【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は請求項1にかかる車輪懸架システムによって達成される。該システムは第1の車輪及び第2の車輪を有する第1のアクスルと第3の車輪及び第4の車輪を有する第2のアクスルを具備している。これらの第1及び第2のアクスルは従動アクスルでありタンデムアクスルやマルチアクスルの一部を成すものである。タンデムアクスル(もしくはマルチアクスル)とは共通の駆動軸システムから2つのアクスル(もしくは複数のアクスル)に動力が伝達されているものを指す。車輪懸架システムがさらに従動アクスルを含む可能性もあるが、以下、上記システムをタンデムアクスルシステムとして説明を行う。これに基づき、駆動軸は第1の差動装置を介して第1のアクスルに接続される第1の部分と第2の作動装置を介して第2のアクスルに接続される第2の部分を有するものとする。これらの作動装置は横方向に機能するものであり、すなわち、各車輪アクスルに装備された車輪対の速度差は許容して、異なるアクスル間の速度差は許容しないように構成されている。車輪懸架システムはさらに第1及び第2のアクスル及び/または第1及び第2のアクスルの各車輪の回転速度を検出するための角速度センサを備える。角速度センサとは、アクスル及び/または車輪の回転速度を算出または検出するために用いることができるパラメータを感知または指示可能なセンサを全て含むものである。使用する各角速度センサとしては、例えばブレーキ時の車輪のロックを検出するためのもしくは牽引制御におけるスリップを検出するためのアンチロック・ブレーキシステム(ABS)に適用可能な同じセンサを用いてもよい。また、アクスル及び/または車輪の角速度を検出するのに好適な車輪アクスルや車輪やギヤボックスやエンジンやパワートレインのその他の部品に搭載した別の種類の角速度センサを用いてもよい。角速度センサは電子制御装置(ECU)に接続されており、電子制御装置(ECU)は角速度センサからの入力を受信するものである。ECUは角速度センサからの入力を用いて第1及び第2のアクスル間の角速度の差及び/または第1及び第2のアクスルの各車輪間の角速度の差を算出する。角速度センサからの情報と車両及び/または運転状況に関する更なる情報に基づいて、車輪懸架構造を制御するための出力信号を送出するように或いは一般的な条件に応じて適切な対応を運転手に求めるようにECUをプログラムできる。
【0008】
車輪懸架システムはまた駆動軸に設けられた連結装置を備え、該装置は駆動軸の第1及び第2の部分の間に位置し第1及び第2の部分を駆動可能に接続された状態と駆動不可能に切断された状態とに切り換える。連結装置は爪クラッチや噛み合いクラッチや摩擦/円板クラッチなどの切断状態と接続状態を切り換えることができる好適な装置を備えてもよい。これにより第1及び第2の従動アクスルを駆動可能な接続状態から完全に切り離すことが可能となる。この構成は米国特許出願公開第2002/0179345に開示されたシステムと比較して多数の利点を有する。明らかな利点としては、第1及び第2のアクスルそれぞれの角速度をより高い精度で容易に検出できる。米国特許出願公開第2002/0179345においては、従動アクスルは常に接続されており、角速度センサがアクスル及び/または車輪間の回転速度の差を精度良く測定するのはさらに困難である。各アクスルは互いに接続されておりアクスル間に差動装置が装備されていないため、2つのアクスルの速度は同じとなり車輪がスリップもしくは空転してしまう。尚、アクスル間を切断する状況とは、アクスルや車輪間の角速度差が所定値を上回っていると判断された際に連結装置を切り離すことを指す。この場合切断されたアクスルによる牽引力が失われるが、同じ車両速度を得るために従動アクスル対を異なる速度で回転させた場合に生じる摩擦力から車両を保護できる。
【0009】
車輪懸架構造の機能性をさらに高めるために、後部従動アクスルの1つ、例えば第1のアクスルに作用する昇降機構を備えてもよい。昇降機構はアクスルを昇降させて、アクスル位置を対応する車輪が接地する第1の位置と車輪対が接地しない地面上方の第2の位置との間で変更可能に設計されている。尚、以下において「第1のアクスル」は例えば昇降可能なアクスルとするが、先頭のアクスルや(車両の前部に最も近い位置にある)プッシャーアクスル、最後尾のアクスルや(車両の後部に最も近い位置にある)最後部のアクスル、先頭と最後尾のアクスルの間のアクスルを昇降可能なアクスルとしてもよい。後者は、車輪懸架構造が3つ以上のアクスルを有する場合である。尚、2つ以上のアクスルを昇降可能としてもよく、ここに開示される本発明は車輪懸架構造において昇降可能アクスルと昇降不可のアクスルのいかなる組み合わせにも好適に使用できる。
【0010】
上記構造により、推進を目的とした第1及び第2のアクスルの使用が、例えば同じ車両速度を得るために回転速度に差が生じてしまい望ましくないと判断された場合、アクスルを上昇させて地面に接地させないようにもできる。しかしながら多くの場合、昇降可能なアクスル、例えば第1のアクスルを制御して地面に触れる低い位置に保つことが、アクスルを増やして荷重を分散させる必要からより望ましい。この場合、昇降可能なアクスルはアクスル間の荷重を分散させるため用いることができ、また、他のアクスル、例えば第2のアクスルを駆動軸を介してエンジンに駆動可能に接続しながら昇降可能なアクスルを制御してエンジンに駆動可能に接続されないようにできる。昇降可能なアクスルの上昇及び下降と、(1つまたは複数の)アクスルの接続/切断は、車両が停止している時に通常どおりに実施する。一般的にアクスルは、他のアクスルが超荷重となるのを防ぐために積み荷の積載前に下降及び接続し、タイヤの磨耗を抑え滑りやすい道路での発進が容易になるように、積み荷が降ろされると上昇及び切断される。例えばアクスルの上昇やアクスルの接続を遅らせて測定を行うことも可能であるが上記理由から望ましくない。しかしながら測定対象の(1つもしくは複数の)アクスルを発進時に接続及び/または車両を現在の荷重故にアクスルを下降させて走行する場合、一つ以上の軸をわずかな間一時的に切断して角度速度差を測定可能とすることにより、測定を実施できる。このような測定は例えば平坦な道やわずかに下降している道を一定の速度で走行している時など変速機が軽負荷で動作している時に実施するのが好ましい。
【0011】
接地しないようにアクスルを持ち上げることは、一方で、従動アクスルに対してアクスルの回転速度の差が生じる問題がなく、通常の走行モードにおいては燃料を節約できるという利点がある。しかしながら、持ち上げられた車輪のタイヤの磨耗が少なく、それ故、この場合アクスルの角速度差を継続して監視する構造を含むことがことさら重要となる。というのも、角速度差は各アクスルが別々に用いられるか或いは磨耗の度合いが異なることにより生じるためである。
【0012】
上述したように、車輪懸架システムは第3の車輪対(第5の車輪と第6の車輪)に接続された第3の従動アクスルを備え、該車輪対は第3のアクスルの回転速度及び/または第3のアクスルの各車輪の回転速度を検出するための角速度センサを有することができる。この第3のアクスルは第1及び第2のアクスルと同じ駆動軸に接続されている。第3のアクスルは第3の車輪対を異なる速度で回転させる第3の差動装置を介して駆動軸システムに接続されている。このシステムは駆動軸に第2連結装置を備え、該装置により第3のアクスルを第1及び/または第2のアクスルから切断できる。この例においては、昇降可能なアクスルの例である第1のアクスルを先頭アクスルやプッシャーアクスルまたは最後尾のアクスルや最後部のアクスル或いはプッシャーアクスルと最後部のアクスルの間のアクスルとすることができる。プッシャーアクスルが昇降可能なアクスルの場合、プッシャーアクスルと駆動軸(変速機の出力軸)との間にさらなる連結装置を設けることができる。これにより車両を前部従動アクスルやプッシャーアクスルの後方に設けられて駆動軸に独立して接続された従動アクスルによって駆動できる。必要に応じて車輪懸架システムはさらなる従動アクスルと非従動アクスルを有することができる。
【0013】
上述したように、車輪懸架システムは第4の車輪対(第7の車輪及び第8の車輪)に接続された少なくとも1つの前部従動アクスルを備え、該車輪対は前部従動アクスルの回転速度及び/または前部従動アクスルの各車輪の回転速度を検出するための角速度センサを有してもよい。このアクスルは2つ以上の後部従動アクスルと同じ駆動軸に接続されている。前部従動アクスルは第4の車輪対を異なる速度で回転させる第4の差動装置を介して駆動軸システムに接続されている。このシステムは駆動軸において第3の連結装置を備え、該装置により前部従動アクスルを後部従動アクスルから切断できる。該システムは各従動輪が車輪の角速度を検出するための角速度センサをそれぞれ有するように設計できる。この構造により、車輪の実際の角速度を求めて異なるアクスルの間の速度差(inconsistencies)を検出するだけでなく、車輪懸架システムの制御時には各車輪を継続して監視できる。ECUは検出した特定の車輪の状態に関し指示を与えるかもしくは制御信号を送出できる。
【0014】
車輪懸架システムは様々な車両に適用及び組み込み可能である。特に、重い荷重用に設計されたトラック及び/または悪路にて重作業を行う車両に好適である。
【0015】
本発明はまた車両用マルチドライブアクスル、例えばタンデムアクスルを含む車輪懸架システムの制御方法に関する。車輪懸架システムは少なくとも2つの従動アクスルを備え、従動アクスルはそれぞれ車輪対を具備し差動装置を介して駆動軸に接続されており、駆動軸は、駆動軸に接続された差動装置間に位置する連結装置を備え、連結装置により駆動軸は各部分に分割される。制御可能な連結装置(複数ある場合は各連結装置)は接続状態と切断状態に切り換え可能であり、駆動軸の各部分及び接続される従動アクスルを互いに駆動可能に接続された状態と駆動不可能に切断された状態に切り換えることができる。車輪懸架システムはさらにアクスル及び/またはアクスルに接続された車輪の角速度を検出するための角速度センサをさらに備える。制御方法は以下のステップを含み、タンデムアクスル、すなわち、2つの従動アクスルを備えた車輪懸架システムを例に説明を行う。第1のステップでは、連結装置が制御されて切り離され第1の従動アクスルに接続された第1の差動装置を有する駆動軸の第1の部分が第2の従動アクスルに接続された第2の差動装置を有する駆動軸の第2の部分から駆動不可能に切断される。この状態では、第1及び第2のアクスルは他のアクスルの速度と無関係に回転可能である。一般に、この状態は他のアクスルを電源に接続しながら、1つのアクスルを完全に切り離して電源、例えば、内燃機関(ICE)から独立して自由に回転可能とすることを指す。また、他のアクスルを切断してスリップのリスクを減じることにより上記アクスルの角速度を正確に測定できる。しかしながら、他のアクスルを電源に接続したままでもよく、測定時に車輪のスリップや空転を防ぐために、駆動または制動トルクが所定値内に収まっているシーケンスの間に測定を行うように設定できる。測定を実施するのに相応しい時点とはトルクが一切加わっておらず、推進あるいは制動トルクも加わっていない時点であることが容易に理解されるであろう。次のステップでは、従動アクスルを互いに駆動不可能に切断しながら、アクスル及び/またはアクスルに接続された車輪の角速度を角速度センサによって検出する。
【0016】
次のステップにて、アクスル及び/またはアクスルに接続された車輪の検出された角速度を用いて、第1及び第2のアクスルの角速度差及び/または第1及び第2のアクスルの各車輪の角速度差を求める。
【0017】
さらに次のステップにて、異なるアクスル及び/または車輪の算出した角速度差を基準値と比較して速度差の比較結果を得る。
【0018】
最後のステップにて、角速度差の比較結果を車輪半径の差を示す指標として用いて、角速度差が許容値を超えている場合警告信号を発する及び/または制御動作を実施する。車輪半径の差とはここでは車輪の円周、回転半径や車輪半径に関連するその他のパラメータの測定値または指標を含むとする。差の程度及び/または運転状況や車両の特性に応じて制御動作も異なる。例えば、車両がぬかるんだ地面をかなり遅い速度で走行中、第1及び2のアクスルの速度差が所定制限を超えていても推進力を伝えるために両アクスルを用いることが可能かもしくは好適だと判断されることがある。一方、所定の速度制限を超えて普通の道路を走行する際には、たとえ両アクスルを駆動可能に接続できるとしても、両アクスルを使用すべきではないと判断される。速度差が非常に大きくまた路面状態や走行状況によっては、制御システムは速度差が大きすぎるアクスル対を駆動可能に接続しないようにできる。アクスル対の速度差はタイヤの磨耗度合いを示す指標としても使用可能であり、また例えば運転手にタイヤの状態を確認するよう促す警告ともなり得る。つまり、角速度の測定結果は車輪懸架システム(あるいは車両のある部分)に対して直接的に発せられる制御信号でもあり、また運転手に特定の特性の状態を確認するよう促す警告でもある。上述した制御方法はアクスルの1つ、例えば第1のアクスルに作用する昇降機構を備えた車輪懸架システムに適用可能である。昇降機構は第1及び第2の車輪の位置を地面に接地するような作動位置と接地レベル上方の停止位置との間で切り換えるために第1のアクスルを持ち上げるように設計されている。
【0019】
車輪懸架システムが上記昇降機構を備える場合、制御方法は以下のステップを上記方法のステップの前に実施する。第1のステップでは、上昇して停止位置にある第1のアクスルを下方の作動位置に下降させる。停止位置では第1のアクスルの車輪対は接地レベル上方にあり、作動位置では車輪は地面に接地する。この操作は、第1のアクスルが駆動不可能に第2のアクスルから切断されるように連結装置を切り離して行われる。次のステップでは、連結装置を切り離したまま従動アクスルが駆動不可能に切断された状態を維持する。少なくとも第1のアクスル及び/またはその車輪対の角速度を示す角速度センサからの角速度の検出値が安定するまでは、アクスルを駆動不可能に切断するものとする。通常、車輪速度は車輪が地面に接地してから1秒〜数秒以内に安定する。
【0020】
アクスル対の角速度差が許容値または臨界上限値外の場合、制御動作の1つとしてアクスルを互いに駆動不可能に切断したままにする。この制御動作は例えば荷重や車両速度や道路/路面状態等のさらなるパラメータに依存する。
【0021】
車輪懸架システムが上記昇降構造を備えており、角速度差が臨界上限値外の場合、昇降可能なアクスル(第1のアクスル)を制御して、車輪対が接地レベル上方に位置するような上方位置に上昇させ地面に接地しないようにする。この制御動作は荷重やアクスルの許容圧力などのさらなるパラメータに依存するものである。一方、車輪懸架構造が昇降可能なアクスルを有していても、制御動作はこの種の構造にもほとんどの場合対応しており、検出されたアクスル速度の差が大きな場合には、アクスル間で荷重分配できるように下方の接地位置に昇降可能なアクスルを保持して、各アクスルを駆動不可能に切断したままとする。
【0022】
算出された速度差の程度に応じて、異なる制御動作を実行するか或いは警告を発することができる。例えば第1及び第2のアクスル間の算出された角速度差が「変更警告制限」(第1の制限)を超えている場合、タイヤの位置を1つのアクスルから別のアクスルに変更する必要があると判断される。これは特に昇降可能なアクスルを有する車輪懸架システムに有用であり、これにより昇降可能なアクスルの車輪対の磨耗が常に地面に接地している車輪対に比べて実質的に低減される。しかしながら、アクスルを昇降できない車両においても、通常あるアクスルの車輪対が他のアクスルの車輪対よりも磨耗してしまう場合がある。
【0023】
勿論、異なる制御動作や警告を伴うさらに別の角速度差の制限がある。第1及び第2のアクスルの算出された角速度差が第2の制限である「確認警告制限」を超えた場合、タイヤの状態を手動で確認するように指示される。この制限は上記「変更警告制限」よりも高く設定することができる為、アクスル及び/または車輪間の角速度差には異なる制御動作及び/または警告を伴うような複数のレベルや値が考えられる。上述したように相対速度差がかなり大きな場合の動作の1つとして、アクスルが駆動可能に接続されるのを防止(禁止)する。この制限は例えば上記第2の制限(「確認警告制限」)と同じであってよい。例えば角速度差が小さなその他のレベルにおいては、アクスルの自動接続を中断する一方で、運転手にアクスルの速度差に対して警告を与え、アクスルを手動で制御して接続できるように制限を設定可能である。この制限は例えば上記第1の制限(「変更警告制限」)と同じであってよい。
【0024】
アクスル/車輪間の角速度差が検出された場合、各タイヤの圧力レベルを検出及び制御できる。例えば、圧力レベルが大きく異なるか或いは各タイヤに設定された所望値から外れていると検出された場合、圧力レベルを均一化もしくは所望値に応じて設定可能である。タイヤの空気圧が調整されると、アクスル/車輪の角速度を新たに測定できる。
【0025】
タイヤの空気圧を異なる車輪/アクスルの間の角速度差によって示される車輪半径の差を相殺するのにも用いることができる。つまり、角速度を遅くするように指示されたアクスルの車輪対に対するタイヤ空気圧を減少するように制御して、一方で角速度を速くするように指示された別のアクスルの車輪対に対するタイヤ空気圧を増加するように制御することにより、アクスル間の角速度差を相殺している。各アクスルの相対アクスル圧を検出された各アクスルの角速度に応じて制御して速度差を相殺してもよい。角速度差の絶対値を比較することに加えて、例えば検出された差を記録することで異なるアクスルやタイヤ間の角速度差の突然の変化を考慮に入れることができる。この場合、以前の測定値と比較して妥当でないと思われる角速度差の大幅な変化がある場合、ECUから警告が発せられる。1つの車輪の角速度が大きく変化した場合、この変化は、例えば空気漏れやパンクによる突然の圧力減などによってタイヤの空気圧が低下したことを示す指標となり得る。
【0026】
角速度はアクスルや各車輪に対して測定可能である。一般に、ギヤボックスに角速度センサを設けており、少なくとも制動または推進トルクがかなり低く車両が普通の道路条件の下で走行している場合は、センサからの信号は従動アクスルの角速度に比例する。この場合、角速度の測定中に駆動軸から切り離されるアクスルに角速度センサを追加すればよい。一方で、多くの場合、各車輪の角速度信号は既に制動時のためのアンチロック・ブレーキシステム(ABS)から出力されている。よって、車輪懸架システムの駆動軸に接続可能な全アクスルの両側に設けられた車輪の角速度を車輪角速度センサによって検出できる。車輪それぞれの角速度を用いて該アクスル間の角速度差を算出する。この場合、どのようなセンサを用いても構わない。
【0027】
角速度を測定するために所定の基準を設けて信頼できる値を得ることができる。特定の条件下にてシステムを制御してアクスル及び/またはアクスルに接続された車輪の角速度を検出でき、また測定時に値に影響を与えて第1及び第2のアクスルの角速度差及び/または第1及び第2のアクスルの各車輪間の角速度差を算出するのに相応しくない条件があるかどうかを示すこともできる。よって一般的に、測定時に以下の基準の内1つもしくは複数の基準値を満たす場合、より信頼性が高いと考えられる。
その基準を以下に示す。
車両の回転半径が所定制限を超えている場合、すなわち、好ましくは車両をほぼ真っ直ぐに走行させる必要がある場合。勿論、転回中の異なる車輪間の移動距離の差を相殺することはできるが通常車両がほぼ直進している際に測定を行うのが好ましい。
車両の速度変化が所定制限を下回っている場合。この基準値に道路の傾斜や曲率が特定の制限内に収まっている場合を付け加えてもよい。この目的のため、例えば経路や交通情報を利用することにより今後の運転手順を予測して測定時点を選出することができる。例えば、測定を行うのに好適な地点や道、例えばほぼ平坦で真っ直ぐな道路を選択するためにGPSや地図データを用いることができる。
異なる車輪間のタイヤ空気圧の差が所定制限内に収まっている場合。少なくとも所定制限内にタイヤ空気圧の差が収まっている場合は、タイヤ空気圧が角速度判定に不可欠ではないと判断されるが、想定外の角速度が検出された場合、タイヤ空気圧を確認するように勧告できる。
異なるアクスル間の荷重分布が所定制限内に収まっている場合。タイヤ空気圧と同様に、アクスルにかかる荷重が角速度に影響を及ぼすことがあり、測定結果が想定外の値を示す場合は荷重を確認する必要がある。
角速度の検出時に、車輪がアンチロック・ブレーキシステムや車輪スリップ制御システムによる制御を受けていない場合。この制御は角速度の測定に影響する可能性があり、好ましくは、これらシステムのいずれかが作動中に測定を実行しない。
測定された車輪のブレーキ力が所定値を下回っている場合。ブレーキをかけた場合、スリップする可能性があり、角速度の検出値が正確でない場合がある。
測定された車輪の駆動トルクが所定値を下回っている場合。大きな駆動トルクが生じている場合、従動輪が空転する危険があり車輪やアクスルの角速度の値が正確でない場合がある。
タイヤ温度やタイヤ温度差が所定制限内に収まっている場合。一般にタイヤの温度はほぼ同じである必要があるが、一組のタイヤが暫く使われておらず(例えば上昇している状態)他の一対もしくは複数対の車輪が接地して走行中路面との摩擦熱により熱せられている場合温度差が生じることがある。
アクスル差動装置が固定されていない場合。すなわちあるアクスルに作用して同アクスルの左右の車輪間の速度差を相殺する差動装置は固定すべきでははい。固定状態では、アクスルの(左右の)各車輪に速度差が生じない。
【0028】
本発明はまたプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムに関し、該手段はプログラムがコンピュータ上で実行された際に、上記制御ステップを実施する。
【0029】
本発明はまたプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能媒体を含む。該媒体において、プログラムコード手段はプログラム製品がコンピュータ上で実行された際に、上記制御ステップを実施する。
【0030】
本発明はさらに車輪懸架システムを制御するための電子制御装置(ECU)を含み、該電子制御装置(ECU)は上記制御ステップを実施するように構成されている。
【0031】
本発明のさらなる利点及び好適特徴を以下の説明及び従属項に記す。
【0032】
添付する図面に基づいて以下に本発明の実施形態をより詳細に例示する。