特許第6629576号(P6629576)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6629576
(24)【登録日】2019年12月13日
(45)【発行日】2020年1月15日
(54)【発明の名称】シェード装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/00 20060101AFI20200106BHJP
   E06B 9/66 20060101ALI20200106BHJP
   E06B 9/42 20060101ALI20200106BHJP
【FI】
   B60J3/00 H
   E06B9/66
   E06B9/42 B
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-229072(P2015-229072)
(22)【出願日】2015年11月24日
(65)【公開番号】特開2017-94934(P2017-94934A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年10月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 純一
(72)【発明者】
【氏名】棚倉 誠貴
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−274172(JP,A)
【文献】 独国特許発明第102005042832(DE,B3)
【文献】 特開昭61−211565(JP,A)
【文献】 実開昭52−083758(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/00
E06B 9/42
9/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓を遮蔽するスクリーンと、
前記スクリーンの基端が取り付けられて前記スクリーンを巻き取る巻取シャフト、前記巻取シャフトを回転可能に支持して前記スクリーンを収容するケース、及び、前記スクリーンを巻き取る方向と前記スクリーンを展開させる方向とに前記巻取シャフトを回転させる駆動手段を有する巻取装置と、
前記スクリーンに取り付けられて前記巻取シャフトに前記スクリーンとともに巻き取られ、前記巻取シャフトから前記スクリーンとともに展開して前記スクリーンを展開状態に保持する自立可能な保持手段と、
を備えたシェード装置であって、
前記保持手段は、それぞれの長さ方向への伸張状態で並置されて前記スクリーンを保持し、それぞれの幅方向において平らな形状で前記巻取シャフトに巻き取られた巻取状態で前記ケースに収容される第1保持部材と第2保持部材を有し、
前記第1保持部材は、前記巻取状態から前記伸張状態に復元する弾性を有し、幅方向において弧状に湾曲して前記伸張状態を維持し、
前記第2保持部材は、前記伸張状態から前記巻取状態に復元する弾性を有する定荷重ばねからなり、幅方向において弧状に湾曲して前記伸張状態を維持するとともに、弧状に湾曲した凸状の湾曲面側に変形して、その弾性により前記巻取状態に復元し、
前記第1保持部材と前記第2保持部材は、前記伸張状態で互いに反対方向に湾曲し、平らな形状で重なる状態で前記巻取シャフトに巻き取られるシェード装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたシェード装置において、
前記第1保持部材と前記第2保持部材は、前記伸張状態で、弧状に湾曲した凹状の湾曲面を対向させて配置されるシェード装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたシェード装置において、
前記スクリーンが前記ケースに収容された状態で、前記スクリーンの先端が、前記巻取シャフトに巻き取られず、前記第1保持部材の先端と前記第2保持部材の先端が、それぞれの幅方向において弧状に湾曲するシェード装置。
【請求項4】
請求項3に記載されたシェード装置において、
前記第1保持部材の先端と前記第2保持部材の先端を、それぞれの幅方向において弧状に湾曲する形状に保持する保形部材を備えたシェード装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンにより窓を遮蔽するシェード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シェード装置のスクリーンは、一般に、ケース内の巻取シャフトに巻き取られて、ケースに収容される。シェード装置は、スクリーンを巻取シャフトから窓に沿って展開し、保持手段によりスクリーンを展開状態に保持して、スクリーンにより窓を遮蔽する。シェード装置の保持手段は、スクリーンに取り付けられて、例えば、スクリーンの巻取時と展開時に、駆動装置により駆動される。また、従来、自立可能な支持部材(保持手段)によりシート(スクリーン)を展開状態に保持し、支持部材をシートとともに巻取部材(巻取シャフト)に巻き取るブラインド装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された従来のブライド装置では、支持部材は、湾曲した断面形状を有する帯状板であり、巻取部材に巻き取られる際に弾性変形する。また、複数の帯状板を同じ方向に湾曲する状態で重ね合わせて、支持部材によるシートの保持力を高くする。ところが、複数の帯状板を重ね合わせると、支持部材が弾性変形し難くなり、支持部材の巻き取りとケースへの収容が困難になる。
【0004】
また、支持部材を巻取部材に巻き取ったときに、支持部材を広げる力(復元力)が大きくなり、シートが、支持部材により、ケースの内面、又は、ケースの出入口のエッジに強く押し付けられる。これに伴い、シートの巻取時と展開時に、シートの摩耗、又は、損傷が生じ易くなる。これに対し、巻取部材に巻き取られた支持部材の直径を大きくすることで、支持部材を広げる力が緩和される。しかしながら、支持部材の直径に対応して、ケースが大きくなり、ブラインド装置の設置に要するスペースが大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−274172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、シェード装置の保持手段によるスクリーンの保持力を高くし、かつ、スクリーンと保持手段を収容するケースを大きくせずに、ケース内の巻取シャフトに保持手段をスクリーンとともに容易に巻き取ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、窓を遮蔽するスクリーンと、前記スクリーンの基端が取り付けられて前記スクリーンを巻き取る巻取シャフト、前記巻取シャフトを回転可能に支持して前記スクリーンを収容するケース、及び、前記スクリーンを巻き取る方向と前記スクリーンを展開させる方向とに前記巻取シャフトを回転させる駆動手段を有する巻取装置と、前記スクリーンに取り付けられて前記巻取シャフトに前記スクリーンとともに巻き取られ、前記巻取シャフトから前記スクリーンとともに展開して前記スクリーンを展開状態に保持する自立可能な保持手段と、を備えたシェード装置である。前記保持手段は、それぞれの長さ方向への伸張状態で並置されて前記スクリーンを保持し、それぞれの幅方向において平らな形状で前記巻取シャフトに巻き取られた巻取状態で前記ケースに収容される第1保持部材と第2保持部材を有する。前記第1保持部材は、前記巻取状態から前記伸張状態に復元する弾性を有し、幅方向において弧状に湾曲して前記伸張状態を維持する。前記第2保持部材は、前記伸張状態から前記巻取状態に復元する弾性を有する定荷重ばねからなり、幅方向において弧状に湾曲して前記伸張状態を維持するとともに、弧状に湾曲した凸状の湾曲面側に変形して、その弾性により前記巻取状態に復元する。前記第1保持部材と前記第2保持部材は、前記伸張状態で互いに反対方向に湾曲し、平らな形状で重なる状態で前記巻取シャフトに巻き取られる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シェード装置の保持手段によるスクリーンの保持力を高くすることができ、かつ、スクリーンと保持手段を収容するケースを大きくせずに、ケース内の巻取シャフトに保持手段をスクリーンとともに容易に巻き取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態のシェード装置の斜視図である。
図2】本実施形態のシェード装置の正面図である。
図3】本実施形態のシェード装置の正面図である。
図4】分解されたシェード装置の斜視図である。
図5】分解されたスクリーンと保持手段の斜視図である。
図6】巻取シャフトに巻き取られる第1保持部材と第2保持部材を示す斜視図である。
図7図6に示す第1保持部材と第2保持部材の斜視図である。
図8】スクリーンに取り付けられた第1保持部材と第2保持部材の断面図である。
図9】本実施形態のシェード装置の動作を示す断面図である。
図10】他の実施形態のシェード装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のシェード装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態のシェード装置は、窓を遮蔽可能なスクリーン装置であり、窓の全部又は一部を遮蔽する。例えば、シェード装置は、車両の窓に設置されて、車両内でスクリーンにより窓を遮蔽及び開放する。
【0011】
図1は、本実施形態のシェード装置1の斜視図であり、窓を遮蔽するシェード装置1を示している。図2図3は、本実施形態のシェード装置1の正面図であり、窓2に設置されたシェード装置1を示している。図2は、窓2を開放したシェード装置1を示し、図3は、窓2を遮蔽したシェード装置1を示している。
図示のように、シェード装置1は、窓2を遮蔽するスクリーン10と、スクリーン10を保持する2つの保持手段20と、スクリーン10を巻き取る巻取装置30を備えている。
【0012】
スクリーン10は、巻取可能な遮蔽部材であり、窓2の形状に対応した形状(ここでは、矩形状)に形成されている。窓2の遮蔽時に、スクリーン10は、巻取装置30により、巻取装置30から繰り出されて、展開方向Tに展開する。スクリーン10が窓2に沿って展開して、窓2がスクリーン10により覆われる。窓2の開放時には、スクリーン10は、巻取装置30により、展開方向Tの反対方向(巻取方向M)に巻き取られて、巻取装置30内に収容される。
【0013】
スクリーン10は、展開方向Tの先端11に設けられたステイ40を有する。ステイ40は、スクリーン10の先端11の全体を保持して、スクリーン10とともに展開方向Tと巻取方向Mに移動する。ここでは、展開方向Tは、上方向であり、巻取方向Mは、下方向である。また、スクリーン10の先端11は、スクリーン10の上端であり、ステイ40は、スクリーン10の上端に設けられたアッパーステイである。
【0014】
保持手段20は、自立可能な帯状の保持体であり、スクリーン10の両側縁12に取り付けられている。スクリーン10の両側縁12のそれぞれで、保持手段20は、スクリーン10の展開方向Tに沿ってスクリーン10に取り付けられて、スクリーン10の側縁12を保持する。ステイ40の両端が2つの保持手段20の先端21に連結されて、ステイ40が2つの保持手段20の先端21の間に架け渡される。スクリーン10の展開時に、スクリーン10は、2つの保持手段20の間に展開状態に保持されるとともに、保持手段20と先端11のステイ40により、窓2に沿って広げられた状態に保持される。
【0015】
窓2の開放時には、スクリーン10と保持手段20が巻取装置30により巻き取られて、保持手段20が巻取状態(巻取形状)で巻取装置30内に収容される。窓2の遮蔽時には、スクリーン10と保持手段20が巻取装置30から展開して、保持手段20が長さ方向に伸びる伸張状態(伸張形状)になる。保持手段20は、スクリーン10とともに展開方向Tに展開して、展開途中及び展開後のスクリーン10を保持する。その際、保持手段20とスクリーン10が巻取装置30から繰り出されて、保持手段20が窓2に沿って展開する。また、保持手段20は、スクリーン10の先端11のステイ40を移動させて、スクリーン10を展開させる。スクリーン10は、保持手段20により展開状態に保持されて、窓2を遮蔽する。
【0016】
図4は、分解されたシェード装置1の斜視図であり、主に、分解された巻取装置30の各部を示している。
図示のように、巻取装置30は、スクリーン10を巻き取る巻取シャフト31と、スクリーン10を収容する筒状のケース50と、巻取シャフト31を回転させる駆動手段60を有する。巻取シャフト31は、円筒状の巻取部材であり、長さ方向の両端に固定されたベアリング32を有する。スクリーン10の基端13が巻取シャフト31に取り付けられて、スクリーン10が基端13から先端11に向かって巻取シャフト31の外周33に巻き取られる。
【0017】
ここでは、取付孔34が、2つの保持手段20の基端22、及び、スクリーン10の基端13(基端22が位置する2箇所)に形成されている。また、取付部材であるネジ35が、取付孔34を通して、ベアリング32のネジ孔36に取り付けられている。スクリーン10の基端13と保持手段20の基端22がネジ35により巻取シャフト31に取り付けられ、スクリーン10と保持手段20が一体に巻取シャフト31に巻き取られる。
【0018】
ケース50は、メインケース51と、メインケース51の両端に取り付けられた2つのサイドケース(第1サイドケース52、第2サイドケース53)と、第2サイドケース53に取り付けられたギアホルダ54と、出入口55を有する。巻取シャフト31がケース50内に収容されて、巻取シャフト31のベアリング32が第1サイドケース52とギアホルダ54に連結される。
【0019】
巻取シャフト31がケース50により回転可能に支持されて、回転する巻取シャフト31にスクリーン10と保持手段20が巻き取られる。スクリーン10と保持手段20は、出入口55を通って、ケース50の内部と外部とに移動する。スクリーン10がケース50に収容された状態で、ステイ40は、ケース50の出入口55に配置される。スクリーン10の展開時に、保持手段20は、巻取シャフト31とケース50により支持されて自立する。
【0020】
駆動手段60は、スクリーン10の巻取時と展開時に巻取シャフト31を回転させる回転駆動装置であり、例えば、操作スイッチの操作により起動して、巻取シャフト31を回転駆動する。駆動手段60により、巻取シャフト31が、スクリーン10を巻き取る方向(第1回転方向)に回転して、スクリーン10と保持手段20が、巻取シャフト31に巻き取られる。保持手段20は、巻取シャフト31にスクリーン10とともに巻き取られて、ケース50に収容される。また、駆動手段60により、巻取シャフト31が、スクリーン10を展開させる方向(第2回転方向)に回転して、スクリーン10と保持手段20が、巻取シャフト31から繰り出されて展開する。保持手段20は、巻取シャフト31からスクリーン10とともに展開して、スクリーン10を展開状態に保持する。
【0021】
駆動手段60は、ギアホルダ54に固定されるギアボックス61と、ギアボックス61を覆うギアボックスカバー62と、ギアボックス61に取り付けられたモータ63と、ギア伝動機構64を有する。モータ63は、回転の動力源(ここでは、電動モータ)であり、ギア伝動機構64に連結されている。駆動手段60は、ギア伝動機構64により、モータ63の回転の動力を巻取シャフト31に伝達して、巻取シャフト31を両方向に回転させる。ギア伝動機構64は、減速機であり、ギアボックス61とギアボックスカバー62の内部空間で回転するウォーム65、第1伝達ギア66、及び、第2伝達ギア67を有する。ウォーム65は、モータ63に連結されて、モータ63により回転する。
【0022】
シャフト68A、68Bが、ギアボックス61とギアボックスカバー62により支持されて、それぞれ第1伝達ギア66と第2伝達ギア67を回転可能に支持する。第1伝達ギア66の一部は、ウォーム65に噛み合うウォームホイールであり、ウォーム65と第1伝達ギア66は、ウォームギア69を構成する。第1伝達ギア66は、第2伝達ギア67に噛み合う噛合ギアを有し、第2伝達ギア67は、シャフト68Bにより巻取シャフト31に連結される。モータ63が回転すると、ウォーム65、第1伝達ギア66、及び、第2伝達ギア67が回転して、巻取シャフト31が第2伝達ギア67とともに回転する。
【0023】
駆動手段60は、ギア伝動機構64のウォームギア69を用いて、モータ63の回転を減速して巻取シャフト31に伝達して、巻取シャフト31を回転させる。モータ63が停止した状態では、ウォームギア69のセルフロックにより、巻取シャフト31の回転が阻止される。そのため、スクリーン10の展開後に、スクリーン10が展開状態に維持され、スクリーン10のケース50への収容後に、スクリーン10が収容状態に維持される。
【0024】
図5は、分解されたスクリーン10と保持手段20の斜視図である。
図示のように、ステイ40は、2つの帯状の装着部材(第1装着部材41、第2装着部材42)と、1つ又は複数(ここでは、2つ)の回転可能なローラ43と、ネジ44を有する。スクリーン10の本体である遮蔽シート14が第1装着部材41と第2装着部材42の間に挟まれて、第1装着部材41と第2装着部材42がネジ44により遮蔽シート14に装着される。取付孔15が、スクリーン10の先端11と第1装着部材41に形成されており、ネジ44が、取付孔15を通して、第2装着部材42のネジ孔45に取り付けられる。ローラ43は、スクリーン10の展開時と巻取時に窓2に接触して、ステイ40の移動に伴い窓2を転動する。
【0025】
保持手段20は、スクリーン10の側縁12に配置されてスクリーン10に取り付けられた第1保持部材70と第2保持部材80を有する。第1保持部材70と第2保持部材80は、弾性変形可能な帯状部材であり、長細い板状をなす。ここでは、第1保持部材70と第2保持部材80の長さ方向は、スクリーン10の展開方向Tに一致し、第1保持部材70と第2保持部材80は、スクリーン10の展開方向Tに沿って配置される。第2保持部材80が第1保持部材70の窓2側に配置されて、第1保持部材70と第2保持部材80が重なるように配置される。
【0026】
第1保持部材70の基端71と第2保持部材80の基端81には、取付孔34が形成されている。取付孔34内のネジ35(図4参照)により、第1保持部材70の基端71と第2保持部材80の基端81が巻取シャフト31に取り付けられる。スクリーン10の巻取時に、第1保持部材70と第2保持部材80は、スクリーン10とともに巻取シャフト31に巻き取られて、巻取シャフト31に巻き取られた巻取状態(巻取形状)でケース50に収容される。スクリーン10の展開時に、第1保持部材70と第2保持部材80は、巻取シャフト31から繰り出されて展開し、巻取状態から、それぞれの長さ方向に伸びる伸張状態(伸張形状)に変形する。第1保持部材70と第2保持部材80は、伸張状態で並置されて、伸張状態に維持され、スクリーン10を展開状態に保持する。
【0027】
図6は、巻取シャフト31に巻き取られる第1保持部材70と第2保持部材80を示す斜視図であり、巻取初期の第1保持部材70と第2保持部材80の一部を示している。また、図6では、巻取装置30を切断して、ケース50内の巻取シャフト31を示している。図7は、図6に示す第1保持部材70と第2保持部材80の斜視図であり、分離させた第1保持部材70と第2保持部材80を示している。
【0028】
図示のように、第1保持部材70と第2保持部材80の長さ方向に直交する幅方向において、伸張状態の第1保持部材70と第2保持部材80の断面形状は、弧状の湾曲形状になっている。そのため、第1保持部材70は、弧状に湾曲した2つの湾曲面72、73を有し、第2保持部材80は、弧状に湾曲した2つの湾曲面82、83を有する。一方の湾曲面72、82は、凹状の湾曲面(凹曲面)であり、他方の湾曲面73、83は、凸状の湾曲面(凸曲面)である。
【0029】
伸張状態の第1保持部材70と第2保持部材80は、互いに反対方向に湾曲した状態に配置される。即ち、第1保持部材70と第2保持部材80の凹状の湾曲面72、82が反対方向に向けて配置されて、第1保持部材70と第2保持部材80が伸張状態で互いに反対方向に湾曲する。ここでは、第1保持部材70と第2保持部材80は、伸張状態で、凹状の湾曲面72、82を対向させて配置されて、湾曲面72、82の間に隙間23を形成する。また、伸張状態で、第1保持部材70と第2保持部材80は、互いの両側縁を接触させて、筒状に配置される。
【0030】
第1保持部材70は、巻取状態から伸張状態に復元する弾性を有し、幅方向において弧状に湾曲して伸張状態を維持する。巻取シャフト31からの展開時に、第1保持部材70は、その弾性による弾性力(復元力)により、巻取状態から伸張状態に復元する。また、第1保持部材70は、幅方向において弧状に湾曲する弾性を有する。巻取シャフト31からの展開時に、第1保持部材70は、巻取状態から伸張状態に復元するとともに、その弾性による弾性力により、幅方向において弧状に湾曲する形状に変形する。これにより、第1保持部材70が伸張状態を維持する。幅方向の湾曲により、第1保持部材70は、凹状の湾曲面72側に比べて、凸状の湾曲面73側に変形し難くなっている。巻取シャフト31への巻取時に、第1保持部材70は、凹状の湾曲面72側に弾性変形されるとともに、幅方向において平らな形状に弾性変形されつつ、巻取シャフト31に巻き取られる。
【0031】
第2保持部材80は、伸張状態から巻取状態に復元する弾性を有する定荷重ばねからなる。そのため、第2保持部材80は、定荷重ばねの機能を有し、一定の荷重で巻取シャフト31から繰り出され、一定の荷重で他の部材を引っ張りつつ巻取シャフト31に巻き取られる。巻取シャフト31への巻取時に、第2保持部材80は、その弾性による弾性力(復元力)により、伸張状態から巻取状態に復元して、巻取状態に維持される。巻取状態で、第2保持部材80は、幅方向において平らな形状に弾性変形されている。
【0032】
また、第2保持部材80は、幅方向において弧状に湾曲する弾性を有する。巻取シャフト31からの展開時に、第2保持部材80は、巻取状態から伸張状態に弾性変形されるとともに、その弾性による弾性力により、幅方向において弧状に湾曲した形状に変形する。これにより、第2保持部材80が伸張状態を維持する。幅方向の湾曲により、第2保持部材80の弾性力に対する抵抗力が高くなり、第2保持部材80の巻取状態への復元が阻止される。第2保持部材80は、弾性力に抗して、伸張状態に維持される。このように、第2保持部材80は、幅方向において弧状に湾曲して伸張状態を維持する。伸張状態の第2保持部材80は、凹状の湾曲面82側に比べて、凸状の湾曲面83側に変形し易く、湾曲面83側に変形して復元する。
【0033】
巻取シャフト31への巻取時に、第2保持部材80は、幅方向において平らな形状に弾性変形されるとともに、凸状の湾曲面83側に変形して、巻取シャフト31に巻き取られる。これにより、第2保持部材80が伸張状態から巻取状態に復元する。第1保持部材70と第2保持部材80は、幅方向において平らな形状に弾性変形されて、重なる状態で巻取シャフト31に巻き取られる。その際、第2保持部材80の外周に第1保持部材70が重なり、第1保持部材70と第2保持部材80が径方向外側に向かって順に重なるように巻取シャフト31に巻き取られる。
【0034】
第1保持部材70は、第2保持部材80より長く(図5参照)、先端74に取付孔15を有する。取付孔15内のネジ44により、第1保持部材70の先端74は、スクリーン10の先端11及びステイ40に取り付けられる。これに対し、第2保持部材80の先端84は、スクリーン10の先端11、ステイ40、及び、第1保持部材70の先端74に取り付けられず、第1保持部材70の先端74に対して第1保持部材70の長さ方向に変位可能である。第1保持部材70と第2保持部材80が重なる状態で巻取シャフト31に巻き取られるときには、第1保持部材70の巻取量と第2保持部材80の巻取量の間に差が生じる。巻取量の差に対応して、第2保持部材80の先端84が第1保持部材70の先端74に対して変位する。これにより、第1保持部材70と第2保持部材80が巻取シャフト31に円滑に巻き取られる。
【0035】
図8は、スクリーン10に取り付けられた第1保持部材70と第2保持部材80の断面図であり、幅方向に切断した第1保持部材70と第2保持部材80を示している。また、図8Aは、図4のX1−X1線における断面図であり、図8Bは、図4のX2−X2線における断面図である。
図示のように、スクリーン10は、側縁12に筒状の収容部16を有する。第1保持部材70と第2保持部材80は、収容部16に収容されて、収容部16の内面に接触する。収容部16内で、第1保持部材70と第2保持部材80は、対向して配置されて、互いの両側縁を接触させる。これにより、第1保持部材70と第2保持部材80は、互いに力を作用させる状態で、スクリーン10に取り付けられる。
【0036】
シェード装置1は、第1保持部材70の先端74と第2保持部材80の先端84の形状を保持する保形部材24(図8B参照)を備えている。保形部材24は、スクリーン10の先端11及びステイ40に取り付けられて、先端74、84の間の隙間23に配置される。保形部材24により、先端74、84は、それぞれの幅方向において弧状に湾曲する形状に保持されるとともに、伸張状態に保持される。スクリーン10がケース50に収容された状態では、先端74、84とスクリーン10の先端11は、巻取シャフト31に巻き取られない。そのため、先端74、84は、それぞれの幅方向において弧状に湾曲して、伸張状態に維持される。保形部材24は、先端74、84の巻取シャフト31に巻き取られない部分に配置される。
【0037】
図9は、本実施形態のシェード装置1の動作を示す断面図であり、図2図3のY方向からみたシェード装置1と窓2の断面を示している。
図示のように、スクリーン10の展開時には、駆動手段60が、スクリーン10を展開させる方向に巻取シャフト31を回転させる。これに伴い、保持手段20の第1保持部材70と第2保持部材80は、スクリーン10とともに、巻取シャフト31から繰り出される。第1保持部材70は、弾性力(復元力)により、伸張状態に復元するとともに、幅方向において弧状に湾曲する。同時に、第1保持部材70は、伸張状態に変形させる力を第2保持部材80に加える。第2保持部材80は、伸張状態に弾性変形されるとともに、幅方向において弧状に湾曲する。その際、第1保持部材70から受ける力により、第2保持部材80の変形が補助される。
【0038】
スクリーン10がケース50に収容された状態では(図9A参照)、第1保持部材70の先端74と第2保持部材80の先端84は、巻取シャフト31に巻き取られず、それぞれの幅方向において弧状に湾曲する。そのため、第2保持部材80は、巻取シャフト31からの繰り出しに伴い、先端84と同様の形状に円滑に変形し、直ちに、弧状に湾曲して伸張状態になる(図6図7参照)。これにより、第1保持部材70と第2保持部材80は、伸張状態を維持しながら一緒に繰り出されて、スクリーン10とともに展開する。また、第1保持部材70と第2保持部材80は、一体となってスクリーン10を保持しつつ展開する。
【0039】
第1保持部材70と第2保持部材80は、伸張状態で互いに反対方向に湾曲する。そのため、第1保持部材70のみからなる保持手段、及び、同じ方向に湾曲する2つの第1保持部材70からなる保持手段に比べて、伸張状態の保持手段20の剛性が高くなり、保持手段20によるスクリーン10の保持力も高くなる。保持手段20の第1保持部材70と第2保持部材80により、スクリーン10は、展開状態に強固に保持される。
【0040】
巻取シャフト31は、伸張状態の保持手段20(第1保持部材70、第2保持部材80)の窓2側に配置され、窓2の反対側で保持手段20を繰り出す。第1保持部材70と第2保持部材80は、伸張状態で、窓2側(湾曲面72、83側)よりも窓2の反対側(湾曲面73、82側)に曲がり難く、かつ、ケース50の支持部56により、窓2の反対側から支持される。また、スクリーン10の展開中には(図9B図9C参照)、ステイ40が窓2に接触して、第1保持部材70と第2保持部材80が窓2の反対側に弾性的に曲げられる。第1保持部材70と第2保持部材80により、ステイ40が窓2に押し付けられて、ステイ40のばたつきが抑制される。
【0041】
スクリーン10が完全に展開したときに、ステイ40は、窓2の上端に位置する係止部3に係止される。シェード装置1は、保持手段20によりスクリーン10を展開状態に保持して、スクリーン10により窓2を遮蔽する。スクリーン10は、保持手段20により、窓2に沿って配置されて、窓2を遮蔽する状態に保持される。
【0042】
スクリーン10の巻取時には、駆動手段60が、スクリーン10を巻き取る方向に巻取シャフト31を回転させる。これに伴い、保持手段20の第1保持部材70と第2保持部材80は、スクリーン10とともに、巻取シャフト31に巻き取られて、ケース50に収容される。その際、第2保持部材80は、幅方向において平らな形状に弾性変形されるとともに、弾性力(復元力)により、巻取状態に復元する。同時に、第2保持部材80は、巻取状態に変形させる力を第1保持部材70に加える。第1保持部材70は、巻取状態及び平らな形状に弾性変形されて、巻取シャフト31に巻き取られる(図9A参照)。その際、第2保持部材80から受ける力により、第1保持部材70の変形が補助される。
【0043】
スクリーン10がケース50に収容された状態では(図6図7参照)、第2保持部材80により、第1保持部材70の伸張状態への復元が抑止され、保持手段20が巻取状態に安定して維持される。また、第1保持部材70のみからなる保持手段、及び、同じ方向に湾曲する2つの第1保持部材70からなる保持手段に比べて、巻取シャフト31に巻き取られた保持手段20の直径が小さくなり、ケース50の小型化が可能になる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態のシェード装置1では、保持手段20によるスクリーン10の保持力を高くすることができる。また、ケース50を大きくせずに、ケース50内の巻取シャフト31に保持手段20をスクリーン10とともに容易に巻き取ることができる。
【0045】
第1保持部材70と第2保持部材80が伸張状態であるときに、凹状の湾曲面72、82を対向させることで、第1保持部材70と第2保持部材80の変形に対する剛性が高くなる。また、第1保持部材70と第2保持部材80の側縁が保持手段20から突出せず、第1保持部材70と第2保持部材80がスクリーン10の収容部16に容易に収容される。これに伴い、収容部16内の空間を小さくでき、第1保持部材70と第2保持部材80が幅方向にずれ難くなる。
【0046】
保形部材24(図8B参照)により、第1保持部材70の先端74と第2保持部材80の先端84を湾曲した形状に確実に保持することができる。これにより、スクリーン10の展開時に、第1保持部材70と第2保持部材80を巻取状態から伸張状態に円滑に変形させることができる。第2保持部材80の先端84に力が加えられたときでも、保形部材24により先端84の形状を湾曲した形状に保持して、第2保持部材80が弾性力(復元力)により巻取状態に復元するのを防止することができる。第1保持部材70の先端74のみによるステイ40の保持力が低いときでも、保形部材24により先端74の形状を保持して、第1保持部材70によりステイ40を保持することができる。
【0047】
なお、第1保持部材70と第2保持部材80の配置位置を変更してもよい。この場合には、第1保持部材70と第2保持部材80は、伸張状態で、凸状の湾曲面73、83を対向させて配置される。また、スクリーン10の巻取時に、第1保持部材70と第2保持部材80は、第1保持部材70の外周に第2保持部材80が重なる状態で、巻取シャフト31に巻き取られる。スクリーン10は、矩形状以外の形状(例えば、台形状、平行四辺形状、三角形状、円形状)に形成してもよい。
【0048】
図10は、他の実施形態のシェード装置1の正面図であり、図3と同様に、窓2を遮蔽したシェード装置1を示している。
ここでは、図示のように、1つの保持手段20が、両側縁12の間のスクリーン10の中央部17に取り付けられている。スクリーン10は、中央部17に筒状の収容部16を有し、第1保持部材70と第2保持部材80は、収容部16に収容される。このように、1つの保持手段20によりスクリーン10を保持するようにしてもよい。また、3つ以上の保持手段20によりスクリーン10を保持してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1・・・シェード装置、2・・・窓、3・・・係止部、10・・・スクリーン、11・・・先端、12・・・側縁、13・・・基端、14・・・遮蔽シート、15・・・取付孔、16・・・収容部、17・・・中央部、20・・・保持手段、21・・・先端、22・・・基端、23・・・隙間、24・・・保形部材、30・・・巻取装置、31・・・巻取シャフト、32・・・ベアリング、33・・・外周、34・・・取付孔、35・・・ネジ、36・・・ネジ孔、40・・・ステイ、41・・・第1装着部材、42・・・第2装着部材、43・・・ローラ、44・・・ネジ、45・・・ネジ孔、50・・・ケース、51・・・メインケース、52・・・第1サイドケース、53・・・第2サイドケース、54・・・ギアホルダ、55・・・出入口、56・・・支持部、60・・・駆動手段、61・・・ギアボックス、62・・・ギアボックスカバー、63・・・モータ、64・・・ギア伝動機構、65・・・ウォーム、66・・・第1伝達ギア、67・・・第2伝達ギア、69・・・ウォームギア、70・・・第1保持部材、71・・・基端、72・・・湾曲面、73・・・湾曲面、74・・・先端、80・・・第2保持部材、81・・・基端、82・・・湾曲面、83・・・湾曲面、84・・・先端、M・・・巻取方向、T・・・展開方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10