特許第6629385号(P6629385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6629385
(24)【登録日】2019年12月13日
(45)【発行日】2020年1月15日
(54)【発明の名称】発電機用固定子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20200106BHJP
   H02K 15/12 20060101ALI20200106BHJP
【FI】
   H02K15/02 F
   H02K15/12 D
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-96944(P2018-96944)
(22)【出願日】2018年5月21日
(65)【公開番号】特開2019-205226(P2019-205226A)
(43)【公開日】2019年11月28日
【審査請求日】2018年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000230973
【氏名又は名称】日本工営株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076255
【弁理士】
【氏名又は名称】古澤 俊明
(72)【発明者】
【氏名】関根 陣
【審査官】 津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−179234(JP,A)
【文献】 実開平06−070452(JP,U)
【文献】 特開昭62−233047(JP,A)
【文献】 実開昭63−194548(JP,U)
【文献】 特開昭62−135244(JP,A)
【文献】 実開昭61−144748(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/02
H02K 15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子枠20の固定子枠内周縁25に所定間隔で設けた支柱24にコアキー29を取り付ける工程と、
前記コアキー29をガイドにして鉄心23を積層する工程と、
積層した鉄心23を鉄心締め付けボルト32で締め付けて固定子21を構成する工程と、
前記固定子21から前記コアキー29を取り外す工程と、
前記固定子21を固定子枠20から抜き出す工程と、
前記固定子21とこの固定子21に取り付けたコイル35を一体に樹脂含浸する工程と、
樹脂含浸した固定子21を前記固定子枠20の固定子枠内周縁25に臨ませて固着する工程と
からなることを特徴とする発電機用固定子の製造方法。
【請求項2】
前記積層した鉄心23を鉄心締め付けボルト32で締め付けて固定子21を構成する工程の後に、前記固定子21の外径側にガイドキー37を溶接する工程を付加したことを特徴とする請求項1記載の発電機用固定子の製造方法。
【請求項3】
前記固定子21の外径側にガイドキー37を溶接する工程は、前記固定子21の外径側にガイド溝27を形成して、このガイド溝27に前記ガイドキー37を嵌め込み溶接することを特徴とする請求項2記載の発電機用固定子の製造方法。
【請求項4】
前記コアキー29をガイドにして鉄心23を積層する工程は、前記鉄心23の外径部に前記コアキー29の嵌合するコアキー溝26を形成し、このコアキー溝26を前記コアキー29に嵌合して積層することを特徴とする請求項1記載の発電機用固定子の製造方法。
【請求項5】
前記コアキー溝26は、内方が幅広のあり溝とし、前記コアキー29は、このあり溝に嵌合する先端を幅広に形成したものからなることを特徴とする請求項4記載の発電機用固定子の製造方法。
【請求項6】
扇形の外周に、所定の中心角でコアキー溝26とガイド溝27を交互に形成し、前記扇形の内周に、コイル装着用スロット28を形成し、中央部に締め付けボルト孔34を穿設した鉄心23と、
固定子枠内周縁25であって、前記コアキー溝26に対応した位置に調整板36を介在してコアキー29を着脱自在に取り付けるための支柱24を形成するとともに、端部に固定子支持板40を形成した固定子枠20と、
前記固定子支持板40の上に、前記コアキー29に前記鉄心23の前記コアキー溝26を嵌合して所定枚数毎に冷却用の通風口を形成する通風板39を介在して積層し、両端の鉄心押え板31とともに前記締め付けボルト孔34に鉄心締め付けボルト32を差し込み形成された固定子21と、
前記ガイド溝27に嵌合して前記固定子21を一体に溶接したガイドキー37と、
前記コイル装着用スロット28に装着したコイル35と
からなり、前記コアキー溝26は、内方が幅広のあり溝とし、前記コアキー29は、このあり溝に嵌合する先端を幅広に形成したものからなることを特徴とする発電機用固定子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セグメント型(扇形)の鉄心、円形の鉄心、多角形の鉄心などを積層して構成された発電機用固定子及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電機の固定子鉄心を外側の大きなフレームに取り付ける方法が提案されている(特許文献1)。
この方法は、図9に示すように、扇形をした薄鉄板を継目の位置が重ならないようにずらしながら積層して固定子鉄心10を構成し、この固定子鉄心10を内フレーム13に挿入し、締め付けボルト11を入れ、ナット12で締め付ける。固定子鉄心10を組み込み後、内フレーム13を外フレーム14に挿入し、継目は全周溶接する、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−261474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明は、内フレーム13と外フレーム14の全周溶接作業に長時間要するだけでなく、溶接が不完全になったり、固定子フレームに歪みが発生したりしやすく、また、固定子と回転子の間の隙間が一定にならないことが原因で磁場の変動で振動が生じる恐れがあるという問題点があった。
【0005】
本発明は、固定子の組み立て時に、固定子枠を冶具として機能させることにより簡単で確実に組み立てができるようにした発電機用固定子及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発電機用固定子の製造方法は、
固定子枠20の固定子枠内周縁25に所定間隔で設けた支柱24にコアキー29を取り付ける工程と、
前記コアキー29をガイドにして鉄心23を積層する工程と、
積層した鉄心23を鉄心締め付けボルト32で締め付けて固定子21を構成する工程と、
前記固定子21から前記コアキー29を取り外す工程と、
前記固定子21を固定子枠20から抜き出す工程と、
前記固定子21とこの固定子21に取り付けたコイル35を一体に樹脂含浸する工程と、
樹脂含浸した固定子21を前記固定子枠20の固定子枠内周縁25に臨ませて固着する工程と
からなる。
【0007】
前記積層した鉄心23を鉄心締め付けボルト32で締め付けて固定子21を構成する工程の後に、前記固定子21の外径側にガイドキー37を溶接する工程を付加したことを特徴とする。
【0008】
前記固定子21の外径側にガイドキー37を溶接する工程は、前記固定子21の外径側にガイド溝27を形成して、このガイド溝27に前記ガイドキー37を嵌め込み溶接することを特徴とする。
【0009】
前記コアキー29をガイドにして鉄心23を積層する工程は、前記鉄心23の外径部に前記コアキー29の嵌合するコアキー溝26を形成し、このコアキー溝26を前記コアキー29に嵌合して積層することを特徴とする。
【0010】
前記コアキー溝26は、内方が幅広のあり溝とし、前記コアキー29は、このあり溝に嵌合する先端を幅広に形成したものからなることを特徴とする。
【0011】
本発明の発電機用固定子は、
扇形の外周に、所定の中心角でコアキー溝26とガイド溝27を交互に形成し、前記扇形の内周に、コイル装着用スロット28を形成し、中央部に締め付けボルト孔34を穿設した鉄心23と、
固定子枠内周縁25であって、前記コアキー溝26に対応した位置に調整板36を介在してコアキー29を着脱自在に取り付けるための支柱24を形成するとともに、端部に固定子支持板40を形成した固定子枠20と、
前記固定子支持板40の上に、前記コアキー29に前記鉄心23の前記コアキー溝26を嵌合して所定枚数毎に冷却用の通風口を形成する通風板39を介在して積層し、両端の鉄心押え板31とともに前記締め付けボルト孔34に鉄心締め付けボルト32を差し込み形成された固定子21と、
前記ガイド溝27に嵌合して前記固定子21を一体に溶接したガイドキー37と、
前記コイル装着用スロット28に装着したコイル35と
からなり、前記コアキー溝26は、内方が幅広のあり溝とし、前記コアキー29は、このあり溝に嵌合する先端を幅広に形成したものからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、
固定子枠20の固定子枠内周縁25に所定間隔で設けた支柱24にコアキー29を取り付ける工程と、
前記コアキー29をガイドにして鉄心23を積層する工程と、
積層した鉄心23を鉄心締め付けボルト32で締め付けて固定子21を構成する工程と、
前記固定子21から前記コアキー29を取り外す工程と、
前記固定子21を固定子枠20から抜き出す工程と、
前記固定子21とこの固定子21に取り付けたコイル35を一体に樹脂含浸する工程と、
樹脂含浸した固定子21を前記固定子枠20の固定子枠内周縁25に臨ませて固着する工程と
からなるので、鉄心23を積層する治具として固定子枠20を兼用することで、別途組み立て治具を用いることなく簡便に固定子21を組み立てることができる。また、固定子枠20が大きすぎて樹脂含浸タンクに入らないときには、固定子21だけを樹脂含浸することができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、
前記積層した鉄心23を鉄心締め付けボルト32で締め付けて固定子21を構成する工程の後に、前記固定子21の外径側にガイドキー37を溶接する工程を付加したので、鉄心23を積層した固定子21をより確実に固着することができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、
前記固定子21の外径側にガイドキー37を溶接する工程は、前記固定子21の外径側にガイド溝27を形成して、このガイド溝27に前記ガイドキー37を嵌め込み溶接するようにしたので、溶接工程が簡単にかつ確実になる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、
前記コアキー29をガイドにして鉄心23を積層する工程は、前記鉄心23の外径部に前記コアキー29の嵌合するコアキー溝26を形成し、このコアキー溝26を前記コアキー29に嵌合して積層するようにしたので、積層時の円周方向の位置合わせが簡単に行える。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、
前記コアキー溝26は、内方が幅広のあり溝とし、前記コアキー29は、このあり溝に嵌合する先端を幅広に形成したものからなるので、積層時の円周方向と中心方向の位置合わせが簡単に行える。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、
本発明の発電機用固定子は、
扇形の外周に、所定の中心角でコアキー溝26とガイド溝27を交互に形成し、前記扇形の内周に、コイル装着用スロット28を形成し、中央部に締め付けボルト孔34を穿設した鉄心23と、
固定子枠内周縁25であって、前記コアキー溝26に対応した位置に調整板36を介在してコアキー29を着脱自在に取り付けるための支柱24を形成するとともに、端部に固定子支持板40を形成した固定子枠20と、
前記固定子支持板40の上に、前記コアキー29に前記鉄心23の前記コアキー溝26を嵌合して所定枚数毎に冷却用の通風口を形成する通風板39を介在して積層し、両端の鉄心押え板31とともに前記締め付けボルト孔34に鉄心締め付けボルト32を差し込み形成された固定子21と、
前記ガイド溝27に嵌合して前記固定子21を一体に溶接したガイドキー37と、
前記コイル装着用スロット28に装着したコイル35と
からなり、前記コアキー溝26は、内方が幅広のあり溝とし、前記コアキー29は、このあり溝に嵌合する先端を幅広に形成したものからなるので、構造が堅牢で安定した発電動作をすることができる。また、鉄心23を正確に積層した発電機用固定子となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明による発電機用固定子及びその製造方法の一実施例を示す組立順序をしめすフローチャートである。
図2】固定子枠20を冶具として使用し鉄心23を積層する工程の縦断面図である。
図3図2におけるA−A線断面図である。
図4】鉄心23の積層状態を示す側面図である。
図5】扇形の1枚の鉄心23の平面図である。
図6】積層した鉄心23をガイドキー37で溶接した状態の平面図である。
図7】固定子21を固定子枠20に取り付けた状態の縦断面図である。
図8】固定子枠20に固定子21と回転子22を組み立てた状態の一部切り欠いた正面図である。
図9】従来の固定子鉄心の組み立て方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の発電機用固定子の製造方法は、
固定子枠20の固定子枠内周縁25に所定間隔で設けた支柱24にコアキー29を取り付ける工程と、
前記コアキー29をガイドにして鉄心23を積層する工程と、
積層した鉄心23を鉄心締め付けボルト32で締め付けて固定子21を構成する工程と、
前記固定子21から前記コアキー29を取り外す工程と、
前記固定子21を固定子枠20から抜き出す工程と、
前記固定子21とこの固定子21に取り付けたコイル35を一体に樹脂含浸する工程と、
樹脂含浸した固定子21を前記固定子枠20の固定子枠内周縁25に臨ませて固着する工程と
からなる。
【0022】
前記積層した鉄心23を鉄心締め付けボルト32で締め付けて固定子21を構成する工程の後に、前記固定子21の外径側にガイドキー37を溶接する工程を付加することが好ましい。
【0023】
前記固定子21の外径側にガイドキー37を溶接する工程は、前記固定子21の外径側にガイド溝27を形成して、このガイド溝27に前記ガイドキー37を嵌め込み溶接する。
【0024】
前記コアキー29をガイドにして鉄心23を積層する工程は、前記鉄心23の外径部に前記コアキー29の嵌合するコアキー溝26を形成し、このコアキー溝26を前記コアキー29に嵌合して積層する。
【0025】
本発明の発電機用固定子は、
扇形の外周に、所定の中心角でコアキー溝26とガイド溝27を交互に形成し、前記扇形の内周に、コイル装着用スロット28を形成し、中央部に締め付けボルト孔34を穿設した鉄心23と、
固定子枠内周縁25であって、前記コアキー溝26に対応した位置に調整板36を介在してコアキー29を着脱自在に取り付けるための支柱24を形成するとともに、端部に固定子支持板40を形成した固定子枠20と、
前記固定子支持板40の上に、前記コアキー29に前記鉄心23の前記コアキー溝26を嵌合して所定枚数毎に冷却用の通風口を形成する通風板39を介在して積層し、両端の鉄心押え板31とともに前記締め付けボルト孔34に鉄心締め付けボルト32を差し込み形成された固定子21と、
前記ガイド溝27に嵌合して前記固定子21を一体に溶接したガイドキー37と、
前記コイル装着用スロット28に装着したコイル35と
からなり、前記コアキー溝26は、内方が幅広のあり溝とし、前記コアキー29は、このあり溝に嵌合する先端を幅広に形成したものからなるものである。
【実施例1】
【0027】
本発明の発電機用固定子及びその製造方法の組み立て工程(S−1)〜(S−9)の実施例1を図面に基づき説明する。
(S−1)固定子枠20にコアキー29を取り付ける工程
固定子枠20は、図8に示すように、固定子枠内周縁25に臨ませて固定子21を取り付け、据え付け基礎42に据え付け、据え付けた固定子21の内側に回転子22が収まるものである。
前記固定子枠20の固定子枠内周縁25には、図2図3に示すように、所定の中心角2θの間隔で支柱24が設けられる。この中心角2θは、セグメント型(扇形)の前記鉄心23の中心角4θ=40度とすると、中心角2θ=20度の間隔で前記支柱24が設けられる。また、図3図5に示すように、前記鉄心23の外周縁には、コアキー溝26とガイド溝27がθ=10度の間隔で交互に設けられる。前記コアキー溝26は、内方が次第に幅広くなるあり溝とし、前記ガイド溝27は、逆に内方が次第に幅を狭くなるように設けられる。また、両端部のガイド溝27は、隣接する鉄心23の1/2幅のガイド溝27と合わさって1つのガイド溝27を形成する。前記鉄心23の内周縁には、後述するコイル35が装着されるスロット28が設けられ、さらに、鉄心23の中央部には、複数個の締め付けボルト孔34が穿設される。
以上のように構成された前記固定子枠20の前記支柱24の固定子枠内周縁25に沿って、図2図3に示すように、前記コアキー溝26に嵌合するための先端側が幅広くなる楔形のコアキー29が調整板36を介在してボルト30で取り付けられる。
【0028】
(S−2)コアキー29をガイドにして鉄心23を積層する工程
図2に示すように、固定子枠20の下端に設けられた固定子支持板40の上に、図8に示すようなリング状の鉄心押え板31と前記スロット28と同一のスロットを有するフィンガー38を載せ、このフィンガー38の上に扇形の鉄心23を積層する。この時、鉄心23だけでなく、鉄心押え板31とフィンガー38にもコアキー溝26が形成されており、前記コアキー29をガイドにして順次積層される。前記鉄心23は、中心角が40度とすると、9枚で1周(360度)するが、図4に示すように、継目が一致しないようにθ/2=20度ずらして順次積層する。前記鉄心23が所定の厚さになったら、冷却用の通風口を形成する通風板39を挟み、さらに順次鉄心23と通風板39を積層する。所定の回数だけ積層した鉄心23の上部にさらに、フィンガー38と鉄心押え板31を積層して積層体を構成する。
なお、前記鉄心23は、扇形に限られず、全体が1枚の円形の鉄心、多角形の鉄心などであってもよい。
【0029】
(S−3)鉄心締め付けボルト32で積層した鉄心23を締め付ける工程
前述の工程で構成された積層体の締め付けボルト孔34に鉄心締め付けボルト32を挿入し、上下のナット33で締め付けて固定子21とする。前記鉄心締め付けボルト32や座金は、鉄心23を貫通することにより、運転中の磁束により電流が流れるのを防止するため、絶縁を施したものを使用する。
【0030】
(S−4)固定子21の外径側にガイドキー37を配置して溶接する工程
図6に示すように、固定子21の積層体の外周部分のガイド溝27にガイドキー37を嵌め込み、ガイドキー37の両側を固定子21の積層体に溶接して固定子21の積層体を一体化する。溶接作業のため、固定子枠20の側版43には開口を設けるようにしておく。
【0031】
(S−5)コアキー29を取り外す工程
図2において、支柱24にコアキー29を固定しているボルト30を抜き取る。このとき、ボルト30の抜き取り作業を容易にするため、固定子枠20の側版43には開口を設けるようにしておく。支柱24との固定を外されたコアキー29を固定子21の積層体のコアキー溝26から抜き取る。
【0032】
(S−6)プレスした固定子21の積層体を固定子枠20から抜き出す工程
固定子枠20の下端の固定子支持板40に載せられて積層した固定子21の積層体は、コアキー29を抜き取ることにより、固定子枠20から一旦抜き出す。固定子21の積層体の抜き出しの際、コアキー29とともに調整板36も抜き出すことで、固定子21の積層体は、固定子枠20から容易に抜き出すことができる。
【0033】
(S−7)ガイドキー37の外径を固定子枠20の固定子枠内周縁25に合わせて切削加工する工程
溶接されたガイドキー37の外径が固定子枠20の固定子枠内周縁25に一致するかやや小さな径となるように切削加工する。
【0034】
(S−8)固定子21とコイル35を一体に樹脂含浸する工程
固定子21の積層体のスロット28にコイル35を嵌め込み、このコイル35と一体に固定子21を樹脂タンクにどぶ付けして外周全体に樹脂の塗膜を形成する。
【0035】
(S−9)固定子21を固定子枠20に嵌合固着する工程
固定子21の塗膜が硬化したら、図7に示すように、固定子枠20の下端の固定子支持板40に固定子21を載せるようにして嵌合する。このとき、固定子21の外周面と、固定子枠20の固定子枠内周縁25とは、全周で均一な隙間(たとえば、0.5mm)をもって嵌合される。嵌合した固定子21の上に、図7図8に示すような固定子支持板40を宛がい、ねじ41で固定子枠20に固着する。
【0036】
前記実施例では、固定子枠20を、固定子21の積層体の組み込み時に、治具として利用し、固定子21の積層体の組み込み後に、一旦、固定子枠20から抜き取り、コイル35と一体に樹脂タンクに浸漬して樹脂含浸した。このような構成とすることにより、固定子枠20が大きすぎて、樹脂タンクに浸漬できなくても、積層した固定子21だけを樹脂タンクに浸漬することができ、樹脂タンクに大きさの限度がある場合では、固定子21を樹脂含浸するのに好適である。
【0037】
図8では、固定子枠20が縦型(回転子の回転軸が横型)の例を示したが、本発明は、固定子枠20が横型(回転子の回転軸が縦型)であっても採用することができる。
【符号の説明】
【0038】
10…固定子鉄心、11…締め付けボルト、12…ナット、13…内フレーム、14…外フレーム、20…固定子枠、21…固定子、22…回転子、23…鉄心、24…支柱、25…固定子枠内周縁、26…コアキー溝、27…ガイド溝、28…スロット、29…コアキー、30…ボルト、31…鉄心押え板、32…鉄心締め付けボルト、33…ナット、34…締め付けボルト孔、35…コイル、36…調整板、37…ガイドキー、38…フィンガー、39…通風板、40…固定子支持板、41…ねじ、42…据え付け基礎、43…側版。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9