特許第6629448号(P6629448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6629448
(24)【登録日】2019年12月13日
(45)【発行日】2020年1月15日
(54)【発明の名称】商用車用のディスクブレーキ
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/56 20060101AFI20200106BHJP
   F16H 1/06 20060101ALI20200106BHJP
【FI】
   F16D65/56 B
   F16H1/06
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-529721(P2018-529721)
(86)(22)【出願日】2016年8月12日
(65)【公表番号】特表2018-526597(P2018-526597A)
(43)【公表日】2018年9月13日
(86)【国際出願番号】EP2016069209
(87)【国際公開番号】WO2017036767
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2018年4月27日
(31)【優先権主張番号】102015114547.2
(32)【優先日】2015年9月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ヒドリンガー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ベック
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング プリッツ
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−523526(JP,A)
【文献】 特開昭62−028201(JP,A)
【文献】 特開2014−009692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 49/00−71/04
F16H 1/00−1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用、特に商用車用のディスクブレーキであって、
a)ブレーキディスク(2)を跨ぐブレーキキャリパ(1)と、
b)前記ブレーキキャリパ(1)内に配置されていて、前記ブレーキディスク(2)にブレーキパッド(3)を押し付けるための加圧装置(8)と、
c)前記加圧装置(8)により軸線方向に移動可能である少なくとも1つのブレーキピストン(4)と、
d)前記ブレーキキャリパ(1)内に位置決めされた、前記加圧装置(8)とは別個の調整装置(5)であって、クリアランスの、摩耗に起因した変化を補償する目的で前記ブレーキピストン(4)を軸線方向に調整するために、伝動装置(24)を介して前記ブレーキピストン(4)と相互作用関係にある調整装置(5)と
を備え、
e)前記伝動装置(24)は、前記調整装置(5)に相対回動不能にかつ軸線方向に移動可能に保持された入力車(25)と、前記ブレーキピストン(4)に相対回動不能に保持された出力車(26)とを有し、前記ブレーキピストン(4)はねじ山付きスピンドル(6)と該ねじ山付きスピンドル(6)にガイドされたねじ山付きスリーブ(7)とから成り、前記出力車(26)は前記ねじ山付きスピンドル(6)に相対回動不能に結合されており、前記出力車(26)ひいては前記ねじ山付きスピンドル(6)の回動時に、前記ねじ山付きスリーブ(7)が軸方向に変位されるようになっている
ディスクブレーキにおいて、
記出力車(26)と、該出力車(26)に対応する、前記調整装置(5)の前記入力車(25)とは、軸線方向に移動可能であるものの回動不能に前記ブレーキキャリパ(1)に保持された連行装置(27)内に配置されていることを特徴とする、ディスクブレーキ。
【請求項2】
前記連行装置(27)は、前記ブレーキピストン(4)および/または前記調整装置(5)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1記載のディスクブレーキ。
【請求項3】
前記連行装置(27)は、前記調整装置(5)の、前記入力車(25)を支持する取付けスリーブ(33)に軸線方向に位置固定された状態で保持されており、該取付けスリーブ(33)は、前記連行装置(27)内に回動可能に保持されていることを特徴とする、請求項1または2記載のディスクブレーキ。
【請求項4】
前記連行装置(27)は、互いに間隔を置いて配置され、互いに結合された2つの連結要素から成っていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のディスクブレーキ。
【請求項5】
前記連結要素は、プレート(28,28’)から形成されており、該プレート(28,28’)は、前記入力車(25)と前記出力車(26)とを収容する中間室を形成するように、互いに間隔を置いて平行に配置されていることを特徴とする、請求項記載のディスクブレーキ。
【請求項6】
前記プレート(28,28’)は、互いにねじ(29)によって結合されており、該ねじ(29)にスペーサスリーブ(30)がガイドされており、該スペーサスリーブ(30)の端面は、それぞれ前記プレート(28,28’)の内面に支持されていることを特徴とする、請求項記載のディスクブレーキ。
【請求項7】
少なくとも一方のプレート(28,28’)、好ましくは両方のプレート(28,28’)に、互いに結合されたエンボス加工部(15)が設けられていることを特徴とする、請求項記載のディスクブレーキ。
【請求項8】
前記プレート(28,28’)は、ピン(18)によって互いに結合されており、該ピン(18)にスペーサスリーブ(30)がガイドされており、前記ピンは、アーク溶接によって少なくとも一方のプレート(28,28’)に結合されていることを特徴とする、請求項記載のディスクブレーキ。
【請求項9】
前記入力車(25)および/または前記出力車(26)は、それぞれ少なくとも1つの滑りリング(31)に接触していることを特徴とする、請求項から8までのいずれか1項記載のディスクブレーキ。
【請求項10】
前記滑りリング(31)は、一方のプレート(28,28’)内に嵌め込まれていることを特徴とする、請求項記載のディスクブレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の商用車用のディスクブレーキに関する。
【0002】
独国特許出願公開第102008036765号明細書(DE 10 2008 036 765 A1)ならびに独国特許出願公開第102009018223号明細書(DE 10 2009 018 223 A1)には、それぞれディスクブレーキが開示されている。このディスクブレーキでは、ブレーキピストンの相対回動不能な調整スピンドルが、ナット部材を形成している。このナット部材は、これに対して相対的に回動可能なねじ山付きスピンドルにガイドされている。調整スピンドルの雌ねじ山とねじ山付きスピンドルの雄ねじ山とは、ねじ山対を形成している。
【0003】
クリアランス、つまり、加圧側のブレーキパッドと車両側のブレーキディスクとの間の間隔の、摩耗に起因した変化を補償するためには、ねじ山付きスピンドルが、相対回動不能に保持された調整スピンドルに対して、ブレーキキャリパ内に配置された調整装置によって回動させられる。
【0004】
このためには、この調整装置が入力車を有している。この入力車は、相対回動不能にかつ軸線方向に位置固定された状態で調整装置の入力スピンドルに結合されていて、相対回動不能にねじ山付きスピンドルに保持された出力車と相互作用関係にある。
【0005】
この公知のディスクブレーキでは、互いに間隔を置いて平行に配置されたそれぞれ2つのブレーキピストンが設けられている。これらのブレーキピストンは、クリアランス補償のために、中央、つまり、両ブレーキピストンの間に配置されたクリアランス補償用の調整装置を介して駆動可能である。各調整スピンドルには、調整装置の歯車伝動装置の構成要素である出力車が対応配置されている。
【0006】
独国特許出願公開第102012012818号明細書(DE 10 2012 012 818 A1)では、比較可能なディスクブレーキが主題となっている。ただし、このディスクブレーキは、中央に配置されたただ1つのブレーキピストンのみを有している。このブレーキピストンの調整スピンドルはねじ山付きスリーブとして形成されていて、雌ねじ山を有している。この雌ねじ山は、ねじ山付きスリーブに対して回動可能なねじ山付きスピンドルに係合している。このねじ山付きスピンドルの出力車にも同じく、その側方に配置された調整装置の、軸線方向に位置固定された状態で保持された入力車が作用している。
【0007】
前述した先行技術に基づき公知の歯車伝動装置のほかに、調整装置の回動を単数または複数のブレーキピストンに伝達するためには、別の伝動装置、例えば引張手段伝動装置を使用することもできる。
【0008】
制動の際、つまり、ブレーキレバーの操作時には、ブレーキピストンが、軸線方向でブレーキパッドの方向に、ねじ山付きスピンドルに相対回動不能に保持された出力車を含めて移動させられる。この出力車は、前述したように、調整装置の入力車と相互作用関係にある。しかしながら、この入力車は軸線方向に不動に位置決めされている。つまり、入力車も出力車と同様に、互いに軸線方向で相対運動を実施するが、このことは、著しい機械的な負荷に繋がり、この負荷によって、ブレーキシステムの寿命が損なわれてしまう。
【0009】
本発明の課題は、冒頭に記載した形態のディスクブレーキを改良して、機能性が改善されると共に耐用年数が向上させられるようにすることである。
【0010】
この課題は、請求項1の特徴を有するディスクブレーキによって解決される。
【0011】
このためには、調整装置の入力車が、確かに相対回動不能ではあるものの、送り方向、つまり、制動方向だけでなく、戻し方向でも、軸線方向に移動可能に支持されている。
【0012】
連行装置が設けられていて、この連行装置によって、互いに相互作用関係にある両伝動車が互いに連結されて、ブレーキピストンの、制動に起因した軸線方向の運動が、調整装置の入力車に伝達されるようになっている本発明によって、これまで問題と考えられていた機械的な負荷が減じられる。
【0013】
このことから当然、ディスクブレーキの耐用年数向上が、全体として、結果的に大幅に減じられた運転コストと共に達成される。この運転コストは、1つには、代用部材調達を含めたディスクブレーキの修理から生じ、もう1つには、修理作業の間の商用車の休止時間から生じる。
【0014】
さらに、ディスクブレーキの運転確実性もしくは機能確実性も本発明によって改善される。なぜならば、いまや、調整装置が、いわばブレーキパッドの動作時間全体にわたって、つまり、ブレーキパッドの、摩耗に起因した交換に到るまで、確実に機能するからである。
【0015】
連行装置は、構造的に種々異なる形態で形成することができる。この場合、互いに相互作用関係にある伝動車が、自由に回動可能に保たれるように互いに結合されていることが重要となる。
【0016】
このために、複数の連結要素が設けられている。これらの連結要素は、本発明の好適な構成によれば、互いに間隔を置いて平行に配置された、好ましくは金属薄板から成る2つのプレートから成っている。両プレートの間には、例えば歯車やスプロケットといった複数の伝動車が位置決めされている。
【0017】
これら両プレートは互いに結合されていて、適切な手段、例えばエンボス加工部、スペーサスリーブまたはこれに類する手段によって、各伝動車の厚さにほぼ相当するように設定された間隔を置いて保持されている。当然ながら、連結要素の別の構成も考えられる。
【0018】
前述したように、本発明は、ただ1つのブレーキピストンを備えたディスクブレーキでも、2つのブレーキピストンを備えたディスクブレーキでも実現可能である。前者の場合には、ブレーキピストンが中央に配置されていて、側方に位置決めされた調整装置を備えているのに対して、2つのブレーキピストンを備えたディスクブレーキの場合には、調整装置が両ブレーキピストンの間に配置されている。
【0019】
各伝動車は両プレートに、好適には間接的に滑りリングを関与させて接触している。これらの滑りリングに、各伝動車が支持されている。また、滑りリングは、伝動車に対応した低い摩擦係数を有する材料から成っている。
【0020】
前述した各滑りリングは、プレート内に嵌め込まれていてもよいし、伝動車自体に嵌め込まれていてもよい。滑りリングはトーラスの形状をとっており、これによって、これに対して相対的に回動可能な構成部材との接触面が少なくなっている。
【0021】
ちなみに、連行装置は極めて有利に製造することができる。なぜならば、連行装置を主として形成するプレートが、単純な金属薄板打抜き部材として形成されているからである。この金属薄板打抜き部材には、スペーサとしての前述したエンボス加工部を同時に成形することができる。これらのエンボス加工部は、互いに間隔を置いて配置された両プレートにより形成される中間室内に突入していて、例えば溶接によって互いに結合することができるように互いに接触し合っている。
【0022】
スペーサと呼ばれるスペーサスリーブも同じく簡単にかつ廉価に、特に管状部分として製造することができる。
【0023】
本発明の別の有利な構成は従属請求項に記載されている。
【0024】
本発明の実施例を添付の図面に基づき以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一部断面して示した先行技術に係るディスクブレーキの平面図である。
図2】細部としての加圧装置および調整装置の斜視図である。
図3図2に示した加圧装置の概略的な側方断面図である。
図4図2に示した加圧装置の細部を同じく斜視図で示したものである。
図5】ディスクブレーキの細部の一部の斜視図である。
図6】ディスクブレーキの別の一部を断面すると共に立体的に示した図である。
【0026】
図1には、先行技術に係るディスクブレーキが概略図で示されている。このディスクブレーキは、ブレーキディスク2を跨ぐ、摺動キャリパとして形成されたブレーキキャリパ1を備えている。このブレーキキャリパ1内には、2つのブレーキパッド3が配置されている。両ブレーキパッド3は、機能中、つまり、制動の際、ブレーキディスク2に向かって押圧されている。
【0027】
まず、加圧側のブレーキパッド3が、加圧装置8によってブレーキディスク2に向かって押圧されるのに対して、引き続き、反作用力に基づき、摺動させられるブレーキキャリパ1の連行によって、反作用側のブレーキパッド3がブレーキディスク2に向かって押圧される。
【0028】
加圧装置8は中央のブレーキピストン4を有している。このブレーキピストン4はブレーキレバー9を介して、加圧側のブレーキパッド3に向かって軸線方向に移動可能に押圧することができる。
【0029】
ブレーキピストン4は、回動可能なねじ山付きスピンドル6と、相対回動不能に保持されたねじ山付きスリーブ7とから成っている。このねじ山付きスリーブ7の雌ねじ山は、ねじ山付きスピンドル6の雄ねじ山に係合している。ねじ山付きスリーブ7の、対応配置されたブレーキパッド3に近い方の側には、プレート状の押圧片10が取り付けられている。この押圧片10は制動時にブレーキパッド3に接触し、そのほかに、ねじ山付きスリーブ7の回動防止のために、このねじ山付きスリーブ7に形状結合式(形状による束縛、例えば係合)に保持されている。
【0030】
ねじ山付きスピンドル6には、摩耗に起因して変化するクリアランス、つまり、ブレーキパッド3とブレーキディスク2との間の間隔を補償するための調整装置5が結合されている。
【0031】
ブレーキキャリパ1の、加圧装置8と調整装置5とを収容する収容室を保護するために、ブレーキキャリパ1に設けられた組付け開口が、ブレーキディスク2に近い方の側で閉鎖プレート11によって閉鎖されている。この閉鎖プレート11は、ブレーキキャリパ1にねじ12によって結合されている。
【0032】
ブレーキピストン4が閉鎖プレート11を貫通しているのに対して、調整装置5は閉鎖プレート11に圧縮ばね14により荷重を加えられた状態で支持されている。
【0033】
ブレーキピストン4の貫通領域はベローズ13によって密封されている。このベローズ13は、一方では閉鎖プレート11に密に接触していて、他方では押圧片10もしくはブレーキピストン4に密に接触している。
【0034】
ブレーキレバー9は、中間要素としての1つのボールを介してブレーキピストン4に旋回可能に支持されていて、また、複数のボールを介してブレーキキャリパ1にも旋回可能に支持されている。
【0035】
図2には、細部として、加圧装置8と、その側方に配置された調整装置5とが示されている。この調整装置5はその機能的な構成において、先行技術を示した図1における機能的な構成に相当している。つまり、図2でも、隣り合って配置された調整装置5を備えた中央のブレーキピストン4が設けられている。調整装置5によって、歯車伝動装置24の、相対回動不能に接続された歯車として形成された入力車25が駆動可能となる。
【0036】
クリアランス補償の目的で回動運動を伝達するために、入力車25は、同じく歯車として形成された出力車26に噛み合っている。この出力車26はねじ山付きスピンドル6に相対回動不能に結合されており、これによって、出力車26ひいてはねじ山付きスピンドル6の回動時に、このねじ山付きスピンドル6にガイドされたねじ山付きスリーブ7が軸線方向に変位されて調整される。
【0037】
出力車26の配置形態は、図3および図4にも認めることができる。
【0038】
図3に示した例では、ブレーキレバー9の凸状の区分21が、支承シェル22を介して出力車26に支持されている。このためには、この出力車26が円筒歯車の形態で、閉鎖された底部を有している。
【0039】
しかしながら、ブレーキレバー9の凸状の区分21をねじ山付きスピンドル6の近い方の端面に当て付けることも考えられる。
【0040】
図2図4には、伝動装置24の入力車25と出力車26とが、本発明によれは、連行装置27内に位置決めされていることを認めることができる。この連行装置27は、互いに並行に間隔を置いて配置された連結要素としての2つのプレート28,28’から形成されている。
【0041】
これら両プレート28,28’もやはりねじ29によって互いに結合されている。このねじ29には、スペーサスリーブ30がガイドされている。このスペーサスリーブ30はその端面でもって、プレート28,28’の、互いに向かい合った内面に支持されている。これによって、伝動装置24を収容するための中間室が得られる。
【0042】
図5および図6には、伝動装置24を収容するための中間室をどのようにして形成することができるのかという、それぞれ別の例が示されている。
【0043】
図5には、互いに近づく方向に向けられた複数のエンボス加工部15が示してある。これらのエンボス加工部15は、互いに向かい合って位置するプレート28,28’内に押し込まれていて、互いに向かい合った端面でもってピン状に互いに接触し合っていて、例えば互いに溶接されている。
【0044】
図6では、プレート28を貫いてピン18がガイドされている。このピン18は、一方では、ヘッドでもってプレート28の外面に支持されていて、他方では、プレート28’の内面に接触していて、そこに、溶接箇所23を形成している。この溶接箇所23は、プレート28,28’同士を互いに結合する、プレート28’とのアーク溶接によって得られる。両プレート28,28’の間に中間室を形成するための間隔は、図4に示した実施例に相応して、ピン18を差し通すスペーサスリーブ30によって得られる。
【0045】
ブレーキを加圧するためのブレーキレバー9の旋回時には、ブレーキピストン4が偏心体16を介して軸線方向でブレーキパッド3(図1)の方向に、出力車26を連行して移動させられる。連行装置27によって、調整装置5の入力車25も同時に連行される、即ち一緒に移動させられる。このためには、この入力車25が、確かに調整装置5に対して相対回動不能ではあるものの軸線方向には移動可能に調整装置5に保持されている。
【0046】
入力車25と出力車26とは、機能中にプレート28,28’に対して回転させられるので、入力車25と、出力車26と、プレート28,28’との間の摩擦抵抗を減らすためには、図3に明確に認めることができるように、複数の滑りリング31が設けられている。この滑りリングは、本例では、形成された中間室内に僅かに張り出した状態でプレート28内に嵌め込まれており、これによって、入力車25もしくは出力車26がプレート28に対して遊び無しに保持されている。
【0047】
ブレーキ解除後のブレーキピストン4の戻りひいては出力車26の戻りも圧縮ばね14によって行われる。この圧縮ばね14は、一方では、閉鎖カバー11に支持されていて、他方では、対応配置されたプレート28に支持されている。また、圧縮ばね14はブレーキピストン4にガイドされている。
【0048】
図4に特に明確に認めることができるように、ブレーキレバー9に近い方のプレート28’は、出力車26には部分的にしか接触していないのに対して、取付けスリーブ33についてはこれを取り囲んでいる。
【0049】
この取付けスリーブ33には、入力車25が、軸線方向だけでなく、周方向でも位置固定された状態で保持されていて、入力車25もしくは取付けスリーブ33は調整装置5に、軸線方向の移動は可能となるものの、同時に相対回動不能な保持が生じるように結合されている。取付けスリーブ33と入力車25とは、1つの構成部材として形成されていてもよいし、2つの別個の構成部材として形成されていてもよい。
【0050】
取付けスリーブ33は、閉鎖プレート11に取り付けられたガイドスリーブ32(図2)内に進入している。このガイドスリーブ32は、調整装置5用の支持体も同時に形成していて、ブレーキピストン4の軸線方向の移動時に、取付けスリーブ33に対して軸線方向に移動可能である。
【0051】
図2および図3に示された加圧装置8は、先行技術を示す、図1に認めることができる加圧装置8と異なり、1つのベアリングボールによってブレーキピストン4に支持されてもいなければ、複数のベアリングボールを介してブレーキキャリパヘッドに支持されてもいない、ブレーキレバー9を有している。
【0052】
その代わりに、偏心体16の内側でブレーキレバー9に溝19が形成されている。この溝19内には、転動ころ20が挿入されている。この転動ころ20は、ブレーキキャリパ1のキャリパヘッドに設けられた、支承箇所であってよい支持箇所に支持されている。転動ころ20は、好ましくは、ブレーキレバー9用の旋回ベアリングを形成している。このことは、図3に特に明確に認めることができる。
【0053】
ブレーキレバー9の、偏心体16とは反対の側に位置する端部には、凹部17が設けられている。この凹部17内には、ブレーキシリンダのピストンが係合することができる。このピストンは、制動の際にブレーキレバー9を旋回させるために、例えば空圧および/または電動モータにより操作可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 ブレーキキャリパ
2 ブレーキディスク
3 ブレーキパッド
4 ブレーキピストン
5 調整装置
6 ねじ山付きスピンドル
7 ねじ山付きスリーブ
8 加圧装置
9 ブレーキレバー
10 押圧片
11 閉鎖プレート
12 ねじ
13 ベローズ
14 圧縮ばね
15 エンボス加工部
16 偏心体
17 凹部
18 ピン
19 溝
20 転動ころ
21 区分
22 支承シェル
23 溶接箇所
24 伝動装置
25 入力車
26 出力車
27 連行装置
28 プレート
28’ プレート
29 ねじ
30 スペーサスリーブ
31 滑りリング
32 ガイドスリーブ
33 取付けスリーブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6