特許第6629387号(P6629387)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6629387エレベータの遠隔監視情報管理方法および遠隔監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6629387
(24)【登録日】2019年12月13日
(45)【発行日】2020年1月15日
(54)【発明の名称】エレベータの遠隔監視情報管理方法および遠隔監視システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20200106BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20200106BHJP
【FI】
   B66B5/00 G
   B66B3/00 S
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-98476(P2018-98476)
(22)【出願日】2018年5月23日
(65)【公開番号】特開2019-202845(P2019-202845A)
(43)【公開日】2019年11月28日
【審査請求日】2018年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 大地
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−062429(JP,A)
【文献】 特開平05−058569(JP,A)
【文献】 特開平11−195193(JP,A)
【文献】 特開2018−016477(JP,A)
【文献】 特開2007−022795(JP,A)
【文献】 特開2011−088711(JP,A)
【文献】 特開平07−112878(JP,A)
【文献】 特開2015−016991(JP,A)
【文献】 特開2007−331849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
B66B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のエレベータを所定期間遠隔監視する契約が締結されたときに当該エレベータに設置された遠隔監視装置と、前記遠隔監視装置に通信ネットワークを介して接続され、前記エレベータが設置された建物から遠隔地にあるサービス情報センタに設置されたサービス情報センタ装置とで構成されたエレベータの遠隔監視システムで用いられるエレベータの遠隔監視情報管理方法であって、
前記遠隔監視装置には、外部装置と通信を行うための通信用プログラム情報と、前記遠隔監視に関する診断運転を前記エレベータに実行させるための診断運転用プログラム情報と、前記診断運転用プログラム情報を自装置内に書き込むための書き込み用プログラム情報とが格納され、
前記サービス情報センタ装置が、前記エレベータの遠隔監視の契約期間が終了したときに、前記診断運転用プログラム情報を消去させるためのプログラム消去指令を前記遠隔監視装置に送信し、
前記プログラム消去指令を受信した前記遠隔監視装置が、自装置内に前記通信用プログラム情報および前記書き込み用プログラム情報を残した状態で、前記診断運転用プログラム情報を消去し、
前記遠隔監視装置から前記診断運転用プログラム情報が消去された後、前記エレベータの遠隔監視が再契約されたときに、前記サービス情報センタ装置が、当該再契約による遠隔監視に適用する診断運転用プログラム情報を前記遠隔監視装置に送信し、
前記遠隔監視装置が、前記サービス情報センタ装置から受信した診断運転用プログラム情報を、前記書き込み用プログラムにより自装置内に書き込む
ことを特徴とするエレベータの遠隔監視情報管理方法。
【請求項2】
前記遠隔監視装置には、前記エレベータを所定期間遠隔監視する契約が締結されたときに格納された診断運転用プログラム情報のバージョン情報が格納されており、
前記遠隔監視装置から前記診断運転用プログラム情報が消去された後、前記エレベータの遠隔監視が再契約されたときに、前記サービス情報センタ装置が、前記遠隔監視装置から前記バージョン情報を取得し、
取得したバージョン情報よりも新しいバージョンであり、且つ、前記エレベータの遠隔監視に適用可能な診断運転用プログラム情報があると判定したときには、当該新しいバージョンの診断運転用プログラム情報を、前記再契約による遠隔監視に適用する診断運転用プログラム情報として前記遠隔監視装置に送信し、
取得したバージョン情報よりも新しいバージョンであり、且つ、前記エレベータの遠隔監視に適用可能な診断運転用プログラム情報がないと判定したときには、以前、前記エレベータの遠隔監視に適用したバージョンの診断運転用プログラム情報を、前記再契約による遠隔監視に適用する診断運転用プログラム情報として前記遠隔監視装置に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータの遠隔監視情報管理方法。
【請求項3】
前記エレベータの遠隔監視が再契約され、前記サービス情報センタ装置が当該再契約による遠隔監視に適用する診断運転用プログラム情報を前記遠隔監視装置に送信した後、前記サービス情報センタ装置が、前記診断運転に関する動作確認用データ要求を前記遠隔監視装置に送信し、
前記遠隔監視装置が、前記動作確認用データ要求を受信したときに、前記エレベータの遠隔監視に関する動作確認用データとして所定時間内の前記エレベータの動作状況情報を取得して前記サービス情報センタ装置に送信し、
前記サービス情報センタ装置が、前記遠隔監視装置から受信した前記エレベータの動作状況情報を用いて、前記エレベータの遠隔監視に関する動作確認を行う
ことを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータの遠隔監視情報管理方法。
【請求項4】
前記遠隔監視装置が、前記サービス情報センタ装置から受信した診断運転用プログラム情報を自装置内に書き込む処理が完了すると、プログラム書き込み処理完了通知を前記サービス情報センタ装置に送信し、
前記サービス情報センタ装置が、前記再契約による遠隔監視に適用する診断運転用プログラム情報を前記遠隔監視装置に送信した後、前記プログラム書き込み処理完了通知が受信されずに所定時間が経過したときには、当該診断運転用プログラム情報を前記遠隔監視装置に再送信し、当該診断運転用プログラム情報の再送信を所定回数実行しても前記プログラム書き込み処理完了通知が受信されないときには、エラー通知情報を出力する
ことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のエレベータの遠隔監視情報管理方法。
【請求項5】
所定のエレベータを所定期間遠隔監視する契約が締結されたときに当該エレベータに設置された遠隔監視装置と、前記遠隔監視装置に通信ネットワークを介して接続され、前記エレベータが設置された建物から遠隔地にあるサービス情報センタに設置されたサービス情報センタ装置とで構成されたエレベータの遠隔監視システムにおいて、
前記遠隔監視装置には、外部装置と通信を行うための通信用プログラム情報と、前記遠隔監視に関する診断運転を前記エレベータに実行させるための診断運転用プログラム情報と、前記診断運転用プログラム情報を自装置内に書き込むための書き込み用プログラム情報とが格納されており、
前記サービス情報センタ装置は、
前記エレベータの遠隔監視の契約期間が終了したときに、前記診断運転用プログラム情報を消去させるためのプログラム消去指令を前記遠隔監視装置に送信し、前記遠隔監視装置から前記診断運転用プログラム情報が消去された後、前記エレベータの遠隔監視が再契約されたときに、当該再契約による遠隔監視に適用する診断運転用プログラム情報を前記遠隔監視装置に送信する診断運転情報処理部を有し、
前記遠隔監視装置は、
前記プログラム消去指令を受信すると、自装置内に前記通信用プログラム情報および前記書き込み用プログラム情報を残した状態で、前記診断運転用プログラム情報を消去し、その後、前記サービス情報センタ装置から診断運転用プログラム情報を受信すると、前記書き込み用プログラムにより自装置内に書き込む情報制御部を有する
ことを特徴とするエレベータの遠隔監視システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータの遠隔監視情報管理方法および遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータ管理会社とエレベータが設置された建物のオーナーとの間で、当該エレベータに関する所定期間の遠隔監視契約が締結されると、当該建物に、遠隔監視の処理に用いる遠隔監視装置が設置される。この遠隔監視装置には、当該エレベータに遠隔監視に関する診断運転を実行させるためのプログラム情報が格納された遠隔監視基板が設置されている。そして、この遠隔監視装置で当該プログラム情報を用いて診断運転が実行されると、その結果情報がエレベータ管理会社のサービス情報センタ装置に送信され、当該エレベータの遠隔監視処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−216151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した遠隔監視基板は、遠隔監視の契約期間中、建物内部の装置に設置されているため、遠隔監視の契約期間が終了した後、エレベータ管理会社の作業員が立ち入って回収することは困難である。しかし、契約期間終了後も当該建物内部に遠隔監視基板を残したままにすると、当該基板に格納されたプログラムが他社により解析され、当該エレベータ管理会社独自の遠隔監視処理の内容を把握されてしまう可能性があるという問題があった。遠隔監視の契約期間終了時にエレベータ管理会社が当該基板を回収すれば他社にプログラムを解析されることは回避できるが、その後当該エレベータ管理会社で遠隔監視が再契約された場合に、再度遠隔監視基板を当該建物内の装置に取り付ける作業が必要になり、手間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、エレベータの遠隔監視のための処理に用いるプログラム情報を、漏洩を防止しつつ容易に管理するためのエレベータの遠隔監視情報管理方法および遠隔監視システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための実施形態によればエレベータの遠隔監視システムは、実施形態によれば遠隔監視システムは、所定エレベータの遠隔監視が契約されたときに当該エレベータに設けられた遠隔監視装置と、遠隔地のサービス情報センタ装置とで構成される。遠隔監視装置には、通信用プログラム情報と遠隔監視に関する診断運転のための診断運転用プログラム情報と診断運転用プログラム情報の書き込み用プログラム情報とが格納されている。サービス情報センタ装置は、エレベータの遠隔監視の契約期間が終了したときにプログラム消去指令を遠隔監視装置に送信し、遠隔監視装置から診断運転用プログラム情報が消去された後、エレベータの遠隔監視が再契約されたときに、当該再契約による遠隔監視に適用する診断運転用プログラム情報を遠隔監視装置に送信する。遠隔監視装置はプログラム消去指令を受信すると、自装置内に通信用プログラム情報および書き込み用プログラム情報を残した状態で、診断運転用プログラム情報を消去し、その後、サービス情報センタ装置から診断運転用プログラム情報を受信すると、書き込み用プログラムにより自装置内に書き込む
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1〜第4実施形態による遠隔監視システムの構成を示すブロック図。
図2】第1実施形態による遠隔監視システムの動作を示すフローチャート。
図3】第2実施形態による遠隔監視システムの動作を示すフローチャート。
図4】第3実施形態による遠隔監視システムの動作を示すフローチャート。
図5】第4実施形態による遠隔監視システムの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施形態として、所定のエレベータ管理会社と建物Xのオーナーとの間で、当該建物X内のエレベータEに関する所定期間の遠隔監視契約が締結されたときに、当該建物Xに遠隔監視装置が設置され、当該エレベータ管理会社のサービス情報センタYに設置されたサービス情報センタ装置と当該遠隔監視装置とが通信ネットワークで接続されて、遠隔監視システムが構築された場合について説明する。
【0009】
《第1実施形態》
〈第1実施形態による遠隔監視システムの構成〉
本発明の第1実施形態による遠隔監視システムの構成について、図1を参照して説明する。本実施形態による遠隔監視システム1Aは、建物X内でエレベータEのエレベータ制御盤11に接続されて設置された遠隔監視装置12と、建物Xから遠隔地にあるサービス情報センタYに設置されたサービス情報センタ装置31とが、通信ネットワーク20を介して接続されて構成されている。遠隔監視装置12は、上述したように、エレベータ管理会社と建物Xのオーナーとの間で、エレベータEに関する所定期間の遠隔監視契約が締結されたときに建物X内に設置されたものである。
【0010】
遠隔監視装置12には、遠隔監視基板13が取り付けられ、エレベータEのエレベータ制御盤11に接続されている。遠隔監視基板13は、プログラムメモリ131と、情報制御部としてのCPU132と、一時保存メモリ133とを有する。プログラムメモリ131には、エレベータEの遠隔監視のための診断運転に関するプログラム情報が格納される。プログラムメモリ131に格納されるプログラム情報の詳細については、後述する。
【0011】
CPU132は、プログラムメモリ131内に格納されたプログラムを実行することにより、当該建物X内のエレベータの遠隔監視のための診断運転実行処理、およびプログラムメモリ131内のプログラム情報の管理処理を行う。一時保存メモリ133は、サービス情報センタ装置31から診断運転用プログラム情報を受信したときに、当該プログラム情報を一時保存する。
【0012】
サービス情報センタ装置31は、遠隔監視処理部311と、診断運転情報処理部312と、診断運転情報記憶部313とを有する。遠隔監視処理部311は、遠隔監視対象のエレベータEの動作状況を遠隔から監視するための遠隔監視処理を行う。診断運転情報処理部312は、エレベータEの遠隔監視処理を行うために建物X内の遠隔監視装置12に保存させるプログラム情報を管理する。診断運転情報記憶部313は、遠隔監視処理を行うためのプログラム情報を、バージョンごとに記憶する。
【0013】
〈第1実施形態による遠隔監視システムの動作〉
次に、本実施形態による遠隔監視システム1Aの動作について説明する。本実施形態において、エレベータ管理会社によるエレベータEに関する所定期間の遠隔監視契約が締結されると、エレベータ管理会社の作業員により、建物X内に遠隔監視装置12が設置されるとともに、サービス情報センタ装置31に当該遠隔監視契約によるエレベータEの監視期間を含む遠隔監視情報が入力される。遠隔監視装置12には、遠隔監視基板13が取り付けられており、遠隔監視基板13内のプログラムメモリ131には、通信用プログラム情報131aと、診断運転用プログラム情報131bと、消去用プログラム情報131cと、書き込み用プログラム情報131dと、診断運転用プログラム情報131bのバージョン情報131eとが格納されている。
【0014】
通信用プログラム情報131aは、通信ネットワーク20を介して外部装置であるサービス情報センタ装置31との通信を行うためのプログラム情報である。診断運転用プログラム情報131bは、当該エレベータの遠隔監視に関する診断運転を実行させるためのプログラム情報である。消去用プログラム情報131cは、診断運転用プログラム情報をプログラムメモリ131内から消去することでアンインストールするためのプログラム情報である。書き込み用プログラム情報131dは、診断運転用プログラム情報をプログラムメモリ131に書き込むことでインストールするためのプログラム情報である。
【0015】
そして、エレベータEに関する遠隔監視の契約期間中は、遠隔監視基板13のCPU132により所定期間ごと(例えば1ヶ月ごと)に診断運転用プログラム情報131bのプログラムが起動され、エレベータ制御盤11に対して所定の診断運転が実行される。遠隔監視のための診断運転としては、昇降路内に設置されたリミットスイッチのON/OFF動作診断のための運転、巻上げ機に備えられたブレーキの動作診断のための運転、各階床における乗りかごの着床位置診断のための運転、ドアの開閉動作の診断のための運転等がある。診断運転が実行されると、CPU132においてその結果情報が生成され、サービス情報センタ装置31に送信される。サービス情報センタ装置31では、遠隔監視装置12から送信された診断運転の結果情報が遠隔監視処理部311で収集され、当該診断運転の結果情報に基づいてエレベータEの動作状況が監視される。
【0016】
その後、エレベータEに関する遠隔監視の契約期間が終了するときに遠隔監視システム1Aで実行される処理について、図2のフローチャートを参照して説明する。エレベータEに関する遠隔監視の契約期間中、サービス情報センタ装置31の診断運転情報処理部312では、保持した遠隔監視情報に基づいて当該契約期間の終了時点が到来したか否かが監視されている(S1)。
【0017】
診断運転情報処理部312によりエレベータEに関する遠隔監視の契約期間が終了したと判定されると(S1の「YES」)、診断運転用プログラム情報131bを遠隔監視基板13から消去させるためのプログラム消去指令が生成され、通信ネットワーク20を介して建物Xの遠隔監視装置12に送信される(S2)。送信されたプログラム消去指令は、遠隔監視装置12において、CPU132によりプログラムメモリ131内の通信用プログラム情報131aが用いられて受信される。プログラム消去指令が受信されると、CPU132によりプログラムメモリ131内の消去用プログラム情報131cが用いられて診断運転用プログラム情報131bがプログラムメモリ131から消去(アンインストール)される(S3)。このとき、通信用プログラム情報131a、消去用プログラム情報131c、書き込み用プログラム情報131d、およびバージョン情報131eは消去されず、プログラムメモリ131内に残される。
【0018】
そして、CPU132による診断運転用プログラム情報131bの消去処理が完了すると(S4の「YES」)、プログラム消去処理完了通知が生成され、サービス情報センタ装置31に送信される(S5)。送信されたプログラム消去処理完了通知は、サービス情報センタ装置31の診断運転情報処理部312で受信され(S6)、正常にプログラム消去処理が完了したことが認識され、遠隔監視期間終了時の処理が終了する。
【0019】
以上の第1実施形態によれば、所定のエレベータに対する遠隔監視の契約期間が終了したときに、遠隔監視で用いた診断運転用プログラム情報の漏洩を防止しつつ、将来遠隔監視が再契約されたときに容易に処理を復活させることができるように、エレベータが設置された建物内の遠隔監視情報を管理することができる。
【0020】
《第2実施形態》
〈第2実施形態による遠隔監視システムの構成〉
本発明の第2実施形態による遠隔監視システム1Bの構成は、第1実施形態で説明した図1の遠隔監視システム1Aの構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0021】
〈第2実施形態による遠隔監視システムの動作〉
本実施形態において、エレベータ管理会社によるエレベータEに関する遠隔監視の契約期間が終了したときに実行される処理は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0022】
エレベータEに関する遠隔監視の契約期間が終了し、ステップS1〜S6の処理が実行された後、エレベータEの遠隔監視に関する再契約が締結されたときに遠隔監視システム1Bで実行される処理について、図3のフローチャートを参照して説明する。エレベータEに関する遠隔監視の再契約が締結されると、監視員によりサービス情報センタ装置31に、再契約によるエレベータEの監視期間を含む遠隔監視情報が入力される。
【0023】
サービス情報センタ装置31では、再契約によるエレベータEの遠隔監視情報が入力されると(S11の「YES」)、診断運転情報処理部312により、当該遠隔監視のための遠隔監視処理に適用する診断運転用プログラム情報が診断運転情報記憶部313から取得される(S12)。取得された診断運転用プログラム情報は、診断運転情報処理部312から遠隔監視装置12に送信される(S13)。送信された診断運転用プログラム情報は、遠隔監視装置12において、CPU132によりプログラムメモリ131内に残っている通信用プログラム情報131aが用いられて受信され、一時保存メモリ133に一時保存される(S14)。
【0024】
そして、CPU132による診断運転用プログラム情報の一時保存処理が完了すると(S15の「YES」)、プログラム保存処理完了通知が生成され、サービス情報センタ装置31に送信される(S16)。送信されたプログラム保存処理完了通知は、サービス情報センタ装置31の診断運転情報処理部312で受信され、これに基づいてプログラム書き込み指令が生成される。生成されたプログラム書き込み指令は、遠隔監視装置12に送信される(S17)。
【0025】
送信されたプログラム書き込み指令は、遠隔監視装置12において、CPU132により通信用プログラム情報131aが用いられて受信される。プログラム書き込み指令が受信されると、CPU132によりプログラムメモリ131内の書き込み用プログラム情報131dが用いられて、一時保存メモリ133に保存された診断運転用プログラム情報がプログラムメモリ131内に書き込まれる(S18)。
【0026】
そして、CPU132による診断運転用プログラム情報の書き込み処理が完了すると(S19の「YES」)、プログラム書き込み処理完了通知が生成され、サービス情報センタ装置31に送信される(S20)。送信されたプログラム書き込み処理完了通知は、サービス情報センタ装置31の診断運転情報処理部312で受信され(S21)、正常にプログラム書き込み処理が完了したことが認識される。
【0027】
以上の第2実施形態によれば、所定のエレベータに対する遠隔監視の契約期間が終了して、当該エレベータが設置された建物内の遠隔監視装置から診断運転用プログラム情報が消去された後、当該エレベータの遠隔監視が再契約されたときに、作業員が当該建物に出向いて遠隔監視基板を装着させる等の作業を必要とせず、遠隔から容易に診断運転用プログラム情報を再インストールさせることができる。
【0028】
上述した第2実施形態において、サービス情報センタ装置31が再契約による遠隔監視に適用する診断運転用プログラム情報を送信したにも関わらず、プログラム保存処理完了通知が受信されずに所定時間が経過したときには、当該診断運転用プログラム情報を再送信するリトライ処理を実行するようにしてもよい。そして、所定回数リトライ処理を実行してもプログラム保存処理完了通知が受信されないときには、遠隔監視装置12が故障しているかまたは取り外されていることが想定されるため、当該建物Xに作業員を派遣するためにエラー通知情報を出力するようにしてもよい。また、サービス情報センタ装置31がプログラム書き込み指令を送信したにもかかわらず、プログラム書き込み処理完了通知がサービス情報センタ装置31で受信されずに所定時間が経過したときも、同様とする。
【0029】
《第3実施形態》
〈第3実施形態による遠隔監視システムの構成〉
本発明の第3実施形態による遠隔監視システム1Cの構成は、第1実施形態で説明した図1の遠隔監視システム1Aの構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0030】
〈第3実施形態による遠隔監視システムの動作〉
本実施形態において、エレベータ管理会社によるエレベータEに関する遠隔監視の契約期間が終了したときに実行される処理は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0031】
エレベータEに関する遠隔監視の契約期間が終了し、ステップS1〜S6の処理が実行された後、エレベータEの遠隔監視に関する再契約が締結されたときには、第2実施形態と同様にステップS11〜S21の処理が実行される。
【0032】
本実施形態において、ステップS12で遠隔監視処理に適用する診断運転用プログラム情報が取得されるときの処理について、図4のフローチャートを参照して詳細に説明する。
【0033】
まず、診断運転情報処理部312により、以前エレベータEに関する遠隔処理が行われていたときに用いられた診断運転用プログラム情報のバージョン情報を確認するためのバージョン情報要求が生成され、遠隔監視装置12に送信される(S121)。
【0034】
送信されたバージョン情報要求は、遠隔監視装置12において、CPU132により通信用プログラム情報131aが用いられて受信される。バージョン情報要求が受信されると、CPU132によりプログラムメモリ131内のバージョン情報131eが取得され、サービス情報センタ装置31に送信される(S122)。
【0035】
送信されたバージョン情報は、サービス情報センタ装置31の診断運転情報処理部312で受信される。そして、受信されたバージョン情報よりも新しいバージョンであり、且つエレベータEの遠隔監視に適用可能な診断運転用プログラム情報が、診断運転情報記憶部313に記憶されているか否かが判定される(S123)。ここで、該当する診断運転用プログラム情報が診断運転情報記憶部313に記憶されていると判定された場合には(S123の「YES」)、当該新しいバージョンの診断運転用プログラム情報が、今回の遠隔監視処理に適用する診断運転用プログラム情報として取得される(S124)。また、該当する診断運転用プログラム情報が診断運転情報記憶部313に記憶されていないと判定されたときには、以前にエレベータEの遠隔監視処理を実行していたときに適用していたバージョンの診断運転用プログラム情報が、今回の遠隔監視処理に適用する診断運転用プログラム情報として取得される(S125)。
【0036】
ステップS124またはS125により適用対象の診断運転用プログラム情報が取得された後に実行されるステップS13〜S21の処理は、第2実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0037】
以上の第3実施形態によれば、所定のエレベータに対する遠隔監視の契約期間が一旦終了した後、再契約されたときに、適用可能な最新バージョンの診断運転用プログラム情報を用いることで、好適な遠隔監視を実行することができる。
【0038】
《第4実施形態》
〈第4実施形態による遠隔監視システムの構成〉
本発明の第4実施形態による遠隔監視システム1Dの構成は、第1実施形態で説明した図1の遠隔監視システム1Aの構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0039】
〈第4実施形態による遠隔監視システムの動作〉
本実施形態において、エレベータ管理会社によるエレベータEの遠隔監視に関する契約期間が終了したときに実行される処理は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、エレベータEに関する遠隔監視の契約期間が終了した後、再契約されたときに実行される処理は、第2実施形態および第3実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0040】
エレベータEに関する遠隔監視が再契約され、ステップS11〜S21の処理が実行された後に、遠隔監視システム1Dで実行される動作確認処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0041】
ステップS21により、サービス情報センタ装置31において診断運転用プログラム情報の書き込み処理完了通知が受信されると(S31の「YES」)、以降正常に遠隔監視処理が実行可能であるかを確認するために、診断運転情報処理部312から遠隔監視装置12に動作確認用データ要求が送信される(S32)。送信された動作確認用データ要求は、遠隔監視装置12において、CPU132により通信用プログラム情報131aが用いられて受信される。動作確認用データ要求が受信されると、CPU132によりエレベータEの所定期間の動作状況情報が動作確認用データとしてエレベータ制御盤11から取得され、サービス情報センタ装置31に送信される(S33)。
【0042】
送信されたエレベータEの動作状況情報は、サービス情報センタ装置31の診断運転情報処理部312で受信され、遠隔監視処理実行時にエレベータの動作状況情報を取得する動作が正常に実行可能であることが確認される(S34)。
【0043】
以上の第4実施形態によれば、所定のエレベータに対する遠隔監視の契約期間が一旦終了した後、再契約されて診断運転用プログラム情報が再インストールされたときに当該遠隔診断システムの動作確認を行うことで、以降の遠隔監視処理を精度よく実行開始させることができる。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1A,1B,1C,1D…遠隔監視システム、11…エレベータ制御盤、12…遠隔監視装置、13…遠隔監視基板、20…通信ネットワーク、31…サービス情報センタ装置、131…プログラムメモリ、131a…通信用プログラム情報、131b…診断運転用プログラム情報、131c…消去用プログラム情報、131d…書き込み用プログラム情報、131e…バージョン情報、133…一時保存メモリ、311…遠隔監視処理部、312…診断運転情報処理部、313…診断運転情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5