特定のハードセグメントおよびソフトセグメントを含むので、それらは所望のガラス転移温度および所望の融解温度を有することができ、それによって、3D印刷に最適な可撓性および剛性を有することができる。加えて、それらは、向上した溶融加工性および耐熱性を有することができる。したがって、本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、3D印刷に特に適したものであることができる。さらに、本発明のポリ乳酸樹脂組成物およびそれを含むフィラメントは、高いバイオマス系有機炭素含有率を有することができるので、生分解性であり、よって親環境性である。
【0066】
[発明の形態]
以下、本発明を以下の例によって詳細に説明する。しかし、これらの例は本発明を例示する目的で提供されており、本発明の範囲を限定するものではない。
【0067】
物理的性質の定義および測定
以下の例では、物理的性質は以下のように定義され、測定される。
【0068】
(1)MwおよびMn(g/mol)、ならびに分子量分布(Mw/Mn):ポリ乳酸樹脂組成物をクロロホルム中に0.25重量%の濃度で溶解させ、それを、ポリスチレンを標準材料として使用するゲル浸透クロマトグラフィー(Viscotek TDA 305、カラム:Shodex LF804×2個)に供することによって測定した。分子量分布(MWD)は、測定したMwおよびMnから算出した。
【0069】
(2)ガラス転移温度(Tg)、融解温度(Tm)、および結晶化温度(Tc)は、示差走査熱量計(DSC、TA Instruments)を使用して測定し、ここでは、試料を30℃から250℃まで20℃/分の速度で加熱し、20℃/分または5℃/分の速度で0℃まで冷却し、次いで250℃まで10℃/分の速度で再び加熱した。
【0070】
− Tg(℃):吸熱曲線付近のベースラインおよび各接線の中間値から求めた。
【0071】
− Tm(℃):結晶の融解吸熱ピークの最大値から求めた。
【0072】
− Tc(℃):結晶の融解発熱ピークの最大値から求めた。ここで、一定の速度で試料を冷却する間の発熱温度を融解結晶化温度(Tmc)として測定し、急冷した試料を一定の速度で加熱する間の発熱温度を低温結晶化温度(Tcc)として測定した。
【0073】
(3)ポリウレタンポリオール繰り返し単位の含有率(重量%):各ポリ乳酸樹脂組成物に対して600MHz核磁気共鳴(NMR)分光計を使用して測定した。
【0074】
(4)粘度(Pa・s):レオメーター(Anton Paar)を200℃の温度および100s
-1のせん断速度で使用して測定した。
【0075】
(5)有機炭素含有率:ASTM D6866に従って測定した。
【0076】
例および比較例に使用される原材料:
(1)ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位
− PPDO2.4:ポリ(1,3−プロパンジオール);数平均分子量2,400
− PPG:ポリプロピレングリコール;数平均分子量2,000
(2)ジイソシアネート化合物
− HDI:1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート
(3)ラクチド単量体
− L−ラクチドまたはD−ラクチド:Purac Co.製、光学純度99.5%以上
(4)酸化防止剤など
− U626:ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト
− I−1076:オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート
例1〜4:ポリ乳酸樹脂組成物の調製(樹脂A〜D)
窒素ガス導入口、撹拌機、触媒導入口、流出物冷却器、および真空システムを備えた8Lの反応器に、下の表1に示す通りの反応物および触媒を装入した。反応器に触媒として添加したのは、反応物の総重量に対して130ppmwの濃度のジブチルスズジラウレートであった。
【0077】
窒素雰囲気下で、ウレタン反応を70℃の反応器温度で2時間行った。次いで、4kgのL−(またはD−)ラクチドを添加し、続いて窒素フラッシングを5回行った。その後、温度を150℃に上げることによってL−(またはD−)ラクチドを完全に溶解させ、500mLのトルエンで希釈した、反応物の総重量に対して120ppmwの濃度の2−エチルヘキサン酸スズを、触媒導入口を通して反応器に供給した。
【0078】
1kgの窒素圧力下で、反応を185℃で2時間行い、触媒導入口を通して200ppmwのリン酸を添加し、続いて15分間混合して残留触媒を不活性化させた。次いで、未反応のL−(またはD−)ラクチド(初期装入量の約5重量%)を除去するために、圧力が0.5torrに達するまで真空を印加した。このように得られた樹脂組成物のTm、Tg、Tc、および粘度を測定し、表1に示した。
【0079】
例5および6:ポリ乳酸配合樹脂組成物の調製(樹脂EおよびF)
例1および3で調製したポリ乳酸樹脂組成物(樹脂AおよびC)のそれぞれを、1torrの減圧下、80℃で6時間乾燥させた。10重量%の濃度のタルクの無機賦形剤(SP 3000、Dawon Chemical)をポリ乳酸樹脂組成物に添加し、例1および3で使用した酸化防止剤100ppmもそれに添加し、続いて組成物をスーパーミキサー中で混合した。次いで組成物を直径19mmの二軸スクリュー押出機を通して190〜220℃でストランド状に押出した。押出したストランドを水浴中で冷却し、ペレット製造機中でチップに切断した。チップを除湿乾燥機または80℃の熱風乾燥機中で4時間乾燥させた。このように得られた樹脂組成物のTm、Tg、Tc、および粘度を測定し、表1に示した。
【0080】
比較例1:ポリ乳酸樹脂化合物の調製(樹脂G)
窒素ガス導入口、撹拌機、触媒導入口、流出物冷却器、および真空システムを備えた8Lの反応器に、下の表1に示す通りの、1−ドデカノール、L−ラクチド、および酸化防止剤を装入し、続いて窒素フラッシングを5回行った。その後、温度を150℃に上げることによってL−ラクチドを完全に溶解させ、500mLのトルエンで希釈した、反応物の総重量に対して120ppmwの濃度の2−エチルヘキサン酸スズを、触媒導入口を通して反応器に供給した。
【0081】
1kgの窒素圧力下で、反応を185℃で2時間行い、触媒導入口を通して200ppmwのリン酸を添加し、続いて15分間混合して残留触媒を不活性化させた。次いで、未反応のL−ラクチドを除去するために、圧力が0.5torrに達するまで真空を印加した。樹脂組成物の、Tm、Tg、Tc(TmcおよびTcc)、および粘度を測定し、表1に示した。
【0082】
【表1】
【0083】
表1に示すように、例1〜6で調製したポリ乳酸樹脂組成物はそれぞれ、重量平均分子量が100,000〜300,000、Tgが35〜50℃、Tmが160〜170℃、およびTcが80〜110℃であった。その一方で、比較例1で調製した従来のポリ乳酸樹脂組成物のTmは比較的高い179℃であり、Tgは比較的高い65℃であったが、Tcは測定されなかった。
【0084】
PLA樹脂のTcが観察されるかどうか、および観察された場合のその値は、結晶化速度を評価する基準としての役割を果たすことができる。結晶化速度が速ければ、結晶化は冷却中または加熱中に起こる可能性があるので、TmcまたはTccが観察されるようになる。20℃/分の速度で冷却し、次いで加熱した結果、例1〜4で調製した樹脂組成物にTccが観察され、例5〜6で調製した樹脂組成物にTmcが観察された。さらに、冷却速度を5℃/分に変えると、例1で調製した樹脂組成物でもTmcピーク(112.5℃)が観察された。対照的に、比較例1で調製した樹脂組成物は、結晶化速度が低いために、DSC分析でTcピークは観察されなかった。
【0085】
以上のことから、本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、従来のポリ乳酸樹脂と比較して、結晶化速度が速く、Tm値が低かったので、180〜200℃の温度で押出を行うことができることが確認される。従来のポリ乳酸樹脂は、重合鎖の運動性の問題のために結晶化するのが困難であるのに対して、本発明による樹脂組成物の共重合体に含まれるソフトセグメントは重合鎖に運動性を与え、それによってその結晶化が容易になる。
【0086】
さらに、例1〜6で調製した樹脂組成物のそれぞれの粘度は、200℃および100s
-1のせん断速度で測定したときに1,000Pa・s以下であったのに対して、比較例1で調製した樹脂組成物の粘度は1,000Pa・sをはるかに超えていた。
【0087】
したがって、本発明によるポリ乳酸樹脂組成物は、従来のポリ乳酸樹脂と比較して、結晶化速度が速く、Tmが低く、粘度が低かった。そのために、本発明の樹脂組成物は、低温で高速に3D印刷の加工を行うことができ、その速い凝固速度のために3D印刷用の材料として適正である。
【0088】
3D印刷用のPLAフィラメントの調製例
例1〜6で調製したポリ乳酸樹脂組成物のそれぞれを減圧下で乾燥させ、それに無機賦形剤のタルク(SP 3000、Dawon Chemical)を1〜30重量%の量で添加し、次いでそれに酸化防止剤としてのU626およびI−1076を添加し、続いて組成物をスーパーミキサー中で混合した。次いで組成物を、直径19mmの二軸スクリュー押出機を通して190〜220℃でストランド状に押出した。次に、押出したストランドを水浴中で冷却し、直径1.75mmまたは3mmの3D印刷用PLAフィラメントとして、ある特定の重量でボビンの周りに巻き付けた。
以下に、本願の実施態様を付記する。
[C1]
三次元(3D)印刷用のポリ乳酸樹脂組成物であって、(a)式1によって表されるポリ乳酸繰り返し単位を含むハードセグメントと、(b)式2によって表されるポリエーテル系ポリオール繰り返し単位がウレタン結合を介して直鎖状に連結したポリウレタンポリオール繰り返し単位を含むソフトセグメントとを含み、
170℃以下の融解温度、55℃以下のガラス転移温度、50,000以上の数平均分子量、ならびに200℃の温度および100s-1のせん断速度で測定したときに1,000Pa・s以下の粘度を有する、組成物:
【化4】
(式1中、nは、700〜5,000の範囲内の整数であり、式2中、Aは、2〜5個の炭素原子を有する直鎖状または分枝のアルキレン基であり、mは、10〜100の範囲内の整数である)。
[C2]
前記組成物が、前記組成物の総重量に対して、(a)65〜95重量%の量の前記ハードセグメント、および(b)5〜35重量%の量の前記ソフトセグメントを含む、請求項1に記載の組成物。
[C3]
前記ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位が、ポリエチレングリコール(PEG)繰り返し単位、ポリ(1,2−プロピレングリコール)繰り返し単位、ポリ(1,3−プロパンジオール)繰り返し単位、ポリテトラメチレングリコール繰り返し単位、ポリブチレングリコール繰り返し単位、プロピレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合によって形成されたポリオールの繰り返し単位、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合によって形成されたポリオールの繰り返し単位、およびエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合によって形成されたポリオールの繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の組成物。
[C4]
前記ウレタン結合が、前記ポリエーテル系ポリオール繰り返し単位中の末端ヒドロキシル基とジイソシアネート化合物との間の反応によって形成される、請求項1に記載の組成物。
[C5]
前記ジイソシアネート化合物が、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ビスフェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、および水素化ジフェニルメタンジイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項4に記載の組成物。
[C6]
ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、チオ系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、タルク、マイカ、および炭酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
[C7]
請求項1から6のいずれか一項に記載のポリ乳酸樹脂組成物を含む、3D印刷用のポリ乳酸フィラメント。
[C8]
ポリ乳酸樹脂組成物を使用して3D印刷する方法であって、前記ポリ乳酸樹脂組成物が、(a)式1によって表されるポリ乳酸繰り返し単位を含むハードセグメントと、(b)式2によって表されるポリエーテル系ポリオール繰り返し単位がウレタン結合を介して直鎖状に連結したポリウレタンポリオール繰り返し単位を含むソフトセグメントとを含み、前記組成物が、170℃以下の融解温度、55℃以下のガラス転移温度、50,000以上の数平均分子量、ならびに200℃の温度および100s-1のせん断速度で測定したときに1,000Pa・s以下の粘度を有する、方法:
【化5】
(式1中、nは、700〜5,000の範囲内の整数であり、式2中、Aは、2〜5個の炭素原子を有する直鎖状または分枝のアルキレン基であり、mは、10〜100の範囲内の整数である)。