【文献】
川浪 創,他5名,約定照合業務におけるブロックチェーン(DLT)適用検討,JPXワーキング・ペーパー Vol.22,[online],日本取引所グループ,2018年 1月18日,[検索日 2019.06.12],p.6-21,インターネット,URL,https://www.jpx.co.jp/corporate/research-study/working-paper/tvdivq0000008q5y-att/JPX_working_paper_Vol22.pdf
【文献】
Hyperledger Fablic Docs,[online],2018年 3月18日,[検索日 2019.06.12],インターネット,URL,https://web.archive.org/web/20180318052829/https://hyperledger-fabric.readthedocs.io/en/release-1.0/channels.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
取引者間の取引内容を示すデータおよび/または取引者間の取引の履行に伴って発生した若しくは発生する関連データを、取引者間の取引データとして記録する複数のコンピュータにより構成された取引記録システムであって、
取引者間の取引の仲介または取引者間の取引に伴う作業の仲介を行う仲介者の各々が設置した複数の仲介者ノードを、分散型台帳形成用のピア・ツー・ピア・ネットワークで接続して構成され、
複数の前記仲介者ノードは、それぞれ分散型台帳記憶手段を備え、この分散型台帳記憶手段は、前記仲介者ノードを含む分散型台帳に参加する全ての参加者ノードで共有する情報を記憶する共通台帳記憶手段と、取引者間毎に設けられた少なくとも1つのチャネル記憶手段とを備えて構成され、
前記仲介者ノードは、取引者間の取引データを他の取引者間の取引データを含まない状態で記憶するために取引者間毎に設けられた前記チャネル記憶手段を備え、この際、当該仲介者ノードを設置した仲介者自身が仲介する取引者間の前記チャネル記憶手段を備え、かつ、前記仲介者自身が仲介しない取引者間の前記チャネル記憶手段を備えない構成とされ、
取引者間毎に設けられた前記チャネル記憶手段のうちの同一の取引者間の前記チャネル記憶手段は、複数の前記仲介者ノードのうち、当該同一の取引者間を仲介する仲介者として選択された仲介者が設置した選択範囲の仲介者ノードに設けられ、当該同一の取引者間の取引データは、前記選択範囲の仲介者ノード間で共有される構成とされ、
前記選択範囲の仲介者ノードは、取引者が自分を含む取引者間で選択した複数の仲介者ノードとすることができる
ことを特徴とする取引記録システム。
取引者間の取引内容を示すデータおよび/または取引者間の取引の履行に伴って発生した若しくは発生する関連データを、取引者間の取引データとして記録する複数のコンピュータにより構成された取引記録システムであって、
取引者間の取引の仲介または取引者間の取引に伴う作業の仲介を行う仲介者の各々が設置した複数の仲介者ノード、および、取引者の各々が設置した複数の取引者ノードを、分散型台帳形成用のピア・ツー・ピア・ネットワークで接続して構成され、
複数の前記仲介者ノードおよび複数の前記取引者ノードは、それぞれ分散型台帳記憶手段を備え、この分散型台帳記憶手段は、前記仲介者ノードおよび前記取引者ノードを含む分散型台帳に参加する全ての参加者ノードで共有する情報を記憶する共通台帳記憶手段と、取引者間毎で、かつ、仲介者の組合せ毎に設けられた少なくとも1つのチャネル記憶手段とを備えて構成され、
前記仲介者ノードおよび前記取引者ノードは、取引者間の取引データを他の取引者間の取引データを含まない状態で記憶するために取引者間毎で、かつ、当該取引者間を仲介する仲介者の組合せ毎に設けられた前記チャネル記憶手段を備え、この際、前記仲介者ノードは、当該仲介者ノードを設置した仲介者自身が仲介する取引者間の前記チャネル記憶手段を備え、かつ、前記仲介者自身が仲介しない取引者間の前記チャネル記憶手段を備えない構成とされ、前記取引者ノードは、当該取引者ノードを設置した取引者自身を含む取引者間の前記チャネル記憶手段を備え、かつ、前記取引者自身を含まない取引者間の前記チャネル記憶手段を備えない構成とされ、
取引者間毎で、かつ、仲介者の組合せ毎に設けられた前記チャネル記憶手段のうちの同一の取引者間の前記チャネル記憶手段は、複数の前記仲介者ノードおよび複数の前記取引者ノードのうち、当該同一の取引者間を仲介する仲介者として選択された仲介者が設置した選択範囲の仲介者ノードおよび当該同一の取引者間に含まれる取引者が設置した当事者範囲の取引者ノードに設けられ、当該同一の取引者間の取引データは、前記選択範囲の仲介者ノード間および前記当事者範囲の取引者ノード間で共有される構成とされ、
前記選択範囲の仲介者ノードは、取引者が自分を含む取引者間で選択した複数の仲介者ノードとすることができる
ことを特徴とする取引記録システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述したように、約定照合業務では、様々なベンダ(サービスプロバイダ)によるシステム(仲介者システム)が提供されている。
【0013】
しかしながら、これらの既存のベンダシステムの利用については、機関投資家および証券会社の双方が同一のシステムを利用することが前提であるため、証券会社は、各機関投資家の要望に応じて各ベンダシステムを導入している。具体的には、証券会社は、複数の機関投資家と取引(市場への売買注文の取次に関する契約)をしているので、ある機関投資家との約定照合業務を行う場合には、その機関投資家が利用するベンダシステム用のクライアントソフトを使用してベンダシステムにアクセスし、別の機関投資家との約定照合業務を行う場合には、別の機関投資家が利用する別のベンダシステム用のクライアントソフトを使用して別のベンダシステムにアクセスし、約定照合用データの入力作業を行っている。従って、手続が煩雑であるうえ、作業ミスが発生するおそれもある。
【0014】
また、機関投資家と証券会社との間で、一旦、あるベンダシステムを使い始めると、それで固定化されてしまうため、別のベンダシステムを利用する機会は殆どなくなる。また、ベンダシステムにおけるデータベースへの約定照合用データの保存形式(データフォーマット)は、各ベンダシステムで異なっているので、データの互換性はないことから、このことも、利用するベンダシステムの乗換や、複数のベンダシステムの利用を困難にしている。さらに、ベンダ間の競争も無くなるため、ベンダシステムの利用料も固定化されることになる。
【0015】
従って、データの保存形式の差異の問題を解消し、複数のベンダシステムを利用して機関投資家と証券会社との間での約定照合業務を行うことができれば便利であり、また、ベンダシステムの乗換を容易に行うことができれば便利である。例えば、機関投資家(取引者)Aは、ベンダ(仲介者)αのシステムを使い、証券会社(取引者)Xは、ベンダ(仲介者)βのシステムを使うことにより、機関投資家Aと証券会社Xとの間での約定照合業務を行うことができれば便利である。また、機関投資家Aと証券会社Xとは、ある時期には、ベンダαのシステムを使って約定照合業務を行い、別の時期には、ベンダβのシステムを使って約定照合業務を行うことができれば便利である。
【0016】
そして、以上のことは、約定照合業務に限らず、金融商品の売買注文の発注者と、この発注者からの依頼に基づき市場への売買注文の取次を行う市場取次者との間で行われるその他の金融関連業務についても同様に言えることである。さらに、証券・金融分野に限らず、取引者間の取引または取引者間の取引に伴って行われる作業において仲介者が介在する場合であれば、様々な分野で同様に言えることである。例えば、取引が不動産賃貸借契約であり、取引者である借り手および貸し手、並びにその仲介者がいる場合、あるいは、取引が建築に関する契約であり、取引者である建築の発注者および建築業者等の受注者、並びにその仲介者がいる場合等である。
【0017】
本発明の目的は、取引者間の取引またはそれに伴う作業において複数の仲介者を利用することや、仲介者の乗換を容易に行うことができ、複数の仲介者の各々への個別対応の必要性を解消できる取引記録システムおよびプログラムを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
<取引者間の取引データを記録するチャネル記憶手段を取引者間毎に設け、取引者により選択された選択範囲の仲介者ノード間で共有する構成:例えば、後述する第1実施形態の
図5参照>
【0019】
本発明は、取引者間の取引内容を示すデータおよび/または取引者間の取引の履行に伴って発生した若しくは発生する関連データを、取引者間の取引データとして記録する複数のコンピュータにより構成された取引記録システムであって、
取引者間の取引の仲介または取引者間の取引に伴う作業の仲介を行う仲介者の各々が設置した複数の仲介者ノードを、分散型台帳形成用のピア・ツー・ピア・ネットワークで接続して構成され、
仲介者ノードは、取引者間の取引データを他の取引者間の取引データを含まない状態で記憶するために取引者間毎に設けられたチャネル記憶手段を備え、この際、当該仲介者ノードを設置した仲介者自身が仲介する取引者間のチャネル記憶手段を備え、かつ、仲介者自身が仲介しない取引者間のチャネル記憶手段を備えない構成とされ、
取引者間毎に設けられたチャネル記憶手段のうちの同一の取引者間のチャネル記憶手段は、複数の仲介者ノードのうち、当該同一の取引者間を仲介する仲介者として選択された仲介者が設置した選択範囲の仲介者ノードに設けられ、当該同一の取引者間の取引データは、選択範囲の仲介者ノード間で共有される構成とされている
ことを特徴とするものである。
【0020】
ここで、「取引」には、例えば、金銭、ポイント、有価証券、債権債務、資産、労働力、コンテンツ等のような価値についての送金、決済、貯蓄、分配、付与、交換、移動、消費、貸借、売買、権利行使、義務履行等、あるいは、契約、依頼、コミュニケーション(主として機密性の高いコミュニケーションであるが、一般的なコミュニケーションでもよい。)、調停、仲裁、訴訟、交渉等が含まれる。従って、「取引」には、調停や仲裁や訴訟のように、取引者の意思が必ずしも積極的に反映されないネガティブ(消極的・受動的)な取引も含まれる。
【0021】
また、「取引者間の取引データ」には、「取引者間の取引内容を示すデータ」と、「取引者間の取引の履行に伴って発生した若しくは発生する関連データ」とがある。このうち、前者の「取引者間の取引内容を示すデータ」とは、取引内容そのものを示す「取引データ」であり、例えば、取引が送金であれば、送金元、送金先、送金金額等のデータであり、取引が不動産賃貸借契約であれば、対象物件、賃料、賃貸借期間等のデータであり、取引がそれ以外の契約であれば、それぞれの契約内容を示すデータであり、取引がコミュニケーションであれば、通信文や日付等のデータであり、取引が調停や仲裁であれば、調停や仲裁の前提条件や結果等を示すデータである。
【0022】
さらに、後者の「取引者間の取引の履行に伴って発生した若しくは発生する関連データ」とは、取引内容そのものを示すデータではなく、取引者間の取引の履行(例えば、契約内容、依頼関係等に基づく各種行為の実行)により発生したか、または発生することが見込まれる(予定される、予想される)関連データとしての「取引データ」であり、例えば、取引者間の取引の履行に伴って発生した2次的な取引(例えば市場取引や第三者との取引)についての取引データ(注文データや約定データ等)も、ここでいう関連データとしての「取引データ」に含まれる。より具体的には、例えば、取引者が、機関投資家等の発注者と、この発注者からの依頼に基づき市場への売買注文の取次を行う証券会社等の市場取次者とであれば、発注者からの依頼に基づき市場取次者が市場への売買注文の取次を行って得られた市場取引の取引データは、ここでいう関連データとしての「取引データ」であり、この場合、たまたま関連データが、取引データと称される状態のデータであるに過ぎず、注文データや約定データ等と称してもよい。換言すれば、この場合の市場取引の取引データは、発注者と市場取次者との間での売買取引データではないので、「取引者間の取引内容を示すデータ」には該当しないが、発注者から市場取次者への依頼(取引)に基づき発生した「関連データ」に該当するので、本発明では、発注者と市場取次者との間(取引者間)の取引データと呼ぶことになる。
【0023】
同様に、取引が不動産賃貸借契約であれば、取引者は、対象物件の貸し手および借り手であり、前述したように、対象物件、賃料、賃貸借期間等のデータが、「取引者間の取引内容を示すデータ」に該当するが、この不動産賃貸借契約に伴って、地震や火災や盗難等の保険契約を保険会社と締結した場合の契約データ(保険の内容や保険料等)、リノベーションの際の施工業者との契約データ(工期や金額等)、建築資材の単価・メーカや下請業者等のデータが発生しているとすれば、それらは、「取引者間の取引の履行に伴って発生した若しくは発生する関連データ」に該当し、いずれのデータも、本発明における「取引者間の取引データ」に該当する。
【0024】
そして、「取引者」および「仲介者」は、団体(会社・学校・病院等の法人、町内会・マンション管理組合・サークル・学会等の任意団体を含む。)でもよく、個人でもよく、また、営利・非営利は問わず、業としての行為であるか否かも問わない。従って、「仲介者」には、営利目的の仲介業者(団体または個人)のみならず、趣味・私的行為・ボランティア・無報酬の仲介を行う者(団体または個人)も含まれる。なお、「取引」には、前述したように、調停や仲裁や訴訟といったネガティブ(消極的・受動的)な取引も含まれるので、「取引者」には、訴訟の原告および被告も含まれ、「仲介者」には、裁判所や仲裁機関等も含まれる。
【0025】
また、「取引者間毎に設けられたチャネル記憶手段」における「取引者間毎」は、取引者の双方が一致しているという趣旨である。例えば、取引者A,X間(取引者Aと取引者Xとの間)のチャネル記憶手段は、取引者A,Xの双方が一致していることが必要である。従って、取引者A,X間のチャネル記憶手段と、取引者B,Y間のチャネル記憶手段とが、異なるチャネル記憶手段であるのは勿論のこと、取引者A,X間のチャネル記憶手段と、取引者A,Y間のチャネル記憶手段とについても、一方の取引者Aは一致しているが、他方の取引者が一致していないので、異なるチャネル記憶手段である。
【0026】
このような本発明の取引記録システムにおいては、取引者間毎に別々のチャネル記憶手段を設け、そのチャネル記憶手段に記録されている取引データを、当該取引者間を仲介する仲介者により設置された仲介者ノード(取引者により選択された選択範囲の仲介者ノード)で共有するので、取引者に対しては、自分が含まれる取引者間以外の取引者間の取引データへの関与(登録や閲覧)を制限することが可能となり、仲介者に対しては、自分が仲介する取引者間以外の取引者間の取引データへの関与(登録や閲覧)を制限することが可能となる。
【0027】
その一方で、取引者は、選択範囲の仲介者ノードに設けられたチャネル記憶手段(自分が含まれる取引者間のチャネル記憶手段)に記録されている取引データについては、関与(登録や閲覧)することが可能となるので、取引者間(自分を含む取引者間)で、複数の仲介者(仲介者ノード)を選択しておけば、複数の仲介者(仲介者ノード)を利用することや、仲介者(仲介者ノード)の乗換を容易に行うことが可能となる。
【0028】
また、仲介者にとっては、取引者間の取引の仲介や、取引に伴って発生する作業の仲介という役割を果たすにあたり、自分が設置している仲介者ノードにおいて、アクセスしてきた取引者を含む取引者間のチャネル記憶手段に対し、その取引者の要求(登録要求、閲覧要求、作業要求)に応じた処理を実行するためのアクセスを行うことが可能となる。このため、仲介という役割を果たすために必要な情報は、自分の管理下にある仲介者ノードから取得することができるので、必要な情報が記録されているチャネル記憶手段にアクセスする際に、例えば、暗号鍵技術を用いた複雑なアクセス権限管理を行う必要がなくなり、システム構成を簡易化することが可能となり、これらにより前記目的が達成される。
【0029】
なお、チャネル記憶手段の設置による情報共有は、DLTの機能を利用したものであり、本発明は、その利用形態が、従来にない形態をとっている。
【0030】
<取引者間の取引データを記録するチャネル記憶手段を取引者間毎で、かつ、仲介者の組合せ毎に設け、取引者により選択された選択範囲の仲介者ノード間および当事者範囲の取引者ノード間で共有する構成:例えば、後述する第2実施形態の
図9参照>
【0031】
また、本発明は、取引者間の取引内容を示すデータおよび/または取引者間の取引の履行に伴って発生した若しくは発生する関連データを、取引者間の取引データとして記録する複数のコンピュータにより構成された取引記録システムであって、
取引者間の取引の仲介または取引者間の取引に伴う作業の仲介を行う仲介者の各々が設置した複数の仲介者ノード、および、取引者の各々が設置した複数の取引者ノードを、分散型台帳形成用のピア・ツー・ピア・ネットワークで接続して構成され、
仲介者ノードおよび取引者ノードは、取引者間の取引データを他の取引者間の取引データを含まない状態で記憶するために取引者間毎で、かつ、当該取引者間を仲介する仲介者の組合せ毎に設けられたチャネル記憶手段を備え、この際、仲介者ノードは、当該仲介者ノードを設置した仲介者自身が仲介する取引者間のチャネル記憶手段を備え、かつ、仲介者自身が仲介しない取引者間のチャネル記憶手段を備えない構成とされ、取引者ノードは、当該取引者ノードを設置した取引者自身を含む取引者間のチャネル記憶手段を備え、かつ、取引者自身を含まない取引者間のチャネル記憶手段を備えない構成とされ、
取引者間毎で、かつ、仲介者の組合せ毎に設けられたチャネル記憶手段のうちの同一の取引者間のチャネル記憶手段は、複数の仲介者ノードおよび複数の取引者ノードのうち、当該同一の取引者間を仲介する仲介者として選択された仲介者が設置した選択範囲の仲介者ノードおよび当該同一の取引者間に含まれる取引者が設置した当事者範囲の取引者ノードに設けられ、当該同一の取引者間の取引データは、選択範囲の仲介者ノード間および当事者範囲の取引者ノード間で共有される構成とされている
ことを特徴とするものである。
【0032】
ここで、「取引」、「取引者間の取引データ」、「取引者間の取引内容を示すデータ」、「取引者間の取引の履行に伴って発生した若しくは発生する関連データ」、「取引者」、「仲介者」の意味は、前述した<取引者間の取引データを記録するチャネル記憶手段を取引者間毎に設け、取引者により選択された選択範囲の仲介者ノード間で共有する構成>の場合と同様である。
【0033】
このような本発明の取引記録システムにおいては、取引者間毎で、かつ、仲介者の組合せ毎に別々のチャネル記憶手段を設け、そのチャネル記憶手段に記録されている取引データを、当該取引者間を仲介する仲介者により設置された仲介者ノード(取引者により選択された選択範囲の仲介者ノード)および当該取引者間に含まれる取引者により設置された取引者ノード(当事者範囲の取引者ノード)で共有するので、取引者に対しては、自分が含まれる取引者間以外の取引者間の取引データへの関与(登録や閲覧)を制限することが可能となり、仲介者に対しては、自分が仲介する取引者間以外の取引者間の取引データへの関与(登録や閲覧)を制限することが可能となる。
【0034】
その一方で、取引者は、当事者範囲の取引者ノードに設けられたチャネル記憶手段(自分が含まれる取引者間のチャネル記憶手段)に記録されている取引データについては、関与(登録や閲覧)することが可能となるとともに、仲介者を介して、自分が選択した選択範囲の仲介者ノードに設けられたチャネル記憶手段(自分が含まれる取引者間のチャネル記憶手段)に記録されている取引データについても、関与(登録や閲覧)することが可能となる。このため、取引者は、取引者間(自分を含む取引者間)で、複数の仲介者(仲介者ノード)を選択しておけば、複数の仲介者(仲介者ノード)を利用することや、仲介者(仲介者ノード)の乗換を容易に行うことが可能となる。
【0035】
また、仲介者にとっては、取引者間の取引の仲介や、取引に伴って発生する作業の仲介という役割を果たすにあたり、自分が設置している仲介者ノードにおいて、アクセスしてきた取引者を含む取引者間のチャネル記憶手段に対し、その取引者の要求(登録要求、閲覧要求、作業要求)に応じた処理を実行するためのアクセスを行うことが可能となる。このため、仲介という役割を果たすために必要な情報は、自分の管理下にある仲介者ノードから取得することができるので、必要な情報が記録されているチャネル記憶手段にアクセスする際に、例えば、暗号鍵技術を用いた複雑なアクセス権限管理を行う必要がなくなり、システム構成を簡易化することが可能となり、これらにより前記目的が達成される。
【0036】
なお、チャネル記憶手段の設置による情報共有は、DLTの機能を利用したものであり、本発明は、その利用形態が、従来にない形態をとっている。
【0037】
<仲介者ノードと仲介者システムとを並行稼働させる構成:例えば、後述する第1実施形態の
図1、
図2、および、第2実施形態の
図6参照>
【0038】
前述した取引記録システムにおいて、
仲介者ノードを設置した仲介者と同一の仲介者により設置されて仲介者ノードと並行稼働する仲介者システムを備え、
この仲介者システムは、
当該仲介者システムを設置した仲介者が仲介する取引者の一方若しくは双方による取引者間の取引データの登録要求を受け付けるか、またはこの登録要求に加え、取引者間の取引データの閲覧要求、若しくは取引者間の取引データを用いた作業要求を受け付けて要求に応じる処理を実行する取引者要求受付手段と、
この取引者要求受付手段により受け付けた登録要求に係る取引者間の取引データを記憶する取引データ記憶手段と、
この取引データ記憶手段に新たに登録された取引者間の取引データを抽出する処理を実行する同期用取引データ抽出手段と、
この同期用取引データ抽出手段により抽出した取引者間の取引データを、仲介者ノードの当該取引者間のチャネル記憶手段に記録することを指示する処理を実行する同期用チャネル記録指示手段と、
仲介者ノードのチャネル記憶手段に取引者間の取引データが新たに記録されたか否かを監視し、新たに記録された取引者間の取引データを取得する処理を実行するチャネル監視手段と、
このチャネル監視手段により取得した取引者間の取引データを、取引データ記憶手段に記録する処理を実行する同期用取引データ記録手段と
を備えた構成としてもよい。
【0039】
ここで、仲介者ノードと並行稼働する「仲介者システム」は、通信回線(ネットワークでもよく、専用線でもよい。)を介して仲介者ノードに接続されていてもよく、あるいは、仲介者ノードを構成するコンピュータと同一のコンピュータにより構成されて仲介者ノードと一体化されていてもよい。
【0040】
このように仲介者ノードと仲介者システムとを並行稼働させる構成とした場合には、仲介者ノードのチャネル記憶手段に記憶されている取引者間の取引データと、仲介者システムの取引データ記憶手段に記憶されている取引者間の取引データとを同期させることができるので、同一内容の取引者間の取引データを、仲介者ノードと仲介者システムとの双方で保持することが可能となる。
【0041】
このため、既設の仲介者システムが存在する状況下で、仲介者ノードを設置し、並行稼働させることにより、既設の仲介者システムによるサービス提供機能を維持しつつ、仲介者ノードに設けられたチャネル記憶手段によるDLTの機能、すなわち関係者間で情報を持ち合う機能を活かすことが可能となる。
【0042】
従って、既設の仲介者システムを含むDLTの機能によるサービス提供形態(例えば、後述する第1実施形態の
図1、第2実施形態の
図6参照)から、既設の仲介者システムを含まないDLTの機能によるサービス提供形態(例えば、後述する第1実施形態の
図5、第2実施形態の
図9参照)への円滑な移行を実現することが可能となる。
【0043】
また、仲介者システムに相当する既設のシステムを有しているが、分散型台帳に参加していない仲介者(参加者ノードである仲介者ノードを設置していない仲介者)に対しては、分散型台帳への参加を促すことが可能となり、この意味でも、DLT(DLTを利用したシステム)への円滑な移行を実現することが可能となる。
【0044】
<スマートコントラクトによりデータ形式の変換を行う構成>
【0045】
上述したように仲介者ノードと仲介者システムとを並行稼働させる構成とする場合において、仲介者ノードのチャネル記憶手段に記憶されている取引者間の取引データと、仲介者システムの取引データ記憶手段に記憶されている取引者間の取引データとで、データ記録形式(データフォーマット)が異なる場合と、同じ場合とがあり得る。しかし、各仲介者システムは、異なる仲介者により設置されているので、各仲介者システムの取引データ記憶手段に記憶されている取引者間の取引データの記録形式は様々であるから、同じ場合は稀であり、異なっているのが通常である。従って、異なっている場合には、データを同期させるために、データ形式の差異を吸収するデータ変換処理を行う必要がある。このとき、仲介者システム側でデータ変換処理を行ってもよいが、次のようにスマートコントラクトによりデータ形式の変換処理を行う構成とすることができる。
【0046】
すなわち、上述したように仲介者ノードと仲介者システムとを並行稼働させる構成とする場合において、
取引データ記憶手段は、
チャネル記憶手段に記憶された取引者間の取引データと同一内容で記録形式の異なる取引者間の取引データを記憶する構成とされ、
チャネル記憶手段は、
取引データ記憶手段に記憶された取引者間の取引データからチャネル記憶手段に記憶された取引者間の取引データへのデータ形式の変換処理用のチャネルイン変換プログラム、および、チャネル記憶手段に記憶された取引者間の取引データから取引データ記憶手段に記憶された取引者間の取引データへのデータ形式の変換処理用のチャネルアウト変換プログラムを記憶する構成とされ、
仲介者ノードは、
仲介者システムの同期用チャネル記録指示手段から受け取った取引者間の取引データを、チャネル記憶手段から取得したチャネルイン変換プログラムによりデータ形式の変換を行ってから当該取引者間のチャネル記憶手段に記録する処理を実行するチャネルイン変換手段と、
チャネル記憶手段に記憶されている取引者間の取引データを、チャネル記憶手段から取得したチャネルアウト変換プログラムによりデータ形式の変換を行ってからチャネル監視手段に渡す処理を実行するチャネルアウト変換手段とを備えた構成とすることができる。
【0047】
このようにスマートコントラクトによりデータ形式の変換を行う構成とした場合には、仲介者ノードのチャネル記憶手段に記憶されている取引者間の取引データと、仲介者システムの取引データ記憶手段に記憶されている取引者間の取引データとで、データ記録形式(データフォーマット)が異なっていても、両者を同期させることができることに加え、スマートコントラクトの採用により、仲介者システムの機能をDLTに移していく機能移転を進めることが可能となる。
【0048】
<スマートコントラクトによりチャネル内通番を管理する構成>
【0049】
また、以上に述べた取引記録システムにおいて、
チャネル記憶手段は、
当該チャネル記憶手段に記録される取引者間の取引データに付されるチャネル内通番の管理用の通番管理プログラムを記憶する構成とされ、
仲介者ノードは、
チャネル記憶手段に新たに記録される取引者間の取引データに対し、チャネル記憶手段から取得した通番管理プログラムによりチャネル内通番を付する処理を実行する通番管理手段を備えた構成としてもよい。
【0050】
このようにスマートコントラクトによりチャネル内通番を管理する構成とした場合には、チャネル内通番は、同一の取引者間のチャネル記憶手段内においてその取引者間の各取引データを識別することができればよいので、すなわち、異なる取引者間のチャネル記憶手段の間では通番管理を行う必要はないので、そのような通番管理に沿ったシステム構成を実現することが可能となる。
【0051】
また、チャネル内通番の管理は、仲介者ノードと仲介者システムとを並行稼働させる構成を前提とするものではないが、並行稼働させる構成とする場合には、仲介者システム側にチャネル内通番についての通番管理手段を設ける必要はないので、これによっても、仲介者システムの機能をDLTに移していく機能移転を進めることが可能となる。
【0052】
<全チャネル閲覧可能者により設置されたスーパーノードが接続された構成>
【0053】
さらに、以上に述べた取引記録システムにおいて、
ピア・ツー・ピア・ネットワークには、
全ての取引者間のチャネル記憶手段を備え、これらの全ての取引者間のチャネル記憶手段に記憶されている全ての取引者間の取引データを閲覧可能な全チャネル閲覧可能者により設置されたスーパーノードが接続されている構成としてもよい。
【0054】
ここで、「全チャネル閲覧可能者」は、「取引者」および「仲介者」の場合と同様に、団体(会社・学校・病院等の法人、町内会・マンション管理組合・サークル・学会等の任意団体を含む。)でもよく、個人でもよく、また、営利・非営利は問わず、業としての行為であるか否かも問わない。
【0055】
また、「全チャネル閲覧可能者」における「閲覧可能」は、必ずしも閲覧だけができるという意味ではなく、全てのチャネル記憶手段に記憶された取引データについて閲覧だけができる場合と、全てのチャネル記憶手段への取引データの登録および閲覧ができる場合とが含まれる。
【0056】
このようにスーパーノードを接続した構成とした場合には、全チャネル閲覧可能者に対し、取引者や仲介者とは異なる権限を付与し、特殊な役割を果たさせることが可能となる。具体的には、例えば、証券・金融分野における証券保管振替機構や、全てのチャネル記憶手段に記憶された取引データを用いた監査を行う監査人(法人等の団体、または個人)等の役割を果たさせることが可能となる。
【0057】
<証券・金融分野における約定照合業務またはその他の金融関連業務の仲介に適用した構成>
【0058】
また、以上に述べた取引記録システムにおいて、
取引者は、金融商品の売買注文の発注者と、この発注者からの依頼に基づき市場への売買注文の取次を行う市場取次者とであり、
取引者間の取引に伴う作業は、売買注文についての約定照合業務またはその他の金融関連業務であり、
仲介者は、約定照合業務またはその他の金融関連業務を行う仲介者であり、
関連データとしての取引者間の取引データは、売買注文による市場取引の取引データ若しくはその加工データを含む約定照合用データまたはその他の金融関連業務用データである構成としてもよい。
【0059】
ここで、「約定照合業務またはその他の金融関連業務」における「その他の金融関連業務」とは、例えば、発注者から市場取次者へ送信された注文データ、市場から市場取次者が受信した約定通知(出来通知)のデータやそれに基づく約定データ、市場取次者から発注者へ送信された約定結果の連絡データ、あるいはそれらの加工データ等を用いた各種の業務である。従って、「金融関連業務」には、機関投資家取引で発生する業務である「約定照合業務」の他に、「その他の金融関連業務」として、機関投資家取引で発生する業務のうちの約定照合業務以外の業務と、個人投資家取引で発生する業務とが含まれる。また、機関投資家取引で発生する業務のうちの約定照合業務以外の業務には、例えば、前述したように信託銀行と証券会社との間で行われる決済照合業務等があり、また、約定照合業務よりも前の段階で発生する業務もある。
【0060】
このように証券・金融分野における約定照合業務またはその他の金融関連業務の仲介に適用した構成とした場合には、取引者である発注者および市場取次者は、約定照合業務等の金融関連業務を行う際に、複数の仲介者(仲介者ノード)を利用することや、仲介者(仲介者ノード)の乗換を容易に行うことが可能となるので、発注者や市場取次者にとっての利便性の向上を図ることができるうえ、仲介者の固定化を防ぎ、仲介者への支払手数料の低廉化を期待することもできるようになる。
【0061】
<プログラムの発明>
【0062】
また、本発明のプログラムは、以上に述べた取引記録システムを構成する仲介者ノードとして、コンピュータを機能させるためのものである。
【0063】
さらに、本発明のプログラムは、前述した取引記録システムを構成する取引者ノードとして、コンピュータを機能させるためのものである。
【0064】
なお、以上に述べたプログラムまたはその一部は、例えば、光磁気ディスク(MO)、コンパクトディスク(CD)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去および書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、フラッシュディスク等の記録媒体に記録して保存や流通等させることが可能であるとともに、例えば、LAN、MAN、WAN、インターネット、イントラネット、エクストラネット等の有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにはこれらの組合せ等の伝送媒体を用いて伝送することが可能であり、また、搬送波に載せて搬送することも可能である。さらに、以上に述べたプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。
【発明の効果】
【0065】
以上に述べたように本発明によれば、取引者間毎に別々のチャネル記憶手段を設け、取引者間の取引データを、取引者により選択された選択範囲の仲介者ノード間で共有するか、あるいは、取引者間毎で、かつ、仲介者の組合せ毎に別々のチャネル記憶手段を設け、取引者間の取引データを、選択範囲の仲介者ノード間および当事者範囲の取引者ノード間で共有するので、取引者は、複数の仲介者(仲介者ノード)を利用することや、仲介者(仲介者ノード)の乗換を容易に行うことができ、複数の仲介者の各々への個別対応を解消できるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下に本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1には、第1実施形態の取引記録システム10(並行稼働中の状態)の全体構成が示されている。
図2には、第1実施形態の仲介者ノード20および仲介者システム40の詳細構成が示されている。また、
図3および
図4には、第1実施形態における取引データの登録および通番管理の流れがフローチャートで示されている。さらに、
図5には、第1実施形態の取引記録システム10(移行完了後の状態)の全体構成が示されている。
【0069】
図1の取引記録システム10は、例えば、既存のシステムである仲介者システム40に対し、分散型台帳技術(DLT)を利用した仲介者ノード20を設置し、仲介者ノード20と仲介者システム40とを並行稼働させている状態であり、この状態は、DLTを利用した仲介者ノード20を中心とするシステムへの移行期にある過渡的な状態であるといえ、移行完了後の状態を示す
図5の取引記録システム10に向け、移行を進めている状態であるということができる。この移行では、仲介者システム40の機能を、徐々に仲介者ノード20側に移していくことが可能であるため、過渡期の多様な状態に対し、異なる符号を付すのは困難であることから、説明の便宜上、並行稼働中の状態にも、移行完了後の状態にも、同じ符号を付して取引記録システム10としている。
【0070】
なお、ここでは、
図1の取引記録システム10は、
図5の状態に向けて移行中の状態であるものとして説明を行うが、
図1の状態の取引記録システム10のままで、すなわち仲介者ノード20と仲介者システム40とを並行稼働させた状態で運用を続けてもよい。また、ここでは、
図5の状態の取引記録システム10は、移行完了後の状態であるものとして説明を行うが、最初から(すなわち、並行稼働の状態を経ずに)、
図5の状態の取引記録システム10を構築してもよい。
【0071】
<取引者、仲介者、取引者間の取引データの具体例>
【0072】
取引記録システム10は、仲介者が介在する取引者間の取引データを記録するシステムであり、記録する取引者間の取引データには、取引者間の取引内容を示すデータと、取引者間の取引の履行に伴って発生した若しくは発生する関連データとが含まれる。仲介者は、取引者間の取引の仲介または取引者間の取引に伴う作業の仲介を行う者である。
【0073】
具体的には、例えば、取引者が、金融商品の売買注文を行う機関投資家等の発注者(
図1の例では、取引者A,B,C)と、この発注者からの依頼に基づき市場への売買注文の取次を行う証券会社等の市場取次者(
図1の例では、取引者X,Y,Z)とであり、これらの取引者間の取引に伴う作業が、例えば、機関投資家取引における約定照合業務またはその他の金融関連業務であるとすると、仲介者は、発注者と市場取次者との間の約定照合業務またはその他の金融関連業務を仲介するベンダ(サービスプロバイダ)(
図1の例では、仲介者α,β,γ)である。この際、記録する取引者間の取引データは、例えば、約定照合用データまたはその他の金融関連業務用データとなり、これらは、取引者間の取引内容を示すデータではなく、関連データの方に該当する。約定照合用データ等は、発注者と市場取次者との間での売買取引ではなく、市場取引により発生したデータだからである。本実施形態では、
図1に示すように、主としてこのような証券・金融分野における機関投資家取引の例を中心に説明を行う。
【0074】
また、例えば、取引が不動産賃貸借契約であれば、取引者は、不動産の貸し手および借り手であり、仲介者は、その契約を取り扱う不動産業者である。この際、記録する取引者間の取引データには、取引者間の取引内容を示すデータとしては、例えば、対象物件、賃料、賃貸借期間等のデータがあり、関連データとしては、例えば、地震や火災や盗難等の保険契約を保険会社と締結した場合の契約データ(保険の内容や保険料等)、リノベーションの際の施工業者との契約データ(工期や金額等)、建築資材の単価・メーカや下請業者等のデータ等がある。これにより、例えば、借り手である取引者Dが仲介者δを利用し、貸し手である取引者Uが仲介者εを利用した契約手続(仲介者δ,ε間の利用料の按分方法は任意である。)が可能となり、また、取引者D,Uが初回契約時に仲介者δを利用し、契約更新時に仲介者εを利用すること等が可能となるが、効果については、上述した機関投資家取引の例を中心に、詳細は後述する。
【0075】
さらに、例えば、取引が宿泊施設の予約・提供であれば、取引者は、宿泊予定者および宿泊施設提供者であり、仲介者は、旅行代理店や予約サイト運営者等である。この際、記録する取引者間の取引データには、取引者間の取引内容を示すデータとしては、例えば、宿泊日、宿泊場所、宿泊施設、宿泊料金、チェックイン予定時刻等のデータがあり、関連データとしては、例えば、レンタカー会社との契約(予約)データ(車種、利用料金、利用時間等)がある。これにより、例えば、宿泊予定者である取引者Eが仲介者σを利用し、宿泊施設提供者である取引者Vが仲介者τを利用した予約手続が可能となり(仲介者σ,τ間の利用料の按分方法は任意である。)、また、取引者E,Vが初回予約時に仲介者σを利用し、2回目以降の予約時に仲介者τを利用すること等が可能となるが、効果については、前述した機関投資家取引の例を中心に、詳細は後述する。
【0077】
図1において、取引記録システム10は、複数の仲介者ノード20を、分散型台帳形成用のP2P(ピア・ツー・ピア)ネットワーク1で接続して構成されている。仲介者ノード20は、仲介者が設置したノードであり、分散型台帳への参加者ノードである。
図1には、一例として、仲介者α,β,γにより設置された3つの仲介者ノード20α,20β,20γが接続されているが、仲介者ノード20の台数は、複数台であれば任意である。なお、1台の仲介者ノード20としてもシステムを運用することは可能であるが、1台だけでは、複数の仲介者(仲介者ノード20)を介した作業や、仲介者(仲介者ノード20)の乗換ができず、また、仲介者の固定化による弊害が出る可能性もあるので、本発明の効果を十分に得ることはできない。
【0078】
また、
図1の例では、P2Pネットワーク1には、取引者Zにより設置された取引者ノード60が、分散型台帳への参加者ノードとして接続されている。なお、取引者Zは、証券会社等の市場取次者であるが、取引者ノード60は、機関投資家等の発注者である取引者A,B,Cにより設置されたノードであってもよい。このようにP2Pネットワーク1には、取引者ノード60を接続することができるが、必ずしも取引者ノード60を接続する必要はなく、例えば、仲介者を介さずに、取引者が直接に取引データの登録や閲覧を行いたい場合等に、取引者ノード60を設置することができる。そして、そのような希望を持つ取引者が複数いる場合等には、複数の取引者ノード60を設置してもよい。
【0079】
さらに、
図1の例では、P2Pネットワーク1には、全チャネル閲覧可能者により設置されたスーパーノード80が、分散型台帳への参加者ノードとして接続されている。このようにP2Pネットワーク1には、スーパーノード80を接続することができるが、必ずしもスーパーノード80を接続する必要はなく、例えば、証券保管振替機構による業務や、監査業務等のように、全ての取引者間の取引データを用いた作業を行う場合等に、スーパーノード80を設置することができる。
【0080】
また、各仲介者ノード20(20α,20β,20γ)には、ネットワーク3(3α,3β,3γ)を介して各仲介者システム40(40α,40β,40γ)が接続されている。なお、
図1の例では、全ての仲介者ノード20について、仲介者システム40が併設された状態となっているが、必ずしも全ての仲介者ノード20について仲介者システム40が併設されている必要はなく、一部の仲介者については、DLTを利用した仲介者ノード20への移行が完了し、仲介者システム40を設置していない状態となっていてもよい。
【0081】
各仲介者システム40(40α,40β,40γ)は、P2P以外のネットワーク2に接続され、同じくネットワーク2に接続された取引者端末100(
図1の例では、取引者A,B,C,X,Y,Zの操作する取引者端末100A,100B,100C,100X,100Y,100Z)との間で、データの送受信が可能となっている。なお、仲介者ノード20に仲介者システム40を併設しない構成とする場合には、仲介者ノード20をネットワーク2に接続し、各取引者端末100との間でのデータの送受信を行うことができるようにしておけばよい。
【0082】
また、取引者ノード60には、仲介者システム40に相当するものは併設されていないので、取引者ノード60は、ネットワーク2に接続され、その取引者ノード60を設置した取引者の操作する取引者端末100(
図1の例では、取引者Zの操作する取引者端末100Z)との間で、データの送受信が可能となっている。
【0083】
なお、
図1での図示は省略されているが、各仲介者が操作する各仲介者端末も、ネットワーク2に接続され、仲介者システム40との間で、データの送受信を行うことができるようになっている。また、仲介者ノード20をネットワーク2に接続し、仲介者端末との間でのデータの送受信を行うことができるようにしてもよい。
【0084】
また、スーパーノード80は、ネットワーク2に接続され、同じくネットワーク2に接続された全チャネル閲覧可能者の操作する全チャネル閲覧可能者端末120との間で、データの送受信が可能となっている。また、スーパーノード80は、必要に応じ、各取引者端末100や各仲介者端末(不図示)との間でデータの送受信を行ってもよい。
【0085】
さらに、ネットワーク2には、管理者システム110が接続されている。この管理者システム110は、分散型台帳への参加の可否の判断等を行う管理者が設置したシステムである。なお、管理者システム110は、
図1中の二点鎖線のように、P2Pネットワーク1に接続して管理者ノード(分散型台帳への参加者ノード)としてもよく、この場合には、スーパーノード80と同様な機能を備えた管理者ノードとし、管理者を、全チャネル閲覧可能者に該当する者としてもよく、あるいは、分散型台帳(分散型台帳記憶手段)のうちの共通台帳(共通台帳記憶手段)の情報は共有するが、各チャネル(各チャネル記憶手段)の情報は共有しない管理者ノードとしてもよい。また、管理者が操作する管理者端末としてもよい。さらに、管理者システム110を管理者ノードとする場合には、管理者ノードが、チャネルを構成する各ノードへのデータ配信処理を行ってもよく、あるいは、分散型台帳の参加者ノードからの問合せに対し、各チャネルの構成ノードに関する情報を提供する処理を行ってもよく、このようなノード間での情報共有のためのデータ配信については、詳細は後述する。
【0086】
以上において、ネットワーク1は、分散型台帳形成用のP2Pネットワークであり、分散型台帳への参加者ノードは、P2P接続されることになる。具体的には、ネットワーク1は、例えばインターネットや通信事業者が提供する各種のサービス網等の公衆ネットワークを使って形成された仮想的なネットワーク(インターネット上にVPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)を用いて構築されたイントラネットを含む。)などである。従って、ネットワーク1は、物理的には、ネットワーク2(P2P以外)と同じ通信回線を使用していてよい。
【0087】
ネットワーク2は、P2Pネットワークではなく(ネットワーク2内のコンピュータは、P2P接続されていない。)、主としてインターネットにより構成された外部ネットワークであり、インターネットと、LANやイントラネット等の内部ネットワーク(例えば、社内、グループ企業内、事業所内、工場内、病院内、学校内、役所内等で構築された限定的なネットワーク)との組合せでもよく、有線であるか無線であるか、さらには有線および無線の混在型であるかは問わず、要するに、複数地点(距離の長短は問わない。)間で、ある程度の速度をもって情報を伝送することができるものであればよい。
【0088】
ネットワーク3(3α,3β,3γ)は、例えばLANやイントラネット等の内部ネットワークであるが、一旦、外部を経由する外部ネットワークとしてもよい。また、各仲介者ノード20(20α,20β,20γ)と、各仲介者システム40(40α,40β,40γ)とを接続できればよいので、ネットワークではなく、専用線としてもよく、要するに、通信回線であればよい。さらに、仲介者ノード20と仲介者システム40とが、同じコンピュータ内に一体化されて構築されている場合には、このネットワーク3またはそれに代わる通信回線は不要であるが、コンピュータ内のバスであると考えてもよい。
【0089】
また、各仲介者ノード20、各仲介者システム40、取引者ノード60、スーパーノード80、管理者システム110は、それぞれ1台または複数台のコンピュータ(サーバ)により構成されている。
【0090】
さらに、各取引者端末100、全チャネル閲覧可能者端末120、各仲介者端末(不図示)は、それぞれコンピュータにより構成されている。また、これらの端末100,120等は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の携帯機器であってもよい。
【0091】
<仲介者ノード20および仲介者システム40の構成>
【0092】
図2において、仲介者ノード20は、共通台帳管理手段21と、チャネル管理手段22と、分散型台帳記憶手段30とを備えて構成されている。
【0093】
また、仲介者システム40は、取引者要求受付手段41と、同期用取引データ抽出手段42と、同期用チャネル記録指示手段43と、チャネル監視手段44と、同期用取引データ記録手段45と、取引データ記憶手段51と、通番対応記憶手段52とを備えて構成されている。
【0094】
このうち、各仲介者ノード20(20α,20β,20γ,…)の各手段21,22、および各仲介者システム40(40α,40β,40γ,…)の各手段41〜45は、各仲介者ノード20や各仲介者システム40を構成する各コンピュータ本体の内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する1つまたは複数のプログラム、並びに、主メモリやキャッシュメモリ等の作業用メモリ等により実現される。
【0095】
また、各仲介者ノード20(20α,20β,20γ,…)の分散型台帳記憶手段30、および各仲介者システム40(40α,40β,40γ,…)の各記憶手段51,52は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)等により好適に実現されるが、記憶容量やアクセス速度等に問題が生じない範囲であれば、例えば、DVD、MO、磁気テープ等の他の記録媒体を採用してもよい。
【0096】
さらに、各仲介者ノード20の分散型台帳記憶手段30、および各仲介者システム40の各記憶手段51,52へのデータ保存形式は、任意であり、例えば、通常のリレーショナルデータベース(RDB)、非リレーショナルデータベースであるドキュメント指向データベース(カウチDB等)、あるいは列指向のカラム型データベース等の各種のデータベースでもよく、フラットファイル等によるファイルシステムや、分散ファイルシステム(HDFS等)でもよい。
【0097】
また、分散型台帳を構成するうえでの基本的な条件やルールを満たしていることを前提とし、各仲介者ノード20の分散型台帳記憶手段30は、仲介者ノード20毎に異なるデータ保存形式を採用していてもよい。
【0098】
<仲介者ノード20/分散型台帳記憶手段30の詳細構成、およびノード間での情報共有の形態>
【0099】
図1および
図2に示すように、分散型台帳記憶手段30は、分散型台帳に参加する全ての参加者ノードで共有する情報を記憶する共通台帳記憶手段31と、取引者間毎に設けられた少なくとも1つのチャネル記憶手段32とを備えて構成されている。
【0100】
この際、分散型台帳記憶手段30をデータベースで構成する場合には、共通台帳記憶手段31と、各チャネル記憶手段32とは、それぞれ異なるデータベースにより構成してもよく、同じデータベース内の異なるテーブル(但し、テーブルを持たないデータベースを除く。)により構成してもよく、それらを折衷し、幾つかのデータベースに分けた構成としてもよい。幾つかのデータベースに分ける場合には、共通台帳記憶手段31と、全てのチャネル記憶手段32という分け方でもよく、さらに、各チャネル記憶手段32を幾つかに分けてもよい。
【0101】
<仲介者ノード20/共通台帳記憶手段31の詳細構成、およびノード間での情報共有の形態>
【0102】
共通台帳記憶手段31は、分散型台帳の基本的な情報共有機能を実現するストレージ部分である。この共通台帳記憶手段31に記憶させる情報は、全ての参加者ノードで共有する情報であるから、例えば、参加者情報(各参加者の名前等の識別情報と、IPアドレスとを関連付ける情報)等である。また、証券・金融分野の取引に適用する場合には、例えば、金融商品の銘柄名や銘柄コード等の銘柄情報、標準決済指図(SSI)の情報、各証券会社の手数料の情報等を記憶させてもよい。
【0103】
この共通台帳記憶手段31は、ブロックチェーンで構成することができるが、必ずしもブロック内にチェーン形成情報(例えば、前のブロックのハッシュ値等)を格納することによりチェーンを形成する必要はなく、また、共通台帳への記録情報を、通常のブロック構成(タイムスタンプと、チェーン形成情報と、トランザクションデータやスマートコントラクト用のプログラム等の内容データとを含む構成)にする必要もない。但し、一般的なブロックの生成・承認・保存(他ノードへの配信を含む)の処理を採用する場合には、ブロックチェーンを形成することが好ましい。
【0104】
また、各仲介者ノード20の共通台帳記憶手段31に記憶される情報は、全ての参加者ノードで共有されるので、取引者ノード60に設けられた分散型台帳記憶手段70内の共通台帳記憶手段71、スーパーノード80に設けられた分散型台帳記憶手段90内の共通台帳記憶手段91、および、管理者システム110を管理者ノードとした場合における管理者ノードに設けられた分散型台帳記憶手段内の共通台帳記憶手段にも記憶され、情報が共有されるようになっている。
【0105】
<仲介者ノード20/チャネル記憶手段32の詳細構成、およびノード間での情報共有の形態>
【0106】
チャネル記憶手段32は、取引者間の取引データを取引者間毎に記憶するストレージ部分である。従って、チャネル記憶手段32は、取引者の双方の識別情報と、取引者間の取引データと、チャネル内通番とを対応付けて記憶するが、取引者の双方または一方の識別情報は、取引データの中に含まれていてもよく、また、テーブル名(DBの場合)やフォルダ名等で取引者を識別するようにしてもよい。
【0107】
このチャネル記憶手段32は、取引者間毎に設けられているので、それぞれのチャネル記憶手段32は、ある1ペアの取引者間(2人または2団体の取引者の組合せのうちの任意の1つの組合せ)についての取引データを、他の取引者間の取引データを含まない状態で記憶するものである。
【0108】
具体的には、
図1および
図2の例では、仲介者ノード20αは、取引者A,X間の取引データを記憶するAXチャネル記憶手段32と、取引者C,X間の取引データを記憶するCXチャネル記憶手段32と、取引者C,Y間の取引データを記憶するCYチャネル記憶手段32との合計3つのチャネル記憶手段32を備えている。なお、詳細は既に述べたように、例えば、仲介者αが、証券・金融分野の取引における約定照合業務またはその他の金融関連業務の仲介を行う場合には、取引者A,X間の取引データというのは、関連データとしての約定照合用データまたはその他の金融関連業務用データであるから、取引者A,X間の売買取引データという意味ではない。
【0109】
ここで、例えば、AXチャネル記憶手段32は、取引データについては、取引者A,X間の取引データのみを記憶している。従って、AXチャネル記憶手段32には、取引者C,X間の取引データや、取引者C,Y間の取引データは記憶されていない。なお、取引者A,X間の取引データのみを記憶しているといっても、スマートコントラクト用のプログラム等は記憶しているので(
図2参照)、「のみ」というのは、あくまでも取引データについては、取引者A,X間だけという意味である。同様に、取引データについては、CXチャネル記憶手段32は、取引者C,X間だけを記憶し、CYチャネル記憶手段32は、取引者C,Y間だけを記憶している。
【0110】
また、取引者A,X間のAXチャネル記憶手段32と、取引者C,X間のCXチャネル記憶手段32とは、異なるチャネル記憶手段32である。一方の取引者Xは、一致しているものの、他方については、取引者A,Cで異なっているからである。これに対し、例えば、売買取引において、買い手である取引者Fと、売り手である取引者Wとの間の取引データと、それらの売買の関係を逆転させた、買い手である取引者Wと、売り手である取引者Fとの間の取引データとは、同じFWチャネル記憶手段32に記憶される。従って、取引者F,W間のFWチャネル記憶手段32と、取引者W,F間のWFチャネル記憶手段32とは同じであるから、このように呼び名を変える必要はなく、また、変えるべきではない。双方の取引者が一致しているからである。
【0111】
そして、仲介者ノード20は、当該仲介者ノード20を設置した仲介者自身が仲介する取引者間のチャネル記憶手段32を備え、かつ、仲介者自身が仲介しない取引者間のチャネル記憶手段32を備えない構成とされている。
【0112】
具体的には、
図1および
図2の例では、仲介者ノード20αは、AXチャネル記憶手段32、CXチャネル記憶手段32、およびCYチャネル記憶手段32を備えているので、この仲介者ノード20αを設置した仲介者αは、取引者A,X間の仲介、取引者C,X間の仲介、および取引者C,Y間の仲介を行っていることになる。
【0113】
従って、取引者間毎に設けられたチャネル記憶手段32のうちの同一の取引者間のチャネル記憶手段32は、複数の仲介者ノード20のうち、当該同一の取引者間を仲介する仲介者として選択された仲介者が設置した選択範囲の仲介者ノード20に設けられ、当該同一の取引者間の取引データは、選択範囲の仲介者ノード20間で共有されるようになっている。
【0114】
具体的には、
図1に示すように、取引者A,X間の取引データを記憶するAXチャネル記憶手段32は、仲介者ノード20α,20β(およびスーパーノード80)に設けられているので、取引者A,Xは、2人(または2団体)の仲介者α,βを選択し、これにより2つの仲介者ノード20α,20βが、選択範囲の仲介者ノード20となっている状態である。
【0115】
同様に、
図1に示すように、取引者B,Y間の取引データを記憶するBYチャネル記憶手段32は、仲介者ノード20β,20γ(およびスーパーノード80)に設けられているので、取引者B,Yは、2人(または2団体)の仲介者β,γを選択し、これにより2つの仲介者ノード20β,20γが、選択範囲の仲介者ノード20となっている状態である。
【0116】
また、
図1に示すように、取引者C,X間の取引データを記憶するCXチャネル記憶手段32は、仲介者ノード20α,20γ(およびスーパーノード80)に設けられているので、取引者C,Xは、2人(または2団体)の仲介者α,γを選択し、これにより2つの仲介者ノード20α,20γが、選択範囲の仲介者ノード20となっている状態である。
【0117】
さらに、
図1に示すように、取引者C,Y間の取引データを記憶するCYチャネル記憶手段32は、仲介者ノード20α,20β,20γ(およびスーパーノード80)に設けられているので、取引者C,Yは、3人(または3団体)の仲介者α,β,γを選択し、これにより3つの仲介者ノード20α,20β,20γが、選択範囲の仲介者ノード20となっている状態である。このように取引者は、3人(または3団体)以上の仲介者(仲介者ノード20)を選択してもよい。
【0118】
そして、
図1に示すように、取引者C,Z間の取引データを記憶するCZチャネル記憶手段32は、仲介者ノード20γおよび取引者ノード60(並びにスーパーノード80)に設けられているが、この場合は、特殊なケースである。取引者Zは、自ら取引者ノード60を設置しているので、取引者端末100Zから取引者ノード60にアクセスし、取引データを登録し、または閲覧することができる。一方、取引者Cは、自らの取引者ノード60を設置しているわけではないので、仲介者γを選択し、取引者端末100Cから仲介者システム40γにアクセスし、取引データを登録し、または閲覧する。
【0119】
また、
図1に示すように、取引者B,X間の取引データを記憶するBXチャネル記憶手段32は、仲介者ノード20β(およびスーパーノード80)に設けられているので、取引者B,Xは、1人(または1団体)の仲介者βしか選択していない。このようにシステム構成上は、取引者は、1人(または1団体)の仲介者(仲介者ノード20)だけを選択することもできるようになっているが、1人(または1団体)だけの選択では、複数の仲介者(仲介者ノード20)を介した作業や、仲介者(仲介者ノード20)の乗換ができず、また、仲介者の固定化による弊害が出る可能性もあるので、本発明の効果を十分に得ることはできない。但し、スーパーノード80とは情報共有されているので、その点では、本発明の効果を得ることができる。
【0120】
取引者が、利用する仲介者を選択するタイミングは、原則的には、取引者間の取引が発生する前、または、取引者間の取引に伴う作業が発生する前であるが、仲介者ノード20へのチャネル記憶手段32の設置を容易に行うことができる場合や、自動設置できる場合等には、取引者間の取引の仲介、または、取引者間の取引に伴う作業の仲介が行われる際に選択してもよい。
【0121】
また、取引者は、利用する仲介者を後から追加選択してもよく、その場合には、追加選択された仲介者により設置されている仲介者ノード20が、情報共有する選択範囲の仲介者ノード20に追加され、その仲介者ノード20にチャネル記憶手段32が新たに設置され、それまで共有されていた情報の全部(原則として全部であるが、直近の情報を含む一部の情報だけとしてもよい。)が新設のチャネル記憶手段32にもコピーされることになる。一方、取引者は、利用する仲介者を後から減らすこともでき、その場合には、取引者の選択から外れた仲介者が設置している仲介者ノード20から、チャネル記憶手段32を削除する。
【0122】
また、チャネル記憶手段32により共有される情報は、同一の取引者間の取引データであるが、同一の取引者の範囲は、仲介者による仲介の対象である取引や、取引に伴う作業の性質に応じ、調整することができる。例えば、機関投資家取引における約定照合業務の場合には、取引者は、発注者である機関投資家と、市場取次者である証券会社とであるため、それ程、取引者間の数は多くならないので、チャネル記憶手段32の数も多くはならない。しかし、例えば、取引が宿泊施設の予約・提供の場合には、取引者は、宿泊予定者および宿泊施設提供者となり、取引者間の数は多くなる可能性があるので、そのような場合には、例えば、同系列の複数の取引者を1人(1団体)の取引者とみなしてもよい。具体的には、宿泊予定者を所属会社単位でまとめる、あるいは、宿泊施設提供者を系列企業グループ単位でまとめる等である。
【0123】
さらに、各チャネル記憶手段32には、取引者間の取引データの他に、スマートコントラクト用の各種のプログラム(例えば、チャネルイン変換プログラム、チャネルアウト変換プログラム、通番管理プログラム等)が記憶されている(
図2参照)。
【0124】
ここで、チャネルイン変換プログラムは、仲介者システム40の取引データ記憶手段51に記憶された取引者間の取引データから、チャネル記憶手段32に記憶された取引者間の取引データへのデータ形式の変換処理を行うプログラムである。
【0125】
また、チャネルアウト変換プログラムは、チャネル記憶手段32に記憶された取引者間の取引データから、仲介者システム40の取引データ記憶手段51に記憶された取引者間の取引データへのデータ形式の変換処理を行うプログラムである。
【0126】
さらに、通番管理プログラムは、チャネル記憶手段32に記録される取引者間の取引データに付されるチャネル内通番の管理を行うプログラムである。
【0127】
また、各チャネル記憶手段32には、それぞれのチャネル(但し、自分(自ノード)が参加しているチャネル)を構成する参加者ノード(同じチャネル記憶手段32を備え、原則的には、同一の取引者間の取引データを共有する選択範囲の仲介者ノード20であるが、当該取引者間の一方または双方の取引者が設置した取引者ノード60がある場合には、その取引者ノード60も含まれる。)に関する情報が記憶されていてもよい。
【0128】
この場合、各チャネル記憶手段32に、自分(自ノード)が参加しているチャネルの参加者ノードの識別情報(仲介者の名前等や、取引者ノード60を設置している取引者の名前等)を記憶させておき、その識別情報を用いて、共通台帳記憶手段31に記憶されている参加者情報(各参加者の名前等の識別情報と、IPアドレスとを関連付ける情報)から、自分が参加しているチャネルの参加者ノードのIPアドレスを取得するようにしてもよく、あるいは、各チャネル記憶手段32に、自分が参加しているチャネルの参加者の識別情報とIPアドレスとを関連付ける情報を記憶させておいてもよい。
【0129】
図1の例では、AXチャネル記憶手段32,92は、仲介者ノード20α,20βおよびスーパーノード80に設けられ、これらのノード間で情報共有が行われるので、AXチャネル記憶手段32,92に、仲介者α,βおよび全チャネル閲覧可能者の識別情報(名前等)を記憶させておき、それらの識別情報を用いて、共通台帳記憶手段31から、仲介者ノード20α,20βおよびスーパーノード80の各IPアドレスを取得してもよく、あるいは、AXチャネル記憶手段32,92に、仲介者α,βおよび全チャネル閲覧可能者の識別情報(名前等)とIPアドレスとの関連付け情報を記憶させておいてもよい。
【0130】
同様に、
図1の例では、CZチャネル記憶手段32,72,92は、仲介者ノード20γ、取引者ノード60、およびスーパーノード80に設けられ、これらのノード間で情報共有が行われるので、CZチャネル記憶手段32,72,92に、仲介者γ、取引者Z、および全チャネル閲覧可能者の識別情報(名前等)を記憶させておき、それらの識別情報を用いて、共通台帳記憶手段31から、仲介者ノード20γ、取引者ノード60、およびスーパーノード80の各IPアドレスを取得してもよく、あるいは、CZチャネル記憶手段32,72,92に、仲介者γ、取引者Z、および全チャネル閲覧可能者の識別情報(名前等)とIPアドレスとの関連付け情報を記憶させておいてもよい。
【0131】
なお、管理者システム110を管理者ノードとし、その管理者ノードが、チャネルを構成する各ノードへのデータ配信処理を行い、あるいは、分散型台帳の参加者ノードからの問合せに対し、各チャネルの構成ノードに関する情報を提供する処理を行う構成とする場合には、必ずしも各チャネルの構成ノードに関する情報をチャネル記憶手段32,72,92に記憶させておく必要はない。
【0132】
<仲介者ノード20/共通台帳管理手段21の機能>
【0133】
共通台帳管理手段21は、分散型台帳記憶手段30の共通台帳記憶手段31へのデータ(全ての参加者ノードで共有する情報)の登録、および登録されたデータの閲覧の処理を実行するものである。この共通台帳管理手段21は、仲介者ノード20がネットワーク2(P2P以外)に接続されている場合には、ウェブ・アプリケーションサーバの機能を備えている。また、共通台帳管理手段21は、分散型台帳記憶手段30の共通台帳記憶手段31がデータベースで実現されている場合には、データベース・マネジメント・システム(DMBS)の機能を備えている。
【0134】
より詳細には、共通台帳管理手段21は、仲介者端末(不図示)からのデータの登録要求に応じ、仲介者端末からネットワーク2を介して送信されてきたデータを、共通台帳記憶手段31に登録する処理を実行する。また、仲介者端末(不図示)からのデータの閲覧要求に応じ、共通台帳記憶手段31から閲覧要求に係るデータを取得し、ネットワーク2を介して仲介者端末へ送信する処理を実行する。
【0135】
この際、共通台帳管理手段21は、共通台帳記憶手段31へデータを登録する際に、情報の秘匿化を図るためにデータを暗号化して登録してもよく、平文で登録してもよい。暗号化処理および復号処理を行う場合には、前述した特許文献3に記載されているDLTと属性ベース暗号とを組み合わせた暗号化技術を利用することができる。この暗号化技術を用いると、分散型台帳の参加者(仲介者や取引者)の属性に応じて各参加者に情報の参照権限を付与する仕組みを構築することができる。
【0136】
また、上述した共通台帳管理手段21によるデータ登録には、分散型台帳に参加している他の全ての参加者ノードへのデータ配信処理が含まれるが、必ずしも、共有するデータを生成したノード自身が、他ノードへのデータ配信を行う必要はなく、他ノードへのデータ配信を主導していればよい(指示を出す役割を果たしていればよい)。従って、前述したように、共通台帳記憶手段31は、必ずしもブロックチェーンで構成する必要はないが、ブロックチェーンで構成する場合には、ブロックの生成を行ったノード自身が、必ずしもそのブロックの承認処理に参加する必要はなく、また、必ずしもそのブロックを他の全ての参加者ノードに配信する処理を行う必要もない。例えば、それらのブロック承認やブロック配信は、管理者ノード(管理者システム110を管理者ノードとした場合)や、他の1つまたは複数の仲介者ノード20が行うようにしてもよい。そして、管理者システム110に、このようなブロック承認やブロック配信を行う管理者ノードの役割を持たせる場合には、管理者ノード(仲介者ノード20、取引者ノード60、スーパーノード80のいずれにも該当しないノード)を複数設置してもよい。なお、ブロックチェーンを構成しない場合でも、情報共有のための他の全ての参加者ノードへの配信処理は必要となるので、その場合も同様に、共有するデータ(登録するデータ)を生成したノードが、1つまたは複数の管理者ノード(管理者システム110を管理者ノードとした場合)や、他の1つまたは複数の仲介者ノード20に対し、データ配信の指示(配信するデータを送信し、配信を依頼する処理)を行ってもよい。
【0137】
以上に述べた他ノードへのデータ配信処理は、いずれの配信形態をとる場合であっても、分散型台帳形成用のP2Pネットワーク1を介して行われる。
【0138】
<仲介者ノード20/チャネル管理手段22の機能>
【0139】
チャネル管理手段22は、分散型台帳記憶手段30の各チャネル記憶手段32への取引データの登録、および登録された取引データの閲覧の処理を実行するものである。この際、チャネル管理手段22は、データを暗号化して登録してもよく、平文で登録してもよく、暗号化処理および復号処理を行う場合には、前述した特許文献3に記載されているDLTと属性ベース暗号とを組み合わせた暗号化技術を利用することができるのは、前述した共通台帳管理手段21の場合と同様である。
【0140】
そして、チャネル管理手段22は、共通台帳管理手段21の場合と同様に、仲介者ノード20がネットワーク2(P2P以外)に接続されている場合には、ウェブ・アプリケーションサーバの機能を備えている。また、チャネル管理手段22は、分散型台帳記憶手段30の各チャネル記憶手段32がデータベースで実現されている場合には、データベース・マネジメント・システム(DMBS)の機能を備えている。
【0141】
また、チャネル管理手段22は、共通台帳記憶手段31に記憶された情報が必要になる処理を行う場合には、共通台帳管理手段21と連携することにより、共通台帳記憶手段31に記憶された情報を取得するようになっている。なお、共通台帳管理手段21側からチャネル管理手段22に対して各チャネル記憶手段32に記憶された情報を求める逆の連携があってもよい。
【0142】
さらに、チャネル管理手段22は、チャネル記憶手段32に記憶されているスマートコントラクト用の各種のプログラムにより実現される手段を備えている。具体的には、チャネル管理手段22は、チャネルイン変換プログラムにより実現されるチャネルイン変換手段23と、チャネルアウト変換プログラムにより実現されるチャネルアウト変換手段24と、通番管理プログラムにより実現される通番管理手段25とを備え、これらは、チャネル管理手段22による下記の処理で使用される。
【0143】
すなわち、チャネル管理手段22は、取引データの登録に関する仲介者システム40からチャネルへの同期処理として、仲介者システム40の同期用チャネル記録指示手段43からの指示とともに、仲介者システム40からネットワーク3を介して送信されてくる取引者間の取引データ(同期用取引データ抽出手段42により取引データ記憶手段51から抽出した取引者間の取引データ)を受信し、受信した取引者間の取引データを、当該取引者間のチャネル記憶手段32(受信した取引者間の取引データに対応するチャネル記憶手段32)に記録する処理を実行するとともに、同期用チャネル記録指示手段43に対し、記録した取引データに付与したチャネル内通番を、ネットワーク3を介して送信する処理を実行する。
【0144】
この際、チャネル管理手段22は、同期用チャネル記録指示手段43から受信した取引者間の取引データについて、チャネルイン変換手段23により、データ形式(データフォーマット)の変換を行った後、チャネル記憶手段32に記録する処理を実行する。
【0145】
また、チャネル管理手段22は、チャネル記憶手段32に記録する取引データ、または記録した取引データに対し、通番管理手段25により、システム内通番を付与する処理を実行する。
【0146】
一方、チャネル管理手段22は、取引データの登録に関するチャネルから仲介者システム40への同期処理として、仲介者システム40のチャネル監視手段44からの定期的な問合せ信号を、ネットワーク3を介して受信し、チャネル記憶手段32に取引者間の取引データが新たに記録されたか否かを判断し、その判断結果を、ネットワーク3を介してチャネル監視手段44に返信する処理を実行する。
【0147】
また、チャネル管理手段22は、チャネル記憶手段32に取引者間の取引データが新たに記録されたと判断した場合には、その追加して記録された取引者間の取引データを、それに付されたチャネル内通番とともにチャネル記憶手段32から抽出し、抽出した取引者間の取引データおよびチャネル内通番を、ネットワーク3を介してチャネル監視手段44に送信する処理を実行する。
【0148】
この際、チャネル管理手段22は、チャネル記憶手段32から抽出した取引者間の取引データについて、チャネルアウト変換手段24により、データ形式(データフォーマット)の変換を行った後、チャネル内通番とともに、ネットワーク3を介してチャネル監視手段44に送信する処理を実行する。
【0149】
また、上述したチャネル管理手段22による分散型台帳記憶手段30の各チャネル記憶手段32への取引データの登録には、分散型台帳のチャネルを構成する他の全ての参加者ノード(自分(自ノード)が参加しているチャネルへの参加者ノードであり、主として選択範囲の仲介者ノード20であるが、取引者ノード60が加わることもある。)へのデータ配信処理が含まれるが、必ずしも、チャネル内で共有するデータを生成したノード自身が、他ノード(チャネル内の他ノード)へのデータ配信を行う必要はなく、他ノードへのデータ配信を主導していればよい(指示を出す役割を果たしていればよい)。
【0150】
より詳細には、チャネル管理手段22による取引データの登録処理のうち、チャネル内での情報共有のための他ノードへの配信処理は、次のように様々な配信形態で行うことができる。
【0151】
先ず、第1の配信形態としては、チャネル内で情報共有すべき取引データを生成したチャネル管理手段22が、チャネル記憶手段32から、自分(自ノード)が参加しているチャネル内の他の参加者ノードの識別情報(仲介者の名前等や、取引者ノード60を設置している取引者の名前等)を取得し、その識別情報を用いて、共通台帳管理手段21と連携し、共通台帳記憶手段31に記憶されている参加者情報(各参加者の名前等の識別情報と、IPアドレスとを関連付ける情報)から、自分が参加しているチャネル内の他の参加者ノードの各IPアドレスを取得する。そして、チャネル管理手段22が、取得した各IPアドレスのノードに向け、自らが生成した取引データを配信する。
【0152】
次に、第2の配信形態としては、チャネル内で情報共有すべき取引データを生成したチャネル管理手段22が、チャネル記憶手段32から、自分(自ノード)が参加しているチャネル内の他の参加者ノードの識別情報とIPアドレスとを関連付ける情報を取得する。そして、チャネル管理手段22が、取得した各IPアドレスのノードに向け、自らが生成した取引データを配信する。
【0153】
また、第3の配信形態としては、チャネル内で情報共有すべき取引データを生成したチャネル管理手段22が、管理者ノード(管理者システム110を管理者ノードとした場合であり、仲介者ノード20、取引者ノード60、スーパーノード80のいずれにも該当しないノードである。)に対し、生成した取引データを送信してチャネル内の他ノードへの配信指示(依頼)を出す。この配信指示には、取引データが、いずれの取引者間の取引データであるのかの識別情報(例えば、AXチャネル等)が含まれる。そして、管理者ノードが、自分(管理者)が保有している全チャネルの参加者情報(各チャネルに参加している参加者の識別情報(名前等)とIPアドレスとの関連付け情報)の中から、チャネル管理手段22から受信した取引データに係るチャネル(例えば、AXチャネル等)の参加者情報(当該チャネルに参加している参加者の識別情報(名前等)とIPアドレスとの関連付け情報)を抽出することにより、チャネル管理手段22から受信した取引データの配信先情報を取得し、各ノードへの配信処理を実行する。なお、複数の管理者ノードがある場合には、いずれかの管理者ノードに対して配信指示を出し、いずれかの管理者ノードが配信処理を行ってもよく、あるいは、いずれかの管理者ノードに対して配信指示を出し、複数の管理者ノードが分担して配信処理を行ってもよい。
【0154】
さらに、第4の配信形態としては、チャネル内で情報共有すべき取引データを生成したチャネル管理手段22が、管理者ノード(管理者システム110を管理者ノードとした場合であり、仲介者ノード20、取引者ノード60、スーパーノード80のいずれにも該当しないノードである。)に対し、配信する取引データに係るチャネル(例えば、AXチャネル等)の参加者情報(当該チャネルに参加している参加者の識別情報(名前等)とIPアドレスとの関連付け情報)を問い合わせ、管理者ノードがこれに返信する。そして、チャネル管理手段22が、取得した各IPアドレスのノードに向け、自らが生成した取引データを配信する。
【0155】
また、第5の配信形態としては、チャネル内で情報共有すべき取引データを生成したチャネル管理手段22が、他の仲介者ノード20に対し、取引データの配信指示を出す。このような配信指示を受ける仲介者ノード20は、予め定められている。この際、配信指示を受けることができる仲介者ノード20が複数ある場合には、いずれかの仲介者ノード20に対して配信指示を出し、いずれかの仲介者ノード20が配信処理を行ってもよく、あるいは、いずれかの仲介者ノード20に対して配信指示を出し、複数の仲介者ノード20が分担して配信処理を行ってもよい。また、このような配信処理を行う仲介者ノード20は、取引データの配信先情報を、チャネル内で情報共有すべき取引データを生成したチャネル管理手段22から受け取ってもよく、あるいは、自らのチャネル記憶手段32や、自らのチャネル記憶手段32および共通台帳記憶手段31から取得してもよい。
【0156】
以上に述べたチャネル内の他ノードへのデータ配信処理、およびそのための指示データや問合せデータの送信処理は、いずれの配信形態をとる場合であっても、分散型台帳形成用のP2Pネットワーク1を介して行われる。
【0157】
<仲介者システム40/取引データ記憶手段51、通番対応記憶手段52の構成>
【0158】
図2において、取引データ記憶手段51は、取引者の双方の識別情報と、取引者間の取引データと、自システム内通番とを対応付けて記憶するものである。この際、取引者の双方または一方の識別情報は、取引データの中に含まれていてもよく、また、テーブル名(DBの場合)やフォルダ名等で取引者を識別するようにしてもよい。自システム内通番は、仲介者システム40内における通番であるが、その仲介者システム40を設置した仲介者が複数の取引者間を仲介している場合(例えば、仲介者αが、取引者A,X間、取引者C,X間、取引者C,Y間を仲介している場合)には、取引者間毎の通番である。但し、取引者間毎の通番ではなく、複数の取引者間を混在させた状態での自システム内通番としてもよく、あるいは、取引者間毎の通番と、複数の取引者間を混在させた状態での自システム内通番とを併用してもよい。
【0159】
通番対応記憶手段52は、チャネル記憶手段32への取引データの登録を行った仲介者(仲介者ノード20)の自他の別(自ノードか他ノードかの別)と、取引データの自システム内通番と、取引データのチャネル内通番とを対応付けて記憶するものである。チャネル内通番は、チャネル記憶手段32毎に付されている取引データの識別番号であり、例えば、AXチャネル内通番は、取引者A,X間の取引データを記録するAXチャネル記憶手段32内における通番である。
【0160】
<仲介者システム40/取引者要求受付手段41、同期用取引データ抽出手段42、同期用チャネル記録指示手段43の機能:仲介者システム40⇒チャネルの同期機能>
【0161】
図2において、取引者要求受付手段41は、取引者端末100からネットワーク2を介して送信されてくる取引データの登録要求(仲介者システム40を設置した仲介者が仲介する取引者の一方または双方による取引者間の取引データの登録要求)を受け付け、受け付けた取引者間の取引データに対し、自システム内通番を付与し、取引者間の取引データを自システム内通番とともに取引データ記憶手段51に登録する処理を実行するものである。この際、取引者要求受付手段41は、通番対応記憶手段52に、新規に登録した取引データについての自システム内通番を記憶させる処理も実行する。また、自システム内通番を付与する際には、取引者要求受付手段41が持つ内部メモリから最新の番号の情報(何番まで振ったかという情報)を取得してもよく、通番対応記憶手段52から取得してもよい。
【0162】
また、取引者要求受付手段41は、取引者端末100からネットワーク2を介して送信されてくる取引データの閲覧要求(取引者端末100を操作する取引者が含まれる取引者間の取引データの閲覧要求)を受け付け、閲覧要求に係る取引者間の取引データを、取引データ記憶手段51から取得し、取得した取引者間の取引データを、ネットワーク2を介して取引者端末100へ送信する処理を実行する。
【0163】
さらに、取引者要求受付手段41は、取引者端末100からネットワーク2を介して送信されてくる作業要求(取引者間の取引データを用いた作業要求)を受信し、受信した作業要求に応じる処理を実行する。ここで、作業要求に応じる処理とは、例えば、証券・金融分野の取引に伴う作業であれば、約定照合業務またはその他の金融関連業務を実行する処理である。
【0164】
同期用取引データ抽出手段42は、取引データ記憶手段51に新たに登録された取引者間の取引データを抽出する処理を実行するものである。この際、同期用取引データ抽出手段42は、通番対応記憶手段52を監視し、自ノードによる登録があり(自システム内通番が記憶され)、かつ、未だチャネル内通番が記憶されていないレコード(またはレコードに相当する記憶領域)の有無を監視することにより、新たに登録された取引者間の取引データがあるか否かを判断する。また、仲介者ノード20側からチャネル内通番が返信されてくるまでにタイムラグがあるが、その間、同期用取引データ抽出手段42の内部メモリに最新の自システム内通番が保持されているので、同じ取引データを複数回抽出してしまう事態(タイムラグによる多重の書き込み)は回避されるようになっている。さらに、通番対応記憶手段52には、自ノード(自分が設置した仲介者ノード20)が主体でチャネル記憶手段32への書き込みを行うのか、他ノード(他の仲介者が設置した仲介者ノード20)が主体でチャネル記憶手段32への書き込みが行われたのかを区別する情報が記憶されているので、他ノードが主体で書き込んだ新規追加の取引データを抽出し、その取引データを自ノード主体で再びチャネル記憶手段32へ書き込んでしまうという事態(ループによる多重の書き込み)は回避されるようになっている。
【0165】
同期用チャネル記録指示手段43は、同期用取引データ抽出手段42により抽出した取引者間の取引データを、ネットワーク3を介して仲介者ノード20のチャネル管理手段22に送信し、仲介者ノード20の当該取引者間のチャネル記憶手段32(例えば、取引者A,X間の取引データであれば、AXチャネル記憶手段32)に記録することを指示する処理を実行するものである。従って、取引者間の取引データをチャネル管理手段22に渡す際には、その取引データがいずれの取引者間のものなのかを示す情報(取引者の双方の識別情報)も渡す。
【0166】
また、同期用チャネル記録指示手段43は、仲介者ノード20のチャネル管理手段22からネットワーク3を介して送信されてくるチャネル内通番(チャネル管理手段22へ送信した取引データに付与されたチャネル内通番)を受信し、通番対応記憶手段52に書き込む処理も実行する。
【0167】
<仲介者システム40/チャネル監視手段44、同期用取引データ記録手段45の機能:チャネル⇒仲介者システム40の同期機能>
【0168】
チャネル監視手段44は、仲介者ノード20のチャネル記憶手段32に取引者間の取引データが新たに記録されたか否かを監視し、新たに記録された取引者間の取引データを取得する処理を実行するものである。具体的には、チャネル監視手段44は、仲介者ノード20のチャネル管理手段22に対し、定期的に問合せ信号を送信するポーリング処理を行うことにより、チャネル管理手段22からの返信を待ち、新たに記録された取引者間の取引データがある場合には、チャネル管理手段22から、新規追加された取引者間の取引データおよびそのチャネル内通番が送信されてくるので、それらを受信する。
【0169】
同期用取引データ記録手段45は、チャネル監視手段44により取得した取引者間の取引データを、取引データ記憶手段51に記録する処理を実行するものである。この際、同期用取引データ記録手段45は、取引データ記憶手段51に記録する取引データに対し、自システム内通番を付与し、この自システム内通番も取引データとともに取引データ記憶手段51に記憶させる。また、同期用取引データ記録手段45は、チャネル監視手段44により取得したチャネル内通番と、自システム内通番との対応関係を、通番対応記憶手段52に記憶させる処理も実行する。
【0171】
図1において、取引者ノード60は、仲介者ノード20と同様な構成を備え、共通台帳管理手段61と、チャネル管理手段62と、分散型台帳記憶手段70とを備えて構成されている。但し、取引者ノード60には、仲介者システム40に相当するものは併設されていないので、チャネル管理手段62は、仲介者システム40に相当するものとチャネルとの間の同期処理は行わない。
【0172】
また、分散型台帳記憶手段70は、仲介者ノード20の分散型台帳記憶手段30と同様な構成を備え、分散型台帳に参加する全ての参加者ノードで共有する情報を記憶する共通台帳記憶手段71と、取引者間毎に設けられた少なくとも1つのチャネル記憶手段32とを備えて構成されている。
【0174】
図1において、スーパーノード80は、仲介者ノード20と同様な構成を備え、共通台帳管理手段81と、チャネル管理手段82と、分散型台帳記憶手段90とを備えて構成されている。但し、スーパーノード80には、仲介者システム40に相当するものは併設されていないので、チャネル管理手段82は、仲介者システム40に相当するものとチャネルとの間の同期処理は行わない。
【0175】
また、分散型台帳記憶手段90は、仲介者ノード20の分散型台帳記憶手段30と同様な構成を備え、分散型台帳に参加する全ての参加者ノードで共有する情報を記憶する共通台帳記憶手段91と、取引者間毎に設けられた少なくとも1つのチャネル記憶手段92とを備えて構成されている。但し、分散型台帳記憶手段90には、全ての取引者間のチャネル記憶手段92が設けられているという点で、仲介者ノード20の分散型台帳記憶手段30とは異なっている。
【0176】
<移行完了後の取引記録システム10:
図5>
【0177】
図5に示すように、移行完了後の取引記録システム10は、仲介者システム40に相当するもの(DLT導入前から存在する既存のシステム)は備えていない。従って、取引者端末100からの取引者の要求は、仲介者システム40に相当するもので受け付けるのでなく、仲介者ノード20が受け付けることになる。
【0178】
このため、
図5の状態では、共通台帳管理手段21およびチャネル管理手段22は、ウェブ・アプリケーションサーバの機能を備えている。また、チャネル管理手段22は、
図2に示された取引者要求受付手段41の機能を備えることになる。但し、
図5の移行完了後の状態では、仲介者システム40に相当するものはなく、従って、取引データ記憶手段51もないので、取引データ記憶手段51への取引データの登録機能、登録された取引データの閲覧機能、登録された取引データを用いて作業(取引に伴って発生する作業)を行う機能は、チャネル記憶手段32に対する登録機能、閲覧機能、作業を行う機能に置き換えられることになる。これらの機能は、チャネル記憶手段32にプログラムを格納しておくことにより、スマートコントラクトで実現してもよい。
【0179】
さらに、
図5の移行完了後の状態では、仲介者システム40に相当するものはなく、従って、取引データ記憶手段51もないので、仲介者システム40とチャネルとの間での同期処理は必要ない。このため、チャネル管理手段22は、
図2に示されたチャネルイン変換手段23およびチャネルアウト変換手段24の機能は備えていない。また、同じ理由で、
図2に示された同期用取引データ抽出手段42、同期用チャネル記録指示手段43、チャネル監視手段44、同期用取引データ記録手段45の各機能も備えていない。
【0180】
また、
図1に示す並行稼働中の状態の取引記録システム10と、
図5に示す移行完了後の取引記録システム10との中間的な状態もある。この中間的な状態とは、仲介者システム40が併設されている仲介者ノード20と、仲介者システム40が併設されていない仲介者ノード20(従って、その仲介者ノード20を設置した仲介者に限っては、DLTへの移行が完了している状態である。)とが混在している状態である。
【0181】
さらに、DLT(DLTを利用したシステム)への移行を進めるという意味は、
図1の状態から
図5の状態への移行のみならず、
図1の状態になる前の段階からの移行も含まれる。すなわち、仲介者システム40に相当する既設のシステムを有している仲介者が、未だDLT(分散型台帳)に参加していない状態から、仲介者ノード20を設置して分散型台帳の参加者になる状態への移行も含まれる。
【0182】
<取引データの登録および通番管理の流れ(仲介者システム40⇒チャネル):
図3>
【0183】
このような第1実施形態においては、以下のようにして取引記録システム10により、取引データの登録および通番管理が行われる。
【0184】
本発明では、複数の仲介者を選択できるので、取引者間の取引データが当該取引者間のチャネル記憶手段32に登録されるケースとしては、1人(または1団体)の仲介者から見れば、自ノード(自分が設置する仲介者ノード20)が主体になって登録される場合と、他ノード(他の仲介者が設置する仲介者ノード20)が主体になって登録される場合とがある。従って、前者の場合の流れを、
図3を用いて説明し、後者の場合の流れを、
図4を用いて説明する。
【0185】
また、ここでは、取引者A,X間(取引者Aと取引者Xとの間)の取引データの登録について、仲介者αにより設置されている仲介者ノード20αおよび仲介者システム40αで行われる処理を例に挙げて説明する。従って、
図1に示すように、取引者A,X間の仲介は、仲介者α,βにより行われ、AXチャネル記憶手段32は、仲介者ノード20α,20β間で共有されているので、その一方の側である仲介者α側の視点での説明となる。
【0186】
図3において、先ず、取引者要求受付手段41により、取引者Aまたは取引者Xが操作する取引者端末100Aまたは取引者端末100Xからネットワーク2を介して送信されてくる取引者A,X間の取引データの登録要求を受け付ける(ステップS1)。なお、取引者端末100には、専用のクライアントソフトが搭載されていてもよく、あるいは、汎用ブラウザを搭載した取引者端末100に対し、仲介者システム40から要求入力用のウェブ画面データを送信してもよい。
【0187】
この登録要求は、段階的に行われるものでもよく、仲介者αへの作業要求(登録データを用いた作業の要求、およびその作業の結果データの登録の要求)を含むものであってもよい。
【0188】
この取引者A,X間の取引データは、例えば、機関投資家取引における約定照合業務の仲介であれば、約定照合用データであり、詳細は既に述べているように、この約定照合用データは、取引者A,X間の取引データのうちの関連データに該当するものである。そして、この約定照合用データには、約定照合業務に用いられる材料としてのデータ、および約定照合の結果データが含まれる。従って、約定照合業務の仲介の場合には、段階的に取引データ(関連データとしての各種の取引データ)が登録されていくことになる。
【0189】
より具体的には、取引者X(ここでは、市場取次者である証券会社とする。)により取引者端末100Xから、約定情報として、例えば、ある銘柄について10,000株の約定が成立したという情報が入力されるので、この情報を、取引者要求受付手段41により受け付け、取引データ記憶手段51に登録する。
【0190】
続いて、取引者A(ここでは、発注者である機関投資家とする。)は、約定情報を閲覧する。この閲覧は、取引者要求受付手段41による閲覧機能を利用してもよく、あるいは、例えば電子メールやファクシミリ等のような仲介者システム40α以外のルートで取得した約定情報の閲覧でもよい。そして、約定情報を閲覧した取引者Aにより取引者端末100Aから、アロケーション情報として、例えば、10,000株のうち5,000株をファンド(1)に割り当て、3,000株をファンド(2)に割り当て、2,000株をファンド(3)に割り当てるという情報が入力されるので、この情報を、取引者要求受付手段41により受け付け、取引データ記憶手段51に登録する。
【0191】
その後、取引者要求受付手段41により、上記のようにして取引データ記憶手段51に登録された情報を用いて、約定照合処理を実行し、その結果データを取引データ記憶手段51に登録する。結果データとしては、例えば、「5,000株、ファンド(1)、手数料、SSI」、「3,000株、ファンド(2)、手数料、SSI」、「2,000株、ファンド(3)、手数料、SSI」等のような情報である。そして、登録された結果データは、取引者A,Xによる取引者端末100A,100Xからの閲覧要求に応じ、取引者要求受付手段41による閲覧機能により、取引者A,Xに提供される。
【0192】
この約定照合処理の際に、取引者要求受付手段41は、標準決済指図(SSI)の情報、手数料の情報が、仲介者ノード20αの共通台帳記憶手段31に記憶されている場合には、それらの情報を共通台帳管理手段21を経由して共通台帳記憶手段31から取得して用いてもよく、あるいは、予め共通台帳記憶手段31と同期をとってSSIテーブル記憶手段(不図示)や手数料テーブル記憶手段(不図示)に保存していた情報を用いてもよく、共通台帳記憶手段31と同期をとるのではなく、独立して設けられているSSIテーブル記憶手段(不図示)や手数料テーブル記憶手段(不図示)に保存していた情報を用いてもよい。
【0193】
なお、
図5の移行完了後の状態では、仲介者システム40に相当するものはなく、従って、取引データ記憶手段51もないので、以上のような約定照合業務等の作業における取引データ記憶手段51への取引データの登録は、仲介者ノード20αのAXチャネル記憶手段32への登録に置き換えられることになり、この場合の約定照合業務等の作業は、チャネル管理手段22(共通台帳管理手段21との連携を含む。)により実行されることなる。このチャネル管理手段22による作業は、スマートコントラクトにより実現してもよい。
【0194】
そして、以上のように、約定照合業務等の作業では、段階的に取引データ記憶手段51に取引データ(上記の例では、関連データとしての約定情報、アロケーション情報、結果データ)の登録が行われる場合があるが、以下では、これらの段階的な取引データの登録を、それぞれ個別の登録として捉えて説明を行う。
【0195】
図3のステップS1では、取引者要求受付手段41により、取引者端末100A,100Xから、登録対象の取引データを受信する。なお、取引者要求受付手段41により作業を行って得られた結果データも、登録対象の取引データとなる。
【0196】
続いて、取引者要求受付手段41により、取引データに対し、自システム内通番を付与した後、取引データおよびそれに付与した自システム内通番を、取引データ記憶手段51に登録する。これにより、
図3に示すように、取引データ記憶手段51には、取引者Aの識別情報、取引者Xの識別情報、取引データ(自システムのデータ形式)、自システム内通番=T3が追加記憶されるものとする。
【0197】
それから、取引者要求受付手段41により、
図3に示すように、通番対応記憶手段52に、自システム内通番=T3を追加登録するとともに、自ノードが主体となった登録であることを示す情報も合わせて追加登録する。この段階では、チャネル内通番は、付与されていないので、空欄(NULL等)となっている。
【0198】
次に、取引データ記憶手段51に追加登録された取引データを、AXチャネル記憶手段32に反映(同期記録)するための仲介者システム40側のアクション処理を実行する(ステップS2)。
【0199】
より詳細には、同期用取引データ抽出手段42により、通番対応記憶手段52を監視し、チャネル内通番が記憶されていないレコード(またはレコードに相当する記憶領域)の有無により、自ノードによる追加登録があるか否かを判断し、追加登録された取引データがある場合には、その取引データを抽出する。
【0200】
続いて、同期用チャネル記録指示手段43により、仲介者ノード20のチャネル管理手段22に対し、ネットワーク3を介して取引データの記録指示(AXチャネル記憶手段32への記録指示)を送信する。この記録指示には、取引データとともに、取引者Aの識別情報および取引者Xの識別情報が、チャネル識別情報として含まれている。
【0201】
それから、仲介者ノード20αにおいて、AXチャネル記憶手段32への取引者A,X間の取引データの記録処理を実行する(ステップS3)。
【0202】
より詳細には、チャネル管理手段22により、仲介者システム40からの記録指示を受信すると、チャネル管理手段22によりAXチャネル記憶手段32から必要なプログラム(ここでは、チャネルイン変換プログラム、通番管理プログラム)を取得する。なお、事前に取得しておいてもよい。
【0203】
そして、チャネル管理手段22は、取得したチャネルイン変換プログラムを主メモリに配置し、チャネルイン変換手段23を構築する。なお、事前に構築しておいてもよい。
【0204】
また、チャネル管理手段22は、取得した通番管理プログラムを主メモリに配置し、通番管理手段25を構築する。なお、事前に構築しておいてもよい。
【0205】
それから、チャネルイン変換手段23により、取引データのデータフォーマットを変換し、AXチャネル記憶手段32の記録形式に合わせる。また、通番管理手段25により、AXチャネル内通番(ここでは、D3とする。)を付与する。
【0206】
その後、チャネル管理手段22(チャネルイン変換手段23の機能と考えてもよい。)により、AXチャネル記憶手段32に、変換後の取引データおよびそれに付与されたAXチャネル内通番=D3を登録する。これにより、
図3に示すように、AXチャネル記憶手段32には、取引者Aの識別情報、取引者Xの識別情報、取引データ(データ形式をチャネル向けに変換した後の状態)、AXチャネル内通番=D3が追加記憶される。なお、ここでのチャネル管理手段22(チャネルイン変換手段23の機能と考えてもよい。)によるAXチャネル記憶手段32への取引データの登録処理には、チャネル内での情報共有のための他ノードへの配信処理が含まれるが、この他ノードへの配信処理について様々な配信形態があることは、既に詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0207】
また、チャネル管理手段22により、AXチャネル記憶手段32に追加登録した取引データに付与されたAXチャネル内通番=D3を、ネットワーク3を介して仲介者システム40αの同期用チャネル記録指示手段43に送信する。
【0208】
その後、AXチャネル記憶手段32への取引データの反映後(同期記録後)における仲介者システム40α側の返信受付処理を実行する(ステップS4)。
【0209】
より詳細には、同期用チャネル記録指示手段43により、仲介者ノード20αからネットワーク3を介して送信されてくるAXチャネル内通番を受信し、受信したAXチャネル内通番=D3を、通番対応記憶手段52の空欄(NULL等)に記憶させる。
【0210】
<取引データの登録および通番管理の流れ(チャネル⇒仲介者システム40):
図4>
【0211】
図4において、他ノード(ここでは、仲介者ノード20β)により追加登録された取引者A,X間の取引データを、自システム(ここでは、仲介者システム40α)に反映(同期記録)させるために、仲介者システム40α側のポーリングによる監視処理を実行する(ステップS11)。
【0212】
より詳細には、チャネル監視手段44により、通番対応記憶手段52からAXチャネル内通番の最新番号(ここでは、D3とする。)を取得する。
【0213】
続いて、チャネル監視手段44により、仲介者ノード20αのチャネル管理手段22に対し、ネットワーク3を介して定期的な問合せ信号を送信するポーリング処理を実行する。この問合せ信号は、通番対応記憶手段52から取得したAXチャネル内通番の最新番号=D3よりも番号の大きい取引データの存否の確認のための問合せ信号である。
【0214】
それから、仲介者ノード20αにおいて、他ノード(仲介者ノード20β)により追加登録された取引データの抽出処理を実行する(ステップS12)。
【0215】
より詳細には、チャネル管理手段22により、仲介者システム40αからの定期的な問合せ信号を受信し、AXチャネル内通番の最新番号=D3よりも番号の大きい取引データがあるか否かを判断することにより、他ノード(仲介者ノード20β)により追加登録された取引データがあるか否かを判断する。
【0216】
ここで、AXチャネル内通番の最新番号=D3よりも番号の大きい取引データがあった場合には、チャネル管理手段22により、AXチャネル記憶手段32から、その取引データ(AXチャネル内通番=D4)を抽出する。この際、
図4に示すように、AXチャネル記憶手段32には、取引者Aの識別情報、取引者Xの識別情報、取引データ(チャネルへの記録用に統一されたデータ形式の状態)、AXチャネル内通番=D4が記憶されている状態であり、このAXチャネル内通番=D4の取引データは、他ノード(仲介者ノード20β)が主体となって登録されたものである。
【0217】
続いて、チャネル管理手段22により、AXチャネル記憶手段32から必要なプログラム(ここでは、チャネルアウト変換プログラム)を取得する。なお、事前に取得しておいてもよい。
【0218】
そして、チャネル管理手段22により、取得したチャネルアウト変換プログラムを主メモリに配置し、チャネルアウト変換手段24を構築する。なお、事前に構築しておいてもよい。
【0219】
それから、チャネルアウト変換手段24により、取引データのデータフォーマットの変換処理を実行し、自システム(仲介者システム40α)のデータ形式に合わせる。
【0220】
さらに、チャネル管理手段22(チャネルアウト変換手段24の機能と考えてもよい。)により、変換後の取引データおよびそれに付されているAXチャネル内通番=D4を、ネットワーク3を介して仲介者システム40αのチャネル監視手段44に送信する。
【0221】
その後、仲介者システム40αにおいて、他ノード(仲介者ノード20β)により追加登録された取引データを、自システム(仲介者システム40α)に反映する処理を実行する(ステップS13)。
【0222】
より詳細には、チャネル監視手段44により、仲介者ノード20αからネットワーク3を介して送信されてくる取引データ(自システムのデータ形式への変換後の取引データ)およびそのAXチャネル内通番=D4を受信する。
【0223】
続いて、同期用取引データ記録手段45により、仲介者ノード20αから受信した取引データに対し、自システム内通番(ここでは、T4とする。)を付与する。
【0224】
それから、同期用取引データ記録手段45により、仲介者ノード20αから受信した取引データ(他ノード(仲介者ノード20β)が主体となってAXチャネル記憶手段32に追加登録された取引データ)およびそれに付与した自システム内通番=T4を、取引データ記憶手段51に記録する。これにより、
図4に示すように、取引データ記憶手段51には、取引者Aの識別情報、取引者Xの識別情報、取引データ(自システムのデータ形式の状態)、自システム内通番=T4が記憶されている状態となる。
【0225】
また、同期用取引データ記録手段45により、通番対応記憶手段52に、通番対応関係を追加登録する。これにより、
図4に示すように、通番対応記憶手段52には、自システム内通番=T4およびAXチャネル内通番=D4という通番対応関係が追加登録される。また、他ノード(仲介者ノード20β)が主体となってAXチャネル記憶手段32に追加登録された取引データであることを示す情報も、通番対応記憶手段52に併せて登録される。
【0227】
このような第1実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、先ず、
図1の並行稼働中の状態のみならず、
図5の移行完了後の状態となった取引記録システム10についても言える効果としては、取引記録システム10は、取引者間毎に別々のチャネル記憶手段32を設け、そのチャネル記憶手段32に記録されている取引データを、当該取引者間を仲介する仲介者により設置された仲介者ノード20(取引者により選択された選択範囲の仲介者ノード20)で共有するので、取引者に対しては、自分が含まれる取引者間以外の取引者間の取引データへの関与(登録や閲覧)を制限することができ、仲介者に対しては、自分が仲介する取引者間以外の取引者間の取引データへの関与(登録や閲覧)を制限することができる。
【0228】
その一方で、取引者は、選択範囲の仲介者ノード20に設けられたチャネル記憶手段32(自分が含まれる取引者間のチャネル記憶手段32)に記録されている取引データについては、関与(登録や閲覧)することができるので、取引者間(自分を含む取引者間)で、複数の仲介者(仲介者ノード20)を選択しておけば、複数の仲介者(仲介者ノード20)を利用することや、仲介者(仲介者ノード20)の乗換を容易に行うことができる。このため、仲介者の固定化を防ぎ、仲介者の競争を促すことで、仲介者ノード20の利用料の低廉化を期待することもできる。
【0229】
例えば、取引者Aが仲介者αを利用し、取引者Xが仲介者βを利用して、取引者A,X間の取引に伴って発生した作業(例えば、約定照合業務等の金融関連業務など)を行うことができる。この際、仲介者α,β間の利用料の按分方法は任意である。また、最初に、取引者A,Xが仲介者αを利用して作業を行い、その後、取引者A,Xが仲介者βを利用して作業を行うこと等ができる。さらに、最初に、取引者A,Xが仲介者αを利用して作業を行い、その後、取引者Aが仲介者αを利用し、取引者Xが仲介者βを利用して、作業を行うこと等ができる。
【0230】
また、仲介者にとっては、取引者間の取引の仲介や、取引に伴って発生する作業の仲介という役割を果たすにあたり、自分が設置している仲介者ノード20において、アクセスしてきた取引者を含む取引者間のチャネル記憶手段32に対し、その取引者の要求(登録要求、閲覧要求、作業要求)に応じた処理を実行するためのアクセスを行うことができる。このため、仲介という役割を果たすために必要な情報は、自分の管理下にある仲介者ノード20から取得することができるので、必要な情報が記録されているチャネル記憶手段32にアクセスする際に、例えば、暗号鍵技術を用いた複雑なアクセス権限管理を行う必要がなくなり、システム構成を簡易化することができる。
【0231】
次に、
図1および
図2に示した仲介者ノード20と仲介者システム40とを並行稼働中の状態の取引記録システム10については、仲介者ノード20のチャネル記憶手段32に記憶されている取引者間の取引データと、仲介者システム40の取引データ記憶手段51に記憶されている取引者間の取引データとを同期させることができるので、同一内容の取引者間の取引データを、仲介者ノード20と仲介者システム40との双方で保持することができる。
【0232】
このため、既設の仲介者システム40が存在する状況下で、仲介者ノード20を設置し、並行稼働させることにより、既設の仲介者システム40によるサービス提供機能を維持しつつ、仲介者ノード20に設けられたチャネル記憶手段32によるDLTの機能、すなわち関係者間で情報を持ち合う機能を活かすことができる。
【0233】
従って、既設の仲介者システム40を含むDLTの機能によるサービス提供形態(
図1の状態)から、既設の仲介者システム40を含まないDLTの機能によるサービス提供形態(
図5の状態)への円滑な移行を実現することができる。
【0234】
また、仲介者システム40に相当する既設のシステムを有しているが、分散型台帳に参加していない仲介者(参加者ノードである仲介者ノード20を設置していない仲介者)に対しては、分散型台帳への参加を促すことができ、この意味でも、DLT(DLTを利用したシステム)への円滑な移行を実現することができる。
【0235】
また、取引記録システム10では、チャネル記憶手段32に、データ形式の変換処理用のチャネルイン変換プログラムや、チャネルアウト変換プログラムが記憶されているので(
図2参照)、仲介者ノード20のチャネル記憶手段32に記憶されている取引者間の取引データと、仲介者システム40の取引データ記憶手段51に記憶されている取引者間の取引データとで、データ形式(データフォーマット)が異なっていても、両者を同期させることができる。
【0236】
さらに、データ形式の変換処理を、スマートコントラクトにより実現することができるので、仲介者システム40の機能をDLTに移していく機能移転を円滑に進めることができる。
【0237】
また、取引記録システム10では、チャネル記憶手段32に、通番管理プログラムが記憶されているので(
図2参照)、スマートコントラクトによりチャネル内通番の管理を行うことができる。従って、チャネル内通番は、同一の取引者間のチャネル記憶手段32内においてその取引者間の各取引データを識別することができればよいので、すなわち、異なる取引者間のチャネル記憶手段32の間では通番管理を行う必要はないので、そのような通番管理に沿ったシステム構成を実現することができる。
【0238】
さらに、スマートコントラクトによりチャネル内通番の管理を行うことができるので、仲介者システム40側にチャネル内通番についての通番管理手段を設ける必要はないことから、これによっても、仲介者システム40の機能をDLTに移していく機能移転を円滑に進めることができる。
【0239】
また、取引記録システム10(
図1、
図5参照)は、スーパーノード80を備えているので、全チャネル閲覧可能者に対し、取引者や仲介者とは異なる権限を付与し、特殊な役割を果たさせることができる。具体的には、例えば、証券・金融分野における証券保管振替機構や、全てのチャネル記憶手段32に記憶された取引データを用いた監査を行う監査人(法人等の団体、または個人)等の役割を果たさせることができる。
【0240】
さらに、取引記録システム10(
図1、
図5参照)を、証券・金融分野における約定照合業務またはその他の金融関連業務の仲介に適用した場合には、取引者である発注者および市場取次者は、約定照合業務等の金融関連業務を行う際に、複数の仲介者(仲介者ノード20)を利用することや、仲介者(仲介者ノード20)の乗換を容易に行うことができるので、発注者や市場取次者にとっての利便性の向上を図ることができる。
【0241】
より具体的には、複数のベンダ(仲介者)により提供される様々な既存のシステム(仲介者システム40)が乱立する状況において、取引者である発注者(例えば機関投資家等)および市場取次者(例えば証券会社等)は、採用するベンダシステム(仲介者システム40)毎の個別対応をする必要がなくなるので、取引者の手間を省くことができるうえ、個別対応による作業ミスの発生の可能性も低減することができる。
【0242】
また、従来の取引では、市場取次者(例えば証券会社等)は、発注者(例えば機関投資家等)の要望に応じ、発注者と同じベンダシステム(仲介者システム40)を採用していたが、そのような必要はなくなるので、ベンダ(仲介者)選択の自由度を向上させることができる。
【0243】
これにより、ベンダ(仲介者)間での適正な競争が促進され、コスト(ベンダへの支払手数料)の低減や、ベンダによるサービスレベルの向上を期待することができる。
【0244】
また、複数のベンダシステム(仲介者システム40)に個別対応してきた部分(例えば、取引者端末100に、複数のベンダシステムの各々に対応するために複数のクライアントを搭載する等)が不要になるので、取引者の内部システム(取引者端末100をクライアントシステムとして捉えた場合)についてシステム構成の簡易化、軽量化を図ることができる。
【0245】
さらに、従来は、複数のベンダシステム(仲介者システム40)においてルールや規格が統一されていなかったが、分散型台帳の参加者ノードである仲介者ノード20を設置することにより、分散型台帳(主として共通台帳記憶手段31,71,91による情報共有機能)を通じて、各ベンダ(仲介者)に対し、共通のルールや規格の採用を強制することが可能となるため、これまで取引者の各々で対応してきた作業(例えば、約定照合業務においては、手数料計算等)や、各種の規制(例えば、MiFID2等)への対応などが、1箇所に集約されるようになり、関係者全体でのコスト低減や、対応期間の圧縮を図ることができる。
【0246】
以上より、既存のシステム構成(仲介者システム40による構成)から、DLTを利用したシステム構成(仲介者ノード20による構成)への移行に際し、ベンダ(仲介者)および取引者(発注者、市場取引者)の双方の対応負荷を軽減し、スモールスタートでの段階的な移行が可能となる。
【0248】
図6〜
図9には、本発明の第2実施形態の取引記録システム200が示されている。
図6には、第2実施形態の取引記録システム200(並行稼働中の状態)の全体構成が示されている。
図7には、第2実施形態の分散型台帳記憶手段230,270,290の詳細構成が示され、
図8には、第2実施形態の仲介者ノード220の詳細構成が示されている。また、
図9には、第2実施形態の取引記録システム200(移行完了後の状態)の全体構成が示されている。
【0249】
<取引記録システム200の全体構成>
【0250】
本第2実施形態における
図6の並行稼働中の状態である取引記録システム200と、
図9の移行完了後の状態である取引記録システム200との関係は、前記第1実施形態における
図1の並行稼働中の状態である取引記録システム10と、
図5の移行完了後の状態である取引記録システム10との関係と同様である。
【0251】
本第2実施形態の取引記録システム200は、前記第1実施形態の取引記録システム10と同様な構成を有する部分も多いので、同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略し、以下では、異なる部分を中心として説明を行う。
【0252】
前記第1実施形態では、主として仲介者ノード20に、取引者間毎のチャネル記憶手段32が設けられ、取引者により選択された選択範囲の仲介者ノード20間で、チャネル記憶手段32に記憶された情報の共有が行われていた。
【0253】
これに対し、本第2実施形態では、仲介者ノード220および取引者ノード260に、取引者間毎で、かつ、仲介者の組合せ毎のチャネル記憶手段232,272が設けられ、取引者により選択された選択範囲の仲介者ノード220間および当事者範囲の取引者ノード260間で、チャネル記憶手段232,272に記憶された情報の共有が行われる。
【0254】
また、本第2実施形態の取引記録システム200も、全チャネル閲覧可能者が設置したスーパーノード280を備え、このスーパーノード280は、前記第1実施形態のスーパーノード80の場合と同様に、全てのチャネル記憶手段232,272のそれぞれと情報共有を行う各チャネル記憶手段292を備えている。
【0255】
従って、本第2実施形態の取引記録システム200では、チャネル記憶手段232,272,292の内容が、前記第1実施形態のチャネル記憶手段32,72,92とは異なっているものの、そのチャネル記憶手段の内容の相違を除けば、外形的には、仲介者ノード220、取引者ノード260、スーパーノード280のいずれも、前記第1実施形態の仲介者ノード20、取引者ノード60、スーパーノード80と同様な構成を備えている。
【0256】
すなわち、
図6に示すように、各仲介者ノード220(220α,220β,220γ,…)は、共通台帳管理手段221と、チャネル管理手段222と、分散型台帳記憶手段230とを備えて構成され、分散型台帳記憶手段230は、共通台帳記憶手段231と、各チャネル記憶手段232とを備えて構成されている。また、チャネル管理手段222は、
図8に示すように、チャネルイン変換手段223と、チャネルアウト変換手段224と、通番管理手段225とを含んで構成されている。
【0257】
そして、各仲介者ノード220(220α,220β,220γ,…)に、既存のシステムである各仲介者システム240(240α,240β,240γ,…)が併設されている点も、前記第1実施形態の場合と同様である。
【0258】
また、各取引者ノード260(260A,260B,260C,260X,260Y,260Z…)は、共通台帳管理手段261と、チャネル管理手段262と、分散型台帳記憶手段270とを備えて構成され、分散型台帳記憶手段270は、共通台帳記憶手段271と、各チャネル記憶手段272とを備えて構成されている。前記第1実施形態では、一部の取引者Zが自分の取引者ノード60を設置している状態であり(
図1参照)、この取引者ノード60の設置は、必須のものではなかった。これに対し、本第2実施形態では、
図6に示すように、全ての取引者A,B,C,X,Y,Z,…が取引者ノード260(260A,260B,260C,260X,260Y,260Z…)を設置している点が異なっている。
【0259】
さらに、スーパーノード280は、共通台帳管理手段281と、チャネル管理手段282と、分散型台帳記憶手段290とを備えて構成され、分散型台帳記憶手段290は、共通台帳記憶手段291と、各チャネル記憶手段292とを備えて構成されている。
【0260】
<分散型台帳記憶手段230,270,290の詳細構成:
図7>
【0261】
図7において、共通台帳記憶手段231,271,291は、全ての参加者ノード(全ての仲介者ノード220、全ての取引者ノード260、およびスーパーノード280)で共有する共通情報を記憶している。この点は、前記第1実施形態の場合と同様である。なお、
図7中の○印は、各ノードが、各記憶手段を備えていることを示している。
【0262】
図6および
図7の例では、仲介者αが設置した仲介者ノード220αの分散型台帳記憶手段230は、仲介者α,βが仲介する取引者A,X間の取引データを記憶するαβAXSチャネル記憶手段232と、仲介者α,γが仲介する取引者C,Z間の取引データを記憶するαγCZSチャネル記憶手段232と、仲介者α,β,γが仲介する取引者A,Y間の取引データを記憶するαβγAYSチャネル記憶手段232とを備えている。
【0263】
なお、チャネル記憶手段の名称に付された「S」の文字は、スーパーノード280との情報共有を意味するので、全てのチャネル記憶手段の名称に含まれることになり、省略しても不都合はない。しかし、前記第1実施形態で、例えば、AXチャネル記憶手段32というときは、取引者A,X間の取引データを記憶するチャネル記憶手段という意味であったが、取引者は、原則として参加者ノードを設置せず、仲介者が、参加者ノード(仲介者ノード20)を設置する構成であったため、チャネル記憶手段の名称と、参加者ノード(参加者ノードを設置する参加者の名称)とは全く関係なかった。これに対し、本第2実施形態では、全ての取引者および全ての仲介者が参加者ノード(仲介者ノード220、取引者ノード260)を設置する構成とされているので、チャネル記憶手段の名称と、参加者ノード(参加者ノードを設置する参加者の名称)とは関係していることになるため、同じく参加者ノードであるスーパーノード280を示す「S」の文字も、チャネル記憶手段の名称に含めている。
【0264】
ここで、例えば、αβAXSチャネル記憶手段232は、取引データについては、取引者A,X間の取引データのみを記憶している。従って、αβAXSチャネル記憶手段232には、取引者C,Z間の取引データや、取引者A,Y間の取引データは記憶されていない。なお、取引者A,X間の取引データのみを記憶しているといっても、スマートコントラクト用のプログラム等は記憶しているので(
図8参照)、「のみ」というのは、あくまでも取引データについては、取引者A,X間だけという意味である。同様に、取引データについては、αγCZSチャネル記憶手段232は、取引者C,Z間だけを記憶し、αβγAYSチャネル記憶手段232は、取引者A,Y間だけを記憶している。
【0265】
また、仲介者α,βが仲介する取引者A,X間の取引データを記憶するαβAXSチャネル記憶手段232と、仲介者α,βが仲介する取引者C,X間の取引データを記憶するαβCXSチャネル記憶手段232とは(但し、後者は、
図6および
図7の例にはない。)、異なるチャネル記憶手段232である。一方の取引者Xは、一致しているものの、他方については、取引者A,Cで異なっているからである。これに対し、例えば、売買取引において、仲介者ξ,ηを利用する、買い手である取引者Fと、売り手である取引者Wとの間の取引データと、それらの売買の関係を逆転させた、買い手である取引者Wと、売り手である取引者Fとの間の取引データとは、同じξηFWSチャネル記憶手段232に記憶される。従って、仲介者ξ,ηが仲介する取引者F,W間のξηFWSチャネル記憶手段232と、仲介者ξ,ηが仲介する取引者W,F間のξηWFSチャネル記憶手段232とは同じであるから、このように呼び名を変える必要はなく、また、変えるべきではない。双方の取引者が一致しているからである。
【0266】
さらに、仲介者α,βが仲介する取引者A,X間の取引データを記憶するαβAXSチャネル記憶手段232と、仲介者α,β,γが仲介する取引者A,X間の取引データを記憶するαβγAXSチャネル記憶手段232とは(但し、後者は、
図6および
図7の例にはない。)、異なるチャネル記憶手段232である。前者の場合は、取引者が仲介者α,βを選択しているので、2つの仲介者ノード220α,220βが、情報共有を行う選択範囲の仲介者ノード220となるのに対し、後者の場合は、取引者が仲介者α,β,γを選択しているので、3つの仲介者ノード220α,220β,220γが、情報共有を行う選択範囲の仲介者ノード220となるからである。
【0267】
そして、仲介者ノード220は、当該仲介者ノード220を設置した仲介者自身が仲介する取引者間のチャネル記憶手段232を備え、かつ、仲介者自身が仲介しない取引者間のチャネル記憶手段232を備えない構成とされている。
【0268】
具体的には、
図6および
図7の例では、仲介者ノード220αは、αβAXSチャネル記憶手段232、αγCZSチャネル記憶手段232、αβγAYSチャネル記憶手段232を備えているので、この仲介者ノード220αを設置した仲介者αは、取引者A,X間の仲介、取引者C,Z間の仲介、および取引者A,Y間の仲介を行っていることになる。さらに、別の見方をすると、仲介者ノード220αは、仲介者αが仲介しない取引者間のチャネル記憶手段232を備えていないので、仲介者ノード220αが備えているチャネル記憶手段232の名称には、必ず「α」の文字が含まれていることになる。
【0269】
また、
図6および
図7の例では、取引者Aが設置した取引者ノード260Aの分散型台帳記憶手段270は、仲介者α,βが仲介する取引者A,X間の取引データを記憶するαβAXSチャネル記憶手段272と、仲介者α,β,γが仲介する取引者A,Y間の取引データを記憶するαβγAYSチャネル記憶手段272とを備えている。
【0270】
そして、取引者ノード260は、当該取引者ノード260を設置した取引者自身を含む取引者間のチャネル記憶手段272を備え、かつ、取引者自身を含まない取引者間のチャネル記憶手段272を備えない構成とされている。
【0271】
具体的には、
図6および
図7の例では、取引者ノード260Aは、αβAXSチャネル記憶手段272、αβγAYSチャネル記憶手段272を備えているので、この取引者ノード260Aを設置した取引者Aは、いずれも自分が取引者の一方に含まれている取引者A,X間の取引、取引者A,Y間の取引を行っていることになる。さらに、別の見方をすると、取引者ノード260Aは、取引者Aを含まない取引者間のチャネル記憶手段272を備えていないので、取引者ノード260Aが備えているチャネル記憶手段272の名称には、必ず「A」の文字が含まれていることになる。
【0272】
以上より、取引者間毎で、かつ、仲介者の組合せ毎に設けられたチャネル記憶手段232,272のうちの同一の取引者間のチャネル記憶手段232,272は、複数の仲介者ノード220および複数の取引者ノード260のうち、当該同一の取引者間を仲介する仲介者として選択された仲介者が設置した選択範囲の仲介者ノード220および当該同一の取引者間に含まれる取引者が設置した当事者範囲の取引者ノード260に設けられ、当該同一の取引者間の取引データは、選択範囲の仲介者ノード220間および当事者範囲の取引者ノード260間で共有されるようになっている。
【0273】
具体的には、
図6および
図7に示すように、仲介者α,βが仲介する取引者A,X間の取引データを記憶するαβAXSチャネル記憶手段232は、仲介者ノード220α,220βおよび取引者ノード260A,260X(並びにスーパーノード280)に設けられているので、取引者A,Xは、2人(または2団体)の仲介者α,βを選択し、これにより2つの仲介者ノード220α,220βが、選択範囲の仲介者ノード220となるとともに、取引者ノード260A,260Xが、当事者範囲の取引者ノード260となっている状態である。
【0274】
同様に、
図6および
図7に示すように、仲介者α,γが仲介する取引者C,Z間の取引データを記憶するαγCZSチャネル記憶手段232は、仲介者ノード220α,220γおよび取引者ノード260C,260Z(並びにスーパーノード280)に設けられているので、取引者C,Zは、2人(または2団体)の仲介者α,γを選択し、これにより2つの仲介者ノード220α,220γが、選択範囲の仲介者ノード220となるとともに、取引者ノード260C,260Zが、当事者範囲の取引者ノード260となっている状態である。
【0275】
また、
図6および
図7に示すように、仲介者α,β,γが仲介する取引者A,Y間の取引データを記憶するαβγAYSチャネル記憶手段232は、仲介者ノード220α,220β,220γおよび取引者ノード260A,260Y(並びにスーパーノード280)に設けられているので、取引者A,Yは、3人(または3団体)の仲介者α,β,γを選択し、これにより3つの仲介者ノード220α,220β,220γが、選択範囲の仲介者ノード220となるとともに、取引者ノード260A,260Yが、当事者範囲の取引者ノード260となっている状態である。このように取引者は、3人(または3団体)以上の仲介者(仲介者ノード220)を選択してもよい。
【0276】
さらに、
図7に示すように、仲介者βが仲介する取引者B,X間の取引データを記憶するβBXSチャネル記憶手段232は、仲介者ノード220βおよび取引者ノード260B,260X(並びにスーパーノード280)に設けられているので、取引者B,Xは、1人(または1団体)の仲介者βしか選択していない。このようにシステム構成上は、取引者は、1人(または1団体)の仲介者(仲介者ノード220)だけを選択することもできるようになっているが、1人(または1団体)だけの選択では、複数の仲介者(仲介者ノード220)を介した作業や、仲介者(仲介者ノード220)の乗換ができず、また、仲介者の固定化による弊害が出る可能性もあるので、本発明の効果を十分に得ることはできない。但し、スーパーノード280とは情報共有されているので、その点では、本発明の効果を得ることができる。
【0277】
取引者が、利用する仲介者を選択するタイミングは、前記第1実施形態の場合と同様に、原則的には、取引者間の取引が発生する前、または、取引者間の取引に伴う作業が発生する前であるが、仲介者ノード220へのチャネル記憶手段232の設置を容易に行うことができる場合や、自動設置できる場合等には、取引者間の取引の仲介、または、取引者間の取引に伴う作業の仲介が行われる際に選択してもよい。
【0278】
また、取引者は、利用する仲介者を後から追加選択してもよく、その場合には、追加選択された仲介者により設置されている仲介者ノード220が、情報共有する選択範囲の仲介者ノード220に追加され、その仲介者ノード220にチャネル記憶手段232が新たに設置され、それまで共有されていた情報の全部(原則として全部であるが、直近の情報を含む一部の情報だけとしてもよい。)が新設のチャネル記憶手段232にもコピーされることになる。さらに、仲介者が増えるので、チャネル記憶手段232の名称も変更されることになる。一方、取引者は、利用する仲介者を後から減らすこともでき、その場合には、取引者の選択から外れた仲介者が設置している仲介者ノード220から、チャネル記憶手段232を削除するとともに、チャネル記憶手段232の名称も変更する。
【0279】
また、チャネル記憶手段232,272,292により共有される情報は、同一の取引者間の取引データであるが、同一の取引者の範囲は、仲介者による仲介の対象である取引や、取引に伴う作業の性質に応じ、調整することができる。このことは、前記第1実施形態の場合と同様である。
【0280】
さらに、各チャネル記憶手段232,272,292には、取引者間の取引データの他に、スマートコントラクト用の各種のプログラム(例えば、チャネルイン変換プログラム、チャネルアウト変換プログラム、通番管理プログラム等)が記憶されている(
図8参照)。このことは、前記第1実施形態の場合と同様である。但し、取引者ノード260には、仲介者システム240に相当するものは併設されていないので、同期処理は行わないため、取引者ノード260では、チャネル記憶手段272に記憶されたチャネルイン変換プログラムや、チャネルアウト変換プログラムが使用されることはない。なお、取引者ノード260には、仲介者が取引者間の仲介を行うための仲介者システム240に相当するものは併設されていないが、取引者が、自分を含む取引者間の取引またはその取引に伴って発生する作業を行うための取引者システム(不図示)を併設している場合はあるので、その場合には、チャネルイン変換プログラムや、チャネルアウト変換プログラムが使用されることはある。
【0281】
<第2実施形態における取引データの登録および通番管理の流れ>
【0282】
第2実施形態の取引記録システム200でも、
図3および
図4で示した前記第1実施形態における取引データの登録および通番管理の流れと同様な処理が行われる。
【0283】
但し、第2実施形態の場合には、取引者は、自分の取引者ノード260を設置しているので、取引者端末100からの要求(登録要求、閲覧要求、作業要求)のためのアクセスは、自分が選択している仲介者により設置された仲介者システム240に対して行ってもよく、自分が設置した取引者ノード260に対して行ってもよい。
【0284】
取引者による取引者端末100からのアクセスが、仲介者システム240に対して行われる場合は、前記第1実施形態の場合と同様な流れになる。従って、仲介者システム240は、前記第1実施形態の仲介者システム40(
図2参照)と同様な構成を備え、前記第1実施形態の場合と同様な処理を行う。
【0285】
また、
図8に示すように、仲介者ノード220も、前記第1実施形態の仲介者ノード20(
図2参照)と同様な構成を備え、前記第1実施形態の場合と同様に、同期処理やそのためのデータ形式の変換処理を行う。各チャネル記憶手段232に記憶されている情報の内容も、前記第1実施形態の場合と同様であり、各チャネル記憶手段232に記憶されている情報を共有する参加者ノードが、前記第1実施形態の場合と異なっているだけである。すなわち、前述したように、前記第1実施形態では、取引者ノード60の設置は必須ではないので、主として選択範囲の仲介者ノード20間で情報共有を行っていたが、本第2実施形態では、選択範囲の仲介者ノード220間および当事者範囲の取引者ノード260間で、チャネル記憶手段232,272に記憶された情報の共有を行う。
【0286】
一方、取引者による取引者端末100からのアクセスが、仲介者システム240に対して行われるのではなく、自分が設置した取引者ノード260に対して行われる場合には、取引者ノード260のチャネル管理手段262(共通台帳管理手段261との連携を含む。)が、前記第1実施形態の仲介者システム40の取引者要求受付手段41(
図2参照)の役割を果たすことになる。
【0287】
但し、取引者ノード260には、前記第1実施形態の取引データ記憶手段51(
図2参照)に相当するものはないので、チャネル管理手段262は、前記第1実施形態における取引データ記憶手段51へのデータ登録、登録されたデータの閲覧、登録されたデータを用いた作業の代わりに、チャネル記憶手段272へのデータ登録、登録されたデータの閲覧、登録されたデータを用いた作業を行うことになる。また、取引者ノード260には、仲介者システム240に相当するものは併設されていないので、チャネル管理手段262は、同期処理やそのためのデータ形式の変換処理は行わない。但し、前述したように、取引者ノード260には、仲介者が取引者間の仲介を行うための仲介者システム240に相当するものは併設されていないが、取引者が、自分を含む取引者間の取引またはその取引に伴って発生する作業を行うための取引者システム(不図示)を併設している場合はあるので、その場合には、同期処理やそのためのデータ形式の変換処理は行われることがある。
【0288】
従って、取引者ノード260のチャネル管理手段262は、前記第1実施形態の
図5で示した移行完了後の状態の取引記録システム10の仲介者ノード20のチャネル管理手段22と同様な機能を有することになる。
【0289】
<移行完了後の取引記録システム200:
図9>
【0290】
また、第2実施形態の取引記録システム200が、
図9に示す移行完了後の状態になった場合にも、取引者端末100からの要求(登録要求、閲覧要求、作業要求)のためのアクセスは、取引者自身が選択している仲介者により設置された仲介者ノード220に対して行ってもよく、取引者自身が設置した取引者ノード260に対して行ってもよい。
【0291】
取引者端末100からの要求のためのアクセスが、仲介者ノード220に対して行われた場合には、前記第1実施形態の
図5で示した移行完了後の状態の取引記録システム10の仲介者ノード20に対するアクセスが行われた場合と同様である。
【0292】
一方、取引者端末100からの要求のためのアクセスが、取引者ノード260に対して行われた場合には、
図6に示した並行稼働中の状態の取引記録システム200の取引者ノード260に対するアクセスが行われた場合と同様である。取引者ノード260には、仲介者システム240に相当するものは併設されていないので、
図6の並行稼働中の状態も、
図9の移行完了後の状態も同じだからである。
【0294】
このような第2実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、先ず、
図6の並行稼働中の状態のみならず、
図9の移行完了後の状態となった取引記録システム200についても言える効果としては、取引記録システム200は、取引者間毎で、かつ、仲介者の組合せ毎に別々のチャネル記憶手段232,272を設け、それらのチャネル記憶手段232,272に記録されている取引データを、当該取引者間を仲介する仲介者により設置された仲介者ノード220(取引者により選択された選択範囲の仲介者ノード220)および当該取引者間に含まれる取引者により設置された取引者ノード260(当事者範囲の取引者ノード260)で共有するので、取引者に対しては、自分が含まれる取引者間以外の取引者間の取引データへの関与(登録や閲覧)を制限することができ、仲介者に対しては、自分が仲介する取引者間以外の取引者間の取引データへの関与(登録や閲覧)を制限することができる。この効果は、前記第1実施形態の場合と同様である。
【0295】
その一方で、取引者は、当事者範囲の取引者ノード260に設けられたチャネル記憶手段272(自分が含まれる取引者間のチャネル記憶手段272)に記録されている取引データについては、関与(登録や閲覧)することができるとともに、仲介者を介して、自分が選択した選択範囲の仲介者ノード220に設けられたチャネル記憶手段232(自分が含まれる取引者間のチャネル記憶手段232)に記録されている取引データについても、関与(登録や閲覧)することができる。このため、取引者は、取引者間(自分を含む取引者間)で、複数の仲介者(仲介者ノード220)を選択しておけば、複数の仲介者(仲介者ノード220)を利用することや、仲介者(仲介者ノード220)の乗換を容易に行うことができる。この効果も、前記第1実施形態の場合と同様である。
【0296】
また、仲介者にとっては、取引者間の取引の仲介や、取引に伴って発生する作業の仲介という役割を果たすにあたり、自分が設置している仲介者ノード220において、アクセスしてきた取引者を含む取引者間のチャネル記憶手段232に対し、その取引者の要求(登録要求、閲覧要求、作業要求)に応じた処理を実行するためのアクセスを行うことができる。このため、仲介という役割を果たすために必要な情報は、自分の管理下にある仲介者ノード220から取得することができるので、必要な情報が記録されているチャネル記憶手段232にアクセスする際に、例えば、暗号鍵技術を用いた複雑なアクセス権限管理を行う必要がなくなり、システム構成を簡易化することができる。この効果も、前記第1実施形態の場合と同様である。
【0297】
次に、
図6に示した仲介者ノード220と仲介者システム240とを並行稼働中の状態の取引記録システム200については、前記第1実施形態の場合と同様に、仲介者ノード220のチャネル記憶手段232と、仲介者システム240の取引データ記憶手段(不図示)との間での同期処理を行うので、同一内容の取引者間の取引データを、仲介者ノード220と仲介者システム240との双方で保持することができる。
【0298】
このため、既設の仲介者システム240が存在する状況下で、仲介者ノード220を設置し、並行稼働させることにより、既設の仲介者システム240によるサービス提供機能を維持しつつ、仲介者ノード220に設けられたチャネル記憶手段232によるDLTの機能、すなわち関係者間で情報を持ち合う機能を活かすことができる。この効果も、前記第1実施形態の場合と同様である。
【0299】
従って、既設の仲介者システム240を含むDLTの機能によるサービス提供形態(
図6の状態)から、既設の仲介者システム240を含まないDLTの機能によるサービス提供形態(
図9の状態)への円滑な移行を実現することができる。
【0300】
また、仲介者システム240に相当する既設のシステムを有しているが、分散型台帳に参加していない仲介者(参加者ノードである仲介者ノード220を設置していない仲介者)に対しては、分散型台帳への参加を促すことができ、この意味でも、DLT(DLTを利用したシステム)への円滑な移行を実現することができる。
【0301】
また、取引記録システム200では、チャネル記憶手段232に、データ形式の変換処理用のチャネルイン変換プログラムや、チャネルアウト変換プログラムが記憶されているので(
図8参照)、仲介者ノード220のチャネル記憶手段232に記憶されている取引者間の取引データと、仲介者システム240の取引データ記憶手段(不図示)に記憶されている取引者間の取引データとで、データ形式(データフォーマット)が異なっていても、両者を同期させることができる。この効果も、前記第1実施形態の場合と同様である。
【0302】
さらに、データ形式の変換処理を、スマートコントラクトにより実現することができるので、仲介者システム240の機能をDLTに移していく機能移転を円滑に進めることができる。この効果も、前記第1実施形態の場合と同様である。
【0303】
また、取引記録システム200では、チャネル記憶手段232,272に、通番管理プログラムが記憶されているので(
図8参照)、スマートコントラクトによりチャネル内通番の管理を行うことができる。従って、チャネル内通番は、同一内容の取引データを記憶するチャネル記憶手段232,272(同一の取引者間で、かつ、同一の仲介者の組合せのチャネル記憶手段232,272)内において各取引データを識別することができればよいので、すなわち、異なる内容の取引データを記憶するチャネル記憶手段232,272の間では通番管理を行う必要はないので、そのような通番管理に沿ったシステム構成を実現することができる。この効果も、前記第1実施形態の場合と同様である。
【0304】
さらに、スマートコントラクトによりチャネル内通番の管理を行うことができるので、仲介者システム240側にチャネル内通番についての通番管理手段を設ける必要はないことから、これによっても、仲介者システム240の機能をDLTに移していく機能移転を円滑に進めることができる。この効果も、前記第1実施形態の場合と同様である。
【0305】
また、スーパーノード280を備えていることの効果、および、証券・金融分野における約定照合業務またはその他の金融関連業務の仲介に適用した場合の効果も、前記第1実施形態の場合と同様に得ることができる。
【0307】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
【0308】
例えば、前記各実施形態では、各チャネル記憶手段32,232には、取引データの他に、チャネルイン変換プログラムや、チャネルアウト変換プログラムが記憶され(
図2、
図8参照)、仲介者ノード20,220のチャネル管理手段22,222により、チャネルイン変換手段23,223や、チャネルアウト変換手段24,224が構築されるようになっていたが、データ形式の変換処理は、このようなスマートコントラクトによる処理に限定されるものではなく、例えば、仲介者ノード20,220に、スマートコントラクトによらないチャネルイン変換手段23,223や、チャネルアウト変換手段24,224を設けてもよい。つまり、各チャネル記憶手段32,232からプログラムを取得するのではなく、各チャネル記憶手段32,232以外の記憶領域に記憶されたプログラムにより、チャネルイン変換手段23,223や、チャネルアウト変換手段24,224を実現してもよい。但し、スマートコントラクトにより実現すれば、DLTを利用したシステムへの移行完了を早めることができる。
【0309】
また、
図2中の二点差線で示すように、仲介者ノード20,220側ではなく、仲介者システム40,240側に、チャネルイン変換手段や、チャネルアウト変換手段を設けてもよい。
【0310】
さらに、通番管理も同様であり、各チャネル記憶手段32,232に記憶された通番管理プログラム(
図2、
図8参照)を用いたスマートコントラクトによる通番管理ではなく、各チャネル記憶手段32,232以外の記憶領域に記憶されたプログラムにより、通番管理手段25,225を実現してもよい。但し、スマートコントラクトにより実現すれば、DLTを利用したシステムへの移行完了を早めることができる。
【0311】
また、前記第1実施形態では、
図2に示すように、チャネル監視手段44でポーリングを行うことにより、他ノードによるチャネル記憶手段32への取引データの追加登録を監視していたが(前記第2実施形態も同様)、仲介者システム40,240側からのポーリングではなく、仲介者ノード20,220側で、チャネル管理手段22,222により、他ノードによるチャネル記憶手段32,232への取引データの追加登録の有無を監視し、追加登録された取引データを、仲介者システム40,240側に送信する処理を行うようにしてもよい。
【0312】
さらに、前記第1実施形態では、一旦、取引データを取引データ記憶手段51に記憶させてから、チャネル記憶手段32との同期処理を行う構成とされていたが(
図2参照)、取引者端末100からの入力等により発生した取引データを、取引データ記憶手段51およびチャネル記憶手段32に、並行して登録する処理を行ってもよい。前記第2実施形態も同様である。
【0313】
また、前記第1実施形態では、
図4のステップS11において、仲介者システム40αのチャネル監視手段44により、通番対応記憶手段52からAXチャネル内通番の最新番号(=D3)を取得し、仲介者ノード20αのチャネル管理手段22に対し、その最新番号(=D3)よりも番号の大きい取引データの存否の確認のための問合せ信号を送信するポーリング処理を行い、
図4のステップS12において、仲介者ノード20αのチャネル管理手段22により、受信した問合せ信号に含まれるAXチャネル内通番の最新番号(=D3)よりも番号の大きい取引データがあるか否かを判断する構成とされていたが(前記第2実施形態も同様)、AXチャネル記憶手段32に、他ノードにより追加登録された取引データがあるか否かの確認は、このような処理に限定されるものではない。
【0314】
例えば、チャネル監視手段44により、仲介者ノード20αのチャネル管理手段22に対し、AXチャネル記憶手段32に記憶されている全ての取引データ(または、例えば、当日の全ての取引データ、最近1週間以内の全ての取引データ等のように、直近の一定期間内の全ての取引データでもよい。)についてのAXチャネル内通番(=D1,D2,D3,D4)の送信を要求する問合せ信号を送信してもよい。そして、チャネル監視手段44は、仲介者ノード20αから返信されてきたAXチャネル内通番(=D1,D2,D3,D4)の中に、通番対応記憶手段52に記憶されているAXチャネル内通番(=D1,D2,D3)にないAXチャネル内通番が含まれているか否かを判断し、含まれていた場合に、仲介者ノード20αのチャネル管理手段22に対し、そのAXチャネル内通番=D4の取引データの送信要求を行う構成としてもよい。
【0315】
また、チャネル監視手段44により、仲介者ノード20αのチャネル管理手段22に対し、通番対応記憶手段52から取得した全ての取引データ(または、例えば、当日の全ての取引データ、最近1週間以内の全ての取引データ等のように、直近の一定期間内の全ての取引データでもよい。)についてのAXチャネル内通番(=D1,D2,D3)を送信することにより、それらの中に含まれていないAXチャネル内通番がAXチャネル記憶手段32内に存在するか否かを確認する問合せ信号としてもよい。そして、仲介者ノード20αのチャネル管理手段22により、受信した問合せ信号のAXチャネル内通番(=D1,D2,D3)と、AXチャネル記憶手段32に記憶されているAXチャネル内通番(=D1,D2,D3,D4)とを比較し、問合せ信号のAXチャネル内通番(=D1,D2,D3)の中に含まれていないAXチャネル内通番(=D4)の取引データを抽出し、仲介者システム40αのチャネル監視手段44に送信する構成としてもよい。