(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、本願発明者は、シングルロータの無人ラジコンヘリの代わりに、マルチコプターと呼ばれる複数のロータユニットを有する無人飛行体にレーザースキャナを搭載して、さらに低い高度で安定した自律航行を可能とし、より高精細な三次元計測データを得ることを考えた。
【0005】
ところで、無人飛行体のような小型の機体を用いて、レーザースキャナのような重量物を搭載して安定した自律航行を行うためには、機体の剛性を十分に確保するととともに、機体を軽量化する必要がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、無人飛行体の軽量化を図るとともに剛性を確保できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数のロータユニットが設けられた飛行ユニットを備えた無人飛行体を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明は、前記飛行ユニットは、閉断面形状の機体と、該機体から径方向外方に延びてその先端部に前記ロータユニットが保持された筒状の複数のロータアームと
、複数の該ロータアームの基端側からそれぞれ下方に延びる筒状の複数の支持脚とを有し、該機体に該ロータアームの基端部が一体に取り付けられ
且つ該ロータアームの基端側に該支持脚が一体に取り付けられたモノコック構造体で構成され、
前記ロータアームの筒壁は、繊維が編み込まれた繊維強化樹脂シートを複数積層させた積層構造体で構成され
、
前記ロータアームの先端部及び基端部における筒壁の肉厚は、該ロータアームの先端部から基端部にかけて延びる延伸部の筒壁の肉厚よりも厚くなっており、
前記支持脚の筒壁は、繊維が編み込まれた繊維強化樹脂シートを複数積層させた積層構造体で構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
第1の発明では、閉断面形状の機体と筒状のロータアームとが一体に取り付けられたモノコック構造体で飛行ユニットを構成している。このような構成とすれば、ロータアームを機体に取り付けるための骨組みが必要無く、飛行ユニットの軽量化を図るとともに剛性を確保することができる。
【0010】
また、ロータアームの筒壁を、複数の繊維強化樹脂シートを積層させた積層構造体で構成している。このような構成とすれば、繊維強化樹脂シートに編み込まれた繊維によって、ロータアームの剛性を高めることができる。
【0011】
また、ロータアームの先端部及び基端部における筒壁の肉厚を、延伸部の筒壁の肉厚よりも厚くしている。このように、ロータユニットの振動が加わり易いロータアームの先端部や、曲げ応力の加わり易いロータアームの基端部のような、剛性を高める必要がある部分についてのみ、ロータアームの筒壁の肉厚を厚くすることで、ロータアームの筒壁全体を厚くする場合に比べて軽量化を図ることができる。
【0012】
また、筒状のロータアームと筒状の支持脚とが一体に取り付けられたモノコック構造体で飛行ユニットを構成している。このような構成とすれば、支持脚をロータアームの基端側や機体に取り付けるための骨組みが必要無く、飛行ユニットの軽量化を図るとともに剛性を確保することができる。
【0013】
また、支持脚の筒壁を、複数の繊維強化樹脂シートを積層させた積層構造体で構成している。このような構成とすれば、繊維強化樹脂シートに編み込まれた繊維によって、支持脚の剛性を高めることができる。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、
前記ロータアームの筒壁は、繊維の編み込みパターンが異なる複数の前記繊維強化樹脂シートを積層させて構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
第2の発明では、繊維の編み込みパターンが異なる複数の繊維強化樹脂シートを積層させているから、異なる方向からロータアームに加わる外力に対する剛性を高めることができる
。
【0016】
第3の発明は、第1
又は第2の発明において、
前記繊維強化樹脂シートは、カーボン繊維が編み込まれたカーボン繊維強化樹脂シートと、アラミド繊維が編み込まれたアラミド繊維強化樹脂シートとを有することを特徴とするものである。
【0017】
第
3の発明では、カーボン繊維強化樹脂シートと、アラミド繊維強化樹脂シートとが積層される。これにより、飛行ユニットが衝突や落下する等して、ロータアームが損傷した場合に、ロータアームが飛散するのを抑えることができる。
【0018】
具体的に、カーボン繊維強化樹脂シートのみでロータアームを構成すると、ロータアームが損傷したときに、カーボン繊維強化樹脂シートがバラバラに分解して周囲に飛散するおそれがある。
【0019】
そこで、カーボン繊維強化樹脂シートよりも引っ張り強度の高いアラミド繊維強化樹脂シートを、カーボン繊維強化樹脂シートとともに積層させることで、ロータアームが損傷した場合に、カーボン繊維強化樹脂シートが飛散するのをアラミド繊維強化樹脂シートによって抑えることができる。
【0020】
なお、アラミド繊維強化樹脂シートは、カーボン繊維強化樹脂シートよりも高価であり、表面の肌触りがざらざらしているため、ロータアームの表面側にカーボン繊維強化樹脂シートを配置し、カーボン繊維強化樹脂シートよりも筒内側に、例えば、一層分だけアラミド繊維強化樹脂シートを積層すればよい
。
【0021】
第4の発明は、第1乃至第
3の発明のうち何れか1つにおいて、
前記機体の内部に配設され、前記飛行ユニットの動作を制御する制御部を備えたことを特徴とするものである。
【0022】
第
4の発明では、制御部が機体の内部に配設されているので、飛行ユニットが衝突や落下した場合でも、閉断面形状で剛性の高い機体によって制御部が保護されることとなり、重要部品である制御部の損傷を抑えることができる。
【0023】
第
5の発明は、第1乃至第
4の発明のうち何れか1つにおいて、
前記機体は、下方が開口する箱状に形成された上側箱体と、上方が開口する箱状に形成された下側箱体とを有し、該上側箱体の開口部に該下側箱体の開口部が一体に取り付けられることで閉断面形状に形成され、
前記ロータアームの基端部は、前記機体の内部に差し込まれるとともに、該基端部の上面が前記上側箱体に取り付けられる一方、下面が前記下側箱体に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0024】
第
5の発明では、上側箱体と下側箱体とを組み合わせることで機体が構成されている。これにより、機体の内部に電気配線を配索する作業等を、上側箱体を取り外すことで容易に行うことができる。
【0025】
また、ロータアームの基端部の上面を上側箱体に、下面を下側箱体にそれぞれ取り付けた構成とすることで、ロータアームと機体との一体化を確実に行うことができる。
【0026】
第
6の発明は、第1乃至第
5の発明のうち何れか1つにおいて、
前記飛行ユニットに対して着脱可能に取り付けられた測量ユニットを備え、
前記測量ユニットは、測量用のレーザースキャナと、上方が開口する箱状に形成されてその下面に該レーザースキャナが支持されたレーザーマウントとを有し、
前記レーザーマウントは、前記機体の下側に一体に取り付けられてモノコック構造体の一部を構成していることを特徴とするものである。
【0027】
第
6の発明では、レーザースキャナを支持するレーザーマウントは、機体の下側に一体に取り付けられてモノコック構造体の一部を構成している。このように、剛性が高められたレーザーマウントによって、重量物であるレーザースキャナを安定して支持することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、無人飛行体の軽量化を図るとともに剛性を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0031】
図1〜
図3に示すように、無人飛行体10は、飛行ユニット20と、飛行ユニット20に着脱可能に取り付けられた測量ユニット30とを備えている。飛行ユニット20は、機体21と、機体21に揚力及び推力を発生させる複数のロータユニット25とを有する。
【0032】
機体21は、下方が開口する箱状に形成された上側箱体21aと、上方が開口する箱状に形成された下側箱体21bとを有する。機体21は、上側箱体21aの開口部に下側箱体21bの開口部を重ね合わせた状態で、締結ネジ40により締結させて一体に取り付けることで、閉断面形状に形成されている。
【0033】
機体21には、径方向外方に向かって放射状に延びる4本の角筒状のロータアーム22が設けられている(
図1では2本のみ図示)。ロータアーム22の先端部には、ロータユニット25が取り付けられている。
【0034】
ロータアーム22の基端部は、機体21の内部に差し込まれている。そして、ロータアーム22の基端部の上面は、締結ネジ40によって上側箱体21aに取り付けられている。一方、ロータアーム22の基端部の下面は、締結ネジ40によって下側箱体21bに取り付けられている(
図3参照)。
【0035】
このように、閉断面形状の機体21と角筒状のロータアーム22とが一体に取り付けられることで、飛行ユニット20は、モノコック構造体を構成している。これにより、ロータアーム22を機体21に取り付けるための骨組みが必要無く、飛行ユニット20の軽量化を図るとともに剛性を確保することができる。
【0036】
なお、ロータアーム22の筒壁は、カーボン繊維やケブラー繊維(登録商標:以下、アラミド繊維という)が編み込まれた繊維強化樹脂シートを複数積層させた積層構造体で構成されているが、この点については後述する。
【0037】
ロータユニット25は、プロペラ26と、プロペラ26を回転させるロータモータ27とを有する。ロータユニット25は、4本のロータアーム22の先端部において上下方向に離れて2つずつ、合計8つ設けられている(
図1では4つのみ図示)。
【0038】
8つのロータユニット25は、ロータモータ27の回転数を略同一とすることで、無人飛行体10を上昇させる揚力を発生させ、機体21を水平姿勢に維持することができる。また、8つのロータユニット25のうち前後又は左右のロータモータ27の回転数を変えて機体21を傾けることで、機体21を前後又は左右に移動する推力を発生させることができる。
【0039】
なお、本実施形態では、4本のロータアーム22の先端部に8つのロータユニット25を取り付けた構成について説明したが、ロータアーム22の本数及びロータユニット25の個数については、特に限定するものではない。例えば、6本のロータアーム22の先端部に6つのロータユニット25を取り付けた構成であってもよい。
【0040】
機体21の上部には、飛行ユニット20用のバッテリー11が搭載されている。また、機体21には、機体21の上部から立設する第1支柱23の上端部に、第1GPS受信機24が取り付けられている。第1GPS受信機24は、GPS衛星から位置情報を受信して、第1コントロールボックス12(制御部)に送信する。
【0041】
機体21の内部には、飛行ユニット20の動作を制御する第1コントロールボックス12が配設されている。このように、閉断面形状で剛性の高い機体21によって第1コントロールボックス12を保護することで、飛行ユニット20が衝突や落下した場合でも、重要部品である第1コントロールボックス12の損傷を抑えることができる。
【0042】
第1コントロールボックス12は、電子コンパスやジャイロセンサ等の各種センサからの出力に基づいてロータユニット25の動作を制御する。また、第1コントロールボックス12は、第1GPS受信機24で得られた位置情報に基づいて、無人飛行体10の飛行位置を補正する。
【0043】
ロータアーム22の基端側には、下方に延びる4本の筒状の支持脚28がそれぞれ取り付けられている。具体的に、支持脚28の上端部には、ロータアーム22の側面に当接する側面ブラケット28aと、機体21の下面に当接する下面ブラケット28bとが一体形成されている(
図3参照)。側面ブラケット28aは、締結ネジ40によってロータアーム22の側面に締結されている。下面ブラケット28bは、締結ネジ40によって機体21の下面に締結されている。これにより、飛行ユニット20は、機体21、ロータアーム22、及び支持脚28が一体に取り付けられたモノコック構造体を構成している。
【0044】
支持脚28は、機体21を所定の高さ位置に支持しており、無人飛行体10が地上で待機しているときに機体21や測量ユニット30が地面に触れないようにしている。
【0045】
測量ユニット30は、レーザー式計測装置である測量用のレーザースキャナ31と、上方が開口する箱状に形成されてその下面にレーザースキャナ31が支持されたレーザーマウント32とを有する。
【0046】
レーザーマウント32の開口部には、上方に突出して機体21の側面に当接する取付部32aが一体形成されている。取付部32aは、機体21の上側箱体21a及び下側箱体21bを締結する締結ネジ40によって共締めされている。レーザーマウント32は、機体21の下側に一体に取り付けられることで、モノコック構造体の一部を構成している。このように、剛性が高められたレーザーマウント32によって、重量物であるレーザースキャナ31を安定して支持することができる。
【0047】
レーザースキャナ31は、地上に向かってレーザー光を照射することで、地形の三次元データをレーザー計測するものである。レーザースキャナ31には、加速度センサや電子コンパスを有する慣性計測装置33(IMU)が取り付けられている。
【0048】
また、レーザーマウント32には、上方に延びる円筒状の第2支柱34と、第2支柱34の上端部に設けられた台座部35と、台座部35に載置された測量ユニット30用の第2GPS受信機36とが設けられている。第2支柱34の筒内には、第2GPS受信機36の電気配線が配索されている。
【0049】
台座部35は、第2支柱34の上端部から上方に向かって径方向外方に広がるラッパ形状に形成されている。これにより、台座部35を単なる円筒状に形成した場合に比べて、第2GPS受信機36に対してノイズの影響が及ぶのを抑えることができる。
【0050】
具体的に、第2GPS受信機36が載置されている台座部35を、単なる円筒状に形成した場合には、外部から台座部35に向かう振動波等が台座部35で増幅されてしまい、第2GPS受信機36においてノイズ信号として受信されてしまうおそれがある。
【0051】
これに対し、本実施形態のように、台座部35をラッパ形状に形成することで、外部から受信される振動波等は、台座部35において分散されることとなる。そのため、振動波等の増幅が抑えられてノイズ信号が発生し難くなる。
【0052】
また、台座部35は、アラミド繊維が編み込まれた繊維強化樹脂シートを複数積層させることで構成されている。これにより、第2GPS受信機36の周辺の電磁シールド対策を施すことができる。
【0053】
具体的に、第2GPS受信機36では、精度が高いほど、レーザースキャナ31で測定した測定情報の位置を高精度に示すことができるので、高精度にすることが好ましい。ここで、アラミド繊維は、電波を遮ることなく透過させる一方、電気を通さず、磁化を防止することができるため、電磁シールド対策用の素材として好ましい。
【0054】
なお、アラミド繊維は、カーボン繊維に比べて高価であるため、本実施形態では、第2GPS受信機36を載置する台座部35にのみ、アラミド繊維強化樹脂シートの積層構造体を用いているが、第1支柱23や第2支柱34についても、アラミド繊維強化樹脂シートの積層構造体で構成するようにしても構わない。
【0055】
レーザーマウント32の内部には、レーザースキャナ31用のバッテリー13と、第2コントロールボックス14と、パーソナルコンピュータ15とが設けられている。
【0056】
第2コントロールボックス14は、レーザースキャナ31の動作を制御する。パーソナルコンピュータ15は、レーザースキャナ31で取得したスキャンデータ、慣性計測装置33の計測データ、及び第2GPS受信機36のGPSデータ等を記録して処理する。
【0057】
なお、レーザースキャナ31で得られる情報量が多いので、一旦、パーソナルコンピュータ15のメモリ(図示せず)に記憶させて、後から取り出すようにしているが、多量な情報でも、無線で送信できるようになれば、パーソナルコンピュータ15に蓄積せずに、直接送るようにしても良い。
【0058】
本実施形態では、無人飛行体10は、飛行ユニット20と測量ユニット30とを分離可能な構成となっている。これにより、無人飛行体10を測量現場に搬送する際に分離して持ち運びやすく、また、レーザースキャナ31が故障した場合でも、測量ユニット30のみをメンテナンスできるようになっている。
【0059】
そして、レーザースキャナ31、慣性計測装置33、及び第2GPS受信機36を測量ユニット30に搭載させたことで、飛行ユニット20と測量ユニット30とを分離させた場合でも、その位置関係が変わることはない。つまり、飛行ユニット20と測量ユニット30とを着脱させるたびに、レーザースキャナ31、慣性計測装置33、及び第2GPS受信機36の位置調整を行う必要が無い。
【0060】
特に、レーザースキャナ31で測定した測定情報を、第2GPS受信機36で入手した位置情報と関連付けたデータとして残し、第1GPS受信機24では、無人飛行体10の位置情報を入手して、無人飛行体10の位置を補正するようにする。このように、第1GPS受信機24と第2GPS受信機36との位置情報を使い分けている。使い分けている理由は以下の通りである。
【0061】
第2GPS受信機36では、精度が高いほど、レーザースキャナ31で測定した測定情報の位置を高精度に示すことができるので、高精度にすることが好ましい。
【0062】
そして、この第2GPS受信機36の高精度の位置情報に基づいて、微々たる位置の差異を補正すると、無人飛行体10の位置が安定せずに微細な動きを繰り返し、その結果、振動や誤作動を引き起こす可能性が高くなる。
【0063】
そのために、第2GPS受信機36の位置情報に基づいては、無人飛行体10の位置を補正しないで、第1GPS受信機24の位置情報に基づいて、位置補正をするようになっている。
【0064】
この場合に、無人飛行体10の第1GPS受信機24の位置情報は、第2GPS受信機36の位置情報よりも、測定精度を緩和して微細な補正をしないで済むようにしている。その結果、第2GPS受信機36が、第1GPS受信機24に比較して高精度の位置情報を検出するようになっている。
【0065】
図4に示すように、ロータアーム22は、閉断面形状に形成された角筒状の部材で構成されている。ロータアーム22の筒壁は、繊維が編み込まれた複数の繊維強化樹脂シートを積層させた積層構造体で構成されている。
【0066】
図5に示すように、繊維強化樹脂シートは、封入する繊維の量や、繊維の編み込みパターンを変えることによって、剛性を高めることができる。本実施形態では、主に、軽量で高剛性であり且つ振動減衰性が高いカーボン繊維41aが含まれたカーボン繊維強化樹脂シート41を用いて、積層構造体を構成している。
【0067】
そして、積層方向に隣接するカーボン繊維強化樹脂シート41では、カーボン繊維41aの編み込みパターンが互いに異なるものを積層させるようにしている。
【0068】
具体的に、
図5で下から1番目と3番目のカーボン繊維強化樹脂シート41は、カーボン繊維41aが互いに直交するように網目状に編み込まれている。そして、その間に挟み込まれる下から2番目のカーボン繊維強化樹脂シート41は、隣接するカーボン繊維強化樹脂シート41のカーボン繊維41aの繊維方向に対して45°傾斜した状態で、カーボン繊維41aが網目状に編み込まれている。
【0069】
このように、カーボン繊維強化樹脂シート41のカーボン繊維41aが、各層ごとに45°方向に交差した状態となっているので、異なる方向からロータアーム22に加わる外力に対する剛性を高めることができる。
【0070】
図6に示すように、ロータアーム22の先端部から基端部にかけて延びる延伸部22aの筒壁は、編み込みパターンの異なる複数のカーボン繊維強化樹脂シート41と、アラミド繊維が編み込まれたアラミド繊維強化樹脂シート46とを積層させることで構成されている。
【0071】
カーボン繊維強化樹脂シート41は、ロータアーム22の表面側から順に、五層設けられている。そして、アラミド繊維強化樹脂シート46は、六層目に設けられている。
【0072】
アラミド繊維強化樹脂シート46は、カーボン繊維強化樹脂シート41よりも引っ張り強度が高いため、飛行ユニット20が衝突や落下する等して、ロータアーム22が損傷した場合に、カーボン繊維強化樹脂シート41が飛散するのをアラミド繊維強化樹脂シート46によって抑えることができる。
【0073】
ここで、ロータアーム22の先端部や基端部には、ロータユニット25の振動や曲げ応力が加わり易いため、剛性を高める必要がある。そこで、本実施形態では、ロータアーム22の先端部及び基端部における筒壁の肉厚を、延伸部22aの筒壁の肉厚よりも厚くしている。
【0074】
図7に示すように、ロータアーム22の基端部の筒壁は、延伸部22aの筒壁の積層構造に加えて、さらに、四層のカーボン繊維強化樹脂シート41が積層されている。
【0075】
具体的に、六層目のアラミド繊維強化樹脂シート46の内面側に、編み込みパターンの異なる4つのカーボン繊維強化樹脂シート41が積層されることで、全部で十層の積層構造体が構成されている。
【0076】
なお、ロータアーム22の先端部の筒壁については、基端部の筒壁の構成と略同様であるため、説明を省略する。
【0077】
このように、ロータユニット25の振動が加わり易いロータアーム22の先端部や、曲げ応力の加わり易いロータアーム22の基端部のような、剛性を高める必要がある部分についてのみ、ロータアーム22の筒壁の肉厚を厚くすることで、ロータアーム22の筒壁全体を厚くする場合に比べて軽量化を図ることができる。
【0078】
また、機体21、支持脚28、及びレーザーマウント32についても同様に、カーボン繊維41aの編み込みパターンの異なる複数のカーボン繊維強化樹脂シート41を積層させた積層構造体で構成するようにしている。そして、剛性を高める必要がある部分の肉厚を厚くしたり、アラミド繊維強化樹脂シート46を積層させるようにしている。
【0079】
なお、ロータアーム22におけるカーボン繊維強化樹脂シート41の積層数やアラミド繊維強化樹脂シート46の積層位置は、あくまでも一例であり、この形態に限定するものではない。例えば、剛性をより高めたければ、全体の層数を多くして筒壁の肉厚を厚くしたり、高剛性なアラミド繊維強化樹脂シート46の層数を多くすればよい。