(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの透過型画像表示装置では、バックライトとして直下型の面光源装置を使用することがある。近年、光源として複数の発光素子を有する、直下型の面光源装置が使用されるようになってきている。
【0003】
たとえば、直下型の面光源装置は、基板と、複数の発光素子と、複数の光束制御部材(レンズ)と、光拡散部材とを有する。発光素子は、例えば白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。複数の発光素子は、基板上にマトリックス状に配置されている。各発光素子の上には、各発光素子から出射された光を基板の面方向に拡げる光束制御部材が配置されている。光束制御部材から出射された光は、光拡散部材により拡散され、被照射部材(例えば液晶パネル)を面状に照らす。
【0004】
図1は、従来の光束制御部材20の構成を示す図である。
図1Aは、光束制御部材20を裏側から見た斜視図であり、
図1Bは、光束制御部材20を裏側から見た断面斜視図であり、
図1Cは、断面図である。なお、
図1Aおよび
図1Bでは、裏側に設けられた脚部を省略している。
図1A〜Cに示されるように、従来の光束制御部材20は、発光素子から出射された光を入射する入射面22と、入射面22で入射した光を外部に出射する出射面24とを有する。入射面22は、発光素子に対して凹形状の面であり、発光素子の発光面と対向するように形成されている。
【0005】
図2は、光束制御部材20の光路図である。
図2Aは、出射角30°で発光素子10の発光中心から出射された光線の光路図であり、
図2Bは、出射角40°で発光素子10の発光中心から出射された光線の光路図である。ここで「出射角」とは、発光素子10の光軸OAに対する、出射された光線の角度(
図2Aのθ)を意味する。なお、
図2A、Bでも、裏側に設けられた脚部を省略している。
【0006】
図2に示されるように、発光素子10から出射された光は、入射面22で光束制御部材20内に入射する。光束制御部材20内に入射した光は、出射面24に到達し、出射面24から外部に出射される(実線の矢印)。このとき、出射面24の形状により光が屈折するため、光の進行方向が制御される。その一方で、出射面24に到達した光の一部は、出射面24で内部反射し(フレネル反射)、発光素子10が実装されている基板と対向する裏面26に到達する(破線の矢印)。裏面26に到達した光が裏面26で反射した場合、光束制御部材20の直上に向かう光が過剰になってしまうため、発光装置から出射される光の輝度に不均一な分布(輝度ムラ)が生じてしまう。また、裏面26に到達した光が裏面26から出射された場合、光が基板に吸収されてしまうため、光の損失が大きい。そこで、特許文献1では、このような問題を解決できる光束制御部材が提案されている。
【0007】
図3は、特許文献1に記載の光束制御部材30の構成を示す図である。
図3Aは、光束制御部材30を裏側から見た斜視図であり、
図3Bは、光束制御部材30を裏側から見た断面斜視図であり、
図3Cは、断面図である。なお、
図3A、Bでは、裏側に設けられた脚部を省略している。
図3A〜Cに示されるように、特許文献1に記載の光束制御部材30では、傾斜面32を外側に有し、中心軸CAに対して略平行な平行面34を内側に有する凹部が裏面26に形成されている。傾斜面32は、光束制御部材30の中心軸CAに対して回転対称(円対称)であり、かつ中心軸CAに直交する仮想直線に対して所定の角度(例えば45°)で傾斜している。
【0008】
図4は、光束制御部材30の光路図である。
図4Aは、出射角30°で発光素子10の発光中心から出射された光線の光路図であり、
図4Bは、出射角40°で発光素子10の発光中心から出射された光線の光路図である。なお、
図4A、Bでも、裏側に設けられた脚部を省略している。
図4A、Bに示されるように、出射面24でフレネル反射した光は、裏面26上の所定の領域に到達する。上記所定の領域に傾斜面32を形成することで、傾斜面32に到達した光の少なくとも一部を反射させて、側方方向へ向かう光にすることができる(
図4A、B参照)。
【0009】
このように、特許文献1に記載の光束制御部材30では、出射面24で反射した光が、光束制御部材30の直上に向かう光になったり、基板に吸収されたりしにくい。したがって、特許文献1に記載の光束制御部材30を有する発光装置は、従来の光束制御部材20を有する発光装置に比べて、均一にかつ効率よく光を照射することができる。
【0010】
また、近年、チップ・オン・ボード(COB)型のLEDが、実装の容易さ、および発光効率の高さから、照明用に用いられている。COB型のLEDは、上方への出射に加えて、従来のLEDよりも多くの光を側方方向へも出射することが知られている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の光束制御部材、発光装置、面光源装置および表示装置について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、本発明の面光源装置の代表例として、液晶表示装置のバックライトなどに適する面光源装置について説明する。これらの面光源装置は、面光源装置からの光を照射される被照射部材(例えば液晶パネル)と組み合わせることで、表示装置として使用されうる。
【0024】
[実施の形態1]
(面光源装置および発光装置の構成)
図5〜
図7は、本発明の実施の形態1に係る面光源装置100の構成を示す図である。
図5Aは、面光源装置100の平面図であり、
図5Bは、正面図である。
図6Aは、
図5Bに示されるA−A線の断面図であり、
図6Bは、
図5Aに示されるB−B線の断面図である。
図7は、
図6Bの一部を拡大した部分拡大断面図である。なお、
図7では、脚部を省略している。
【0025】
図5〜
図7に示されるように、面光源装置100は、筐体110と、複数の発光装置200と、光拡散部材120とを有する。複数の発光装置200は、筐体110の底板112上にマトリックス状に配置されている。底板112の内面は、拡散反射面として機能する。また、筐体110の天板114には、開口部が設けられている。光拡散部材120は、この開口部を塞ぐように配置されており、発光面として機能する。発光面の大きさは、例えば約400mm×約700mmである。
【0026】
図6に示されるように、複数の発光装置200は、それぞれ基板210上に固定されている。複数の基板210は、それぞれ筐体110の底板112上の所定の位置に固定されている。
図7に示されるように、複数の発光装置200は、それぞれ発光素子220および光束制御部材300を有している。
【0027】
発光素子220は、面光源装置100の光源であり、基板210上に実装されている。発光素子220は、例えば白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。発光素子220は、実装が容易であり、かつ、発光効率が高い観点から、チップ・オン・ボード(COB)型のLEDであることが好ましい。
【0028】
COB型のLEDは、従来のLEDよりも多くの光を側方方向に出射することが知られている。発光素子220の上面は、光束制御部材300の凹部360(後述)の下端よりも鉛直方向上側にあってもよいし、鉛直方向下側にあってもよい。本実施の形態では、発光素子220の上面は、光束制御部材300の凹部360(後述)の下端よりも鉛直方向下側に位置している。
【0029】
図7に示されるように、光束制御部材300は、基板210上に固定されている。光束制御部材300は、発光素子220から出射された光を拡げるように制御する。光束制御部材300は、その中心軸CAが発光素子220の光軸OAに一致するように、発光素子220の上に配置されている。なお、後述する光束制御部材300の入射面310および出射面320はいずれも回転対称(円対称)である。また、光束制御部材300の入射面310の回転軸と、出射面320の回転軸とは一致する。ここで、「中心軸CA」とは、入射面310および出射面320の回転軸を意味する。また、「光軸OA」とは、発光素子220からの立体的な出射光束のうち、中心の光線を意味する。
【0030】
光束制御部材300は、一体成形により形成することができる。光束制御部材300の材料は、所望の波長の光を通過させ得る材料であればよい。たとえば、光束制御部材300の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)、シリコーン樹脂などの光透過性樹脂、またはガラスである。
【0031】
本発明に係る面光源装置100は、光束制御部材300の構成に主たる特徴を有する。そこで、光束制御部材300については、別途詳細に説明する。
【0032】
光拡散部材120は、光拡散性を有する板状の部材であり、発光装置200からの出射光を拡散させつつ透過させる。通常、光拡散部材120は、液晶パネルなどの被照射部材とほぼ同じ大きさである。たとえば、光拡散部材120は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、スチレン・メチルメタクリレート共重合樹脂(MS)などの光透過性樹脂により形成される。光拡散性を付与するため、光拡散部材120の表面に微細な凹凸が形成されているか、または光拡散部材120の内部にビーズなどの光拡散子が分散している。
【0033】
本発明に係る面光源装置100では、各発光素子220から出射された光は、光束制御部材300により光拡散部材120の広範囲を照らすように拡げられる。各光束制御部材300から出射された光は、さらに光拡散部材120により拡散される。その結果、本発明に係る面光源装置100は、面状の被照射部材(例えば液晶パネル)を均一に照らすことができる。
【0034】
(光束制御部材の構成)
図8および
図9は、本実施の形態に係る光束制御部材300の構成を示す図である。
図8は、光束制御部材300を裏側(基板210側)から見た斜視図である。
図9Aは、光束制御部材300の平面図であり、
図9Bは、底面図であり、
図9Cは、正面図であり、
図9Dは、
図9Aに示されるA−A線の断面図である。
【0035】
図8および
図9に示されるように、光束制御部材300は、入射面310、出射面320、環状溝部330および鍔部350を有する。また、特に図示しないが、光束制御部材300は、複数の脚部を有していてもよい。
【0036】
入射面310は、光束制御部材300の中心軸CAと交わるように裏側(発光素子220側)の中央部に形成された凹部360の内面である。入射面310は、発光素子220から出射された光の大部分またはすべてを、その進行方向を制御しつつ光束制御部材300の内部に入射させる。入射面310は、光束制御部材300の中心軸CAと交わり、中心軸CAを軸とした回転対称(円対称)である。
【0037】
出射面320は、光束制御部材300の表側(光拡散部材120側)に、鍔部350から突出するように形成されている。出射面320は、光束制御部材300内に入射した光を、進行方向を制御しつつ外部に出射させる。出射面320は、中心軸CAと交わり、中心軸CAを軸とした回転対称(円対称)である。
【0038】
出射面320は、中心軸CAを中心とする所定範囲に位置する第1出射面320aと、第1出射面320aの周囲に連続して形成される第2出射面320bと、第2出射面320bと鍔部350とを接続する第3出射面320cとを有する(
図9D参照)。第1出射面320aは、裏側に凸の曲面である。第2出射面320bは、第1出射面320aの周囲に位置する、表側に凸の滑らかな曲面である。第2出射面320bの形状は、円環状の凸形状である。第3出射面320cは、第2出射面320bの周囲に位置する曲面である。
図9Dに示される断面において、第3出射面320cの断面は、直線状であってもよいし、曲線状であってもよい。
【0039】
環状溝部330は、凹部360(入射面310)を取り囲むように光束制御部材300の裏側に形成されている。環状溝部330は、中心軸CAを軸とした回転対称である。環状溝部330は、中心軸CA側に配置された第1内面331と、中心軸CAに対して第1内面331より離れて配置された第2内面332と、を含む。また、入射面320(凹部360)および環状溝部330の間の領域には、裏面370が配置されている。裏面370は、光束制御部材300の裏側(基板210側)に位置し、凹部360の開口縁部から径方向に延在している。
【0040】
第1内面331は、中心軸CAと平行となるように配置されていてもよいし、中心軸CAから離れるにつれて表側に近づくように配置されていてもよい。本実施の形態では、第1内面331は、中心軸CAと平行となるように配置されていている。すなわち、第1内面331は、円筒状である。
【0041】
第2内面332は、第1内面331を取り囲むように光束制御部材300の裏側に形成されている。中心軸CAに対する第2内面332の傾斜角度は、中心軸CAから離れるにつれて連続的にまたは段階的に大きくなる。第2内面332は、1つの曲面であってもよいし、複数の曲面を有していてもよい。本実施の形態では、第2内面332は、複数の曲面を有する。より具体的には、第2内面332は、中心軸CA側に配置された内側第2内面333と、中心軸CAに対して内側第2内面333より離れて配置された外側第2内面334と、を含む。中心軸CAを含む断面において、第2内面332は、外側端部および内側端部を繋ぐ仮想直線より環状溝部330の開口部側に突出している。
【0042】
第1内面331および第2内面332は、連続して形成されてもよい。第1内面331および第2内面332が連続して形成されるとき、中心軸CAを含む断面における環状溝部330の断面形状は、略V字状である。また、第1内面331と第2内面332との間には、第3内面が形成されてもよい。第1内面331および第2内面332の間に第3面が形成されるとき、中心軸CAを含む断面における環状溝部330の断面形状は、たとえば、上底(より表側に位置する辺)が短い略台形状である。
【0043】
中心軸CAを含む断面における内側第2内面333および外側第2内面334の形状は、直線状であってもよいし、裏側に向かって凸の曲線状であってもよい。本実施の形態では、中心軸CAを含む断面における内側第2内面333および外側第2内面334の形状は、いずれも直線状である。すなわち、本実施の形態では、内側第2内面333および外側第2内面334は、いずれも円錐台の側面の形状をしている。
【0044】
内側第2内面333および外側第2内面334は、いずれも中心軸CAに対して傾斜している。内側第2内面333および外側第2内面334は、いずれも中心軸CAから離れるにつれて、裏側に近づくように傾斜している。中心軸CAに対する内側第2内面333の傾斜角度は、中心軸CAに対する外側第2内面334の傾斜角度より小さい。ここで、中心軸CAを含む断面における内側第2内面333の形状が直線状であるとき、「傾斜角度」とは、中心軸CAを含む断面において、内側第2内面333の延長線が中心軸CAとなす2つの角度のうち、小さい角度である環状溝部330側の角度をいう。また、中心軸CAを含む断面における内側第2内面333の形状が曲線状であるとき「傾斜角度」とは、曲線における接線が中心軸CAとなす2つの角度のうち、小さい角度である環状溝部330側の角度をいう。
【0045】
内側第2内面333の傾斜角度および外側第2内面334の傾斜角度は、入射面310で光束制御部材300に入射して出射面320で内部反射(フレネル反射)した光の少なくとも一部を側方方向へ反射させる角度である。内側第2内面333または外側第2内面334の中心軸CAに対する傾斜角度が25°未満の場合、出射面320で内部反射した光が側方方向へ進行せずに、基板210に向けて反射してしまうおそれがある。また、出射面320で内部反射した光のうち、多くの光が到達できないおそれがある。一方、内側第2内面333または外側第2内面334中心軸CAに対する傾斜角度が50°超の場合、内側第2内面333に到達した光が透過してしまうおそれがある。
【0046】
前述したように、中心軸CAに対する内側第2内面333の傾斜角度は、中心軸CAに対する外側第2内面334の傾斜角度より小さい。
【0047】
このように、中心軸CAに対する内側第2内面333の傾斜角度と、中心軸CAに対する外側第2内面334の傾斜角度とに差異を設けることにより、内側第2内面333に到達した光と、外側第2内面334に到達した光とを別々の方向に反射させることができる。これにより、出射面320でフレネル反射した光が、基板210でさらに反射することによる輝度ムラの発生や、基板210に吸収されることによる光の損失を抑制することができる。
【0048】
第2内面332は、より多くの光を側方方向へ向かわせる観点から、例えば、入射面310で光束制御部材300に入射し、出射面320で内部反射(フレネル反射)した光が到達する領域に設けられる。入射面310で入射した光が出射面320で内部反射して光束制御部材300の裏側に到達するまでの光路は、シミュレーションで求めることができる。
【0049】
図10は、光束制御部材300の光路図である。
図10では、出射角が30°、45°および60°で発光素子220の発光中心から出射された光線の光路を示している。また、
図10では、光路を示すため、ハッチングを省略している。
図10に示されるように、光束制御部材300では、出射面320で反射した光は、光束制御部材300の裏側の所定の領域に到達する。入射面310で光束制御部材300に入射した光が出射面320で内部反射して到達する領域は、たとえば、複数の異なる角度についてシミュレーションを行い、そのうち大部分の光路が到達した領域を含むように設定することができる。
【0050】
鍔部350は、出射面320の外周部と光束制御部材300の裏側の外周部との間に位置しており、径方向外側に突出している。鍔部350の形状は、略円環状である。鍔部350は、必須の構成要素ではないが、鍔部350を設けることで、光束制御部材300の取り扱いおよび位置合わせが容易になる。鍔部350の厚みは、出射面320の必要面積や鍔部350の成形性などを考慮して決定され得る。
【0051】
任意に形成される複数の脚部は、光束制御部材300の裏側から突出している。脚部の形状は特に限定されないが、略円柱状の部材である。複数の脚部は、発光素子220に対して適切な位置において光束制御部材300を支持する。
【0052】
なお、
図11に示されるように、中心軸CAを含む断面における内側第2内面333の形状は、裏側に向かって凸の曲線状であってもよい。すなわち、中心軸CAに対する第2内面332の傾斜角度は、中心軸CAから離れるにつれて連続的に大きくなってもよい。
【0053】
(変形例1)
実施の形態1の光束制御部材400は、第2内面332に光の反射光率を高めるためのプリズム構造(凸条)がさらに設けられていてもよい。
【0054】
図12は、実施の形態1の変形例に係る光束制御部材400の斜視図である。実施の形態1の変形例に係る光束制御部材400は、第2内面432に複数の凸条433、434が配置されている点において、光束制御部材300と異なる。そこで、光束制御部材300と同様の構成については同じ符番を付してその説明を省略する。
【0055】
図12に示されるように、実施の形態1の変形例に係る光束制御部材400の内側第2内面433には、複数の内側凸条433aが配置されている。複数の内側凸条433aは、平面状の内側第1反射面433bと、平面状の内側第2反射面433cと、内側第1反射面433bと内側第2反射面433cとの交線である内側稜線433dとを有する。内側凸条433aは、内側稜線433dに垂直な断面が略三角形状である、また、特に図示しないが、内側稜線433dを含む仮想直線は、内側稜線433dよりも表側の位置で中心軸CAと交わる。内側凸条433aは、全反射プリズムのように機能して、出射面320で内部反射して第2内面332に到達した光を光束制御部材400の側方方向にさらに反射させる。
【0056】
また、外側第2内面434には、複数の外側凸条434aが配置されている。複数の外側凸条434aは、平面状の外側第1反射面434bと、平面状の外側第2反射面434cと、外側第1反射面434bと外側第2反射面434cとの交線である外側稜線434dとを有する。外側凸条434aは、外側稜線434dに垂直な断面が略三角形状である、また、特に図示しないが、外側稜線434dを含む仮想直線は、外側稜線434dよりも表側の位置で中心軸CAと交わる。外側凸条434aは、全反射プリズムのように機能して、出射面320で内部反射して第2内面432に到達した光を光束制御部材400の側方方向にさらに反射させる。
【0057】
(シミュレーション)
次に、本実施の形態の変形例に係る光束制御部材400における光路と、光束制御部材400を用いた面光源装置100における輝度分布と、についてシミュレーションを行った。比較のため、
図13に示される光束制御部材(以下、「比較例に係る光束制御部材」ともいう)500における光路と、比較例に係る光束制御部材500を用いた面光源装置(以下「比較例に係る面光源装置」ともいう)についても同様にシミュレーションした。
【0058】
図13は、比較例に係る光束制御部材を裏側から見た斜視図である。
図13に示されるように、比較例に係る光束制御部材500の第2内面532は、複数の凸条534を有する。また、中心軸CAに対する第2内面532(凸条534)の傾斜角度は、一定である。より具体的には、中心軸CAを含む断面において、第2内面532(凸状534)を含む仮想直線と、中心軸CAとがなす角度は、一定である。なお、その他の構成は、実施の形態1の変形例に係る光束制御部材300と同様である。
【0059】
図14A、Bは、発光素子220から出射された光の光束制御部材400、500における光路図である。
図14Aは、比較例に係る光束制御部材500における光路を示しており、
図14Bは、本実施の形態に係る光束制御部材400における光路を示している。
【0060】
図14Aに示されるように、実施の形態1の比較例に係る光束制御部材500では、第2内面552の表面に対して大きな角度で到達した光のうち、一部の光は、中心軸CA(光軸OA)の直上部(上方)に向かって反射していることが分かる。一方、
図14Bに示されるように、本実施の形態の変形例に係る光束制御部材400では、比較例に係る光束制御部材500と比較して、中心軸CA(光軸OA)の直上部に向かう光が減少していることがわかる。これは、比較例に係る光束制御部材500の第2内面552の表面に対して大きな角度で到達した光に相当する光は、内側第2内面433または外側第2内面434に到達する。内側第2内面433または外側第2内面434に到達した光は、内側第2内面433および外側第2内面434の中心軸CAに対する傾斜角が異なるため、中心軸CA(光軸OA)の直上部(上方)に向かってせずに、様々な方向に向かって反射したためであると考えられる。
【0061】
図15は、面光源装置における輝度分布のシミュレーション結果を示す図である。
図15のグラフにおける実線は本実施の形態に係る面光源装置における輝度分布のシミュレーション結果を示しており、破線は比較例に係る面光源装置における輝度分布のシミュレーション結果を示している。また、
図15におけるグラフの縦軸は、輝度(lux)を示しており、横軸は中心軸CA(光軸OA)からの距離(mm)を示している。
【0062】
図15の破線に示されるように、比較例に係る面光源装置では、中心軸CAに対する第2内面534の傾斜角が一定であるため、被照射面上(光拡散部材120)における中心軸CA(光軸OA)近傍において明部が生じていた。一方、
図15の実線に示されるように、本実施の形態に係る面光源装置では、被照射面上(光拡散部材120)において、中心軸CA(光軸OA)近傍における明部の発生を抑制できることが示唆された。これは、出射面320で内部反射した光の一部が、内側第2内面433または外側第2内面434に到達することにより、中心軸CA(光軸OA)近傍に向かって反射することなく、側方または中心軸CA(光軸OA)から離れる方向に向かって反射するためだと考えられる。
【0063】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る面光源装置では、出射面320で内部反射した光の一部が、内側第2内面333、433または外側第2内面334、434で反射し、様々な方向に反射するため、光束制御部材300、400(発光装置)の直上に向かう光が少なくなり、被照射面上(光拡散部材120)において明部の発生を抑制できる。
【0064】
なお、実施の形態1の変形例に係る光束制御部材400では、傾斜角度を大きくしても(中心軸CAに直交する線となす角度が小さな緩い傾斜で第2内面を形成しても)、放射状プリズム形状による再帰反射効果で、出射面320で内部反射した光が基板210へ漏れてしまうことを抑制することができる。例えば、内側第2内面433の傾斜角度60°、外側第2内面434の傾斜角度86°というように大きな傾斜角度で浅めの環状溝部330を形成しても、出射面320で内部反射した光が基板210へ漏れてしまうことを適切に抑制することができる。
【0065】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る面光源装置は、光束制御部材600の形状が実施の形態1に係る光束制御部材300と異なる。そこで、実施の形態1の変形例に係る面光源装置と同様の構成については同じ符番を付してその説明を省略する。
【0066】
(光束制御部材の構成)
図16は、実施の形態2に係る光束制御部材600の構成を示す図である。
図16Aは、実施の形態2に係る光束制御部材600を裏側から見た斜視図であり、
図16Bは、中心軸CAを含む平面で切断した断面図である。
図17は、発光素子220の側面から出射された光の光束制御部材600における光路図である。なお、
図17では、光路を示すため、ハッチングを省略している。
【0067】
図16A、Bに示されるように、実施の形態2に係る光束制御部材600は、入射面310、出射面320、環状溝部630および鍔部360を有する。
【0068】
実施の形態2における環状溝部630は、第1内面631および第2内面432を有する。第1内面631は、中心軸CAから離れるにつれて表側に近づくように配置されている。第1内面631は、1つの曲面であってもよいし、複数の曲面であってもよい。本実施の形態では、第1内面631は、1つの曲面である。中心軸CAを含む断面における第1内面631の形状は、直線状であってもよいし、裏側に向かって凸の曲線状であってもよい。本実施の形態では、中心軸CAを含む断面における第1内面631の形状は、直線状である。すなわち、本実施の形態では、第1内面631は、逆円錐台の側面の形状をしている。
【0069】
従来、環状溝部の第1内面は、中心軸CAに対して略平行に形成されていた(たとえば、
図3および
図4の平行面34)。そのため、中心軸CAに略直交する方向に進行する光は、平行面34(第1内面)および傾斜面32(第2内面)により、光束制御部材の上方に向かって散乱していた。これにより、従来の光束制御部材を用いた面光源装置では、輝度ムラが発生していた。一方、本実施の形態では、第1内面631を中心軸CAから離れるにつれて表側に向かうように形成している。よって、中心軸CAに略直交する方向に進行する光は、第1内面631および第2内面432により、光束制御部材の上方に向かって散乱することがない。本実施の形態では、中心軸CAに略直交する方向に進行する光は、第1内面631で反射または屈折されて光束制御部材600の側方方向に進行する(
図17参照)。このように、第1内面631は、光束制御部材600の上方への光の進行を抑制し、輝度ムラを発生しにくくする。第1内面631は、前述の理由による輝度ムラをより発生しにくくする観点から、入射面310で光束制御部材300に入射して中心軸CAに略直交する方向に進行する光が多く到達する領域に配置することが好ましい。
【0070】
特に、発光素子がCOB型のLEDであるとき、LEDの側方方向へ出射する光の量が従来のLEDよりも多いため、中心軸CAに略直交する方向に進行する光の量も多くなる。そのため、本発明の光束制御部材600は、発光素子がCOB型のLEDであるときに、従来の光束制御部材と比べて、輝度ムラをより発生しにくくすることができる。なお、LEDの側面方向に出射する光をより多く光束制御部材600に入射させる観点から、発光素子220の上面は、光束制御部材600が有する凹部360の下端よりも鉛直方向上方にあることが好ましい。
【0071】
第1内面631は、中心軸CAと直交する方向に進行するする光を、光束制御部材600の側方に向けて反射させる角度で、中心軸CAと直交する仮想直線に対して傾斜していることが好ましい。また、第1内面631は、第1内面631に到達する光を全反射させる角度で当該仮想直線に対して傾斜していることが好ましい。
【0072】
なお、本実施の形態では、光束制御部材300の裏側の全面を環状溝部330としているが、第1内面631および第2内面432が上記領域に形成される限り、環状溝部630は光束制御部材600の裏側の一部の領域にのみ形成されてもよい。このとき、光束制御部材600の裏側の残りの領域には、裏面が形成される。
【0073】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る面光源装置は、実施の形態1の効果に加えて、発光素子220の側面から出射された光を側方に向かって反射するため、さらに被照射面上(光拡散部材120)において明部の発生を抑制できる。
【0074】
なお、本実施の形態においても、
図18に示されるように、中心軸CAを含む断面における内側第2内面333の形状は、裏側に向かって凸の曲線状であってもよい。
【0075】
また、前述した実施の形態1、2に係る面光源装置では、出射面320で内部反射(フレネル反射)した光は、第2内面332、432の近傍で集光してしまうことがある(
図14参照)。この場合、第2内面332、432の近傍で集光した光は、内側第2内面または外側第2内面のいずれかに到達してしまうことが考えられる。このため、実施の形態1、2に係る面光源装置における光束制御部材300、400、600では、第2内面332、432に到達する光を様々な方向に反射させるために、第2内面332、432を適切に設計することが困難な場合がある。そこで、
図19に示されるように、出射面320で内部反射(フレネル反射)した光が集光する位置を調整してもよい。
図19は、反射面320で内部反射した光の集光位置を調整した光束制御部材における光路図である。なお、
図19では、光路を示すため、ハッチングを省略している。
図19に示されるように、入射面310や出射面320の形状を調整して、出射面320で内部反射した光が集光する位置を調整してもよい。本実施の形態では、第2内面432に到達する前に一旦光が集光するように調整されている。これにより、出射面320で内部反射した光は、第2内面432の広い範囲にわたって到達する。第2内面432に到達した光は、様々な方向に向かって反射されるため、さらに光拡散部材120上において輝度ムラを生じさせにくい。