(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6629440
(24)【登録日】2019年12月13日
(45)【発行日】2020年1月15日
(54)【発明の名称】イメージセンシングチップのためのパッケージング方法およびパッケージ構造
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20200106BHJP
【FI】
H01L23/12 501P
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-517536(P2018-517536)
(86)(22)【出願日】2016年9月29日
(65)【公表番号】特表2018-530164(P2018-530164A)
(43)【公表日】2018年10月11日
(86)【国際出願番号】CN2016100817
(87)【国際公開番号】WO2017059781
(87)【国際公開日】20170413
【審査請求日】2018年6月4日
(31)【優先権主張番号】201510650103.7
(32)【優先日】2015年10月10日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201520780135.4
(32)【優先日】2015年10月10日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517280373
【氏名又は名称】蘇州晶方半導体科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHINA WAFER LEVEL CSP CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 之 奇
(72)【発明者】
【氏名】王 卓 偉
(72)【発明者】
【氏名】謝 国 梁
【審査官】
豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0169139(US,A1)
【文献】
特開2014−241446(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0205799(US,A1)
【文献】
特開2009−206253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/339
23/12 −23/15
27/14 −27/148
27/30
29/762
31/00 −31/02
31/0232
31/0248
31/0264
31/08
31/10
31/107 −31/108
31/111
31/18
51/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面および前記第1の表面と反対側の第2の表面を含むウエハを設けることを備え、前記ウエハはグリッド状に配置された複数のイメージセンシングチップを有し、前記イメージセンシングチップの各々はイメージセンシング領域と接触パッドとを有し、前記イメージセンシング領域および前記接触パッドは前記ウエハの前記第1の表面側に配置されており、
前記ウエハの前記第2の表面上に前記第1の表面に向かって延在する開口部を形成することを備え、前記開口部の上部の開口面積は前記開口部の底部の面積よりも大きく、前記接触パッドは前記開口部を介して露出されており、
前記ウエハの前記第2の表面上に前記第1の表面に向かって延在するV字形状の切断トレンチを形成することと、
前記ウエハの前記第2の表面に感光性インクを塗布することとを備え、前記V字形状の切断トレンチの傾斜側壁は前記感光性インクを案内して前記感光性インクで前記V字形状の切断トレンチを完全に充填することができ、前記感光性インクは前記開口部を覆い、かつ、前記開口部の各々と前記感光性インクとの間に前記感光性インクの粘度に起因して中空の空洞が形成される、イメージセンシングチップパッケージング方法。
【請求項2】
前記V字形状の切断トレンチおよび前記開口部は、同じエッチングプロセスで前記ウエハの前記第2の表面に形成される、請求項1に記載のイメージセンシングチップパッケージング方法。
【請求項3】
前記V字形状の切断トレンチは、カッターを用いた前記ウエハの前記第2の表面からの切断によって形成される、請求項1に記載のイメージセンシングチップパッケージング方法。
【請求項4】
前記V字形状の切断トレンチおよび前記開口部を前記ウエハの前記第2の表面に形成する前に、
保護基板を設けることをさらに備え、前記保護基板は格子状に配置された支持ユニットを有し、前記支持ユニットの各々が前記複数のイメージセンシングチップのうちの1つに対応し、
前記支持ユニットが前記ウエハと前記保護基板との間に位置している状態で、前記ウエハの前記第1の表面を前記保護基板と揃え前記保護基板と積層することと、
前記ウエハの前記第2の表面を研磨して薄くすることとをさらに備える、請求項1に記載のイメージセンシングチップパッケージング方法。
【請求項5】
前記V字形状の切断トレンチを形成した後で前記感光性インクを塗布する前に、カッターによって、前記V字形状の切断トレンチに沿って切断して前記支持ユニットの少なくとも一部内を切断することをさらに備える、請求項4に記載のイメージセンシングチップパッケージング方法。
【請求項6】
前記カッターの切断幅は、前記ウエハの前記第2の表面付近の前記V字形状の切断トレンチの各々の開口部の幅よりも小さい、請求項5に記載のイメージセンシングチップパッケージング方法。
【請求項7】
前記V字形状の切断トレンチは、前記ウエハの前記第2の表面からのカッターによる切断によって形成され、前記カッターは、前記支持ユニットの一部内を少なくとも切断する、請求項4に記載のイメージセンシングチップパッケージング方法。
【請求項8】
前記感光性インクを塗布する前に、
前記開口部の各々の側壁上に、および前記ウエハの前記第2の表面上に絶縁層を形成することと、
前記接触パッドに電気的に接続される再配線層を前記絶縁層上におよび前記開口部の前記底部に形成することとをさらに備え、前記感光性インクを前記ウエハの前記第2の表面に塗布した後に、
前記感光性インクに複数の貫通孔を形成することをさらに備え、前記再配線層は前記貫通孔を介して露出され、
前記再配線層に電気的に接続されるはんだボールを前記貫通孔の各々において形成することをさらに備える、請求項1に記載のイメージセンシングチップパッケージング方法。
【請求項9】
前記感光性インクの粘度は12Kcps以上である、請求項1に記載のイメージセンシングチップパッケージング方法。
【請求項10】
第1の表面および前記第1の表面と反対側の第2の表面を含む基板と、
前記第1の表面上に配置されたイメージセンシング領域および接触パッドと、
前記第2の表面上に配置され前記第1の表面に向けて延在する開口部とを備え、前記開口部の上部の開口面積は前記開口部の底部の面積よりも大きく、前記接触パッドは前記開口部を介して露出され、
前記基板の側壁を覆う感光性インクを備え、
前記感光性インクは前記開口部を覆い、前記感光性インクの粘度に起因して前記開口部の各々と前記感光性インクとの間に中空の空洞が形成され、
前記基板の前記側壁は傾斜側壁を含み、前記傾斜側壁の一方の端部が前記第2の表面に接続されており、前記傾斜側壁は前記感光性インクを案内して前記感光性インクで前記基板の前記側壁を覆うことができる、イメージセンシングチップパッケージ。
【請求項11】
前記基板の前記側壁はさらに縦方向側壁を含み、前記縦方向側壁の一方の端部が前記傾斜側壁に接続され、前記縦方向側壁の他方の端部が前記第1の表面に接続される、請求項10に記載のイメージセンシングチップパッケージ。
【請求項12】
前記傾斜側壁の他方の端部が前記基板の前記第1の表面に接続されている、請求項10に記載のイメージセンシングチップパッケージ。
【請求項13】
前記傾斜側壁と前記基板の前記第2の表面との間の角度が40°〜85°の範囲である、請求項10に記載のイメージセンシングチップパッケージ。
【請求項14】
前記感光性インクの粘度は12Kcps以上である、請求項10に記載のイメージセンシングチップパッケージ。
【請求項15】
前記基板の前記第1の表面と揃えられ前記第1の表面と積層される保護基板と、
前記保護基板と前記基板との間に配置され、前記イメージセンシング領域を囲む支持ユニットとをさらに備え、前記感光性インクは前記支持ユニットの側壁の少なくとも一部を覆い、
前記開口部の各々の側壁上と前記基板の前記第2の表面上に配置された絶縁層と、
前記絶縁層上と前記開口部の前記底部とに配置された再配線層とをさらに備え、前記再配線層は前記接触パッドに電気的に接続され、前記感光性インクは前記再配線層を覆い、前記感光性インクには前記再配線層が露出される貫通孔が設けられており、
前記貫通孔の各々に配置され、前記再配線層に電気的に接続されるはんだボールをさらに備える、請求項10に記載のイメージセンシングチップパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2015年10月10日に中国国家知的所有権局に出願され、「イメージセンシングチップのためのパッケージング方法およびパッケージ構造(PACKAGING METHOD AND PACKAGE STRUCTURE FOR IMAGE SENSING CHIP)」と題された中国特許出願第201510650103.7号、および「イメージセンシングチップパッケージ(IMAGE SENSING CHIP PACKAGE)」と題された中国特許出願第20152078135.4号の優先権を主張し、ここにその開示全体が引用により本願に援用される。
【0002】
分野
本開示は、半導体の技術分野に関し、特に、ウエハレベル半導体チップのためのパッケージング方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ウエハレベルチップサイズパッケージング(WLCSP)技術が、現在主流の半導体チップパッケージング技術である。この技術では、ウエハ全体をパッケージ化してテストを行ない、その後ウエハが切断されて個々のチップパージ完成品が得られる。このパッケージング技術を使用することによって、パッケージ化された個々のチップ完成品は個々の結晶粒とほぼ同じサイズになる。このサイズは、より軽く、より小さく、より短く、より薄く、かつより安価のマイクロ電子製品に求められる市場の需要を満たす。ウエハレベルチップサイズパッケージング技術は、現在のパッケージング分野において人気であり、将来の開発動向を示している。
【0004】
ウエハレベルイメージセンシングチップパッケージを示す
図1を参照する。ウエハ1が保護基板2と揃えられ、これと積層されている。支持ユニット3がウエハ1と保護基板2との間に設けられて、保護基板2がウエハ1と直接接触するのを防ぐようにウエハ1と保護基板2との間に間隔を形成している。ウエハ1は、格子状に配置された複数のイメージセンシングチップ10を含む。各イメージセンシングチップ10は、イメージセンシング領域11と接触パッド12とを含む。複数の支持ユニット3は、保護基板2上で格子状に配置されており、イメージセンシングチップ10に対応している。保護基板2をウエハ1と揃えこれと積層すると、支持ユニット3はイメージセンシング領域11を囲む。ウエハ1は、第1の表面および第1の表面と反対側の第2の表面を有する。イメージセンシング領域11および接触パッド12は、ウエハの第1の表面側に配置される。
【0005】
接触パッド12と他の回路との間の電気接続を実現するために、第1の表面に向かって延在する開口部22が、ウエハ1の第2の表面側に設けられる。開口部22は接触パッド12に対応し、接触パッド12は開口部22の底部から露出している。絶縁層23が開口部22の側壁に配置されている。再配線層24が絶縁層23上におよび開口部22の底部に配置される。再配線層24は、接触パッド12に電気的に接続されている。はんだボール25が再配線層24に電気的に接続されている。接触パッド12と他の回路との間の電気接続は、はんだボール25を他の回路に電気的に接続することによって実現される。
【0006】
ウエハ1の第2の表面には、パッケージ化されたイメージセンシングチップの切断を容易にするために、第1の表面に向かって延在する切断トレンチ21が設けられている。
【0007】
はんだボール25をウエハ1の第2の表面上に配置する前に、はんだマスクインク26を第2の表面に塗布する必要がある。通常、保護及び絶縁の目的で、切断トレンチ21および開口部22もはんだマスクインク26で充填されている。
【0008】
しかしながら、開口部22ははんだマスクインク26で完全に充填されているため、次のリフローソルダリングおよび信頼性試験において、はんだマスクインク26の熱伸縮によって応力が発生する。応力は再配線層24に印加され、再配線層24はストレスを受けて接触パッド12から剥がれやすくなり、不良チップにつながる。これは、当業者によって解決が望まれる技術問題である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
概要
本開示の目的は、再配線層がはんだパッドから剥がれることを防いで不良チップの問題を解決し、イメージセンシングチップパッケージの信頼性を向上するために、ウエハレベルイメージセンシングチップパッケージング方法およびイメージセンシングチップパッケージを提供することである。
【0010】
上述の問題を解決するために、本開示によると、イメージセンシングチップパッケージング方法が提供される。この方法は、第1の表面および第1の表面と反対側の第2の表面を含むウエハを設けることを備える。ウエハはグリッド状に配置された複数のイメージセンシングチップを有し、イメージセンシングチップの各々はイメージセンシング領域と接触パッドとを有し、イメージセンシング領域および接触パッドはウエハの第1の表面側に配置されている。この方法はさらに、ウエハの第2の表面に第1の表面に向かって延在する開口部を形成することを備える。接触パッドは開口部を介して露出している。この方法はさらに、ウエハの第2の表面に第1の表面に向かって延在するV字形状の切断トレンチを形成することと、ウエハの第2の表面に感光性インクを塗布して感光性インクでV字形状の切断トレンチを充填し、感光性インクで開口部を覆い、かつ、開口部の各々と感光性インクとの間に中空の
空洞を形成することとを備える。
【0011】
好ましくは、V字形状の切断トレンチおよび開口部は同じエッチングプロセスでウエハの第2の表面に形成され得る。
【0012】
好ましくは、V字形状の切断トレンチは、カッターを用いたウエハの第2の表面からの切断によって形成され得る。
【0013】
好ましくは、この方法はさらに、V字形状の切断トレンチおよび開口部をウエハの第2の表面に形成する前に、保護基板を設けることを備え得る。保護基板は格子状に配置された支持ユニットを有し、支持ユニットの各々が複数のイメージセンシングチップのうちの1つに対応する。この方法はさらに、支持ユニットがウエハと保護基板との間に位置している状態で、ウエハの第1の表面を保護基板と揃えこれと積層することと、ウエハの第2の表面を研磨して薄くすることとを備え得る。
【0014】
好ましくは、V字形状の切断トレンチを形成した後で感光性インクを塗布する前に、カッターがV字形状の切断トレンチに沿って切断し得、カッターが支持ユニットの少なくとも一部内を切断し得る。
【0015】
好ましくは、カッターは、ウエハの第2の表面付近のV字形状溝の各々の開口部の幅よりも小さい切断幅を有し得る。
【0016】
好ましくは、V字形状の切断トレンチはウエハの第2の表面からのカッターによる切断によって形成され、カッターは支持ユニットの一部内を少なくとも切断する。
【0017】
好ましくは、イメージセンシングチップパッケージング方法はさらに、感光性インクを塗布する前に、開口部の各々の側壁上におよびウエハの第2の表面上に絶縁層を形成することと、接触パッドに電気的に接続される再配線層を絶縁層上におよび開口部の底部に形成することとを備え得る。イメージセンシングチップパッケージング方法はさらに、感光性インクをウエハの第2の表面に塗布した後に、感光性インクに複数の貫通孔を形成することを備え得る。再配線層は貫通孔を介して露出される。この方法はさらに、再配線層に電気的に接続されるはんだボールを貫通孔の各々において形成することを備え得る。
【0018】
好ましくは、感光性インクの粘度は12Kcps以上であり得る。
本発明によると、イメージセンシングチップパッケージが提供される。このイメージセンシングチップパッケージは、第1の表面および第1の表面と反対側の第2の表面を含む基板と、第1の表面上に配置されたイメージセンシング領域および接触パッドと、第2の表面上に配置され第1の表面に向けて延在する開口部とを備える。接触パッドは開口部を介して露出される。イメージセンシングチップパッケージはさらに、基板の側壁を覆う感光性インクを備える。感光性インクは開口部を覆い、開口部の各々と感光性インクとの間に中空の
空洞が形成されている。基板の側壁は傾斜側壁を含み、傾斜側壁の一方の端部が第2の表面に接続されている。
【0019】
好ましくは、基板の側壁がさらに縦方向側壁を含み得、縦方向側壁の一方の端部が傾斜側壁に接続され得、縦方向側壁の他方の端部が第1の表面に接続され得る。
【0020】
好ましくは、傾斜側壁の他方の端部が基板の第1の表面に接続され得る。
好ましくは、基板の傾斜側壁と第2の表面との間の角度が40°〜85°の範囲であり得る。
【0021】
好ましくは、感光性インクの粘度は12Kcps以上であり得る。
好ましくは、イメージセンシングチップパッケージはさらに、基板の第1の表面と揃えられこれと積層される保護基板と、保護基板と基板との間に配置され、イメージセンシング領域を囲む支持ユニットとを備え得る。感光性インクは、支持ユニットの側壁の少なくとも一部を覆う。イメージセンシングチップパッケージはさらに、開口部の各々の側壁上におよび基板の第2の表面上に配置された絶縁層と、絶縁層上におよび開口部の底部に配置された再配線層とを備え得る。再配線層は接触パッドに電気的に接続され、感光性インクは再配線層を覆い、感光性インクには再配線層が露出される貫通孔が設けられている。イメージセンシングチップパッケージはさらに、貫通孔の各々に配置され、再配線層に電気的に接続されるはんだボールを備え得る。
【0022】
本開示の有利な効果は、中空の
空洞が開口部と感光性インクとの間に形成されて、再配線層が接触パッドから剥がれることを効果的に予防し、イメージセンシングチップパッケージ歩留まりを改善し、イメージセンシングチップのためのパッケージの信頼性を改善することである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】従来技術に係るウエハレベルイメージセンシングチップパッケージの模式図である。
【
図2】ウエハレベルイメージセンシングチップの構造を示す模式図である。
【
図3】ウエハレベルイメージセンシングチップパッケージの模式断面図である。
【
図4】本開示に係るウエハレベルイメージセンシングチップパッケージング方法を示す模式図である。
【
図5】本開示に係るウエハレベルイメージセンシングチップパッケージング方法を示す模式図である。
【
図6】本開示に係るウエハレベルイメージセンシングチップパッケージング方法を示す模式図である。
【
図7】本開示に係るウエハレベルイメージセンシングチップパッケージング方法を示す模式図である。
【
図8】本開示に係るウエハレベルイメージセンシングチップパッケージング方法を示す模式図である。
【
図9】本開示に係るウエハレベルイメージセンシングチップパッケージング方法を示す模式図である。
【
図10】本開示に係るウエハレベルイメージセンシングチップパッケージング方法を示す模式図である。
【
図11】本開示に係るウエハレベルイメージセンシングチップパッケージング方法を示す模式図である。
【
図12】本開示の一実施形態に係る個々のイメージセンシングチップパッケージの模式図である。
【
図13】本開示の別の実施形態に係る個々のイメージセンシングチップパッケージの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施形態の詳細な説明
本開示の特定の実施形態が、図面と共に以下で詳細に説明される。実施形態は本開示に限定することを目的とするものではなく、当業者による実施形態に従った構造、方法、または機能へのさまざまな変更は本開示の保護範囲に含まれる。
【0025】
従来技術では、開口部ははんだマスクインクで充填されており、はんだマスクインクは再配線層と完全に接触している。続くリフローソルダリングおよび信頼性試験で、はんだマスクインクの伸縮によって発生する応力が再配線層に印加され、再配線層は接触パッド12から剥がれやすくなる。
【0026】
上記の問題を解決するために、本開示によると、開口部とはんだマスクインクとの間に中空の
空洞が形成されて、はんだマスクインクは開口部の底部において配線層と接続せず、再配線層が接触パッドから剥がれることを効果的に防ぐ。
【0027】
ウエハレベルイメージセンシングチップの構造を示す模式図である
図2を参照する。ウエハ100は、格子状に配置された複数のイメージセンシングチップ110を有する。イメージセンシングチップ110間に間隙が確保されている。パッケージングプロセスおよび試験が完了すると、イメージセンシングチップは間隙に沿って分離される。
【0028】
各イメージセンシングチップ110は、1つのイメージセンシング領域111と、イメージセンシング領域111の周囲に配置された複数の接触パッド112とを有する。接触パッド112およびイメージセンシング領域111は、ウエハ100の同じ表面側に配置される。
【0029】
本開示の一実施形態に係るウエハレベルイメージセンシングチップパッケージの模式断面図である
図3を参照する。複数の支持ユニット210が、保護基板200の一方側に格子状に配置されている。ウエハ100が保護基板200と揃えられこれと積層された後で、支持ユニット210はウエハ100と保護基板200との間に位置してウエハ100と保護基板200との間に間隙を形成する。支持ユニット210はイメージセンシングチップ110に1対1の関係で対応し、支持ユニット210はイメージセンシング領域111を囲む。
【0030】
ウエハ100は、第1の表面101および第1の表面101と反対側の第2の表面102を有する。イメージセンシング領域111および接触パッド112は、第1の表面101側に配置される。ウエハの第2の表面102には、第1の表面101に向かって延在するV字形状の切断トレンチ103と開口部113とが設けられる。各開口部113は位置という点では1つの接触パッド112に対応し、接触パッド112は開口部113の底面から露出する。
【0031】
再配線層115およびはんだボール116を使用して接触パッド112と他の回路との間の接続を容易にする。一実施形態では、絶縁層114が開口部113の側壁上およびウエハ100の第2の表面102上に形成される。再配線層115は、絶縁層114上におよび開口部113の底部に形成される。再配線層115は接触パッド112に電気的に接続される。はんだボール116はウエハ100の第2の表面102上に配置される。はんだボール116は再配線層115に電気的に接続される。接触パッド112と他の回路との間の電気接続は、はんだボール116を他の回路に電気的に接続することによって実現される。
【0032】
V字形状の切断トレンチ103は、感光性インク117で完全に充填されている。感光性インク117は開口部113を覆い、中空の
空洞119が開口部113と感光性インク117との間に形成されている。感光性インク117は、再配線層115が露出される貫通孔を有する。はんだボール116は、貫通孔内に配置され、再配線層115に電気的に接続されている。
【0033】
これと対応して、V字形状の切断トレンチ103を感光性インク117で完全に充填し開口部113と感光性インク117との間に中空の
空洞119を形成するための特定のパッケージングプロセスについて、以下のように説明する。
【0034】
ウエハ100の構造図に関する
図1を参照すると、ウエハ100が設けられる。
保護基板200が設けられ、複数の支持ユニット210が保護基板200の一方側に格子状に配置される。本実施形態では、支持ユニット210は、感光性インクで形成され、露光および現像プロセスで保護基板200の一方側に形成される。
【0035】
図4を参照すると、ウエハ100は保護基板200と揃えられこれと積層され、ウエハ100は接着剤で保護基板200に接合される。支持ユニット210はウエハ100と保護基板200との間に設けられる。複数の封止された空間が、支持ユニット210、ウエハ100、および保護基板200を囲むことによって格子状に形成される。封止された空間の各々は、1つのイメージセンシングチップ110に対応する。支持ユニット210は、イメージセンシングチップ110のイメージセンシング領域111を囲む。
【0036】
図5を参照すると、ウエハ100は第2の表面102が研磨され薄くされる。薄くされる前のウエハ100の厚さはDで表され、薄くされた後のウエハ1の厚さはdで表される。
【0037】
図6を参照すると、ウエハ100の第1の表面101に向かって延在するV字形状の切断トレンチ103および開口部113は、同じエッチングプロセスでウエハ100の第2の表面102上でエッチングされる。接触パッド112は開口部113の底部から露出している。本実施形態では、V字形状の切断トレンチ103の深さは開口部113の深さと同じである。明らかに、このことはV字形状の切断トレンチ103を有さない開口部113のみのエッチングを含み得る。
【0038】
図7(a)を参照すると、ウエハ100の第1の表面101が切断されるまで、すなわち、カッターが支持ユニット210の一部内を切断するまで、カッターを用いてウエハ100の第2の表面102から第1の表面101に向けてV字形状の切断トレンチ103に沿って切断する。ウエハ100の材料は脆性を有し靱性および延性が低いため、カッターは高い硬度を有するもの、たとえば金属ナイフが選択される。くわえて、カッターの切断幅hは第2の表面102に近接するV字形状の切断トレンチ103の開口部の幅Hよりも小さいため、傾斜側壁1031の一部がV字形状の切断トレンチ103のために確保される。傾斜側壁1031は、後のプロセスで塗布される感光性インク117の流れを案内する機能を有しており、感光性インク117はより容易にV字形状の切断トレンチ103を充填する。
【0039】
図7(b)を参照すると、本開示の別の実施形態では、カッターを使用してウエハ100の第2の表面102から間隙に沿って切断してV字形状の切断トレンチ103’を形成可能であり、カッターはウエハ100の第1の表面101を切断する、すなわち、カッターは支持ユニット210の一部内を切断する。このように、傾斜側壁1031’を有するV字形状の溝103’は、カッターを用いた切断によって直接形成される。傾斜側壁1031’は、後のプロセスで塗布される感光性インク117の流れを案内する機能を有しており、感光性インク117はより容易にV字形状の切断トレンチ103’を充填する。
【0040】
図8(a)を参照すると、絶縁層114はウエハ100の第2の表面102上に、開口部113の側壁上に、開口部113の底部に、およびV字形状の切断トレンチ103の内壁上に形成される。本実施形態では、絶縁層114は有機絶縁材料で形成されており、そのため絶縁性および可撓性を有する。絶縁層114は、吹付またはスピンコーティングプロセスで形成され、接触パッド112はその後、レーザでまたは露光および現像プロセスで露光される。
【0041】
図8(b)を参照すると、本開示の別の実施形態では、絶縁層114’をウエハ100の第2の表面102上に、開口部113の側壁上に、開口部113の底部に、およびV字形状の切断トレンチ103の内壁上に配設し得る。絶縁層114’は、通常二酸化ケイ素である無機材料で形成される。二酸化ケイ素の衝撃抵抗は有機絶縁材料114の衝撃抵抗ほど高くないため、後のはんだボール接合を容易にするために、露光および現像プロセスでバッファ層1140がウエハ101の第2の表面上に形成される。その後、開口部113の底部の絶縁層がエッチングプロセスでエッチングされて接触パッド112を露出させる。
【0042】
図9を参照すると、再配線層115は絶縁層114(または絶縁層114’)上に形成され、再配線層115は接触パッド112に電気的に接続される。
【0043】
本開示の要所は、V字形状の切断トレンチ103を感光性インクで完全に充填するものの、開口部113が感光性インクで完全に充填されることを防ぐために感光性インクが開口部113の底部と接触しないように開口部113と感光性インクとの間に中空の
空洞119を形成することである。
【0044】
本開示によると、感光性インクが開口部の下側部分を充填しにくくなるように感光性インクの粘度を大きくする必要がある一方で、感光性インクが切断トレンチを容易に充填できるように感光性インクの粘度を小さくすることが必要である。これは、本開示で解決すべき対立点である。
【0045】
本開示によると、高粘度を有する感光性インクを切断トレンチの下側部分に流入するように案内するために、切断トレンチは傾斜側壁を有する切断トレンチとして設計される。したがって、感光性インクは切断トレンチのみを完全に充填するが、開口部と感光性インクとの間に中空の
空洞を形成するように開口部を完全には充填できない。このように、対立点をうまく解決可能である。
【0046】
図10を参照すると、感光性インク117はウエハ100の第2の表面102上に塗布されて、感光性インク117はV字形状の切断トレンチ103を完全に充填し開口部113を覆い、開口部113と感光性インク117との間に中空の
空洞119を形成する。
【0047】
本開示では、12Kcps以上の粘度を有する感光性インクの使用が好ましい。
本実施形態では、感光性インク117はスピンコーティングプロセスでウエハ100の第2の表面102上に塗布される。スピンコーティング速度は、感光性インクの粘度に基づいて調節可能であり、感光性インク117はV字形状の切断トレンチ103を完全に充填し開口部113を覆い、開口部113と感光性インク117との間に中空の
空洞119を形成する。
【0048】
はんだマスクは感光性インク117によって形成され、後のはんだボール接合プロセスでチップを保護するようにはんだ抵抗機能を設ける。
【0049】
後のはんだボール接続を容易にするために、再配線層115に対応する位置で感光性インク117に貫通孔が形成される。具体的に、再配線層115を露出させる貫通孔は、感光性インク117がウエハ100の第2の表面102全面に塗布された後に、硬化プロセスおよび露光および現像プロセスで形成可能である。明らかに、再配線層115を露出させる貫通孔は、スクリーン印刷プロセスでウエハ100の第2の表面102に感光性インク117を塗布することによって形成可能である。
【0050】
図11を参照すると、はんだボール116ははんだボール接合プロセスで貫通孔に形成されて、はんだボール116は再配線層115に電気的に接続される。
【0051】
最終的に、ウエハ100および保護基板200がウエハ100の第2の表面102からウエハ100の第1の表面101に向けてV字形状の切断トレンチ103に沿って切断されて、個々のイメージセンシングチップパッケージが得られる。
【0052】
図12を参照すると、個々のイメージセンシングチップパッケージ300は、ウエハ100から切断された基板310を備える。基板310は、第1の表面301および第1の表面301と反対側の第2の表面302を有する。イメージセンシング領域111および接触パッド112は、第1の表面301上に配置される。開口部113およびはんだボール116は、第2の表面302上に配置される。基板310の側壁が感光性インク117で覆われる。
【0053】
本実施形態では、基板310の側壁は、傾斜側壁311と縦方向側壁312とを含む。傾斜側壁311の一方の端部が第2の表面302に接続されており、傾斜側壁311の他方の端部は縦方向側壁312に接続されており、縦方向側壁312の他方の端部が第1の表面301に接続されている。
【0054】
別の実施形態では、
図13を参照すると、基板310’が傾斜側壁311’を有する。傾斜側壁311’の一方の端部が第2の表面302に接続されており、傾斜側壁311’の他方の端部が第1の表面301に接続されている。
【0055】
好ましくは、基板310の傾斜側壁311(または傾斜側壁311’)と第2の表面302との間の角度は40°〜85°の範囲である。
【0056】
基板310の側壁と支持ユニット210の側壁の一部とが感光性インク117で覆われている。
【0057】
絶縁層114が有機絶縁材料で形成されている場合、バッファ層1140は、はんだボール116に対応する位置で再配線層115と絶縁層114との間に配置されていないことがある。
【0058】
絶縁層114’が無機材料で形成されている場合、バッファ層1140は、はんだボール116に対応する位置で再配線層115と絶縁層114’との間に配置される。バッファ層1140はフォトレジスト材料で形成されており、露光および現像プロセスで形成可能である。
【0059】
本明細書において実施形態を説明したが、各実施形態は単に1つの独立した技術的解決法を含むものではないと理解すべきである。本明細書の説明方法は、単に明瞭にするためのものである。当業者は明細書を全体として捉えるべきであり、実施形態の技術的解決策を適宜組み合わせて当業者に理解できるような他の実施形態を形成することが可能である。
【0060】
上述の詳細な説明は、単に本開示の実行可能な実施形態を説明するためのものであり、本開示の保護範囲を限定することを目的とするものではない。いかなる均等な実施態様、または本開示の技術および主旨から逸脱せずになされるいかなる変形例も、本開示の保護範囲に含まれるべきである。