【0021】
本発明の発電機用固定子の製造方法は、
固定子枠20の固定子枠内周縁25に所定間隔で設けた支柱24にコアキー29を取り付ける工程と、
前記コアキー29をガイドにして鉄心23を積層する工程と、
積層した鉄心23を鉄心締め付けボルト32で締め付けて固定子21を構成する工程と、
前記固定子21から前記コアキー29を取り外す工程と、
前記固定子21を固定子枠20から抜き出す工程と、
前記固定子21とこの固定子21に取り付けたコイル35を一体に樹脂含浸する工程と、
樹脂含浸した固定子21を前記固定子枠20の固定子枠内周縁25に臨ませて固着する工程と
からなる。
【実施例1】
【0027】
本発明の発電機用固定子及びその製造方法の組み立て工程(S−1)〜(S−9)の実施例1を図面に基づき説明する。
(S−1)固定子枠20にコアキー29を取り付ける工程
固定子枠20は、
図8に示すように、固定子枠内周縁25に臨ませて固定子21を取り付け、据え付け基礎42に据え付け、据え付けた固定子21の内側に回転子22が収まるものである。
前記固定子枠20の固定子枠内周縁25には、
図2、
図3に示すように、所定の中心角2θの間隔で支柱24が設けられる。この中心角2θは、セグメント型(扇形)の前記鉄心23の中心角4θ=40度とすると、中心角2θ=20度の間隔で前記支柱24が設けられる。また、
図3、
図5に示すように、前記鉄心23の外周縁には、コアキー溝26とガイド溝27がθ=10度の間隔で交互に設けられる。前記コアキー溝26は、内方が次第に幅広くなるあり溝とし、前記ガイド溝27は、逆に内方が次第に幅を狭くなるように設けられる。また、両端部のガイド溝27は、隣接する鉄心23の1/2幅のガイド溝27と合わさって1つのガイド溝27を形成する。前記鉄心23の内周縁には、後述するコイル35が装着されるスロット28が設けられ、さらに、鉄心23の中央部には、複数個の締め付けボルト孔34が穿設される。
以上のように構成された前記固定子枠20の前記支柱24の固定子枠内周縁25に沿って、
図2、
図3に示すように、前記コアキー溝26に嵌合するための先端側が幅広くなる楔形のコアキー29が調整板36を介在してボルト30で取り付けられる。
【0028】
(S−2)コアキー29をガイドにして鉄心23を積層する工程
図2に示すように、固定子枠20の下端に設けられた固定子支持板40の上に、
図8に示すようなリング状の鉄心押え板31と前記スロット28と同一のスロットを有するフィンガー38を載せ、このフィンガー38の上に扇形の鉄心23を積層する。この時、鉄心23だけでなく、鉄心押え板31とフィンガー38にもコアキー溝26が形成されており、前記コアキー29をガイドにして順次積層される。前記鉄心23は、中心角が40度とすると、9枚で1周(360度)するが、
図4に示すように、継目が一致しないようにθ/2=20度ずらして順次積層する。前記鉄心23が所定の厚さになったら、冷却用の通風口を形成する通風板39を挟み、さらに順次鉄心23と通風板39を積層する。所定の回数だけ積層した鉄心23の上部にさらに、フィンガー38と鉄心押え板31を積層して積層体を構成する。
なお、前記鉄心23は、扇形に限られず、全体が1枚の円形の鉄心、多角形の鉄心などであってもよい。
【0029】
(S−3)鉄心締め付けボルト32で積層した鉄心23を締め付ける工程
前述の工程で構成された積層体の締め付けボルト孔34に鉄心締め付けボルト32を挿入し、上下のナット33で締め付けて固定子21とする。前記鉄心締め付けボルト32や座金は、鉄心23を貫通することにより、運転中の磁束により電流が流れるのを防止するため、絶縁を施したものを使用する。
【0030】
(S−4)固定子21の外径側にガイドキー37を配置して溶接する工程
図6に示すように、固定子21の積層体の外周部分のガイド溝27にガイドキー37を嵌め込み、ガイドキー37の両側を固定子21の積層体に溶接して固定子21の積層体を一体化する。溶接作業のため、固定子枠20の側版43には開口を設けるようにしておく。
【0031】
(S−5)コアキー29を取り外す工程
図2において、支柱24にコアキー29を固定しているボルト30を抜き取る。このとき、ボルト30の抜き取り作業を容易にするため、固定子枠20の側版43には開口を設けるようにしておく。支柱24との固定を外されたコアキー29を固定子21の積層体のコアキー溝26から抜き取る。
【0032】
(S−6)プレスした固定子21の積層体を固定子枠20から抜き出す工程
固定子枠20の下端の固定子支持板40に載せられて積層した固定子21の積層体は、コアキー29を抜き取ることにより、固定子枠20から一旦抜き出す。固定子21の積層体の抜き出しの際、コアキー29とともに調整板36も抜き出すことで、固定子21の積層体は、固定子枠20から容易に抜き出すことができる。
【0033】
(S−7)ガイドキー37の外径を固定子枠20の固定子枠内周縁25に合わせて切削加工する工程
溶接されたガイドキー37の外径が固定子枠20の固定子枠内周縁25に一致するかやや小さな径となるように切削加工する。
【0034】
(S−8)固定子21とコイル35を一体に樹脂含浸する工程
固定子21の積層体のスロット28にコイル35を嵌め込み、このコイル35と一体に固定子21を樹脂タンクにどぶ付けして外周全体に樹脂の塗膜を形成する。
【0035】
(S−9)固定子21を固定子枠20に嵌合固着する工程
固定子21の塗膜が硬化したら、
図7に示すように、固定子枠20の下端の固定子支持板40に固定子21を載せるようにして嵌合する。このとき、固定子21の外周面と、固定子枠20の固定子枠内周縁25とは、全周で均一な隙間(たとえば、0.5mm)をもって嵌合される。嵌合した固定子21の上に、
図7、
図8に示すような固定子支持板40を宛がい、ねじ41で固定子枠20に固着する。
【0036】
前記実施例では、固定子枠20を、固定子21の積層体の組み込み時に、治具として利用し、固定子21の積層体の組み込み後に、一旦、固定子枠20から抜き取り、コイル35と一体に樹脂タンクに浸漬して樹脂含浸した。このような構成とすることにより、固定子枠20が大きすぎて、樹脂タンクに浸漬できなくても、積層した固定子21だけを樹脂タンクに浸漬することができ、樹脂タンクに大きさの限度がある場合では、固定子21を樹脂含浸するのに好適である。
【0037】
図8では、固定子枠20が縦型(回転子の回転軸が横型)の例を示したが、本発明は、固定子枠20が横型(回転子の回転軸が縦型)であっても採用することができる。