【実施例】
【0040】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。これら実施例はひたすら本発明をさらに具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらによって制限されるものではないということは当業者に明らかである。
【0041】
<材料及び方法>
1.アモルフィゲニ(amorphigeni)の分離及び抽出
アモルフィゲニを分離及び抽出するために、陰乾しした0.5kgのイタチハギの根に5Lのアセトンを添加して7日間抽出した。エキスを減圧濃縮して21gの濃縮物を得、製造した濃縮物をシリカゲルカラム(10×30cm)を用いて1段階の分離を施した。この時、溶離溶媒はヘキサン−アセトンを用い、ヘキサン−アセトン混合溶液を100:1から100%(v/v)アセトンまで極性を増大させつつ溶離させて7個の分画物(A〜G)を得た。目標の化合物であるアモルフィゲニが多く含有している分画物Cを濃縮して濃縮物1.3gを得、得られた濃縮物1.3gについてシリカゲルカラムクロマトグラフィをヘキサン−アセトン(4:1)混合溶媒の条件下で施して70%以上の純度の160mgのアモルフィゲニを得た。得られた分画物を80%(v/v)メタノールで溶離させるゲルクロマトグラフィ(Sephadex LH−20)を施して98%純度の29mgのアモルフィゲニを得た。得られた化合物の構造は
1H−NMR、
13C−NMR、2D−NMR、DEPT及び質量分析器を用いて明らかにした。
【0042】
2.細胞培養及び化合物
B16F10マウスメラノーマ細胞ラインはATCC(American Type of Culture Collection,USA)から提供してもらい、前記細胞は10%のFBS(fetal bovine serum)及び1%のペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma−Aldrich,USA)が添加されたDME(Dulbecco’s Modified Eagle’s)培地に5%のCO
2加湿培養器で37℃の条件の下で培養された。α−MSH(melanocyte−stimulating hormone)及び3−MA(3−methyladenine)はシグマ・アルドリッチ、チロシン−EDTAはロンザ(Lonza,USA)、及びMTT([3−(4,5−dimethylthiazol−2−yl)−2,5−diphenyl tetrazolium bromide)はアムレスコ(Amresco,USA)から購買して下記の実施例に使った。
【0043】
3.細胞生存率(cell viability)の測定
B16F10細胞は96・ウェルプレートに24時間培養した後、前記細胞に多様な濃度のアモルフィゲニを処理して24時間培養した。次いで、前記細胞にMTT(5μg/mL)溶液を添加して3時間培養した後、培地を除去して細胞をDMSOで処理して20分間培養し、マイクロプレート・リーダ(Bio−Rad)を用いて595nmで吸光度を測定した。
【0044】
4.メラニン含有量の測定
メラニン含有量の測定は、ヤングら(Yang et al.,2006、Acta pharmacologica Sinica 27,pp.1467−73)の方法をやや変形して実施した。B16F10細胞を6・ウェルプレートに分注して24時間培養させた後、前記細胞にアモルフィゲニ及びα−MSHをそれぞれ1μMずつ処理して48時間培養した。培養された細胞はトリプシン処理法で65℃でDMSOが含まれている1N NaOHで24時間溶かして収穫し、マイクロプレート・リーダ(Bio−Rad)を用いて415nmでメラニン含有量を測定した。
【0045】
5.チロシナーゼ活性の測定
チロシナーゼ活性はオグシら(Ohgushi et al.,2009,Biological&pharmaceutical bulletin 32,308−10)の方法をやや変形して測定した。B16F10細胞を6・ウェルプレートに分注して24時間培養させた後、前記細胞にアモルフィゲニ及びα−MSHをそれぞれ1μMずつ処理して48時間培養した後、培養された前記細胞を収穫して氷で1時間の間に1%のトリトンX−100溶液で溶解させた。タンパク質は4時間の間に5%のCO
2加湿培養器で37℃条件の下で100μL(2mg/ml)のL−DOPAと共に培養し、次いで、マイクロプレート・リーダ(Bio−Rad)を用いて490nmで吸光度を測定した。
【0046】
6.RNA抽出及びRT−PCR
総RNAはRiboEX試薬(GeneAll Biotechnology Co.Ltd,Seoul,Korea)を用いて細胞から抽出し、cDNAは逆転写(Thermo Scientific,Waltham,MA,USA)を通じて2μgのRNAを用いて合成した。PCRは、Solg
TM e−Taq DNAポリメラーゼキット(SolGent Co.Ltd,Daejeon,Korea)を用いて施し、下記の表1に示したように各プライマーを用いた。
【0047】
【表1】
【0048】
7.ウエスタンブロットの分析
総タンパク質は、RIPA溶解バッファ(50mM Tris−HCl(pH8.0)、150mM NaCl、1%のNP−40、0.5%のデオキシコール酸塩及び0.1%のSDS)を用いて抽出した。前記タンパク質は10〜15%のSDS−PAGE上で分離した後、PVDFメンブレイン(Millipore,Billerica,MA,USA)に移入した。前記メンブレインは0.1%のツイン20を含有するTBS(tris−buffer saline)に1時間の間に5%のスキムミルク及び一次抗体と共に培養させた。チロシナーゼに対する抗体はサンタクルーズ(Santa Cruz Biotechnology,USA)、ATG5はCST(Cell Signaling Technology,USA)、PMEL(premelanosome protein)に対する抗体はAbcam(UK)から購買した。
【0049】
8.遺伝子抑制
マウスATG5 siRNAに好適なsiRNAはジェノリューション(Seoul,Korea)から合成し、B16F10細胞は製造会社(Invitrogen社)の指示に従ってリポフェクタミン3000(Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)を用いてsiATG5に感染させた後、前記細胞にアモルフィゲニ(10μM)及びα−MSH(1μM)を48時間処理した後、その結果を確認した。
【0050】
9.統計分析
すべてのデータはunpaired Student’s t−testを用いて分析し、結果はP<0.05である場合に統計的に有意であると見なした。
【0051】
<実施例1>本発明のアモルフィゲニ処理による細胞生存率の分析
本実施例1ではメラニン細胞で脱色を誘導する機能的植物代謝産物を探すために、アモルフィゲニをイタチハギの根から分離した(
図1)。前記アモルフィゲニの細胞毒性を確認するために、B16F10細胞を多様な濃度のアモルフィゲニで処理して24時間培養し、MTT(3−(4,5−dimethylthiazol−2−yl)−2,5−diphenyltetrazolium bromide)分析を通じて細胞生存率を確認した。その結果、
図2に示したようにアモルフィゲニの100〜1600nMで低い細胞毒性を示した一方、細胞死滅を誘導していないということが分かった(
図3)。
【0052】
<実施例2>本発明のアモルフィゲニ処理によるメラニン含有量の低減効果
アモルフィゲニがα−MSHによって誘導された色素沈着を抑制できるかどうかを調べるために、B16F10細胞をα−MSH及びアモルフィゲニでそれぞれまたは同時に処理して72時間培養した。その結果、
図4に示したようにα−MSHのみで処理した場合にはメラニン含有量及びL−DOPA酸化度をよほど増加させた一方、アモルフィゲニ及びα−MSHで共に処理した場合にはメラニン含有量及びL−DOPA酸化度を低減させる傾向を示した。すなわち、本発明のアモルフィゲニがメラニン含有量を低減させて色素沈着を抑制させるということが分かった。
【0053】
<実施例3>本発明のアモルフィゲニ処理によるプロテアソームに非依存的なメラノソームタンパク質の除去効果
B16F10メラニン細胞をα−MSHで処理するか、またはα−MSH及びアモルフィゲニと共に48時間処理した後、チロシナーゼ(TYR)及びPMELのタンパク質発現レベルをそれぞれウエスタンブロットを通じて測定した。その結果、
図5に示したように、本発明のアモルフィゲニはα−MSHによって増加したチロシナーゼ及びPMELのタンパク質発現量を効果的に低減させた。
【0054】
アモルフィゲニがプロテアソームに依存的なタンパク質の分解過程を誘導してチロシナーゼ及びPMELタンパク質を破壊するかどうかを確認するために、B16F10メラニン細胞をα−MSH、アモルフィゲニ及びプロテアソーム抑制剤であるMG132で共に48時間処理した。次いで、チロシナーゼ及びPMELのタンパク質発現レベルをウエスタンブロットを通じて測定した結果、
図6に示したようにα−MSH、アモルフィゲニ及びMG132で共に処理した細胞ではチロシナーゼ及びPMELのタンパク質発現量が再び増加しなかった。このような結果を通じて、アモルフィゲニの脱色効果がプロテアソームに依存的なタンパク質分解過程によって媒介されるものではなく、他のメカニズムを通じて起きるということが分かった。
【0055】
<実施例4>本発明のアモルフィゲニ処理によるオートファジーに依存的なメラノソーム除去効果
アモルフィゲニがオートファジーを誘導してチロシナーゼ及びPMELタンパク質を破壊するかどうかを確認するために、B16F10メラニン細胞をα−MSH、アモルフィゲニ及びオートファジー抑制剤である3MA(3−methyladenine)で共に48時間処理した。次いで、チロシナーゼ及びPMELのタンパク質発現レベルをウエスタンブロットを通じて測定した。その結果、
図7に示したようにα−MSH、アモルフィゲニ及び3MAで共に処理した細胞では、α−MSH及びアモルフィゲニで共に処理した時に減少したチロシナーゼ及びPMELのタンパク質発現量を再び増加させた。
【0056】
オートファジー過程中に重要な役割を行うオートファゴソーム伸長に関するATG5(autophagy−related gene 5)の阻害がアモルフィゲニ−媒介された脱色効果に影響を与えるかどうかを確認するために、B16F10メラニン細胞にsiATG5(ATG5のノックダウン)を48時間形質注入させてオートファジーを抑制した。その結果、
図8に示したようにsiATG5を形質注入させてオートファジーを抑制させた後でα−MSH及びアモルフィゲニで共に処理した時にチロシナーゼ及びPMELのタンパク質発現量が再び増加し、オートファゴソーム形成過程中に結合されるATG5−ATG12の発現量は減少した。すなわち、アモルフィゲニがB16F10メラニン細胞からオートファジー誘導を通じてメラニンを除去するということが分かった。
【0057】
また、B16F10メラニン細胞をα−MSH、アモルフィゲニ及び3MAで共に48時間処理した後でメラニン含有量及びL−DOPA酸化度を測定した(***P≦0.001)。その結果、
図9に示したようにα−MSH、アモルフィゲニ及び3MAで共に処理した細胞では、α−MSH及びアモルフィゲニで共に処理した時に減少したメラニン含有量(A)及びL−DOPA酸化度を再び増加させるということが分かった。
【0058】
<実施例5>本発明のアモルフィゲニ処理による既に生成されているメラノソーム破壊効果
アモルフィゲニがα−MSHによって既に生成されているメラノソームを破壊するかどうかを調べるために、B16F10メラニン細胞をα−MSHで48時間処理してメラノソームを合成した後、アモルフィゲニを48時間処理した後でメラニン含有量を測定した。その結果、
図10に示したように既に生成されているメラニン含有量を効果的に低減させるということが分かった。
【0059】
また、アモルフィゲニが既に生成されているメラノソームをオートファジーを通じて破壊するかどうかを調べるために、B16F10メラニン細胞をα−MSHで48時間処理してメラノソームを合成した後、アモルフィゲニをオートファジー抑制剤である3MAと共に48時間処理した。次いで、メラニン含有量とチロシナーゼ及びPMELのタンパク質発現レベルを通じて測定した(ns=no significance、*P≦0.05、**P≦0.01、***P≦0.001)。その結果、
図11及び12に示したようにα−MSH、アモルフィゲニ及び3MAで共に処理した細胞では、α−MSH及びアモルフィゲニで共に処理した時に減少したメラニン含有量を再び増加させ、チロシナーゼ及びPMELのタンパク質発現量も再び増加させた。
【0060】
よって、本発明のアモルフィゲニで誘導されたオートファジーはメラノサイトで脱色を調節し、アモルフィゲニのようなメラノソームオートファジーの特異的な誘導剤は、肌ホワイトニングやライトニング製剤の開発において非常に有用な素材として活用できると判断される。