(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
低いベース金属酸化及び高い界面導電性を示す表面ドープ型の電気コネクタが提供される。ある規範的実施形態によれば、ドープ型の電気コネクタは、表面を有するベース金属を備え、表面は、ベース金属以外の導電性材料ドーパントでドープされる。電気コネクタは、約1×10
6から約2.5×10
6シーメンス/平方メータ(S/m
2)を導通することができる。
【0009】
送電システムも提供される。送電システムでは、架空送電線が電気コネクタを経て接続される。電気コネクタの使用で多数の送電線が一緒に接合される。純アルミニウムの電気コネクタを備えた送電システムは、酸化を受ける。それ故、ドープ型アルミニウム電気コネクタを使用する送電システムが提供される。ある規範的実施形態によれば、送電システムは、少なくとも1つの送電線と、表面を有するベース金属を含む電気コネクタとを備え、表面は、ベース金属以外の導電性材料ドーパントでドープされる。
【0010】
ある実施形態によれば、電気コネクタのベース金属は、アルミニウム、銅、鉄、又はその混合物を含む。ベース金属は、電気導体であり、送電のための電子経路を形成する。
【0011】
ベース金属の表面には、ベース金属とは異なる導電性材料ドーパントがドープされる。ベース金属の表面に堆積される導電性材料ドーパントは、電気コネクタのベース金属の酸化を減少し、最少にし又は排除する。ある実施形態では、導電性材料ドーパントは、インジウム、スズ、ニッケル又はその混合物を含む。ある規範的な実施形態によれば、導電性材料ドーパントは、インジウムを含む。
【0012】
ある実施形態では、ベース金属は、ベース金属の酸化を最小にするか又は実質的に排除するに充分な量の導電性材料ドーパントがドープされる。ある実施形態では、導電性材料ドーパントは、実質的に均一な層として表面に付着される。ある実施形態では、表面は、約50ナノメータ(nm)から約200nmの深さにドープされる。表面は、ベース金属の一部分を含んでもよいが、それは、導電性材料ドーパントがドープされたものである。
【0013】
電子ビーム蒸発、熱蒸発、スパッタリング及び電気メッキのような技術は、ベース金属にドープ表面を形成する方法の非包括的な例である。アルミニウム、銅、鉄又はその混合物のようなベース金属材料は、インジウム、スズ、ニッケル又はその混合物のような導電性材料ドーパントがドープされる。インジウム、スズ、ニッケル及びその混合物は、送電システムの通常稼動中に導電性酸化物をその場で生成できるので、望ましいものである。
【0014】
導体材料の表面特性を同調することで、酸化傾向を緩和し、又は酸化物層の電気抵抗率を減少することができる。導体材料の表面を変更するドーピング技術は、酸化を緩和し、導体材料の界面導電率を高めることができる。導電性材料ドーパントでベース金属をドープすることにより、電気コネクタシステム性能が改善され、電気コネクタシステム耐久性が改善され、及び停電が少なくなる。
【0015】
ある実施形態では、ドープ表面は、導電性を保持しながら酸化物を生成することができる。通常の稼動中に、ドープ表面は、In
2O
3のような導電性酸化物を形成し、そしてベース金属に加えて送電のための別の電子経路を与える。導電性酸化物は、次いで、ベース金属の腐食及び酸化に対して保護を与える。
【0016】
ある実施形態では、ドープ型電気コネクタの接触抵抗は、周囲温度から約150℃までの熱サイクルを300サイクルまで受けた後に50%未満の増加がある。
【0017】
又、表面を有するベース金属を備え、表面はベース金属とは異なる導電性材料ドーパントでドープされる前記電気コネクタに送電線を接合する方法も提供される。電気コネクタは、約1×10
6から約2.5×10
6シーメンス/平方メータ(S/m
2)を導通することができる。
【0018】
送電線を電気コネクタに接合する際に、ベース金属は、機械的及び/又は化学的に清掃される。清掃されたベース金属は、導電性材料ドーパントを付着するための適当なチャンバーに導入される。適当なチャンバーは、制限なく、真空チャンバーでもよいし又は液体容器でもよい。電気コネクタのベース金属は、チャンバー内で導電性材料ドーパントに接触され又は露出される。導電性材料ドーパントは、ベース金属表面に蒸着又は堆積され、ドープ表面又は均一な表面層を形成する。
【0019】
電子ビーム蒸発、熱蒸発、スパッタリング及び電気メッキは、ベース金属をドープするのに使用される方法の非包括的な例である。各プロセスにおいて、真空チャンバー又は液体容器のような適当な処理容器が設けられる。ベース金属サンプルは、次いで、処理容器へ挿入される。処理容器は、導電性材料ドーパントを発生する蒸発器又は蒸発メカニズムを使用する。あるプロセスでは、導電性材料ドーパントは、蒸発器によって励起されて、ベース金属へと移動される。ベース金属では、導電性材料ドーパントは、ドープ表面及び/又は均一な表面層を形成する。
【0020】
ドープ表面は、ベース金属を、腐食及び酸化への更なる露出から保護する。稼動中に、ドープ表面又は表面層の導電性材料ドーパントは、導電性酸化物を生成し、これは、ベース金属を酸化及び腐食から保護すると共に、送電のための別の電子経路も与える。ある実施形態では、導電性材料ドーパントのインジウムがドープされたアルミニウムのベース金属が表面に酸化アルミニウムではなく酸化インジウムを形成する。
【0021】
送電線に接合される電気コネクタの導電性材料ドーパントは、電流を受けたときに導電性である。電流が電気コネクタに与えられると、導電性材料ドーパントは、最終的に酸化する。酸化された導電性材料ドーパントは、酸化状態でも電流を導通する。
【0022】
通常の動作状態中に、電気コネクタは、電気的需要の変化により動作温度の変動を経験する。ある実施形態では、送電線に接合される電気コネクタは、0℃と約150℃との間を循環することができる。電気コネクタは、全ての電圧及び電流の架空線に使用される。
【0023】
図1A及び1Bは、ベース金属コンポーネント間の界面ギャップの成長を示すSEM顕微鏡写真である。顕微鏡写真1Aは、製造されて圧縮された電気コネクタにおけるベース金属コンポーネント、即ちアルミニウムワイヤとアルミニウムスプライスとの間の界面を示す。顕微鏡写真1Bは、約3年間稼動した後の電気コネクタの界面ギャップを示す。2つの顕微鏡写真を比較すると、ベース金属コンポーネントパーツ間のギャップは、約3年間の稼動の後に広がり且つ成長しており、コネクタ材料が質低下したことを示している。
【0024】
図2は、時間が推移進行するもとでの従来の電気コネクタの概略図である。コネクタ10は、第1のアルミニウムベース金属11と、第2のアルミニウムベース金属12とを備えている。矢印で示された電流13が第1のアルミニウムベース金属11から第2のアルミニウムベース金属12へ流れる。コネクタ10が時間と共に通常の動作を経験するにつれて、第1のアルミニウムベース金属11及び第2のアルミニウムベース金属12の表面は、酸化されて、酸化アルミニウム(Al
2O
3)コーティング14を生成する。酸化アルミニウムコーティング14は、ベースアルミニウムより電流13に対して電気抵抗がより高い。時間が経つにつれて、酸化アルミニウムコーティング14は、厚みが増し、電流13の流れを急激に減少又は遮断させる。
【0025】
図3を参照すれば、本発明の電気コネクタの規範的実施形態が概略的に示されている。コネクタ20は、第1のアルミニウムベース金属21を、第2のアルミニウムベース金属22と接触状態で備えている。第1のアルミニウムベース金属21及び第2のアルミニウムベース金属22の各々は、インジウムの導電性材料ドーパント24でドープされている。コネクタ20が通常の動作を経験するとき、コネクタ20には電流23が流れる。電流23が流れるにつれて、インジウムの導電性材料ドーパント24が酸化して、酸化インジウム(In
2O
3)25を生成する。酸化インジウム25も電気を導通し、電流23が中断なく流れ、アルミニウムベース金属の酸化を防止する。
【0026】
導電性材料ドーパントをベース金属の表面に施すための1つの規範的なドーパント堆積プロセスが
図4に示されている。適当な真空チャンバー又は液体容器が設けられる。ベース金属32が真空チャンバー又は液体容器に導入される。導電性ドーパント材料31がチャンバー又は容器内の蒸発器30に導入される。蒸発器30は、導電性ドーパント材料31を励起する。励起された導電性ドーパント材料31は、ベース金属32へ移動し、ドープ表面33を形成する。
【0027】
多数のインジウムドープのアルミニウムサンプルに対してテストが行われた。1100アルミニウム合金が10×10×5mm
3サンプルにカットされた。それらのサンプルが研磨され、真空チャンバーに導入された。チャンバー内で、サンプルは、1800psiの水素ガスを72時間受けた。水素処理の後に、サンプルは、電子ビーム蒸発を経てインジウムがドープされた。サンプルの第1バッチでは、アルミニウムの表面の半分だけにインジウムがドープされ、あるアルミニウム表面は露出したままにされた。インジウムドーパントは、アルミニウムベース金属において15nmの深さまでドープされた。サンプルの第2セットでは、実質的に全面にインジウムがドープされた。第2サンプルは、200nmの深さまでドープされた。
【0028】
図7は、ドープされたサンプルをテストする機構を示す図である。スチールフレーム48は、スクリュー45に係合されてテストアッセンブリに圧力を作用させ、サンプル金属47の接触抵抗率を測定する。サンプル金属47は、導電性材料ドーパントがドープされてもされなくてもよいベース金属を含む。スクリュー45は、圧力をジルコニア絶縁体49に直接加え、これは、サンプル金属47に圧力を加える。サンプルアッセンブリ46内のリードから電圧及び電流が測定される。
【0029】
コネクタに加えられる圧縮力をシミュレーションするために、クランプ器具が設計され製造された。サンプル47は、スチールフレーム48を使用して互いにクランプされ、その間に、サンプル界面にまたがるコンダクタンスが測定された。サンプルを一緒に押し付ける機械的圧力がスクリュー45を経て加えられた。更に、電気絶縁及び熱絶縁を果たすためにサンプル47とスチールフレーム48との間に2つのジルコニア絶縁体49が使用された。
【0030】
図8は、トルクと、テストサンプルに加えられる力との関係を示す散布図である。スチールフレームのスクリューにトルクが加えられたときに、テストサンプルに加えられる力は、比例的に増加する。スクリューのトルクとサンプルに加えられる力との関係は、歪計が取り付けられた校正サンプルから決定される。
図8に示したように、力対トルクの関係は、サンプルを調査するための力範囲において良好な直線的傾向を示している。全てのサンプルについて、初期の公称接触圧力は、56MPaに固定された。
【0031】
アルミニウム表面にまたがる接触抵抗は、典型的に、小さく、それ故、4プローブ方法ASTM B539を使用して、全抵抗へのワイヤ抵抗の貢献を排除した。銅シートの2つの断片が電流リードとして使用され、そして電圧リードは、インジウム半田での超音波半田付けを使用してテストサンプルに取り付けられた。
【0032】
半分インジウムドープのアルミニウムサンプルのテスト機構が
図9に示されている。ソース50から電流が供給された。テストサンプルの多数の異なるリードに取り付けられたソース51から電圧も供給された。電圧ソースのリードは、インジウム層52により示されるアルミニウム/インジウム/アルミニウム界面にまたがる接触抵抗率、及び異なるアルミニウムサンプル53間の接触抵抗率の両方を測定するように切り換えられた。
【0033】
半分表面ドープのテストサンプルは、非ドープサンプルの1つがテストサンプルのインジウムドープ部分に接触される一方、他の非ドープサンプルがテストサンプルの非ドープ部分に接触ように2つの非ドープサンプルに対してクランプされた。サンプル機構が
図9に例示されている。この機構では、2つの異なる界面が形成されたが、それは、1)ベースラインとして使用されるアルミニウム/アルミニウム界面、及び2)インジウムドーパントの有効性を監視するためのアルミニウム/インジウム/アルミニウム界面である。異なる界面の接触抵抗を決定するため、ドープされた界面と非ドープの界面との間の電圧が2つの個別のステップで測定される。テストサンプルの異なるエリアに電圧リードが取り付けられるときの別の電圧印加が
図9に示されている。
【0034】
図10には、完全ドープのアルミニウムサンプルのためのテスト機構が示されている。インジウムドープのアルミニウムサンプル55は、銅の電流リード57間に配置された。銅の電流リード57は、ジルコニアの絶縁材料56によりインジウムドープのアルミニウムサンプル55に押し付けられた。次いで、電圧リード58によりインジウムドープのアルミニウムサンプルに電圧が印加された。
【0035】
完全ドープのサンプルは、半分表面ドープのサンプルとは異なるテスト機構を使用した。
図10で明らかなように、全表面がドープされたサンプルの各々は、アルミニウム/インジウム/アルミニウム界面を形成するために1つの非コーティングのアルミニウムサンプルに対してクランプされた。更に、アルミニウム/アルミニウム界面に対するベースラインデータを与えるために2つの非ドープのアルミニウムサンプルも準備された。
【0036】
図11には、テストサンプルの熱サイクルを実行するための時間及び温度プロフィールが示されている。稼働中のコネクタシステムの熱サイクルをシミュレーションするため、テストサンプルアッセンブリが抵抗加熱炉内に入れられ、60分にわたり室温と150℃との間を循環された。60分サイクルの間に、温度は、最初の20分で室温から150℃まで上昇された。サンプルの温度は、次の20分間、150℃に維持された。最終的に、温度は、最後の20分にわたり150℃から室温へ下げられた。熱サイクルは、60分の周期でテストサンプルを室温から150℃へ加熱しそして室温へ冷却させることを含む。
【0037】
1時間のサイクルは、迅速なテスト結果を得るために使用された。熱サイクルの前に全てのサンプルの接触抵抗が最初に測定された。50回の熱サイクルを実行した後に、サンプルが炉から取り出され、接触抵抗が再び測定された。
【0038】
半分表面ドープのサンプルは、全部で300回のサイクルに対して
図11に示す温度プロフィールを使用して室温と150℃との間を循環された。アルミニウム/アルミニウム界面及びアルミニウム/インジウム/アルミニウム界面にまたがる接触抵抗は、両方とも、熱サイクル数の増加と共に増加した。
図12を参照すれば、接触抵抗と、実行熱サイクルの数との関係が半分表面ドープのサンプルについて示されている。
図12は、接触抵抗と熱サイクル数とを示している。アルミニウム/アルミニウム界面の接触抵抗は、一連のデータ61で表される。アルミニウム/インジウム/アルミニウム界面の接触抵抗は、一連のデータ62で表される。アルミニウム/アルミニウム界面の一連のデータ61は、熱サイクルの前に1.8mΩ-cm
2の接触抵抗を示し、次いで、300回の熱サイクル後に3.3mΩ-cm
2に増加する。アルミニウム/インジウム/アルミニウム界面の一連のデータ62は、最初、0.6mΩ-cm
2の接触抵抗を示し、次いで、300回の熱サイクルの後に1.3mΩ-cm
2に増加する。アルミニウム表面にインジウムを導入すると、接触抵抗が低下し且つ材料の質低下が遅れるという結果が示された。
【0039】
図13を参照すれば、300サイクル後の半分表面ドープのサンプルにおいてX線回折(XRD)が行われ、XRD結果が示された。インジウムドープの半分表面は、アルミニウム及びインジウムの特性ピークを示している。更に、30°付近にも小さなピークが観察され、これは、酸化インジウムであると考えられる。
【0040】
図14には、完全ドープのサンプルについて、接触抵抗と実行熱サイクルの数との関係が示されている。完全ドープのサンプルは、全部で300回のサイクルに対して
図11に示す温度プロフィールを使用して室温と150℃との間を循環された。アルミニウム/インジウム/アルミニウム界面は、最初、2.8mΩ-cm
2の接触抵抗を示した。300回のサイクルの後に、接触抵抗は、3.9mΩ-cm
2へ増加し、約30%のみの増加であった。
【0041】
図15には、非ドープのサンプルについて、接触抵抗と実行熱サイクルの数との関係が示されている。非ドープのサンプルは、全部で300回のサイクルに対して
図11に示す温度プロフィールを使用して室温と150℃との間を循環された。アルミニウム/アルミニウム界面は、最初、3.3mΩ-cm
2の接触抵抗を示した。300回のサイクルの後に、接触抵抗は、10mΩ-cm
2へ増加し、約300%の増加であった。
【0042】
アルミニウム/インジウム/アルミニウム界面の最初の接触抵抗(2.8mΩ-cm
2)は、アルミニウム/アルミニウム界面の接触抵抗(3.3mΩ-cm
2)より約15%低かった。半分表面ドープのサンプルでは、アルミニウム/インジウム/アルミニウム界面の最初の接触抵抗(0.6mΩ-cm
2)は、アルミニウム/アルミニウム界面の接触抵抗(1.3mΩ-cm
2)より約53%低かった。特定の理論で縛られることなく、この食い違いは、半分表面ドープのサンプルにおけるインジウムドープの不正確な形状の結果であった。これらの結果に基づき、インジウムドーピングは、初期の接触抵抗を減少することが示された。
【0043】
図5は、接触抵抗の散布図である。一連のデータ41は、0から300までの使用サイクルのインジウム/アルミニウム界面の接触抵抗を表す。一連のデータ42は、0から300までの使用サイクルのアルミニウム/アルミニウム界面の接触抵抗を表す。サイクルが実行される前は、インジウム/アルミニウム界面及びアルミニウム/アルミニウム界面の両方の接触抵抗がほぼ同じである。50回の使用サイクルのみが完了した後、アルミニウム/アルミニウム界面は、その元の値の250%を越える接触抵抗の増加を示す。比較によれば、50回の使用サイクルの後に、インジウム/アルミニウム界面は、その元の値の125%に増加した。300サイクルの後に、アルミニウム/アルミニウム界面の接触抵抗は、インジウム/アルミニウム界面の約130%のみに比して、その元の値の300%を越えて増加した。アルミニウム表面にインジウムを導入すると、ドープされたサンプルの界面の接触抵抗が低下した。
【0044】
インジウムのドープは、界面の導電率の低下を著しく減少した。各々の初期値に対して正規化されたとき、インジウムドープのサンプルの接触抵抗の成長率は、
図5に示すように、裸のアルミニウム/アルミニウム界面よりも著しく低い。300サイクルの周期を越えると、アルミニウム/アルミニウム界面は、ほぼ300%の接触抵抗の増加を経験し、一方、アルミニウム/インジウム/アルミニウム界面は、30%の増加だけである。インジウムドープのサンプルの接触抵抗の成長率は、非ドープのアルミニウムサンプルの接触抵抗の成長率より少なくとも1桁低かった。これらの結果は、熱サイクルを受けるアルミニウム材料の界面コンダクタンスを向上させる上でのインジウムの有効性を示している。
【0045】
図6を参照すれば、インジウムがドープされたアルミニウムベース金属のX線回折データ分析が示されている。本電気コネクタは、300回の熱サイクルを受け、そして分析された。各熱サイクルは、テストサンプルを室温から150℃まで加熱し、次いで、60分にわたってサンプルを室温へ冷却することを含む。X線回折分析は、通常の動作後に電気コネクタに3つの異なる材料が存在することを示している。インジウムドープの表面は、アルミニウム、インジウム及び酸化インジウムの特性ピークを示した。第1組の3つのピークは、アルミニウムベース金属の存在を示す。第2組の4つのピークは、インジウムの存在を示す。最後の組の3つのピークは、酸化インジウムの存在を示す。
【0046】
酸化インジウムの生成は、インジウムドーパントが犠牲的薬剤として働いてアルミニウムベース金属を酸化から保護すると共に、材料の質低下を遅らせることを示す。又、酸化インジウムの生成は、酸化アルミニウムの生成も防止することにより界面コンダクタンスを改善するように貢献する。
【0047】
本発明の要旨の第1の実施形態において、ドープ型電気コネクタは、表面を有するベース金属を備え、表面は、ベース金属以外の導電性材料ドーパントでドープされる。電気コネクタは、約1×10
6から約2.5×10
6シーメンス/平方メータ(S/m
2)を導通することができる。
【0048】
第1の実施形態の電気コネクタのベース金属は、アルミニウム、銅、鉄、又はその混合物を含む。
【0049】
第1又はその後の実施形態のいずれかの電気コネクタにおいて、導電性材料ドーパントは、インジウム、スズ、ニッケル又はその混合物を含む。導電性材料ドーパントは、実質的に均一な層として表面に施される。表面は、約15ナノメータ(nm)から約200nmの深さにドープされる。
【0050】
第1又はその後の実施形態のいずれかの電気コネクタにおいて、ドープされる表面は、導電性を保ちつつ酸化物を生成することができる。
【0051】
第1又はその後の実施形態のいずれかの電気コネクタにおいて、コネクタの接触抵抗は、周囲温度から約150℃までの熱サイクルを300サイクルまで受けた後にその増加が50%未満である。
【0052】
本発明の要旨の第2の実施形態において、第1及びその後の実施形態のいずれか1つに規定された電気コネクタに送電線を接合することを含む方法が提供される。
【0053】
本発明の要旨の第3の実施形態において、送電システムは、少なくとも1つの送電線と、表面を有するベース金属を含む電気コネクタとを備え、表面は、ベース金属以外の導電性材料ドーパントでドープされる。
【0054】
本発明の要旨の第4の実施形態において、送電システムは、少なくとも1つの送電線と、第1及びその後の実施形態のいずれかに規定された電気コネクタとを備えている。
【0055】
以上、電気コネクタ、送電システム、及び送電線を電気コネクタに接合する方法を詳細に説明したが、それらは、単なる例示に過ぎず、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに種々の変更及び修正がなされ得ることが理解されよう。上述した実施形態は、代替的なものであるだけではなく、結合できることも理解されたい。