特許第6629963号(P6629963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6629963
(24)【登録日】2019年12月13日
(45)【発行日】2020年1月15日
(54)【発明の名称】伝達接続を含むフローセンサシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20200106BHJP
【FI】
   A61M5/168 530
【請求項の数】19
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2018-512214(P2018-512214)
(86)(22)【出願日】2016年8月25日
(65)【公表番号】特表2018-526139(P2018-526139A)
(43)【公表日】2018年9月13日
(86)【国際出願番号】US2016048689
(87)【国際公開番号】WO2017040202
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2018年4月18日
(31)【優先権主張番号】62/211,108
(32)【優先日】2015年8月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518070548
【氏名又は名称】クリシー メディカル システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショーン ウェイン デカルブ
【審査官】 鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−17978(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/085395(WO,A1)
【文献】 米国特許第8714030(US,B1)
【文献】 国際公開第2014/016316(WO,A1)
【文献】 特表2013−514836(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0112474(US,A1)
【文献】 特開2002−221440(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0270844(US,A1)
【文献】 特表2004−533856(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第0897102(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体薬剤の流れを検出するためのフローセンササブアセンブリであって、
フローチューブアセンブリであって、該フローチューブアセンブリを通って前記流体薬剤が流れるフローチューブアセンブリにおいて、
内腔と外径と第1の端部と第2の端部を有するフローチューブと、
肩部を有する円錐形のオリフィスを有する入口継手であって、前記肩部は前記フローチューブの端部と一致するサイズおよび向きを有し、前記円錐形のオリフィスは前記フローチューブのいずれかの端部の挿入のための大きさであり、そのために、前記入口継手の内部通路が前記内腔と同軸かつ同心であり、および、前記フローチューブの前記端部が前記肩部に当接する、入口継手と、
肩部を有する円錐形のオリフィスを有する出口継手であって、前記肩部は前記フローチューブの端部と一致するサイズおよび向きを有し、前記円錐形のオリフィスは前記フローチューブのいずれかの端部の挿入のための大きさであり、そのために、前記出口継手の内部通路が前記内腔と同軸かつ同心であり、および、前記フローチューブの前記端部が前記肩部に当接する、出口継手と
を有しているフローチューブアセンブリと、
第1のピエゾ素子および第2のピエゾ素子であって、該第1のピエゾ素子が前記フローチューブアセンブリの上流位置に配置されおよび該第2のピエゾ素子が前記フローチューブアセンブリの下流位置に配置され、そのために、該第1のピエゾ素子が前記入口継手と一体化されおよび該第2のピエゾ素子が前記出口継手と一体化され、および、各々のピエゾ素子は予め選択された距離だけ互いに間を空けて離れている、第1のピエゾ素子および第2のピエゾ素子と
を備え、
前記円錐形のオリフィスの各々は前記フローチューブの前記外径に係合する内径およびテーパを有し、それにより、組み立ての間の、接着剤の毛管作用を使用した挿入を可能にする、フローセンササブアセンブリ。
【請求項2】
前記フローチューブを包囲する吸収シースをさらに備え、該吸収シースは前記フローチューブとは異なる材料からなる、請求項1に記載のフローセンササブアセンブリ。
【請求項3】
前記吸収シースは前記フローチューブの前記外径上で熱収縮されている、請求項2に記載のフローセンササブアセンブリ。
【請求項4】
前記吸収シースは前記フローチューブに接着されている、請求項2に記載のフローセンササブアセンブリ。
【請求項5】
前記第1のピエゾ素子および前記第2のピエゾ素子は環状の形状であり、および、各々の継手を各々の取り付け点において取り囲んでいる、請求項1に記載のフローセンササブアセンブリ。
【請求項6】
前記入口継手または前記出口継手のいずれかの前記内部通路はテーパ状であり、および、前記肩部と反対側の端部で終端して可撓性チューブの内腔に係合する、請求項1に記載のフローセンササブアセンブリ。
【請求項7】
前記フローチューブアセンブリは、前記第1および第2のピエゾ素子と結合した回路を有するフローセンサハウジング内に収容され、前記フローセンサハウジングはマイクロプロセッサを収容するフローセンサベースに結合され、および、前記回路は前記フローセンササブアセンブリからの電気信号を前記フローセンサベース内の前記マイクロプロセッサに供給するための接続ピンを含む、請求項1に記載のフローセンササブアセンブリ。
【請求項8】
前記フローセンササブアセンブリは、前記フローセンササブアセンブリを用いて少なくとも1つの流体薬剤の流れを検出した後に配置される、請求項7に記載のフローセンササブアセンブリ。
【請求項9】
前記フローセンサベースは別のフローセンササブアセンブリと共に使用される、請求項8に記載のフローセンササブアセンブリ。
【請求項10】
前記入口継手の前記内部通路はテーパ状であり、および、前記肩部と反対側の端部で終端してルアータイプの継手に係合する、請求項1に記載のフローセンササブアセンブリ。
【請求項11】
前記入口継手の前記内部通路はテーパ状であり、および、前記肩部とは反対側の端部において非円錐形の部分で終端する、請求項1に記載のフローセンササブアセンブリ。
【請求項12】
前記入口継手および前記出口継手の前記円錐形のオリフィスは、前記テーパの長さに沿ってほぼ中間の中間肩部を有する2つの部分からなるテーパである、請求項1に記載のフローセンササブアセンブリ。
【請求項13】
流体薬剤の流れを検出するためのフローセンササブアセンブリの組み立て方法であって、
内腔と外径と第1の端部と第2の端部を有するフローチューブを準備するステップ、
前記フローチューブの端部と一致するサイズおよび向きを有する肩部を有する円錐形のオリフィスを有する入口継手を準備するステップ、
前記フローチューブを、前記フローチューブの端部が前記入口継手の前記肩部に当接するまで、前記入口継手の円錐形のオリフィス内に挿入するステップ、
前記フローチューブの端部と一致するサイズおよび向きを有する肩部を有する円錐形のオリフィスを有する出口継手を準備するステップ、
前記フローチューブの反対側の端部を、前記フローチューブの前記反対側の端部が前記出口継手の前記肩部に当接するまで、前記出口継手の円錐形のオリフィス内に挿入するステップ、
前記入口継手上に第1のピエゾ素子をボンディングするステップ、
前記出口継手上に第2のピエゾ素子をボンディングするステップ、
前記フローチューブの外径と前記入口継手上の前記円錐形のオリフィスの内径の間の隙間に接着剤を塗布し、それによって、前記接着剤の毛管伝播を可能にするステップ、および、
前記フローチューブの外径と前記出口継手上の前記円錐形のオリフィスの内径の間の隙間に接着剤を塗布し、それによって、前記接着剤の毛管作用を使用した伝播を可能にするステップ
を含む方法。
【請求項14】
前記フローチューブを、該フローチューブを取り囲む吸収シースであって前記フローチューブとは異なる材料からなる吸収シース内に挿入するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記フローチューブを、該フローチューブを取り囲む吸収シース内に挿入するステップ、および、
前記吸収シースを加熱して前記フローチューブの前記外径上で前記吸収シースを収縮させるステップ
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記吸収シースは前記フローチューブに接着される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記吸収シースは前記フローチューブに接着される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のピエゾ素子の開口部内に前記入口継手を挿入するステップ、および、
前記第2のピエゾ素子の開口部内に前記出口継手を挿入するステップ
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記入口継手または前記出口継手のいずれかの内部通路の反対側の端部に可撓性チューブをボンディングするステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2015年8月28日に出願された米国仮特許出願第62/211,108号に基づく優先権の利益を主張するものであり、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概してフローセンサシステムに関する。より具体的には、本開示は、各注射の投薬、濃度、容量、用量、および、時間の自動記録を医療専門家に提供するフローセンサシステムであって、薬物の静脈内ボーラス注射を患者に提供するためのフローセンサシステムに関する。好ましくは、システムは超音波フローセンサを有する。
【背景技術】
【0003】
ボーラス送達中のベッドサイドでの過誤投薬を減らす必要がある。ボーラス送達の記録、並びに、ボーラス送達をモニタすることおよび患者の健康記録の一部としてボーラス送達の自動記録を可能にする電子的測定を提供することが有利であろう。さらに、患者の医療記録と一致しないボーラス送達が起こりそうになったときに警告を発することは有益であろう。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、流体薬剤の流れを検知するためのシステムを提供する。このシステムは、IV注入を手動で投与するための、注入部位(「Y部位」またはストップコックなど)に取り付けることができるインテリジェント注入ポートを含む。システムには、使用前に一緒に収まる使い捨てフローセンサと再使用可能なベースユニットの、2つのメインサブアセンブリが含まれる。
【0005】
本発明の一実施形態によれば、流体薬剤の流れを検出するためのフローセンササブアセンブリは、フローチューブアセンブリであって、該フローチューブアセンブリを通って流体薬剤が流れ、内腔と外径と第1の端部と第2の端部を有するフローチューブを有しているフローチューブアセンブリを含む。フローチューブアセンブリはさらに、肩部を有する円錐形のオリフィスを有する入口継手であって、肩部はフローチューブの端部と一致するサイズおよび向きを有し、円錐形のオリフィスはフローチューブのいずれかの端部の挿入のための大きさであり、そのために、入口継手の内部通路が内腔と同軸かつ同心であり、および、フローチューブの端部が肩部に当接する、入口継手を含む。フローチューブアセンブリはさらに、肩部を有する円錐形のオリフィスを有する出口継手であって、肩部はフローチューブの端部と一致するサイズおよび向きを有し、円錐形のオリフィスはフローチューブのいずれかの端部の挿入のための大きさであり、そのために、入口継手の内部通路が内腔と同軸かつ同心であり、および、フローチューブの端部が肩部に当接する、出口継手を含む。フローセンササブアセンブリはさらに、フローチューブアセンブリの上流位置に配置された第1のピエゾ素子、および、フローチューブアセンブリの下流位置に配置された第2のピエゾ素子を含む。第1のピエゾ素子が入口継手と一体化されおよび第2のピエゾ素子が出口継手と一体化され、および、各々のピエゾ素子は予め選択された距離だけ互いに間を空けて離れている。円錐形のオリフィスの各々はフローチューブの外径に係合する内径およびテーパを有し、組み立ての間の、接着剤の毛管挿入を可能にする。
【0006】
本フローセンササブアセンブリでは、フローチューブを包囲する吸収シースをさらに含むことができ、吸収シースはフローチューブとは異なる材料からなる。吸収シースはフローチューブの外径上で熱収縮されることができる。これとは別に、吸収シースをフローチューブに接着してもよい。これとは別に、吸収シースをフローチューブの周りにインサート成形することができる。
【0007】
第1のピエゾ素子および第2のピエゾ素子を環状の形状としてもよく、各々の取り付け点において各々の継手を取り囲んでいてもよい。入口継手または出口継手のいずれかの内部通路はテーパ状であり、可撓性チューブの内腔と係合するように肩部の反対側の端部で終端している。
【0008】
特定の構成では、フローチューブアセンブリは、第1および第2のピエゾ素子と結合した回路を有するフローセンサハウジング内に収容され、フローセンサハウジングはマイクロプロセッサを収容するフローセンサベースに結合され、および、回路は本フローセンササブアセンブリからの電気信号をフローセンサベース内のマイクロプロセッサに供給するための接続ピンを含む。本フローセンササブアセンブリを、本フローセンササブアセンブリを用いて少なくとも1つの流体薬剤の流れを検出した後に配置してもよい。特定の構成では、フローセンサベースは別のフローセンササブアセンブリと共に使用され得る。
【0009】
入口継手の内部通路はテーパ状であってよく、および、肩部と反対側の端部で終端してルアータイプの継手と係合してもよい。入口継手の内部通路はテーパ状であってよく、および、肩部とは反対側の端部において非円錐形の部分で終端してもよい。入口継手および出口継手の円錐形のオリフィスは、テーパの長さに沿ってほぼ中間の中間肩部を有する2つの部分からなるテーパであってよい。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、流体薬剤の流れを検出するためのフローセンササブアセンブリの組み立て方法は、内腔と外径と第1の端部と第2の端部を有するフローチューブを準備するステップ、および、フローチューブの端部と一致するサイズおよび向きを有する肩部を有する円錐形のオリフィスを有する入口継手を準備するステップを含む。本方法はまた、フローチューブを、フローチューブの端部が入口継手の肩部に当接するまで、入口継手の円錐形のオリフィス内に挿入するステップ、および、フローチューブの端部と一致するサイズおよび向きを有する肩部を有する円錐形のオリフィスを有する出口継手を準備するステップを含む。本方法はまた、フローチューブの反対側の端部を、フローチューブの反対側の端部が出口継手の肩部に当接するまで、出口継手の円錐形のオリフィス内に挿入するステップを含む。本方法の追加のステップは、入口継手上に第1のピエゾ素子をボンディングするステップ、出口継手上に第2のピエゾ素子をボンディングするステップ、フローチューブの外径と入口継手上の円錐形のオリフィスの内径の間の隙間に接着剤を塗布し、それによって、接着剤の毛管伝播を可能にするステップ、および、フローチューブの外径と出口継手上の円錐形のオリフィスの内径の間の隙間に接着剤を塗布し、それによって、接着剤の毛管伝播を可能にするステップを含む。
【0011】
オプションで、本方法は、フローチューブを、フローチューブを取り囲む吸収シースであってフローチューブとは異なる材料からなる吸収シース内に挿入するステップを含むことができる。本方法の追加のステップは、フローチューブをフローチューブを取り囲む吸収シース内に挿入するステップ、および、吸収シースを加熱してフローチューブの外径上で吸収シースを収縮させるステップを含むことができる。吸収シースはフローチューブに接着されてよい。オプションで、本方法は、吸収シースをフローチューブの周りにインサート成形することを含むことができる。
【0012】
吸収材の材料は、ポリビニルクロライド、シリコーンゴムなどの任意のポリマーまたはエラストマーの1つであってもよい。一実施形態では、吸収材の材料は、本質的に可撓性であり、フローチューブのデュロメータより低いデュロメータを有することができる。フローチューブのデュロメータと異なるデュロメータを有する吸収材を設けることにより、振動はフローチューブに伝わることはなく、吸収材内で維持される。
【0013】
追加の構成において、本方法はまた、第1のピエゾ素子の開口部内に入口継手を挿入するステップ、および、第2のピエゾ素子の開口部内に出口継手を挿入するステップを含むことができる。本方法はまた、入口継手または出口継手のいずれかの内部通路の反対側の端部に可撓性チューブをボンディングするステップを含むことができる。
【0014】
本開示の上記および他の特徴および利点、並びに、それらを達成する方法は、添付の図面と関連してなされる本開示の実施形態の以下の説明を参照することにより、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態によるフローセンサシステムの遠位方向の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態によるフローセンサシステムの近位方向の斜視図である。
図3A】本発明の一実施形態によるフローセンサシステムの近位からの正面図である。
図3B】本発明の一実施形態によるフローセンサシステムの遠位からの正面図である。
図4A】本発明の一実施形態によるフローセンサシステムの側面図である。
図4B図4Aの一部の詳細な拡大図である。
図5A】本発明の一実施形態によるフローセンサシステムのベースの斜視図である。
図5B図5のベースの斜視図であり、光学および電気部品を示す図である。
図6】本発明の一実施形態によるフローセンサシステムのフローセンサの斜視図である。
図7】本発明の一実施形態によるフローセンサシステムのフローセンサの別の斜視図である。
図8】本発明の一実施形態によるフローセンサシステムのフローセンサの分解斜視図である。
図9】本発明の一実施形態によるフローセンサシステムのフローセンサの斜視図である。
図10A】本発明の一実施形態によるフローセンサシステムに適合する注射器の側面図である。
図10B図10Bの一部の詳細な拡大図である。
図10C】本発明の一実施形態によるフローセンサシステムに適合する注射器の先端ラベルの側面図である。
図11A】本発明の一実施形態によるフローセンサシステム用の充電器の斜視図である。
図11B】詳細なCで示すように時計回りの角度で回転された、図11Aの一部の詳細な拡大図である。
図11C】本発明の一実施形態によるフローセンサシステム用の充電器の平面図である。
図11D】本発明の一実施形態による、フローセンサシステムのベースが充電器の一部内に受け入れられた、図11Cの線X−Xに沿った断面図である。
図12】本発明の一実施形態によるフローセンサおよびマウントの斜視図である。
図13】本発明の一実施形態によるフローチューブサブアセンブリの斜視図である。
図14A】本発明の一実施形態による麻酔図におけるコンピュータディスプレイの概略図である。
図14B】本発明の一実施形態による表形式でのコンピュータディスプレイの概略図である。
図15】本発明の一実施形態による、変換素子、端部継手、および、吸収シースに接着剤を塗布するプロセスの概略側面図である。
図16】本発明の一実施形態による入口継手の断面斜視図である。
図17】本発明の一実施形態による出口継手の断面斜視図である。
図18】本発明の一実施形態による変換素子および吸収材と係合した入口継手と係合した注入ポートの側面断面図である。
図19】本発明の一実施形態による変換素子および吸収材と係合した出口継手の側面断面図である。
図20A】本発明の一実施形態による吸収チューブおよび端部継手をフローチューブに適用するプロセスを示す図である。
図20B】本発明の一実施形態による吸収チューブおよび端部継手をフローチューブに適用するプロセスを示す図である。
図20C】本発明の一実施形態による吸収チューブおよび端部継手をフローチューブに適用するプロセスを示す図である。
図20D】本発明の一実施形態による吸収チューブおよび端部継手をフローチューブに適用するプロセスを示す図である。
図21A】本発明の一実施形態による吸収チューブおよび端部継手をフローチューブに適用するプロセスを示す図である。
図21B】本発明の一実施形態による吸収チューブおよび端部継手をフローチューブに適用するプロセスを示す図である。
図21C】本発明の一実施形態による吸収チューブおよび端部継手をフローチューブに適用するプロセスを示す図である。
図21D】本発明の一実施形態による吸収チューブおよび端部継手をフローチューブに適用するプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
対応する参照文字は、いくつかの図を通して対応する部分を示す。本明細書に記載されている例示は、本開示の例示的な実施形態を示しており、そのような例示は、本開示の範囲を如何なる方法でも限定するものとして解釈されるべきではない。
【0017】
以下の説明は、当業者が本発明を実施するために意図され、記載された実施形態を製作し、使用することを可能にするために提供される。しかしながら、当業者には様々な変更、均等物、変形、および、代替物が容易に明らかであろう。そのような変更、変形、均等物、および、代替物のいずれかおよび全ては、本発明の精神および範囲内に入ることが意図される。
【0018】
以下の説明の目的で、「上」、「下」、「右」、「左」、「縦」、「水平」、「上」、「下」、「横」、「縦」、および、それらの派生語は、図面に示されているように、本発明に関連するものとする。しかしながら、本発明は、明示的に反対に指定されている場合を除いて、様々な代替変形を想定することができることを理解されたい。添付の図面に示され、以下の明細書に記載された特定の装置は、本発明の単なる例示的な実施形態であることも理解されたい。したがって、ここに開示された実施形態に関連する特定の寸法および他の物理的特性を限定的であるとみなしてはならない。
【0019】
本明細書で使用される近位は、患者から離れてまたは遠方に位置する部分または方向(上流)を指し、遠位は患者に向かうまたは患者に最も近い位置にある(下流)部分を指す。また、本明細書では、患者の体内に注入可能な任意の物質を任意の目的で指すために、例示的で非限定的な態様で薬剤物質が使用される。患者への言及は、如何なる生物、ヒトまたは動物であってもよい。臨床医への言及は、例えば、看護師、医者、知能機器、介護者、または、自己治療など、治療を与える如何なる生物、ヒトまたは動物でよい。
【0020】
図1図12は、本開示のフローセンサシステム200の例示的な実施形態を示す。図1〜12を参照すると、本開示のフローセンサシステム200は、使用前に一緒に適合する2つの主要なアセンブリ、すなわちフローセンサ210およびベース220を含む。一実施形態では、フローセンサ210は、再使用可能なベース220と係合可能な使い捨てフローセンサとすることができる。フローセンサシステム200はインテリジェント注入ポートである。フローセンサシステム200は、手動でIV注入を投与するための注射部位(例えば、「Y部位」またはストップコック)に取り付け可能である。
【0021】
本開示のフローセンサシステム200は、ボーラス送達中のベッドサイドでの過誤投薬を低減することができる。本開示のフローセンサシステム200はボーラス送達の記録および電子的測定を提供することもでき、このことは、ボーラス送達をモニタすること、および、患者の健康記録の一部としてボーラス送達の自動記録を可能にする。本開示のフローセンサシステム200はまた、患者の医療記録と矛盾するボーラス送達が発生しようとしているときに警告を発することができる。
【0022】
図1〜5Bを参照すると、一実施形態では、ベース220は、バッテリ、スキャナ(光学式、機械式、誘導式、容量式、近接式、または、RFID)、電子機器、および、無線送信機を収容する非滅菌で再使用可能な装置である。いくつかの実施形態では、ベース220はバッテリ式であり、充電式である。いくつかの実施形態では、各ベース220は、ベース220の表面に刻印されるかまたは埋め込まれた、使用前にデータシステムに送信することができる固有のシリアル番号を有している。データシステムは、ローカルコンピュータすなわちタブレット「コンピュータ」、携帯電話、別の医療機器、または、病院内データシステムであってよい。
【0023】
一実施形態では、ベース220は、取り外し可能にフローセンサ210に接続することができる。図5Aおよび図6〜9を参照して、ベース220、および、ベース220へのフローセンサ210の機械的接続について説明する。ベース220は少なくとも1つの撓み可能なウイングタブ280を含み、このウイングタブは、その中にフローセンサ210の少なくとも一部を受け入れるための開口部であって、使用前にフローセンサ210をベース220の一部分内に固定するための開口部を画定する。一実施形態では、一対のウイングタブ280がフローセンサ210をベース220内に固定する。ユーザがベース220を把持できるようにするために、オプションの把持リブ395を外部輪郭に設けてもよい。
【0024】
ウイングタブ280の内部輪郭には、図6に示すように、フローセンサ210上に設けられたタブ189との対応する係合のための止め部389が設けられ、本明細書中でさらに説明するように、フローセンサ210をベース220内に拘束する。ウイングタブ280は、フローセンサ210がその上を通過することを可能にするように、外側に撓むことができる程度に可撓性であってよい。ウイングタブ280の内部には、図7に示すように、フローセンサ210のピン188が沿って移動することを可能にするピンカム388が設けられ、そのために、本明細書中でさらに説明するように、フローセンサ210がベース上への組み立て中に近位側に移動して、フローセンサ210およびベース220の様々な光学的および電気的構成要素を正確に位置合わせする。
【0025】
図5Bおよび図6〜9を参照して、ベース220、および、フローセンサ210のベース220への電気的接続について説明する。ベース220は起動/係合ボタン350を含み、このボタンは、フローセンサ210がベース220と係合したことの表示を可能にする。一実施形態では、起動/係合ボタン350は、注射器がセンサ210およびその注入ポート130と適切に係合したことを、ベース220内のマイクロプロセッサに信号で伝える。
【0026】
ベース220はさらに、複数の接触ピン385(図7)の電気的にアクティブな対応する部分と電気的に導通するための複数のコンタクト386(図5B)を含む。輪郭突起488は、舌部286の少なくとも一部を取り囲んでいる。図7に示すように、センサ200の底面は、複数の接触ピン385を囲んで汚染を防止するためのピンシール384を含んでおり、したがって電気的絶縁破壊を最小限にする。いくつかの実施形態では、複数のピン385は、さらに後述するように、ピエゾ素子150,151の各々に電気的に接続された2つのピンを有する4ピンコネクタを備える。他の実施形態では、複数のピン385は、ピエゾ素子150,151の各々に電気的に接続された2つのピンとフローセンサ210のバッテリ(図示せず)に電気的に接続された2つのピンを有する6ピンコネクタを含む。
【0027】
ベース220はさらに、センサ200の電気的にアクティブな対応する部分および充電器900(図11A)と電気的に導通するための複数のコンタクト386を有する舌部286であって、肩部486によって囲まれた舌部286を含む。
【0028】
図1〜4B、図6〜9、および、図13を参照すると、一実施形態では、フローセンサ210は、予め滅菌された使い捨て式であり、注入ポート130、および、ルアー先端部109などの遠位チューブ接続部を有している。
【0029】
フローセンサ210は、出口端部101および入口端部102を有するフローチューブ100からなるフローチューブサブアセンブリ10を含むことができる。出口端部101を、オプションでルアーキャップ108によって覆われ得るルアー先端部109を含む出口接続部105を有する出口チューブ110と流体連通するように設けてもよい。好ましい実施形態では、出口接続部105は、しかしながらルアー先端部109を備えたプラスチックコネクタであり、薬剤を患者に注入するための如何なる適切な方法も、本発明の実施形態の一態様内にあると考えられる。例えば、出口接続部105および出口チューブ110を、患者への直接注入/注入のために針で置換することが望ましい場合がある。さらに、ベース220をインスリンの送達のために投薬ペンまたは注入装置内に一体化することが望ましい場合がある。
【0030】
入口端部102を、投薬ペンまたは注入リザーバのリザーバに連結してもよい。フローチューブ100の入口端部102は、注入ポート130と流体連通して設けられてもよく、注入される流体の供給源と係合可能な、ねじ付きルアーロック131などの接続部を任意に含むことができる。穿孔可能な隔壁139は、使用前に滅菌性を維持するための注入ポート130を備えていてもよい。
【0031】
好ましい実施形態では、注入ポート130はスプリット隔壁139を有するプラスチック容器であり、しかし、フローセンサ入口180を介して薬剤を患者に注入するための如何なる適切な方法も本発明の実施形態内にあると考えられる。例えば、薬物送達装置への直接接続のために注入ポート130を交換することが望ましい場合がある。さらに、薬物送達装置への直接的な流体接続を受け入れるようにフローセンサ入口180を一体化することが望ましい場合がある。
【0032】
一実施形態では、フローチューブ100は医療グレードのステンレス鋼からなり、長さが約50mmであり、内径が1.0mmで、外径が1.6mmである。
【0033】
フローセンサ210はまた、第1のピエゾ素子すなわち上流の変換素子150、および、第2のピエゾ素子すなわち下流の変換素子151を含む。第1のピエゾ素子150には、図8に示すように、注入ポート130と結合するための入口継手180を設けることができる。同様に、第2のピエゾ素子151には、出口チューブ110と結合するための出口継手190を設けることができる。
【0034】
フローセンサ210を、滅菌パッケージで単一の患者の使用のために供給することができる。一実施形態では、個々の滅菌パッケージにラベリングが印刷される。一実施形態では、各フローセンサ210は、その表面の一部に刻印された固有のシリアル番号を有している。いくつかの実施形態では、一意的な識別子を保持する電子回路がフローセンサ210内に存在する。これらの識別子は、使用中およびデータ収集中に自動的にまたは手動でデータシステムに送信される。一実施形態では、フローセンサ210の入口端部102において、注入ポート130は、一般的な針無し式のルアーロック(Luer−Lok)式である。典型的には、入口ポートまたは注入ポート130は、注入を行う前に病院の方針に従って洗浄される。さらに、使用前に、フローセンサ210をIV流体(例えば、生理食塩水注射器)でフラッシュすることが望ましい。フローセンサ210上の注入ポート130は、典型的には、100回までの注入に対応している。一実施形態では、フローセンサ210は、出口端部101において25.4mm(1インチ)のIVチューブのピグテール上に雄型ルアーロック接続を、例えばルアー先端部109を有する出口接続部105を有している。この雄型ルアーロック(Luer−Lok)接続は、Y部位またはIVマニホールドにおいてIVラインに取り付けることができる。各フローセンサ210は固有のシリアル番号を有し、しかしながら、フローセンサ210の外部の一部分にシリアル番号の一部を単に表示することが望ましい場合がある。例えば、シリアル番号の最後の4桁が、そのバーコードの隣の面に刻印されることがある。人間が判読可能なこの数字は、フローセンサ210をコンピュータ通信の無線の範囲内で視覚的に識別するために使用される。いくつかの実施形態では、フローセンサ210は、1.0mLを超えて55mLまでのボーラス容量については±5%の精度で、0.4mL〜1.0mLのボーラス容量については±20%の精度で測定し、0.3mL未満のデッドスペース容量を有している。
【0035】
図11A〜11Dを参照すると、一実施形態では、オプションの別個の充電器900はフローセンサシステム200と互換性があり、再使用可能なベース220内のバッテリを、必要に応じて、ベース220の再使用のために再充電する。図11A〜11Dを参照すると、一実施形態では、充電器900は、ベース220を受け入れるための開口925を有する充電器ベース905を含み、開口925は、再使用可能なベース220内の対応するコンタクト386と係合する充電ピン950を有している。充電器900は、傾斜床930であって、そこから消毒液を排出するための傾斜床930を含むことができる。この装置はまた、排水を補助するための、高い脚部999を含むことができる。
【0036】
再使用可能なベースは、通常、無菌で供給され、使用前に消毒およびチャージが必要である。最初の使用の前に各ベース220を消毒することが好ましい。典型的な市販の病院用消毒剤は、アルコールベースの第四級アンモニウム、例えばMetrex ResearchのCavi Wipesを含んでいる。いくつかの実施形態では、ベース220は500回まで使用することができる。好ましくは、充電式リチウムイオンバッテリがベース220内で使用され、ベース220から取り外しできない。完全に充電されたベース220は、患者の状況全体に適応することが想定される。いくつかの実施形態では、各ベース220は、装置の底面にラベルを付けることによって識別される。オプションで、ベース220が個々のボックス内に設けられ、各々のボックスはケースパッケージ内にある。充電器900はまた、パワーインジケータ995を含むことができる。一実施形態では、ベース220が充電器900に接続されているとき、4つまでの緑色の光のバーが上部に点灯する。連続した緑色の光のバーの数は充電のレベルを示す。ベース220上の緑色の点滅光は、それが充電中であることを示す。いくつかの実施形態では、ベース220が充電器900に接続されると、ベース220がその有効寿命を超えたことを示す赤色光の使用によって有効寿命インジケータが使用される。オプションで、有効寿命が終了したフローセンサシステム200が患者のセットアップの間にタブレットに無線接続されたときは、コンピュータ上にエラーメッセージが表示される。そのとき、ベース220を別のものに交換し、コンピュータへの無線接続を繰り返すことが望ましい。オプションで、フローセンサシステム200は、患者のベッドサイドにおいてフローセンサシステム200を定位置に保つために、標準のClarkeソケットに適合する器具であるマウント内に設けられる。さらに、ベース220を洗浄しおよび消毒するために使用される手順を使用することによって、充電器900を洗浄しおよび消毒することが望ましい場合がある。
【0037】
一実施形態では、フローセンサシステム200は、任意のルアーロック型注射器を使用した注射に対応している。例えば、図10A〜10Cを参照すると、フローセンサシステム200はラベル付けされた注射器800に対して互換性がある。一実施形態では、注射器800は、スケールマーキング805、遠位先端部810、ルアー先端部815、近位端820、フランジ825、人間可読表示852および機械可読表示854を有する先端ラベル850、人間可読表示862を有するバレルラベル860、および、プランジャ890を有している。
【0038】
フローセンサシステム200のベース220は、図2に示すように、第1の窓360の内側または後方に配置された光学部品およびデジタルカメラであって、符号化された注射器のラベル850上に設けられた機械可読表示854を読み取ることができる光学部品およびデジタルカメラを含む。フローセンサ210がベース220と一緒に組み立てられたときに、第1の窓360がフローセンサ210上に存在するルアーロックのねじ131と正確に位置合わせされて、よって、注射サイクルおよび/または投薬判定サイクルの間に、ラベル850上に存在する機械可読表示854が注射器800上に位置合わせされる。ベース220は、図5に示すように、窓360の内部または後方に配置されたカメラに適切な照明を供給するための光源を有する第2の窓370をさらに含むことができる。
【0039】
さらに、フローセンサシステム200は、注射器のルアーカラー上に、「符号化」と呼ばれる特殊なバーコードの識別子を有する符号化された注射器と協働するように設計されている。好ましくは、符号化された注射器は、特殊なバーコードを有する予め充填された注射器内に市販の薬物を含んでおり、そのバーコードは、注射器内に収容された薬物に関する情報を記憶している。符号化された注射器はすぐに使用でき、受動的で、使い捨てである。フローセンサシステム200はまた、符号化を有していない注射器に適応している。符号化注射器は、注射器内に含まれる薬物名および濃度を記憶している。薬剤供給源、容器サイズ、製薬業者の供給源、薬物分類色、その他などの追加の特性も含まれ得る。符号化された注射器がフローセンサ210の注入ポート130に取り付けられると、このバーコード情報はベース220内のスキャナによって読み取られ、フローセンサシステム200によって無線でデータシステムに送信されるる。好ましくは、2次元バーコードが充填プロセスの間に注射器に加えられる。
【0040】
一実施形態では、フローセンサシステム200は、注射器のルアーカラー上の2次元バーコードの画像を捕捉して送信する装置を収容しており、この画像を「コンピュータ」に無線送信する。典型的には、コンピュータは、複数のフローセンサシステム200と通信するタブレットコンピュータである。2次元バーコードは、典型的には、注射器内の薬物の名称および濃度を含むデータを他のデータに混じって収容している。コンピュータはこの画像を復号し、および、添付された薬剤を表示し、発表する。バーコードには、薬物名と濃度を含めることができる。薬物が注入されるにしたがい、フローセンサ210は、ベース220と協動して、注入された薬物の容量、および、薬物が投与された時間を超音波で測定する。この情報は、コンピュータへの後の送信のために、フローセンサシステム200に格納してもよい。コンピュータは、この情報を使用して、臨床医に薬剤名、濃度、容量、用量、および、注射時間の自動記録を提供する。投薬管理情報はタイムスタンピングされ、臨床的参照のために表示される。医療従事者が使用するすべての注射器が2次元バーコードを収容しているわけではない。2次元バーコードのない注射器がフローセンサシステム内に、すなわち注入ポート130に挿入された場合、フローセンサシステム200は、薬剤名および濃度をコンピュータに手動で入力するようユーザを促す。フローセンサシステム200に手動で入力された情報は、患者の投薬記録に含まれる。
【0041】
一実施形態では、コンピュータは、2.4GHzのRF信号を使用してフローセンサシステム200と無線通信してローカル医療デバイスネットワークを形成するために無線を使用することができる。多数のフローセンサシステム200およびコンピュータを、術前ケア領域または麻酔後ケアユニット(PACU)などの、同様の近傍で使用することができる。フローセンサシステム200とコンピュータの間で警告メッセージが通信され、フローセンサシステム200の様々な動作特性を臨床医に知らせる。これらの警告のいくつかは潜在的な危険な状況を医師に知らせ、患者に対する危害または医療データの損失を防止するためのユーザの行動を可能にする。好ましくは、フローセンサシステム200とコンピュータの間の通信が失われたときに、失われた無線通信メッセージを表示する。好ましくは、フローセンサシステム200からの全ての投薬管理データが特定の患者の医療記録に転送される。通信損失の場合、薬物投与データはフローセンサシステム200にローカルに記憶され、通信が再開されたときにコンピュータに転送される。
【0042】
コンピュータは、さまざまなモードで動作することができる。典型的には、コンピュータは、操作、タッチスクリーン、および無線通信(無線)用のフローセンサシステム200の特殊なソフトウェアを有している。典型的には、それは麻酔科医または看護師の封筒の近くに取り付けられ、手持ちの使用のために取り外すことができる。コンピュータが紙の麻酔記録を有する病院で使用される場合、コンピュータはフローシート部分の文書化を支援する機能に対応し、臨床医が正しい決定を下すのを助けることができる。この構成では、コンピュータは、フローセンサシステム200を介して与えられた注入を追跡しおよび表示することによって、紙の記録活動を補完する。コンピュータはまた、他の適切なIV薬剤注入および注入情報を臨床医が手動で文書化することを可能にする。
【0043】
一実施形態では、ソフトウェア画面は、(1)フローセンサシステム200をコンピュータに接続すること、(2)患者のフローセンサシステム200を使用のためにセットアップすること、および、(3)複数の表示で投薬管理を見ることからなる、3段階のアプローチに従う。
【0044】
いくつかの実施形態では、コンピュータ上の表示は、麻酔ベースの情報を知覚麻酔表示において、図14Aに示すように表示する。好ましくは、この表示は、患者についての情報を提供し、および、現在の症例が開始して以来、患者に送達された薬剤の履歴リストのみならず、現在の注射のための薬剤名/濃度および用量を表示する。臨床医がそれらをコンピュータに記録している場合、患者に与えられた輸液のリストを含むこともできる。この表示では、3つまでの注入バーがスクリーンの上部に表示され、1つは無線で接続された各フローセンサシステム200に対応する。各々の注入バーは、個々のフローセンサシステム200を介して投与されている薬物の実時間表現である。符号化された注射器が単一のフローセンサシステム200に取り付けられている場合、注入バーは薬物名および濃度を表示する。符号化されていない注射器が取り付けられている場合、注入バーは、送達されている薬物および濃度を識別するよう、臨床医を促す。投薬が行われるにしたがい、押し込まれた容量(mL)および対応する投薬量が、コンピュータディスプレイ上の注入バーにリアルタイムで表示される。
【0045】
本開示のフローセンサシステム200はまた、オプションの薬物履歴を提供することができる。例えば、知覚麻酔表示は、患者に送達される薬剤の履歴リストであって、フローシート形式で配置された手術ケア区域(ケア区域間の移行時間中に与えられる薬剤であって、次のケア区域に付く(post)薬剤)によってオーガナイズされた履歴リストを含むことができる。好ましくは、この表示は、より最近の投薬管理を用いて、好ましくはリストの最下部でフローセンサシステム200がアクチベートされて以降に患者に投与されたすべての薬物を含む。スクロールバーは、リストがコンピュータ画面上の可視領域を超えると有効になる。好ましくは、新しい投薬が追加されると、投薬リストは自動的にスクロールし、新しい投薬名が見えるようになる。この表示では、好ましくは、米国材料試験協会(ASTM)基準に対応し、米国麻酔医協会(American Society of Anesthesiologists)によって承認されたカラータイルが、薬剤名の左側に表示される。オプションで、臨床医は、混合物(混合薬物)、または、希釈または再構成薬物が送達されたことを特定することもできる。オプションで、コンピュータは、患者名、生年月日、年齢、医療記録番号、および、患者識別番号を列挙するケースヘッダを表示する。オプションで、コンピュータは、患者は「既知のアレルギーがない」と表示する。好ましくは、患者にアレルギーがある場合、そのテキストはボタンによって置き換えられ、より好ましくは、ボタンは、ボタン上にアレルギーの数を示す数字を有している。
【0046】
本開示のフローセンサシステム200はまた、図14Bに示されるように、オプションの表形式表示を提供することができる。例えば、表形式表示は、臨床医がフローセンサシステム200と対話するための別の表示である。上述した知覚麻酔表示と同様に、この表示は患者に関する情報を提供し、患者に送達された薬剤の履歴リストのみならず、現在の注射についての薬剤名/濃度および用量を表示する。臨床医によって記録されている場合、患者に与えられた輸液のリストを含むこともできる。表形式表示は知覚麻酔表示の多くの機能を有しており、しかしながら、表形式で配置されている。好ましくは、この表示の欄見出しは、投与時間、投薬濃度、用量、および、投与合計を含む。最適には、薬物は時系列で逆の順に表示され、直近の投薬がリストの最上部に表示される。
【0047】
一実施形態では、コンピュータは、(1)「臨床」および(2)「システム」の2種類のメッセージを提供する。臨床メッセージは、患者ケア提供の態様(例えば、抗生物質を再投与する時間である可能性がある禁忌または督促)に直接関係する警告および督促である。システムメッセージは、関連するシステム動作パラメータに関するステータスを提供する。
【0048】
メッセージは、指示、および、了解または解決のためのボタンを提供する。メッセージは、承認されるまで、または、臨床的にもはや関連がなくなるまで、コンピュータ上に表示される。メッセージは、症例の間にいつでも答えることができる。症例を一時停止または終了する前に、臨床医は、症例中に生成された未解決の薬剤メッセージに応答し/答えるように促される。アレルギー警告は、臨床医が符号化注射器を取り付けるか、または患者が既知のアレルギーを有する符号化されていない注射器のための薬剤を選択するときに、フローセンサシステム200を明るくし、および、コンピュータ上に表示される。オプションで、このメッセージを無効にすることができる。
【0049】
抗生物質を投与する場合、好ましくは、コンピュータは、抗生物質が最後に投与されてからの経過時間を追跡し、並びに、設定された再投与間隔が経過した場合に抗生物質再投与メッセージを表示し、および、発表する。再投与間隔は、抗生物質ごとに個別であり、以下でさらに説明するように、コンピュータまたはゲートウェイの薬物ライブラリ内に設定される。一実施形態では、フローセンサシステム200は投薬の注入を防止または阻止しない。他の実施形態では、フローセンサシステム200は投薬の注入を阻止することができる。
【0050】
一実施形態では、コンピュータは、フローセンサシステム200を介して注入された容量が測定されなかったときに、メッセージを提供する。これは、測定された容量がフローセンサシステム200の検知範囲外である場合に起こり得る。
【0051】
オプションで、コンピュータは、すべてのコンピュータ(したがって複数のフローセンサシステム200のうち複数のものについて複数)が接続される中央ハブとして機能するソフトウェアアプリケーション、すなわち「ゲートウェイ」と双方向に無線通信する。好ましくは、ゲートウェイは、病院の他のネットワーク化された情報システムにも接続される。ゲートウェイは、すべてのコンピュータが、薬剤名、用量、お互いの服用時間などの患者症例情報を、病院のネットワーク情報システムと共有することを可能にする。ゲートウェイはまた、他のネットワーク化された病院情報システムから、コンピュータが患者の薬物アレルギーおよび患者の薬物の注文などの患者情報を受信することを可能にする。
【0052】
本開示のフローセンサシステム200を利用することは、フローセンサ210を患者のカテーテルまたは注入ポート(Y部位)に接続するステップを包含する。好ましくは、フローセンサ210およびラインはフラッシュされる。フローセンサ210は、固有のシリアル番号を使用して個々の患者に鍵付けされ、ベース220は、フローセンサ210の入口端部102における、ポートを介した薬物投与を記録する。
【0053】
注射器800が注入ポート130に取り付けられると、フローセンサシステム200は、注射器800のルアーロックカラー(Luer-Lok collar)上のバーコードを光学的に画像化しおよび復号することによって、符号化された注射器の薬物および濃度を識別する。この情報はコンピュータにワイヤレス送信される。好ましくは、コンピュータは添付された薬物を表示し、聴覚的に発表する。コンピュータはまた、患者の医療記録に基づいてアレルギー安全性チェックを行うことができる。
【0054】
一実施形態では、薬物が注入されるにしたがい、フローセンサシステム200は超音波で投与される容量を測定する。フローセンサシステム200は、容量測定情報をコンピュータに無線送信する。コンピュータは、この情報を使用して臨床医に薬剤投与記録を提供し、この記録にタイムスタンプが付され、外科処置中に臨床基準のために表示される。手動で入力された注入、および、非符号化薬物注射に関連する他の情報は、コンピュータおよびゲートウェイ内の患者投薬記録に含まれてもよい。コンピュータは、病院内ネットワーク上のゲートウェイと無線通信し、構成されたときに、レポート作成や電子記録保管目的のために、薬剤管理を病院情報システム(Hospital Information Systems)に送信することができる。好ましくは、コンピュータは、標準ベースのIEEE802.11a/b/g/nエンタープライズWLANネットワークを使用して既存の病院ネットワークと無線通信する。ゲートウェイソフトウェアおよび付随のデータベースは、病院の企業情報システムの一部になる。いくつかのコンピュータを、ヘルスケアエンタープライズ無線ネットワーク、および、意図されたゲートウェイソフトウェアおよびデータベースに接続することができる。好ましくは、ゲートウェイおよび付随のデータベースは、ユーザが選択するための患者のリストと、注射または注入のための薬物および流体の処方ライブラリを提供する。一実施形態では、実際の投薬および流体投与データは、記録保管のためにゲートウェイおよび付随のデータベースに送られる。ゲートウェイおよび付随のデータベースに一旦、記録されると、これらのデータは、患者が移送され且つフローセンサシステム200がコンピュータと無線で接続されているときに、好ましくは他のケア領域において利用可能である。好ましくは、通信損失の場合、投薬管理データはゲートウェイに送信されず、したがって次のケア領域では利用できない。
【0055】
図1図12を参照して、ここで、本開示のフローセンサシステム200の使用について説明する。まず、フローセンサシステム200の注入のための準備について説明する。
【0056】
一実施形態では、フローセンサシステム200が準備され、IVラインに取り付けられ、使用のために組み立てられる。好ましくは、フローセンサ210の無菌ポーチ上に位置する、予め印刷された指示がある。最初に、ユーザは、滅菌パッケージ内のフローセンサ210と、完全に充電され、消毒された再使用可能なベース220を取得する。一実施形態では、完全に充電されたベース220は、通常の条件下で少なくとも24時間使用するのに十分な電力を有している。オプションで、ベース220はディスプレイを通じて充電レベルの視覚的表示を提供する。
【0057】
次に、フローセンサ210は、Y部位への取り付け前に滅菌IV流体でフラッシュされる。一実施形態では、フローセンサ210は8mLを超える滅菌IV流体でフラッシュされる。フラッシュの後、ユーザは、漏れ、空気、または、閉塞についてIVラインを視覚的に検査することができる。
【0058】
次に、ユーザは、フローセンサ210(チューブ側)とベース220の前方部分とを最初に接合し、次いでこれら2つを一緒の状態にすることによって、フローセンサ210をベース220に取り付ける。好ましくは、可聴のスナップ音が聞こえ、フローセンサ210とベース220の間の確実な接続を示す。一実施形態では、フローセンサ210をベース220に接続すると、フローセンサシステム200の電源が自動的に投入される。一実施形態では、フローセンサ210のベース220への接続をベース220上の点滅する光によって確認できる。他の実施形態では、他のインジケータを使用することができる。図5に示すベース220の止め部389は、図6に示すフローセンサ210のタブ189と係合して、注入開始前にフローセンサ210をベース220に拘束する。一実施形態では、ウイングタブ(1つまたは複数)280の撓みがタブ189を止め部389に対して動かして、それとの係合または離脱を開始させる。フローセンサ210がベース220に組み付けられるときに、本明細書中で説明される下側ハウジング212などのベース220上に設けられたカンチレバー650が、ベース220に設けられたボタン350と位置合わせされる。ウイングタブ280の内部には、図6に示すようにフローセンサ210のピン188を沿わせることを可能にするピンカム388が設けられており、そのために、フローセンサ210はベース220上への組み立て中に近位側に移動する。係合中、図5に示す舌部286は、図7に示す開口285内に係合している。引き続き図5および図7を参照すると、図7に示すようにフローセンサ210上にリブ487を有するアーチ状部位485は、図5に示すように対応する外形をベース220の肩部486に有し、フローセンサ210がベース220に組み付けられたとき、第1の窓360の位置合わせであって、ルアーロックのねじ131と正確に整列するための位置合わせのために係合する。
【0059】
いくつかの実施形態では、適切な場合には、フローセンサシステム200は、注入を付与する準備のために表面に固定される。例えば、いくつかの実施形態では、図12を参照すると、フローセンサシステム200を表面に固定するためにマウント1100が使用される。このステップの間に、フローセンサシステム200とIVラインの間のラインにおけるねじれを回避することが重要である。
【0060】
フローセンサシステム200は、ここでIV薬剤の送達の準備が完了している。好ましくは、フローセンサシステム200を介して与えられる如何なる薬剤も、電子ベース220のメモリに記録される。一実施形態では、フローセンサシステム200が(IV流体経路を除いて)故障した場合、フローセンサシステム200はポートを通じた標準的な投薬または流体送達を依然として可能にする。
【0061】
次に、フローセンサシステム200を用いた注入について説明する。まず、通常の病院処置に従い、ハブを拭くことによって注入ポート130を洗浄する。次に、注射器800が停止するまで、すなわち注射器800と注入ポート130の間の確実な接続が行われるまで、注射器800を完全に回転させることによって、注射器800をフローセンサ210の注入ポート130に取り付けることができる。理想的には、介護者は、正しい投薬を確実に行うための注入ポート130への取り付け前に、注射器800の薬剤名および濃度各々を二重にチェックする。注入サイクルおよび/または薬剤測定サイクルの間に、注射器先端部810が注射器突起部652に接触すると、図4Bに示すように、カンチレバー650は注射器800の長手方向軸から半径方向に撓む。パッド突出部651がベース220上のボタン350を押下し、ボタン350がマイクロプロセッサに信号を送って動作させる。
【0062】
次に、コンピュータによって表示および発表された薬物および濃度が、意図された薬物および濃度として確認される。一実施形態では、投薬アレルギーが検出された場合に、ベース220は、警告によってアレルギーが検出されたことを、赤、緑、および、黄色のライトを点滅させることによって介護者に警告する。オプションで、コンピュータは、潜在的なアレルギー反応を計算し、次の条件のいずれかが当てはまる場合に警告を発する。(1)符号化された注射器がフローセンサ210に挿入されており、薬剤が患者のアレルギープロファイルと一致する。(2)符号化されていない注射器がフローセンサ210に挿入されており、薬物画面から、患者のアレルギープロファイルと一致する薬物を選択している。これらの条件のいずれかが当てはまる場合、コンピュータ設定のアレルギーアラートフラグがオンされる。
【0063】
一実施形態では、フローセンサ210に逆止弁はなく、フローセンサ210を安全かつ効果的に使用する必要もない。典型的には、フローセンサシステム200は、注入当たり0.4mL〜55mLを測定する。注入速度が遅いか、または少容量(<0.4mL)が送達された場合、好ましくはコンピュータに警告が表示される。オプションで、例えば50mLの注射器などの大容量による迅速な送達を検出するように、警告が構成される。この場合、用量を確認するための警告が提供される。
【0064】
一実施形態では、一続きの4つのLEDインジケータなどのインジケータ375が順番にオンになり、流体がフローセンサ210を通って移動していることをユーザに示す。ベース220が充電器900に取り付けられているとき、インジケータ375はベース220のバッテリ充電レベルを示すことができる。
【0065】
一実施形態では、特に2つの不適合な薬物を連続的に送達する場合に、フローセンサシステム200を通るすべての薬物注入を符号化された生理食塩水フラッシュ注射器で追跡して、薬剤の全用量が患者に確実に到達することを確実にすることが好ましい。オプションで、フローセンサシステム200は、このような生理食塩水フラッシュ活動を記録する。
【0066】
一実施形態では、フローセンサシステム200がコンピュータに無線接続されているか否かにかかわらず、注射が記録される。ベース220は、注入情報をそのメモリ内に記憶し、コンピュータへの無線接続の際にこの情報を送信する。
【0067】
一実施形態では、コンピュータは、1人の患者に一度に接続されている複数のフローセンサシステム200に対応することができる。追加のフローセンサシステム200は、患者の治療中のいつでも追加することができる。フローセンサシステム200がコンピュータに接続されており、フローセンサ210に取り付けられている注射器がない場合、アクティブな注入バーは「センサ接続済み、注射器なし」と表示する。コンピュータディスプレイ上では、注入バーの右上隅のバッテリ状態アイコンが、フローセンサ210が接続されているベース220のバッテリ充電レベルを示す。各々の注射について、介護者はコンピュータ上でコメントを入力することができる。
【0068】
本開示は、流体薬剤の流れを検知するためのフローセンササブアセンブリを提供する。フローセンササブアセンブリは、第1のばね接点と第2のばね接点を含む。一実施形態では、ばね接点は、該ばね接点への、および、該ばね接点からの電気信号をマイクロプロセッサに伝導するための回路を有するベースに固定されている。第1のばね接点は第1のピエゾ素子と電気的に導通し、第2のばね接点は第2のピエゾ素子と電気的に導通する。第1のばね接点は第1のピエゾ素子に対して第1の接触力を有し、第2のばね接点は第2のピエゾ素子に対して第2の接触力を有し、第1の接触力は第2の接触力と等しい。また、本開示は、流体薬剤の流れを示すフロー信号を伝送するための複数のピエゾ素子を有するフローセンサとインターフェースするための回路基板を提供する。
【0069】
本開示のばね接点は、ピエゾ素子に対して電気的接触を提供する。例えば、本開示のばね接点は、圧電結晶の銀表面に対して電気的接触を提供する。さらに、この接触は、組立公差、温度変化、電気的要件、銀に対する長寿命の材料選択、および、片面印刷回路基板アセンブリ(PCBA)の取り付けのためのアセンブリ構造に適応するように選択されたばね力を提供する。本開示のフローセンササブアセンブリは、単一の変換素子内の、結晶などの2つのピエゾ素子の各々の両面に同じ力を有するように、センサ内で使用される4つの接点を提供する。
【0070】
本開示の回路基板は、片面PCBAを提供する。本開示の片面PCBAは、従来の両面PCBAの設計よりも低コストの設計を提供する。本開示の回路基板はまた、変換器がPCBAに挿入されたときに結晶接点の機械的負荷を維持する手段を提供する。
【0071】
超音波結晶に対する電気的接触は、銀コーティングにワイヤをハンダ付けすることによって、以前より達成されてきた。本開示のばね接点は、ばね接点を用いて結晶に接続することによるコスト削減方法を提供する。特に、本開示の片面プリント回路基板(PCB)は、より低コストの設計、および、スルーホール接点の設計を提供する。本開示の設計は、ばね定数による力の作用、接点間の分離の寸法、ばねの材料の種類、必要な力の範囲、および、ばねの接触によって働く力の公差制御を含み、これらはすべて、はんだ付けを除去するために重要である。はんだ付けの熱が高温すぎると、銀がしばしば結晶の表面からはみ出す。はんだ付けに伴うもう一つの問題は、あまりにも多くのはんだを残して、超音波の物理的特性の負荷を引き起こす可能性があることである。両方の結晶について一致する電気的および物理的接触(再現性)が、センサ間校正のみならず重要である。力は、強ぎる(スラリーが発生する可能性がある)こと、または弱すぎる(可変インピーダンス)ことができない。
【0072】
本開示のフローセンササブアセンブリは、大容量、コストに見合った利点を有する使い捨て設計、信頼性、および、再現性を提供する。本開示のフローセンササブアセンブリは、将来的な自動化機能を可能にする。本開示のフローセンササブアセンブリは、設計された最大公差を種々条件下で提供する。本開示のフローセンササブアセンブリは、フローセンサ210のハウジング内に実装され得る。
【0073】
図8および図13を参照すると、流体薬剤の流れを検知するためのフローセンサ210用のフローチューブサブアセンブリ10は、フローチューブ入口102およびフローチューブ出口101であって、そこを通って薬剤が流れるフローチューブ入口102およびフローチューブ出口101を有するフローチューブ100を一般に備え、フローチューブ100の上流位置にピエゾ素子150および第1のばね接点750が配置され、並びに、フローチューブ100の下流位置に第2のピエゾ素子151および第2のばね接点750が配置されている。フローチューブ入口102を、投薬ペンのリザーバまたは注入リザーバに連結することができる。本明細書中で説明するように、いくつかの実施形態では、フローチューブ100の入口端部102を、注入ポート130と流体連通するように設けてもよい。
【0074】
一つの構成では、フローセンサ210用のサブアセンブリ10は、フローセンサ210として利用されても、ベース220に挿入されてもよく、ここで、接点750は、フローセンサ210のハウジング211,212の構成要素にではなく、ベース220に組み込まれる。好ましくは、上流の変換素子150と下流の変換素子151は相互交換が可能であり、しかしながら、フローセンササブアセンブリ10上の各々の位置に対して、それらを意図的に構成してもよいことが想定される。
【0075】
一実施形態では、第1のピエゾ素子150および第2のピエゾ素子151は、予め選択された距離だけ互いに離れて取り付けられる。一実施形態では、ばね接点750の各々は、ベース、例えば回路基板700に固定される。回路基板700は、ばね接点750への、および、ばね接点750からの電気信号をマイクロプロセッサに導電するための回路を含む。第1のばね接点750は、第1のピエゾ素子150と電気的に導通しており、第2のばね接点750は、第2のピエゾ素子151と電気的に導通する。第1のばね接点750は、第1のピエゾ素子150に対して第1の接触力を有し、第2のばね接点750は、第2のピエゾ素子151に対して第2の接触力を有している。一実施形態では、第1の接触力は第2の接触力と等価である。他の実施形態では、回路基板700は、センサ210のシリアル番号、較正データ、および/または、ベース220の電子マイクロプロセッサと通信するためのフロー計算定数を含む不揮発性メモリを収容することができる。
【0076】
図13および図15を参照すると、一実施形態では、フローセンサ210は、内側フローチューブ100、および、該内側フローチューブを各々の端部継手180,190に固定するための端部継手、例えば入口端部102における入口継手180および出口端部101における出口継手190を含む。一つの構成では、入口継手180および出口継手190の少なくとも1つに変換素子155が結合される。さらなる構成では、変換素子155は、入口継手180および出口継手190の各々に結合される。さらに別の構成では、第1のピエゾ素子150が入口継手180に結合され、第2のピエゾ素子151が出口継手190に結合される。
【0077】
変換素子接着剤156を使用して、第1のピエゾ素子150および第2のピエゾ素子151などの変換素子155を、入口継手180および出口継手190などの継手185にボンディングすることができる。変換素子接着剤156は、変換素子155からのエネルギーが矢印Tで示すように変換素子‐継手伝達区域159を横切って最適に伝送される一方で、継手‐チューブ伝達区域158において矢印T1で示すような損失を最小にするように、変換素子155を該継手にボンディングする。好ましくは、継手接着剤186は、第1および第2のピエゾ素子150,151と端部継手180,190の間の音響エネルギーの伝達によって、端部継手180,190にもたらされる位相外れおよび/または不正な振動を減衰させる。
【0078】
第1のピエゾ素子150はフローチューブ100の上流位置に配置され、第2のピエゾ素子151はフローチューブ100の下流位置に配置される。第1および第2のピエゾ素子150,151は、フローチューブ100内の流体薬剤の流れを示すフロー信号を伝送するように構成されている。一実施形態では、第1のピエゾ素子150および第2のピエゾ素子151は、環状の形状であり、各々の取り付け点においてフローチューブ100を取り囲んでいる。一実施形態では、第1のピエゾ素子150および第2のピエゾ素子151は、予め選択された距離だけ互いに離れて取り付けられる。第1および第2のピエゾ素子150,151の各々は、端部継手180,190に各々取り付けられる。第1および第2のピエゾ素子150,151の各々は、変換素子150,151からのエネルギーが各端部継手180,180の変換素子‐継手伝達区域159を横切って最適に伝達されるように、変換素子接着剤156によって端部継手180,190に結合される。接着剤は、損失を低減または最小化しつつ、変換素子‐継手伝達区域159を横切るエネルギー伝達を増大または最大化することができる。好ましくは、変換素子接着剤156は、第1および第2のピエゾ素子150,151と端部継手180,190の間の音響エネルギーの伝達を容易にする。変換素子接着剤156は、適度に粘性のある医療グレードの接着剤であってよい。第1および第2のピエゾ素子150,151と端部継手180,190の間の隙間をなくして、音響エネルギーのより効率的な伝達を可能にすることができる。好ましくは、変換素子接着剤156は滅菌後もその特性を維持する。
【0079】
再び図13および図15を参照すると、吸収シース500はフローチューブ100を取り囲むことができる。いくつかの実施形態では、吸収シース500と入口継手180の間に、入口端部102におけるフローチューブ100の一部を露出させるギャップが、および/または、吸収シース500と出口継手190の間に、出口端部101でのフローチューブ100の一部を露出させるギャップが存在していてもよい。例えば、吸収シース500を、入口継手180から約6mm、出口継手190から約6mmの位置に配置することができる。吸収シースは、フローチューブ100の材料の音響透過率とは異なる音響透過率を有する材料を含むことができる。例えば、フローチューブ100は、ステンレス鋼材料を含むことができ、吸収シース500は、プラスチック材料、PVC材料、エラストマー材料、70Aショア硬度医療グレードのシリコーンゴム材料、または熱収縮チューブ材料を含むことができる。
【0080】
一実施形態では、吸収シース500は、フローチューブ100の外径上に熱収縮されてもよい。他の実施形態では、図15に示すように、吸収シース500は、フローチューブ100に吸収材接着剤510で接着される。他の実施形態では、図15に示すように、吸収シース500は、フローチューブ100の周りに吸収シースをインサート成形することによって、フローチューブ100に接着される。吸収材接着剤510は音響的に透明であってよい。いくつかの実施形態では、吸収材接着剤510がフローチューブ100との可撓性結合を形成することが好ましい。他の実施形態では、吸収材接着剤510がフローチューブ100と剛性結合を形成することが好ましい。いくつかの例では、吸収材接着剤510は、変換素子接着剤156と類似の、または同じ接着剤であってもよい。
【0081】
吸収材の材料は、ポリ塩化ビニル、シリコーンゴムなどの、任意のポリマーまたはエラストマーの1つであってもよい。一実施形態では、吸収材の材料は本質的に可撓性であり、フローチューブのデュロメータより低いデュロメータを有することができる。フローチューブのデュロメータと異なるデュロメータを有する吸収材を設けることにより、振動はフローチューブに伝わることはなく、吸収材内で維持される。アブソーバの界面とフローチューブは境界であり、境界におけるエネルギーの挙動は、基本的に反射と透過/屈折という2つの有用な要素を有している。反射波と透過波はスネルの法則に従う。
【0082】
引き続き図15を参照すると、入口継手180および出口継手190などの継手185にフローチューブ100をボンディングするために継手接着剤186が使用されることが好ましい。継手接着剤186は、矢印T1によって示されるように、ピエゾ素子150,151などの変換素子155からのエネルギーが継手‐チューブ伝達区域158にわたって最小になるように提供される。特定の構成では、変換素子155からのエネルギーは、継手‐チューブ伝達区域158を介して送信されることがない。継手接着剤186は、継手‐チューブ伝達区域158を横切るエネルギー伝達を減衰させ、継手‐チューブ伝達区域158における損失を最大にする。好ましくは、継手接着剤186は、第1および第2のピエゾ素子150,151と端部継手180,190の間の音響エネルギーの伝達によって端部継手180,190に誘導される位相外れおよび/または不正な振動を減衰させる。好ましくは、継手接着剤186は、粘性の低い医療グレードの接着剤であり、毛管作用によって充填ギャップに流れ込むことができるが、他の接着剤も想定される。継手‐チューブ伝達区域158では、フローチューブ100の外径と端部継手180,190の間のエアギャップが望ましく、これは、位相外れ、および/または、主信号がマイクロプロセッサによって検出されるのを妨害する不正なエネルギー伝達を低減しまたは防止し得るからである。
【0083】
しかし、継手‐チューブ伝達区域158の構成にかかわらず、フローチューブ100の側壁111が端部継手180,190との最小接触状態にあることが望ましい場合がある。むしろ、フローチューブ100の端面113は、エネルギーの最大伝達が端面113から端面受け面117へ端面透過領域T2を横切って発生するように、端部継手180,190の各々の端面受け面117と接触して設けられることが望ましい。組み立て中、これは、継手接着剤186がフローチューブ100と端部継手180,190を永久的にボンディングするように、フローチューブ100上に、端部継手180,190に向かう方向に長手方向の付勢力を加えることによって達成される。好ましくは、継手接着剤186は滅菌後に望ましい特性を維持する。
【0084】
一実施形態では、継手接着剤186がフローチューブ100と端部継手185の間の空洞を毛管作用によって満たし、音響結合を減衰させるために低い曲げ弾性率を提供することが望ましい。エネルギー伝達を最小限にするこれまでの試みは、従来のOリングの使用を伴うが、Oリングの使用は、フローチューブ100と端部継手185の間の現行の隙間などの、0.127mm(0.005インチ)未満の隙間では不可能である。
【0085】
継手接着剤186の毛管伝播を最適化するために、入口継手180または出口継手190のいずれかまたは両方などの継手185は、円錐形の内部輪郭と、その内部でフローチューブ100の受け入れ端部と一致する適合するサイズおよび向きを有する隣接する肩部とを有するオリフィスを画定することができる。
【0086】
図15,16および18を特に参照すると、入口継手180は、フローチューブ100の近位部分を内部に受容するように適合された遠位オリフィス171を有している。遠位オリフィス171は、当接用肩部175を有する非円錐形または円錐形のオリフィス172を画定する。遠位オリフィス171と当接用肩部175の両方は、その中に受容可能なフローチューブ100の端部と一致するように適合するサイズおよび向きを有している。円錐形のオリフィス172は、入口継手180の遠位オリフィス171がフローチューブ100の内腔と同軸かつ同心であるように、および、フローチューブ100の端部が当接用肩部175に当接するように、フローチューブの両端を挿入する大きさである。非円錐形または円錐形のオリフィス172は、組み立て中にフローチューブ100の外側と円錐形のオリフィス172の内面の間の隙間に継手接着剤186を引き込む毛管作用を可能とするように設計された遠位テーパ部174を有している。一実施形態では、円錐形のオリフィス172は、近位テーパ部177を含み、これは、図15に示されるように、遠位端の近位側にフローチューブ100の外面との間の隙間を作り、継手接着剤186で満たされず、エアギャップを提供する。遠位オリフィス171はテーパ状になっており、当接用肩部175に対向する端部で終端して、フローチューブ100の内腔と係合する。入口継手180の遠位オリフィス171は、テーパ状であってもよく、当接用肩部175に対向する端部で終端して、ルアー型継手と係合する。特定の実施形態では、遠位オリフィス171は円錐形である。他の実施形態では、遠位オリフィスは非円錐形である。特定の実施形態では、遠位オリフィス171は、近位テーパ部177と遠位テーパ部174の間に中間肩部173を有する2つの部分のテーパを含む。他の実施形態では、中間肩部173は、遠位オリフィス171の長さに沿ってほぼ中間に配置される。他の実施形態では、中間肩部173と当接用肩部175の間のテーパは、チューブ100の押圧がこの空洞内に空気が最小またはない状態で適合し、表面175と接触しないようなものである。
【0087】
図15,17および19を特に参照すると、出口継手190は、フローチューブ100の遠位部分を内部に受容するように適合された近位オリフィス191を有している。近位オリフィス191は、当接用肩部195を有する非円錐形または円錐形のオリフィス197を画定する。近位オリフィス191と当接用肩部195の両方は、その中に受容可能なフローチューブ100の端部と一致するように適合したサイズおよび向きを有している。円錐形のオリフィス197は、出口継手190の近位オリフィス191がフローチューブ100の内腔と同軸かつ同心であるように、および、フローチューブ100の端部が当接用肩部195に当接するように、フローチューブの両端を挿入する大きさである。非円錐形または円錐形のオリフィス197は、組み立て中にフローチューブ100の外側と円錐形のオリフィス197の内面の間の隙間に継手接着剤186を引き込む毛管作用を可能とするように設計された近位テーパ部194を有している。一実施形態では、円錐形のオリフィス197は、遠位テーパ部192を含み、これは、図15に示されるように、近位端の遠位側にフローチューブ100の外面との間の隙間を作り、継手接着剤186で満たされず、エアギャップを提供する。近位オリフィス191はテーパ状になっており、当接用肩部195に対向する端部で終端して、フローチューブ100の内腔と係合する。特定の実施形態では、近位オリフィス191は円錐形である。他の実施形態では、遠位オリフィスは非円錐形である。特定の実施形態では、近位オリフィス191は、近位テーパ部194と遠位テーパ部192の間に中間肩部193を有する2つの部分のテーパを含む。他の実施形態では、中間肩部193は、近位オリフィス191の長さに沿ってほぼ中間に配置される。他の実施形態では、中間肩部193と当接用肩部195の間のテーパは、チューブ100の押圧がこの空洞内に空気が最小またはない状態で適合し、表面195と接触しないようなものである。
【0088】
図20A図20Dの経過によって示されるように、端部継手180,190は、フローチューブ100に継手接着剤186で接着されてもよい。入口継手180の場合、毛管作用によって継手接着剤が遠位テーパ部174に引き込まれる。出口継手190の場合、毛管作用によって継手接着剤が近位テーパ部194に引き込まれる。一実施形態では、端部継手180,190は、吸収シース500のフローチューブ100への接着または他の取り付けの前に、フローチューブ100に接着されてもよい。
【0089】
他の実施形態では、図21A図21Dを参照すると、吸収シース500は、フローチューブ100に吸収材接着剤510で接着することができる。吸収材接着剤510は音響的に透明であってよい。いくつかの実施形態では、吸収材接着剤510がフローチューブ100との可撓性結合を形成することが好ましい。他の実施形態では、吸収材接着剤510がフローチューブ100と剛性結合を形成することが好ましい。いくつかの例では、吸収材接着剤510は、継手接着剤186または変換素子接着剤156と類似の、または同じ接着剤であってもよい。図21A図21Dの経過によって示されるように、端部継手180,190がフローチューブ100に接着される前に、吸収シース500をフローチューブ100に吸収材接着剤510で接着することができる。
【0090】
例示的な設計を有するものとして本開示を説明してきたが、本開示は、本開示の精神および範囲内でさらに変更することができる。したがって、本出願は、その一般的な原則を使用して、本開示の変形、使用、または適合を網羅することを意図している。さらに、本出願は、本開示が関連し、添付の特許請求の範囲の範囲内に入る、当業者に知られているまたは慣習的な慣習に入る、本開示からの逸脱を網羅することを意図している。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図20D
図21A
図21B
図21C
図21D