特許第6629342号(P6629342)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6629342
(24)【登録日】2019年12月13日
(45)【発行日】2020年1月15日
(54)【発明の名称】糸束を製造する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/02 20060101AFI20200106BHJP
   A61M 1/18 20060101ALI20200106BHJP
【FI】
   B01D63/02
   A61M1/18 500
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-552223(P2017-552223)
(86)(22)【出願日】2015年12月18日
(65)【公表番号】特表2018-504276(P2018-504276A)
(43)【公表日】2018年2月15日
(86)【国際出願番号】EP2015080486
(87)【国際公開番号】WO2016102364
(87)【国際公開日】20160630
【審査請求日】2018年8月13日
(31)【優先権主張番号】102014019506.6
(32)【優先日】2014年12月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517223945
【氏名又は名称】フィラテック フィラメント テクノロジー ウント シュピンアンラーゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】FilaTech Filament Technology u. Spinnanlagen GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヘアマン ロイシェンバッハ
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−146572(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0051180(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/065193(WO,A1)
【文献】 特開2005−247387(JP,A)
【文献】 特公昭48−008237(JP,B1)
【文献】 特開平11−079128(JP,A)
【文献】 実開昭62−179905(JP,U)
【文献】 実公昭04−009788(JP,Y1)
【文献】 特開2013−203425(JP,A)
【文献】 米国特許第04141289(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 63/02
A61M 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
析フィルタの半透性の中空糸である、複数の個別糸から成るストランドをフォイルによって包装し、ほぼ円形の横断面を有する1つの束に成形する、糸束を製造する装置であって、
少なくとも4つの成形セグメント(1;2;3;4)が、1つの共通のフレーム(14)において、互いに無関係に独立して円中心(19)に向かって回転可能に支持されており、前記成形セグメントの横断面の輪郭が、前記円中心に属する円周(20)の近傍において、一緒に1つの閉鎖された線を形成し、該線が円に近似していることを特徴とする、糸束を製造する装置。
【請求項2】
加的に1つの位置固定の成形セグメント(5)が設けられており、
該成形セグメント(5)を中心にして対称的に両側に、回転可能な前記成形セグメントのうちのそれぞれ2つの成形セグメント(1;2)および(3;4)が配置されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記成形セグメント(1;2;3;4;5)の横断面が、内側に向かって円弧形状の輪郭を有しており、前記成形セグメントのうちの外側に位置する2つの成形セグメント(1;4)の円弧形状の輪郭は、両側において中心角(α)の領域を超えて、接線方向に値(Y)だけ延長されている、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記成形セグメントのうちの外側に位置する2つの成形セグメント(1;4)の縁部領域に、凹部(21;22)が設けられており、該凹部(21;22)内に、隣接した成形セグメントの凹んでいない縁部領域が、該縁部領域が互いに接触することなしに、進入することができる、請求項1記載の装置。
【請求項5】
析フィルタの半透性の中空糸である、複数の個別糸から成るストランドをフォイルによって包装し、ほぼ円形の横断面を有する1つの束に成形する、糸束を製造する装置であって、
当該装置において少なくとも4つの成形セグメント(1;2;3;4)が、円中心(19)に向かって可動に支持されており、前記成形セグメント(1;2;3;4)の横断面の輪郭が、前記円中心(19)に属する円周(20)の近傍において一緒に1つの閉鎖された線を形成し、該線が円に近似している装置において、
前記成形セグメント(1;2;3;4)は、1つの共通のフレーム(14)においてそれぞれの回転中心(10,11,12,13)に、互いに無関係に独立して駆動されて回転可能に支持されており、
追加的に1つの位置固定の成形セグメント(5)が設けられており、該成形セグメント(5)の相反する側において該成形セグメント(5)を中心にして対称的に両側に、回転可能な前記成形セグメントのうちのそれぞれ2つの成形セグメント(1;2)および(3;4)が配置されていることを特徴とする、糸束を製造する装置。
【請求項6】
析フィルタの半透性の中空糸である、複数の個別糸から成るストランドをフォイルによって包装し、ほぼ円形の横断面を有する1つの束に成形する、糸束を製造する装置であって、
当該装置において少なくとも4つの回転可能な成形セグメント(1;2;3;4)が、円中心(19)に向かって可動に支持されており、前記成形セグメント(1;2;3;4)の横断面の輪郭が、前記円中心(19)に属する円周(20)の近傍において一緒に1つの閉鎖された線を形成し、該線が円に近似している装置において、
追加的に1つの位置固定の成形セグメント(5)が設けられており、該成形セグメント(5)の相反する側において該成形セグメント(5)を中心にして対称的に両側に、それぞれ2つの回転可能な前記成形セグメント(1;2)および(3;4)が配置されており、前記回転可能な成形セグメント(1;2;3;4)は、1つの共通のフレーム(14)においてそれぞれの回転中心(10,11,12,13)に、互いに無関係に独立して駆動されて回転可能に支持されており、しかも前記位置固定の成形セグメント(5)の両側において、それぞれ前記回転可能なセグメントのうちの少なくとも1つの成形セグメント(1;4)は、前記ストランドの包装時に互いに無関係に独立して交互に前進および/または後退運動可能であることを特徴とする、糸束を製造する装置。
【請求項7】
前記4つの成形セグメント(1;2,3,4)の各旋回軸線(10;11,12,13)は、前記束(20)の中心軸線(19)を含む平面(E)の同じ側に配置されており、前記中心軸線(19)に比較的近くに位置する2つの前記成形セグメント(2,3)の前記旋回軸線(11,12)は、前記中心軸線(19)からさらに離れて位置する他方の2つの前記成形セグメント(1,4)の前記旋回軸線(10,13)よりも、前記平面(E)および/または前記中心軸線(19)の近くに配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記回転可能な成形セグメントの少なくとも2つの成形セグメント(1;2,3,4)は、それぞれ固有の駆動エレメント(35,36)によって、順次旋回するように駆動可能であり、前記駆動エレメント(35,36)はそれぞれ、それぞれのライン(35’,36’)を介して1つの共通の制御装置(S)に接続されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の装置において糸束を製造する方法であって、
少なくとも2つの成形セグメント(1;4)を、ストランドの包装時に交互に前進および/または後退運動させ、フォイルの外縁部(42)が反対側に位置するフォイル面の内側面(43)に当接し、該内側面(43)によってそこでクランプされるようにすることを特徴とする、糸束を製造する方法。
【請求項10】
請求項1から8までのいずれか1項記載の装置において糸束を製造する方法であって、
成形セグメント(1;2;3;4)の閉鎖運動に振動を重畳させ、糸の圧縮によって束内において発生する内圧が、束横断面の一部領域において短時間高まりかつ他の部分領域において低下するようにすることを特徴とする、糸束を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば透析およびその他の物質移動法のためのフィルタ装置において使用される半透性の中空糸である、複数の個別糸から成るストランドをフォイルによって包装し、ほぼ円形の横断面に成形する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような糸は、紡糸設備において製造され、次いで、所望の数の個別糸から成るストランドが形成されるまで、回転するリール上に集められる。従来の製造設備では、リールは、糸を収容するために周囲に分配された複数の保持アーム(「歯(Zinke)」または「巻取りマンドレル(Wickeldorn)」とも呼ばれる)を有しており、これらの保持アームが多角形を形成する。次いで、多角形の個々の辺が手でフォイルによって包装され、円形横断面を備えたストランドに形成される。ストランドがフォイルを用いて固定された後で、所望の長さを有する束を、さらなる処理のために切り離すことができる。これらの作業工程は高い人件費を必要とし、かつ容易にミスを引き起こし得る。
【0003】
例えば欧州特許第2089304号に記載されているように、比較的新しい自動化された製造設備では、リールは、端部にただ2つの保持アームを備えた回転するビームから成っている。この場合、直線的に形成されたストランドが生じ、このストランドは、リール上で直にフォイルによって包装されて固定される。この配置形態は、リール工程および束製造を自動化するために、実地において様々に使用される。
【0004】
フィルタ装置用の中空糸は、波線の形態で製造することが通常であり、これによって中空糸は互いに間隔をおいて保持されて均一な環流を可能にする。このことは、物質移動(Stoffaustausch)を改善するのに望ましい。また、比較的高いパッケージ密度(=全フィルタ横断面積に関する糸横断面の総和)によってフィルタ出力を改善可能であること、同様に改善された流れ分布によって改善可能であることも公知である。したがって、フォイルによるストランドの包装時に、糸の波形構造の戻り力に抗して比較的強く圧縮することが好適であり、これによって、ダイヤフラム面積を増大させる、つまり使用される中空糸の数を増加させることなしに、比較的高い比出力を有するフィルタ装置を得ることができる。
【0005】
半透性の中空糸の加工時における特殊性は、当該中空糸が僅かな壁厚(約0.1mmまたはそれ未満)に起因して極めて敏感な製品であるという点にある。1万本または1万5千本の糸のうちのただ一つの糸がストランド内でクランプされるかまたは引張り荷重または押圧荷重によって損傷すると、例えばリニアリールの場合、通常、10または12の製造されたすべてのフィルタが使用不能になる。
【0006】
さらに、特にリニアリールの場合、巻き上げられたストランドが、個々の糸における分散する応力によっておよび静電荷によって、極めて種々様々な横断面を形成し得るという難点がある。
【0007】
したがって、文献または実地から公知の、製品を包装するための多くの方法および装置は、ここに記載した使用のためには適していない。
【0008】
中空糸束の包装作業を機械化または自動化するための、複数の解決策が公知である。
【0009】
独国特許発明第19806293号明細書および欧州特許第2420464号明細書に提案された構成では、フォイルおよび糸ストランドを、鋼薄板製の開放したフレキシブルな溝内に載置し、次いでこの溝を円形横断面に変形させるようになっており、このときフォイルは、追加的な「折曲げ装置」を用いて、フォイルの縁部領域が互いに重なり合うように案内される。この両方の構成における欠点としては、比較的狭い範囲内でしか束直径を変化させることができない点がある。明らかな直径差を有する束への切換え時には、装置の組み換えまたは交換が必要であり、つまりそのためには製造を中断しなくてはならない。別の欠点としては、パッケージ密度が制限されている点がある。なぜならば、比較的強い圧縮時、つまり束内の内圧が比較的高いときには、互いに重なり合うフォイル縁部の間における摩擦またはフォイルと糸との間における摩擦が極めて大きくなることがあり、これによってフォイルが折れ曲がってしまうからである。両方の構成において、開閉時における曲げ交番荷重により、金属薄板溝が疲労破壊によって早期に使用不能になるおそれがある。
【0010】
欧州特許第2420464号明細書による上に述べた構成では、追加的にさらに、駆動技術および制御技術に比較的大きなコストもしくは手間が必要である。なぜならば、糸ストランドは溝の閉鎖時にその高さ位置を異なった方向に変化させるからであり、それというのは、全包装装置または糸ストランドの保持装置を絶え間なく繰り返し案内しなければならないからである。
【0011】
欧州特許出願公開第1031526号明細書(EP 1 031 526 A2)に記載の方法では、フォイルは、直角の変向縁部を介して引っ張られる。このとき、フォイルが損傷すること、および個々の糸が両方のフォイル縁部の間の間隙内に引き込まれ得るおそれが存在する。これらの理由から、この解決策は、低いパッケージ密度を有する束のためにしか使用することが許されない。また、さらなる加工のためには、溶接されたフォイル縁部が重なり合っておらず、束から直角に突出している点も不都合である。
【0012】
欧州特許第0490789号明細書(米国特許第5449430号明細書に相当)には、中空糸をドラムに巻き掛けてマットを形成し、次いでマットをテーブル上にフラットに載置し、かつ束に巻き取るための方法が記載されている。この提案は、本発明が関係する製造方法には相当しておらず、また上に記載したリール構造形式と組み合わせることも不可能である。
【0013】
米国特許第802713号明細書は、プラスチックフォイルによって囲繞される、ガラス繊維強化された管またはチューブの製造に関する。この方法は、中空糸束を上に記載のように製造するのには不適当であると思われる。
【0014】
米国特許出願公開第2006/0231193号明細書に開示された方法は、変化しない輪郭を有することが必要な円筒形部材のための保護被覆を装着する方法である。したがって、この方法によって、中空糸ストランドを囲繞することは不可能であると言える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、公知の構成における上に記載の欠点を回避する、糸束を製造するための装置および方法を提供することであり、特に、
・完全自動式の動作(Ablauf)を可能にし、
・確定されていない不規則な横断面を有する糸ストランドをも囲繞することができ、
・機械的な組換えをすることなく、大きな範囲の束直径にも適しており、
・比較的高いパッケージ密度を有する束の製造を可能にし、
・低い構造高さを備えたコンパクトなデザインを有し、
・リニアリールを備えた設備においてもポリゴンリールを備えた設備においても用いることができ、
・束を直にリール上で製造することも、別体の巻取り装置上で製造することも可能であり、
・個々の糸がフォイルの縁部の間にクランプされるおそれがなく、
・早期の摩耗または疲労破壊のおそれがなく、および/または
・可能な限り僅かな機械的および制御技術的なコストまたは手間で実現することができる、
糸束を製造するための装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これらの目的は、請求項1に記載の特徴を備えた装置によって、かつ他の請求項に記載の方法によって達成される。
【0017】
次に図面を参照しながら、本発明の機能形式および利点について詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1aおよび図1bは、装置の機能原理を簡略化して示す図である。
図2図2a、図2b、図2cは、成形セグメントの特殊な場合を示す図である。
図3図2bに示した視線方向「X」から見た図である。
図4】実施に即した寸法を備える包装装置の構造的な設計を示す図である。
図5】糸ストランドの包装および圧縮時における異なる段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1aおよび図1bには、装置の機能原理が簡略化されて示されており、この機能原理では、複数の個々の成形セグメント1...4が、一緒になって閉鎖されたシリンダ状の型を形成するように移動させられる。
【0020】
本実施形態では横断面で見て2つの屈曲したラインによって形成される4つまたはそれ以上の成形セグメント1...4が、それぞれ延長アーム6...9を介してフレーム14に、互いに無関係に独立して回転可能に支持されている。回転中心10...13は、成形セグメントが(例えば束の)中心軸線19に向かって旋回移動して、円周20に近づいた場合に、成形セグメントの横断面が一緒になって閉鎖したラインを形成するように、選択されている。
【0021】
好ましくは、可動の成形セグメント1...4に加えて、フレーム14に不動に結合されたさらに別の成形セグメント5が設けられており、この別の成形セグメント5は、フォイルを包装工程中にしっかりと保持するために、場合によってはサッカを有することができる。
【0022】
さらに好ましくは、位置固定の成形セグメント5に対して対称的に、両側にそれぞれ2つの回転可能な成形セグメントが配置されている。
【0023】
すべての成形セグメントは、軸方向において、糸ストランドの全長にわたって延在しており、場合によっては、ストランドを固定または切断するための工具を接近させるために中断されているか、または切欠きを備えている。
【0024】
各成形セグメント1...4の回転中心10...13は、同じ側、ここでは中心軸線19を含む、ここでは水平な平面Eの下で、長く延在するフレーム14に回転可能に支持されている。束20からさらに離れている両方の成形セグメント1,4の回転軸線10,13は、束20の近くに位置する両方の成形セグメント2,3の回転軸線11,12よりも、水平な平面Eから大きく離れてかつ中心軸線19からも大きく離れて配置されている。束20の近くに位置する両方の成形セグメント2,3が、束20に接触しているとき、離れて位置する両方の成形セグメント1,4は、最初に挙げた成形セグメント2,3を越えて旋回され、これによって成形セグメント1,4は、束20の、不動の成形セグメント5から離れている表面に接触し、束20を、全体としてほぼ円形の横断面が得られるように圧縮する。
【0025】
図2aに示す特殊な場合では、成形セグメント1...4は、平均的な束サイズに相当する曲率半径Rを有する円弧として形成されている。これらの円弧は、両側で、円弧のサイズを確定する中心角αの領域を越えて、接線方向において値「Y」だけ延長されている。これによって、図2cに示すような近似の円輪郭において、隣接した円弧の間での鋭角的な移行部を回避することができる。
【0026】
隣接した画定面が互いにかち合わないようにするために、画定面はその縁部領域に凹部を備えている(図3参照)。
【0027】
図2bには、円弧形状の成形セグメント1...4が、その曲率中心(15;16;17;18)が円周20の中心19に位置するまで旋回された位置が示されている。この場合、円弧は、一緒になって自ずと正確に、半径Rを有する閉鎖された円の円周を形成する。
【0028】
図2cから分かるように、成形セグメントの他の旋回角によって、近似の円形を有する比較的大きなまたは比較的小さな横断面を成形することも可能である。この場合、互いに並んで位置している円弧は、フラットな角度を成して互いに交差する。このことは、フォイルが糸の圧縮時にこれらの箇所において折れ曲がらないようにするために重要である。
【0029】
理想の円周からの半径R1,R2の最大変位は、図示の実施形態では、(例えば29mmの束直径において)1mm未満である。
【0030】
完成した束の外周は、圧縮された糸の戻り力に基づいてほとんど再び円形に適合するので、この誤差は、実際においてはほとんど無視することができる程度である。
【0031】
ここに示した実施形態では、例えば2.5:1のような、最大横断面と最小横断面との面積比が得られる。製造された束サイズをもこの比で変化させることができ、これは例えば、透析のための種々異なるフィルタ寸法の、市場において通常提供される範囲に対応している。
【0032】
つまりこれは、同一の装置を用いて通常のすべてのフィルタ寸法を製造することができることを意味している。
【0033】
成形セグメントを移動させるための駆動装置としてステップモータまたはサーボモータが設けられている場合には、直径切換えのために、単に所属の位置決め制御装置の走行プログラムを切り換えるだけでよく、つまり製造の実施中に、中断なしに他のフォーマットへの切換えが可能である。
【0034】
図3は、図2bに示した視線方向「X」から見た図が、湾曲した面の展開図として示されている。成形セグメントは互いに交差することが望ましいので、縁部領域には凹部21,22が設けられており、これらの凹部21,22内には、隣接した成形セグメントの凹んでいない領域が、互いに邪魔することなく進入することができる。図3には例として画定面1,4が示されており、他の対に対しても相応の配置形態が通用する。
【0035】
このようにして、周囲にわたってかつ長手方向軸線の方向で見て、十分に閉鎖した円筒形の形状が生じ、この形状は糸ストランドをその表面全体において取り囲むことができる。
【0036】
図4には例として、実施に即した寸法を備える包装装置の構造的な設計が示されている。成形セグメント1...4は、装置の構造長に応じて、複数回、回転中心10・・・13において支持され、かつ同軸に歯セグメント23...26に結合されており、これらの歯セグメント23...26は他方において、連続する軸31...34上の歯車27...30と係合されている。これらの軸は、必要に応じて複数回、中間支持され、一方の側からギヤモータ(35,36)によって駆動される。
【0037】
位置固定の成形セグメント5は、中央ウェブ37に結合されている。この中央ウェブ37内には、複数箇所にサッカ38が埋め込まれており、これらのサッカ38には、連続する管路39を介して真空が供給される。
【0038】
成形セグメントは、軸方向で見て、複数箇所で中断しており、これによって、そこに糸ストランドを固定するための工具または束を切断するための工具は、接近箇所を有している。
【0039】
装置は、束長手方向軸線の方向において任意の構造長さをもって構成されていてよく、1つのポリゴンリール(Polygon-Haspel)におけるただ1つの束のための構造長さから、1つのリニアリールにおける10または12の束のためのストランドに到る構造長さをもって構成されてよい。同じ形式の部材が互いに並んでいることによって、装置の合理的な製造が可能である。
【0040】
例えば図4の実施形態では開放された位置において約50mmである低い構造高さは、狭い空間条件においても、例えば糸ストランドが直にポリゴンリール上でフォイルによって包装されることが望ましい場合に、接近を可能にする。
【0041】
4つの成形セグメント1〜4のギヤモータ35,36は、それぞれ互いに無関係に独立して運転可能であり、かつそれぞれのライン35’,36’を介して1つの共通の制御装置Sに接続されている。
【0042】
図5には、糸ストランドの包装および圧縮時における異なる段階が示されている。図5aの開始位置では、成形セグメント1...4は大きく開放されており、これによってフォイル40および糸ストランド41をそこに載置することができる。糸ストランド41は特にリニアリールでは、未だ画定されていない不規則な輪郭を有している。ストランドのすべての糸を確実に把持できるようにするために、フォイルの幅Bは、成形すべき束の周面長さよりも大きい。
【0043】
成形セグメント1...4の旋回運動によって、フォイルは、フォイルが糸ストランドを部分的に取り囲み、このときフォイル縁部のうちの一方がまず、反対側よりも強く折られるように曲げられる(図5b)。成形セグメント5に隣接した両方の内側の成形セグメント2,3は、ほぼ同時に上方に向かって移動され、これによって束を支持するほぼ半円形の溝を形成することができる。次いで、外側の成形セグメント1,4が相前後して束に向かって移動され、これによって、フォイル40が束の上で互いに重なり合うようにフォイル40を閉鎖することができる。図5c〜図5fに示すように、外側の成形セグメント1,4を交互に前進旋回および後退旋回させることによって、フォイルの外縁部42を、反対側に位置するフォイル縁部の内側面43に当接させ、かつそこでクランプさせることができる。この動作によって、束を使用不能にしてしまう、互いに重なり合うフォイル縁部の間への幾つかの糸の進入が確実に回避される。ステップ5fの後で、糸ストランドは、互いに重なり合う縁部を備えたフォイルによって、完全に取り囲まれている。このことは、成形セグメントの移動のみによって達成され、このときにフォイルを追加的な工具、例えばフォイル折曲げ装置(Folienumleger)によって外側から制御する必要はない。成形セグメント1...4のさらなる回転によって、糸をさらに圧縮することができ、このとき重なり合っている両方のフォイル縁部は、さらに大きく互いに上下に位置するように移動しなくてはならない。両方のフォイル縁部の移動は、フォイルが最終的に増大する摩擦抵抗に基づいて折れ曲がるおそれが生じたときに、限界に達する。
【0044】
比較的大きなパッケージ密度は、個々の成形セグメントの閉鎖運動に、高振幅で、短行程でかつ逆向きの振動が重畳される場合に可能になり、このことは、提案されたサーボモータまたはステップモータによって簡単に実現することができる。この方法は、圧縮された糸のばね特性線がある程度のヒステリシスを有しており、かつ圧縮によって得られる内圧がすべての方向において均一に伝播しないという効果を利用している。これによって、フォイル、成形セグメントおよび糸の間における相対運動が生じる領域において、一時的に圧力を低減することひいては摩擦を低減することができる。
【0045】
ストランドが所望の直径に圧縮された後で、ストランドは、実地において公知の方法によって固定され、例えばフォイルの互いに重なり合っている縁部領域は、互いに溶接されるかまたは接着テープを用いて固着される。次いでその後で、直に包装装置においてかまたは外部で別体の切断装置において、所定の長さを有する束が切断される。
【0046】
したがって、本発明は、多数の個別糸から成る、不規則な横断面を備えたストランド(41)をフォイル(40)によって包装し、かつ円形の束に成形するための、特に透析フィルタを製造するための、糸束を製造する装置および方法に関する。
【0047】
このような装置によって、当該装置が全自動式の動作を可能にすること、機械停止なしに、大きく異なる他の束直径への切換えを可能にすること、および糸の比較的高いパッケージ密度を得ることが促進される。
【0048】
加えて、構造高さが低いコンパクトなデザインが有利であり、これによって、接近しにくい箇所においても、例えば汎用のポリゴンリール上でも直に束を製造することが可能になる。
【0049】
フレーム(14)に回転可能に支持された、円弧状の輪郭を有する複数の成形セグメント(1;2;3;4)は、該成形セグメントが比較的大きな角度範囲内において連続するラインを形成し、該ラインが円形横断面に良好に近似して相当するように、旋回させられる。これによって、装置を交換する必要または機械的に組み換える必要なしに、糸を、種々異なった大きさの直径を有する束に成形することができる。
【0050】
個々の成形セグメントを別個に位置決めすることによって、重なり合う縁部領域に個々の糸をクランプすることなく、フォイル(40)は、該フォイルが不規則に成形された糸ストランド(41)を完全に取り囲むように案内される。
【0051】
個々の成形セグメントの閉鎖運動に振動を重畳させることによって、フォイルが束の圧縮時に折れることなしに、比較的高いパッケージ密度が得られる。
【符号の説明】
【0052】
1;2;3;4 成形セグメント(回転可能)
5 成形セグメント(固定)
6;7;8;9 延長アーム
10;11;12;13 回転中心
14 フレーム
15;16;17;18 曲率中心
19 円中心(中心軸線)
20 円周
21;22 凹部
23;24;25;26 歯セグメント
27;28;29;30 歯車
31;32;33;34 軸
35;36 ギヤモータ
37 中央ウェブ
38 サッカ
39 真空管路
40 フォイル
41 糸ストランド
42 フォイルの外縁部
43 フォイルの内側面
B フォイルの幅
R 半径
図2bにおける視線方向
Y 接線方向の延長部
α 中心角
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図5a-5c】
図5d-5f】