特許第6629922号(P6629922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6629922
(24)【登録日】2019年12月13日
(45)【発行日】2020年1月15日
(54)【発明の名称】連結具および柱と梁の連結構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20200106BHJP
   E04B 1/24 20060101ALI20200106BHJP
【FI】
   E04B1/58 508R
   E04B1/24 L
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-123703(P2018-123703)
(22)【出願日】2018年6月28日
(62)【分割の表示】特願2015-248465(P2015-248465)の分割
【原出願日】2015年12月21日
(65)【公開番号】特開2018-145796(P2018-145796A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2018年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 光彦
(72)【発明者】
【氏名】生喜 隆之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 極
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−041486(JP,A)
【文献】 特開2012−167462(JP,A)
【文献】 特開平04−330131(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0125751(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/24 − 1/26
E04B 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱と梁とを連結するための連結具であって、
前記連結具は、前記柱に固定される固定板と、前記梁に固定される結合板と、前記梁の端部が載せられる受け板とを備え、
前記結合板は、前記梁の屋内側の側面に沿って配置され、壁パネルが配置される前記梁の屋外側の側面に沿って配置されないように構成されている
連結具。
【請求項2】
請求項1において、
前記梁の屋外側の側面と前記柱の屋外側の側面とが面一に配置されるように構成されている
連結具。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記結合板の上端は、前記梁の上面と同じ高さ位置に配置されるように構成されている連結具。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項において、
前記固定板の前記柱への固定及び前記結合板の前記梁への固定は、ドリルビスで行われる
連結具。
【請求項5】
柱と、梁と、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の連結具とを備える連結構造において、
前記連結具は前記固定板と前記結合板と前記受け板とを有し、
前記固定板は前記柱に固定され、
前記結合板は、前記梁の屋内側の側面に沿って配置され、壁パネルが配置される前記梁の屋外側の側面に沿って配置されないようにして、前記梁に固定され、
前記受け板は前記梁の端部が載せられている
柱と梁の連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結具および柱と梁の連結構造に関するものであり、より詳しくは、柱と梁の連結に使用される連結具およびこれを用いた柱と梁の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のサンドイッチパネルで外壁を形成した建物が開示されている。サンドイッチパネルは、二枚の金属外皮の間に芯材を設けて形成されている。複数のサンドイッチパネルは水平方向に並べられ、これらサンドイッチパネルの上端を上枠材で連結し、下端を下枠材で連結することにより、上記外壁が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−77781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された建物では、鉛直荷重及び水平荷重を外壁のみで負担しているため、これらの荷重によりサンドイッチパネルが変形しやすくなり、比較的小規模(3坪以下)にしか構築することができないという問題があった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、より大規模な建物の構築が可能な連結具および柱と梁の連結構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る連結具は、柱と梁とを連結するための連結具である。前記連結具は、前記柱に固定される固定板と、前記梁に固定される結合板と、前記梁の端部が載せられる受け板とを備える。前記結合板は、前記梁の屋内側の側面に沿って配置され、壁パネルが配置される前記梁の屋外側の側面に沿って配置されないように構成されている。
【0007】
本発明の一態様に係る柱と梁の連結構造は、柱と、梁と、前記連結具とを備える連結構造である。前記連結具は前記固定板と前記結合板と前記受け板とを有する。前記固定板は前記柱に固定される。前記結合板は、前記梁の屋内側の側面に沿って配置され、壁パネルが配置される前記梁の屋外側の側面に沿って配置されないようにして、前記梁に固定される。前記受け板は前記梁の端部が載せられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、より大規模な建物の構築が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明を使用した建物の斜視図である。
図2図2は、同上の建物の内部の概略の平面図である。
図3図3は、同上の建物の屋根伏図である。
図4図4Aは、同上の建物の第一外壁の正面図である。図4Bは、同上の建物の第二外壁の正面図である。図4Cは、同上の建物の第三外壁の正面図である。図4Dは、同上の建物の第四外壁の正面図である。
図5図5は、同上の建物の下部の断面図である。
図6図6は、同上の建物の水上部分の断面図である。
図7図7は、同上の建物の水下部分の断面図である。
図8図8は、同上の建物のけらば部分の断面図である。
図9図9は、同上の建物の出隅部分の断面図である。
図10図10は、同上の建物に使用するサンドイッチパネルの斜視図である。
図11図11は、同上の建物の基礎の断面図である。
図12図12は、同上の建物の柱の施工状態の平面図である。
図13図13は、同上の建物の梁の施工状態の平面図である。
図14図14Aは、同上の建物に使用する第一連結具の展開図である。図14Bは、同上の建物に使用する第二連結具の展開図である。
図15図15Aは、同上の建物に使用する第一連結具の施工状態の斜視図である。図15Bは、同上の建物に使用する第二連結具の施工状態の斜視図である。
図16図16Aは、同上の建物に使用する梁の施工状態の斜視図である。図16Bは、同上の建物に使用する他の梁の施工状態の斜視図である。図16Cは、同上の建物に使用するさらに他の梁の施工状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0011】
図1は本実施形態が使用された建物1の外観を示している。建物1は植物工場であって、比較的大規模なものであり、例えば、一辺が10m以上で建築面積が120m以上に形成されている。建物1は外壁10と屋根20とを備えている。外壁10は耐力壁である。
【0012】
図2は建物1の内部構造を示している。建物1の内部は外壁10により平面視で略正方形に囲まれている。外壁10は第一外壁101と第二外壁102と第三外壁103と第四外壁104とで構成されている。第一外壁101は建物1の水上側の外面を構成している。第二外壁102は建物1の水下側の外面を構成している。第三外壁103は建物1の一方のけらば側の外面を構成している。第四外壁104は建物1のもう一方のけらば側の外面を構成している。第四外壁104には出入口95が設けられている。
【0013】
建物1の内部には内壁11が設けられている。内壁11は第一外壁101と第二外壁102とに対向している。建物1の内部は内壁11により広い空間と狭い空間とに仕切られている。広い方の空間は植物を育成するための育成室12である。狭い方の空間には更衣室13、エアシャワー室14、前室(準備室)15、機械室(管理室)16が設けられている。外壁10及び内壁11は複数の壁パネル106を備えて構成されている。
【0014】
図3のように屋根20は外壁10の上方に形成されており、複数の屋根パネル201と、屋根パネル201の上面を覆う防水シート202とを備えて構成されている。屋根20の水上側の端縁には水上水切り203が設けられている。屋根20の水下側の端縁(軒先)には水下水切り204が設けられている。屋根20の両方のけらば側の端縁にはけらば水切り205が設けられている。図3の矢印は水が流れる方向を示している。
【0015】
図4Aは第一外壁101を示している。図4Bは第二外壁102を示している。図4Cは第三外壁103を示している。図4Dは第四外壁104を示している。第一外壁101と第二外壁102と第三外壁103と第四外壁104は、ほぼ同様の構造を有している。すなわち、第一外壁101と第二外壁102と第三外壁103と第四外壁104は、腰壁105の上面に複数の壁パネル106を水平方向に並べることにより形成されている。各壁パネル106は鉛直方向に長く形成されており、水平方向に隣接する壁パネル106は凹凸嵌合により接続されている。すなわち、複数の壁パネル106は縦張りにより施工されている。なお、図示していないが、第一外壁101等と同様に、内壁11も腰壁116(図12参照)の上面に複数の壁パネルを並べることにより形成されている。
【0016】
図5は外壁10の下部を示されている。腰壁105はコンクリート製の基礎110の一部に形成されており、基礎110の平坦部109の上面よりも上方に突出している。腰壁105の上面には土台111が設けられている。土台111の外方(屋外側)には壁パネル106の下部が位置している。壁パネル106の下部はドリルビスなどの固定具112で土台111に固定されている。固定具112は、壁パネル106の下部の外面(屋外側の表面)から壁パネル106を厚み方向で貫通し、さらに土台111にまでねじ込まれている。また土台111には金物などのパネル受け具113が設けられており、壁パネル106の下端がパネル受け具113に載せられている。このようにして壁パネル106は土台111に固定されている。また固定具112より土台111には土台水切り114が取り付けられている。土台水切り114の上部は壁パネル106と土台111との間に挟まれており、固定具112は土台水切り114の上部を貫通している。
【0017】
図6は建物1の水上部分を示している。壁パネル106の上部は梁12の外方(屋外側)に位置している。壁パネル106の上部はドリルビスなどの固定具112で梁12に締結されて固定されている。この場合、壁パネル106の裏面(屋内側の外面)が梁12の外面(屋外側の外面)に直接接触している。また複数の固定具112が所定の間隔を介して壁パネル106の上部に沿って設けられている。梁12の上面には屋根パネル201の水上側の端部が載せられている。屋根パネル201の水上側の端部はドリルビスなどの固定具115により梁12に締結されて固定されている。この場合、屋根パネル201の裏面(屋内側の外面)が梁12の上面に直接接触している。また複数の固定具115が所定の間隔を介して屋根パネル201の水上側の端部に沿って設けられている。屋根パネル201と壁パネル106との間の隙間は塞ぎ部材13により覆われている。塞ぎ部材13の外側には水上水切り203が設けられている。また防水シート202が水上水切り203の上面及び屋根パネル201の上面を覆っている。
【0018】
図7は建物1の水下部分を示している。壁パネル106の上部は梁12の外方(屋外側)に位置している。壁パネル106の上部は建物1の水上部分と同様にしてドリルビスなどの固定具112で梁12に締結されて固定されている。梁12の上面には屋根パネル201が載せられている。屋根パネル201の水下側の端部は建物1の水上部分と同様にしてドリルビスなどの固定具115で梁12に固定されている。この場合、複数の固定具115が所定の間隔を介して屋根パネル201の水下側の端部に沿って設けられている。屋根パネル201の水下側の端部は壁パネル106の外面よりも外側に位置している。屋根パネル201の水下側の端部は略L型の支持部材14により支持されている。支持部材14は壁パネル106の外面に固定具112により固定されている。屋根パネル201の水下側の端部には水下水切り204が設けられている。水下水切り204の下方には樋部材15が設けられている。壁パネル106の外面には樋支持具16が設けられており、この樋支持具16に樋部材15が取り付けられている。また防水シート202が水下水切り204の上面及び屋根パネル201の上面を覆っている。
【0019】
図8は建物1のけらば部分を示している。壁パネル106の上部は梁12の外方(屋外側)に位置している。壁パネル106の上部は建物1の水上部分及び水下部分と同様にしてドリルビスなどの固定具112で梁12に固定されている。梁12の上面には屋根パネル201のけらば側の端部が載せられている。屋根パネル201のけらば側の端部は建物1の水上部分及び水下部分と同様にしてドリルビスなどの固定具115で梁12に固定されている。この場合、複数の固定具115が所定の間隔を介して屋根パネル201のけらば側の端部に沿って設けられている。屋根パネル201と壁パネル106との間の隙間は塞ぎ部材13により覆われている。塞ぎ部材13の外側にはけらば水切り205が設けられている。また防水シート202がけらば水切り205の上面及び屋根パネル201の上面を覆っている。
【0020】
図9は建物1の出隅を示している。壁パネル106の側端部はドリルビスなどの固定具112で柱17に固定されている。固定具112は、壁パネル106の側端部の外面(屋外側の表面)から壁パネル106を厚み方向で貫通し、さらに柱17にまでねじ込まれている。この場合、壁パネル106の裏面(屋内側の外面)が柱17の外面(屋外側の外面)に直接接触している。また複数の固定具112が所定の間隔を介して壁パネル106の側端部に沿って設けられている。また壁パネル106と柱17との間には出隅塞ぎ部材18が設けられている。また隣り合う壁パネル106の外面には下地部材19が設けられている。下地部材19には出隅部材30が取り付けられている。出隅部材30の端部と壁パネル106の外面との間にはシーリング材31が設けられている。このようにして壁パネル106は柱17に固定されている。
【0021】
なお、サンドイッチパネル40(壁パネル106や屋根パネル201)は、固定具112、115による梁12や柱17への支圧により水平荷重(せん断力)を伝達する構造部材として作用しやすい。従って、水平荷重に対する抵抗力を得るのに必要な所定本数の固定具112、115でサンドイッチパネル40を固定具112、115により梁12や柱17に固定するのが好ましい。
【0022】
図10はサンドイッチパネル40を示している。サンドイッチパネル40は壁パネル106や屋根パネル201として用いられる。サンドイッチパネル40は縦長に形成されており、一方の長手方向の端部には嵌合凸部41が全長にわたって設けられており、他方の長手方向の端部には嵌合凹部42が全長にわたって設けられている。水平方向で隣接するサンドイッチパネル40(壁パネル106や屋根パネル201)は嵌合凸部41と嵌合凹部42とを嵌合して接続される。
【0023】
サンドイッチパネル40は二枚の金属外皮43、44の間に芯材45を設けて形成されている。またサンドイッチパネル40は表面及び裏面にほとんど凹凸のない平板状に形成されている。金属外皮43,44は金属板の成形品であり、例えば、金属板をロール成形により成形して金属外皮43,44が得られる。金属板としては、鋼板、ステンレス鋼板、亜鉛めっき鋼板、塗装鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、エスジーエル(登録商標)鋼板などが用いられる。金属板の厚みは、0.2〜2.0mmが好ましい。芯材45は断熱性及び耐火性に優れることが好ましい。芯材45はロックウールやグラスウールなどの無機繊維材料で形成されている。また芯材45はウレタンフォームやフェノールフォームなどの樹脂発泡体で形成されていてもよい。また芯材45は石膏ボードや珪酸カルシウムボードなどの板材と無機繊維材料や樹脂発泡体とを組み合わせた複合材であってもよい。例えば、板材と無機繊維材料や樹脂発泡体とを層状に重ねて芯材45を形成することができる。芯材45の厚みは、10〜100mmが好ましい。
【0024】
上記のようなサンドイッチパネル40は、一般的には、非構造部材(非耐力部材)として分類されているが、本実施の形態においては、サンドイッチパネル40は建物1に作用する水平荷重を柱17と梁12との間で伝達するための構造部材として用いられる。ここで、構造部材とは、建物に作用する荷重を分担する(支持する)ことが可能な部材をいい、非構造部材とは、建物に作用する荷重を分担しないかほとんど分担しない部材をいう。
【0025】
図11は複数の柱17の取付構造を示している。柱17は軽量形鋼製である。すなわち、柱17はロール成形もしくはプレス成形で形成される軽量形鋼である。複数の柱17は脚部材171により基礎110の平坦部109の上面又は腰壁105の上面に取り付けられている。脚部材171は金物であって、固定片172と取付片173とでL型に形成されている。固定片172は基礎110の平坦部109や腰壁105にボルトなどの固定具174で固定されている。取付片173はドリルビスなどの固定具175で柱17の側面に結合されている。
【0026】
図12は複数の柱17の取付構造を示している。複数の柱17はほぼ等間隔で設けられている。図13のように隣り合う柱17の間には梁12が設けられる。柱17と梁12とは連結具50により連結される。梁12は柱17と同様の軽量形鋼製である。
【0027】
図14A及び図14Bは金属製の連結具50の展開図を示している。連結具50は鋼板等の金属板を折り曲げるなどして形成される。図14Aは第一連結具51に形成する金属板91を示している。金属板91は長方形の固定板52と、固定板52の両方の長辺に設けられた一対の結合板53と、固定板52の片方の短辺に設けられた受け板54とを備えて形成されている。一対の結合板53と受け板54とは固定板52に対して略垂直に折り曲げられ、結合板53と受け板54とが固定板52の一面側に突出して第一連結具51が形成されている。図14Bは第二連結具55に形成する金属板92を示している。金属板92は長方形の固定板56と、固定板56の片方の長辺に設けられた結合板57と、固定板56の片方の短辺に設けられた受け板58とを備えて形成されている。結合板57と受け板58とは固定板56に対して略垂直に折り曲げられ、結合板57と受け板58とが固定板56の一面側に突出して第二連結具55が形成されている。固定板52と固定板56及び結合板53と結合板57には厚み方向で貫通する複数の孔部59が設けられている。
【0028】
図15A及び図15Bは連結具50の取付構造を示している。図15Aは第一連結具51の取付構造を示している。第一連結具51を柱17に取り付けるにあたっては、固定板52の外面を柱17に一つの外面に接合し、固定板52の孔部59から柱17にドリルビスなどの固定具60をねじ込むようにする。図15Bは第二連結具55の取付構造を示している。第二連結具55を柱17に取り付けるにあたっては、固定板56の外面を柱17に一つの外面に接合し、固定板56の孔部59から柱17にドリルビスなどの固定具60をねじ込むようにする。
【0029】
図16A図16B図16Cは柱17と梁12とが連結具50により連結されている状態を示している。
【0030】
図16Aは建物1の出隅部分に設けられた柱70と二つの梁120、121との連結構造を示している。柱70にはひとつの外面に第二連結具550が一つ取り付けられている。第二連結具550には梁120の端部が連結されている。梁120の端部は受け板58の上に載せられている。また結合板57の孔部59からドリルビスなどの固定具80をねじ込むことによって、梁120の端部と第二連結具550とが結合される。柱70の上記外面と隣り合う他の外面には上記第二連結具550と別の第二連結具551が一つ取り付けられている。第二連結具551には梁120と別の梁121の端部が連結されている。梁121と第二連結具551の連結は、梁120と第二連結具550の連結と同じである。
【0031】
図16Bは第一外壁101と第二外壁102と第三外壁103と第四外壁104とを構成する腰壁105の上面に設けられた柱71と三つの梁122、123、124との連結構造を示している。柱71には内面(屋内面)に第一連結具500が一つ取り付けられている。第一連結具500には梁122の端部が連結されている。梁122の端部は受け板54の上に載せられている。また結合板53の孔部59からドリルビスなどの固定具81をねじ込むことによって、梁122の端部と第一連結具500とが結合される。また柱71には上記内面と隣り合う一面に第二連結具552が一つ取り付けられている。第二連結具552には梁123の端部が連結されている。梁123と第二連結具552の連結は、梁120と第二連結具550の連結と同じである。また柱71には上記内面と隣り合う他の一面に第二連結具553が一つ取り付けられている。第二連結具553には梁124の端部が連結されている。梁124と第二連結具553の連結は、梁120と第二連結具550の連結と同じである。
【0032】
図16Cは間仕切り壁11の腰壁の上面に設けられた柱72や平坦部109の上面に設けられた柱72と四つの梁125、126、127、128との連結構造を示している。柱72には一面に第一連結具501が一つ取り付けられている。第一連結具501には梁125の端部が連結されている。梁125と第一連結具501の連結は、梁122と第一連結具500の連結と同じである。柱72には他の一面に第一連結具502が一つ取り付けられている。第一連結具502には梁126の端部が連結されている。梁126と第一連結具502の連結は、梁122と第一連結具500の連結と同じである。柱72には他の一面に第一連結具503が一つ取り付けられている。第一連結具503には梁127の端部が連結されている。梁127と第一連結具503の連結は、梁122と第一連結具500の連結と同じである。柱72には他の一面に第一連結具504が一つ取り付けられている。第一連結具504には梁128の端部が連結されている。梁128と第一連結具504の連結は、梁122と第一連結具500の連結と同じである。
【0033】
なお、土台111は梁12と同様にして連結具50で柱17と連結することができる。また胴縁を使用する場合も胴縁は梁12と同様にして連結具50で柱17と連結することができる。
【0034】
柱17及び梁12で使用される軽量形鋼はJIS G 3466に規定される一般構造用角形鋼管であることが好ましい。また柱17及び梁12で使用される軽量形鋼はJIS G 3350に規定される一般構造用軽量形鋼やJIS G 3353に規定される一般構造用溶接軽量H形鋼であってもよい。なお、土台111も柱17及び梁12と同様の軽量形鋼が使用可能である。
【0035】
本実施の形態では、柱17と梁12と連結具50とサンドイッチパネル40により鉛直荷重と水平荷重とを負担することができ、水平ブレースや垂直ブレースを用いなくても外壁10や屋根20の強度を確保することができ、大規模な建物1の構築が可能である。ここで、鉛直荷重とは建物に作用する鉛直方向の荷重をいい、水平荷重とは建物に作用する水平方向の荷重をいう。建物に作用する荷重には、地震力、風圧力、建物の自重、積載荷重、積雪荷重などがある。そして、本実施の形態では、柱17と梁12が主に鉛直荷重を分担して支持し、サンドイッチパネル40が水平荷重を主に分担して支持する。このため、複数の壁パネル106で形成された外壁10は水平荷重抵抗壁として形成され、複数の屋根パネル201で形成された屋根は水平荷重抵抗屋根として形成される。
【0036】
またサンドイッチパネル40は、柱17と梁12の間で水平荷重を伝達する構造部材である。すなわち、壁パネル106と屋根パネル201として用いるサンドイッチパネル40は、柱17及び梁12に固定されており、梁12は連結具50を介して柱17に連結されている。従って、建物1に作用する水平荷重は、壁パネル106や屋根パネル201であるサンドイッチパネル40と連結具50とにより、柱17と梁12の間に伝達される。またサンドイッチパネル40は、外壁10や屋根20を形成するとともに、柱17と梁12の間で水平荷重を伝達するための構造部材として兼用されているため、部品点数の減少により建物の構築のためのコストダウンを図ることができる。
【0037】
また本実施の形態では、柱17に連結具50とを固定するにあたって、ドリルビス等の固定具60を用いている。また梁12と連結具50とを固定するにあたって、ドリルビス等の固定具80、81を用いている。従って、連結具50と柱17や梁とに固定するにあたって、溶接やボルト留めを行わないようにして、簡単に施工することができ、例えば、板金施工業者により、柱17と梁12とを連結することが可能となる。
【0038】
なお、上記では建物1が植物工場である場合について説明したが、これに限らず、本実施の形態は一般的な工場や施設に適用可能である。
【符号の説明】
【0039】
12 梁
17 柱
55 連結具
56 固定板
57 結合板
58 固定板
60 ドリルビス
80 ドリルビス
81 ドリルビス
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