【実施例】
【0168】
[実施例1] プラスミドの構築
【0169】
pQE-80L-Kanaプラスミドの構築のために、BspHI(BioLab社製)によって、カナマイシン耐性遺伝子をpET-24a(+) (Novagen社製)から切断し、875-bpのカナマイシン耐性遺伝子(+3886 から+4760まで)フラグメント(SEQ ID NO:1)を生成した。pQE-80Lベクター(Qiagen社製)は、BspHIで消化され消化、アンピシリン耐性遺伝子(+3886から+4760まで)フラグメント(SEQ ID NO:2)を除去した。そして、pQE-80Lベクターに前記カナマイシン耐性遺伝子フラグメントを結合させ、4513-bpのプラスミド(pQE-80L-Kana、SEQ ID NO:3)を生成した。
[実施例2] 酵母ツーハイブリッドスクリーニング
A. ベイトプラスミドの構築
【0170】
酵母ツーハイブリッドスクリーニングは、市販のシステムを用いて行った(Matchmaker Two-Hybrid System 2; 米国カリフォルニア州パロアルト市CLONTECH社製)。ベイトプラスミド構築のために、pCRII/ActRIIB (Hilden., et al. (1994) Blood 83(8):2163-70)を鋳型として、PCRによって、アクチビン受容体IIB型(ActRIIB)の細胞外ドメインのコード領域(+103 bpから+375bpまで、SEQ ID NO:4)を生成した。ActRIIBの細胞外ドメイン(ActRIIBecd)を増幅するために使用されるプライマー(XmaI: 5'- CCCGGGACGGGAGTGCATCTACAACG-3'(SEQ ID NO: 5); SalI: 5'-GTCGACTTATGGCAAATGAGTGAAGCGTTC-3'(SEQ ID NO: 6))は、XmaI及びSalI制限部位をそれぞれ5'端に含むように設計された。総量50μLに10ngの鋳型DNA、0.2μmの各プライマー、0.2 mMの各dNTP、1X PCRバッファ(10 mM Tris-HCl、 pH8.3、50 mM KCl 及び1.5 mM MgCl
2)、及び1.25 U DNAポリメラーゼ(Promega)を用いて、PCRを行った。PCRは、95℃で30秒の変性、45℃で1分のアニーリング、そして68℃で5分の伸長反応を、30サイクルのプログラムで行った。PCR産物は、XmaI及びSalIで消化消化されて、pAS2-1ベクター(CLONTECH社製、GenBank Accession No. U30497)におけるGAL4のDNA結合ドメインにいる同じ制限部位にインフレームでサブクローンされ、pAS-ActRIIBecdプラスミドを生成した。
【0171】
ActRIIBと天然に存在する変異体の核酸配列及びリペプチド配列が知られている。例えば、野生型ActRIIBの核酸配列はSEQ ID NO: 7であって、対応するポリペプチド配列はSEQ ID NO: 8である。ActRIIBの細胞外ドメイン(ActRIIBecd)はSEQ ID NO: 9であって、SEQ ID NO: 8における27から117までの残基に対応し、SEQ ID NO: 4の核酸配列によりコードされている。
B. pACT2/MC3T3 cDNA ライブラリーの構築
【0172】
pACT2/MC3T3 cDNA ライブラリー構築のために、cDNAライブラリーインサートが1.5kb未満になるようにTu Q., et al. (2003, J Bone Miner Res. 18(10):1825-33)により記載されたMC3T3-E1マウス骨芽細胞cDNAライブラリーのクローン約7×10
6個を、pACT2ベクター(CLONTECH社製、GenBank Accession No.U29899)に構築した。s1ヌクレアーゼ (Invitrogen Life Technologies社製、cDNA Synthesis System 、CAT. No. 18267-013) の処理後、二本鎖cDNAはpACT2ベクター内にクローン化された。且つ、前記pACT2ベクターは、GAL4活性化ドメインを有する融合蛋白を発現するように、SmaIにより消化消化された。そして、pACT2/MC3T3イブラリーは、製造者からのプロトコルに従って、「HIS3 Jump-Start」(米国カリフォルニア州パロアルト市CLONTECH社製)の手順によってクリーニングされた。別の実施形態において、pACT2 cDNAライブラリーは、市販品から得られた。
C.酵母株の選抜
【0173】
Saccharomyces cerevisiae Y190細胞(MATa, ura3-52, his3-D200, lys2-801,ade2-101, trp1-901, leu2-3, 112, gal4D, gal80D, URA3::GAL1UAS-GAL1TATA-lacZ, cyhr2,LYS2::GALUAS-HIS3TATA-HIS3;米国カリフォルニア州パロアルト市CLONTECH社製)をベイトプラスミドで形質転換し、トリプトファン欠如合成デキストロース培地(SD-Trp)より選択した。SD-Trp培地で生長した該形質転換体は、後にpACT2/MC3T3 cDNAライブラリーで形質転換され、トリプトファン及びロイシンが欠如している培地(SD-Trp-Leu)より選択された。ベイト及びライブラリーで共形質転換されたクローンは回収され、リーク(Leak)の成長を抑制するように、トリプトファン、ロイシン及びヒスチジンが欠如し且つ30mM 3-アミノ-1、2、4-トリアゾール(米国ミズーリ州セントルイス市Sigma-Aldrich,社製)を有する培地(SD-Trp-Leu-His)に再培養された。さらに、この段階で選択されたクローンの、βガラクトシダーゼ活性を測定した。プレートは30℃で3日間培養した後、撮像された。この実験を独立して3回以上行ったところ、同様の結果が得られた。そして、個別の陽性クローンから、pACT2ライブラリープラスミドを精製し、大腸菌によって増幅した。表1に示された陽性クローンにおけるcDNAインサートの配列決定(プライマー 5'-AATACCACTACAATGGAT-3'、SEQ ID NO:10)は、Perkin-Elmer ABI Automated DNA Sequencerによって行った。
【表1】
[実施例3] 誤りがちな(Error-prone) PCR ランダム変異誘発
A. プラスミドから設計されたプライマーを用いた突然変異誘発
【0174】
実施例2の陽性クローンのDNA配列を、変異誘発した。
【0175】
一つの実施形態において、配列決定された陽性クローンはpQE-80L-Kanaにサブクローンされて、PCRランダム変異誘発を行った。先ず、表1に示された陽性クローンDNA配列増幅のためのプライマーは、5'端にMseI又はBamHI制限部位を含むように設計された。PCR条件は、実施例2に記載した通りであった。PCR産物は、MseI-BamHIにより消化消化され、インフレームでpQE-80L-Kanaベクターの同一制限部位へサブクローンされた。そして、Leung et al. (1989, Technique, 1, 11-15)が記載した誤りがちなPCRに基づき、いくつかの修正を伴い、サブクローンされたpQE-80L-Kanaプラスミドにランダム変異を導入した。線状化pQE-80L-Kana (XhoI消化済)は鋳型DNAとして使用された。変異誘発PCR増幅に用いたプライマー(MseI: 5'-GAATTCATTAAAGAGGAGAAATTAA (SEQ ID NO: 29); BamHI: 5'-CCGGGGTACCGAGCTCGCATGCGGATCCTTA (SEQ ID NO: 30))は、それぞれ5'端にMseI又はBamHI制限部位を含むように設計された。総量50μLに10ngの鋳型DNA、40pMの各プライマー、、0.2 mMの各dNTP、1X PCRバッファ(10 mM Tris-HCl、pH8.3、50 mM KCl 及び1.5 mM MgCl
2)、0.2-0.3 mMのMnCl
2、1%ジメチルスルホキシド、及び1.25 U Taq DNAポリメラーゼ(Invitrogen社製, Carlsbad, Calif.) を用いて、変異誘発PCRを行った。変異誘発PCRは、94℃で30秒の変性、55℃で2分のアニーリング、そして72℃で3分の伸長反応を、30サイクルのプログラムで行いた。PCR産物は、MseI及びBamHIにより消化消化された。該フラグメントは、MseI及びBamHIにより消化消化されたpQE-80L-Kanaの4.5-kbフラグメントに結合させた。生成したpQE-80L-Kanaの誘導体で、E. coli BL21 (Novagen社製) を形質転換した。そのコロニーは、37℃でLTB-アガー培地(1%v/vトリブチニン、0.1%v/v Tween 80、100mg/Lカナマイシン、0.01μMイソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド、1.5% アガーを添加したLB)で生長させた。
B.表1のプライマーを用いた突然変異誘発
【0176】
もう一つの実施形態において、前述したLeung et al. (1989, Technique, 1, 11-15)が記載した誤りがちなPCRに基づいて、いくつかの修正を伴い、ランダム変異を陽性クローン由来のpACT2ライブラリープラスミドに導入した。線状化pQE-80L-Kana (XbaI消化済)は鋳型DNAとして使用された。表1に示されたMseI 及びBamHI制限部位を有する合成オリゴヌクレオチドを、変異誘発PCR増幅のために用いた。総量50μLに10ngの鋳型DNA、40pMの各プライマー、0.2 mMの各dNTP、1X PCRバッファ(10 mM Tris-HCl、pH8.3、50 mM KCl 及び1.5 mM MgCl
2)、0.2-0.3 mMのMnCl
2、1%ジメチルスルホキシド、及び1.25 U Taq DNAポリメラーゼ(Invitrogen社製, Carlsbad, Calif.) を用いて、変異誘発PCRを行った。変異誘発PCRは、94℃で30秒の変性、55℃で1.5分のアニーリング、そして72℃で4分の伸長反応を、30サイクルのプログラムで行った。PCR産物は、MseI及びBamHIにより消化消化された。該フラグメントは、MseI及びBamHIにより消化消化されたpQE-80L-Kanaの4.5-kbフラグメントに結合させた。生成したpQE-80L-Kanaの誘導体で、E. coli BL21 (Novagen社製) を形質転換した。そのコロニーは、37℃でLTB-アガー培地(1%v/vトリブチニン、0.1%v/v Tween 80、100mg/Lカナマイシン、0.01μMイソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド、1.5% アガーを添加したLB)で生長させた。
[実施例4] ActRIIBecd関連ポリペプチドの発現
【0177】
実施例3に記載した安定的に形質転換されたE. coli細胞を、実施例2の変異誘発したDNA由来のActRIIBecd関連ポリペプチド(即ち、ドメイン)を発現するのために用いた。
A.形質転換体の発酵
【0178】
一つの実施形態において、pQE-80L-Kanaの誘導体を有するE. coli BL21形質転換体は、65 mL 培地(10g/L BBL PhytonePeptone、5g/L BactoYeast エキス及び10g/L NaClを含む)及び25-32μg/mLのカナマイシンを含んだ500 mL三角フラスコの中に、30℃〜37℃で180±20 rpmの攪拌で一晩(約10時間)培養した。5-50 L発酵槽の中に、37-420 mLの一晩培養した培養物を、23.8-38.5 μg/mLのカナマイシン及び1-3 mmol/Lイソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)を含んだ3.7-42 LのTB 培地(1 L水に18 gのBBL Phytone Peptone、36gのBactoYeast エキス、18.81gの KH
2PO
4、6 mLのGlycerolを含む培地)に入れて、37℃〜42℃温度調節範囲において260-450 rpmの攪拌で10〜24時間培養した。そして、GSAローター (Sorvall)に8,000rpmで10分間遠心分離を行いた後、氷水浴で細胞を回収した。
【0179】
もう一つの実施形態において、新たに培養したコロニー(pQE-80L-Kanaの誘導体を有するE. coli BL21形質転換体)を1つ又は新たに培養した培養物の10mLを、1LのLB液体培地(100 mg/Lカナマイシンを含む)に、OD
600値が0.4-0.8.に到達するまで培養する。そして、40 又は 400 μMのIPTGを入れて、37℃で3〜5時間の反応によってポリペプチドの発現を誘導する。約8,000rpmで遠心分離を行いた後、細胞を回収する。
B. E. coli由来ポリペプチドの回収及び精製
【0180】
E. coli BL21/pQE-80L-Kana誘導体細胞は、実施例4Aに記載したように発酵させた。一つの実施形態において、それらの誘導体細胞の細胞破砕及びポリペプチド回収は、4℃で行った。18gの湿潤細胞は、0.1M TRIS/HCl、10 mM EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、1 mM PMSF(フェニルメチルスルホニルフルオリド)を含む総量60mμLの細胞破砕バッファー(pH 8.3)に懸濁させた。メーカーの指示に従って該細胞を細胞破砕装置Frenchpress (SLM Instruments Inc社製)に2回通過させた後、細胞破砕バッファーを加えて総量を200 mLとした。懸濁液を、15,000rpmで20分間遠心分離させた。得られたペレットを、1M NaCl を含む100mlの細胞破砕バッファーに懸濁させて、上記のように10分間遠心分離を行った。そして、得られたペレットを、1% Triton X- 100 (Pierce社製) を含む100mlの細胞破砕バッファーに懸濁させて、もう一度上記のように10分間遠心分離を行った。洗浄されたペレットは、20 mM Tris/HCl、1 mM EDTA、1 mM PMSF、1% DTT(ジチオスレイトール)を含む総量50mLの溶液に懸濁させて、テフロン組織グラインダーにより同質にされた。得られた懸濁液は、非溶解型粗ポリペプチドを含んだ。
【0181】
上記の実施形態で得られたポリペプチド懸濁液10mLを、10%酢酸によりpHを2.5の酸性に調整し、エッペンドルフ型遠心機により室温で遠心分離を行った。上清液を流速1.4 mL/minの10%酢酸で、Sephacryl S-100 カラム (Pharmacia社製, 2.6×78cm)を用いてクロマトグラフィーを行った。適切な期間に溶出したポリペプチドを含む画分をプールした。該材料は、生物活性を有するポリペプチドを得るリフォールディングのため、又は精製のために使用された。
【0182】
上記の実施形態で得られた5 mgのポリペプチドを、50 mM Tris/HCl pH 8.0、 1M NaCl、 5 mM EDTA、 2 mM還元型グルタチオン、1 mM 酸化型グルタチオン及び33 mM Chaps (Calbiochem社製)を含む総量140mLの溶液に溶解させた。4℃で72時間後、塩酸で溶液のpHをpH 2.5に調整し、Amicon stirred cellsの中のYM 10膜(米国マサチューセッツ州ダンバース町Amicon社製)によって、混合液を10倍に濃縮するように限外濾過した。濃縮された混合液は、10 mM塩酸で元の体積に希釈され、同じ方法によって最終容量10 mLに濃縮された。形成した沈殿物は、5000gで30分間遠心分離することにより除去した。非還元条件下で、SDS-PAGEによって、上清液がジスルフィド結合ポリペプチドを有することを判定した。製剤の生物活性は、BIAcore(商標)アッセイより測定された(実施例5)。
【0183】
上記の実施形態により濃縮された溶液は、1mL/minの流速でMono S HR 5/5 カラム(Pharmacia社製)に注入された。該カラムは、85% バッファーA (20 mM 酢酸ナトリウム、30%イソプロパノール、 pH 4.0)及び15% バッファーB(1M 塩化ナトリウムを含むバッファーA)の混合液で平衡化された。バッファー混合液の組成恒常を保つように、280nm波長での吸光度読取数値がベースラインレベルに達するまで同じ流速で該カラムを洗浄した。そして、20分間以上の線形勾配になるように、平衡状態で注入を続けて、50% バッファーA/50% バッファーBで終了させた。非還元条件下のSDS-PAGEと生物活性測定によると、生物活性ポリペプチドは、勾配開始から約9分後に溶出され、回収された。
【0184】
もう一つの実施形態において、該ポリペプチドは、実施例4Aで回収した細胞の封入体により調製された。室温で一晩に抽出され(pH 5の50 mM 酢酸ナトリウム、8 M 尿素、14 mM 2−メルカプトエタノール)、水に対して徹底的に透析した後、該ポリペプチドは、流速1.8 mL/minで、1%酢酸又は5 mM塩酸によってSephacryl S-100 HRカラム(Pharmacia社製)により富化させて、リフォールディングして濃縮させた。最後に、FPLC (Fractogel EMD SO
3- 650、 50 mM 酢酸ナトリウム、pH 5、30% 2-プロパノール)によって、0 〜1.5 Mの NaCl勾配で溶出された。適切な期間に溶出したポリペプチドを含む画分をプールした。水に対して透析した後、ポリペプチドは凍結乾燥されて、-20℃で保存された。ポリペプチドの純度は、クーマシーブリリアントブルー染色に伴って、SDS-PAGEにより分析された。
【0185】
もう一つの実施形態において、実施例4A各サンプルの細胞ペレット1gを、10 mM TRIS/HCl、150 mM NaCl、1mM EDTA、及び5 mM DTTを含む pH 8.0の 細胞破砕バッファー10-20 mLで再懸濁させ、装置(Misonix S4000)とEnhance Booster #1 probeを用いて、30 A(装置度盛)の条件で5分間、超音波細胞破砕処理を行った。必要に応じ、細胞ライセート混合物を遠心分離(18,000 x gで20分間遠心分離、又は15,000 x gで30分間遠心分離)により清澄化し、1 v/v % Triton X-100を含む10-20 mLの細胞破砕バッファーでペレットを数回洗浄し、上記のように10分間遠心分離した。細胞ライセートは、6 M尿素を含む100-200 mLの細胞破砕バッファーで溶解させて、上記のように10分間遠心分離させた。ポリペプチドを含む上清液は、更に精製するのために保存された。
【0186】
上記上清液は、リフォールディングバッファー(100 mL Tris/HCl pH 8.0、500 mM アルギニン-HCl、5 mM EDTA、25 mM Chaps、2 mM酸化型グルタチオン、及び1 mM 還元型グルタチオン)により溶解させた。室温で4-7日後、ポリペプチドは、FPLC (Fractogel EMD SO
3-650、 20mM 酢酸ナトリウム、pH 4-5、30% 2-プロパノール及び25 mM Chaps)によって、0 〜3 Mの NaCl勾配で溶出されて精製された。適切な期間に溶出したポリペプチドを含む画分をプールした。ポリペプチドの純度は、クーマシーブリリアントブルー染色に伴って、SDS-PAGEにより分析された。
【0187】
特定の実施形態において、実施例3に記載した一過性発現システムの共発現によって本開示のヘテロ二量体を調製することができる。且つ、該ヘテロ二量体を、培養培地から単離し、実施例5のアッセイでスクリーニングすることができる。
[実施例5] 生体外BIAcore(商標) アッセイ
【0188】
バイオセンサー実験。一つの実施形態において、BIAcore(商標)T100/T200装置((Pharmacia Biosensor AB社製)でマルチチャンネルモード(フローセル1+2+3+4を含むシリアル流路)により実験を行った。流量は10μl /分で、温度は25℃、データは2.5ポイント/sで記録された。アミンカップリングにより、センサチップCM5の4つ全てのセグメントを密度が2000 pg/mm
2(2000共鳴ユニット)となるようにストレプトアビジン(Sigma社製)で被覆した。ActRIIBecd (10mg)及びamine-PEG3-Biotin (10 mg, 米国イリノイ州ロックフォード市Pierce社製) を200μlのH
2Oに溶解させ、10mgのNaCNBH3を添加して、ビオチン化されたNaCNBH3を調製した。反応混合物を70℃で24時間加熱し、その後、さらに10mgのNaCNBH3を添加し、もう一度反応物を70℃で4時間加熱した。混合物を室温まで冷却した後、スピンカラム(分画分子量3000、molecular weight cut off、MWCO)で脱塩した。ビオチン化ActRIIBecdを収集し、凍結乾燥し、ストレプトアビジン(SA)チップの調製に使用した。アミノビオチニル化されたActRIIBecdを50-250共鳴ユニット(RU)の密度で、フローセル2-4に、10mM酢酸ナトリウム(pH 4.0)の中で20μmの濃度、5μL/分の流速で10分間固定化した。。保存されたポリペプチドをグリシンバッファー(100mlの水に 2.5gのグリシン、0.5gのスクロース、37m gのLグルタミン酸塩、10mgの塩化ナトリウム、10 mg のTween 80 を含む、ph4.5)に溶解して10 mg/mLの溶液を調製し、上記のグリシンバッファーで希釈して各濃度の分析物を調製した。分析物(前記ActRIIBecd 関連ポリペプチド、即ち、ドメイン)の流れが最初にフローセル1(コントロール)を通り、次いでフローセル2(ビオチン化ActRIIBecd)を通る間に、センソグラムを記録した。フローセル2に得られたセンソグラムから、フローセル1に得られたセンソグラムを減じた。
装置により供給されたプログラム(BIA evaluation 2.1; ソフトウェアハンドブック1995; Pharmacia Biosensor AB)を用いて、1.11 nM、3.33 nM、10 nM、30 nM及び90nMの分析物で得られたセンソグラムの平衡結合、会合速度、及び解離速度を評価した。分析物及びウシ血清アルブミン(陰性コントロール)を表2に列挙した。上記のPerkin-Elmer ABI Automated DNA Sequencerを用いて、アルブミンよりも高い親和性を有する分析物に関連するクローンにおけるpQE-80L-Kana誘導体の配列決定(プライマー 5'-CTCGAGAAAT CATAAAAAAT TTATTTG-3' (SEQID NO: 31))を行った。
【表2】
[実施例6] 組換えポリペプチドの製造
【0189】
親和性定数を向上させることができるか否かを判定するため、いくつかの修正を伴い、Atanassov et al. (2009, Plant Methods,5:14)に記載されたPCR-融合の手順を用いて表2の個々のドメインを互いに融合させ、組換えポリペプチドを製造した。Phusion DNAポリメラーゼ(フィンランドFinnzymes 社製)及び標準サーマルサイクラーを用いて、PCR-融合を行った。Gateway組換え反応をBP Clonase II及びLR Clonase II酵素混合物(Invitrogen)で行った。Nojima et al.(1990, Gene, 96 (1): 23-28)に基づいて、コンピテントE. coli DH5α 細胞を用意した。そして、QIAprep(商標) Spin Miniprep Kit 及びQIAquick(商標) Gel Extraction and PCR purification kits(ドイツQiagen社製)を用いて、プラスミドDNA及びPCR断片を精製した。
【0190】
DNA鋳型、PCRプライマー、及び得られた組換えポリペプチドのDNA/ポリペプチド配列を表3に示す。PCR融合は、プラスミド鋳型由来の2つ又は3つの並行PCR増幅を含む。これらの並列反応に得られたゲル精製PCRフラグメントで、シングルオーバーラップエクステンションによって、増幅したフラグメントのPCR融合を行った。ここで、Phusion DNAポリメラーゼガイドライン(NewEnglandBiolabs: Phusion(商標)High-Fidelity DNA Polymerase. Manual) に従った反応混合物及び条件を使用した全てのPCR増幅は、サイクルパラメータが同一であった。プラスミドテンプレートのアニーリング温度は55℃であった。
【0191】
16 μlの2つのPCRフラグメント混合物(通常フラグメントが各8 μl、約200-800ng DNA)、6 μlの5× Phusion HFバッファー、3 μlの2 mM dNTP mix、0.3μlのPhusion DNA(商標)ポリメラーゼガイドライン(2 U/μl)を含む総量30 μlのオーバーラップエクステンション反応液を用いて、2つPCRフラグメントの融合を行った。オーバーラップエクステンション反応液にプライマーは添加されなかった。3つのPCRフラグメントを融合した場合には、18個のPCRフラグメント混合物(通常フラグメントが各6 μl)を使用した。一般には、正確なDNA濃度を確認することなく、等体積の精製されたPCR断片を使用した。増幅されたPCR断片のモル比が実質的に異なっていると思われる場合には(アガロース電気泳動後のDNAバンド強度の推定により5〜7倍を越える)、それに応じて増幅されたPCR断片の体積を調整した。反応液は、98℃で30秒間、60℃で1分間、そして72℃で7分間反応させた。オーバーラップエクステンション反応後に得られたDNAを、PCR精製キットを用いて精製した。PCR産物は消化され、上記のタンパク質/ポリペプチド発現のためにpQE-80L-Kanaベクター中にクローニングされた。ActRIIBecdに対する精製されたタンパク質/ポリペプチドの親和性は、上記に開示したBIAcore(商標) T100/T200 (GE Healthcare)によって評価され、実施例5のBIAevaluation software ver. 4.1 (GE Healthcare)によって分析された。
【表3】
【0192】
上記データは、下記の2つのクローンの組み合わせから形成された組換えポリペプチドの親和性定数(K
D)が各単一クローンの個々のポリペプチドより低かったことを示した:クローン番号15に作動可能に連結されたクローン番号10(SEQ ID NO:188)、クローン番号10に作動可能に連結されたクローン番号15(SEQ ID NO:194)、クローン番号21に作動可能に連結されたクローン番号15(SEQ ID NO:200)、クローン番号15に作動可能に連結されたクローン番号21(SEQ ID NO:206)、クローン番号10に作動可能に連結されたクローン番号21(SEQ ID NO:212)、クローン番号21に作動可能に連結されたクローン番号10(SEQ ID NO:218 )、クローン番号14に作動可能に連結されたクローン番号8(SEQ ID NO:224)、クローン番号8に作動可能に連結されたクローン番号14(SEQ ID NO:230)、クローン番号8に作動可能に連結されたクローン番号19(SEQ ID NO:236)、クローン番号19に作動可能に連結されたクローン番号8(SEQ ID NO:242)、クローン番号14に作動可能に連結されたクローン番号19(SEQ ID NO:248)、クローン番号19に作動可能に連結されたクローン番号14(SEQ ID NO:254)。即ち、上記の組み合わせから生成した組換えポリペプチドはActRIIBecdに対して、クローン番号8(SEQ ID NO: 35)、クローン番号10(SEQ ID NO: 39)、クローン番号14(SEQ ID NO: 47)、クローン番号15(SEQ ID NO: 49)、クローン番号19(SEQ ID NO: 57)、クローン番号21(SEQ ID NO: 61)を含む各単一クローンから生成した個々のポリペプチドよりも高い親和力を有した。
【0193】
さらに、クローン番号8(SEQ ID NO: 35)、クローン番号10(SEQ ID NO: 39)、クローン番号14(SEQ ID NO: 47)、クローン番号15(SEQ ID NO: 49)、クローン番号19(SEQ ID NO: 57)、クローン番号21(SEQ ID NO: 61)から3つのクローンを組み合わせて組換えポリペプチドを生成した。驚くべきことに、下記の3つのクローンの組み合わせから形成された組換えポリペプチドの親和性定数(K
D)は、単一クローンの個々のポリペプチド又は2つのクローンの組み合わせより低かった:クローン番号15及びクローン番号21に作動可能に連結されたクローン番号10 (SEQ ID NO: 260)、クローン番号10及びクローン番号21に作動可能に連結されたクローン番号15 (SEQ ID NO: 268)、クローン番号15及びクローン番号10に作動可能に連結されたクローン番号21 (SEQ ID NO: 276)、クローン番号10及びクローン番号15に作動可能に連結されたクローン番号21 (SEQ ID NO: 284)、クローン番号14及びクローン番号19に作動可能に連結されたクローン番号8(SEQ ID NO:292)、クローン番号8及びクローン番号19に作動可能に連結されたクローン番号14(SEQ ID NO:300)、クローン番号8及びクローン番号14に作動可能に連結されたクローン番号19(SEQ ID NO:308)、クローン番号14及びクローン番号8に作動可能に連結されたクローン番号19(SEQ ID NO:316)、クローン番号14及びクローン番号21に作動可能に連結されたクローン番号10(SEQ ID NO:324)、クローン番号15及びクローン番号19に作動可能に連結されたクローン番号8(SEQ ID NO:332)、クローン番号19及びクローン番号14に作動可能に連結されたクローン番号10(SEQ ID NO:340)、クローン番号21及びクローン番号15に作動可能に連結されたクローン番号8(SEQ ID NO:348)。
[実施例7] 翻訳後修飾
【0194】
組換えポリペプチドのK
D値に対する翻訳後修飾(PTM)の効果を検討した。PTMの一例はジスルフィド結合の連結である。ジスルフィド結合の位置と結合親和性の関係を示すデータは、表4に示された。該データは、PTMが組換えポリペプチドの対ActRIIBecd結合親和性に影響を与えることを示す。PTMアッセイは、以下の実験に従って実施された。
A.酵素消化とジメチル標識化
【0195】
実施例4及び実施例6と同様にポリペプチドを調製した。標準タンパク質はSigma(米国ミズーリ州市セントルイス市)から購入した。必要に応じ、pH6の5 mM NEM (N-エチルマレイミド、Sigma)を含む100 mM酢酸ナトリウム(米国ニュージャージー州Phillipsburg市J. T. Baker社製)を使用して、室温で30分間遊離システインをブロックした。酵素消化は、1:50比率でトリプシン(ウィスコンシン州マディソン市Promega社製)により直接的に37℃で酢酸ナトリウム中で一晩行った。ジメチル標識化の前に、100 mM酢酸ナトリウム(pH 5) でタンパク質消化物を3倍に希釈した。
【0196】
特定の実施形態において、実施例4及び実施例6と同様に調製されたポリペプチドは、pH7の50 mM TEABC (重炭酸トリエチルアンモニウム, T7408, Sigma-Aldrich社製) バッファーで希釈されて、異なる酵素消化用の2管に分けられた。最初は、最終濃度の5mMとなるまでNEM(N-エチルマレイミド、E3876, Sigma-Aldrich社製)を添加して、遊離システインをブロックした。室温で30分間アルキル化反応を行った。NEMアルキル化した後、1管に1:65比率でトリプシン(V5111, Promega社製)を添加し、37℃で18時間反応し、そして37℃で一晩Glu-C (P8100S, New England BioLabs社製、1:50比率) 消化を行った。もう1管のチューブには、Glu-C (1:50比率) を添加し、37℃で18時間反応し、そして37℃で一晩キモトリプシン(1:50比率) 消化を行った。
【0197】
ジメチル標識化を行うために、50μLのタンパク質に2.5 μL の4% (w/v) ホルムアルデヒド-H
2(J. T. Baker社製)又は2.5 μL の 4% (w/v) ホルムアルデヒド-D
2を添加して、そして2.5 μLの600 mMシアノホウ水素化ナトリウム(Sigma)を添加し、pH 5-6で30分間反応を行った。
B. 質量分析
【0198】
毛細管カラム(75 μm i.d.,長さ10cm、台湾Csun社製)を用いたCapLC systemを備えたESI Q-TOF (米国マサチューセッツ州ミルフォード町Waters社製)を使用して、、測量スキャン(MS, m/z 400-1600; MS/MS, m/z 50-2000)を行った。アルキル化及びジメチル標識化したタンパク質消化物は、45分間0.1%ギ酸に5%-50%のアセトニトリルを含有する直線勾配で、LC-MS/MS分析を行った。
【0199】
特定の実施形態において、消化した及びジメチル標識化したタンパク質消化物は、Ultimate 3000 RSLCシステムに結合したQ-Exactive Plus質量分析システムにより分析された。液体クロマトグラフィー分離は、下記の勾配に従って、C18 カラム(Acclaim PepMapRSLC, 75 μm x 150 mm, 2 μm, 100 オングストローム)により行った。
【0200】
m/z 300-2000の範囲で全MSスキャンを行った。MSスキャンから強度が最も高い10個のイオンは、MS/MSスペクトラ用の断片化対象とされた。
C.データ解析
【0201】
MassLynx 4.0を用いて、生データからピークリストを生成した(30%減し、Savitzky-Golay平滑化、中心3チャネル80% 重心)比較的高い減算を用いてバックグラウンドノイズを除去した。真a
1イオンをピークリストに残すため、真a
1イオンは通常に主要なピークとして表される。
D.逆相クロマトグラフィー
【0202】
バイナリポンプを有するAgilent 1100 HPLCシステムに、UV検出器及びオートサンプラを装備した。75℃で操作されたZorbax 300SB C8 カラム(150 ± 2.1 mm,5 μm,300 オングストローム )に、タンパク質を注入した。流速は0.5ml/ minであった。移動相Aは、0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水であった。移動相Bは、70%イソプロピルアルコール、20%アセトニトリル、及び0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水溶液であった。10%Bの充填条件でサンプルを注入し、そして2分間19%Bまで増加させ。2分から1%B/ minの線形溶出勾配を開始して、24分で終了した。そして、95%Bで5分間カラムをフラッシュした。充填条件でカラムを平衡化した。この方法は、ジスルフィドアイソフォームを部分的に分離することを可能する。
【表4】
【0203】
表4に示すように、異なるシステイン位置間にいるジスルフィド結合は、親和性定数(KD)値に影響を与える。二量体中の2つの組換えポリペプチドの間にいるジスルフィド結合がK
Dを著しく減少させることも、データに示された。言い換えると、二量体化が組換えポリペプチドの二量体とActRIIBecdとの体外分子結合を補助している可能性がある。
【0204】
いくつかの組換えポリペプチドが表4に記載の二量体を自発的に形成したことが観察された。すべての二量体蛋白は、実施例4Bに記載のゲル濾過によって組換えポリペプチド単量体から分画することが可能である。この実施形態においてモノマーが同じであるために、二量体蛋白はホモ二量体蛋白であった。他の実施形態において、実施例4に記載の安定的に形質転換されたE. coli細胞が、SEQ ID NO:260、SEQ ID NO:268、SEQ ID NO:276、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:292、SEQ ID NO:300、SEQ ID NO:308、SEQ ID NO:316、SEQ ID NO:324、SEQ ID NO:332、SEQ ID NO:340、SEQ ID NO:348からなる群より選ばれる2つの異なる組換えポリペプチドを共発現する場合、二量体蛋白はヘテロ二量体蛋白になる。
[実施例8] アルカリホスファターゼ生理活性アッセイ
【0205】
既知のC2C12細胞におけるアルカリホスファターゼ誘導の分析によって、組換えポリペプチドについて細胞受容体に結合する能力及びシグナル伝達経路を誘導する能力を調査した。文献Peel et al. JCraniofacial Surg. 2003; 14:284-291 及びHu et al. Growth Factors 2004; 22:29033を参照)
【0206】
C2C12細胞(ATCC 受託番号 CRL-1772、米国バージニア州マナサス市)をコンフルエント前に継代し、1×10
5 cells/mLとなるように10%の熱不活性化ウシ胎児血清を添加したDMEMで再懸濁した。96ウェル組織培養プレート(Corning社製、 Cat #3595)に、ウェル当たり100μlの細胞懸濁液を播種した。段階希釈した標準液及びサンプルのアリコートを添加して、37℃且つCO2 濃度5%の条件で培養を維持した。サンプルは、馴化培地、精製された組換えポリペプチド、陽性対照としての市販の精製した組換えヒトBMP-2「rhBMP-2」(米国ミネアポリス市R&D Systems社製)を含む。Mundy GR., et al. (2004, GrowthFactors. 22 (4): 233-41)等の文献によって、rhBMP-2が骨及び軟骨の開発において重要な役割を果たすことが示された。陰性対照培養物(サンプル又はrhBMP-2が無添加の培地に細胞を培養した)は、2〜7日間培養した。培地交換を二日ごとに行った。
【0207】
収集された培養物を生理食塩水(0.90% NaCl, pH 7.4)でリンスして、その後リンス済の食塩水を破棄した。50 μLの抽出用液(Takara Bio, catalogue #MK301)を培養物に加えて、室温で10分間超音波処理行った。Peel et al. J Craniofacial Surg. 2003; 14:284-291の記載に基づいて、アルカリバッファー(Sigma-Aldrich, St. Louis Mo., catalog P5899)中のニトロフェノールリン酸塩の加水分解をモニターすることで、アルカリホスファターゼ活性(ALP)を分析した。また、アルカリホスファターゼ活性(ALP)の分析について、メーカーの指示に従ってTRACP & ALP assaykit (Takara Bio社製, catalogue #MK301)を使用することもできる。405 nmにおける吸光度を記録することでアルカリホスファターゼ活性を決定した。多反復サンプルの平均ALP活性により、1つの活性スコアを計算した。各組換えポリペプチドのEC
50濃度を計算するために、段階希釈したサンプル試料とその関連活性スコアを4パラメーター曲線(4-parameter curve fit)で作成した。データは表5に示された。場合によって、各ウェル内の蛋白質含有量に対するALP活性は、Coomasie (Bradford) Protein Assay (Pierce Biotechnology Inc., catalogue#23200)の使用により正規化された。各ウェルのALP活性を蛋白質含有量で割ることにより、各サンプルの正規化したALP活性値を計算した。
【0208】
もう一つの実施形態において、Katagiri, T., et al.(1990, Biochem. Biophys. Res. Cornrnun. 172, 295-299)に記載したアルカリホスファターゼ活性分析を行う。1-mL 10%ウシ胎仔血清を添加したBME-Earle培地にいる1 x 10
5 cells/mLのC3H10T1/2細胞株マウス繊維芽細胞を、24ウェル培養プレートに37℃且つCO2濃度5%の条件で24時間培養した。上清液を除去し、様々な濃度のサンプルを有する新鮮な培地1-mLを添加した。さらに4日間培養した後に、0.2 mLのバッファー(pH 9.6の0.1 M グリセロール、1 % NP-40、1 mM MgCl2、1 mM ZnCl2)で細胞を溶解して、基質として150μLの0.3mM p-nitrophenyl phosphate含むバッファー(pH 9.6)を用いて、50 μLの澄清ライセートアリコートでアルカリホスファターゼ活性をを決定する。37℃で20分間培養後に、405 nmにおける吸光度を記録する。活性は、各サンプルにおける蛋白質含有量(BCA protein assay, Pierce Chemical Co.)に関連する。
【表5】
【0209】
表5に示すように、特定のジスルフィド結合を有する組換えポリペプチドの大部分は、rhBMP-2よりも低いEC
50値を有する。即ち、特定のジスルフィド結合を有する組換えポリペプチドの大部分は、骨若しくは軟骨の形成又は骨形成(osteogenesis) に関連するシグナル伝達経路を誘導し得る。
【0210】
[実施例9]体内骨誘導活性
ウサギの尺骨軸欠損に対して、実施例6に従って製造した組換えポリペプチド(すなわち、分子内ジスルフィド結合C44-C48を有するSEQ ID NO: 260)を2つ有するホモ二量体蛋白の骨誘導活性、及び多孔質ベータ−リン酸三カルシウム(β−TCP)の担体としての評価を評価した。リン酸カルシウム担体のカルシウム/リン比は0.4〜1.65である
【0211】
メスウサギ(NZW種、日本エスエルシー株式会社)40匹の外科的に露出された右尺骨及び左尺骨の軸に、20 mmの円周状の欠損(すなわち、欠損部位)が形成された。併用麻酔は、簡潔に言えば、塩酸ケタミン(ケタラール、第一三共製)とキシラジン(Selactar 2%注射溶液, Bayer Medical製)を 3:1の割合で併用して行った。長時間の手術の追加麻酔でも同一溶液を使用した。術前に、抗生物質としてFlumarin (flomoxef sodium、シオノギ製薬)を皮下投与した。前腕の全領域の毛皮は、電動シェーバで剃毛され、ヒビタンアルコールで消毒した(0.5% グルコン酸クロルヘキシジン−エタノール溶液, 大日本住友製薬株式会社)。各尺骨の肢の尾側正中部において、縦方向の切開を形成した。筋肉組織を上げて尺骨を露出させた。メス(25mm)で露出した尺骨の手関節からマークを作成した。直径15mmのドリルを用いて、骨を破壊しないように注意しながら、縦方向及び垂直方向に適切な孔をマークに穿孔した。骨鉗子(luer bone rongeurs)で骨を分割した。近位方向に20mm離れた所にもマークを作成し、同様に分割した。分割の際に、尺骨を覆う骨膜を除去して、骨片を生理食塩水で充分に洗浄した。
【0212】
下記表6に示されたグループA−Gのいずれかに従って、各尺骨はそれぞれのインプラントを受容した(又は受容しなかった)。グループA−Dの尺骨は、特定量のホモ二量体蛋白を担持するβ−TCPのインプラントを1つ受容した。グループEの尺骨は、β−TCPのみのインプラントを1つ受容した。グループFの尺骨は、自体移植片を1つ受容した。グループGの尺骨は、インプラントを受容しなかった。その後、筋肉及び皮膚組織を迅速に縫合した。
【表6】
【0213】
グループA−Eで使用されたβ−TCPは、1-3 mmの顆粒の形態であって、空孔率が75%且つ孔径が50μm〜350μmであった(骨移植片代用品Superpore(商標)、PENTAX、HOYA株式会社)。
【0214】
もう一つの実施形態において、グループA−Eで使用されたβ−TCPは、1-3 mmの顆粒の形態であって、空孔率が70%以上且つ孔径が300μm〜600μmであった(骨移植片代用品Wiltrom、台湾ウィルトロム)
【0215】
グループA−Dの組換えポリペプチドを有するホモ二量体蛋白(即ち、SEQ ID NO: 260)は、各動物に移植直前に塩酸0.5m (注射溶媒で希釈した標準溶液、大塚製藥)を用いて冷凍ロットから調製された。片側移植に対する流体容積を180μlに設定して、滅菌されたペトリ皿内の200mgのβ−TCP顆粒に均一に滴下した。流体の滴下が完了した後に、スパチュラでβ−TCP顆粒を穏やかに攪拌し、そして室温で15分間以上静置した後に移植した。
【0216】
グループFについては、骨鉗子(luer bone rongeurs)を使用して、腸骨の右翼又は左翼のいずれかから自体移植片を得た。骨はチップに加工されて、グループA−Eと同じ量で移植された。
X線による評価
【0217】
移植直後、及び移植後8週間後まで2週に一度、横方向及び正面のx線画像(即ち、放射線写真)を撮影した。放射線写真を用いて移植位置の状態及び骨形成の程度を評価した。各グループのx線画像の代表例は、
図1A(グループA−D)及び
図1B(グループE−G)に示された。
【0218】
2週間後、全てのグループにおいて、インプラント材料の顆粒のコントラストと受容床(recipient bed)の境界とのコントラストが、明確に見られた。4週間後、ホモ二量体蛋白グループ(即ち、グループA−D)のTCP顆粒が不鮮明になって、前記顆粒の吸収及び骨形成の進行を示した。また、ホモ二量体蛋白投与量が高いグループCとDにおいて、いくつかのサンプルの移植位置と受容床との境界が不鮮明になった。6週間後、グループBにいる移植位置と受容床との境界が不鮮明になった。また、グループC及びDのいくつかのサンプルにおいて、受容床連続性及び骨形成の向上が観察された。8週間後、グループAとBにおいて、受容床にいる境界が更に不鮮明になった。グループCにおいて、受容床連続性及び骨形成が向上した。6週間後の図に示すように、グループDにおいて、尺骨欠損の領域に再構成が観察された。
【0219】
TCPのみを有するグループEにおいて、骨形成は経時的に観察された。しかし、残ったTCP顆粒が8週間の時点でも明確に見られ、軸における不十分な骨形成及び劣悪な連続性が示された。
【0220】
自体移植片を有するグループFにおいて、骨形成の進行は経時的に観察され、且つ、受容床との融合は8週間で達成された。しかし、形成均一ではなかった。
【0221】
欠損のみを有し、移植片の無いグループGにおいて、橈骨にわずかな骨形成が観察されたが、欠陥の修復はそれ以外には全くなかった。
コンピュータ断層撮影(CT)走査
【0222】
移植直後、移植後4週間後、及び移植後8週間後に、CT走査を用いて1mm間隔で軸配向を行った。主に移植位置の画像を撮影した。代表例として、移植位置の中心の横断面画像経時変化は、
図2A(グループA−D)及び
図1B(グループE−G)に示された。
【0223】
ホモ二量体蛋白を有するグループ(即ち、グループA−D)について、移植直後に明確に見られる顆粒が、移植後4週間後横断面断面画像において部分的に分解し、骨形成を示唆した。投与量が60 μgであったホモグループDついて、骨形成の更なる進展が観察され、また、いくつかのサンプルに骨髄腔の形成が観察された。8週間後、投与量が6μg以上であったグループにおいて、骨髄腔及び骨皮質の形成の進行が観察された。TCPのみを有するグループEにおいて、顆粒の凝集塊は8週間後も残っていた。自体移植片を有するグループFにおいて、8週間後に、再構成の進行のような骨髄腔の形成が観察された。欠損のみを有するグループGにおいて、わずかな骨形成しか観察されなかった。
捻り強度測定
【0224】
移植8週間後のウサギを安楽死させ、インプラント材料を除去し、各グループの尺骨から橈骨を分離して、捻り強度測定を行った。測定については858 Mini Bionix II (MTS Systems Corporation)を使用して行った。50mm長の領域で試験を行った。具体的には該領域は、中央の尺骨軸における20mm長の再構成領域、及び再構成領域の基端側と遠位側の両方における15mm長の領域であった。各辺の端部を歯科用樹脂で固定した。樹脂部分を測定装置内にチャックした。失敗した時の最大トルク(torque)を決定するため、30°/分の回転速度で、左尺骨を反時計回りに回転させ、右尺骨を時計回りに回転させた。。別々に得られた健全なウサギの尺骨に対しても試験を行い比較した。該健全な尺骨は日本白色種ウサギから得られたものであり、グループA−Eで使用されたものとは異なるタイプであった。ただし、該日本白色種ウサギは26週齢(安楽死の際に)の雌であったため、グループA−Eとは同じ年齢及び性別であった。
【0225】
捻り強度測定によって得られた各グループの最大トルクは、
図3に示された。ホモ二量体蛋白を有するグループA−Dにおいて、最大トルクは、投与量依存的に高くなった。
【0226】
TCPのみを有するグループEに比べ著しく高い測定値が、投与量が2μg以上のホモ二量体蛋白を有するグループA−Dに見出された。
【0227】
無傷の尺骨、自体移植片又はホモ二量体蛋白を有するグループ間では、著しい相違は観察されなかった。
【0228】
グループE及びGにおいて、骨形成が不十分であったため、橈骨が分離された後、いくつかのサンプルでは確実な支持を確保することが困難であった。そのため、サンプルについて、グループEでは2つのみ、グループGでは4つのみのサンプルが測定で用いられた。一方で、グループA−D及びFについて、使用したサンプルは6つであった。
【0229】
下記の表7に示されたように、本試験とKokubo et al., Biomaterials 24:1643-1651 (2003)の記載における同じ動物モデルを使用したCHO-derived BMP-2に対する評価間で、試験条件及び結果を比較した。Kokubo et al.,による報告と比べ、本研究はより大きな骨欠損、より少ない投与量の活性剤、捻り強度測定前により短い移植持続時間などのより困難な条件で行った。しかしながら、この研究において、尺骨の修復が成功したことが示されており、且つ最大トルクは類似していた。
【表7】
組織評価
【0230】
全ての動物について、4週間後と8週間後の標本を作成した。剖検の際に得られた組織を4%パラホルムアルデヒド溶液に保存し、10%EDTAで脱灰した。その後、組織をパラフィンで包埋した。橈骨の長軸に平行する平面に薄切片サンプルを作成し、ヘマトキシリン‐エオジン(HE)で染色し、組織評価した。骨形成及び受容床との融合を判定した。
【0231】
ホモ二量体蛋白を有するグループA−Dにおいて、4週間後、骨形成は小柱パターンで進んだ。高い投与量のホモ二量体蛋白を有するサンプルには活発な骨形成が観察された。投与量が60μgであったグループDにおいて、著しく大量の新しい骨及び血管新生が観察された。投与量が低いグループA及びBにおいて、残存材料が観察されたが、グループC及びDにおいてはほとんど観測されなかった。グループA及びBにおいて、いくつかのサンプルの受容床との境界付近には、軟骨形成が観察された。全てのサンプルにおいて、受容床は小柱パターンで新たに形成された骨に直接接続した。投与量が2μgであったグループAにおいて、小柱パターン及び残存材料は、8週間後も観察された。受容床との境界付近に軟骨も観察された。再構成が不十分であっても、骨形成の進行が観察された。いくつかのサンプルにおいて、橈骨の中には骨皮質の形成が観察された。投与量が6μg以上であったグループB―Dにおいて、骨皮質及び骨髄は再構成により形成された。投与量がより高いグループにおいて、進展がより著しく、また、受容位置における連続性も向上した。
【0232】
TCPのみを有するグループEについて、橈骨におけるインプラント材料上の骨形成は観察されたが、残存材料は8週間後も明確に見られたため、軸の不十分な骨形成及び劣悪な連続性が示された。
【0233】
自体移植片を有するグループFにおいて、良好な骨形成が4週間後に観察され、新しい骨は受容床と接触していた。受容床との境界付近には軟骨形成が見られた。8週間後、新しい骨の再構成及び骨皮質の形成ついての進展が観察されたが、残った移植骨の断片も観察された。
【0234】
欠損のみを有するグループGにおいて、骨形成は橈骨のみに観察され、且つ、欠損の修復は達成されなかった。
[実施例10]ヒツジ脊椎後側方固定研究
骨誘導活性
【0235】
ヒツジ脊椎後側方固定モデルにおいて、実施例6に従って製造した組換えポリペプチド("Rcp")を有するホモ二量体蛋白(即ち、分子内ジスルフィド結合C44-C48、C80-C112、及びC79-C114を有するSEQ ID NO: 260)の骨誘導活性、及び多孔質ベータ−リン酸三カルシウム(β−TCP)の担体材料としての評価を評価した。リン酸カルシウム担体のカルシウム/リン比は1.2〜1.8である。
【0236】
ヒツジ脊椎後側方固定モデルについて、Zoletil(商標) (8-12 mg/kg, IM)で鎮静させたヒツジと、ガス化イソフルオラン(2%)及び酸素(1分間当たり2リットル)を使用した。気管内チューブを動物に挿入しガスを通して、イソフルオラン(2-3%)及び酸素(2-4リットル/分)で麻酔を維持した。抗生物質(Keflin(商標): 1 gm IV; Benacillin 5 ml IM)を与えた。手術前にカルプロフェン(NSAIDの一種である、4 ml IM)及びTemgesic(商標) (Burprenorphine 0.324 mg SC)を注射した。必要に応じて手術前及び手術中に、晶体輸液を静脈内に投与した。
【0237】
L3-L4レベルに15cmの正中切開を腰部横突起と平行に形成させた。後腹膜鈍解剖により腰部脊椎の前外側面を露出した。これによって横隔膜が邪魔されない状態にした。軟組織は後退した。空気バー(pneumatic burr 、Midas Rex)を使用して、全ての動物のレベルの間の横突起(側部15 mm)及び隣接する椎体を皮質剥離した。
【0238】
下記表8に示された各グループの条件に従って、横突起及び隣接する椎体の皮質剥離された表面(傍脊柱床、paraspinal bed)の間にインプラント材料を置いた。グループ1−3は、特定量のホモ二量体蛋白を担持するβ−TCPのインプラントを1つ受容した。グループ4は、ホモ二量体蛋白のないβ−TCPだけのインプラントを1つ受容した。グループ6は、陽性対照として、特定量のrhBMP-2という確立骨誘導因子を有する吸収性コラーゲンスポンジ(ACS) のインプラントを1つ受容した。グループ5は、骨自体移植片を1つ受容した。自体移植片は、自体移植片グループの動物の腸骨稜から収集された。骨鉗子を用いて骨を粉砕(morcelized)して、5.0 gの移植骨を融合の各辺に使用した。2-0縫合糸で切開を閉鎖して、3-0縫合糸で付近の皮膚を閉鎖した。
【表8】
【0239】
グループ1−4に使用したβ-TCPは、2-4 mmの顆粒の形態であって、空孔率が70%以上且つ孔径が50-350μmであった(骨移植片代用品Superpore(商標)、PENTAX、日本HOYA株式会社)。
【0240】
特定の実施形態において、グループ1−4に使用したβ-TCPは、2-8 mmの顆粒の形態であって、空孔率が65%以上且つ孔径が250-730μmであった(骨移植片代用品Osteocera、台湾ウィルトロム)
【0241】
グループ1では、10mgのホモ二量体蛋白を有する各バイアルに2mlの注射水を添加することによって、Rcpを含むホモ二量体蛋白保存液H(すなわち、SEQ ID NO: 260)を調製した。3:1の容積比率で保存液Hと注射水を混合して、ホモ二量体蛋白高投与量溶液(10.5mgホモ二量体タンパク質を含有する2.8ml溶液)を作った。2.8mlのホモ二量体蛋白高投与量溶液は、3.5gβ-TCP顆粒に均一に滴下することにより送達された。
【0242】
グループ2では、10mgのホモ二量体蛋白を有する各バイアルに4mlの注射水を添加することによって、ホモ二量体蛋白保存液ML(2.5 mg/ml)を調製した。1:1の容積比率で保存液MLと注射水を混合して、ホモ二量体蛋白中投与量溶液(3.5mgホモ二量体タンパク質を含有する2.8ml溶液)を作った。2.8mlのホモ二量体蛋白中投与量溶液は、3.5gβ-TCP顆粒に均一に滴下することにより送達された。
【0243】
グループ3では、10mgのホモ二量体蛋白を有する各バイアルに4mlの注射水を添加することによって、ホモ二量体蛋白保存液ML(2.5 mg/ml)を調製した。17:3の容積比率で保存液MLと注射水を混合して、ホモ二量体蛋白低投与量溶液(1.05mgホモ二量体タンパク質を含有する2.8ml溶液)を作った。2.8mlのホモ二量体蛋白低投与量溶液は、3.5gβ-TCP顆粒に均一に滴下することにより送達された。
【0244】
グループ6は、市販品Infuse(商標)及びMastergraft(商標)(二者ともメドトロニック社製)をグラフト材料として比較するために行った。Infuse(商標)は、CHO発現システムより用意したrh-BMP及び吸収性コラーゲンスポンジ(ACS) からなる。Mastergraft(商標)は、85% β-TCP及び15%ヒドロキシアパタイトからなる粒状リン酸カルシウム骨代用品である。Infuse(商標)とMastergraft(商標)を組み合わせて使用することが腰部後側方固定に対して効力を示すことは、E. Dawson et. al.のエビデンスレベル2を有する臨床研究に報告されている(J Bone Joint Surg Am. 2009; 91: 1604-13)。グループ6のインプラント材料は、各位置に3.15 mg rh-BMP-2、4cc ACS、5cc Mastergraft(商標)を含み、インプラント材料調製の手順についてはE. Dawsonの報告に従った。Infuse(商標)及びMastergraft(商標)のロット番号は、手術記録に記録された。
【0245】
手術後最初の7日間、動物を毎日モニターし、観察結果を各動物の手術後のモニタリングシートに記録した。
【0246】
4週間後、全ての動物の前後方向(posteroanterior)の放射線写真を撮影した。該動物はZoletil(商標) (8-12 mg/kg, IM)で鎮静させて、イソフルオラン(2%)と酸素(2リットル/分)でガス麻酔した。新しい骨の存在及びTCP材料の吸収について、放射線写真と術後のx線写真とを比較した。手術後12週後、全ての動物を、致死量のLethabarbの心臓注射で犠牲にした。
【0247】
骨形成の時点をモニターするために、下記表9に示された3つの時点に3つの異なる蛍光色素を静脈内に注射した。
【表9】
X線による評価
【0248】
腰脊椎(L1-L6)を採取し、デジタルカメラを用いて撮影した。採取された脊椎を、Faxitron(商標) Machine (24 kV で45秒間に設定した)で照射した。後前方(posterior-anterior 、PA)に撮ったデジタル放射線写真を、右側及び左側の3名盲検観測者によって、新しい骨の形成及び融合についてのエビデンスを等級付けした。定性的採点システムを用いて、放射線写真を評価した(表10)。融合は、1つの横突起がら次のレベルまての骨の連続パターンによって評価した(0=非連続、1=連続)。融合塊の各側の横突起の間にある骨の量は、表10が概要したようにパーセンテージに基づいて等級付けされた。TCP再吸収量は、同じ量の材料を有する0時点の放射線写真との比較に基づいて記された。
【表10】
【0249】
手術後、4週間後及び12週間後で且つ採取前に、全ての動物の前後方向の放射線写真を撮影した。各グループの代表的なX線イメージは、
図4〜
図9に示された。グループ1、2、3、4、5、6の手術後X線イメージにおいて、顆粒は明らかであった。4週間後の時点において、グループ1、2において見える顆粒はほとんどなかったが、存在を記すことができる。グループ3、4には明らかな顆粒がより多く見られた、グループ6には残りの細粒又は顆粒が明確に示された。12週間後、グループ1、2、3において、細粒又は顆粒は骨と区別ができなかった。グループ4において、少量の骨形成と不鮮明な細粒が示された。グループ6において、12週間後もまだ細粒が明らかであった。
【0250】
放射線写真を3名盲検観測者によって評価した。等級付けは、融合の二項評価と、融合塊にいる骨の量の5級評価を含んだ。結果は表11に示された。各動物の個体等級の平均値を先に計算して、そして各グループの平均値及び標準偏差を計算した。
【表11】
【0251】
[実施例11] 羊椎体間融合モデルにおける体内骨誘導活性
【0252】
羊の椎体間融合モデルにおいて、実施例6に従って製造した組換えポリペプチドを有するホモ二量体蛋白(即ち、分子内ジスルフィド結合C44-C48、分子間ジスルフィド結合C79-C114及びC80-C114を有するSEQ ID NO: 260)の骨誘導活性、多孔質ベータ−リン酸三カルシウム(β−TCP)の担体材料としての評価、PEEKケージの収容体(accommodator)として評価を評価した。リン酸カルシウム担体のカルシウム/リン比は約0.7〜約1.7であった。
術前準備
【0253】
標準的な操作手順に従って、手術のための動物(種:Ovis Aries;品種:Border LeicesterMerino Cross;供給者:UNSW approved supplier - Hay Field Station, Hay, NSW;購入は動物の管理及び倫理委員会(UNSW Animal Care and Ethics Committee)によって認可された;年齢:4歳齢;性別:メス、即ちEwe)を用意した。手術の24時間前に、右前脚(左前脚は静脈内輸送に使用した)に経皮フェンタニル張り付け剤(100mg - 2mcg/kg/hr)を用いて、先制の鎮痛を与えた。用いる前には、十分な吸収を確保するためにウールをクリップし、皮膚をアルコールスワブ(alcohol swabs)で清潔した。動物は手術前に最低12時間以内絶食・断水させた。
手術
【0254】
この研究に割り当てられたヒツジは、手術の日にランダムに選択された。ヒツジが選択されると、番号を割り当て、標準的な操作手順に従って耳にタグを付けた。識別番号を、研究記録に記録した。
【0255】
手術の日及び開始前に、研究獣医は各動物を検査し、疾患又はこの研究の目的若しくは実施を妨げる可能性がある状態にないことを確認した。各動物の状態及び内含させたもの対しての適合性を、動物番号に対応して研究記録に記録した。
【0256】
標準的な操作手順に従って、手順において動物を導入し、麻酔し、維持し、モニターした。左前脚は頭部静脈内接続のために使用された。ハルトマン溶液(Hartman’s solution)を静脈投与する前に、標準的な操作手順に従って、手術前分析のために血液を採取した。血液サンプルに対して、研究ID、動物番号及び日付と共に「PRE-OP」を付し、ルーティン生化学(4ml)及び血液学(4ml)のためにIDEXX Australiaへ送った。
【0257】
手術は、標準的な手術手順の変更されたバージョンに従って実施された。
手術手順-L45 XLIF及び椎弓根スクリュー
【0258】
手術の前に、全ての動物を48時間食制限(NPO)し、隔離用ペン管理施設内に収容した。麻酔薬の投与及び全身麻酔の導入に続いて、後腰部領域、腸骨稜及び近位脛骨を無菌的に用意した。
移植片混合手順
【0259】
0.3mlの蒸留水にホモ二量体蛋白(10 mg/vial)を溶解して、33.3 mg/mLのHP保存液Aを調製した。椎体間ケージ内に一塊のβ-TCP(約150mg) を配置した。各グループにおいて、滅菌されたペトリ皿に置いたβ-TCP(約150mg) の塊に、HP保存液Aから希釈し又は取った「HP溶液」を均一に滴下し通させた。液体を完全に滴下した後、移植前に該β-TCPの塊を室温で15分以上放置した。
【0260】
グループA-Fは、β-TCP担体と結合した上記ホモ二量体蛋白を移植材料として使用した。部位あたりのホモ二量体蛋白投与量は、表12に示された。混合手順の調製は以下の通りであった。
【表12】
【0261】
Hp 4mg/部位のグループAでは、10mgのホモ二量体蛋白を有する各ガラスバイアルに0.3mlの注射水を添加することによって、Hp保存液A(33.3 mg/mL)を調製した。Peekケージ内に一塊のβ-TCP(約150mg) を置いた。150mgβ-TCPの塊に均一に滴下することにより120μlのHp保存液Aを送達した。
【0262】
ホモ二量体蛋白 2mg /部位のグループBでは、水とHp保存液Aを1:1体積比で混合してHp保存液B (16.7 mg/mL)を得た。β-TCPの塊(約150mg) をPeekケージ内に置いた。150mgβ-TCPの塊に均一に滴下することにより120μlのHp保存液Bを送達した。
【0263】
ホモ二量体蛋白 1mg /部位のグループCでは、水とHp保存液Bを1:1体積比で混合してHp保存液C (8.3 mg/mL)を得た。β-TCPの塊(約150mg) をPeekケージ内に置いた。150mgβ-TCPの塊に均一に滴下することにより120μlのHp保存液Cを送達した。
【0264】
ホモ二量体蛋白 0.5mg /部位のグループDでは、水とHp保存液Cを1:1体積比で混合してHp保存液C (4.2 mg/mL)を得た。β-TCPの塊(約150mg) をPeekケージ内に置いた。150mgβ-TCPの塊に均一に滴下することにより120μlのHp保存液Dを送達した。
【0265】
ホモ二量体蛋白 0.1mg /部位のグループEでは、水とHp保存液Cを1:4体積比で混合してHp保存液C (0.8 mg/mL)を得た。β-TCPの塊(約150mg) をPeekケージ内に置いた。150mgβ-TCPの塊に均一に滴下することにより120μlのHp保存液Eを送達した。
【0266】
ホモ二量体蛋白 0 mg /部位のグループFでは、β-TCPの塊(約150mg) をPeekケージ内に置いて、150mgβ-TCPの塊に均一に滴下することにより120μlの水を送達した。
椎体間Peekケージ
【0267】
適切な脊柱レベルを同定するために横突起を触診した。該レベルを、蛍光透視法によって検証した。L4及びL5椎体にカスパルピン(Caspar pins)を置き、カスパルレトラクター(Caspar retractor)を使用して椎間板腔を伸延した。鋭利な切開、キュレット及び用意した終板によって、椎間板を除去した。椎間板腔に、移植材料で充填された椎間体装置を配置し、リトラクタを解放した。軟組織を再並置し、層で皮膚を閉鎖した。
【0268】
椎体間ケージの外観は、図
10に示された。
椎弓根スクリュー
【0269】
XLIF完了後、動物を腹臥位に再配置し、無菌技術を用いてドレープして、L3-S1レベルの中心を越えた背下部中央線に初期皮膚切開を形成した。必要に応じてコブエレベータ及び電気焼灼を使用して、L45ファセット及び横突起を露出させるように、神経弓に沿って矢状面で鈍的解剖を行った。そして、レベルに椎弓根スクリュー及びロッドを挿入した。
【0270】
移動式x線機械((POSKO)及びデジタルカセット(AGFA)を使用して、手術直後に前後方向で放射線写真を撮影した。DICOMフォーマットでデータを保存し、ezDICOM医療ビューアソフトウェアを使用してJPG画像へ輸出した。標準的な操作手順に従って行った。
手術後のモニター
【0271】
最初の7日間毎日動物をモニターし、記録した。研究の間、獣医技術者が毎日少なくとも1回動物を検査し、毎週記録した。技術者によって確認した健康上のいずれかの懸念を、獣医スタッフに報告し、PIによって更に評価し管理した。
【0272】
標準操作手順に従って、ヒツジの各試験部位をモニターした。手術後初週の毎日及びその後は1 週 1 回、手術切開、食欲、皮膚及び毛の変化、目及び粘膜、呼吸系、循環系、姿勢/歩容、行動パターン(トレモス(tremors)の発生、痙攣、過剰な唾液分泌、及び無気力)をモニターした。その後モニターされた兆候は機敏さ/注意力、食欲、手術部位、目の外観、歩行、及び頭部を上げさせる能力であった。介在の基準は感染症の兆候であった。
【0273】
動物は、術後の最初の3日間、抗生物質(Kelfex)及び鎮痛薬(ブプレノルフィン, 0.005-0.01 mg/kg IM)を経口投与された。術後の最初の7日間は、毎日神経学的評価を行った。その後、臨床的モニターに基づいて、術後疼痛軽減を提供した。
外植体
【0274】
指定された時点で、標準的な操作手順に従って誘導し麻酔する前に、各動物の所有する識別番号を確認した。
【0275】
麻酔導入後、標準的な操作手順に従って、頚静脈又は頭静脈のいずれかから血液を採取した。サンプルに研究番号、動物番号、及び日付を付した。サンプルは、密封されたバイオハザードバッグ中でSORLに輸送され、30℃未満に維持され、ルーティン生化学(4mls)及び血液学(4mls)のためにIDEXX Australiaへ送られた。輸送時間をノートに記載した。
【0276】
麻酔されている間に、標準的な操作手順に従って、Lethobarbの致死量の注射により動物を安楽死させた。死体を30℃未満に維持して、直ちにSORLへ輸送した。
【0277】
標準的な操作手順に従って各動物を検査し、解剖した。腰部脊椎を採取し、デジタルカメラを用いて撮影した。手術部位に副作用及び感染の兆候について検査し、結果を記録し、撮影した。
【0278】
収穫直後に、すべての動物(12週間)において、手の触診によって融合塊の安定性を評価した。訓練され、経験を持った2人の盲検観測者の力を合わせて、無傷又は除去されたままの椎弓根ロッドと共に、融合塊の横曲げ及び屈曲−伸展を評価した。
【0279】
左右側の横曲げ及び処理されたレベルの屈曲−伸展についての手の触診評価によって、融合(剛体、動きがない)又は未融合(非剛体、動きが発見さた)で等級付けした。左右側の横曲げ及び屈曲−伸展の手の触診評価において、未処理レベルの可動性を相対的な比較として用いた。
運動範囲(ROM)の測定
【0280】
脊椎から慎重にL45セグメントを採取した。4mm×15mmのスクリューを椎体に挿入し、試料のポッティングを助けるように使用した。
【0281】
ROM評価用の樹脂中にセグメントを慎重にポッティングした。Denso Robotで屈曲−伸展(FE)、横曲げ(LB)、軸回転(AR)の運動範囲を決定した。ロッドは、測定前に除去された。FE、LB、AR中の脊椎に7.5Nmのピュアモーメントを適用し角変形生成し、測定装置で記録した。各負荷プロフィールを3回繰り返し、図
11に示す各処理されたレベルのFE、LB、ARの平均値を求めた。下記に概説するように、融合の一方の側のパラフィンヒストロジー、もう一方の側のPMMAヒストロジーを機械測定した後、サンプルをリン酸バッファーホルマリンで固定した。ROMデータは、SPSSを用いてANOVAで分析した。
【0282】
表13に示されるように、手動触診によって、0.5mg未満の投与量について、セグメントは非剛体運動を示したが、0.5mg以上の投与量及び自体移植片について、セグメントは剛体運動を示した。
【表13】
【0283】
図
11に示すように、各処理の軸回転の運動範囲はほとんど変化しなかった。しかしながら、無傷と比べれば、全ての処理の屈曲−伸展は減少したが、ホモ二量体蛋白投与量が増えるに伴い、安定性の向上傾向が示された。自体移植及び1.0mgホモ二量体蛋白が、最も同等であった。全ての処理において横曲げも減少し、無傷の値の<50%までになった。横曲げについても、ホモ二量体蛋白投与量が増えるに伴い、ROMが減少することが示された。投与量の影響は0.1mg-0.5mg段階で最も顕著であった。
マイクロコンピュータ断層撮影−脊椎
【0284】
Inveon Scanner (米国Siemens)を用いてマイクロコンピュータ断層撮影(μCT)を行った。すべてのスキャンにおいて、スライス厚さを約50ミクロンに設定した。CTスキャンをDICOMフォーマットで保存した。アクシャル、コロナル及びセジタル面を検査して、それらに基づいて3次元モデルを再構成した。追加分析のために、DICOMスタックを研究スポンサーに送った。
【0285】
各動物のアクシャル、コロナル及びセジタル画像並びに前後の3Dモデルを提供した。処理されたレベル間の融合を検査するために、コロナル及びセジタル面を再検討してmicro-CT再構成を評価した。訓練され、経験を持った2人の盲検観測者は、全体micro-CTスタックを検討する同一の放射線写真採点スコア(表14)を用いて、処理グループに対して等級付けした。定性的にレベルの骨の量を表す1〜4のスケールで、各融合を等級付けした:1:25%、2:26-50%、3:51-75%、4:76-100%。
【表14】
【0286】
3つの直交するの面及び3次元モデルの前後の像において、各動物のmicro-CTの代表的な画像を用意した。3つの面における脊柱融合の高解像度放射線画像を得るために、Siemens Inveon体内マイクロコンピュータ断層撮影スキャナを用いてすべての動物にマイクロコンピュータ断層撮影(μCT)を行い、放射線撮影した。これは、標準的な操作手順に従って実施された。また、500ミクロン加算画像技術(500 micron summation image technique)を使用して、加えてより厚い再構成を行って検査した。なお、3D再構築を再検討して全体的な融合状態を評価し、全ての動物のレポート及び付録に代表的な画像を提供した。これは、いくつかの変更を伴って標準的な操作手順に従って実施された。セジタル及びコロナル画像を再検討して、表14に基づいて、全体的に融合を等級付けした (図
12-図
14参照) 。
融合の等級付け
【0287】
0 Hp mg/部位において、残留TCP及び終板にあるいくつかの骨形成が示された。0.1 Hp mg/部位において、新生骨が生成し、最小限の残留TCPは示されたが、堅い骨ブリッジは示されなかった。0.5 Hp mg/部位において、良好な骨質が生成されたが、移植片内には多少の透き線が存在した。1.0 Hp mg/部位及び2.0 Hp mg/部位の投与量において、最小限の透き領域を伴って、良質な骨がケージ間空間を充填した。4.0 Hp mg/部位において、体積に基づいて高等級な骨が生成されたが、骨の中には、いくつかの大小の空洞を含む透きがあった。自体移植(腸骨稜)において、かなり良い又は良好な骨の形成や、非癒合領域もみられ、不定の結果が示された。下表において、各部位の等級をサマライズした。
【0288】
マイクロCT分析に基づた融合等級付けは、表15に示された。全体の骨等級及び融合等級について、1.0及び2.0mg Hpがピークであった。骨等級は、定性的に骨の量(1:25%、2:26-50%、3:51-75%、4:76-100%)を表す1〜4のスケールで等級付けされた。融合等級は、0-3(0-新生骨なし、1-新生骨の形成が見られが、連続的な骨なし、2-透きを伴った可能な融合3-ブリッジ骨を伴った確実な融合)で付けられた。
【表15】
[実施例
12] コントロールドリリース系(Controlled Release System)製剤(ダブルエマルション法/塩基性物質/親水性薬物)
【0289】
一つの態様において、2.5 mLのジクロロメタン(Merck)に溶解した0.25gのPLGA(乳酸/グリコール酸比65/35、MW 40000-75000, Sigma-Aldrich)をシェーカーで5分振盪(1000 rpm)して、10% PLGA溶液 (10%油相溶液)を形成した。2.5 mLの二重蒸留水(DDW)と10%のPLGA溶液とを混合し、1000rpmで15分間攪拌して、第1エマルジョン(w/o)を形成した。第1エマルジョンを10 mLの0.1%(w/v)ポリビニルアルコール(PVA)MW ~130000,Fluka) 第2水油相溶液に添加し、500rpmで攪拌し、5分間排気して第2エマルジョン(w/o/w)を形成した。2エマルジョンを4時間連続的に攪拌した後、1分間放置した。4000rpmで5分間遠心分離することにより、ペレット中の粒子を収集した。5mlのDDWで数分間粒子を洗浄した。3回遠心分離し洗浄した後、遠心分離した粒子を収集し、3日間凍結乾燥してPLGA微粒子を形成した。2mg及び/又は4mgのβ−TCP粉末(Sigma-Aldrich)と50μLのDDWと10 μgの実施例6に従って製造した組換えポリペプチド(即ち、SEQ ID NO: 260)を有するホモ二量体蛋白(Hp)を混合して、スラリー(Slurry)を形成した。スラリーと50mg PLGA微粒子とを混合し(又は表面に塗布し)、3日間凍結乾燥してPLGA微粒子をコントロールドリリース系として形成した。特定の実施形態において、凍結乾燥したコントロールドリリース系を押圧して、平坦な片を形成することができる。
【0290】
代替的な実施形態において、2.5 mLのジクロロメタンと乳酸-グリコール酸共重合体
(PLGA、65:35、Sigma製)とを混合し、5分攪拌(1000 rpm)して、10%油相溶液(P1)を形成した。P1に0.25mlの二重蒸留水(DDW) を添加し、15分間攪拌(1000 rpm)して、第1エマルジョン(w/o、P2)を形成した。10 mLの0.1%(w/v)ポリビニルアルコール(PVA,MW ~130000,Fluka)にP2を入れ、4時間攪拌(500 rpm)した(P3)。P3を4000rpmで5分間遠心分離した後、上清液を除去し、残った溶液を収集した。P3に5mlのPBSを添加し、3回繰り返し、残った溶液を回収後、凍結乾燥した。PLGA微粒子の凍結乾燥粉末を秤量し、産率(%)を計算した。0.06mlのDDWと2mgのβ−TCP粉末(Sigma-Aldrich)とを混合し、20 μgのホモ二量体蛋白をβ−TCPに添加して5分間攪拌した。その後、50mgのPLGA微粒子を該混合物中に添加し、均一に攪拌した。該微粒子を凍結乾燥し、押圧してΦ10 mmサイズの錠剤を得った(適当な圧力は5~10kg)。
【0291】
場合によっては、2mg及び/又は4mgのβ−TCP粉末を4mgのリン酸三カルシウム(TCP)又は1mgのアルファ-リン酸三カルシウム(α-TCP)に置換することができる。特定の実施形態において、PLGA65/35をPLGA50/50、ポリ乳酸(PLA) 又はポリグリコール酸(PGA) に置換することができる。
PLGA/Hp-β-TCPから放出したホモ二量体蛋白(Hp)の評価
【0292】
1 mLのヒト血清に100mgのPLGA/Hp-β-TCPを浸漬し、37℃に60rpmで振盪した。放出したホモ二量体蛋白を含むヒト血清溶液を1時間、1日目、2日目、3日目、7日目、10日目、14日目の各時点で収集し、800μlの新鮮なヒト血清に置換した。収集したヒト血清を-80℃で保存し、direct ELISAアッセイですべてのサンプルを同時に分析した。
【0293】
β-TCP及びホモ二量体蛋白で被覆されたPLGA微粒子の放出プロフィールは、図
15a及び
15bに示された。PLGA微粒子の表面に物理的に吸着したホモ二量体蛋白が、拡散及びPLGA水解によってin-vitro溶液に連続的に放出することが示された。ELISAキットから得た結果によって、15分及び1時間において、17%及び31.5%の相対量のホモ二量体蛋白が放出された。ホモ二量体蛋白の相対的な放出百分率は、14.5%(60分から1日目まで)、14.3%(1日目から2日目まで)、7.6%(2日目から3日目まで)、9.3%(3日目から7日目まで)、5.4%(7日目から10日目まで)、0.4%(10日目から14日目まで)であって、徐放性パターンを示していた。PLGA/Hp-β-TCPの該配合は、急激放出の共通課題を軽減した[Giteau et al., Int J Pharm 350:14 (2008)];大部分の送達システムは、最初の数時間の間に急激に放出して送達し、封入された/表面結合された製品の60%以上を放出することが多い。[Woodruff et al., J Mol Histol 38:425 (2007) and Sawyer et al., Biomaterials 30:2479 (2009)].
【0294】
図
16は、電子顕微鏡によるPLGA微粒子の形態及び直径分布を示す。PLGA微粒子は球状であり、直径分布の範囲が100μm〜150μmであった。
【0295】
もう一つの実施形態において、20mLのジクロロメタンに2gのPLGAを溶解して、10% PLGA/DCM溶液を形成した。水中に二相リン酸三カルシウム(BCP)を分散させて、水相溶液を形成した。水相溶液とPLGA/DCM溶液とを混合し、マグネチックスターラーで30分間攪拌してエマルションを形成した。そして、造粒機にエマルションを供給し、スプレー造粒法を行ってPLGA微粒子を形成した。
Balb/Cマウス骨壊死モデルにおけるPLGA/Hp-β-TCPの新骨形成の評価
手術手順
【0296】
動物骨壊死モデルにおいて、現実の骨壊死状況を模擬するために、全脛骨骨膜を剥離した。長さ2mmのマウスの右側の脛骨の中軸を鋸で切り出し、液体窒素を用いて骨の切断面を凍結し、壊死性骨を模擬した。そして、該フラグメントを逆にして脛骨の元の部位に戻し、髄内固定として注射針(No. 26)を用いて、両端を脛骨の他の部分に固定した。骨折の周りに試験品を配置した後、絹縫合糸で創傷を閉鎖した。マウスを、壊死性骨対照(C)、PLGA/β-TCP(PT)、PLGA/0.2 μg Hp-β-TCP (POT-0.2)、PLGA/0.8 μg Hp-β-TCP (POT-0.8)、 PLGA/1.6μg Hp-β-TCP (POT-1.6)及びPLGA/3.2 μg Hp-β-TCP (POT-3.2)を含む6つのグループに分けた。各グループにいる3〜6匹のマウスを、手術後4週間観察した。
軟X線観察
【0297】
操作後の4週間、軟X線(SOFTEX, Model M-100, Japan)によって、43 KVP、2 mA に1.5 sの条件で、脛骨骨折を放射線的に検査した。観察期に適切な倍率を使用し、得られた顕微鏡写真において、全ての担体と対照との間で比較した。
【0298】
異なるホモ二量体蛋白用量を含有するPLGA/Hp-β-TCPの移植後4週間のマウス脛骨骨壊死断片カルスの形成のx線写真を、対照(C)又はPLGA/β-TCP (PT)グループと比較して、図
17に示した。対照グループにおいて、不完全な融合が認められた。PTグループにおいて、小さな隙間が存在していた。POT-0.2、POT-0.8、POT-1.6、及びPOT-3.2グループにおいて、明瞭な融合塊は観察された。該結果は、PLGA/Hp-β-TCPグループにおける骨修復の効能が対照及びPTグループよりも高かったことを示した。
骨組織の組織学的分析
【0299】
組織化学分析を同時に用いて、骨組織における微視的な変化を評価した。ヘマトキシリン‐エオジン(H&E)染色の前に、0.5% EDTAを用いて骨組織の全てのサンプルを脱灰した。得られたサンプルをパラフィンワックスに包埋し、5μmの切片を用意した。H&Eで切片を普段染色し、顕微鏡で観察した。400Xの倍率で、カルス領域と対照グループとを比較した。
【0300】
図
18に示すように、PLGA/Hp-β-TCP (POT)の移植後4週間後、新生骨の形成を評価した。対照グループと比較すると、PLGA/β-TCP(PT)の骨形成速度はほぼ同様の結果を示した。PT及び対照グループと比較すると、POTグループにおける骨形成速度は増強され、POT-3.2用量を除いて依存的増加した。該結果は、Balb/Cマウス骨壊死モデルにおける骨再生を誘導し得るホモ二量体蛋白コントロールドリリース担体の潜在的な利点を示した。
[実施例
13]持続放出系パテの調製
【0301】
表16の式に従って、粉末を混合して調製した。4℃で粉末を一晩保存した。パテを調製した日に、すべての材料(即ち、粉末、β-tcp、グリセロール及び脱イオン水)をUV光で20分間照射した。2x0.5x0.5cmの動物実験骨欠損範囲に応じるように、表16に示した式に従って、約0.9gのパテ重量を調製した
【表16】
【0302】
式A:滅菌状態で約50mgのβ-TCPpに160マイクロリットルの0.125mg/ml Hp溶液を滴下し、15分間吸着させた。
【0303】
式B:滅菌状態で約50mgのβ-TCPpに40マイクロリットルの0.5mg/ml Hp溶液を滴下し、15分間吸着させた。粉末及び液体(表16の式B)と予め調製したβ-TCPと一緒に混合して成形した。
【0304】
式C:粉末及び液体(表16の式C)を均一にに混合した。
【0305】
式D:滅菌状態で約50mgのβ-TCPpに40マイクロリットルの0. 25mg/ml Hp溶液を滴下し、15分間吸着させてHp/β-TCP顆粒を形成させた。粉末及び液体(表16の式D) を一緒に混合してマトリックスを形成し、マトリックスを特定の形状に成形した。Hp/β-TCP顆粒は、マトリックスの外層に均一に分散された。
【0306】
式E:滅菌状態で約50mgのβ-TCPpに40マイクロリットルの0.5mg/ml Hp溶液を滴下し、15分間吸着させてHp/β-TCP顆粒を形成させた。粉末及び液体(表16の式E) を一緒に混合してマトリックスを形成し、マトリックスを特定の形状に成形した。Hp/β-TCP顆粒は、マトリックスの外層に均一に分散された。
【0307】
式F:滅菌状態で約50mgのβ-TCPpに40マイクロリットルの0. 25mg/ml Hp溶液を滴下し、15分間吸着させてHp/β-TCP顆粒を形成させた。粉末及び液体(表16の式F) を一緒に混合してマトリックスを形成し、マトリックスを特定の形状に成形した。Hp/β-TCP顆粒は、マトリックスの外層に均一に分散された。
【0308】
式G:粉末及び液体(表16の式G)を均一にに混合した。
サンプルの調製
【0309】
表16に示した式パテを15mlの管に入れた。Hpに浸漬したβ-TCPを含み又は含まないパテを3mlのヒト血清中に置いて、37℃で5%CO
2下で静置した。放出したHpを含むヒト血清溶液を1時間、1日目、2日目、3日目、7日目、10日目、14日目、21日目の各時点で収集し、2500μlの新鮮なヒト血清に置換した。収集されたヒト血清を-80℃で保存し、1日以内にdirect ELISAアッセイですべてのサンプルを同時に分析した。
OIF定量
【0310】
ホモ二量体蛋白の総濃度を定量するために、インビトロ放出試験を採用した。ELISA法(米国inVentive Health臨床システムから得ったアッセイ)を用いてヒト血清中のホモ二量体蛋白の濃度を定量した。製造業者の指示に従って行った。簡潔に言えば、I07捕捉抗体(株式会社ファーマフーズ製)がコーティングした96ウェルプレートに、サンプル、QCサンプル、標準サンプルを添加した。インキュベーション及び未結合物質を除去後、HRP-I07検出抗体を添加した。この工程に続いて、さらなる洗浄工程及び基材とのインキュベーションを行った。色反応を停止させ、適切な波長で吸光度を測定した。ホモ二量体蛋白の濃度を、標準偏差の非線形回帰から算出した。
【0311】
目的は、ベタ-TCP又はパテなどの生体再吸収性骨伝導性複合体からのホモ二量体蛋白の放出を評価し、その骨再生の適合性を分析する。式Aから放出されたホモ二量体蛋白について、図
20に示すように、開始時の急激放出プロフィール及び急激放出(0-1時間程度)後の徐放性パターンが観察された。式Aと比較すると、式B及びCにおけるホモ二量体蛋白はパテ又はマトリックスで巻かれたため、開始時には放出できなっかた。これに対して、β-TCPに含まれるホモ二量体蛋白がパテ又はマトリックスの表面に分散した場合(例えば、式D)において、持続放出効果が達成された。パテは、骨再生を促進する能力を有する骨移植代用品であったことがわかった。パテの組成は、可塑性、硬化性、治癒を決定する。そのため、調製式の異なる割合、例えば、パテを調製するための硫酸カルシウム二水和物又は硫酸カルシウムの選択は、剤形の持続放出を達成することができる。
【0312】
骨代替材料の開発は、生体吸収性、骨伝導性、骨誘導性、及び生体適合性である材料に向かって傾向する。換言すれば、複合性骨欠損充填材料の開発の方向は、多機能性の材料である。設計されたパテにおいて、骨細胞の内部成長のために骨代替物中に細孔を生成することができ、且つ、材料分解の遅い過程において、破骨細胞の誘導及び骨細胞(osteocytes)の活性化のために、ホモ二量体蛋白の放出を長期間に亘ることもできる。そのため、骨欠損の治癒を効果的に促進することができる。
[実施例
14] 臨床試験デザイン
試験デザイン1
【0313】
骨移植を必要とする開放脛骨骨折の治療において、実施例6に従って製造した組換えポリペプチド(即ち、SEQ ID NO: 260)を有するホモ二量体蛋白(Hp)/ β-TCPの3つの投与レベルの有効性及び安全性について、ランダム化盲検評価比較試験行って調査する。約35人の初期開放脛骨骨折(Gustilo type IIIA 又はIIIB) 患者を該試験に参加させ、4つのグループと1つの対照グループ(約5人の患者)にランダムに分けた。各グループは、約10人の患者を含む(下記参照)。1つのバイアルには、5.5mgのホモ二量体蛋白の凍結乾燥した粉末を含む。水戻し(所望濃度を得るために使用した水の確かな量は、表17に記載された)後、水戻したホモ二量体蛋白とβ-TCPとを混合して、最終濃度が1.5 mg/g (グループ2)、2m g/g (グループ3)、又は3 mg/g (グループ4)であるHp/β-TCPを作成し、骨折が発生した後3ヶ月以内、所定量のこれらの混合物を骨折部位に与えた。対照グループ(グループ1)の患者は、ホモ二量体蛋白又はβ-TCPを欠いた自体骨移植片を受容する。有効性及び安全性のために、被験者に対して30週間の主要試験期間に経過観察し、また、安全性のために期間延長し、決定的治療後の52週間まで経過観察した。場合によって、使用するβ-TCPの総量は、医師の判定及び調整に基づいて決定する。
【表17】
患者の算入/除外基準
【0314】
以下の包含基準の全てが当てる場合には、被験者を算入する。
【0315】
被験者は20歳以上である;
【0316】
非出産可能、若しくは術前72時間の妊娠テストに陰性結果を有する女性、又は男性;
【0317】
初期開放脛骨骨折(Gustilo type IIIA又はIIIB)、且つ、骨折の3ヶ月以内の骨移植;
【0318】
両側開き脛骨骨折では、ランダム治療を右脛骨に指定する;
【0319】
初期傷害後3ヶ月以内に決定的治療を行う;また、
【0320】
出産可能な女性被験者(外科的に滅菌されていない、又は閉経となってから1年経っていない)及び男性被験者の出産可能な伴侶は、試験期間中に医学的に許容される避妊方法を使用することに同意しなければならない。医学的に許容される避妊方法は、ホルモンパッチ、移植若しくは注射型子宮内装置、又は二重バリア法(泡状又は膣殺精剤を有するコンドーム、殺精剤を有するダイアフラム)を含む。完全な禁欲は、許容可能な避妊方法と考えることができる。経口避妊薬は、研究の前に対して許容可能な避妊方法であるが、研究中には代替的な方法が必要とされる。
【0321】
以下の除外基準のいずれかが当てる場合には、被験者を除外する。
【0322】
初期の意識損失を有する頭部損傷;
【0323】
骨折からの膿排出、又は活性な骨髄炎の徴候;
【0324】
コンパートメント症候群;
【0325】
病理性骨折、ページェット病若しくは他の骨芽腫の病歴、又は異所性骨化症の病歴;
【0326】
骨形成に影響を及ぼす内分泌又は代謝障害(例えば、副甲状腺若しくは甲状腺機能の低下症若しくは亢進症、腎性骨異栄養症、エーラス・ダンロス症候群又は骨形成不全症) ;
【0327】
異常な腎臓及び/又は肝機能を有し、通常値の上限の5倍のクレアチニン又はALT値を有する;
【0328】
この5年以内に悪性腫瘍、放射線治療、又は任意の悪性腫瘍のための化学治療の病歴;
【0329】
自己免疫疾患(例えば、全身性エリテマトーデス又は皮膚筋炎);
【0330】
以前のrhBMP-2への暴露;
【0331】
モノクローナル抗体、ガンマグロブリンなどのタンパク質医薬品及びリン酸三カルシウムに対する過敏性;
【0332】
移植手術の28日以内にの任意の試験中治療法を用いた治療;
【0333】
7日間以上のプレドニゾン (6ヶ月以内の累積用量>150mg、又は等量の他のステロイド、Appendix 1参照)又はカルシトニン(6ヶ月以内)を用いた治療。ビスホスホネート(30日間以上、12ヶ月以内)を用いた治療、治療用量のフッ化物(12ヶ月以内に30日間);
【0334】
授乳期の女性被験者;及び
【0335】
医師の判断に基づいて、該試験の参加に適さない任意の状態。
有効性の評価
主要エンドポイント:
【0336】
主要試験有効性エンドポイントは、決定的な創傷閉鎖後30週間以内に二次介入を受けた被験者の割合。
副次エンドポイント:
【0337】
決定的な創傷閉鎖後術後6週間、12週間、18週間、24週間、42週間、52週間以内に二次介入を受けた被験者の割合;
【0338】
決定的な創傷閉鎖から二次介入までの時間;
【0339】
決定的な創傷閉鎖後術後6週間、12週間、18週間、24週間、30週間、42週間、52週間以内に臨床骨折治癒の速度;
【0340】
決定的な創傷閉鎖から臨床骨折治癒までの時間;
【0341】
決定的な創傷閉鎖後術後6週間、12週間、18週間、24週間、30週間、42週間、52週間以内に放射線的な治癒;
【0342】
決定的な創傷閉鎖から放射線的な治癒までの時間;
【0343】
「二次介入」という用語は、骨折治癒を刺激する可能性を有する手続き又は事件の発生を指す、これらに限定されるものではないが、骨移植、釘交換(exchange nailing)、プレート固定、ネイルダイナマイゼーション(nail dynamization)、超音波、電気刺激、磁場刺激、又は治癒を促進する他のことを含む。
【0344】
「臨床骨折治癒」という用語は、骨折部位に手動の触診の下で柔らかさ(tenderness)の欠如を意味する。場合によって、「臨床骨折治癒」という用語は、体重負荷の下で、骨折部位において疼痛の欠如又は軽度であること(疼痛スコア0-3)を意味する。疼痛を、視覚的アナログスケールを用いて記録した。
【0345】
「放射線的な治癒」という用語は、前後方向及び横方向の放射線写真のビューについて、試験者及び/又は独立の(independent)放射線科医により、4つの皮質において、3つの皮質に皮質ブリッジ及び/又は骨折線の消失が確認された状態を指す。
評価方法
安全性評価方法
【0346】
有害事象(Adverse effect、AE):タイプ、重症度、管理とアウトカム。
【0347】
系統的有害事象(Systematic AE): 因果関係を問わず、任意の系統的なサイン、症状、疾患、臨床試験結果、X線所見、又は治療後発生した若しくは悪化した生理的な所見。
【0348】
局部有害事象(Local AE):炎症、感染(軟組織若しくは骨において、疑似若しくは確認された表在性若しくは深部の感染、細菌学的確認を有するか又は有しない)、ハードウエア障害、疼痛(新規又は増加)、末梢浮腫、異所性骨化症/軟組織石灰化、及び創傷治癒に関連する合併症。
有効性評価方法
【0349】
主要よび副次有効性のアウトカムを、最大の解析対象集団(Full Analysis Set、FAS)及び治験実施計画書に適合した対象(Per Protocol、PP)集団に基づいて分析した。FAS集団おいて主要分析を行った。
【0350】
主要有効性エンドポイントは、決定的な創傷閉鎖後30週間以内に二次介入を受けた被験者の割合であった。FAS集団において、コクランアーミテージの傾向検定(Cochran-Armitage trend test)によって主要分析を行って、ホモ二量体蛋白投与量の増加に応答する線形傾向を示す。治験実施計画書に適合した対象集団において、主要有効性エンドポイントのために支持分析(supportive analysis)を行った。
【0351】
加えて、以下のように副次有効性のエンドポイントを分析又はサマライズする。
【0352】
コクランアーミテージの傾向検定によって、決定的な創傷閉鎖後30週間以内に臨床骨折治癒を有する被験者の割合と放射線的な治癒を有する被験者の割合を別々に比較し、ホモ二量体蛋白投与量の増加に応答する線形傾向を示す。
【0353】
決定的な創傷閉鎖から二次介入までの時間、決定的な創傷閉鎖から臨床骨折治癒までの時間、決定的な創傷閉鎖から放射線的な治癒までの時間の評価を、記述統計(平均、SD).使用して、グループごとに別々にサマライズした。
【0354】
決定的な創傷閉鎖後術後6週間、12週間、18週間、24週間、42週間、52週間以内に二次介入を受けた被験者の割合、臨床骨折治癒であった被験者の割合、放射線的な治癒であった被験者の割合を記述統計(n、%).使用して、グループごとに別々にサマライズした。適用可能の場合は、single binomial proportion のために、Clopper-Pearson正確信頼区間(CI)に基づいて、各グループの95%CIを計算した。
試験デザイン2
【0355】
腰部椎体間融合のための後方開放アプローチを使用する単一レベル(L1-S1の間)の変性椎間板疾患(DDD)患者において、実施例6に従って製造した組換えポリペプチド(即ち、SEQ ID NO: 260)を有するホモ二量体蛋白(Hp)/ β-TCPの3つの投与レベルと、ケージ及び後方追加固定と組み合わせて、その有効性及び安全性について評価するランダム化盲検評価比較試験。24人の被験者を4つのグループ(1つの対照グループと3つの異なる投与量のグループ)にランダムに分けた(1:1:1:1)。各グループの治療のための臨床試験調査装置は以下の通りである。
【0356】
対照グループ(6人の被験者): 標準治療(ケージを有する腰部椎体間融合のための後方開放アプローチ)及び自体骨移植片移植(β-TCP有し又はない)。
【0357】
1mg Hp/部位(6人の被験者): 標準治療及び部位当たり1mgのホモ二量体蛋白
【0358】
2mg Hp/部位(6人の被験者): 標準治療及び部位当たり2mgのホモ二量体蛋白
【0359】
3mg Hp/部位(6人の被験者): 標準治療及び部位当たり3mgのホモ二量体蛋白
【0360】
ホモ二量体蛋白として、注射用水と共に5.5 mgのHp/バイアル凍結乾燥粉末を供給する。水戻し後、最終濃度が1mg、2mg、3mgHp/部位になるようにホモ二量体蛋白とβ-TCPとを混合した。ケージの中に、使用したケージの大きさによって決定した所定量の混合物を与えた。
【0361】
ホモ二量体蛋白を、3つの異なる濃度の保存溶液となるように水戻し(所望濃度を得るために使用した水の確かな量は、表18に記載された)。ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ケージウィルコム、xxxシリーズ)において、必要とされた0.24mlの各保存溶液とブロックβ-TCPとを混合した。
【0362】
DDD部位に与えたホモ二量体蛋白の最終濃度は1.0; 2.0;3.0 mg Hp/部位であった。
【0363】
ホモ二量体蛋白の保存溶液: 5.5(mg) /1.32 (ml) = 4.2 (mg/ml)
【0364】
ホモ二量体蛋白の最終濃度(mg)/部位: 4.2 (mg/ml) ×0.24 (ml) = 1.0 mg
【表18】
【0365】
自対移植片の供給源は、後上腸骨棘(PSIS)又は後椎弓切除から得った骨の破片(bone chips)とすることができる。自体移植片の量が不十分の場合は、自体移植片とβ-TCPと混合することができる。局所移植及び後方追加固定に伴った片側又は両側の後側融合(1側又は2側とすることができる)は、試験者の判断に基づいて全てのグループに使用することができる。術前に静脈内バンコマイシン(毎6時間に500mg) を与えて、且つ3日間連続で与えた。
【0366】
有効性及び安全性のために、被験者に対して24週間の主要試験期間に経過観察し、また、安全性のために期間を延長して、指標手術後の24月間まで経過観察した。場合によって、臨床試験者及び独立評価者は、試験中の放射線撮影結果を評価することにより、有効性を評価する。
算入基準
【0367】
以下の包含基準の全てが当てる場合には、被験者を算入する。
【0368】
被験者は20歳以上である;
【0369】
足若しくは臀部に広まる痛み、感覚異常、麻痺、虚弱、又は神経性跛行の病歴によって現れた、(神経根圧迫続発にする神経障害が有し又はなくて)椎間板由来源の背中の痛みによって注意れたL1-S1の単一レベルDDD。
【0370】
椎間板高さの減少、髄核ヘルニア(herniated nucleus pulposus)、黄色靱帯(ligamentum flavum)の肥大化又は肥厚化、線維輪(annulus fibrosis)、面関節嚢(facet joint capsule)、肥大した面関節、面関節間隔狭窄、関節周囲骨増殖体(facet periarticular osteophyte)形成、レフォイル管形状(trefoil canal shape)、又は外側陥凹部(subarticular) 狭窄、脊椎端板骨増殖体(vertebral endplate osteophyte) 形成などの重症変性腰仙部疾患のx線像証拠を有し、且つ
【0371】
下側(尾側) 椎体の前又は後の上側(頭部) 椎体のセジタル面並進(ずれ)が4mmよりも大きく、若しくは角度が10°よりも大きく、又は、下側(尾側) 椎体の前又は後の上側(頭部) 椎体のコロナル面並進(ずれ)が4mmよりも大きく、又は腰部脊柱管及び/又は椎間孔の狭窄(狭窄症)について、少なくとも1つを有する。
【0372】
少なくとも6ヶ月以上、非手術的な治療に非応答性;
【0373】
非出産可能、若しくは術前72時間の妊娠テストに陰性結果を有する女性、又は男性;
【0374】
出産可能な女性被験者(外科的に滅菌されていない、又は閉経となってから1年経っていない)及び男性被験者の出産可能な伴侶は、試験期間中に医学的に許容される避妊方法を使用することに同意しなければならない。医学的に許容される避妊方法は、ホルモンパッチ、移植若しくは注射型子宮内装置、又は二重バリア法(泡状又は膣殺精剤を有するコンドーム、殺精剤を有するダイアフラム)を含む。完全な禁欲は、許容可能な避妊方法と考えることができる。経口避妊薬は、研究の前に対して許容可能な避妊方法であるが、研究中には代替的な方法が必要とされる;
【0375】
女性であれば、授乳していない被験者;
【0376】
研究関連の任意の手順に参加する前に、署名された同意説明文書(ICF)の提供に同意し、且つ試験の期間の研究要件に適格する。
除外基準
【0377】
以下の除外基準のいずれかが当てる場合には、被験者を除外する:
【0378】
グレード1を超えた脊椎すべり症(Meyerdingの分類、付録1に参照);
【0379】
関連するレベルにおける脊椎器具の移植若しくは椎体間融合術の病歴、又は椎弓根スクリューが挿入したレベルにおける椎体骨折;
【0380】
確立された骨軟化症;
【0381】
過去5年間における活性悪性腫瘍又は以前の悪性腫瘍履歴(皮膚基底細胞癌及び子宮頸上皮癌を除く);
【0382】
活性局所又は全身感染;
【0383】
全般的な肥満; BMI≧30として定義する;
【0384】
> 38℃の発熱;
【0385】
精神的に機能不全。疑わしい場合は、精神医学的な調査を得る;
【0386】
機能がない行動(Inorganic Behavior)のWaddell Signs≧3(Appendix2参照)
【0387】
アルコール及び/又は薬物の乱用に対する現行治療中に定義したアルコール及び/又は薬物の乱用。アルコール乱用は、人の健康、個人間の関係、又は作業する能力に危害する飲用パターンである。
【0388】
自己免疫疾患(例えば、全身性エリテマトーデス又は皮膚筋炎);
【0389】
モノクローナル抗体、ガンマグロブリンなどのタンパク質医薬品に対する過敏性;
【0390】
以前のrhBMP-2への暴露;
【0391】
骨形成に影響を及ぼす内分泌又は代謝障害(例えば、副甲状腺若しくは甲状腺機能の低下症若しくは亢進症、腎性骨異栄養症、エーラス・ダンロス症候群又は骨形成不全症) ;
【0392】
7日間以上のプレドニゾン (6ヶ月以内の累積用量>150mg、又は等量の他のステロイド、Appendix3参照)又はカルシトニン(6ヶ月以内)を用いた治療。ビスホスホネート(30日間以上、12ヶ月以内)を用いた治療、治療用量のフッ化物(12ヶ月以内に30日間)、及び所定治療の移植前の30日以内に抗悪性腫瘍、免疫刺激性、免疫抑制薬剤の使用。
【0393】
移植手術の28日以内にの任意の試験中治療法を用いた治療;
【0394】
30度を超えた脊柱側弯症
【0395】
有意なCNS、心臓血管の、肝臓の、腎臓の、代謝の、胃腸の、泌尿器科の、内分泌の、若しくは血液学的疾患の病歴又は臨床症状を有する被験者;
【0396】
脱力(motor weakness)、感覚脱失などのこの研究における治療の安全性及び有効性の正確な臨床評価を妨げる医学疾患又は状態、又は通常の歩行若しくは日常生活における他の活動を妨げる痛み状態。
【0397】
異常な腎臓及び/又は肝機能を有し、通常値の上限の5倍のクレアチニン、ALT、AST値を有する;
【0398】
記録したPEEKに対するアレルギー又は不耐性;
【0399】
バンコマイシンに対する過敏症又はアレルギーの病歴;
【0400】
医師の判断に基づいて、該試験の参加に適さない任意の状態。
予定試験継続期間
【0401】
スクリーニング期間:14日間。被験者がICFに署名していることを確認し、研究に適格であるかどうかを評価する。該評価は、身体検査、生命徴候、心電図、血液若しくは尿妊娠検査、実験検査、術前臨床、及び放射線学評価を含む。人口統計学、医療履歴、併用医薬、有害事象象のデータを収集することが必要である。
【0402】
治療期間:1日。被験者が試験に適格であるかどうかを確認し、ベースラインサンプル/データを取得し、試験産物を投与する。該評価は、身体検査、生命徴候、及び放射線学評価を含む。手術情報、併用医薬、有害事象象のデータを収集することが必要である。
【0403】
経過観察期間: 24週間の主要試験期間、及び延長安全性経過観察として移植後の24月間まで被験者を経過観察した。治療後の6週目、12週目、18週目、24週目、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月に評価を行う。該評価は、併用治療、身体検査、試験評価、生命徴候、放射線検査(前/後及び側面視、屈曲/伸展フィルム)。24週目及び24ヶ月に高解像度薄切りCTスキャン(アクシャル、コロナル及びセジタル再建における1mmの指数を有する1mmスライス) を行う。
主要エンドポイント:
【0404】
主要試験有効性エンドポイントは、術後24週間に融合成功を有する被験者の割合。
副次エンドポイント:
【0405】
術後12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月に融合成功を有する被験者の割合。
【0406】
ベースラインから放射線的な融合までの時間。
【0407】
術後24週間、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月に追加的な外科手続き/介入を有する被験者の割合;手術時間(皮膚切開から創傷閉鎖まで)、失血(手術中)、病院滞在を記録する。
【0408】
術後24週間、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月のオスウェストリー障害指数(Oswestry Disability Index、ODI、Appendix4参照)における成功率; 患者の背部の機能を分析するためにODI質問事項を使用した。ODIスコアの範囲は0-100であった。最良スコアは0(障害無し)であり、最悪は100(最大障害)である。ODIの成功率は、ODIスコアが「術前スコア-術後スコア≧15」に満たされた被験者の百分率として報告される。
【0409】
術後24週間、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月の視覚的アナログスケール(VAS、Appendix5参照)における改善の成功率。背部の痛みの成功率は、背部の痛みおける改善が「術前スコア-術後スコア>0」に満たされた被験者の百分率として報告される。下肢痛における成功率は、下肢痛における改善が「術前スコア-術後スコア>0」に満たされた被験者の百分率として報告される。
有効性評価方法
【0410】
主要よび副次有効性のアウトカムを、最大の解析対象集団(Full Analysis Set、FAS)及び治験実施計画書に適合した対象(Per Protocol、PP)集団に基づいて分析した。FAS集団おいて主要分析を行った。
【0411】
主要試験有効性エンドポイントは、術後24週間に融合成功を有する被験者の割合。FAS集団において、コクランアーミテージの傾向検定によって主要分析を行って、ホモ二量体蛋白投与量の増加に応答する線形傾向を示す。主要有効性エンドポイントのために支持分析(supportive analysis)を行った。
【0412】
加えて、以下のように副次有効性のエンドポイントを分析又はサマライズする。
【0413】
コクランアーミテージの傾向検定によって、術後12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月に融合成功を有する被験者の割合と術後24週間、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月に追加的な外科手続き/介入を有する被験者の割合を別々に比較し、ホモ二量体蛋白投与量の増加に応答する線形傾向を示す。
【0414】
ベースラインから放射線的な融合までの時間を評価し、記述統計(平均、SD)を使用して、グループごとに別々にサマライズした。
【0415】
手術時間(皮膚切開から創傷閉鎖まで)、失血(手術中)、病院滞在を評価し、記述統計(平均、SD)を使用して、腕ごとに別々にサマライズした。
【0416】
術後24週間、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月のODIの成功率及び術後24週間、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月のVASの成功率を、記述統計(n、%)を使用して、腕ごとに別々にサマライズした。適用可能の場合は、single binomial proportion のために、Clopper-Pearson正確信頼区間(CI)に基づいて、各グループの95%CIを計算した。
【0417】
本開示は、本明細書に記載された特定の実施形態によって範囲が限定されるべきものではない。実際、当業者にとって、以上の説明及び添付図面により、記載されたものに加えて開示に対する様々な修正は明らかである。そのような修正は、添付の特許請求の範囲内に該当する。
【0418】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内であること。