(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6629323
(24)【登録日】2019年12月13日
(45)【発行日】2020年1月15日
(54)【発明の名称】淹出モジュール、カプセル認識モジュール、および飲料調製マシン
(51)【国際特許分類】
A47J 31/36 20060101AFI20200106BHJP
A47J 31/44 20060101ALI20200106BHJP
【FI】
A47J31/36 120
A47J31/44 510
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-528832(P2017-528832)
(86)(22)【出願日】2015年11月17日
(65)【公表番号】特表2017-536895(P2017-536895A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(86)【国際出願番号】EP2015076812
(87)【国際公開番号】WO2016087190
(87)【国際公開日】20160609
【審査請求日】2018年11月7日
(31)【優先権主張番号】14195680.5
(32)【優先日】2014年12月1日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511248548
【氏名又は名称】キュー・ビー・オー・コーヒー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】QBO COFFEE GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルビン,アンドレス
(72)【発明者】
【氏名】ツビッカー,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】タナー,パスカル
(72)【発明者】
【氏名】フォスカン,クラウディオ
【審査官】
土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2007/0245901(US,A1)
【文献】
特表2014−511712(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0348994(US,A1)
【文献】
特表2013−542007(JP,A)
【文献】
特表2013−517028(JP,A)
【文献】
特表2013−529112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/36
A47J 31/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一人分のカプセル(10)から淹出飲料を調製するための淹出モジュール(1)であって、
それ自体を通じて前記カプセル(10)を挿入可能なカプセル挿入開口部(11)を含む筐体(2)と、
第1の淹出モジュール部(3)およびこれに対して相対的に移動可能な第2の淹出モジュール部(4)とを備え、
淹出プロセス中に淹出位置にある前記カプセルを少なくとも部分的に囲む淹出チャンバが前記第1および第2の淹出モジュール部によって形成可能であり、前記淹出モジュールは、淹出流体を前記カプセル内に導入することによって淹出飲料を淹出し前記淹出飲料を前記カプセルから排出するように設計されており、
前記第1および第2の淹出モジュール部は、3つの異なる定められた位置の間で互いに相対的に移動可能であり、
前記淹出チャンバは第1の位置に形成され、
前記第1の位置から第2の位置への移動後に、前記淹出チャンバに位置する前記カプセルは重力の影響で下方向にカプセル容器(95)の中へと落下し、ただし、前記第2の位置において、前記淹出モジュール部は、前記カプセル挿入開口部を通じて挿入されたカプセルが、カプセル認識位置で、鉛直方向において前記淹出位置の高さよりも高い位置で保持されるという効果を有し、
第3の位置において、前記カプセル認識位置にあるカプセルはここから実質的に前記淹出位置の高さまで落下することが可能であり、
前記第2の位置は、前記第1の位置と前記第3の位置との間である、淹出モジュール(1)。
【請求項2】
所定の特徴に基づいて、前記カプセル認識位置にあるカプセル(10)を認識するように設計されたカプセル認識モジュール(5)をさらに備える、請求項1に記載の淹出モジュール。
【請求項3】
前記所定の特徴は光学的な特徴であり、前記カプセル認識モジュールは光学センサを含む、請求項2に記載の淹出モジュール。
【請求項4】
前記カプセル認識モジュールはカプセル認識窓を含み、前記カプセル認識窓は透明な材料で形成され、前記カプセル認識位置と前記光学センサとの間に配置されている、請求項3に記載の淹出モジュール。
【請求項5】
前記カプセル認識窓の側方に、前記カプセル認識位置に向かう空気の流れを生み出すファンを備える、請求項4に記載の淹出モジュール。
【請求項6】
前記カプセル認識窓は、前記カプセル認識位置と前記光学センサとの間の軸に対して非直角に配置されている、請求項4または5に記載の淹出モジュール。
【請求項7】
前記カプセル認識位置で前記カプセルを照射するための少なくとも1つの光源(62)を備え、前記光源は、前記カプセル認識窓(52)の、前記光学センサ側に配置されている、請求項4〜6のいずれか1項に記載の淹出モジュール。
【請求項8】
前記光源(62)によって生成される光のためのディフューザ(53)を備える、請求項7に記載の淹出モジュール。
【請求項9】
前記第1の淹出モジュール部(3)に対する前記第2の淹出モジュール部(4)の可動性は純粋に直線状の相対移動である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の淹出モジュール。
【請求項10】
前記第1の淹出モジュール部(3)に対する前記第2の淹出モジュール部(4)の移動のための電気駆動装置を備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載の淹出モジュール。
【請求項11】
前記カプセル認識位置で前記カプセル(10)の向きを定めるための側方ガイド(28)を備え、前記カプセルは、前記カプセル認識位置と前記淹出位置または中間位置との間の経路上で、実質的に前記淹出位置の高さで横方向に案内される、請求項1〜10のうちいずれか1項に記載の淹出モジュール。
【請求項12】
前記淹出モジュール部(3,4)のうちの1つは、前記淹出チャンバを形成するこの淹出モジュール部に固定して動かないように接続された静止部(42)を形成し、前記静止部は、前記モジュール部が第2の位置にあるときに前記カプセルの挿入経路内に突出する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の淹出モジュール。
【請求項13】
水供給部と、ポンプ(92)および水加熱手段(93)と、請求項1〜10のいずれか1項に記載の淹出モジュールとを備える、特にコーヒーマシンである飲料調製マシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、挽いたコーヒーなどのカプセルに含まれている抽出材料から飲料などを調製するための抽出器具に関し、特に、抽出器具のための淹出モジュール、カプセル認識モジュール、およびそのような淹出モジュールおよび/またはカプセル認識モジュールを有する飲料調製マシンに関する。
【背景技術】
【0002】
一人分のパッケージ内の抽出材料から飲料などを調製する抽出器具は、たとえば、コーヒーマシンまたはエスプレッソマシンとして知られている。対応する多くのシステムでは、一人分のパッケージはカプセルとして設計され、カプセルでは、抽出材料はたとえば気密状態で密封されている。抽出のために、カプセルには、たとえば互いに反対側である両側に穴があけられている。通常熱水である抽出流体は、第1の側で導入される。抽出品は、第2の側でカプセルから排出される。これは、いわゆる淹出モジュールにおいて行なわれる。そのようなモジュールは、カプセルが収容される淹出チャンバを備える。カプセルを挿入し、レバーを操作することによって手動で、または電動式で自動的に淹出チャンバを閉鎖する際に使用される淹出モジュールは、特に普及しており、淹出チャンバが新たに開放されて淹出手順を行なった後に、カプセルは淹出チャンバから自動的に取り出されてカプセル容器の中へと排出される。自動カプセル排出部を有するこのような淹出モジュールは、一般に、水平淹出モジュールとして設計されている、すなわち、カプセルは上部から挿入することが可能で、淹出チャンバの閉鎖は2つの淹出チャンバ部の水平相対移動であり、淹出流体は基本的に水平方向に流れ、カプセル容器は淹出チャンバの下方で形成される。
【0003】
マシンに挿入されたカプセルを淹出モジュール外部の中間位置で保持するための位置決め装置を備える飲料調製マシンが、WO2012/123440で知られている。この中間位置では、センサ機構が、たとえばカプセル上の情報を読出すことができ、読出し結果に応じて、カプセルを淹出モジュール内に自動的に運んで淹出プロセスを開始することができる。この手順には、カプセル認識プロセスおよび認識されたカプセルに合わせた淹出プロセスが可能になるという利点がある。しかしながら、有効な実施のために必要とされ、互いに独立して電動で駆動されるいくつかのユニット、または淹出プロセス中のカプセルの挿入を不可能にする連結メカニズムのいずれかを有する比較的複雑なメカニズムは、欠点がある。
【0004】
EP1786303にも同様に、ポッド状の挿入された一人分のパッケージの特徴を検出するためのセンサ機構を有する飲料調製マシンが開示されている。淹出モジュールは、相互に旋回可能な2つの淹出モジュール部を備える。このように旋回できるため、淹出モジュール部間に形成された淹出チャンバは上部に開口可能で、一人分のパッケージを排出するために下部に閉鎖または開口可能である。挿入された後、一人分のパッケージは、横方向に案内されるように淹出モジュール部の上側面の中間位置で保持され、そこで特徴が検出される。一人分のパッケージが認識されたので、淹出チャンバは続いて淹出モジュール部を旋回させることによって上部に開口する。その結果、一人分のパッケージは淹出チャンバに落下することが可能で、これによって、反対方向で新たに旋回運動が行なわれることによって淹出チャンバは閉鎖される。次に、淹出プロセスが行われ、その後淹出チャンバは旋回運動を継続することによって下部に開口する。この方法によって、一人分のパッケージは下部に排出される。
【0005】
この手順は、ポッドとして知られている比較的平坦な一人分のパッケージに適している。しかしながら、ビーカーのような、たとえば、立方形の一人分のカプセルにすぐに応用することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、現行の技術水準の欠点を克服し、淹出プロセスの前に、使用される一人分のカプセルの特徴を検出できる飲料調製マシンを、可能な限りシンプルな設計で提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る淹出モジュールは、一人分のカプセルから淹出飲料を調製するための飲料調製マシン用モジュールであって、本モジュールは、それ自体を通じて、カプセルをたとえば定められた向きで挿入することが可能なカプセル挿入開口部を備える筐体と、第1の淹出モジュール部およびこれに対して相対的に移動可能な第2の淹出モジュール部とを備える。淹出プロセス中に淹出位置にあるカプセルを少なくとも部分的に囲む淹出チャンバが第1の淹出モジュール部および第2の淹出モジュール部によって形成可能であり、淹出モジュールは、淹出流体をカプセルに導入することによって淹出飲料を淹出し淹出飲料をカプセルから排出するように設計されている。第1および第2の淹出モジュール部は、3つの異なる定められた位置間で互いに相対的に移動可能である。淹出チャンバは、第1の位置に形成される。第1の位置から第2の位置への移動後に、淹出チャンバに位置するカプセルが重力の影響で下方向にカプセル容器の中へと落下する。ただし、第2の位置において、淹出モジュール部は、カプセル挿入開口部を通じて挿入されたカプセルが、カプセル認識位置で、鉛直方向において淹出位置の高さよりも高い位置で保持されるという効果を有する。第3の位置において、カプセル認識位置にあるカプセルはここから実質的に淹出位置の高さまで落下することが可能である。第2の位置は、第1の位置と第3の位置との間である。
【0008】
第1の位置は、淹出チャンバの閉状態に対応する。本発明に係る方法について新規な点は、2つの異なる定められた状態が存在することであり、淹出プロセスの後に、淹出チャンバは開放され、カプセルが下方向に落下可能である。淹出チャンバが開放されているこれらの状態は、第2および第3の位置で定められる。第2の位置では、淹出チャンバは下部に開口するが、ある程度カプセルの挿入のために上部に閉鎖されていて、第3の位置でのみ、上部および下部に完全に開口する。
【0009】
淹出モジュール部が第3の位置にあるときにカプセルがカプセル認識位置から落下する位置は、まさに淹出位置であり得る。しかしながら、カプセルが特に淹出位置の鉛直高さで中間位置に落下し、淹出チャンバが閉鎖されると、すなわち、淹出モジュール部が第1の位置に搬送されると、カプセルが淹出位置に移動されると想定することも可能である。
【0010】
カプセルは、カプセル認識位置から落下するときに案内可能で、淹出位置および/または、場合によっては、中間位置の高さで停止される。これは、たとえばWO2015/048914に記載されているように、横方向に係合する旋回可能なもしくは旋回可能でない案内手段によって、または、たとえばWO2013/110206で知られるように他の手段によって可能である。または、場合によっては、WO2010/118545に従って、同時に淹出チャンバの境界を画定する台として実現可能である。
【0011】
淹出モジュールは、所定の特徴に基づいてカプセル認識位置にあるカプセルの特徴を認識するために、カプセル認識手段を備え得る。カプセル認識手段によって、特に、挿入されたカプセルがそもそも飲料調製マシンでの使用に適しているか否かを第1に判断することが可能であり、これ自体は知られている。第2に、認識されたカプセルの特徴に基づいて、たとえばディスプレイを介して、ユーザに対応する情報を送出する可能性がある。たとえば、飲料の種類(コーヒー、紅茶など)、部類(たとえば、「100%アラビカ」)、推奨される調製法(たとえば、「エスプレッソ」、「リステロット」、「ルンゴ」など)、および/または他の情報を表示することができる。第3に、淹出のためのコーヒーマシンによって実行されるプログラムを、認識されたカプセルの部類、たとえば、淹出圧力に基づいて選択することができ、淹出時間ならびに場合によっては、温度および/または他の特徴は、挿入されたカプセルがリステロット、エスプレッソまたはルンゴなどの調製を想定したものであるかどうかによって設定することができる。
【0012】
カプセル認識手段は、カプセルの光学的および/または他の特徴を検出することができる。好適な光学的に読み取り可能な特徴、たとえば、ヨーロッパ特許出願14197487.3および14197488.1および/または14197489.9に記載のバーコード、2Dマトリックスコード(たとえば、QRコード(登録商標)またはAztecコード)、絵文字(アイコン)、コード、および/または特定の着色剤以外に、磁気特性および/または非接触で読み取り可能なRFIDチップを認識特徴として適用することも可能である。
【0013】
本発明に係る手順は、淹出モジュール部が第1の位置にあるとき(淹出チャンバは、たとえば淹出プロセス中は閉鎖されている)、および、淹出モジュール部が第2の位置にあるときまたは第1の位置から第2の位置に移動される際に、したがって、たとえば淹出プロセスが終了した後に、新しいカプセルを挿入することができるという利点がある。したがって、たとえば、第2のカプセルのためのカプセル認識プロセスは、第1のカプセルのための淹出プロセスが依然として処理されている間に開始可能である。
【0014】
この利点にもかかわらず、淹出モジュールまたは飲料調製マシンは、追加の移動部を有していなくてもよく、たった1つの駆動装置で十分である。
【0015】
特に、淹出モジュール部の互いに対する相対的な移動は直線移動、すなわち、軸に沿った並進運動である。淹出モジュール部の旋回性は必ずしも本発明の方法に必須ではないが、除外されるものでもない。
【0016】
特に、淹出モジュールは水平淹出モジュールであり、特に移動軸は基本的に水平軸である、すなわち、飲料調製マシンが配設される表面に対して平行に延びている、または、たとえば最大で20°の角度までこれに対して概ね平行である。
【0017】
第1、第2、および第3の淹出位置は、停止および/またはラッチ位置などによって機械的に定めることが可能である。
【0018】
実施形態では、特に淹出モジュール部の互いに対する相対的な移動のための駆動装置は、電気駆動装置である。これらの実施形態では、第1、第2、および/または第3の位置、特に第2の位置は、各場合において、所定の移動経路において淹出モジュール部を互いに対して相対的に移動させるようにプログラムされた電気駆動装置を用いて電子的に定めることも可能である。そのような実施形態では、電気駆動装置の場所に関して、飲料調製マシンの他の場所に存在していて、たとえば、マシン全体の起動に統合されている場合であっても、電気駆動装置の起動も同様に、たとえば、淹出モジュールに属する。
【0019】
特に駆動装置の起動は、次のカプセルについてのカプセル認識手順が淹出手順中にすでに行われていない限り、カプセル認識手順が終了するまで第3の位置への移動が可能にならないように、かつ淹出手順の実行後に淹出モジュール部が常に第1の位置から第2の位置へ移動するように、プログラム可能である。
【0020】
実施形態例によると、電動機によって駆動されるピニオンが、該ピニオンと一致する歯を有するピボットレバーを移動させる。該ピボットレバーは、トグルレバーのレバーアームに接続されている、または、これを形成している。トグルレバーによって、第1の位置と第3の位置との間での淹出モジュール部の並進運動が可能になる。
【0021】
多くの実施形態では、淹出モジュール部のうちの一方(以降、「静止淹出モジュール部」、たとえば、排出装置)が筐体に固定されるように組み立てられている一方で、他方の淹出モジュール部(以降「移動淹出モジュール部」、たとえば、注入部)は位置間で移動される。これにより、淹出モジュール部の互いに対する相対移動は、移動淹出モジュール部のみの移動によって可能になる。
【0022】
淹出モジュール部が、カプセル挿入開口部を通じて挿入されたカプセルがカプセル認識位置で淹出位置の鉛直方向上方で停止されるという効果を有しているという状況は、たとえば、淹出モジュール部のうちの一方の、特に移動淹出モジュール部の静止部によって成し遂げられる。そのような静止部は、カプセルがさらに下方に落下し得ない程度にカプセル認識位置から下方向の挿入経路を遮ることが可能である。それ自体として知られているように、カプセルが好適な横方向案内手段によってそれ自体の向きが案内される場合は、これは、第2の位置で挿入経路にほんのわずかだけ突出する移動淹出モジュール部の一部によって可能になる。このために、特に淹出モジュールは、静止部が淹出モジュール部の残りの部分に固定的に接続され、たとえば、これと一体的に設計すらされるように設計されることが可能であるため、静止部と淹出チャンバを共に形成する淹出モジュール部の部分との間の移動部なしで済ませることができる。
【0023】
実施形態では、上側で他方の淹出モジュール部に向けて突出する一方の淹出モジュール部の要素が静止部を形成する。
【0024】
カプセル認識モジュールを、カプセル認識位置でカプセルの特徴を読出すために適用することができる。そのようなカプセル認識モジュールは、光学センサ、特にカプセルの光学的な特徴を検出するためのカメラを備える。カメラを水蒸気および汚染から保護する透明材料の窓(カプセル認識窓)が、カメラとカプセル認識位置にあるカプセルとの間に存在し得る。
【0025】
実施形態では、カプセル認識窓の、カプセル認識位置側で空気の流れを生成するためのアクティブファンも存在する。
【0026】
カプセル認識窓が曇ることは、そのようなファンによって効果的に防止することができる。カプセル認識の信頼性を、それ自体はいたってシンプルであるこのような対策によって大幅に改善できることが分かっている。
【0027】
説明した種類のカプセル認識窓を、カプセル認識位置と光学センサとの間の軸に対して非直角に、最大でたとえば80°で配置することができる。これによって、窓での光源の反射は光学センサの場所からは見えない。
【0028】
ここでは、カプセル認識位置と光学センサとの間の軸は光学的な意味における軸と理解されるべきであり、すなわち、カプセル認識位置とセンサとの間の光偏向手段の場合は、軸は必ずしも直接連結部に対応しないが、カプセル認識位置でカプセルのカメラによって検出される表面の中央からセンサの中央までの最も短い経路に沿って通過する光ビームのビーム経路に対応する。光学センサがカメラ光学部品を有するカメラである場合は、軸はカメラ光学部品の光学軸(対称軸)と一致し得る。
【0029】
カプセル認識モジュールは、カプセル認識位置でカプセルを照射するための少なくとも1つの光源を、特に、カプセル認識窓の後ろ側において、すなわち、カプセル認識窓の、光学センサ側において、含み得る。そのような光源は、たとえばLEDまたは多数のLEDでもよい。光ディフューザが、特にカプセルの表面がわずかに反射を生じさせるように作用する場合にカプセルで反射が発生するのを防ぐために、光源とカプセル認識位置との間に、たとえば、同様に窓の背後に存在し得る。
【0030】
また、本発明は、本発明に係る淹出モジュールを有する飲料調製マシンに関する。
本発明の実施形態例は、以降図面によって説明される。図面では、同じ参照番号は同じまたは類似の構成要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】
図1の淹出モジュールの断面図であり、
図3の面II−IIに沿った断面図である。
【
図3】
図1の淹出モジュールを上から見た図である。
【
図4】
図1〜
図3に係る淹出モジュールの構成要素の分解図である(筐体部のいくつかは示されていない)。
【
図5】動作の異なる段階での各場合における、
図1〜
図3に係る淹出モジュールの断面図である。
【
図6】動作の異なる段階での各場合における、
図1〜
図3に係る淹出モジュールの断面図である。
【
図7】動作の異なる段階での各場合における、
図1〜
図3に係る淹出モジュールの断面図である。
【
図8】動作の異なる段階での各場合における、
図1〜
図3に係る淹出モジュールの断面図である。
【
図9】動作の異なる段階での各々の場合における、
図1〜
図3に係る淹出モジュールの断面図である。
【
図10】排出装置の実行可能な実施形態の詳細を示す図である。
【
図11】上側に位置する、カプセル認識モジュールを有する淹出モジュールの構成要素を示す分解図である。
【
図12】カプセル認識モジュールのカメラユニットの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1〜
図3に係る淹出モジュール1は外部淹出モジュール筐体2を備えており、淹出モジュールの構成要素は
図4で分解図で示される(いくつかの構成要素、特に筐体部は省略されている)。示された実施形態例では、これは上部筐体部(カプセル認識筐体)および下部筐体部(淹出チャンバユニット筐体)で構成される。具体的には排出装置3および注入部4であり、互いに相対的に移動可能な2つの淹出モジュール部は、淹出モジュール筐体2において案内される。
【0033】
注入部4は、カプセル10に穴をあけるための穿孔要素を備える。カプセルは、挿入開口部11を通じて淹出モジュール内に導入可能で、たとえば、挽いたコーヒーなどの抽出材料で少なくとも部分的に満たされている。注入部4は、たとえば熱水などの流体を、穿孔要素を通じてまたはこれらを通り越して穴があけられたカプセル内に導入するように設計されており、水はたとえば、可撓性の管を備え得る水供給部12を介して供給することができる。
【0034】
ここで説明される実施形態例では、排出装置3は穿孔要素、具体的には抽出側穿孔先端部39も備える。これらは、たとえば、WO2015/039258もしくはWO2010/118544に説明されているように設計可能であり、または、別の設計を有していてもよい。穿孔先端部以外の原理、たとえば、格子状の構造を有する例の適用も可能である。
【0035】
排出装置は、さらに案内手段31を備える。案内手段は、たとえばWO2015/048914で説明されているように、カプセルの両側で注入部側に向かって突出している。WO2015/048914の内容は、これらの案内手段が機能する態様およびここで明確に述べられている注入部の各回収手段に関する。
【0036】
それ自体が知られているように、淹出飲料を調製するために、カプセルが排出装置3と注入部4との間に配設され、排出装置3と注入部4とは、カプセルを取り囲む淹出チャンバがこれらの間に形成されるように互いに向けて移動される。熱水は加圧下で注入部を通じてカプセルに供給され、抽出品は排出装置3の中を流れ、飲料出口13を介して、たとえばその下部に配設された飲料容器の中へと流入する。
【0037】
ここで説明される実施形態例における淹出モジュール部、すなわち、排出装置および注入部の相対移動は、排出装置3が筐体に固定されるような態様で組み立てられることによって行われる一方で、注入部4は水平軸に沿って移動可能である。注入部は、電動式で駆動されるトグルレバーを介して駆動することが可能である。電動機(図示されていないが、たとえば、駆動筐体25によって覆われている)と接続しているピニオンシャフト24が、第1のトグルレバーアーム21に回転可能に固定された態様で接続された鋸歯状のドライブディスク20を駆動する。その結果、その軸26を中心としたドライブディスク20の旋回運動により、第1のトグルレバーアーム21も同様にこの軸を中心として旋回される。第2のトグルレバーアーム22が一方側でトグルレバーボルト23を介して第1のトグルレバーアーム21に接続し、他方側で、注入部4のガイドピン41と協動する。注入部は、実質的に水平な軸に沿って直線状にのみ移動できるように筐体によって搭載されているため、ドライブディスクおよび第1のトグルレバーアームの旋回運動によって、トグルレバーによって形成されるトグル連結部が伸長可能である、または、急角度で屈曲可能であり、これにより、注入部4は直線状に移動可能である。
【0038】
排出装置3および注入部4を有する淹出チャンバユニットの上方で、淹出モジュールはカメラを有するカプセル認識モジュール5を備える。この構造および機能態様は以下でさらに詳細に説明する。
【0039】
動作の過程は
図5〜
図9によって説明される。
カプセル10を挿入するとき、注入部4は、
図5に示すように、たとえば第2の位置に存在する。この位置では、淹出チャンバは開放されているが、注入部は、注入部4の静止部42が側方ガイド28によって挿入開口部11に案内されるカプセル10を、
図6に示すカプセル認識位置に引き留める程度にのみ、注入部側に後退させられる。
【0040】
さらに以降で説明されるカプセルの認識は、カプセル10が
図6に係るカプセル認識位置にある間に実行される。そのカプセルの認識の際に、たとえば、注入側に面するカプセル(カプセル基部)の面に存在する光学的特徴が検出される。
【0041】
場合に応じておよびカプセル認識の結果に応じて、注入部4は、続いて注入側に向かってさらに移動されて、
図7に示す第3の位置内へと移動する。これによって静止部はカプセルから離れていき、カプセルは下方向に落下可能である。カプセルは、横方向案内手段31の台によって、淹出位置の高さで停止される。これは、たとえば台35によって可能であり、この上にカプセルのカラーおよびまたは他の部分が位置し、このカプセルが下方向に落下するとき、(第1の)トラック33が側方ガイド28に接続した状態で案内される。この原理は
図10に示され、WO2015/048914で詳細に説明されている。
【0042】
次に、淹出チャンバは、ユーザによってまたは自動的に起動された後に閉鎖され、そのために、注入部は第3の位置から第1の位置に移動される。
図8は、注入部が第1の位置にある状態の淹出モジュールを示す。カプセル10は両側で穴をあけられ、淹出プロセスが、たとえば熱水が加圧下でカプセル内に導かれることによって行なわれる。たとえば淹出チャンバを閉鎖すると、カプセルのカラーも上記の第1のトラック33から移動される。
【0043】
必要に応じて、さらなるカプセル10´を淹出プロセス中に挿入しておくことが可能であり、その後、このさらなるカプセルは上記の静止部42またはさらなる静止部43上に位置し、カプセル認識位置に留まる。したがって、第2のカプセル10´を、第1のカプセル10の淹出プロセス中に認識しておくことが可能である。
【0044】
注入部は、淹出プロセスが終了した後に第2の位置内へと戻される。使用済みのカプセル10は、下方向にカプセル容器の中へと落下可能である(
図9)。
【0045】
使用済みのカプセルが下方向に落下可能であるのは、同じくWO2015/048914に同様に記載されているように、淹出プロセス後のカプセルの位置が、挿入後のカプセルの位置からずれていることにより、カプセルは台35の上には載っておらずたとえばカラーが第2のトラック36によって案内されるからである。よって、選択肢として、第2のトラック36が第1のトラック33からさらに注入側に延在していてもよく、その逆でもよい。
【0046】
WO2015/048914に係るこの手順の代わりに、たとえば、淹出プロセスが終了した後に横方向案内手段を外方向に向かって旋回させること、または、淹出チャンバを閉鎖する際および/または淹出プロセスの後で開放する際に、保持もしくは案内手段を他の態様でカプセルに対して移動させることも考えられる。
【0047】
淹出手順中に行われる第2のカプセルのカプセル認識プロセスがすでに終了している場合は、第1の位置から第2の位置への移動の代わりに、第3の位置への直接の移動も可能である。
【0048】
図11は、筐体2のそれぞれの部分を備えるカプセル認識モジュールを分解図で示す。
図12は、カメラの各部およびカプセル認識モジュールの照射手段の各部を同様に分解図で示す。それぞれの構成要素のなかには、
図5でも示されているものもある。
【0049】
淹出手順の後で、水蒸気も淹出位置の上方の領域に入り込み、カプセル認識位置の周囲に入り込む。したがって、カプセル認識モジュールは、カメラユニットに加えて、カメラを、場合によっては他の光学部品または電子部品を、水蒸気が入り込む可能性のある領域から分離するカプセル認識窓52を備える。
【0050】
とりわけ、光源としてのいくつかのLED62が回路基板57に配置され、カプセル認識プロセス中は、LEDによって、ディフューザ53(
図5も参照)およびカプセル認識窓52を介してカプセルに照射される光が生成される。好適な、光学的に読み取り可能な特徴、たとえば、バーコード、2Dマトリックスコード(たとえば、QRコードまたはAztecコード)、他の定義されたコード、絵文字(アイコン)および/または特定の着色剤がカプセル上に存在する。
【0051】
光源によって照射されるカプセルの側面はカメラによって検出され、カメラにおいて、または、たとえばコーヒーマシンに同様に存在する別のモジュール(図示せず)によって評価される。
【0052】
この目的で照射されたカプセルから反射された光は、カプセル認識窓52およびディフューザ53のディフューザ窓54を通過して(ディフューザ効果はディフューザ窓54の周囲のみに存在し、ディフューザ窓54自体は透明である)、アパーチャ58、少なくとも1枚のレンズ59、たとえばCCDまたはCMOSセンサアレイなどのカメラセンサ51を備え、同様に回路基板57上に存在するカメラに達する。
【0053】
ここで、ディフューザ窓54はディフューザ窓ホルダ55によって保持される。レンズ59はレンズ固定部60において案内され、レンズ固定部はそれ自体としては回路基板57上で組み立てられているレンズホルダ61によって保持されている。しかしながら、カメラ光学部品の機械的な詳細およびディフューザの設計は、すぐに、異なるように選択することも可能である。
【0054】
ディフューザ自体と一緒にカメラ電子機器をさらに保護する任意の光学密閉フレーム56が、ディフューザ53と回路基板57との間に存在する。
【0055】
カプセル認識位置については、ファンがカプセル認識窓52の前方に位置しており、これによって、カプセル認識手順中におよび/またはその前に、コーヒーマシンの外から空気を吸い込んで、筐体2のスロット71を通じてカプセル認識窓52の前方に吹き出すことによって、空気の流れを生み出す。
【0056】
たとえば、カプセル認識窓のさらなる特徴を
図11に同様に示す。カプセル認識窓52は、カプセル認識位置とカメラセンサ51との間の軸65に対して非直角に配置される。これによって、光源の反射がカメラセンサ上のカプセルの画像に重なること、および、光源の反射によって評価の品質が低下することが効果的に防止される。カプセル認識窓の平面の、軸65「カプセル認識位置‐カメラセンサ」(各場合において、カメラセンサの表面の中間およびカプセル認識位置にあるカプセルを通る軸として定義されている。
図5参照。軸65は、カメラの光軸と一致し得る。)の垂線に対する角度は、たとえば少なくとも10°、特に少なくとも15°である。
【0057】
淹出モジュールを有する、一人分のカプセルから淹出飲料を調製するための本発明に係るマシン、ここでは具体的にはコーヒーマシンが、
図13に概略的に示されている。淹出モジュールのほかに、マシンは、水タンク91、淹出水を注入部4に供給するためのポンプ92、および水加熱装置93(たとえば、連続フローヒータ)を備える。特にカメラ50を有するカプセル認識モジュール5は、淹出チャンバ上方に位置している。カプセル認識プロセスの後で、挿入されたカプセルを、すでに述べたように重力の影響によってさらに下方向に搬送することができる。
【0058】
さらに、淹出プロセス中にカプセル1が落下するまたは搬送されるカプセル容器95が、淹出モジュールの下方に配置されている。参照符号98は、コーヒーカップを示す。
【符号の説明】
【0059】
参照番号のリスト
1 淹出モジュール
2 筐体
3 排出装置
4 注入部
5 カプセル認識モジュール
10 カプセル
10´ 第2のカプセル
11 挿入開口部
12 水供給部
13 飲料出口
20 ドライブディスク
21 第1のトグルレバーアーム
22 第2のトグルレバーアーム
23 トグルレバーボルト
24 ピニオン軸
25 駆動筐体
26 軸
28 ガイド
31 案内手段
33 第1のトラック
35 台
36 第2のトラック
39 抽出側穿孔先端部
41 ガイドピン
42 静止部
43 さらなる静止部
50 カメラ
51 カメラセンサ
52 カプセル認識窓
53 ディフューザ
54 ディフューザ窓
55 ディフューザ窓ホルダ
56 密閉フレーム
57 回路基板
58 アパーチャ
59 レンズ
60 レンズ固定部
61 レンズ保持部
62 LED
65 軸
70 ファン
71 スロット
91 水タンク
92 ポンプ
93 水加熱装置
95 カプセル容器
98 コーヒーカップ