(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両に搭載され、利用者に携帯される携帯機と無線通信を行い、前記車両の走行駆動源または電源が起動している起動状態と、前記車両の走行駆動源および電源が起動していない非起動状態のそれぞれにおいて、当該車両のドアの施錠を制御する車両制御装置であって、
前記車両が非起動状態にある場合に、
前記車両または前記携帯機に設けられた操作スイッチが第1パターンで操作されると、
前記携帯機との無線通信に基づいて前記車両のドアを施錠し、
前記車両が停車中であってかつ起動状態にある場合に、
前記操作スイッチが前記第1パターンと異なる第2パターンで操作されると、
前記携帯機との無線通信に基づいて前記携帯機の認証を行い、当該認証が成功すれば、前記車両を非起動状態に切り替え、かつ前記ドアを施錠する、ことを特徴とする車両制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部分または対応する部分には、同一符号を付してある。
【0028】
まず、実施形態の車両制御システム100の構成を、
図1および
図2を参照しながら説明する。
【0029】
図1は、車両制御システム100の構成図である。
図2は、車両制御システム100が搭載された車両30の平面図である。
図1および
図2は、後述する実施形態1〜6に共通している。
【0030】
図1に示すように、車両制御システム100は、車両制御装置10と携帯機20とから構成されている。車両制御システム100では、車両制御装置10と携帯機20とが行う無線通信に基づいて、車両30のドアの施解錠、電源のオン・オフ、またはエンジンの駆動・停止が制御される。
【0031】
図2に示すように、車両30は自動四輪車から成る。車両30には、施解錠可能なドアとして、運転席のドア31、助手席のドア32、後部座席のドア33、34、およびバックドア35が設けられている。
【0032】
図1の車両制御装置10、ロックスイッチ4、アンロックスイッチ5、スタートスイッチ6、ドアロック装置7、エンジン装置8、変速機9、および外部ECU(電子制御装置)11は、車両30に搭載されている。携帯機20は、車両30の利用者により携帯される。
【0033】
車両制御装置10は、制御部1、LF(Low Frequency;長波)送信部2、およびUHF(Ultra High Frequency;高周波)受信部3を備えている。制御部1は、CPUとメモリなどから構成されている。
【0034】
LF送信部2は、車両30に複数設置されている(
図1では1つのみ図示)。各LF送信部2は、LF送信アンテナ2aと送信用信号処理部(図示省略)などから構成されている。LF送信アンテナ2aは、
図2に示すように、車両30の右側面(運転席のドア31の外側面)、左側面(助手席のドア32の外側面)、後面(バックドア35の外側面)、および車内などに設置されている。LF送信部2は、送信用信号処理部で生成したLF信号を、LF送信アンテナ2aから車室外または車室内にある携帯機20へ送信する。LF送信部2により送信されるLF信号には、携帯機20に対する応答要求信号が含まれる。
【0035】
UHF受信部3は、UHF受信アンテナ3aと受信用信号処理部(図示省略)などから構成されている。UHF受信部3は、たとえば車両30の車室内に設置されている。UHF受信部3は、携帯機20から送信されたUHF信号を、UHF受信アンテナ3aと受信用信号処理部により受信する。UHF受信部3により受信するUHF信号には、携帯機20から送信された応答信号と遠隔操作信号が含まれる。
【0036】
制御部1は、LF送信部2とUHF受信部3を介して、携帯機20と無線通信を行い、携帯機20に対して信号や情報の送受信を行う。
図2に示す、車外無線通信範囲Rは、車両制御装置10と携帯機20とが無線通信を行うことが可能な範囲である。詳しくは、LF送信部2のLF送信アンテナ2aから車外に送信されたLF信号の到達範囲である。携帯機20から送信されるUHF信号の到達範囲は図示を省略しているが、LF信号の到達範囲より広い。
【0037】
図1に示すように、ロックスイッチ4、アンロックスイッチ5、スタートスイッチ6、ドアロック装置7、エンジン装置8、変速機9、および外部ECU11は、それぞれ車両制御装置10に接続されている。
【0038】
ロックスイッチ4とアンロックスイッチ5は、たとえば車両30の運転席のドア31、助手席のドア32、およびバックドア35の各外ノブ(外側面)に設置されている(図示省略)。ロックスイッチ4は、たとえば押しボタンスイッチから成り、車両30の各ドアを施錠するために利用者により押し操作される。アンロックスイッチ5は、たとえばタッチセンサスイッチから成り、車両30の各ドアを解錠するために利用者によりタッチ操作される。
【0039】
スタートスイッチ6は、車両30の車室内の運転席の近傍に設置されている。スタートスイッチ6は、車両30のエンジンを駆動・停止したり、電源をオン・オフしたりするために利用者により操作される。スタートスイッチ6の操作によりオン・オフされる電源としては、IG(イグニション)とACC(アクセサリ)がある。詳しくは、IG電力供給経路にIGスイッチが設けられ、ACC電力供給経路にACCスイッチが設けられ、スタートスイッチ6の操作によりIGスイッチやACCスイッチのオン・オフ状態が切り替わる(図示省略)。
【0040】
制御部1は、各スイッチ4〜6からの出力信号に基づいて、各スイッチ4〜6の操作状態を検出する。また、制御部1は、上述したIGスイッチやACCスイッチのオン・オフ状態、つまり車両30のIGやACCといった電源のオン・オフ状態を検出する。
【0041】
また、制御部1は、内蔵するタイマ(図示省略)により、ロックスイッチ4のオン時間を計測し、ロックスイッチ4の操作パターンを判断する。詳しくは、ロックスイッチ4は、押し操作されることでオン状態になり、押し操作が解除されることでオフ状態になる。ロックスイッチ4が所定時間が経過するまでに1回押される(オン状態になる)と、制御部1は、ロックスイッチ4が短押しされたと判断する。このロックスイッチ4の短押し操作は、一般的な押しボタンスイッチの通常の押し操作である。また、ロックスイッチ4が所定時間以上押され続ける(オン状態が継続される)と、制御部1は、ロックスイッチ4が長押しされたと判断する。
【0042】
ロックスイッチ4は、本発明の「操作スイッチ」の一例である。また、ロックスイッチ4の短押しは、本発明の「第1パターン」の一例であり、長押しは、本発明の「第2パターン」の一例である。
【0043】
ドアロック装置7は、車両30の各ドアの施解錠を行うための機構と、該機構の駆動回路から成る。エンジン装置8は、車両30の走行駆動源であるエンジンを始動するためのスタータモータと、該スタータモータの駆動回路などから成る。
【0044】
変速機9は、車両30のエンジンの回転を走行条件に応じて最適に切り替える装置である。制御部1は、変速機9のシフト9aの位置をセンサ(図示省略)により検出する。
【0045】
外部ECU11は、車両30に搭載されていて、車両制御装置10とCAN(Controller Area Network)などにより通信を行う。制御部1は、外部ECU11またはエンジン装置8からの通知により、車両30のエンジンが駆動状態か停止状態かを検出する。また、制御部1は、外部ECU11からの通知により、車両30が走行中か停車中かを検出する。さらに、制御部1は、車両30のエンジンの状態(駆動・停止)と、電源の状態(オン・オフ)とに基づいて、車両30が起動状態にあるか非起動状態にあるかを判断する。
【0046】
エンジンが駆動されているか、電源(ACCまたはIG)がオンになっている場合、すなわち車両30のエンジンまたは電源が起動している場合は、制御部1は、車両30が「起動状態」にあると判断する。一方、エンジンが停止しており、電源(ACCおよびIG)もオフになっている場合、すなわち車両30のエンジンおよび電源が起動していない場合は、制御部1は、車両30が「非起動状態」にあると判断する。
【0047】
携帯機20は、FOBキーから成る。携帯機20は、制御部21、LF受信部22、UHF送信部23、操作部24、および電池26を備えている。
【0048】
携帯機20の各部21〜24は、電池26の電力により動作する。制御部21は、CPUとメモリなどから構成されている。
【0049】
LF受信部22は、LF受信アンテナ22aと受信用信号処理部(図示省略)などから成る。LF受信部22は、車両制御装置10から送信されたLF信号を、LF受信アンテナ22aを介して受信する。LF受信部22が受信するLF信号には、応答要求信号が含まれる。
【0050】
UHF送信部23は、UHF送信アンテナ23aと送信用信号処理部(図示省略)などから成る。UHF送信部23は、送信用信号処理部で生成したUHF信号を、UHF送信アンテナ23aから車両制御装置10へ送信する。UHF送信部23が送信するUHF信号には、応答信号が含まれる。
【0051】
制御部21は、LF受信部22とUHF送信部23を介して、車両制御装置10と無線通信を行い、車両制御装置10に対して信号や情報の送受信を行う。
【0052】
操作部24には、ロックスイッチ24a、アンロックスイッチ24bが備わっている。これらのスイッチ24a、24bは、たとえば押しボタンスイッチから成る。ロックスイッチ24aは、車両30の各ドア31〜35を施錠するために利用者により押し操作される。アンロックスイッチ24bは、車両30の各ドア31〜35を解錠するために利用者により押し操作される。制御部21は、これらのスイッチ24a、24bからの出力信号に基づいて、各スイッチ24a、24bの操作状態を検出する。
【0053】
スイッチ24a、24bのいずれかが操作されると、制御部21がその操作に応じた遠隔操作信号を生成し、該遠隔操作信号をUHF送信部23により車両制御装置10へ送信する。つまり、LF送信部23が送信するUHF信号には、遠隔操作信号も含まれる。
【0054】
遠隔操作信号には、携帯機20のIDコード(識別情報)が含まれる。上述したように携帯機20から送信された遠隔操作信号が、車両制御装置10のUHF受信部3により受信されると、制御部1が、該遠隔操作信号に含まれる携帯機20のIDコードに基づいて、携帯機20の認証を行う。このとき、携帯機20のIDコードと、予め記憶された車両制御装置10のIDコードとが一致すると、制御部1は、携帯機20の認証が成功したと判断し、遠隔操作信号に基づいてドアロック装置7を制御し、車両30のドア31〜35を解錠または施錠する。(キーレスエントリ方式)
【0055】
また、携帯機20を携帯した利用者が車両30に接近して、車両30のロックスイッチ4かアンロックスイッチ5を操作すると、車両制御装置10の制御部1が、LF送信部2により応答要求信号を携帯機20へ送信する。応答要求信号がLF受信部22により受信されると、携帯機20の制御部21が、応答信号をUHF送信部23により車両制御装置10へ返信する。この応答信号にも、携帯機20のIDコードが含まれる。車両制御装置10のUHF受信部3により応答信号が受信されると、制御部1は、該応答信号に含まれる携帯機20のIDコードに基づいて、携帯機20の認証を行う。このときも、携帯機20のIDコードと車両制御装置10のIDコードとが一致すると、制御部1は、携帯機20の認証が成功したと判断し、応答信号に基づいてドアロック装置7を制御し、車両30のドア31〜35を解錠または施錠する。(パッシブエントリ方式)
【0056】
また、携帯機20を携帯した利用者が車両30の車室内で、スタートスイッチ6を操作すると、制御部1が、LF送信部2およびUHF受信部3により、携帯機20のLF受信部22およびUHF送信部23と通信し、携帯機20の認証を行う。このときも、携帯機20と車両制御装置10のIDコードの一致を確認し、両IDコードが一致すると、制御部1は、携帯機20の認証が成功したと判断し、エンジン装置8を制御して、車両30のエンジンを始動・停止したり、電源(ACCまたはIG)をオン・オフしたりする。
【0057】
次に、第1実施形態による車両制御装置10と携帯機20の動作を、
図3を参照しながら説明する。
【0058】
図3は、第1実施形態による車両制御装置10と携帯機20の動作を示したフローチャートである。本例では、携帯機20が車両30の車室外にあって、車両30が停車中であることを前提とする(後述する他の実施形態も同様)。
【0059】
たとえば、携帯機20を携帯した利用者が車両30から降車して、車両30の外面に設けられたロックスイッチ4を押し操作すると、ロックスイッチ4がオフからオンに切り替わる(
図3のステップS1:YES)。すると、車両制御装置10の制御部1が、LF送信部2により応答要求信号を携帯機20へ送信する(
図3のステップS2)。
【0060】
携帯機20の制御部21は、LF受信部22により応答要求信号を受信すると(
図3のステップS11:YES)、UHF送信部23により応答信号を車両制御装置10へ送信する(
図3のステップS12)。
【0061】
車両制御装置10の制御部1は、応答要求信号を送信してから所定時間Ta内にUHF受信部3により応答信号を受信すると(
図3のステップS3:YES)、該応答信号に含まれる携帯機20のIDコードに基づいて、携帯機20の認証を行う。ここで、制御部1は、携帯機20のIDコードと車両制御装置10のIDコードとが一致しなければ、携帯機20の認証が成功しなかったと判断し(
図3のステップS4:NO)、処理を終了する。この場合、車両30のドア31〜35が施錠されることはない。
【0062】
対して、応答信号に含まれる携帯機20のIDコードと車両制御装置10のIDコードとが一致すると、制御部1は、携帯機20の認証が成功したと判断する(
図3のステップS4:YES)。そして、制御部1は、車両30が起動状態にあるか否かを確認する(
図3のステップS5)。
【0063】
このとき、車両30の電源(ACCおよびIG)がオフ状態で、かつエンジンが停止状態であれば、制御部1は、車両30が非起動状態にあると判断する(
図3のステップS5:NO)。この場合、制御部1は、ドアロック装置7により車両30のドア31〜35を施錠する(
図3のステップS10)。
【0064】
対して、車両30の電源(ACCもしくはIG)がオン状態、またはエンジンが駆動状態であれば、制御部1は、車両30が起動状態にあると判断する(
図3のステップS5:YES)。この場合、制御部1は、ロックスイッチ4の状態を確認する。
【0065】
図3のステップS1で利用者によりロックスイッチ4が押し操作されてから、該押し操作が所定時間T1が経過するまでに解除されると、
図3のステップS6でロックスイッチ4がオフ状態に切り替わっている(
図3のステップS6:YES)。この場合、制御部1は、ロックスイッチ4が短押しされたと判断し、処理を終了する。つまり、車両30のドア31〜35が施錠されることはなく、車両30の起動状態(電源のオン状態またはエンジンの駆動状態)が継続される。
【0066】
一方、
図3のステップS1で利用者によりロックスイッチ4が所定時間T1以上押し操作され続けると、
図3のステップS6でロックスイッチ4がオン状態にあり(
図3のステップS6:NO)、さらに
図3のステップS7でロックスイッチ4がオン状態のまま所定時間T1が経過する(
図3のステップS7:YES)。この場合、制御部1は、ロックスイッチ4が長押しされたと判断し、変速機9のシフト位置を確認する。
【0067】
そして、変速機9のシフト位置がパーキング位置以外であれば(
図3のステップS8:NO)、処理を終了する。つまり、車両30のドア31〜35が施錠されることはなく、車両30の起動状態が継続される。
【0068】
対して、変速機9のシフト位置がパーキング位置であれば(
図3のステップS8:YES)、制御部1は、車両30を非起動状態に切り替える(
図3のステップS9)。つまり、車両30の電源(ACCおよびIG)をオフし、エンジン装置8によりエンジンを停止する。また、制御部1は、ドアロック装置7により車両30のドア31〜35を施錠する(
図3のステップS10)。
【0069】
上記第1実施形態によると、降車時に、車両30が停車中でかつ起動状態にある場合に、車両30のロックスイッチ4を長押し操作することで、ドア31〜35を施錠し、かつ車両30を非起動状態(電源オフ、エンジン停止)にすることができる。このため、利用者は、たとえば電源をオフにするのを忘れて降車した場合でも、車内に戻って運転席のスタートスイッチ6を操作して電源をオフにした後、再びロックスイッチ4を操作してドア31〜35を施錠するという手順を踏む必要がなく、ロックスイッチ4を長押し操作するだけで、ドア31〜35を施錠し、かつ電源をオフにすることができる。したがって、車両30のドア31〜35の施錠に伴う煩雑な操作を不要にして、利便性を向上させることが可能となる。また、車両30からの携帯機20の遠ざかりなどのような、確認まで時間がかかる条件を判断要素としていないので、車両30を非起動状態にするまでに時間がかからず、消費電力を低減することができる。
【0070】
また、上記第1実施形態では、車両制御装置10が携帯機20との無線通信に基づいて携帯機20の認証を行い、当該認証が成功した場合に、ドア31〜35を施錠し、車両30を非起動状態に切り替えている。このため、正規の携帯機20を携帯した利用者がロックスイッチ4を操作した場合にのみ、ドア31〜35を施錠し、車両30を非起動状態にすることができ、安全性を確保することが可能となる。
【0071】
また、上記第1実施形態では、車両30が非起動状態である場合に、ロックスイッチ4を押し操作することで(この場合の押し操作は、短押しでも長押しでもよい)、ドア31〜35を施錠している。このため、ロックスイッチ4の簡単な操作により、ドア31〜35を即座に施錠することができる。
【0072】
また、上記第1実施形態では、車両30が起動状態である場合に、ロックスイッチ4が短押し操作されても、ドア31〜35を施錠せず、車両30を非起動状態に切り替えない。このため、ロックスイッチ4が誤って押されたために、利用者が意図せず、ドア31〜35が施錠され、車両30が非起動状態となるのを回避することができる。なお、車両30が起動状態である場合に、アンロックスイッチ5を押し操作しても、車両制御装置10がドア31〜35を解錠しないようにしてもよい。車両30が非起動状態である場合は、アンロックスイッチ5を押し操作することで、車両制御装置10がドア31〜35を解錠する。
【0073】
また、上記第1実施形態では、停車中の車両30が起動状態にある場合に、ロックスイッチ4が長押し操作されても、車両30の変速機9のシフト9aがパーキング位置にあることを条件として、ドア31〜35を施錠しかつ車両30を非起動状態に切り替えている。このため、車両30の安全性を確保した上で、ロックスイッチ4の長押し操作により、ドア31〜35を施錠しかつ車両を非起動状態にすることができる。
【0074】
さらに、上記第1実施形態では、車両30が非起動状態にある場合に、ロックスイッチ4を通常の短押し操作することで、ドア31〜35の施錠だけを行い、車両30が起動状態にある場合に、ロックスイッチ4を特別に長押し操作することで、ドア31〜35を施錠するとともに、車両30を非起動状態に切り替えている。このため、ロックスイッチ4の操作態様が簡単であり、スイッチ操作が煩雑にならず、利便性を一層向上させることができる。
【0075】
本発明は、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、
図3の第1実施形態では、変速機9のシフト9aがパーキング位置にあることを条件として、車両30を非起動状態に切り替える例を示したが(
図3のステップS8、S9)、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、車両30がSBW(Shift By Wire)システムを搭載した車両である場合は、シフト9aがパーキング位置にあるという条件を省略してもよい。
【0076】
その場合、たとえば
図4に示す第2実施形態のように、ロックスイッチ4がオン状態のまま所定時間が経過すると(
図4のステップS7:YES)、車両制御装置10の制御部1が、車両30を非起動状態(電源オフ、エンジン停止)に切り替える(
図4のステップS9)。また、制御部1は、ドアロック装置7によりドア31〜35を施錠する(
図4のステップS10)。変速機9のシフト位置は、たとえば車両30が停車したとき、または停車状態が所定時間継続したときに、外部ECUによって強制的にパーキング位置に切り替えられる。他の例として、車両30を非起動状態に切り替える(
図4のステップS9)前に、車両制御装置10から外部ECUへ車両30の状態切替の予告通知を送信し、当該予告通知を受けて外部ECUがシフト位置を強制的にパーキング位置に切り替えてもよい。
【0077】
図3の第1実施形態では、携帯機20の認証が成功(
図3のステップS4:YES)してから、車両30を非起動状態へ切り替えた(
図3のステップS9)例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、たとえば
図5に示す第3実施形態や
図6に示す第4実施形態のように、車両30を非起動状態に切り替えた(
図5、
図6のステップS9)後に、携帯機20の認証を行ってもよい(
図5、
図6のステップS4a)。
【0078】
詳しくは、
図5において、携帯機20からの応答信号を受信すると(
図5のステップS3:YES)、車両制御装置10の制御部1は、車両30が起動状態にあるか否かを確認する(
図5のステップS5)。このとき、車両30が非起動状態にあれば(
図5のステップS5:NO)、制御部1は、携帯機20の認証を行う(
図5のステップS4a)。そして、携帯機20の認証が成功すると(
図5のステップS4a:YES)、制御部1は、ドアロック装置7によりドア31〜35を施錠する(
図5のステップS10)。
【0079】
一方、車両30が起動状態にあれば(
図5のステップS5:YES)、制御部1は、ロックスイッチ4の状態を確認する。そして、ロックスイッチ4がオン状態のまま所定時間T1が経過し(
図5のステップS6:NO、ステップS7:YES)、シフト位置がパーキング位置であれば(
図5のステップS8:YES)、制御部1は、車両30を非起動状態に切り替える(
図5のステップS9)。それから、制御部1は、携帯機20の認証を行い、当該認証が成功すると(
図5のステップS4a:YES)、ドア31〜35を施錠する(
図5のステップS10)。
【0080】
また、
図6において、ロックスイッチ4がオフからオンに切り替わると(
図6のステップS1:YES)、車両制御装置10の制御部1は、車両30が起動状態にあるか否かを確認する(
図6のステップS5)。このとき、車両30が非起動状態にあれば(
図6のステップS5:NO)、制御部1は、LF送信部2により応答要求信号を携帯機20へ送信する(
図6のステップS2a)。携帯機20は、応答要求信号を受信すると(
図6のステップS11:YES)、応答信号を車両制御装置10へ送信する(
図6のステップS12)。車両制御装置10の制御部1は、応答要求信号を送信してから所定時間Ta内にUHF受信部3により応答信号を受信すると(
図6のステップS3a:YES)、該応答信号に含まれる携帯機20のIDコードに基づいて、携帯機20の認証を行う(
図6のステップS4a)。そして、携帯機20の認証が成功すると(
図6のステップS4a:YES)、制御部1は、ドアロック装置7によりドア31〜35を施錠する(
図6のステップS10)。
【0081】
一方、車両30が起動状態にあって(
図6のステップS5:YES)、ロックスイッチ4がオン状態のまま所定時間T1が経過した場合(
図6のステップS6:NO、ステップS7:YES)、車両制御装置10の制御部1は、シフト位置がパーキング位置であれば(
図6のステップS8:YES)、車両30を非起動状態に切り替える(
図6のステップS9)。それから、制御部1は、携帯機20に対して応答要求信号と応答信号の送受信を行う(
図6のステップS2a、ステップS11、ステップS12、ステップS3a)。そして、制御部1は、携帯機20から受信した応答信号に基づいて、携帯機20の認証が成功すると(
図6のステップS4a:YES)、ドア31〜35を施錠する(
図6のステップS10)。
【0082】
上記第3および第4実施形態によると、車両30が起動状態にある場合に、ロックスイッチ4が長押し操作されると、車両制御装置10が携帯機20の認証結果を待つことなく、車両30を非起動状態に切り替える。このため、ロックスイッチ4が長押し操作されてから、車両30を非起動状態にするまでの時間を短縮して、消費電力を一層低減することができる。また、
図6の第4実施形態では、車両30が起動状態のときは、非起動状態に切り替わるまで、車両制御装置10と携帯機20との間で無線通信が行われず、車両30が非起動状態に切り替わって電源がオフとなった後に、車両制御装置10と携帯機20との間で無線通信を行って、ドア31〜35を施錠することができる。
【0083】
以上の実施形態では、ロックスイッチ4を長押し操作することで、車両30を非起動状態に切り替え、ドア31〜35を施錠した例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。以下で述べるように、上記以外の操作パターンでロックスイッチ4を操作することで、車両30を非起動状態に切り替え、ドア31〜35を施錠してもよい。
【0084】
ロックスイッチ4の他の操作パターンの一例を、
図7の第5実施形態に示している。いま、利用者によりロックスイッチ4が一旦押し操作された後、該押し操作が解除され、そのままロックスイッチ4が押し操作されることなく所定時間T2が経過したとする。すると、
図7のステップS1でロックスイッチ4がオフからオン状態になり(
図7のステップS1:YES)、その後
図7のステップS6でロックスイッチ4がオフ状態になり(
図7のステップS6:YES)、さらに
図7のステップS6aでロックスイッチ4がオフ状態のまま所定時間T2が経過する(
図7のステップS6a:YES)。この場合、車両制御装置10の制御部1は、ロックスイッチ4が短押しされたと判断し、処理を終了する。
【0085】
対して、利用者によりロックスイッチ4が所定時間T2内にN回(N≧2)押し操作された、つまり、ロックスイッチ4が所定時間T2内に複数回連続押しされたとする。すると、
図7のステップS1でロックスイッチ4がオフからオン状態になり(
図7のステップS1:YES)、その後
図7のステップS7aでロックスイッチ4が所定時間T2内にオフからオン状態にN回切り替わる(
図7のステップS7a:YES)。この場合、車両制御装置10の制御部1は、ロックスイッチ4が連続押しされたと判断し、シフト位置がパーキング位置であれば(
図7のステップS8:YES)、車両30を非起動状態に切り替え(
図7のステップS9)、ドア31〜35を施錠する(
図7のステップS10)。このようにしても、ロックスイッチ4の操作態様が簡単であるため、スイッチ操作が煩雑にならず、利便性を一層向上させることができる。
【0086】
上記以外のロックスイッチの操作パターンと、車両の状態(起動・非起動)に基づいて、ドアの施錠制御だけを実行したり、ドアの施錠制御と車両状態の切替制御の両方を実行したりしてもよい。
【0087】
以上の実施形態では、車両30に設けられたロックスイッチ4の操作により、ドア31〜35の施錠制御または車両30の非起動状態への切替制御を実行した例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、携帯機20に設けられたロックスイッチ24aの操作により、ドア31〜35の施錠制御または車両30の非起動状態への切替制御を実行してもよい。
【0088】
その場合の一例を、
図8の第6実施形態に示している。第6実施形態では、ロックスイッチ24a(
図1)が、本発明の「操作スイッチ」の一例である。たとえば、車両30から降車した利用者が、携帯する携帯機20のロックスイッチ24aを押し操作して、該押し操作を所定時間T3が経過するまでに解除したとする。すると、ロックスイッチ24aがオフからオン状態に切り替わった(
図8のステップS21:YES)後、ロックスイッチ24aがオフ状態に切り替わる(
図8のステップS22:YES)。この場合、制御部21は、ロックスイッチ24aが短押しされたと判断し、ドア31〜35の施錠指令を含んだ遠隔操作信号を、UHF送信部23により車両制御装置10へ送信する(
図8のステップS23)。この遠隔操作信号は、本発明における「第1信号」の一例である。
【0089】
対して、たとえば、車両30から降車した利用者が、携帯する携帯機20のロックスイッチ24aを押し操作して、該押し操作を所定時間T3継続したとする。すると、ロックスイッチ24aがオフからオン状態に切り替わった(
図8のステップS21:YES)後、ロックスイッチ24aがオフ状態にならずに(
図8のステップS22:NO)、オン状態のまま所定時間T3が経過する(
図8のステップS24:YES)。この場合、制御部21は、ロックスイッチ24aが長押しされたと判断し、ドア31〜35の施錠指令とロックスイッチ24aの長押し情報とを含んだ遠隔操作信号を、UHF送信部23により車両制御装置10へ送信する(
図8のステップS25)。この遠隔操作信号は、本発明における「第2信号」の一例である。
【0090】
車両制御装置10のUHF受信部3により遠隔操作信号が受信されると(
図8のステップS31:YES)、制御部1は、遠隔操作信号に含まれる携帯機20のIDコードに基づいて、携帯機20の認証を行う。ここで、制御部1は、携帯機20のIDコードと車両制御装置10のIDコードとが一致しなければ、携帯機20の認証が成功しなかったと判断し(
図8のステップS32:NO)、処理を終了する。
【0091】
対して、応答信号に含まれる携帯機20のIDコードと車両制御装置10のIDコードとが一致すると、制御部1は、携帯機20の認証が成功したと判断する(
図8のステップS32:YES)。そして、制御部1は、車両30が起動状態にあるか否かを確認する(
図8のステップS33)。このとき、車両30が非起動状態にあれば(
図8のステップS33:NO)、制御部1は、遠隔操作信号に基づいてドア31〜35を施錠する(
図8のステップS36)。この場合の遠隔操作信号は、上述した第1信号でもよいし第2信号でもよい。
【0092】
一方、車両30が起動状態にあれば(
図8のステップS33:YES)、制御部1は、遠隔操作信号にロックスイッチ4の長押し情報が含まれている否かを確認する(
図8のステップS34)。そして、遠隔操作信号が上述した第1信号であって、当該信号にロックスイッチ4の長押し情報が含まれていなければ(
図8のステップS34:NO)、処理を終了する。
【0093】
一方、遠隔操作信号が上述した第2信号であって、当該信号にロックスイッチ4の長押し情報が含まれていれば(
図8のステップS34:YES)、制御部1は、車両30を非起動状態に切り替える(
図8のステップS35)。これにより、電源(ACCおよびIG)がオフになるとともに、エンジンが停止する。また、制御部1は、車両30のドア31〜35を施錠する(
図8のステップS36)。
【0094】
上記第6実施形態によると、車両30から降車したときに、車両30が停車中でかつ起動状態にある場合に、携帯機20のロックスイッチ24aを長押し操作することで、ドア31〜35を施錠し、車両30を非起動状態にすることができる。このため、第1実施形態と同様に、車両30のドア31〜35の施錠に伴う煩雑な操作を不要にして、利便性を向上させることが可能となる。また、車両30からの携帯機20の遠ざかりなどのような、確認まで時間がかかる条件を判断要素としていないので、車両30を非起動状態にするまでに時間がかからず、消費電力を低減することができる。
【0095】
以上の実施形態では、エンジンを走行駆動源とする車両に本発明を適用した例を挙げたが、本発明は、電動機を走行駆動源とする電気自動車などの車両や、エンジンと電動機の両方を走行駆動源とするハイブリッドカーなどの車両にも適用することができる。また、以上の実施形態では、車両として自動四輪車を例に挙げたが、たとえば大型自動車などの他の車両に対しても、本発明を適用することは可能である。